今回は登場人物の紹介と能力説明的な話です。
詳しくはまだ明かしませんが。それぞれこんな能力があるんだということだけ把握していてください。感想等も待ってます(#^.^#)
幕間 それは復讐の物語
□それは復讐の物語
◆フランス・パリ『デュノア邸宅』現地時間―――2時34分―――
豪華な造りのまるで城のような屋敷。
何十もの窓がひし並ぶその屋敷の一角。深夜にも関わらず未だに電気がともっている部屋がある。
防音の壁に、何機もあるスピーカー。そして、巨大なスクリーンが部屋の壁の一面を占めるそのシアタールームにて、この屋敷の主である美少女が、一人。美容も気にせず、ソファーの上で胡坐(あぐら)をかいてその時を待っていた。
「ふあぁ…眠いなぁ…」
大きなあくびを一つして、彼女は眠りかけていた目を無理やりこすり、意識を覚醒させる。
花の都と謳われるパリも、こんな時間なら皆、夢の中。この大きな屋敷の中でも、きっと今起きてるのは彼女一人だけであろう。
なぜ、彼女がこんな時間に起きてるか?というと、その理由は見逃さないためだ。
世界が変わる瞬間を見逃さないため、彼女は今、眠たいという気持ちを抑え込み。無理やり意識を覚醒させている。
壁に立て掛けた時計を見ると、時間まであと数秒。
こんな時間に流さなくともいいものをと、心の中で思いながら。彼女は温かいコーヒーを一口、口に運んだ。そのときだった。
――――ガチャッ…!!
何かがぶつかった様な音が木霊する。
その瞬間。今まで、何も映っていなかった壁の巨大スクリーンに光がともった。
いよいよなんだね…。彼女は知らず知らずのうちにほくそ笑んでいた。
画面に映った映像が次第にはっきりしてくる。何重もの機械が重なり合う黒い部屋。その部屋のど真ん中で、部屋の内装にどうかんがえても似つかわしくない女性が一人、映っていた。
世界崩壊へのカウントダウン。今、それが始まったのだ…。
『ぴんぽんぱんぽ~ん!!みなさ~ん!!こ~んに~ちは~!!』
――――さぁ、世界。ボクと一緒に踊ろうよ…。
そう言って彼女――――シャルロット・デュノア――――は笑みを浮かべた。
右手から、コーヒーが入ったカップが落ちる。しかし、彼女はそれを気にもしなかった。
カップは彼女が胡坐をかいた足と足の間にすっぽりと収まる。だが、その中からコーヒーが零れ落ちることはなかった。彼女はそれを冷静に取り、再び啜る。
そこに慌てた様子は見えなかった。まるでそうなること知っていたかのように…。
*
◆日本・某所『????』現地時間―――10時34分―――
何もない。それがその部屋の印象だった。
灰色に固められた部屋の壁は、どこか冷たい印象しか与えない。その部屋の一角で、彼は体育座りをして、膝の間に顔を埋めていた。
「…。いい加減、飽きてきたな…この部屋も…」
そんなことを言いながら、彼は切り揃えた短い赤い髪をボリボリと掻いた。
部屋に唯一ある文明家具。それをジッと眺めながら、彼は今か今かと待ち続けている。
時計の針が、チクタクと鳴る。その音でさえ、彼にはうっとおしく感じていた。なぜ、彼がこんな事をしているのか?というと、それは見極めるためだ。
数日前。世界初の男性IS操縦者である彼の友人に、そのことを聞いてからというもの、彼はこの日。この瞬間を今か今かと楽しみにしていた。
流れる情報番組を、まるで狂喜するように食い入る彼の姿は、傍から見ればそれは不思議な光景だろう。それほどまでに、彼は楽しみなのだ。
この世界が変わる瞬間が。この世界を壊せる瞬間が訪れることを…。
そして、その瞬間はついに訪れた。
――――ガチャッ…!!
ふいに、今まで流れていた情報番組が打ち切れる。
そして、画面の上には何重にも機械が重なった異質な部屋が映し出された。無論、それは今世界各国で流れている映像とまったく同じ物である。
だが、彼には、映ったその映像は他の人間とは違う意味合いの見方となる。
彼は知っているのだ。この映像が世界を壊す鎮魂歌(レクイエム)だと。この腐った世界への復讐の幕開けだと…。彼は…知っているのだ。
世界崩壊へのカウントダウンが始まったことを…。
『ぴんぽんぱんぽ~ん!!みなさ~ん!!こ~んに~ちは~!!』
――――さぁ、戦争の時間だ…。創り変えてやるよ…この世界を…!!
そう言って彼―――五反田弾―――は笑みを浮かべた。
彼の両手を繋ぐ鎖の輪っかがジャラリと鳴る。だが、普通は繋がっているはずのその腕輪の鎖はいつの間にか、それぞれの手の下でジャラジャラと鳴っていた。
無論、彼が鍵など、持っているはずがない。切れた鎖は、まるで粘土のようにぐにゃりと捻じ曲がっている。とてつもなく巨大な力がかかったかのように…。
*
◆中国・北京『高層ビル群』現地時間―――9時34分―――
スモッグが空気を汚す都会のビル群。
そのビル群の中でも、特別高いビルの屋上。そこで少女は足をぶらぶらさせながら、つまらなさそう空を眺めていた。
イヤフォンを通して、彼女の耳に入ってくるラジオの放送。
だが、今流れている中国のラジオ放送の内容は彼女には合わないらしく、不満げな表情を浮かべている。だが、彼女は決してイヤフォンを外そうとはしない。
なぜなら彼女は待っているから。世界が変わるその瞬間を…。
「…暇ね…。飛び降りようかな…?」
こんな風に彼女は言うが、もちろん高さ400メートル以上ある構想ビルから飛び降りたら、ただで済むはずがない。普通の人なら、それを冗談だと思うだろう。
ところが、彼女の場合は本気だった。別段、彼女に自殺願望があるわけではない。
ヒューっと、突風が彼女の体を包む。風でゆらゆらと揺れるツインテールの髪。一歩間違えば体ごと持っていかれそうなビル風を前にしても、彼女はそこを動く気はなかった。
動く必要性がなかったのだ…。
イヤフォンの奥で何かの曲が流れ始めた。よくは聞いてはいまかったが、きっと視聴者がリクエストした曲なのだろう。ローテンポで流れるその曲は、聞いてるだけで眠気を誘う。
――――ガチャッ…!!
だが、そうなる前に、曲がブツリと途切れた。
その瞬間、彼女の瞳は一気にキラメキを取り戻す。彼女は悟ったのだ。ついにその時が来たと…。
世界崩壊のカウントダウンが始まったのだと…。
『ぴんぽんぱんぽ~ん!!みなさ~ん!!こ~んに~ちは~!!』
――――あはははは!!愛してるわ束さん!!だから一緒に世界を壊しましょ♪
そう言って、彼女―――鳳鈴音―――は高笑いした。
その瞬間、彼女はビルの上から飛び降りた。足を踏み外したわけではない。突風が走ったわけでもない。彼女は自ら飛び降りたのだ。
だが、一秒後には、そこに彼女の姿はなかった。
ビルの住人も気づくことなく、地上を歩く人たちが気づくこともなく…。彼女は姿を消したのだった。
赤い光が遠くで閃く。その光はまっすぐと…日本の方向へと飛んで行った…。
*
◆日本近海・人工島『IS学園』現地時間―――10時34分―――
束の世界に向けた放送を聞きながら、織斑一夏は思っていた。
こんな世界でも、俺には守りたいものがいる。あいつらを失ったとき、俺はきっとこの世界を壊すことしか考えられなくなるだろうと。
なぜなら、俺の中にある力はあいつらのものだからだ。
何もなかった俺の心に、光をくれた愛しいヤツら。俺は、あいつらがいなかったらきっと、今でも心が壊れたままだったと思ってる。だから、俺はあいつらであり、あいつらは…俺なのだ…と。
「My dream is Infinit Stratos…」
わが夢は…遥か空の彼方へ…。
その言葉を呟いた瞬間。俺の中で変化が起こる。俺はシャルの悲しみを思い出した。俺は弾の怒りを思い出した。俺は鈴の温もりを思い出した…。
様々な思いが、俺の中で混ざり合う。そして、やがて一つの『世界』へと繋がっていった…。
第六の力『踊り子』―――俺はシャルに誓ったんだ。この力で世界を守ると…。
第三の力『弾丸』 ―――俺は弾に誓ったんだ。この力で世界を壊すと…。
第二の力『戦乙女』―――俺は鈴に誓ったんだ。この力で世界を創りかえると…。
俺の中に眠る力…。俺はこの力で必ず世界に復讐する。
鈴を、弾を、シャルを…傷付けたこの世界を…。俺は絶対に許さない…。
必ず。必ずこの手で…守って、壊して、創りかえてやる…。……。
キャラ設定
〇篠ノ之束(しののたばね)
身長/不明 スリーサイズ/不明
国籍/不明 立場/ISの開発者→テロリスト
ISの開発者であり、生みの親。現在は世界のあちこちを行ったり来たりしてい
たが、突如、世界に対して宣戦布告を行う。
新しくISSという兵器を造りだし、それを使いISコアすべての破壊を目論む。
一夏、鈴、弾、シャルの4人を剣と呼び従えており、ISSを渡している。
彼らのことは過去を知っているため、実の子のように大事に思っている。