西暦2021年前に転生したんだから科学者として頑張るしかないでしょ!! 作:namaZ
ティナの話しは連太郎より過ぎて『木原』の入る余地がなさ過ぎて書く事ないので、やらなくてもいいですかね?
もう一度言います、やらなくてもいいですよね?
「私の眼は悠河どうよう機械で、同調できるよう改良されている。シャコの目からそんな改良ほどこすんだから凄いよね」
「眼だけと思っていたからな……全身をここまで精密に作れるとは」
「きゃ!ちょっ、あんまりぺたぺた触られるのは……こまる」
「ちょっと気になってね。また頼むよ」
「え……あぁ、うん。分かってたよ、そうだよねー悠河はノーマルだもんねー(隣の住人に影響されてアブノーマルになんないかなー)」
「僕の義眼は二世代型の最新版だ。蓮太郎くんと比べるのは止してくれないかな」
「そーゆー意味じゃないんだけどな……そ、そんなことよりもっと聞きたい事ないの!」
「うむ……お前の話しが本当なら体重が重いのは納得だ」(第二十四次観測推奨)
「だから乙女の体重の話しはしないで」
「どうでもいい、訊かせろ。能力が使えるのはサイボーグの御蔭ならそれは誰でもいいのか?」
「どうでもいい……そだよねーどでもいいよねー」
「ももか?」
「んえナンデモナイヨ!?唯の独り言だよ!!?そうだサイボーグ、他の人も私のように全身サイボーグにしたら使えるのかって話でしょ!」
「お、おう」
「(あれ~若干ひいてね?)バンバン量産されたらそりゃ『呪われた子供たち』の存在意義はなくなる。でも能力の付属なしでいいなら悠河みたいな機械化兵士もいる。ドクターなんて人より動ける程度の義体なら機械化兵士の総額金と維持費の十分の一で作れるよ。肝心な誰でもかってのは無理。無理無理無理――――――ガストレア化しちゃうよ」
「……何で使える」
「『呪われた子供たち』一歩手前ってことは、それはもう『呪われた子供たち』ってことにならない?」
哲学的質問、何分専門外だ。
それでもそれに近い答えを尋ねているのなら――――――。
「感染者か」
「グッド、一定量のガストレアウィルスを注入された生物は感染者になりガストレアに変態する。その感染者は人でありながらもうガストレアでもあるんだ。私は『人間』と『呪われた子供たち』の間になるよう生まれたどうしようもない落ちこぼれだよ」
落ちこぼれ――――――だがそれでは説明がつかない。
「お前はどちらでもない中途半端な存在なのは分かった。だがそれとお前以外が使うとガストレア化するのには何の関係性がある?」
「それは――――――」
「それは僕が説明するよ悠河君」
「誰だ!!」
誰も居なかったはずの『鬼』の死体のそばに佇む白衣の男。
誰だ?白衣の男を護るように待機する三人も只者じゃない。
何より、ももかが怯えている。
僕に寄り添い震えている。
此奴らは一体……。
「実際に合うのは初めてだね。僕は『木原』、君の上司だ」
妙に聞き慣れた男の声は、上司である『木原』のものだ。
それだけで信用するには怪しすぎる。
「そんなに警戒するな、ご存じ『木原』様だ。君にくっ付いているももかに訊いたら分かるんじゃないかな」
「……ももか?」
裾を掴まれながら震えが伝わってくる。
尋常じゃない、これには身に覚えがある。
あの日、僕が『木原』と呟いたあの日と似た反応。
「……『木原』なんだな?」
小さく、頷く。
「そうか」
それ以上は詮索もしない、壊れてしまいそうだから。
「納得してくれたみたいだ。それじゃ改めて説明するね。ももかの肉体情報とサイボーグの情報は同じに作られている。人工筋肉、人口神経、人口臓物、ももかが『呪われた子供たち』になったらベースはモンハナシャコで確定している。それを違和感なく、ももかのDNAデータを成長させ、サイボーグに組み込んでいる。ようはその義体はちゃーんと生きてんだよ。あ、サイボーグだからってガストレアウィルスはマズイ、君達の定義で言う所の『人間』と『呪われた子供たち』の間の存在であるももかはとても不安定な綱渡りをしている。肉体と義体でバランスをとってるんだ。だからあまり義体の性能を落とすような無茶な使い方は好ましくない。軽い傷はガストレアウィルスの恩恵で人工筋肉も何でも治るけど腕は生えてこないなー……後で作ってあげる」
「……ご説明ありがとうございます『木原』さん。ももかもこのままじゃ不便だと思うのでよかったです」
「そ♪んじゃ本題に入ろうか、まさかそれだけの為に来たとかないよね?」
「まさか、嫌な予感がこれでもかと感じてますよ」
「ならよかった。このままじゃ不完全燃焼でね、彼女を試せなかったのはデカい。データを取りたかったよ……おっと脱線した。腕なんて後で幾らでも直してやるから主じ――――――里見蓮太郎くんを回収してきてくれないかな?」
「実験材料、もしくは駒にすると?」
「んな無粋な、死に掛けている彼を無事病院まで生きて連れてって欲しいだけだよ。その際、自分の身体の事をバラしといて、このままこそこそ義眼使うの面倒でしょ?」
「し、しかしそれでは!」
「大丈夫、室戸菫が背後にいるのはちゃんと知ってる。そこからグリューネワルト翁に行くことはない。『木原』にして貰ったといいなさい。それが最善だ」
「……何者なんですか」
この男が不気味だ。
理解の及ばない存在ほど怖いものはない。
「なに、唯の『木原』だ」
立ち去る『木原』に付き添う二人の少女は最後までももかと目を合わせなかった。
「……ももかの説明の方が面倒だ」
あれが『木原』、ももかの生みの存在。
ももかは今年で十歳だ。
これは――――――どういうことだ。
木原は退屈そうに眼を擦りながら、彼女に寄り添う伊熊将監に声を掛けた。
「心配しなくても彼女は起きている。もう自分で呼吸も動く事も声も出せないけど、脳は起きている」
この容器に入っていればそれだけ生きられる。
生命維持装置がチューブとして小さな肉体を蹂躙するように取り付けられ、呼吸器を肺まで居れ固定されている。排出物が容器内の緑色の液体と混ざらないよう下半身を覆う機械が取り付けられている。
これはレルネ専用『愛の棺桶』の簡易型をモデルにした兵器。
必要なのは高度な演算が可能な脳。
ベース:ドルフィンは作ってなかったせいか、コレを使える子が一人もいなかった。
まさか――――――
「まさか、並の脳では廃人になるとはな……夏世の専用装備確定だな」
五翔会の秘密基地の一つを貸してくれる約束だ。そこの格納庫に彼女を収納する。
僕は将監の肩を掴み耳元で語り掛ける。
「さぁこれが君の選択だ。彼女は生きている。生きているんだ。君の声は脳を通じて伝わるし、脳波を読み取って機械が彼女の声で通訳してくれる。伊熊将監……彼女を守るんだろ?男なら最後まで守ってみせろ」
「あぁ……俺は何をすればいい?どうすりゃ守れんだ?」
「簡単だよ、僕の仕事引き受ける……それだけで彼女を守ることにつながる」
「仕事?」
「彼女を安全な場所に移動させる。でもそれじゃあ宝の持ち腐れだ、この装置に幾らつぎ込んでいると思う?うん?」
「お、俺の……稼いだ金なら……」
「そんなんじゃ足りない。維持費も加算すればもっと足りない。でもそこを……僕が提供する仕事を引き受けるだけで免除してもいい。逆に給料も出そう。そう!!これは彼女の為になるんだ」
「あいつのため?」
「ガストレアウィルスの汚染を解決できるのは僕だけだ。僕の下で働けばその方法を真っ先に夏世ちゃんに試させてあげる。救えるんだよ彼女を」
「あんたの下に付けば救えるのか?」
「そうとも、世界でただ一人僕だけが彼女を救える」
「……わかった。何だってする。仕事をくれ」
「話が早い、ではさっそく君のヤル気を確認させてくれ」
"君の元雇用主三ヶ島影似を殺してこい"
その瞳には一つの決意。
千番台?勿体無い勿体無い、彼は強くなる。
何より東京エリアで自由に動かせる手駒だ。
丁重に扱うつもりだ。
それにしても、人権が軽い世界になったものだ。
『呪われた子供たち』は人間じゃないと定義する者たち、その自分たちでさえ軽いものだと気付かない。
この世界は――――――人類は死に掛けている。
終末論を信じるなら、この時代こそ終末なのかもしれない。
滅びが近いのなら、人間様が招いたツケを人間様がはらうだけだ。
これは人間がどうにかする問題だ。
ガストレアウィルスもゾディアックも人間の科学で生み出すのが可能な領域なのだ。
何と恐ろしい、何と滑稽か。
この問題が解決しても人間は再び自分の
いつか、必ず。
その翌日、三ヶ島ローヤルガーター代表取締役三ヶ島影似が殺害されたと東京エリアのニュースで流れた。
エンジェルビーツPCゲーは神ゲー、そう言えばアニメ五年前か……