小坂井です
初めての小説投稿ですが、マイペースにやっていこうと思います
女尊男卑
この4文字が意味していることは、女が男よりも優れていて優秀という意味がある。
この言葉が人々に受け入れられ、この世界に浸透していってしまったら、過去の偉人が言っていた『平等』という言葉は綺麗ごとや妄言に過ぎない理想論だ。
だが、人類など生物の一種に過ぎない。
70億以上の生物が社会を形成し、生きているこの地球の中で一種の生物の雄雌の優劣などつけたところでいったい何になるのだろうか。
今から10年前にISという宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツが開発された。
しかし本来の目的とは裏腹に「兵器」としての開発が進んでしまった。
それだけならまだ自分と関係ないと思えるかもしれないがISには致命的な欠点がありそのせいで、世界中の男たちは困惑した。
その欠点は『ISは女にしか使えない』というものだ。
そのせいで、世界中の国は優秀なIS操縦者を確保するために「女性優遇制度」は取り始めた。それが女尊男卑の始まりだった。昔、世界は男尊女卑だったが、いまは女尊男卑となっている現状を見ると人は同じ過ちを繰り返すのだろうか。
さらに、ISを動かすのに必要なコアが世界で467個しかない。これによって世界は467個のISのコアを分けて使っていくしかなくなった。
世界中の国々は少しでも優秀で1人でも多くのIS操縦者を手に入れるため様々な手段を使って女性を勧誘し始めた。それが、さらに男との差別や格差を生むとはしらずに。
「変わらない世界だな・・・・」
毎日飽きもせずに女性優遇制度に異議を唱える男たちがおこした事件の報道やIS関連の話し合いが放送されているテレビが置いてある部屋で高そうなソファーに腰かけながら私はつぶやいた。知らないと拒み、拒絶して全てを否定して、他者を蹴落として人は生きている。
だとすると、この世界は自分以上に歪んでいる。だとすると、この世界を歪ませているのは何だ。ISなどでは無い。この世界のルールを決めている存在。それは何だ。
「失礼します」
すると、白いスーツを着た10代前半らしき少女が部屋に入ってきた。多感な時期の少女とは思えないほどの沈黙した雰囲気を放つ少女だ。
「こちらのコンタクトに応じてくれてありがとうございます」
その機械的で感情の籠っていない感謝のセリフ。社交辞令とはわかっているが、こんな年下の少女に言われるとなると、なんだか複雑な心境だ。
だがまあ、今更形だけのお礼や謝礼など聞き飽きてしまったので別に不愉快感も感じない。
「今日、来てもらった用件はここについてです」
少女はソファーの前に置いてある机に3~4枚のカラフルなパンフレットを置いた。
それは・・・・・
「IS学園・・・・これまた面倒な場所だな」
IS学園のパンフレットが置かれていた。倍率が高く、ISの適応値が一定に達していなければ入学することができない超難関高等学校。
世界から注目を浴び、憧れている人間も数多くいる場所だが、私はどうにもこういう公共施設は嫌いだ。
「数か月後に、男のIS操縦者が入学することはしっていますよね?」
「もちろん」
「あなたも、この学園に入学してもらいたいのです」
「なぜ?」
「この場で聞くのは、この学園に入学するかしないかの返答だけです。これ以上話を聞くのなら、この話を受けてもらうことになりますよ」
正直めんどくさいことになった。
今年で16歳になるため、IS学園に入学することはできる。しかし国に関係していることや兵器関係の仕事はあまり関わりたくない。ISのようなよくわからない兵器ならなおさらだ。
「迷っているようですが、この話で得をするのは我々だけじゃありません。あなたにも得はあります。IS学園に入れば、我々の組織を含めた全世界が3年間、あなたが望まない限り接触できません」
「IS学園が襲われないという保証はどこにもない」
「『そのときはるーくんの持っている力でなんとかしてねー』と束様から伝言を預かっています」
「ああ、そうかよ・・・」
脳内に浮かぶのは、ウサ耳をつけていつも人をバカにするようなへらへらとした笑みを浮かべている1人の女の顔。想像しただけで胃が痛くなる。
「わたくしも、このような人が集まる場所はお嫌いなことは承知しています。ですが、この学園には、あなたが求めている物があるのかもしれませんよ?」
なるべく、このような話を持ちかけてきた張本人である篠ノ之束と話したかったところだが、それを目の前の少女に当たっても仕方がないだろう。
宇宙開発を目的に開発されたマルチパワードスーツISがほしい組織や軍は星の数ほどあるだろう。そのほしいものが沢山ある場所がIS学園なのだ。
無法者が条約を破ってISを手に入れるためにIS学園を襲撃しても何の不思議でもない。その場所にも放り込むとは随分と迷惑な話だ。
「少し考えさせてほしい」
そういって私は、机にあるIS学園のパンフレットを持ち、ソファーを立ち向かいにあるドアを開けて出ていった。
ISは日本で作られたため、世界中の国々は日本にIS操縦者育成機関を要求し、日本はそれに応じた。それによってIS学園は建てられた。
ISが開発されて10年たったが、ついこの間『ISは女にしか使えない』という常識を覆した男がいた。
その男の名前は『織斑一夏』。私はさっきの決断の返答をするためにポケットから携帯を取り出し電話をかける。
「~~ということにさせてもらう」
「わかりました、その選択が間違いでないことを祈っています」
そうして、私は携帯をしまい、手元にあったIS学園のパンフレットをビリビリに破り捨て、暗い路地へ入っていく。
その時、ビュゥゥと冬の強く冷たい風が吹き、髪を引っ張っていく。
「嫌な風だな・・・」
消えそうなほどの小さな声でそうつぶやくと、着ていたコートを着直す。そのまま、尾行されていないことを確認すると、暗い路地の闇へ消えていった。
申し遅れた、私の名前は
今年からIS学園に通うことになった学生だ。
同時に1話も投稿しておきます
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