西暦2021年前に転生したんだから科学者として頑張るしかないでしょ!!   作:namaZ

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原作入ったら書く気がずしーんと下がった。
原作通りに書こうとするあまり、縛られて執筆速度が低下。
四月は忙しく、五月もそれとなく忙しいですが、頑張ってみます。
アドバイス、感想等よろしくお願いします。









第二十二次観測

 防衛省襲撃から二日、住まいのアパートに戻らず情報収集と上司の報告に勤しんでいた僕に一通の電話がかかる。五翔会の情報課からの連絡だった。

 僕が一番聞きたかった言葉、「感染源ガストレアを発見した」がスピーカを透して僕に伝えられた。

 五翔会の情報網で誰よりも早く感染源ガストレアを見つけた僕は上司に報告した。

 感染源ガストレアを殲滅しケースを回収すれば今回の依頼と厄介ごとは解決する。

 それが――――――

 

 

「追跡するなとはどういう事ですか!?大壊滅よぉ!アナタは"利用できるものは何でも利用して東京エリアの壊滅だけは防いでね"と僕に命令しました。言っていることが逆ですよ」

 

《……勝てんの?》

 

「勝てます」

 

《へーそーならやって貰おうかな?僕ちゃんが到着するまでの時間稼ぎとでも考えてたけど勝てるならそれに越したことはない。それと防衛省での報告書読んだけど、ももかは影胤を視えてるよ》

 

「僕の目でも一度姿を認識しないと無理な事をももかは最初っから視えていたと」

 

《イエス。ももかのベース忘れたの?ももかの目の前ならステルスは無意味だよ》

 

「……後で問い詰めるとしますが、ケース回収の命令に変更はないと?」

 

《何が何でも東京エリアを護れ、四羽の羽ばたきを思い知らせてやれ》

 

「御任せ下さい」

 

 

 さてと。

 

 

「今の聞いてたよねももか?説明してもらおうかな」

 

「ビーダッシュッ!!」

 

「逃がすかッ」

 

 

 逃げ出すももかの足を四の時固めで捕らえる。手加減はしない。

 

 

「いたたたたたったたたぁぁああああああああいぃ!折れる!折れるから!」

 

「安心しろ、一瞬ですむ」

 

「すまない!すまないから!すいません!謝りますから!正直に話すからといてぇ!?」

 

 

 観念したももかの足を解放する。

 足を抱え痛みからか涙を浮かべている。

 

 

「演技はいいから話せ」

 

「演技じゃないよぉ……視えてた」

 

「なんで教えなかったんだい?」

 

「勝てないから」

 

「……それを決めるのは」

 

「お前じゃない?実際勝てねーなってブルっちゃったでしょ?ぬぐッ!?……無言肘打ちは勘弁して、マジで痛い。私も公衆の面前で使いたくなかったもん。悠河もバリア破れないのに切り札使いたくないでしょ?」

 

「……義眼も、ももかの本気も人目に晒したくない。まだだめだ……が、今日は誰の目にも、目撃者も存在しない」

 

「見られたら殺しちゃえばいいわけだしね♪モノリスの外は危険がいっぱいだ」

 

 

 

 

 

 目的地である外周区、三十二区を上空で視界に捉えたももかはここぞとばかりに悠河に毒を吐く。

 

 

「ねえねえ、ねえねえ!聞こえてる!!」

 

「聞こえてるよ!!」

 

「五翔会の情報網も大した事ないね♪」

 

 

 コレは言い返せない。

 まさか、民間の情報を受信して「見つけました」と報告してくるなんて。

 

 

「どんな組織も一人の人間を視つけるとなると原始的な方法しかない。東京エリアの聖天使と天童に存在を隠すとなるとより気配を消し隠密行動するしかない。今回は仕方がないと言えば仕方がないんだ」

 

「言い訳乙」

 

 

 蹴り落としてやろうかコイツ。

 僕たちは自衛隊の伝手でCH-47航空機で移動中、つくりにつくった借りの一つを返して貰った。

 そして、もうすぐ到達する戦闘区域で僕より先に影胤と対峙する一人の少年。

 

 

「文句は後で好きなだけ垂れ流せ、蓮太郎くんを助ける」

 

「助けるねぇ……落ちこぼれの私には重い言葉だ。一番槍は……悠河のわけないよね~」 

 

「当たり前、僕は君と違って柔いんだから丁重に扱うべき。さ、飛び降りようか」 

 

「その理屈おかしい!飛び降りる必要がな―――」

 

 

 下をのぞき込んで突き出した尻を靴底で押してあげた。

 もう一年の付き合いである。どう扱えばいいのか熟知している。 

 

 

「ロープ借りますね」

 

 

 自分は安全にロープで降下していく姿に自衛隊パイロットは戦慄を覚えた。

 少し離れた安全圏から降下(こうか)する悠河を蚊帳の外に、ももかは変体仮面の頭上に文字通り落下(らっか)していた。

 

 

「ぎゃあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"しゃらくせぇえええええええ!!なるようになれやコラあああああああああ!!自由落下怖いよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉマジむりむりむりむりむり内臓浮くうううううううううう!!」

 

 

 空を飛ぶ羽も足場も持ち合わせていないももかは、自然の摂理に従い変態仮面の頭上に落ちるしかない。

 落下地点の変態仮面は銃口を蓮太郎氏に向けている。もしかしなくて結構ギリギリ?

 私に気付いてるけど無視してるねぇやだやだ。

 バリヤ、ばりあー……バリヤでいいや、バリヤによほど自信があるんだねー落ちこぼれな私と違って人生を強者として過ごして来たんだろうなー……辛い。

 そんな落ちこぼれな私でも鳩が豆鉄砲を食ったよう顔に出来れば上的でしょ!

 

 

「悠河のシャイセ(クソ)!!」 

 

 

 ももかは、()()の状態で能力を行使した。

 重力落下のパワーを我武者羅に拳を突き出して全体重を乗せる。

 握り拳の右手を不可視の壁に叩きつけた。

 

 

「マキシマムペインッ!共々潰れろ」

 

 

 蒼白いフィールドが扇状に膨張し、恐ろしい勢いでももかと蓮太郎に殺到する。

 ももかと蓮太郎を圧殺する凶器の壁がももかと接触した。

 

 

「なァッ」

 

 

 脆弱な足場は衝撃を吸収しきれずクレータを生み出す。

 ももかが生み出した破壊の波は、影胤を地中深くまで埋めるが、斥力フィールドは破壊されず服に泥汚れ一つつかない。真上からは綺麗な円状にクレータが出来上がった。

 蓮太郎は衝撃の波に抗う術はなく、ゴミクズの様に転がる。

 轟音で引き返してきた延珠が蓮太郎を抱きかかえ心配そうに此方を見つめる。

 

 

「蓮太郎連れて逃げて」

 

「で、でも……」

 

「蓮太郎が死んでもいいの!?……私は大丈夫、八百番だよ?」

 

「くッ、すまんッ」

 

 

 九十九番目は落ちこぼれ、自分の事で精一杯で他人の心配なんてできない。

 強いね、延珠は――――――もう諦めたけどね。

 急いでよ悠河、逃げたくて逃げたくて仕方ないんだから。

 

 

「ヒヒッなんて威力だ。圧殺どころか『マキシマム・ペイン』を凌駕するとは、『イマジナリー・ギミック』では危うくダメージを負っていたよ。『マキシマム・ペイン』で攻撃に転じたおかげで破壊されても衝撃を殺しきったか、危ない危ない。攻撃は最大の防御を無自覚に体現してしまったよ」

 

「パパ、こいつ弱そう。延珠追いかけていい?」

 

「コラコラ愚かな娘よ、殺気だけで人を判断してはいけない……君の場合狩人に追い詰められた野兎の気配がする。私のフィールドを正面から破壊する力の持ち主とは思えないな。能ある鷹は爪を隠すとかかね」

 

「あー……もー……なんでもいいです」

 

「バラニウム製グローブ、この前はそんな装備していなかった。それが本当の武器か。鉄球グローブとはパンチ力に自信があるモデルなのかな?」

 

 

 そりゃばれるか、もう素直に殴られてくれないだろうなぁ解りやすいし。

 二人ともなんか使い手っぽいしやだなぁ。

 

 

「斬っていい?斬っていい?こいつ邪魔した。変わりに斬っていい?」

 

「好きなだけ斬りなさい」

 

「うん!」 

 

 

 状況が状況なら可愛らしい返事だなおい!狂気しか感じないよ。

 小比奈のモデルはマンティス、接近戦最強とのたまっているが武器を握った時点で本人の技量に左右される。

 蟷螂が接近戦に適しているのは認めるが、(イコール)強さとは限らない。

 尤も、経験豊富な上位民警には当てはまらないことは多い。

 トチ狂ったこいつも百番台は飾りじゃない。

 一、二分もったら御の字です。

 やばいよーはやくたすけにきてよバディ。 

 

  

「よければナメプして見逃してください!」 

 

「斬られたら考えてあげる」 

 

「ソレ意味ないヨッ!?」

 

 

 落ちこぼれの逃げ思考が功を奏した。

 ももかの戦闘スタイルは最初に先手を取るでも、受け止めるでも、受け流すでもなく、まず距離を取って逃げる。

 初めて戦う相手には逃げに徹する。何が得意でどんな戦闘スタイルなのか初見では外見でしか分からないからまず距離を取る。そのスタイルで小比奈の初撃を回避することに成功した。

 問題は次の二撃目。

 二刀流は右手を躱されても左手がある。機動力と速度は蟷螂が上、何とも分かりやすく首を両断しに来るがボクシングのファイティングがまたもや功を奏した。

 胴と首を護るこのポーズは鉄球グローブが顎と首を護っている。

 金属音と火花が飛び散る。無事に二撃目を防いだんだ。

 問題は此処から、縦横無尽に刃物を使いこなし命を刈り取る微笑みの死神は狂気に隠れた冷静さで斬りかかってくる。単調な攻撃はもう期待できない。

  

 コイツメンドくせぇー何やってんの悠河は!サポートしてくん無いとお肌傷ついちゃう。痛いのやだし。 

 えーい乙女の肌を何だと思ってんだ。

 

 

「痛いの我慢!」 

 

「ふひひッ」 

 

 

 致命傷は避ける。掠り傷は勝手に治る。

 牽制でジャブを放て、時間さえ稼げば悠河がくる。

 落ちこぼれの大得意な"逃げ"に徹すれば対処できる。

 影胤も加わったらちょいピンチだけども。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう……小比奈の太刀筋を眼で追って躱すか。優れた目を保有している。赤目にならないのはあの子のモデルにでも秘密があるのかな巳継悠河くん……?」

 

「気付いてましたか」 

 

「私が加勢しようとすればその隙に襲い掛かっていただろ?怖い怖い。このまま一対一で殺り合うのかな」 

 

「冗談がきつい、僕の今の兵装で貴方を殺しきる術はない」

 

「……では何をしに?死にに来たのなら喜んで手をかすよ」

 

 

 鼻で笑い此方を静かな眼で見つめる。

 その目は死にに来た人間の目ではない。

 これは――――――

 

 

「十年前の兵器が今の僕にどの程度通用するのか……手解きをお願いします――――――"先輩"」

 

 

 人の目では無い、機械の(まなこ)が私を貫く。

 見違えるものか、二つの義眼は紛れもなくバラニウム製。

 

 

「フフフ、フハハハハハハハハハハハハッ同類だったのか!先輩……なんともいいがたい響き、いいよ大歓迎だ。共に人間を辞めた者どうし殺し(遊び)合おうじゃないか」 

 

「使い方を間違った時点で僕との在り方は別物となった。この世界に貴方の様な組織に属さない危険分子は必要ない。世界平和の礎となれ」

 

「世界平和か……それは困る!!」

 

 

 『人間』としての進化を微塵も考えず諦め、『機械』の進歩に身を染めた二つの『兵器』が、人間を超えた兵士として激突した。

 

 

 

 

 

 

 







俺、ツインテールになります。今更ながら購入して読ませていただいています。
アニメとは違う味がして面白いです。
読みたい本が無い方は、方向性を変えてコレを読んでみるのも一興です。

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