魔法少女あまた☆マギカ   作:星屑アマタ

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十六話眼 カウントダウン

解釈

ほむらの自宅ですが、あれはほむらの結界によるものと未だに思ってます。

もし、家族所有の物なら『暁美』なのに、何故に『ほむら』になってたのだろうかになっちゃいますので。

あと、あの部屋に関してもまだ何も分らないので、確かに色々と設定に参ってたり(汗)

 

と前書きで書いてたみたいなのですが、結局あの空間って何なんでしょう?

数年後の今でも分からないのですが……

 

 

 位置に関しては全員把握しているので、美樹さやかが結界の中に入ったのも分ったし、杏子ちゃんが少し遅れて到着して美樹さやかが先に結界に入っていたので結界に入るのを止めたのも分ったし、ほむらちゃんが眠気眼を擦って出没したのも全部把握。

 ちなみに、そんな雰囲気の中に、少し遅れて出現する私♪

 先に到着した両名は既に鉄塔の鉄骨の上に座り、会談をされている。

 

「黙って見ているだけなんて、意外だわ」

 

「今日のアイツは使い魔じゃなくて、魔女と戦っている。ちゃんとグリーフシードも落とすだろう。無駄な狩りじゃないよ」 

 

「そんな理由で、貴方が獲物を譲るなんてね」

 

「ちっ、あの馬鹿、手古摺りやがって……」

 

 うんうん、確かに影の魔女に手古摺っているねぇ。

 影で作られた手に捕まったり、殴られたりとフルボッコじゃん♪

 

「本当だねぇ~♪ボコボコにされてるよ♪」

 

「しょうがねぇな。ちょっと、手伝いに行って来る」

 

 これ以上美樹さやかが苦戦しているのを見てられないのか、口に咥えたアイスを一気に食べ終え、単独で結界の中へと飛び降りる。

 ちなみに、私とほむらちゃんは完全に動く気がゼロである。

 

「中の状況を把握出来てる?」

 

「勿論。今、杏子ちゃんが影に捕まった美樹さやかを救出したわよ」

 

 無数の影の手に捕まって圧死寸前だった美樹さやかを、華麗な槍捌きで間一髪救い出す。

 だけど、ここで想定外の事件が発生した……

 杏子ちゃんが代わりに魔女を討伐しようとしたら、美樹さやかが、ぬらりと立ち上がって真正面から再び魔女に突っ込んで行ったのだ……

 そして、徹底的に魔女の攻撃を受けるが、死霊の如く何度も立ち上がり、魔女へと接近する。恐らくやってる事は、痛覚をシャットダウンしての狂戦士(バーサーカー)戦法である。

 最後には、魔女に馬乗りして、何度もサーベルで叩く。サーベルって斬る物であって、鈍器じゃないよねぇ……

 

「あぁ~……美樹さやかが暴走しちゃってる。痛覚をシャットダウンして戦闘してるよ?」

 

 止めにはまどかちゃんが泣いて何かを祈っている。

 きっと、「もう止めて」とかだろう……友人が壊れて行く姿をこれ以上見せるのは拙い……

 

「ほむらちゃん、これ以上は拙いと思うよ?まどかちゃんが泣き始めたよ?」

 

「そう……下手したら、美樹さやかはこの世界から切り捨てないとイケないかもね……」

 

 結界を細い眼で見て、冷たく冷たく呟いた……

 同時に、結界の中で美樹さやかが魔女に止めを入れ、結界を破壊した……

 

「終わったね、ほむらちゃん」

 

「みたいね……」

 

 結界の有った場所の地面に突き刺さる様にグリーフシードが出現する。

 美樹さやかはそれを拾い上げるや否や、杏子ちゃんに投げて渡す。

 

「あげるよっ!!そいつが目当てなんでしょ?」

 

 吐いた台詞は最低な台詞。杏子ちゃんは心配して助けに行ったのに、彼女の脳内ではその行為がグリーフシードの為と認知されている……

 頭に血が上った私が眼球を抉り取る為に、鉄塔から飛び降りようとするが、ほむらちゃんが制止する。

 

「駄目……今、私達が出ると余計にややこしくなる……」

 

「でも……あの態度は許せない……」

 

「御願い……我慢して……」

 

「ほむらちゃんがそう言うなら……」

 

 命(メダマ)拾いしたな美樹さやかとか物騒な事を思いつつ、鉄骨に座り直す。

 その後、一方的に杏子ちゃんへ言葉を発した後に、変身を解いた美樹さやかがまどかちゃんに支えられて自宅へとゆっくりと帰り始める。

 当然、魂之眼球でしっかりと追跡はする。

 

「アマタ、佐倉杏子を呼んで、今からワルプルギスの夜について、ちょっと話さない?」

 

「うぃ、じゃあ、杏子ちゃんに呼び掛けて来るね」

 

 鉄塔より飛び降りて、杏子ちゃんの直ぐ傍に着地。

 当然の如く、高所より飛び降りた事で足の骨が軋み折れ、複雑骨折するが、気にする事も無く再生。

 

「杏子ちゃん、ほむらちゃんが今から御茶しないかって?」

 

「どういう意味だ?」

 

「ワルプルギスの夜の対策に関してだと思うよ」

 

「そんじゃあ、行かないって訳にはいかないな」

 

 犬歯をちらっと覗かして、何処からかカップラーメンを取り出して準備万端をアピール……

 

「じゃあ、結界を展開するわ」

 

 はいっ? 

 ほむらちゃんのそんな声が聞こえるや否や、一瞬にして辺りが赤い結界に包まれる。

 辺りの鉄塔等が全て視界から消え失せ、目の前にはレンガ造りの古臭い家が現れる。

 家には『ほむら』と標識があるので、ほむらちゃん家(ち)なのは間違いないであろう……私が字を読み間違えてない限り……

 生まれてから眼が見えなかった事も有り、点字は完璧だけど、普通に書かれた字は未だに読めない物も多いので、間違えてたら怖いからあまり口に出して読んだりはしない。

 

「何だよ!!これは!?結界じゃねぇか!!」

 

 どう見ても、結界です。ありがとうございます。

 まぁ、魔法少女に使い魔の召喚できるなら、結界が召喚できても可笑しくは無いか……

 

「そうよ。私の結界よ。使い魔を召喚できる魔法少女が居るのなら、結界を展開できる魔法少女が居ても可笑しくは無いでしょ?」

 

「それはそうだけどよぉ。しかし、便利だなぁ、この能力」

 

「そうでも無いわ。展開の時に魔力を思った以上に消費するから、多様は出来ないの。さぁ、中に入って」

 

 自宅(?)に招待され、中に入ると、天井には巨大なシャンデリアの代わりにゼンマイ仕掛けの何かが、ギアの擦れる特有の音を奏でる。

 恐らく、魔女の結界は魔法少女時代に関係するの定理に当てはめると、上のゼンマイは時計の中身を模しており、後ろでメトロノームの様に行ったり来たりしている宙ぶらりんな物体は、振り子時計の振り子だろう。

 自宅中央には、円卓の座席があり、私達はそこに腰をかける。

 

「おい、御湯あるか?」

 

「はい」

 

 腰を掛けてから開口一番が、杏子ちゃんのカップラーメンを食べるから『御湯くれ』発言。 

 他人の家(?)に招かれていると云う立場を、他者に感じさせないほどの図々しさ……

 そして、何処からかポットを取り出して、杏子ちゃんに手渡すほむらちゃん。まるで杏子ちゃんがカップラーメンの湯を要求する事を知っていたかのような準備の良さ。

 過去にも、何度もこのやり取りが有ったのだろうか?

 

「あんがとっ」

 

 カップラーメンに御湯を注ぎ、暫し待つ事3分間。

 その間は何故か不思議な事に無言である。

 そして、杏子ちゃんがカップラーメンを食べる為に割り箸を割った事を皮切りに、会話が始まる。

 

「ワルプルギスの夜の出現予測はこの範囲」

 

 ほむらちゃんがワルプルギスの夜の出現予測の位置をマーキングした資料を取り出し、中央の机に置く。

 

「根拠は何だい?」

 

 未来から来たからです♪

 まぁ、杏子ちゃんには話さないつもりなので、取り敢えず私は何も喋らずだんまりを決め込む。

 実はワルプルギスの夜の出現等も全開のハンバーガーショップで聞いてるので、迂闊な事を喋って誤爆するよりマシと、出来る限り黙り、偶に相槌を打つ程度にしている。

 

「統計よ」

 

「統計?以前にもこの町にワルプルギスが来たなんて話は聞いてないよ?一体何をどう統計したってのさ?」

 

 ここは、だんまりを決め込むほむらちゃん。

 まぁ、確かに杏子ちゃんの突っ込みが的確過ぎて、『納得させれる答え=正体を明かす』だからね……

 

「御互い、信用しろだなんて言える柄でも無いけどさ?もうちょっと、手の内を見せてくれたって良いんじゃない?」

 

「それは是非、僕からも御願いしたいね。暁美ほむら」

 

 新たな乱入者ことキュウべえの声が響く。意外な事に、こいつはほむらちゃんの結界内に入ってこれるんだ……

 建物内の影から飄々と自分の家の様に入って来て、杏子ちゃんの近くに座る。

 

「どの面下げて出てきやがった、手前?」

 

 恐らく、この3人の中では一番危害を加えられないと踏んだ上なのかもしれないが、杏子ちゃんは怒りを孕んだ声を発し、即座に槍を召喚して突き付ける。

 まぁ、私だったら確実に殺しているので、確かにこの中では安置だね。

 

「やれやれ、招かれざる客って訳かい?今夜は君達にとって、重要な筈の情報を報せに来たんだけどね?」

 

「はぁ?」

 

「美樹さやかの消耗が予想以上に早い。魔力を使うだけでなく、彼女自身が呪いを生み始めた」

 

 呪いとは、恨み等の負の感情の事である。

 私達魔法少女のソウルジェムは魔法を使う以外にも、負の感情を抱き世界に絶望する事でも、ソウルジェムに穢れを生んでしまうのだ。

 つまり、キュウべえが言いたいのは、美樹さやかが魔女になり掛けていると云う事だ……

 

「誰の所為だと思ってんのさ?」

 

「このままだと、ワルプルギスの夜が来るより先に、厄介な事になるかもしれない注意していた方が良いよ」

 

「何だそりゃ?どういう意味だ?」

 

 どうやら、反応を見る限り、杏子ちゃんには魔女の元が魔法少女であると云う事を知らないみたいだ。

 

「僕じゃなくて、彼女に聞いてみたらどうだい?君なら既に知っているんじゃないかな?暁美ほむら」

 

 肝心なほむらちゃんはYESもNOも答えずにいる。

 

「やっぱりね……何処でその知識を手に入れたのか、僕はとても興味深い。君は」

 

 その行為はYESであるとキュウべえは判断したのであろう。また新しく手に入った情報に嬉しそうな顔をする。

 

「聞くだけの事は聞いたわ。消えなさい」

 

 イラつきを見せ始めた、ほむらちゃんに一蹴され、これ以上聞いても情報が得れないと判断したキュウべえは、早々に立ち去る。

 

「放っとくのかよ、アイツ?」

 

 ほむらちゃんの行動が不満なのだろうか、槍をしまった杏子ちゃんが尋ねる。

 

「あれを殺した所で何の解決にもならないわ」

 

 まぁ、確かに殺しても次々に湧くからねぇ~♪

 

「それよりも、美樹さやかだ。アイツの言っていた厄介事ってのは何なんだ?」

 

「彼女のソウルジェムは穢れを溜めこみ過ぎたのよ。早く消化しないと、取り返しのつかない事になる」

 

 そう答えるほむらちゃんの顔は陰りを見せていた……

 もう、時間が無い……早く何とかしないと……美樹さやかが死ぬのだ……

 

 


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