IS 進化のその先へ   作:小坂井

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申し訳ありません


9話 戦いの行方

放課後

 

瑠奈は一夏とセシリアの試合を見るためにアリーナの観客席にいた。瑠奈はクラス代表の候補者ではないので関係ない試合なのだが見ておいて損はない。

 

アリーナの中央にはセシリアのブルー・ティアーズがすでにスタンバイしていた。

 

昨日、瑠奈がセシリアを気絶させておいたおかげで最低限のダメージで済んでいる。稼働に問題はないだろう。そうこうしていると白いISを装備した一夏が出てきた。

 

これで一夏はエクストリームほどではないが”源”を手にした。これから一夏は”源”が生む”力”と”暴力”と向き合っていかなくてはならない。それはとても悲しいことだがそういう宿命だ。

 

それからセシリアの射撃を合図に試合が始まった。

セシリアは昨日、瑠奈を油断する形で敗北している。

おそらく始めから全力で攻めてくるだろう、つまり一夏は小細工なしで正々堂々と戦わなくてはならない。

 

ISの経験面、技術面で負けている一夏には圧倒的に不利すぎる。実際のところ一夏にはセシリアの攻撃をよけ続けることが精一杯だった。

 

「27分。持ったほうですわね」

 

セシリアは息が切れている一夏を見ながら、自分の勝利を確信していた。試合が開始してから30分経ったが結果は予想通りだった。

 

セシリアのシールドエネルギーは満タンなのに対し、一夏のシールドエネルギーは3割を下回っていた。おそらく数発くらったら終わってしまうだろう。

 

「最後にもう一度チャンスをあげましょう、今ここで謝るのならここで引いて差し上げましょう。専用ISとの初戦が大敗だなんてかわいそうですからね」

 

「最初にも言っただろ..、その気はないって」

 

「そうですか...、ならばここでお別れですわね!!」

 

セシリアは一夏に銃口を向け、引き金を引こうとしたとき一夏の百式が激しい光に包まれる。セシリアや観客席が驚いているなかで千冬と瑠奈は何が起きたのか理解していた。

 

一次移行(ファースト・シフト)が来たのだと。

 

光が収まると百式は全く違う姿になっていた。所々に装甲が追加され、持っていた百式の武器である雪片は前とは比べ物にならないほどの出力を出していた。

 

一次移行(ファースト・シフト)!? このタイミングで!!」

 

セシリアは驚き、一瞬隙を見せた。その一瞬を一夏は見逃さない。一気に接近し雪片を叩き叩き込んだ。

 

やはり、威力は上がっているらしくセシリアは思いっきり吹き飛ばされる。観客は相手を吹き飛ばす雪片の威力にびっくりしたが、セシリアの削られたシールドエネルギーを見てさらに驚いた。

 

「い、一撃でこんなに!!」

 

満タンだったセシリアのシールドエネルギーが半分以上削られていたのだ。つまり、あと一撃くらえばセシリアは敗北する。イギリスの代表候補生として今日ISを動かしての初心者に負けるわけにはいかない。

 

「く、この!!」

 

セシリアは一夏の火力を集中させて落とそうとするが、スラスター性能も強化されているらしく攻撃をかわしながらセシリアに接近し雪片を当てようとするがそこで

 

ビビーーーー

 

試合終了を告げるブザーが鳴った。

 

「え?」

 

「え?」

 

一夏とセシリアは同時に困惑の表情を浮かべた。

 

ーーーー

 

まあ、こんなものだろう

 

瑠奈が試合結果を見てまず思った感想がそれだった。

一次移行をしたときは勝てると思ったが雪片の威力を見たときに勝てないことを確信した。確かに、雪片の威力は高いがその雪片のエネルギーはどこから持ってきているのだろうか?

 

機体に追加バッテリーのようなものが加わったようには見えなかった。

 

その答えは白式自身だ。白式のシールドエネルギーをエネルギーにし、攻撃する。

捨て身の攻撃もいいところだろう。しかし、一次移行(ファースト・シフト)というエクストリームにはない機能を見ることができた。

いろいろ問題はあるが試合結果がわかっただけ十分だ。

 

「男性IS操縦者の力、学ばせてもらった」

 

そういい、瑠奈はアリーナを出ていった。

 

 

 

 

 

 

「試合結果はどうだった?」

 

部屋の前まで行くと、楯無が瑠奈の部屋の前で待ち構えていた。

 

「一夏の負けでした。まあ、善戦した方でしょう」

 

初心者なのに、あんなに代表候補生を追い詰めたのだ。良くやった方だろう。

 

「ところで、なにかご用ですか?更識先輩」

 

「私のことは、楯無って呼んでいいわよ。それかたっちゃんでもいいし」

 

「なにかご用ですか?楯無先輩」

 

「つれないわねー。まあいいわ。ここでは何だから生徒会室に来ない?そこであなたにとって重大な話をしようと思うの」

 

瑠奈としては聞きたくないのだが、話を聞かずに現実から目をそらしているわけにもいかない。

 

「わかりました」

 

そう言い瑠奈は楯無と一緒に廊下を歩いて行った。

 

ーーーー

 

次の日

 

もうすぐ朝のSHRが始まる時間なのだが、瑠奈がいつまで経っても教室に入ってこなかった。

 

遅刻すると千冬に鬼よりも恐ろしい説教と体罰を受けさせられることは瑠奈も知っているはずだ。瑠奈はあの地獄を耐えることができるだろうか。一夏が心配していると

 

「それではSHRをはじめますよー」

 

真耶と千冬が教室に入ってきて瑠奈の地獄巡りが決定した。

 

「それでは、出席をとります」

 

真耶が出席簿を手に持ち、名前を読み上げようとしたとき

 

 

ガラガラガラ

 

 

 

瑠奈が教室にはいってきた。しかし誰がみても瑠奈の様子がおかしかった。

 

「小倉、遅刻だぞ」

 

「すいません・・・」

 

いつもなら千冬に皮肉の一言や二言ぐらい言ってから瑠奈は席につくはずの場面のはずが瑠奈はなにも言わずに黙って席についた。瑠奈は席に着いた途端、大きなため息つく。

 

なにか悲しいことか辛いことでもあったのだろうか?

 

それに対し、セシリアはなぜか朝から上機嫌だった。クラスメイトと目が合うとニッコリスマイル。まるで恋人が見つかったような反応だった。

 

本来ならセシリアは昨日、一夏に勝ったから気分が上機嫌なのはわかるとして、なぜセシリアに勝ったはずの瑠奈が落ち込んでいるのだろうか?

 

「それではSHRをはじめる」

 

クラス全員が頭に?マークを浮かべながら一日が始まった。

 

 

 




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