西暦2021年前に転生したんだから科学者として頑張るしかないでしょ!! 作:namaZ
感想、アドバイス等よろしくお願いします。
綺麗に効率よく建設された研究施設。
特に区画ごとにそれぞれの分野に最適化された建築工事がされている。
事故防止に他区画に被害が及ばないようそれぞれの区画はそれ自体が強固な要塞とかしている。
ミサイルの直撃に耐える防火シャッター。もしもの事態に閉じ込められた際のカプセル型ポット。スプリンクラーは勿論の事、空調設備は木原自ら設計した。
一つの区画の不具合が全体に影響されればそれだけ人類の未来が損なわれる。
全区画は独立的に作られている。
つまりだ。
籠城なんてされた日にはそれはそれは困っちゃうことになっちゃうわけで……。
「……ざけんなよ三下がァ。俺の管理する俺の庭の俺の未来のパンドラに何しちゃってくれてんの?」
『中央管理総合区画』
ここから全ての区画をモニタリングしている。配給されているIDレベルで閲覧可能な区画も制限されているが。
「何の真似だ?血の繋がりは無いとはいえ、同じ屋根の下で釜の飯を食べ、同じ目的を掲げた同志じゃないか。まだ手遅れじゃない、大人しく出てくるなら罪を不問にする」
強制手段もあるが、機材壊れるからやりたくねーんだよな。交渉で片付いてくれるなら有りがたいんだが。
第一俺何か恨み言買ってたっけ?ぜーんぶ沙希に押し付けてきたからな。
『……知らないだろうな。貴方は何も知らない』
「はへ?」
何言ってんのコイツ?変な声出ちまったぞ。俺が知らない?
ばっかじゃないの?
『——————とか考えてるだろ?君は分かりやすい』
ナニコイツ……ムカついた!
被害なんて関係ネー!頭蓋骨をとろとろのチーズにしてやんぜ!!
『言い忘れていたが、私の鼓動が停止する。または、一定以上の痛覚の刺激で爆弾が起動する。此処に保管、保存された世界中の菌、ウィルス、病気の原因、人間には全く影響のない動物や植物に作用するもの、三年掛けて弄り、改造したものまで……全部だ』
「……この大馬鹿クソムシがァ!!そのデータがどれだけ貴重か理解してないわけないよな?俺の半身でもあるソレを破壊する?おいおいままごと遊びには付き合いきれねーんだよ。だいたいテメーに何の利益がある?ソコを破壊するのは人類に不利益しか齎さないぞ」
災厄は俺しか知らないにしても、科学者からしたらこの場所は宝の宝庫だ。
ソレをみすみす壊す?破壊する?爆破するだと?
ガストレアが表舞台に登場するなら『木原』を好き勝手にする。
まだ我慢。学園都市のように『木原』が好き勝手するにはこの世界はまだ優しすぎる。
『私は言った……貴方は何も知らない。知ろうともしない……愚かだ』
愚かなのはテメーの方だ。頭を掻き毟り感情を抑える。
「あ~も~俺ほど知ろうとする人間はそういないと思うけどな~……その場しのぎなら殺すよ?あ、殺せないんだったな~クソムシがァ!!」
『……これは君だけじゃなく君の一族に言える事だ。君のお父さんは優秀な科学者だ。君はその血を受け継いでいるが、経験が足りないね。君のお父さんなら私の思考と行動を予測し手を打ってる筈だ。だけどね、やっぱり君は知らない。第二次世界大戦以降『木原』は比較的に大人しくなった。君のお父さんがいい例だ。『木原』として未熟と言えなくもないが、彼は心理学を極めた人物だ。仲間には優しい人だったが裏切り者には容赦はしない『木原』らしい一面も持ってたよ』
「で?なんの関係があるの死んだ親父と」
『……君はお父さんを尊敬しているかい?』
「尊敬ねぇ……科学者としては認めているよ」
『家族として……育ての親として感謝し、愛していたかい?』
心底どうでも良さそうに肺に溜まった鬱憤ごと息を零す。
「感謝?愛していたか?なにそれ、それで科学が発展するの?俺は忙しいんだよ。でも確かに感謝はしているよ、こんな立派な研究施設を残してくれたんだし。愛しているよ、心の底からね」
『『木原』は大人しくなった。平和な時代に狂喜のマッドサイエンティストは必要ない。時代が安定した今、急激な発展は必要とされなくなった。悲しい事だが、科学の発展に戦争は欠かせない。時代は君の様な『木原』を必要としていないのだ。何より非人道的すぎる。死刑囚の横流し、人身売買、貧しい地方で家族を養うために実験体の誓約書にサインをする人々……知らないとは……無知とは悲劇だ。知らないという事はそれだけ好き勝手出来る。傲慢だ。君は天才ではあるがあまりにも無知だ』
「……俺が無知だと?」
『君は人間社会では……人格的に好まれない性格だ。大人より大人らしい生意気な子供だ。『木原』であってもその歳で熟成された子供は異質だよ。正直不気味だよ、この歳で恐怖を実感できた。目を見て、言葉を交わし、共に研究者として働けば嫌でも感じてしまう。日に日に私の恐怖は増幅していく。……なにを焦っている?君の人生は始まったばかりだ。時間は有限だがたっぷりと猶予がある。夢や希望に憧れを懐く世界の闇を知らない無知の世代。それが普通の子供だよ』
「その理屈だと俺が無知ってのは可笑しくないか?まぁ確かに七歳児が大人顔負けの論文発表すれば不気味で恐怖を抱くのも頷ける。けどそれとこれとじゃ話は別だ。俺が無知のと如何つながる?」
数秒の沈黙。その目を止めろ。
俺を可哀想に見るんじゃない。
俺の何を理解している!
『君は……君という存在は……いや、これは侮辱だ。言っていけない、一人の人間として、大人として『木原』である君に同情など鬱陶しく邪魔でしかないだろう。それでも、大人として私はやらねばならない。何も知らない無知な子供を叱らなければならない。それが、私のやれる唯一の義務だ』
「そんな義務ドブにして棄てちまえ!!イライラすんだよぉ!!一人で勝手に自己完結してぺちゃくちゃぺちゃくちゃうるせークソババアァァアア!!そんなに死にたきゃ望み通りご希望を叶えてやるよ老い耄れがァ!!」
もう無理、限界だね。
空調システムはオレが握っている。
まずは眠らせてどぎつい実験体送りにしてやんよ!
『私を無力化するには君がやれるのは空調を操作するぐらいなのは分かっている。防護服は完備している』
コイツ!!?
『
クソ!!こんな形で裏切り者が……バラニウムやガストレアウィルスの研究しかしていない今の俺は攻撃的手段が無い。こんな事なら他の分野にも手を付けるべきだった。
『君は自分が処分した者を覚えているか?実験体にした者は?』
「はぁ~?覚えてるわけねーだろカス。生ごみを覚える時間があるなら壁の傷を数えた方がマシだ」
『そうか……そうなのだな……もう駄目なのだな』
「何を言ってるんだ?」
『人の心を忘れた無知な子供よ。これは私なりの我儘で勝手な復讐だ。傲慢でいつも勝ち誇っている君の顔を歪められたと誇るべきかな』
俺の気を知らないでコイツは!!
『人の心を忘れた無垢な子供』だと?人の心を忘れてないからこそどんな犠牲を出そうが地獄を回避しようと足掻いてんだろうがァ!!少数の犠牲で未来の人々が助かるなら安いもんだろ!?
『最後にコレを見せておきたい』
「ああぁ!?……なんだそれ?ウィルスか?」
『そうだ。このフラスコには私が創った新種のウィルスが入っている。これも経験の差だな。
「おいおいおいおいおいおいおいおい!!全部話す!俺の目的も、今までの行いの理由も全部説明する!だから———」
『さらばだ』
フラスコがワラレ、全てが爆発する。
そこで——————映像が途切れた。
ブラック・ブレットと関係ありませんが、最近『オーバーロード』にはまりヤバいです。
先週全七巻購入しましたが、もう読み終わっちゃいました。八巻が待ち遠しい。