やはり俺の学園都市生活はまちがっている。   作:鴇。

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いろはすが登場します。といいましてもいろはをうまいこと書ける自信ないですけどね


ちょっとだけいろはす登場第12話!

どうぞ!


隠そうとすればそれは表に

第12話

 

 

 

 

 

 それから数日、俺以外の学生も夏休みに入ったようだ。そのせいか外に出れば学生、学生、学生、学生、学生。である。正直クソ鬱陶しい。そういう俺も学生ではあるんだが。

 

 

 高校ごとの制服を着ていたり。私服であったり。しかし基本的に校外は私服でいいはずだから半袖半パンの私服姿が多い。だから制服姿の学生が目に留まる。ツンツン頭の後輩が不幸だー、とかいいながら補修に行く姿も良く分かる。

 つまり制服を着ているものは補修を受けないといけない馬鹿か、校外でも制服着用の義務がある優等生かの両端である。という事だ。

 

 

 

 そう言えば雪ノ下は、といえば、転入届も無事提出し、後は寮を決めるだけなのだが、このあたりがなかなかうまくいかないようだ。

 

 

「比企谷君、私ちょっと向こうに行ってくるから、少しいいかしら」

 

 

 そして指差した先は動物がいるコーナー。ネコ好きすぎだろ……

 寮が決まらない理由に、「ペットOK」を雪ノ下がゴリ押しするからである。ちなみに猫の名前はニャンさんはやめていただき、現在保留なのだ。いや、決して保留なんて名前にはさせないが。

 

 

「感想にてなにかアイデアをお待ちしております」

 

 さりげなく(?)アンケートっぽいことをしているが、きっとこれくらいなら大丈夫だろう。個人的にはキメラとかでいいと思うんだが。六花ちゃん割と好きだし。でもやっぱり樟葉だよな! 妹最高!!

 

 

 

「誰に向かって話をしているのかしら」

 

 

 読者さんだよ。読者……? 何だそれ……なんだっけなー。ぐ……頭痛が……

 

 

 何者かに脳内を塗りつぶされた感覚に陥ったが、それも一瞬にして無くなった。

 

「これが世界の修正力か……」

 

「?」

 

 

 

「いや、なんでもない、行っていいぞ。あと迷子にはなるなよ」

 

 

「ならないわよ」

 

 

 

 結構純粋な心配と親切心だったのだが全力で睨まれた。

 

 

 

 

 

 雪ノ下の寮の下準備にここに来たハズなのだが、雪ノ下がこの調子では全く捗らない。

 

 

 

「やぁ、最近よく出会うね」

 

 

 背後から突然話しかけられた。

 

 

「あぁ? そうか? 確か葉山……だったか?」

 

「いや、雪ノ下さんにだよ」

 

 

 爽やかな笑顔で答える。

 

 つーか、話の対象俺じゃなかったのね。自意識過剰みたいでめっちゃ恥ずかしいじゃん。

 

「で、なんか用か? その雪ノ下なら向こうにいるが」

 

「いや、別に何もないよ。ほんとに偶然見かけたから話かけただけだ」

 

 何だそれ。一回しか会ったことないやつに話しかけるもんなのか?

 

 

 

 俺が訝しんでいるのに気づいたのか。

 

「いや、本当はそれだけじゃないんだ」

「なんだよ」

 

 心なしかイケメンには強く当たってしまう。俺みたいな奴には敵でしかないから仕方ない。俺は悪くない、世界が悪い。

 

 

「結衣が嬉しそうに君の話してたから、あのデパートに飛び込もうとしてたところを止めてくれた……とかね。俺からも感謝しとくよ」

 

 

 なるほど、このイケメンは由比ヶ浜と仲がいいのか。付き合っている……と言う感じでもなさそうだが、いわゆるイツメン的な感じなのだろうか。べ、別に嬉しそうに俺の話していたからって照れてなんかしていないんだから!

 

 

「いや、別に、止めただけだからな、感謝されるようなことじゃない」

 

 

 実際止めただけだしな、しかも結局爆発しなかったし。

 

 

「そう言えば由比ヶ浜がなんか言ってたが、その日お前突然居なくなった……とか聞いたが、まさか『放火魔は放火した家を見に来る』でも爆発しなかったんで逃げた。とかそう言う事じゃねえよな?」

 

 

 流石に突飛過ぎたか。

 

 

「それは違うよ、いや、正確にはそれと全く同じ動きをしたね。俺はその当人を追いかけてたんだ」

 

「えー、それはつまり、犯人を検挙しようとした、ということか?」

 

「あぁ、そういうことだ」

 

 

 やってやった、みたいな顔はおくびにも出さずに言う。

 

 こんだけいいやつならそりゃリア充だろうよ。そう言えば世にいうリア充というのはあくまで彼女、彼氏持ちの人間だけらしい。リア充になるなんてどれだけ先のことになるか……高校生になったら友達がたくさんできて彼女もたくさんできる。なんて思っていた時期が僕にもありました。たくさんってなんだよ、彼女がたくさんって。

 

 

「それで、捕まえられたのか?」

 

「まぁ、捕まえられた。ニュースでもしてただろ? ヒーローみたいな女子中学生が彼を説得していたよ」

 

「あんなこと……俺にはできないな……」

 

 葉山が少し寂しげに呟く。

 

 っつか、話がよく分からない。なんでそこで女子中学生が出てくる。

 

 

「御坂美琴……って、こっちに来たばかりでもわかるんじゃないか?」

 

 こいつッ! 人の心を読んだのか!? こいつといい雪ノ下といい、俺の周りは全員読心術を、習得しているのか?

 

 

「はぁ……あいつか、確かに正義感に溢れてそうだもんな」

 

 無意識のうちに嫌味にも似た言い方になってしまった。

 

 

「なんだ、もしかして知り合いなのかい?」

 

「知り合いっつーか……」

 

 友達? いやいや、まだ二回しか会ってねえし。知り合い……にしても相手俺の事覚えてんのかな。

 

「まぁ知り合いだな」

 

 

 というか、さっきから雪ノ下が遠巻きにこちらをチラチラと見ている。楽しんだならそのまま戻ってきたらいいのに。葉山を気にしているのだろうか? この二人に過去何かがあったことくらい流石に分かる。ここは俺が働いてやるか。

 

「すまん、ちょっと……」

 

「? どうかしたか?」

 

 あ、いや、ちょっと、えぇ……

 

 万策尽きた。あ、いや、まてまてこいつそもそもなんでここにいるんだ?

 

「そそ、そういえば、お前は用事があってここに来てるんじゃないのか?」

 

 ぐぅ、最初ちょっと噛んだ。

「友達と待ち合わせだよ」

 

 へぇ、友達が多い奴は夏休みまで縛られるんだな。友達いなくてマジでよかった。

 

「そりゃご苦労なこって」

 

「苦労……ってのはないだろ」

 

 葉山のトーンが半オクターブほど下がった。「半」とか微妙さを出せば、小さな違いが分かる奴的な印象を受ける気がする。ちなみに半オクターブか、一オクターブかそんなこと分かっていない。ただ葉山の声質が会話を広げようみたいな、やわらかさを失った。

 

「自分の時間削ってまで友達? と機嫌の取り合いなんてよくやるよ」

 

 葉山の肩が少し上がる。スマートな表情を保とうと踏ん張っているのが伝わってくる。

 

「……自分の時間も大事だけど、友達と遊ぶのも楽しいじゃないか」

 

 へえ、まだ耐えるか。なんでも揃った爽やかイケメンにはこういう煽りに対して耐性が皆無だと思っていたんだが……まぁ、これ以上あおる意味もない。

 これくらい変な空気になりゃ、適当にここから立ち去れるだろう。それこそなんて俺がコイツのことを気遣って大義名分を作らなきゃいけない理由もない。

 

「じゃ、ちょっと用j「葉山せんぱーい」……が、あるから……」

 

 間が悪いにも程があんだろ。

「葉山先輩こんなところで奇遇ですねー」

 くねくねと体のどこかしらを必ず曲げている奴が来た。端的に言えばあざとい。その時点で生理的に受け付けていないので、さっさとずらかる事にする。スタコラサッサー!

「あれ? 葉山先輩、その方は?」

 

 なんだとッ! 俺を視認できるやつがこの世界にまだいたとは!!

 

「比企谷っていうんだ。うちの高校に転入してくるそうだ」

 

「へぇー……」

 

 頭の先からつま先まで、目が動く。品定めってやつか。軽く悪寒が走る。品定めタイムもおわり、俺の戦闘力が分かったのだろうか上目遣いで見つめてくる。コイツの8割くらいあざとさでできてんじゃね?

 

「一色 いろはって言います。これから宜しくお願いしますね、先輩♪」

 

 先輩、の後に♪が見えそうになるほどあざとい言い方だった。というか見えた。新たな能力に目覚めてしまったのかもしれん。

 

「あ、ああよろしきゅ」

 

 か、噛んだぁぁああああ! もう嫌だぁぁあああ! 僕おうちに帰るのぉぉおおお! ふぅ……

 

「えっ、はい、よろしくおねがいします♪」

 

 コイツ一瞬引きやがった。へっ! お前の猫の皮引きはがしてやったぜ! 俺の勝ちだな。化けの皮引きはがすために失った尊厳の方が大きい気がするが……

 でもおかげで退散するタイミングもできた。

 

「じゃ、俺はこれで」

 

「あぁ、また学校でな」

 

 少し小走りで雪ノ下の方にむかう。

 

 はぁ、疲れた。あの二人のリア充度数はかなり高い。それだけに俺みたいなやつにはついていけない。というか軽くストレスが貯まるまである。

 雪ノ下は外見は綺麗で、それこそ男子にちやほやされスクールカーストでリア充という地位を築いてそうなのだが、世の中一筋縄ではいかないという事か。まぁこいつの場合性格面が大きく影響しているんだろうが。

 

「もういいか? 雪ノ下」

 

「えぇ、もう構わないわ」

 

 こころなしか肌がツヤツヤしている気がする。

 

「……苦手なんだな」

 

 俺としては葉山が、と言う意味で言ったのだが、雪ノ下は猫の方に取ったのか首をかしげている。

 

「いや、別に独り言みたいなもんだからいいわ」

 

 まだ首をかしげている。どんだけ脳内猫に占められてるんだよ。それ生活に障害出てくるんじゃね?

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

 その後は特に問題なく雪ノ下の買い物も終わった。

 

「帰りましょうか」

 

「あぁ、ほれ」

 

 雪ノ下が重そうに荷物を持っているので手を差し出してやる

 

「なんのつもりかしら?」

 

「あ? いや、荷物だよ、ほらよ」

 

「これくらい持てるわ、返しなさい」

 

 なんでもってやってるのに、こんなに辛辣なの? もうヤダ泣きたい。

 

 

「いや、もう俺が持ってんだからわざわざ返すのもあほらしいわ」

 

「だけど……」

 

「いや、俺が自分から持ったんだ、お前から頼まれたわけじゃ無いから感謝とか負い目は感じなくていい」

 

 

 

 

 正直、ありがとうくらいは言って欲しいが。まぁ、なに? 妹に対するスキルがオートに発動してしまっただけだからむしろ小町に感謝してもらいたいまである。

 

「あ、ありがとう」

 

 まぁ、うん。悪い気分はしないけどね?

 

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 帰りに由比ヶ浜たちと立ち寄った公園を通った。

 

(いやいや、まさか……)

 

 

 あの日は結局何も無かったと思っていたが、それでももしかしたらと思ってじっくりその公園を見ていたら。

 明らかにこの辺り一帯だけ「汚れが目立つ」ことに気がついた。

 

 もしかしたら誰かこの公園をよく利用するやつが泥だらけとか考えたがそうではない。普通の汚れも。

 

 そう、今踏みつけた地面が、汚れて見える。

 

 本来外を出歩いて地面が汚れるなんて、そんなことに「気がつく」なんてこと、ディスティニーランドでもありはしないだろう。

 

 そして俺は一度ここに来ている。その時に感じた感想は確か、バトルの形跡も、「髪の毛一本」もさえも無い。と……

 

 それが意味することは、やはりあの時、何かがあって。

 それは隠蔽しなければならない程のことで。

 しかもここまで綺麗に証拠を消しさるだけの労力を投入できる。

 

 褒められた内容では無い事が行われていたということになる。

 

 それならあいつはどうなった。あいつらはここで何をしていた……?

 

「比企谷君何を突然立ち止まっているの?」

 

 馬鹿なの? 死ぬの? とでも続きそうな感じである。無意識のうちに立ち止まっていたようだ。

 

「はぁ……あなた最近不審よ、あぁ、いえ、前からだったわね」

 

「ああ、その通りだ、前から変わってないだろ」

 

「否定しなくなったのね、もうあなた不審者の中でも終わりよ」

 

「不審者の中でも俺はカーストが最下位なのかよ」

 

「当然じゃない、食物連鎖で言えば分解系より更に下よ」

 

 分解系の下なんかあったか? 無いはずだが、考えられるとしたら……

 

「おい、空気って言いたいんじゃないだろうな?」

 

「よく分かったわね空気谷君」

 

「ゴロが悪いわ、しかも知ってるか? 人間って空気がねえと生きてけないんだぜ?」

 

「そうね、あなたは希ガスくらいではないかしら?」

 

 空気中の希ガスといえば二酸化炭素濃度並みの薄さだったはずだが……

 

「利用価値無さすぎだろ……」

 

「ええ、だから言ってるじゃない」

 

 まじ? 俺そんなに利用価値ないの? 確かに社畜にはなりたく無いとは思ってますが、そんなに? えぇー

 あと、比企谷? そんなのいた希ガスるな。とかとかけてるんですね、分かりません。

 

「もう、なんでもいいから帰ろうぜ、帰って寝たい」

 

 というか、この公園の意味を今はあんまり考えたくない。悪い方にばかり考えてしまう。

 

「ええ、あなたが足を止めたのだけれどね」

 

「その代償がこれかよ……」

 

 割に合って無さすぎて俺が錬金術師なら賢者の石を使わずともアルを取り戻せるまである。なにそれ世界観崩壊する。

 

「あなたらしいじゃない」

 

「ん、まぁ、望んだわけじゃないけどな」

 

 らしい、なんて言われてしまえば頷くほかない。

 

 こいつとなら、今まで測りかねて、失敗してきた他人との距離を測り合えるんじゃ無いかと、思わないでもない。

 

 




いろはすが登場!

ちなみに、千葉から一緒に来たあいつっていうのは…うっ頭痛が…

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