結局その後、絶対に御着替え時間(タイム)を覗かないと云う約束でほむらちゃんには体育に向かって貰う事になった。
まぁ、確かにブラが確認できないのは痛いが、ほむらちゃんのブルマ姿が視姦出来ないのはもっと痛い。
妥協と云う訳なのよ♪
さてと、本日の見滝原中学校の女子の体育は、マラソンの様だねぇ~♪
発展途上のやや平面では、上下運動も少なく面白みがやや減るのが残念。
寧ろ、胸を突き出してくれる走り高跳びの様な授業が良かったよぉ~♪
「アマタはマミに、生き返って欲しくないのかい?」
「そりゃあ、蘇って欲しいけどさぁ。ほむらちゃんと約束しちゃったからね……」
何時の間にか私の傍にはキュウべえの姿が有り、私に悪魔の囁きをする。
だけど、もう何も怖くない……
マミさんが居なくても、私を支えてくれる友達が居るから。
「そうかい……少し今回の事は誤算だったよ。まさか、君が暁美ほむらに対してではなく、僕に対してのイレギュラーになるなんてね」
「誰がアンタに使われてやるもんかい♪」
左目を瞑り、右目に人差し指を当てて、舌を出して、キュウべえにあっかんべ~をする。
これは私なりの拒絶であり、その表現法である。
「まぁ、別に構わないよ。それならば、僕にもまた別の考えが有るから」
「じゃあ、それを実行する前にアンタを取り敢えず嬲っておこうかしら?」
玉響に手には拳銃が召喚され、銃口はキュウべえへと向けられる。
「君も暁美ほむらもそうだけど、別に僕という個体を殺した所で、僕を止める事は出来ないよ?」
一個体の体験は全てのキュウべえにて共有される。
詳しく言うと、キュウべえはキュウべえ同士に意思を共有するネットワーク様な物を構成しており、例え目の前に居る個体を殺したとしても、既にこのキュウべえの考えが全個体に伝わっているので、キュウべえの考えを止める事は出来ないと云う事だ。
「まぁ、ほむらちゃんはどうか知らないけど、私がキュウべえを殺すのはストレス発散だよ♪」
「君は相変わらずだね……」
「アンタもね♪」
「でも、君も鹿目まどかの周りに感化されて、弱くなったね。マミみたいに、隙を吐かれて魔女に殺されないように―――」
「死ねっ!!」
その言葉で怒髪(どはつ)天をついた私は、目の前に居るキュウべえに銃弾を発射。ちなみに、発砲音が鳴るのは拙いので、サイレンサーはちゃんと装着させてたりする。
発射された銃弾はキュウべえの頭蓋を撃ち抜き、一撃で生命活動を終わらせる♪
29匹目SATSUGAI完了だよ☆記念すべき切り番こと30匹目まで後1匹♪
さてさて、どんな方法で殺してやろうかしら♪
「でっ、ここに来たのは、私を怒り狂わせたり、意思を確認しに来ただけなの?キュウべえ?」
個体が殺害された事によって、勿体無い精神全開の別個体のキュウべえがやって来て、ハイエナの如く死体を貪り始める。
「キュップイ♪」
むむむ、本日はモキュップじゃないのね……
「じゃあ話すね。君達が昨日の晩に倒した魔女なんだけど、あの魔女は元々ギリシアの魔法少女の成れの果てなんだ」
「あれ、でも前の魚の魔女はオーストラリアの魔法少女の成れの果てでしょ?別にギリシアの魔法少女の成れの果てだからと云って、キュウべえが私に伝える必要のある事なの?」
「うん、確かにそうなんだけど……3日前にギリシアにワルプルギスの夜が出現した……」
ワルプルギスの夜がギリシアに?
「ギリシアで5人の魔法少女が戦闘に参加したけど、3人が殺され、残りの2名は絶望して魔女になってしまったんだ」
けっ、ギリシアの魔法少女も役に立たないものね……5人も徒党を組んで挑むくらいなら、ちゃんとぶちのめしなさいよ?
「その内の1人が昨日の魔女?それで、何が言いたいの?」
「今の君達ではワルプルギスの夜が襲って来たら、間違いなく対処は出来ないと思う。だからこそ、戦力としてまどかは魔法少女になるべきだと僕は思うんだ」
それは、ワルプルギスの夜と私達が激突したら、確実に私達が負けると云う明言。
「私に分かるように言ってくれる?」
だけど、簡単にはそれを認めたくも無いので、理由を訪ねてみる。
「簡単な事さ。魔女の強さは魔法少女の強さに比例するんだ。昨日の魔女にはアマタの魂之眼球が見破られただろ?御世辞ではないけど、アマタの魂之眼球を見破れる魔女なんて滅多に居ないと僕は思っている。魔法少女を生み出す僕だって、認識出来ない時の方が多いからね」
キュウべえの言う事は確かに的を得ている。っていうか、何処で私と杏子ちゃんが魔女と戦闘した事を知ったんだ?
私の魂之眼球が見破られた事を知ってると云う事は、相当近くに居たって事になるよ?
っていうか、良い事聞いちゃった♪キュウべえは、私の能力を認識できない事が多いっと♪
「成程ねぇ……それなりの強さを誇る魔法少女5名が相手にしたけど、ボコボコにされたって訳ね……」
「そう言う事だよ。彼女達も決して弱い魔法少女ではなかった。けど、奴もそんじょそこらの魔女とは違う存在だって事だよ」
「悪いわね。私はアマタ様よ?こちとら、アンタに見せてない最終兵器もちゃんと用意してるの。それに、私は一人じゃない!!もう何も怖くない!!」
ちなみに最終兵器とは方便である。キュウべえにこれ以上私に誘惑の声を掛けさせないようにする為の。
残念な事に、私の強さや能力には低い次元にて限界と云う壁が存在している。ほむらちゃんの様に時間を止めるようなチート級の能力、杏子ちゃんの様に圧倒的なスピードとパワー、マミさんの様な空間把握及び射撃能力、そして鹿目まどかの様な天賦の才。私にはそんな物はない。それに近い能力を発揮していたら、とてもじゃないが、この間の猟犬の魔女の時の様にソウルジェムの維持が難しい。
だけど、私は一人じゃない。友達が居るから、才能が無くても大丈夫……
「そっかぁ……でも、もし実際に向き合って困った時は、まどかの件は考えてみてね……じゃあ、僕はここらで失礼するよ」
死体を完全に食べ終え、そこで別個体の自分が殺されたという証を消し去ったキュウべえは、てくてくと屋上に設置された巨大な給水塔の方へと歩き始め、最後には給水塔の影に吸い込まれるように消えて行った。
先日の魔女の強さは、確かに本物だったのは認める。
杏子ちゃんと一緒に戦闘して無かったら、私が負けていたという可能性も確かにある。
そのレベルの魔女を生み出す魔法少女が5人も立ち向かって勝てない相手……
勝機は本当にあるのだろうか?