やはり俺の学園都市生活はまちがっている。   作:鴇。

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そろそろ前作との相違点が出てきました。では。

追記。文法作法なるもの修正。



在るべき姿形。

第5話

 

 

 いつの間にか家に帰ってきていた。

それに気づいたのも雪ノ下が俺に声をかけたからだった。

 

 自分が思ったより考えに耽ってしまっていたようだ。考えても仕方が無いといえども、いずれ来るかもしれない危機に怯えるのは当然だろう。

 

 しかし、何が起こるのかもいつ起こるのかもわからない以上、動けないしやはり考えて変わるものではない。

 

 

「座ったらどうかしら? 家主である比企谷君が座らないと私も少し遠慮してしまうのだけれど」

 

 おい、ちょっと前自分が主人つったじゃねえか。というか、なんか気遣われてねえ? そんなに顔に出やすい?

 

「あなたなんだか疲れているようだし。あ、いえ、目が腐っていることを言っているのではないわよ」

 

 やばい、なんか察しましたみたいな雰囲気出されてる。言い方はどうかとしてな。

 

 言わなくていいじゃん…

 

 

 そう言えばふいんきって打っても雰囲気って漢字が出るんだな。日本語の乱れが凄いのか、それに対応する表現メディアが凄いのか。

 

 

 はたまた、対応できない俺が流行に乗れてないのか。そうだとしても俺はそんな間違いを許容したくはない。たかが語彙されど語彙。拡大すれば言い方の問題で色々と間違いを許されてしまうのではないか。と思う。

 

 

 そうなってくると、間違いを許容しない正しい人間が生きづらいという事になる。そんな世界はやはり許容できるものではない。

 

 というかなんだよ、空気になんて乗れねえよ、知ってるか? 空気抵抗の係数を。いや俺も知らんけど。

 

 リア充は羽でも生えてんのかよ、それを常にはためかせてんのかよ。

 

 もうそれ超能力の一種だろ。

 

「ん……あぁ、すまん、ちょっとん考え事をな」

 

 

 後半はマトモなもんでもなかったけどな。

 

 

 

 

「まぁいいわ、お昼にしましょうか」

 

 元気のない俺を気遣ってか、雪ノ下は昼ごはんの準備を始める。

 

 いつもの俺ならばここできっと

「俺がやる」

 とでもいうのだろうが。

 

 

 思ったよりダメージが強い。一週間は寝ていたい気分。あれ? それいつもの俺じゃん!

 ちょっと元気(?)になった。

 

 

 

 だが、雪ノ下も雪ノ下でいつもなら

「あなたが陰気臭いとこちらまで腐りそうだからやめてくれないかしら?」

 とでも罵詈雑言を吐くのだろうが俺の負のオーラがそれをさせない。のか?

 

 

 まぁちょっとの間は甘えようかな。雪の~ん、お粥が食べたいよぉ〜

 

 

 気持ち悪い…

 

 

 

 そんな適当なことを考えているうちにスパイシーな匂いがしてきた。

 

 

 コトッ

「できたわよ、カレーにしたのだけれど、嫌いかしら?」

 

 

「おお、スゲエいい匂い、むしろ俺はカレーとかそういう類のものは大好きだ。じゃあ食ってもいいか?」

 

 ほんといい匂い、こいつスパイスとか自分で入れるタイプのガチ勢だろ……料理も得意なのか……いい嫁を手に入れた…(気分になる)

 

 こんなサディストな嫁こっちこそゴメンではあるが。いいや、そうではないのだ。俺の機嫌を損ねないように取り繕って、自分の寝床を確保したいのだ。でなければ俺に優しくしたりなんて……しない。

 

「それなら良かったわ、どうぞ食べて頂だ「いただきます。」

 

 

 ん? なんか言ってた気がする……まぁいいか、飯食いたいし。

 

 

「……いただきます。」

 

 

 まずはスプーンで米とカレールーを少しほぐし混ぜて、乗せる。口へ持っていく刹那、香りの世界が天国への道を想像させる。口へ含む瞬間。天へーーーーーー

※おはだけはしていません。

 

「おお! ほんとこれクソうめえ!! なに、お前料理ウマすぎだろ、俺も自信あったんだが、これは負けたわ」

 

 いや、マジうまい、店出したら超売れる、列できる……俺も並ぶまであるわ。いやしんどいな、やめた(おい)

 

 

「まぁ、そう言われて悪い気はしないわね」ニコッ

 

 ちょ、この笑顔眩しすぎんだろ……うまいと言っただけでこの笑顔はわりにあってない気がする。

 

 あれ? 俺攻略されてね?

 

 

 

「少し元気になったみたいだけれど、あなた買い物も時もずっと上の空で、帰ってきてからもかぼんやりと生きた屍のような感じで、不吉だったわよ。何かあったのかしら?」

 

「何かあったのかしら? までが長えよ! 生きた屍って言うな!」

 

 俺の屍を越えてゆけ!

 

「まぁいいわ、ちょっと色々あったんだけど、まぁ考えても仕方ねえことだし、とりあえず考えるのはやめたんだよ」

 

 やっと人のことを考える余裕ができたからか、ふと雪ノ下のこの後について気づく。あ、嫁ぎ先とかじゃないよ?

 

 …アカンやん、攻略近いやん。

 

 

 

「お前、この後どうするんだ? 高校とか、ずっとここにいるわけにもいかないだろうし」

 

「そうね、考えてはいるわよ」

 

 一泊おいて雪ノ下は答える。

 

「あなたの高校」

 

「あぁ、いいんじゃねえか?」

 

 そう、俺の高校、とある高校。そこは別に大した偏差値があるわけでも、能力者が多数在籍するわけでもない。逆に俺はそんな普通な高校だからこそ、波風立てずに過ごせると思っている。

 じゃあそろそろ突っ込んでもいいだろうか?いいのだろう。

 

 

 

 

 

 

 なんでやねん!

 

 

 

 いや、おい、お前、あかんとは言わんけど、なんか嫌やん。というか、おかしいやん、高校の名前言わんと俺の高校って言うとかさ、ほら。

 関西弁なってまうくらい動揺してまうわ!

 

「何、俺の事好きなの?」

 

「は? ゴホン……いえ、そうではなくて、寮も移らなくていいかもしれない上に、あなたの腐った頭でも入れるとなると、私でも入れそうでしょ?」

 

 一瞬まじのは?が聞こえたが誤魔化すような咳に飲み込まれた。飲み込ませさせられた。

 

「私、ほかの高校のことも良く分からないし」

 

 こいつ進路選択とか意外と雑な人? それとも照れ隠しで実は俺のこと凄い好きなの?

 

 

 じゃぁ思い出してみよう、最初の、は?を。あれはマジだ。偽りようのない悪意だ……咳で誤魔化せたと思うなよ……

 

 

「マジか、でもどうやって編入すんだよ……」

 

「まぁそういうわけで、明日にでも学校に行きましょう」

 

「え、は? なんでそうなんの?」

 

「あなたが聞いたんじゃない。どうやって編入するのかって」

 

 

「は、まてまてまて、確かにそうだけどよ。なんかほら……おかしいだろ…………」

 

 

 どういう行動力してんだよ。

 

 

「まぁそういうわけだから。ね」

 

 一般中学生にはその行動力が信じられなくてグウの音も出ない俺には

 

「頑張れよ……」

 

 としかいうことができなかった。

 

 睨まれた。なんでだ。応援してやったじゃないか!

 

 

 あぁ、俺のことでもあんのか……

 

「分かったよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午後、俺は布団を買いに外に出ていた。その帰り、ちょうど太陽も落ちてくきた頃、7時くらいだろうか。学園都市の新参物への洗礼なのか。

 

「おいおい、いきなりか、こんなにも早くに不良なんかに絡まれちまうか?!」

 

「何つぶやいてんだよ、はやく金だせよ! わかんねぇのか?」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。すぐに出しますんでこの命だけは助けてください」

 

 やけに高い声が路地裏に響く。それもそうとう怯えた感じの。ニヒルとは程遠い声と姿で路地裏に佇む男がいた。というか俺だった。

 

 一般人なのだからそれが当然といえば当然なのだが威圧への耐久度が残念な、そんな感じだった。

 

「よく分かってんじゃねえか、ほらはやく出せよ」

 

すぐに財布を出す、その直前で動きが止まる。

なぜか。それは昨日手に入れたばかりの、厳密に言えば、お金とかそんなもの(・・・・・)よりも高価な昨日知ったばかりの力を思い出したからだ。

 

「ははは……お前達にやるお金はねえ! だからってお前達にシメられる気もねえ! 哀れな不良どもに魂の救済を!」

 

 D,Graymanのアレンって知ってるか?! あのセリフ言ってみたかったんだよな、言えた、最高だな。そう言えばD.gray-manの作者ちゃんと元気みたいですよ。

 

 と俺は言いつつ(思いつつ)、不良の間を走り抜けた。だが不良はそれに気づかない。不良達は未だ先ほど八幡が本来(・・)いた所を睨みつけている。そしてそれに殴りかかる。当然そこは空気。不良達は俺がいたはずのところでぶつかりあう。ざまあねえな。

 

 

 

「…は? あ? なんだよ! 立体映像か?! それにしたって投影機はねえし……能力者か!!! 気をつけろ、まだ近くにいるはずだぞ!」

 

「おう! 能力者には散々イラついてんだ、やっちまうぞ!」

 

「「おうよ!!」」

 

 血気盛んな不良どもは四人。

 

 俺はそのうちの一番ガタイのいい一人に触れる。

 

 自分の在り方はいくらでも変えられる……そしてそれは触れた人間にも。でも俺の在り方を根本的に書き換えたら自分だけの現実、いわゆるパーソナルリアリティが歪み、俺の力は霧散する……だったかな、それを抑えるために無自覚に認識を誤らせるに留まっている……だったかな?

 

 

 

 ならば触れたものに対しては?

 答えはすぐ出た。

 

『俺の手で触れている人間の肩が外れる。』

 落ちた。

 両腕とも。

 

「…………は?」

 

「マヌケな声だしてんじゃねえよ、あ? お前肩外れてんぞ。まさか……やられたのか?」

 

 

「わかんねえわかんねえ! わかんねえよ! わかんねえんだよ! 勝手に勝手に!!」

 

 

 

 それはどうにも滑稽だった。だがしかしその恐怖はお化け屋敷の比ではないだろう。いきなり。何も感じずでも何か起きている。

 

 自分以外になら物理的にもある程度干渉できるようだな……まだ俺の能力の底が知れねえけど……汎用性は高い……というより、一つ突出しすぎているゆえにその周りの似た現象に関与できてしまう。って感じか。

 

 

 

 その時八幡は知る由も無いが、皮肉にも一方通行もまたそれに近い存在だった。単純な物理存在ならば全て管理する彼に。

 

 それから10秒もせず、八幡は四人の肩を外し終わった。

 

 肩くらいが一番安全だろ。

 

 

 そして姿をあらわす。

 

「お金……欲しいか?」

 

 問うと、動かない肩を振り回して走って逃げていった。

 

「この力強すぎて依存しそうだな……はぁ……疲れた。帰るか」

 

「っとその前に布団布団っと」

 

 不良と対峙する前律儀にも布団を周りから見えないようにしていた。

 

「普通配達じゃねえのか…?こういうのって」

 

 

 なんで手で持って運んでんだよ…

 

 

「お手伝いしましょうか?」

 

 声をかけてきたのは軍用ゴーグルをつけた御坂美琴…

 

ではないことくらい俺はすぐに気付いた。

 

「おぉっ……びっくりした。鉄橋のビリビリ娘か、いや、これくらいは大丈夫だ」

 

 

 

 探りを入れて見る。

 

「鉄橋で……?お姉さまのことですか」

 

「ん? あのビリビリ娘の妹かなんかか?」

 

 あくまで俺は惚ける。

 

 嘘をつくつもりはないようだ。というか、虚偽を知らないような、空白を感じさせられた。

 

 

「えぇ、そんなところです。ところでビリビリ娘とは御坂美琴お姉さまのことでよろしいですか?」

 

「あぁ、そういう名前だっけか……?」

 

「すみません、やはりお手伝いできる暇はありませんでした。これから実験ですので、失礼します」

 

「あぁ、そうか、頑張れよ」

 

「はい、実験成功のために頑張ります。」

 

 

 成功が何を意味するのか知らず。俺は応援の言葉を送る。送ってしまう。

 

「成功したらいいな」

 

「はい」

 

 その返事を聞いた俺には、妹が成功したいと心のそこから思っているとは、何故か思えなかった。

 

 

 ここで会話は途切れ妹は振り返り八幡は家に帰ろうと反対を向く。しかしそこで名前を聞くのを忘れていたことを思い出し、振り返る。

 

「ちょっとまt…」

 

 俺はは妹を待っているであろう白髪の人物を見てその先をいうのをやめた。

男が前にいるのに他の男が呼び止めるのはタブーだよな

 

 リア充め……って感じでもなさそうだが……

 

 

 

 その二つの影は今さっきまで八幡がいたところとは違う路地裏に消えていった。

 

 じゃ、俺は帰るか

 

 ふと思いつく。

 俺の力で俺の在り方を変えることがタブーなら……

 

 

『現在自宅に存在する。』

 

 飛ばない。恐らく、本来存在する俺に近しい何かが、家にいるはずだ。

 おそらく雪乃が今驚いているだろう。だが俺は。

 

『ここに八幡は存在しない』

 

飛んだ。

 

 やはり依代があれば、飛べる……のかもしれない。何となく違う気もする。在るべき姿に戻るという認識の方が近いと感じる。

 

 だからか。跳んださきは。

 

 自宅。

 

 実家に。

 

………………………………………………………見つかる前に帰ろう。

 

 先ほどと同じ工程を踏み雪ノ下のいる『自宅』に帰ってきた。

 

 瞬間移動させるには転移先を設定するだけでは能力汎用力の高さが仇になり基本形の、誤認という形で抽出されるため誤認先の八幡を作り本来の八幡を消すことで。

 誤認八幡の存在だけでは誤認八幡は成り得ないので前に出した命令式が書き換えられ本来の八幡が飛べる、とそういう方式になる。

 

 と、言う感じだと思ったが、違ったみたいだ。

 

 恐らく、分身的な俺を依代と置くことで、世界にとっての俺の存在率が2点で拮抗する。その2点で在るべき方に主を置く。

 

 普通に考えて本来の場所が在るべき形なのだから、その可能性を、能力で更に霧散させれば……

 

「まぁ……多分そういうメカニズム……なんだよな?」

 

「さっきから、何をしているのかしら。突然ここに布団を持って現れたと思ったら、メカニズムだとかなんだとか、あなたいつから私にイタズラしていい身分だと思っていたの?」

 

 雪ノ下は認識誤認でイタズラされたと思っているのだろう。ま、別に大したイタズラでも無いし、チャラだ。

 

「居候させてもらってる身分でよくそんなことが言えたな…まぁ、もう慣れたわ、慣れた俺が怖えわ」

 

 

 できればなれたくなかった……

 

 

「そう、よかったじゃない、でも私としてはMと一つ屋根の下で過ごしているとなると不快で仕方ないのだけれどね」

 

 

 

「Mじゃねえよ!じゃぁ出て…つーか、Sって自覚あるってことだよなそれ!」

 

 

 

 雪ノ下はチャイルドエラーだから。出ていけなんて。冗談でもそういうことは言えねえよな。

 

「いえ、そういうわけではないけれど、ただ、文句があるのよ」

 

 

「いや、おい、直截すぎるだろ!」

 

 

 腐っても俺は人間なんだ、優しくしてくれ……

 

 

「あなたは性根が腐っているのだから居候させてもらっている身としては矯正する手伝いくらいはするという優しさだとわからないのかしら?」

 

「かわいそうなものを見る目で俺を見るな!!」

 

 Mではない、決してMではないのだがこれが落ち着くと感じてしまうのは、多分。何か虚ろを求めているからではないと。そう確信めいた何かを感じるからなのだろう。




ファイトォ*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゜・*:.。..。.:*!!!☆

Simejiキラキラしてんなぁ…

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