西暦2021年前に転生したんだから科学者として頑張るしかないでしょ!!   作:namaZ

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お久しぶりです。大変遅れました。
腰を痛め寝るのも大変なここ二週間にうっぷんが溜まる毎日、運動ができなくて太っちゃう!!
来週、もう12月に入っちゃいますが、それが過ぎれば腰とは関係ないですが生活が安定します。今回は繋ぎ回、続きの絡みが書こうか書くまいか悩み中。このまま最終決戦でもいいよね!!!













第三十一次観測

『蓮太郎』

 

 

 これは夢、記憶の泉に沈んだ小さな欠片。

 

 

『蓮太郎』

 

 

 声変わりを終えた男性が自分を呼んでいる。

 名前を呼ばれただけなのに、その声は語り掛ける。

 優しく、窘める。

 

 

『……蓮太郎』

 

 

 声の主はどこか困った声色を滲ませる。

 この人は誰だ?覚えのない声、なのに知っている。

 聞いたことがある。

 

 

『もう行かないとな』

 

 

 頭部に大きくて暖かい手がのせられる。

 慣れてないのかわしわし髪が乱れる。

 

 

『■■さんも■■さんも、■■さんのプロジェクトに招待されたんだ。科学者にとって名誉ある実験なんだ。詳しい説明はこれからだけど……冥利に尽きるよ』

 

 

 この人は誇りを持っている。

 自分に、仕事に、役割に。

 なにより――――――

 

 

『僕はね……君に誇れる■■さんで有りたいんだ。普通とは違う、他の子にちょっと凄いって自慢できるカッコイイ男でいたいんだ』

 

 

 この瞬間、俺はどう思ったんだ。

 どこか懐かしいのに、顔が見えない。

 声だけが鮮明に語り掛けてくる。

 

 

『れんたろう。■■さんを困らせないの』 

 

 

 柔らかな女性の声、また頭部を撫でられるがさっきと違い気持ちい。

 

 

『ごめんねれんたろう。でもね、これは必要なことなの。今はどうにもできない病気や体の不自由な困ってる人を治すのが医師なの。主任の■■さんは医学のスペシャリストだから世界中の人を救えるの。このお誘いはみんなに誇れる凄いことなの。だから……ね?ほんの少し我慢して、男の子だもんね』

 

 

 顔が思い出せない。

 誰なのかも分からない。

 けど、知っている。

 俺は――――――この人たちが大好きなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ゆめ」

 

 

 体が重い。疲れが取れていない。

 

 

「……なんの夢だったか」

 

 

 よく覚えていないが、何故か懐かしく感じた。  

 

 

「それにしても、あちこちイてぇな」

 

 

 体が長時間重圧をかけられ、固定されたみたいに痛む。固まったを伸ばす。 

 

 

「……ンンッ」

 

「?」

 

 

 何故か妙になまめかしい声が耳に響く。

 

 

(くそ、寝たりねーのか)

 

 

 血の気があまり通っていない右腕を動かす。腕を軽く引き、手首を回す。

 

 

「ン……あッ」

 

 

 別の意味で血の気が引いていく。聞き間違いでも何でもない。男としての本能か、戦う者としての本能か、窮地に立たされた男の頭が鮮明に状況把握と思考を冷やしていく。嗚呼ヤバイ、ひたすらヤバイ、何かが巻き付き挟まれた右腕、正確には二の腕に巻き付いた何かと手首に挟まれた湿っぽく暖かい何かに――――――思考がそれ以上考える前に右腕を引っこ抜き布団を剥ぎ取った。

 

 

「んん~……朝から乱暴だぞれんたろ~、寝込みを襲うならもっと優しくしなきゃだめぇだ……ぞぉ?」

 

「あ?あぁ、そ、そうだな?(そうじゃねーだろ!!混乱してどうする!!?何が"あぁそうだな"だよ!!まるで了解のサインみたいになってるぞ!!?)」

 

 

 この危機的状況を打開すべく混乱した思考で導き出す最善の策を紡ごうとした時、下半身に何とも言い難い感触が駆け抜けた。

 彼の今の心情を簡単に過剰表現で説明する――――――活発系少女藍原延寿の元気の象徴ツインテール、普段は動きに合わせて宙に流れる流星の流れ星のきらめきを魅せる髪も、髪留めが外されストレートに無造作に流した髪が鎖骨などに掛かりナニかグッとくるものがある。

 さて、ここからが本題だ。延寿は彼の腕に巻き付いていた。なら――――――ティナは?下半身に接触するこの感覚、視線を下げると下腹部あたりに西洋人形のように綺麗な金髪に整った顔立ちの少女が眠っていた。延寿は流れ星なら、人形のように整ったこの少女はさながら夏の天の川。この騒ぎで起きないところを見るに眠りは深いようだ。だがよろしくない、少女は下腹部()()()に顔をうずめ、腰に抱き着いているのだ!!寝相が悪いのか、確実に悪いが、顔をうずめながら頬ずりする少女に少年は危機的状況から命の危険(社会的)まで自分の首に縄が巻き付いていることを理解した!!※説明終了

 

 

(これはありとあらゆる角度から理論と法律と社会的に知られたら言い訳不可能即デス。もし木更さんに見られたらアウト。延寿にティナのポジションがばれると延寿の口から木更さんにばれて言い訳不可能即デス。現状を鑑みるに延寿さえどうにかすればこの状況に希望が見える!!)

 

 

 延寿は寝惚けており焦点が定まっていない。夢うつつと目をとろんとしている。誤魔化せる。チャンス。延寿の対処に思考を総動員。

 

 

「な、なに寝惚けてんだ延寿?まだ早い、寝てろ」

 

 

 肩をそっと抱き、眠るよう促す。

 

 

「ん……わかったのだ」

 

 

 肩を抱いたのが仇になった。腕枕で寝てしまった延寿を起こさないように脱出しようとすると――――――

 

 

「………………里見くん」

 

 

 阿修羅がいた。振り向けばさぞかし心底見下した養豚場の豚を見る目をしていることだろう。残念ながらそんな趣味は蓮太郎にはない。

 だが冷静にそれぞれの体勢をイメージすればわかる。

 蓮太郎は右手を枕にして寝ている延寿を起こさないよう静かに抜こうと、右ひざを軸に軽く状態を起こし延寿の頭を覆うように逆の手をそえている。つまり顔が近いのだ。更にまるで寝ている延寿を襲う手前に見えるかもしれない(木更ビジョンでは完璧に襲っている)。そこに更なる誤解が生みだしたのがティナ、寝ている位置がまずかった。だが、まだ誤解を解くことができる。あの時はティナが誤解を招く爆弾発言と『夜バージョンのティナ』と誤解が誤解を招く自爆をしたからであって、断じてまた警察のお世話になって不名誉な呼び名を定着させないためでは断じてない!!核弾頭を落としたはやっぱティナだった。

 

 

「……兄さんのぉかたくてぇ……あついです」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……きさら、さん?」

 

「通報」

 

 

 またあんたかと、同じ警官に調書を取られ誤解を解くのに一時間かかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「またですか先輩。ロリコンなのは知ってますけど少しは理性で抑えてください」

 

「誤解だ……」

 

 

 心底疲れた声音を滲ませた先輩。この短期間に二度も児童ポルノを犯す禁忌に手を染めるとは――――――死ねばいいのに。

 

 

「……その眼をやめてくれ、何もしてないのに自分が悪く思えてくる」

 

「事実そうだからじゃないですか?」

 

「勘弁してくれ」

 

 

 全くこの人は、この忙しいときに……夏世が動き出すまで僕も暇か。

 

 

「で、アジュバント結成したんでしょ?なんでまだこんな貧乏住宅で寝てるんですか?」

 

「そこに住んでるだろお前……木更さんとティナが加わったおかげで四チームのペアが揃ったんだが、ほら……一応学校の先生やってるだろ?」

 

「ええ、貴方の守備範囲内のハーレム教室でしょ」

 

「誰が守備範囲内だと!!嗚呼もう茶化すなら話さねーぞ」

 

「謝りますから、ね?」

 

「……いろいろ案内したからな、帰りが遅くなったんだよ。テントに戻ってもよかったが食料品を取りに行くついでに泊まったんだ。もしかしたら……」

 

 

 "もしかしたら……もう戻れないかもしれない"。言えるはずがない。言ったら決意が、意思が鈍くなってしまう。そんな顔をした先輩に、僕は特に何も思わなかった。この世界はみんなが一生懸命生きている。生きたくて、守りたくて、失いたくなくて――――――僕も同じだ。だから何も思わない。その意思が当然だと断じるからだ。

 

 

「そうだ、先輩のアジュバントに誰が入ったんです?……尖ってそうで興味が」

 

「確かに個性トゲトゲの痛い奴らばっか入った。俺には勿体ない頼もしい仲間だ」

 

「よくそんな恥ずかしい台詞平然と言えますね」

 

「……話すんじゃなかった」

 

「すねないでください。けど……仲間か」

 

「悠河?」

 

「何でもないです。ええ……」

 

 

 本当に何でもない、粗末なこと。

 そう言えばと、ふとした疑問が一つ浮かび上がった。

 

 

「『呪われた子供たち』は野良が発生しないよう国際イニシエーター監督機構(IISO)か、国が設けた孤児施設に預けるのが義務です。……怠っている国も多いですが東京エリアは比較的に治安がよく子供たちも数多く住んでるはず……それでも増え続ける子供たちに施設が足りず監視に入っていない子供たちは多いと聞くけど、施設入り出来なかった方の先生に?」

 

「伝手があってな、気さくで優しい爺さんが保護している子供たちの集まりがあってな、勉強や物事を教えるのが苦手とかで俺に依頼をな」 

 

「この時期によくやりますよ」

 

「こんな時だからだよ。延寿、ティナ、あの子たちにこんな時だからこそ不安や恐怖を忘れてほしいんだ。その点、俺や木更さんはあいつ等に感謝しきれない」

 

「………………里見蓮太郎、さん」

 

「な、なんだよ?」

 

 

 僕は東京エリアで起こる悲劇の全貌を第三者で確認できる立場にいる。『千寿夏世』が起動すればどんな不利な状況でも覆せるし――――――もうダメなら一発で計算できる。彼らとは仕事の関係でありそこまで親しくはない。なら――――――

 

 

「あの、えっと……そ、その、どうですか?」 

 

「だから何がだよ」 

 

 

 あれ、僕ってこんなキャラだっけ?らしくない、ズバッと言うぞ。

 

 

「ぼ、」

 

「そうそう、あいつ等がお前紹介しろってうるさいんだよ。民警同士、信頼し合える仲間は多い方がいいってよ、友達俺くらいしか居なさそうだし丁度いいんじゃね?」

 

「……」 

 

「わりい、遮っちまった。それで、何だ?」 

 

 

 全くこの人は、なんで平気な顔で普通に恥ずかしい台詞平然と言えますね。でも、悪くない。

 

 

「いえ、やはり何でもないです。そうですね……僕も先輩のお友達に興味があるので近いうちに紹介してください」 

 

「なんだよやっぱ俺しかいねぇのか」 

 

「それこそ侮らないで下さい。ももかに延寿にティナに木更さん、それと……」 

 

 

 ドイツで別れ人類の命を背負うのを宿命づけられた幼い少女。僕にとって妹の用でもあり――――――最初の友達。

 

 

「故郷にもいますしボッチな先輩より多いんじゃないんですか」 

 

「おいコラ身近な奴の名前しかねーぞ、やっぱボッチだろ」 

 

 

 こいつ。

 

 

「……細かいことはいいんですよ、ねえ-ロリコンサン」 

 

「……ボッチ」

 

「ロリコン」

 

「DV!」

 

「根暗!」

 

「俺様カッコイイ系男子!」

 

「ハーレム!」

 

「黒目!」

 

「ワカメ!」

 

 

 ぜぇはーぁはーぁはーぁ……こいつめ!!

 

 

「……」

 

「……」

 

「ぷッ……あはははっははははは」 

 

「……(イラ)」

 

「いや~悪い、けど、ちょっとな」 

 

「なんだよ」

 

「ここ最近暗い顔してただろ。なんか抱えてるって表情だったからさ」

 

「……そんなことはない」

 

「ばーか無理すんな。俺は先輩だろ?」

 

「……不幸顔の貴方にいわれたくないですね」

 

「たく、人が折角励ましてんのにそれかよ」

 

 

 僕は光を眼に焼き付けるだけでいい、光を持たない光を知らない僕が光にはなれない。教授から光を頂いたあの瞬間、闇から光に導いてくれたあの瞬間、僕はただ――――――光に目が離せなかった。世界は美しさに満ち、教授は光を教えていただいた光そのもの。

 

 

「敵わないな……」

 

 

 僕にはないものを持っているこの人に――――――

 

 

「やっぱり今から紹介してくれませんか。この眼でみてみたい」

 

 

 仲間に囲まれた眩しい光景を焼き付けたいから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




  




"ルートダブル -Before Crime * After Days-"なるゲームをプレイしました。発売当初はXbox 360……んなもんもってねーよ!!諦めていたんですが、まさかPC版ヴィータ版PS3版などあるとはつゆ知らず。イエティのゲームはどれも好きですし楽しませてもらいました。癖が強いゲームですが、おすすめです。

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