※時間軸を整理してみた結果……恐ろしい事に気付きました……
ワルプルギスの夜は5月1日か4月30日に行われる西洋の祭ですので、もしも原作のワルプル襲来がこの日なら、アマタが街にやって来たのは4月半ばくらい。
それにキャラの服装的にも春~夏までの間と言う感じなのも分かりますし。
さて、ここで問題なのがアマタが魔法少女になったのは14歳の誕生日ですので、アマタの誕生日と思われるのは4月半ばどころか3月以前……
アレ……アマタの学年が……マミさんと同じ学年になっちゃったんですが……
そうなると、年上ですからまどかやさやかがアマタを呼ぶ時に「アマタさん」になるんだけど……
まぁ、アマタは他の人に年齢を話してないから、問題無いと云う事にしておこう。
走るウェディングドレスを纏う少女
やぁやぁ 急いで今日はどうしたんだい
悪い悪い魔女から逃げてるの
それなら 僕の所においで
御遠慮するわ
それは どうしてだい
貴方の家に悪い悪い魔女がやって来てしまうもの
「キュウべぇ、どうしたら良いのぉぉおおおおおおおお!!」
「僕に言われても……とにかく、しっかり現実に向かき合って立ち向かうとしか……」
「無理無理無理無理無理っ!!」
全力で何かから逃げる私。その何かは言うまでもないだろう……
「コルコルコルコルコルっ!!」
私と大して大きさが変わらないと云う巨大な斧を振り回しながらこちらに全速力で追いかけて来る、真っ赤なサラファンを纏い仮面を付けた人型の影。(※サラファン:ロシアの民族衣装 ※コルコル:ロシアの呪詛の擬音らしい?コルホーズ(劣悪環境の集団農場)が語源らしい?)
どう考えても、私には荷が重すぎる……
先日、キュウべぇと云う謎の生命体に、黒色以外の色を『見る事を御願いした』結果、この様な化け物と戦う事を強要され、元気に現実から逃走中である。
「何度も言うけど、君達魔法少女には―――」
「あぁ~、イエスイエス。困難に立ち向かう力が有るね。でも、力が有っても立ち向かう勇気も、経験も無い私には無理な相談なのよね」
「だからこそ、実戦経験は必要だと思うんだ。先ずは武器を召喚して」
「武器!? どうやって召喚するの!?」
「念じればアマタの思いに呼応して出て来るよ」
成程、良く有りがちな設定なのね。
それじゃあ、目の前の敵に打ち勝つ遠距離武器を考えましょうか?
流石にあんなのと近接戦闘するなんて御免だし……
やっぱり、手軽で強い武器って言ったら拳銃よねぇ~♪
「拳銃よぉ、出よぉ♪」
すると私のスカートの中からリボルバー拳銃と呼ばれる物が、本当に何処から出て来たのか2丁毀れ落ちて来る。
私はそれを素早く拾い上げ、ウェディングドレスの様な衣装を纏う少女、いや魔法少女には明らかに不釣り合いな質量兵器を構えて、弾丸を発射する事が出来ると思われるトリガーを引く。
火薬の破裂する音、刹那銃口より飛び出す弾丸。
直線軌道の先の魔女の額へと螺旋を描きつつ、弾が向うが……
簡単に魔女の斧の一振りで粉微塵に弾丸が砕かれてしまう……
「って、困難に立ち向かう力はどうなってるの!?」
「うん、アマタにはこの魔女は荷が重すぎたみたいだよ……一旦、ここは引いた方が良いかもしれない」
「だから、さっきから逃走しようとしてたでしょ!! 出口は何処にあるの!?」
「来た道を戻れば良いだけだよ」
魔女の創りだした結界と呼ばれる空間を素早く見渡し、私がこの広い空間に入る為に使った道へと視線を向け、全力で走る方向を変える。
急な方向転換に、魔女もやや驚きだが、私が逃げる事は理解できてるみたいで、小さな手斧を持った緑色の服を着た無数の人形に命令を出して出口への通路に先回りをさせる。
「どいてぇ!!」
拳銃のトリガーを引くが、易々と防がれる。どうやら、威力不足の様である……
私が未熟な所為か、それとも武器自体の威力がないのかは分からないが、取り敢えず逃げる場所が無くなったのは確かである……
「キュウべぇ、どうすればいいの!?」
「正直、御手上げとしか言いようが……」
「もう!! こんなんだったら、目が見えないまま一生御父さんと御母さんと一緒に暮らしてれば良かったぁ!! アンタが悪いんだよ!!」
「僕は君の願いを聞いただけで……って、首を掴んで揺さぶらないでくれないか?」
魔女が巨大な斧を大きく振りかぶり、逃げ場が最早無い私は、その場にへたれ込んで半泣きでキュウべぇの首を掴み揺さぶって死を覚悟していた。
だが……将にその時であった……
「ティロ・フィナーレ!!」
黄色い閃光が逃げ場を塞いでいた使い魔達を一掃し、私へと将に攻撃をしようとしていた魔女へと直撃して態勢を崩す。
「マミぃ!!」
その一撃と声に覚えが有るのか、キュウべぇは嬉しそうに攻撃を放った魔法少女の名前と思われる物を言う。
「あら、キュウべぇ? それに、その子は?」
使い魔達の壁が無くなり、自由に出入りできるようになった通路。その奥から、危機一髪で私を助けてくれた魔法少女が姿を現した。
黄色のカールした髪、白色の羽付き帽子、ソウルジェムが付いた花の髪飾り、コルセットが付いた魔法少女服に、胸元には黄色のリボンと大きめの胸。
そして、各々の手には銃口が細長い銃を持っている……
命を失いかけてた私には、彼女は御姫様のピンチにやって来てくれる白馬の王子様のように見えた。
正直、それ以外形容が出来なかった……例え、私の為にやって来てくれた訳でもない彼女の存在が、そのように見えてしまうのだ……
生死の境を見た現状では将にそれしか表現は出来ない……
「助かったよ、マミぃ」
「その子も魔法少女みたいね? でも、今は話を聞いてる暇はなさそうね? 先ずは前の魔女を倒さないとね♪」
行き成り登場し、私から乱入してきた彼女に魔女は狙いを替え、斧を再度振りかぶる。
「可愛い子にオイタは駄目よ?」
急に地面から無数の黄色のリボンが出現し、魔女が斧を振り下ろす前に斧を持つ手に絡まり、手の動きを止める。
敵の動きを封じると、手に持つ銃のトリガーを引いて魔女へ攻撃し、銃を魔女へと投げつける。その行動は、私が使った拳銃とは違い、銃弾が1丁に一発しか入らないからかと思われる。
次に彼女はスカートの端を軽く摘みスカートの中から先と同じ銃を大量に召喚しする。召喚された銃は自重に引かれ地面へと落下し、次々と銃口から地面へと突き刺さる。
その地面へと突き刺さった銃を次々と引き抜き、彼女はその銃口を魔女へと向けて弾丸を発射する。
彼女が使ってる銃は単発式ではあるが、威力が私が使った物とは段違いであるからか、ダメージすら与えられなかった私と違い、次々と魔女にダメージを与えて行き、あっと云う間に止めを刺してしまう。
討伐された魔女は断末魔をあげて、その場に黒色の球体の宝石を落として、結界と一緒に消滅してしまい、路地裏へと景色が変わる。
黄色の魔法少女はその黒い球体を拾い上げ、地面に座り込んでいる私に手渡してくれる。
所で、この黒い球体はなんだろう? 悪い物ではないと思うけど……
「あの……助けてくれてありがとうございます……それに、この黒い宝石は……」
「良いのよ♪ キュウべぇ、しっかり魔法少女の面倒は見てあげないとダメでしょ?」
この黒い宝石は……何なの……後でキュウべぇにでも聞くとしよう……
「僕もまさかアマタの最初の魔女が、あそこまで強力な魔女とは思わなかったんだよ」
黄色の魔法少女に注意されても、反論するキュウべぇ。正直、徐々にキュウべぇに対する怒りのボルテージが上昇中である。
後にキュウべぇの扱いが非常に悪くなったのは、これが皮切りだと云うのは言わずもがなである。
「あら? もしかして新入りさん? 私は巴マミ、宜しくね」
「わ、私は星屑アマタって言います。助けに来てくれて本当にありがとうございます」
「良いのよ。それに、本当に偶然魔女の結界が有ったから来ただけだし」
「そう云えば、マミは何でここに居るんだい? 見滝原市の方はどうしたんだい?」
「こっちに美味しいケーキ屋さんが出来たって聞いたから、来ただけよ。そうだ、アマタちゃんも一緒に今からどう? 私も一人で持って帰って食べるよりは一緒に食べた方が楽しいし」
「はい!! マミさん!!」
「へぇ、アマタちゃんは先週魔法少女になったばかりなのね?」
「はい♪ キュウべぇと契約して魔法少女になりました」
その後、新しく出来た近くのケーキ屋さんにマミさんと入り、ケーキと紅茶を注文。
ケーキの種類はマミさんはモンブランで、私はアップルパイ。
ケーキを食べながら私はマミさんから、魔法少女の日常について御教授して貰っていた。
「そうなのね。さっきは私が偶然来たから良かったけど、今度からは気を付けてね」
「うぅ……魔法少女のデビュー戦があんな感じになっちゃうなんて……でも、マミさんに出会えたからそんな事帳消しです。マミさんは私の白馬の王子様です♪」
「あら、ありがとう」
そう言って私に微笑んでくれるマミさん。マミさん、まじマミさん♪
「マミさんは、どうして魔法少女をやってるんですか?」
「う~ん、私の場合は成り行きかな。交通事故に遭って、死にそうになってたの。そこにキュウべぇが現れて契約したの」
あ、かなり拙い事を聞いちゃった気が……でも、良くそんな死ぬ寸前の場にキュウべぇがいたわね……
私の時と良い、キュウべぇは本当になんで狙ったかのようなタイミングで現れるんだろうね?
「え、えっと……ごめんなさい……」
「良いのよ。じゃあ、私からも。ねぇ、アマタちゃんは何で魔法少女になったの?」
「私は産まれつき視力どころか眼球が無くて、世界が見れなかったんです。でも、先週の私の誕生日にキュウべぇと出会って、黒色以外の色も見る事が出来る眼球を貰ったんです」
「ご、ごめんなさい……」
今度はマミさんが少し申し訳なさそうな顔になり謝られる。
「いえ、先に聞いちゃったのは私ですし……お、御相子様です」
「そうね」
しかし、語り手の私が言うのも何だけど、案外この頃の私って意外と臆病と言うか、まだ丁寧語とか使ってたんだよねぇ。
何時くらいから、今の口調になったんだっけ? 取り敢えず、これ以降にキュウべぇをサンドバッグにし始めてから、結構口調が変わり始めたのは覚えてるけど……
まぁ、同性愛に目覚めたのはこの時からなのは確かだね♪
「そう云えば、マミさんって制服着てますけど、どこの高校に通われてるのですか?」
「えっ? ふふふふ」
話を変えようとして、質問するがマミさんは可笑しそうに笑い始める。
なんか変な事を質問してしまったのだろうか?
「えっと……変な事を言いましたか?」
「ごめんなさいね。実は私はまだ中学二年生よ。そんなに年に見える?」
「ご、ごめんなさい!! ちょっと大人びてて、胸も大きかったので……つい……高校生かと……」
「別に怒ってる訳じゃないのよ? 所で、アマタちゃんは何歳なの?」
私が世界を見れなかった事をさっき話した為、学校に通っていないのではと判断したマミさんは、敢えて私の年齢の方を尋ねて来る。
空気を悪くしないようにと、先の先まで読みつつの会話の返し方。矢張り、魔法少女だけでなく人生でも先輩なんだなぁと思わされる。
「先週誕生日を迎えましたので、今は14歳です」
「あら、私と同い年なのね」
まさかの事件。私とマミさんが同い年とか……
明らかにこの身長差、体のラインの凹凸の格差社会……嘘だと言ってよバニー……
「絶対に同い年に見えません。何処から見ても、マミさんと私は仲の良い先輩と後輩か、姉妹ですよ」
「じゃあ、先輩として私も頑張らないといけないわね」
「なら、後輩として先輩に甘えても良いですか♪」
「あらあら、アマタちゃんは甘えんぼさんね。良いわよ♪ 私は見滝原市で魔法少女をやってるから、空いた時には何時でも来て御話しましょうね」
この人は私の王子様。この日から私はマミさんの事が好きになり始め、気が付けば一女性として好きになり始めたのだ。
性別なんて関係ない。優しくて恰好良いマミさんが大好きなんだ!!