魔法少女あまた☆マギカ   作:星屑アマタ

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二十.五話眼 B面

 へろ~へろ~、今回の御話は視点を、アマタからほむらちゃんに変えてみよっか?

 えっ? 自分は誰だって?

 そんなの気にしちゃ駄目だよぉ~♪

 

自分は何処にでもいるし、何処にも居ない存在。

男なのか、女なのか性別すら分からない存在。

0と1の2進法で組まれているかもしれない存在。

きっと、貴方は自分を知っているし、知っていない。

たゆたうそんな存在が自分だから。

自分は電子の世界を、沢山の創られた名前で散歩する存在だから♪

そんな私はユビキタス♪

 

 

 

 一体、これはどういう事なの……

 

 私はアマタが図書館に行くと言ったので、特に気にする事無く向かわせたのだが、その結果がこの教室の現状である。

 

「さぁさぁ~!! 上条恭介はさっきの女の子の告白を受けるかどうか!! 倍率(オッズ)は受けないが1.1倍、受けるが12倍だよぉ!!」

 

 違法な賭けを始める中沢とか言う男子……

 上条恭介とは友人関係に有った筈なのだが……どうして、友人を出汁に賭博行為をやってるのだろうか……

 

「鹿目さん!! 上条さんがっ!!目玉のヘアアクセサリーを付けたツインテールの女性の方にっ!!」

 

「落ち着いてぇ!!」

 

 まどかの肩を掴んでひたすら粗ぶる志筑仁美……

 それ以上、まどかに危害を加えるようなら攻撃も考えようかしら……

 

『それで、明らかにアマタが上条恭介を連れて何処かに行ったみたいだけど、貴方は何か知らないの?』

 

『例え知ってたとしても、教えてあげる事は出来ないなぁ? 僕だって、また眼球を抉られるのは嫌だし……』

 

 ちっ……

 口を割りそうにないので、尻尾を左手で抑えつけて、右手でデコピンを何度もする。

 

『痛いよ!? 暁美ほむら!! 君って、そんな性格じゃ無かったよね!?』

 

『そうね。私も、こうしてる自分に疑念を抱いてるわ。アマタが原因かしら?』

 

『そうだね。アマタの影響の所為か、僕を一発で仕留めず、苦しめて……って、痛い痛い痛い!! 御願いだから、デコピンを連打しないでくれないか!? 一応痛覚だって有るんだから!!』

 

 あら、痛覚は有ったんだ? 感情が無いから、痛覚は無いと思ってたのだけど、意外な情報を得たわね。

 

『嬉しそうな顔をして、追撃するのは止めてくれないかな? だから、痛いって!!』

 

 キュウべえの要求を一切聞き入れず、デコピンをし続ける。

 しかし、アマタも何を考えて上条恭介を呼び出したのかしら?

 彼女なりに、何か考えが有って動いてると思うのだけど、ちょっと心配になって来たわ……

 探しに行こうかしら?

 

 私が椅子から立ち、今将に探しに行こうとすると、上条恭介が教室に戻って来る。

 何が有ったのか興味を持つ生徒達が群がり、上条恭介に尋ねるが、彼は「告白されたけど、断って来た」と手を横に振りながら説明する。

 直後、歓声と怒号の沸く連中……何人かは『受ける』と書かれた紙切れを投げ捨て、上条恭介に飛び蹴り。

 持てない男達も、上条に蹴りと、明らかにお祭り騒ぎになる教室……

 

 今迄、何度も繰り返しているが、ここまでこのクラスって騒がしかったっけ……

 と、冷や汗を流しつつ、中沢を筆頭に集団私刑(リンチ)を受ける上条恭介を見る。

 

「何する!! 中沢!?」

 

「うるせぇ、モテル奴は全員敵だぁ!!」

 

『君達は本当に逐一する事が面白いね? でも、そんな行動を取る理由が、僕には分からないよ』

 

 嫉妬心全開で暴れる男子生徒を見て、キュウべえは首を傾げながらのうのうと宣う。

 

『私にも訳が分からないから安心しなさい』

 

『そうかい? じゃあ、僕はそろそろ失礼するよ。美樹さやかの件は頑張ってね♪ 僕としても、魔女から魔法少女に戻す方法が分かれば、更に効率良くエネルギーを収集する事が出来るから、心から応援してるよ……だから、僕の尻尾を離してくれないかな……』

 

 決して逃がさないとギュッとに握っている私の手を、猫(?)パンチして来るが、痛くも痒くもないので決して離す気は無い。

 

『じゃあ、アマタが何を考えているのか教えなさい?』 

 

『悪いけど、それは無理だよ、暁美ほむら』

 

『じゃあ、私もその願いを聞き入れる訳にはいかないわ』

 

『しょうがないなぁ……本当はしたくは無いんだけど……節足動物やトカゲがする事で有名な自切って行動を、君は知ってるかい?』

 

 自切とは、トカゲ等が外敵から逃げる為に、自身の体の一部を切断して逃げる物なのだが……

 それを聞いた瞬間に、嫌な予感しかせず……急いで尻尾を引っ張るが、肉がちぎれる音と共に、ふさふさな尻尾を自身の肉体から切り離す。そして、キュウべえ本体は脱兎の如く逃げ出し、教室の開いた窓から飛び降りる……

 上条恭介が帰って来た事で大分落ち着いて志筑仁美だが、まどかがキュウべえの飛び降りを見て悲鳴を上げ、再び慌て始める。

 

「最悪ね……」

 

 私は未だ手の中で、本体から切り離されてもなお激しく動き続ける、キュウべえの尻尾を握り潰し愚痴った……

 手が、血特有の滑りで気持ち悪いが、気にせず思考の海に潜る……

 何故、アマタは上条恭介を呼び出したのか?

 

 上条恭介は告白されたとか言ってるが、嘘の可能性が高い……

 恐らく、美樹さやかの事を聞いてたか、美樹さやかの現状を話したかのどちらかと思う。

 だけど、彼女の興味心による勝手な行動は、重々承知故に、美樹さやかが好きな存在である上条恭介に興味を持った為、揄(からか)った可能性も否定出来ない。

 ではアマタ本人を捕まえて聞いてみると云う考えも有るが、アマタがキュウべえに話さないようにと口封じしていたので、彼女の口からも話す事は無いだろう……

 きっと、何かアマタなりの考え故の行動かと思われるので、私は傍観するべきなのだろうか?

 もしかしたら、彼女が新しい未来を切り開いてくれる可能性を信じて……

 

 その日の授業は、その事で頭が一杯で、他の事は何も考えれなかった……

 

 

 

少女は歌う悲しみの詩を

叶わぬ恋を嘆く詩を

あぁ、どうして私の恋は叶わないのだろうか?

少女は嘆く悲恋に

専用の舞台を用意して、彼女は歌う

世界を呪う歌を歌う

 

 と云う訳で、今度は美樹さやかの魔女に視点を持って行ってみるね♪

 文字数の関係上、これだけじゃ終われないんだよ♪

 流石に、自分も魔女に近付くのは怖いから、遠くから見ての自分視点だけどね♪

 

 題して、美樹さやかの魔女観察日記だよ♪

 これからの小学生達の夏休みの自由研究に持って来いだね♪

 朝顔やトマト等にとって代わる筈だよ?

 

10時20分

 暇なのか、美樹さやかの魔女は歌を歌い始める。

 彼女の歌に合わせて、ブルジョワに似た使い魔が踊り、上条恭介のシルエットの指揮者が指揮棒を振るうのだが……

 彼女の音痴っぷりに耳が痛くなり始め、吐き気が……

 新手の滅びの歌なのだろうか? 3ターン後にこれを聞いた自分は死ぬのだろうか?

 

11時12分

 何か、筆を持った変わった魔女がやって来て、縄張り争いの喧嘩を始めようとするが、彼女の滅びの歌の前に耳を押さえて悶絶。

 悶絶してる内に、彼女の使い魔の指揮者の使い魔と踊り子の使い魔達が、駆け寄りヤクザ蹴りを開始。

 やって来た魔女の使い魔だろうか? ラジコン飛行機に乗った子供の使い魔が、魔女を守ろうと動くが、美樹さやかの魔女のサーベルの投擲で簡単に撃墜される。

 

11時18分

 やって来た魔女を撃退し、一息吐く一同。

 そして、何処からか使い魔が持って来たポテトチップス(コンソメパンチ味)の袋を開け、ぼりぼりと食べ始める美樹さやかの魔女。

 魔女と云うよりは、何処か人間臭い行動。実は、まだ美樹さやかだった頃としての意思を持ってんじゃないのかと、思いたくなってしまう。

 

12時22分

 再び合唱会開始……

 流石に遠目に見てても、声は聞こえて来る為、自分もさっきの魔女同様に頭痛がし始める。

 故にここで観察日記を終わる事にしよう……

 


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