Fate/kaleid night プリズマ☆イリヤ 3rei!!   作:388859

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夕方~遠坂凛という他人~

 ようやく、とりあえずの日常を取り戻せた。凝りはあるが、それでも一段落した。足場は固まった。となれば、後は先を見据えた動きをしなければならない。

 放課後。斜陽が校庭に降り注ぐ中、俺と遠坂の二人は弓道場の裏にある雑木林に居た。聖杯戦争時で魔術関係の話をする定番のスポットだった場所である。本当ならルヴィアの邸宅で話せば良いのだが、何でも今日は屋敷に来てほしくのだとか。そこは人様の事情なので深くは突っ込まないが。

 というわけで、

 

「はぁ? 元の世界に帰る方法?」

 

 それまで背筋を伸ばして構えていた遠坂が、猫背になってこちらを見てくる。その目は何度も見てきた呆れた目だ。

 

「ああ。遠坂、確かゼルレッチって爺さんの弟子になって、第二魔法目指すんだろ? なら助言とか貰えないかなって」

 

「ゼルレッチの爺さんって……まぁ確かに、一癖どころか百ぐらい癖がありそうなクソジジイだけど……またなんで今頃?」

 

「色々一段落したからさ。となれば、次に目指すのは帰る方法だ」

 

「ポジティブなのかお気楽なのか……前向きなのはよろしいことで」

 

 む、さらっと馬鹿にされたようなニュアンス。ただ遠坂はきっちり考えてくれてはいたようで、

 

「んー……正直、衛宮くんの話を聞いてみた限り、何か要領を得ないのよね」

 

「? 何がさ?」

 

「だって、衛宮くんって第二魔法で飛んできたわけでしょ? 宝石剣の設計図に触れて、そこからは意識もなくここに来た」

 

「そうだけど……む? 可笑しいか?」

 

 いつも通りの一日を過ごし、あの洋館で魔術の手解きを受けていた。その途中で俺の世界の遠坂に宝石剣の設計図を渡され、飛ばされた。そのハズだ。間違いない。

 それからは色々なことがあったりしたが、今は省略して。

 

「それなのよ、可笑しいのは」

 

 遠坂はそんな俺の楽観的な思考を、呆気なく切り裂いていく。

 

「そもそも、秘奥の第二魔法に無断で触れたからって、あの爺さんがそこまで躍起になるとは思えないのよね……」

 

「? なんでさ? だって第二魔法だろ? ゼルレッチって爺さんも、それを会得するのに苦労したんじゃ……」

 

「大師父がどういう経緯で第二魔法なんてモノを引っ張ってきたか知らないけど、でもあの人はそんなことに固執する人じゃないわ……第二魔法なんて実験の一つで世界の法則なんて覆す禁忌、それこそ蠱毒とかの類いよ。自らトラップぐらい踏みにいかないと、欠片すら掴めない。その上で会得したなら、笑って色々教えるくらいの甲斐性はあるでしょ。変人ではあるけどね」

 

 遠坂はクラスカードの任務を受けたとき、実際にゼルレッチ卿に会っている。そこでどんなやり取りがあったかは知らないが、それでも遠坂がここまで言うのだから正しいのだろう。

 つまり、

 

「……遠坂からすれば、俺の言ってることは信じられないか?」

 

「信じられないわけじゃないわ。あなたがこの期に及んで、情報を渋るメリットも無いしね。だから可笑しいなら、あなたの記憶の方なんじゃないかしら」

 

 記憶、か。言われてみれば、俺の記憶はこの世界と元の世界の記憶が混濁していて、信憑性は下がる。修正されていくことで、思い出せないことも依然増え続けている。

 だが……。

 

「……あれ?」

 

「どうしたの? もしかして、何か引っ掛かることが?」

 

「ああ、いや……」

 

 そう言えば。記憶を探りながら、ふと、思った。

 

「俺……他の記憶は全部思い出すのに苦労してるのに、元の世界から跳ぶ直前のことは、なんでか鮮明に思い出せるな、って」

 

「跳ぶ直前? それって、宝石剣の設計図に触れたすぐのこと?」

 

 頷く。よく考えれば、何でこんな簡単なことに気づかなかったのだろう。今だって元の世界の遠坂を思い出そうとすると、顔の輪郭すら危ういイメージしか湧かないのに、最後に意識を失う前の記憶はスッと思い出せる。俺の言葉に遠坂は口をへの字にして、

 

「そういうのは早く言いなさいよ、全く……まぁでも、それが分かったからどうということもないんだけど」

 

 遠坂は、

 

「あなたがどうやってここに来たのか。わたしなりに考えてみたんだけど……どう考えても情報が少なすぎるのよね。だってあなた、何も知らないし」

 

 うっ、確かに。

 

「だから違う視点から考えてみたの。一つは勿論敵方。そしてもう一つは、わたし。わたしなら(・・・・・)、どうやって、何のためにあなたを跳ばすだろうって」

 

「……まさか、遠坂が跳ばしたって言いたいのか!?」

 

 怒りよりも先に困惑した。なんだってそんな無駄な検証をするのか。遠坂が俺を跳ばした? そんな、馬鹿なことがあるわけない。

 

「いや、あり得ないだろ。なんだって遠坂が、ああいや元の世界の遠坂が、この世界へ跳ばすんだ? 大体どうやって? アイツ、第二魔法なんて半分諦めてたぞ」

 

「……それはもしかして左肩のそれに関係あるのかしら?」

 

「へ?」

 

 左肩……あっ。

 今でこそラインは消えているが、俺の肩には遠坂の魔術刻印が移植されている。あくまで一部だが、それでも遠坂家にとってはかなり痛い出費ーーそれも間違いなく俺なんかが身切りしても払えない感じーーなのである。

 

「……い、いつから気づいてた?」

 

「最初は変な共鳴、じゃないけど、違和感が腕にはあったわ。気づいたのはあなたの正体が分かってから。それで? あなたの世界のわたしは、何がどうなったら衛宮くんに魔術刻印を移植するくらいの仲になったのかしら?」

 

 そ、そこまで感づくとは。流石天才。しかし笑顔でそんなずいずい寄られてもこう、困る。一言では言えない仲なので。

 

「……え、えぇと……それなりに仲良くさせてもらって、ます?」

 

「なんで疑問形なのよ? ふんっ、まぁ良いわ。ほぼ初対面のわたしに対しての視線とか、信頼がどうにもチグハグしてたし、というかやけにフォローが手慣れてたし、あーくそっなんだってのよこの敗北感はぁ!!」

 

 何故か地団駄を踏む別カノ(別世界の彼女)。あー、人の事言えないしなぁ……アーチャーの奴への感情だと思えば、分からなくもないし……。

 

「遠坂、話を戻そう。これ以上は俺達にとって何も残さない。多分泥沼だ、果てしなく」

 

「むむぐ……」

 

 ぷひー、と鼻息を一度吹かすなり、ぱっぱっと身なりを整える遠坂。正常とは程遠い表情をしているものの、彼女はこほんと空咳を打って何とか立て直しを図る。

 

「んっ……じゃあ、続けるけど」

 

「おう、どんと来い」

 

「誰のせいだと思ってんじゃこの……ううんっ、続けるけど」

 

 大丈夫かホントに。しかしそんな俺の心配も杞憂で、遠坂はすらすらと、

 

「わたしならどうするか、って考えるとね? まずここへの跳び方に焦点が行きがちだった。でも分からないから、そこはすっぱり切り捨てて考えると、それ以外の要素は全部揃ってるの。不思議なことにね」

 

「例えば?」

 

「例えば、あなたの記憶が残ってること。それをわたしが跳ばしたって視点で見ると、違う意味を持つと思うの」

 

 つまり、

 

「わたしはあなたをここへ逃がした。そのために記憶は残しておいた……としたなら、繋がってくると思えない?」

 

「……逃がした?」

 

「ええ。確か、カレンだったかしら。彼女、あなたの世界出身なんでしょ? アイツの記憶が残ってるとしたら、彼女はわたしが送った派遣、救援ってところね」

 

 確かに。敵からすれば、カレンを送る意味もない。だが、

 

「それなら遠坂自身が来たら良いじゃないか。それにカレンだって、魔術師ですらない、ただのヘンテコ修道女だぞ。戦いには向いてない」

 

「分からない? わたしが、あなたを逃がすために、ここへ跳ばしたのかもしれないってことはね。わたしやサーヴァント一人が居ても、あなたを逃がすくらいしか出来なかった。それだけ状況が切羽詰まってたってことよ?」

 

「……」

 

 思い出す。いつか聞いた、呪いの声を。

 

ーー遠坂凛はそこまで強くないんだ。

 

 手遅れになる前に、どうにかしろと。そう忠告した声を。

 戯言だと思っていた。幻聴か何かかもしれないと。だからルビーは勿論、遠坂や親父達にもこのことは言ってない。

 でも今になって、周りをよく見える位置に立つことで、初めてその感情が芽生えてきた。

 恐怖。元の世界がどうなっているのか。誰の手に落ちているのか。いや、そもそも俺の知る世界のままなのか。自分がいかに未来を見えていなかったか、思い知る。

 

「未熟な弟子一人をこんな風にほっぽってる以上、敵に捕まったか、何らかの妨害をされているのか……推測でしかないけど。でも安心なさい、なんたってわたしよ? 一杯食わされてもただじゃ起きないわ、絶対に」

 

 不器用だ。顔に心配すんな、とぶっきらぼうにも丸々書いてある。笑いがこみ上げてくるのを我慢して、小さく首肯した。

 

「まぁ何にせよ、わたしがあなたをどうやって跳ばしたのかが判明していない以上、どうにもならないのは確かよ。で、今度は逆。敵側に立って考えると、今度は妙に符合しない点が多くなってくる」

 

 さっき言ったカレンのことや、俺の記憶のことが主にそうだろう。敵が何のためにここへ跳ばし、中途半端な処理で放置しているのか。その全てが全くもって不明瞭なのだ。

 

「衛宮くんをここに跳ばした誰かと、クラスカードを製作した魔術師は、間違いなく繋がってる。わざわざこんなところへあなたを転移させたなら、殺す以外に何か目的があるハズなんだけど……」

 

「時間稼ぎとかじゃないのか? 俺の世界の遠坂と結託するのを防いだとか」

 

「なら尚更記憶を処理しないのも不自然だし、そもそもそれなら時間を稼ぐんじゃなくて殺せば良い。あなたの魔術は特異ではあるけど、クラスカードなんて代物作れる相手からしたら、むしろ邪魔なんじゃないかしら」

 

 俺の投影は英霊の宝具すら容易く再現する。武具だけで人は強くなれないが、真名解放だってやれば出来た。英霊をカードにし、それを使役する敵からすれば、確かに魔力だけを対価に作り出す俺の存在は邪魔でしかない。上手く使えば、人間でも英霊を倒し得るだけの武器を魔力の続く限り生み出せるのだから。

 そんな俺を、残す必要が果たしてあるのか?

 

「……それでもお前は、敵方の視点から考察してる。なら、可能性が無いわけじゃないんだろ?」

 

「ええ。何せどうやって跳ばしたか、この一点だけなら相手は明確だから」

 

 そう。

 世界の移動、そんなものは奇跡に近い所業だ。ならば奇跡を行えるモノがあれば、その点が繋がる。

 

「……クラスカードは、サーヴァントの力をカードに閉じ込めた礼装だ。つまり、元となるサーヴァントを呼び出さないとまず話にならない。そしてサーヴァントを呼び出せるほどの大容量の魔力はそう簡単に用意出来ない。それこそ遠坂みたいな魔術の名門でも」

 

 元の世界の遠坂は、俺と協力してセイバーを現界させていたが、それだって相当な無茶をしていたのだ。戦闘なんて持っての他である。あくまで呼び出したのは聖杯であり、マスターなどその楔でしかないのだ。

 逆を言うなら、聖杯さえあれば良いということの証明でもある。

 

「そう、聖杯による召喚……聖杯を使えば、世界の移動は勿論、サーヴァントの召喚だってお手のもの。そうでしょ?」

 

 俺は聖杯を使ったことが無いからどんな願いまで叶うのか、何とも言えないが、その名前の看板はそこまで安くない。あらゆる組織がその価値を認めた奇跡が聖杯だ。少なくとも俺の想像する全てが叶うのだろう。

 となると、

 

「敵はやっぱりクラスカードの製作者……俺の世界の聖杯戦争の関係者か。というか、それ以外に候補が居ないけどな」

 

 クラスカードが冬木市に埋め込まれた同時期に、俺は跳んできた。何をさせたくてここに跳ばしたかは今も不明だが、少なくとも感動の再会などのお涙頂戴のために跳ばしたわけでもない。むしろ俺を追い詰めようとしたのだろう。

 と、

 

「それはどうでしょうね。衛宮くんの世界の住人とは限らないんじゃない?」

 

 遠坂は人差し指を立て、

 

「良い? クラスカードは確かに衛宮くんがここに移動した同時期に出現した。そのカードも衛宮くんが体験した聖杯戦争のサーヴァント達がほとんどだった。間違いない?」

 

「ああ……それが?」

 

「サーヴァントをほとんどあなたは知ってた。でもあなたも知らないサーヴァントが居た。となると、あっちはそれを見ていたってことでしょ?」

 

「……見てた? 誰が?」

 

 バカ、と容赦なく遠坂は罵倒しながら、

 

「言ったでしょ、聖杯よ? もし相手が聖杯を持っているのなら、別にあなたの世界の住人じゃなくても良いじゃない」

 

「……?」

 

「あーもう、本当に察しが悪いわね! 忘れたの? 聖杯なら、あなた達の聖杯戦争を知ることも、あなただけを跳ばすことも可能じゃない!」

 

「あ」

 

 そうだ。……そうだ!

 聖杯は何も一回ぽっきりの使い捨て切符じゃない。贋作であろうと、力があるのなら、願いの限度はあれど回数制限はない。俺達の聖杯戦争を知り、そこからクラスカードを作り、そうして勝者の俺をここに跳ばすことだって、可能なのだ。

 

「ここまで色々仮説を立てたけど、わたしの仮説はこうよ。衛宮くんの記憶はともかく、あなたがここに跳ばされたのは聖杯によるものなんじゃないかってこと」

 

 そうか、なるほど。この可能性は考えもしなかった。少なくともクラスカードの製作者は聖杯を持っていなければ、七枚、いや八枚ものクラスカードを量産出来ない。召喚、という工程がなければ。

 

「そしてもう一つ。あなたを跳ばした主犯は、多分あなたの世界の人間でも、この世界の人間でもないわ。ほぼ間違いなく」

 

「……いくら相手の魔術師に隠蔽技術があっても、魔術協会や聖堂教会が聖杯を感知しないわけがない。何処からか漏れる。でもここではそんな動きは何処にも無かった、そうだろ?」

 

「正解。衛宮くんも頭のギアがようやく上がってきたようね、よろしいよろしい」

 

 冗談めかして遠坂は続ける。

 

「お察しの通り、わたしが探った限りじゃどちらからも目立った動きは無かったわ。聖遺物クラスのモノを回収した、もしくは見つけたなら誰かがそれを嗅ぎ付ける。けどそんな匂いは何処にもない。だから相手はこの世界にも、あなたの世界にも居ない」

 

「だから相手は第二の平行世界から、か。クラスカードを回収しに来ないってことは、まだあっちもこっちのことは認識してないんだろうけど……まいったな。この世界に居ないんじゃ、対処しようがない」

 

 クラスカードを回収して、そろそろ半年近く。音沙汰が無いのは相手も何らかのトラブルがあったからと踏んでいるが、平行世界なら話は別だ。あちらが攻められないように、こちらも攻められないのでは話にならない。

……頭が痛い。どう考えても残り半年かそこらで終わりそうな案件ではない。

 ルビーが言っていた。魔術を全開で使えば、半年しか体が保たないと。転移が第二魔法で無かったとはいえ、起こった現象はそれと同じだ。故にルビーの宣告は覆らない。

 手をこまねいている今、ジリジリとタイムリミットが迫っているのである。

 どちらにしても、ピースが足りない。仮説を立てても、それを埋める欠片が、そこら中に溢れている。

……これ以上は収穫もない、か。

 

「……遠坂はどっちだと思う? 敵か、それとも俺の世界のお前がここに跳ばしたか」

 

「そうね……まぁ信憑性としては、敵が跳ばしてくれたなら万々歳なんだけど。こうして敵の目論見は外れて、衛宮くんは元居た世界へ帰るための道筋を立てている。でも、もしこれがあなたの世界の遠坂凛によるものなら」

 

 苦い顔で、こう続ける。

 

「遠坂凛が追い詰められて、あなたを跳ばしたなら。いや、逃がしたなら。そんな最悪のケースも想定しておいた方が良いのかもしれないわね」

 

 重苦しい空気が、林の中を支配する。それは何より、自分がこの状況の脅威を認知したからこそ、余計に行き詰まった気がしたからだ。

 

「……どうしたもんかな」

 

 ついぼやいて、すぐにそんな弱さを吹き飛ばすように頭を振る。

 クロに言ったじゃないか、心を強く持てと。その俺がこれでは話にならない。

 

「ま、ジッとしてはいられないでしょうけど、一人で突っ走ることだけは止めなさい。イリヤ達を心配させるだけだから」

 

 遠坂の忠告に頷き、心の中で謝る。俺の寿命のことは、ルビーとサファイア以外知らない。クロでさえだ。だから謝っておく。多少無茶しないと、この問題は解決出来そうにないから。

 と、つい話し込んじまってしまった。もう六時前になろうとしている。これ以上は待たせるわけにもいかない。

 

「遠坂。悪いんだけど、今日俺用事があってさ。寄りたいところあるからここからは一人で帰ってくれるか?」

 

「別に良いけど……用事って、新都の方? 何かあるの?」

 

「ああ、ちょっとな。思い出の場所っていうか……」

 

 ふーん、と疑いの視線をぶつけてくる辺り、遠坂の中での俺の評価が伺えるというものだ。しかしそんな疑いの色も、すぱっと放り捨てるのが遠坂だ。

 

「ま、なんでも良いけど。……ああそう、あなた最近美遊と何か話した?」

 

「は? 美遊と?」

 

 また随分と唐突な質問だ。この脈絡の無さ、遠坂にしては珍しい。

 

「なんだよ藪から棒に。美遊に何かあったのか?」

 

「……ううん、別に。あなたが何も無いなら良いの」

 

「? おい遠坂、何か隠してるならはっきりと言ってくれないと」

 

「良いから良いから。ほら、行った行った」

 

 しっしっ、と追い払いながら、遠坂はむすっとしたまま背を向けた。横暴にも程があるが、アレは遠坂なりに配慮してくれた結果、ああなっただけだ。これ以上は何か聞こうとすれば手どころか呪いでも飛んできそうである。

 目的を果たしにいこう。雑木林を抜け、そのまま俺は目的地へと進み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーInterlude1-1ーー

 

 

 本人はそういった言葉を毛嫌いするが、遠坂凛は将来を約束された有望な魔術師だ。

 魔術の名家である遠坂の長女にして、並外れた魔術回路に、五大属性全てを高レベルで扱う五大元素使い(アベレージワン)の才能。若くして時計塔鉱石学科の次期首席も夢ではないと噂されるくらいだ。

 そんな遠坂凛だが、ここ数ヵ月でそんな見識を、悉く叩き壊されていた。

 

「はぁ……」

 

 凝った肩をトントンと拳で労りながら、凛は嘆息する。

 クラスカードをばらまいた元凶。その正体を考えなかったわけではない。ただ、ヒントが全く無いから推理すら出来なかっただけで。

 しかしカードを集める度に、凛は考えを改めていた。

 これは、まともじゃない。

 一つの時代に一人現れるだけで、まるごと塗り替える英傑を、町の至るところに七人仕掛ける。これだけでも相手が相当頭のネジの飛んだ相手だと察せられるのに、それを礼装に仕立てあげた?

 スケールが違いすぎる。あんなモノを作るなんて、戦争でも起こすつもりなのかと。そんな首謀者がどれだけ危険か、分かったモノではない。いや、きっと自分では理解することすら出来ないに違いない。

 そんなときに、イリヤと士郎の事情が分かった。

 聖杯、そして第二魔法。それらの符号を合わせれば、自ずと一本の線が見えてくる。

 

(……仮に第二魔法、いや聖杯によってクラスカードがこの世界に送られてきたとして。本当にこの世界に来たのは、それだけ?)

 

 クラスカードをこの世界にもたらした意味は全く読み取れないが、それにしたってこうも無反応は可笑しい。普通は集めた瞬間や、集める途中でちょっかいをかけても可笑しくないハズだ。つまり相手は今、こちらの世界の内容を知る術が無いということになる。

 そして、それは同時にーーあちらの手元には聖杯がなく、クラスカードと一緒にこの世界に辿り着いた可能性があるのだ。

 ここでポイントとなるのが、聖杯の形だ。聖杯と言えば、イメージするのは黄金の杯のような、いかにもそれっぽいモノである。

 しかし凛は知っている。この世界ではその器を、ホムンクルスにしたことを。もしもその世界でも聖杯がただの器だけでなく、例えば人間を象ったモノだとしたら。そしてそれが、ここにもあるのだとしたら。

 その候補は、たった一人しか居ない。

 

「……わたしにどうこう出来る問題じゃないのは知ってるけど……」

 

 知っていたハズだった。

 空は遠い。(ソラ)は遠い。世界(ソラ)は遠い。

 客観的に見れば、人間の力なんてちっぽけで。だからその世界に近づくために、魔術を磨いてきた。冷酷に。純粋に。ひたすらに。人間性を削ぎ落としてでも。

 でも、そんなことをしても目の前の問題は何一つ解決出来ない。

 自分より年下の子供に頼り、お人好しの少年に頼り、あげくの果てにはそれを良しとしなければならない状況で。

 いや、以前からそうだったのだ。

 クロのときも。クラスカードを回収したときも。結局凛は苦渋の決断と自分を偽って、他人に託すことしか出来なかった。

 魔術師だから。英霊には勝てないから。人様の事情に首を突っ込むわけにはいかないから。

 理由は何通りだって思い付く。思い付くから、そうした自分の醜さがどれだけ周囲を巻き込んでいたか、初めて分かった。

 

「……わたしってば、いつからこんな卑屈になっちゃったんだろ」

 

 出た笑いにも、些か力がない。

 そう言えば、と。凛は夕焼けを仰ぐ。

 あの日もこんな風に、綺麗な夕焼けが差していた。だだっ広いグラウンド。自分の背丈ほどもあるバー。それに向かって走っては飛び、全く越える気配のない高さへ挑む、彼。

 彼の棒高跳びを見て。それまで培ってきた何かが、それに語りかけていた。

 それを見てはいけない。

 それを認めてはいけない。

 けれど目は釘付けになったまま、体は動いてしまった。

 

ーーでも、それが挑戦を止める理由にはならない。

 

 今思えば、あのときから遠坂凛は怖かったのだ。

 少年の異常なまでの頑固さに、ではない。

 無駄を無駄とせず、まるでその無駄こそが何よりも財産であるように語る、その横顔が。

 美しかった。誰よりもそれを見ていたから、その行為に意味があったと認めてしまいそうになったから。

……もしあの時。変に意固地にならずに。

 自分もこの高校の制服を纏って、衛宮士郎と一緒に学校へ行っていたら。

 少なくとも、もう少し自分も誰かの相談に乗ったりして、こんな時に役にたてたのではないか、なんてーー。

 

「……あー。こりゃ馬鹿が移っちゃったかな、わたしにも」

 

 顔を手で隠して、また溜め息。

 帰ろう。こんなのは間が差したのだ。今更どうこう出来る問題じゃない。自分は魔術師、そういったことまでケアする必要はない。それは無駄だ。全くもって、無駄でしかない。

 

ーー仲良くさせてもらって、ます?

 

 そう。全部全部簡単に切り捨てられたら、どれだけ良かっただろう。

 この胸の疼きも。

 溢れそうになる言葉も。

 そして何より、自分はもう負けていることも。

 全部、忘れてしまえたら良いのに。

 背筋を伸ばす。優等生遠坂凛の仮面を被って、雑木林から校庭へと戻る。とにかくこのままじゃいけないと。

 が、そんな仮面はすぐに剥がされてしまう。

 弓道場の真ん前。今しがた来たのだろう、制服姿の美綴綾子が手を振ってきた。

 

「おーおー遠坂じゃん。どうしたそんな恋愛スポットから出てきてさ、まさかついに誰かに告白してきたりしたわけ?」

 

「……あのね綾子。わたし告白されるより前に、ちゃんと告白するタイプだから。そこは譲らないから」

 

「言うじゃん優等生。わたしはどっちかと言うと待つかな、いや自分で行くかな。うーむ」

 

「知らないわよそんなの」

 

 ぴしゃりと吐き捨てるが、綾子は全く気にも止めない。グッバイミス優等生、お帰り数分前のキャット遠坂凛。こやつの相手は優等生スキンではどうにもならぬ。

 美綴綾子という少女は、凛にとって数少ない本性をさらけ出せる相手の一人だ。変に女々しくないし、かと言って馴れ馴れしくもない。サバサバとしている、と言えば男勝りなようにも聞こえるが、彼女は単に姉御肌なのだろう。年相応には恋も青春も謳歌したいんだそうな。

 

「部活は? 主将さんがこんなところで油売ってて良いの?」

 

「ご尤も。でもまぁ、うちはそんな伝統とか規則とか格式とかでがんじがらめってわけでもないし、顧問からしてゆるゆるだしね。勿論、部活そのものに手を抜いてるわけじゃないけどさ」

 

 このくらいが丁度良い塩梅、と勝ち気な笑みを見せる綾子。その姿はまさに日向側の人間で、嫌でも日陰側の人間である凛には、眩しく見えた。

 無い物ねだりもそこまでにしなければ。隣の芝生が青いなんてこと、ずっと前から知っている。

 

「そう。なら弓道が恋人の主将さんには、早く彼氏に会わせてあげないとね」

 

「わたしは仕事が恋人なOLじゃないっての! ていうか遠坂こそ、後追わなくて良いわけ?」

 

「あと? 誰の?」

 

……はて? 自分がそこまで親しい相手なんて居ただろうか。少なくともさっき別れたシスコン馬鹿の他にーー。

 待て。

 今、何を考えた。

 

「だーかーら。あんた、衛宮のこと好きなんでしょ(・・・・・・・)? あんな楽しそうに話してるし、一人でほったらかしにしといて良いの?」

 

「ば、っ、は、あぁッ!?」

 

 勢いで周囲と件の少年の姿の姿がないか確認する。首が取れる勢いで目を走らせ、すぐに凛は綾子と肩を組んでこそこそと話し出す。

 

「な、何がどうなったらそうなるのよ!? え、衛宮くんと? わたしが? ま、まさか、そんなわけ……!」

 

「むしろ隠してたつもり? わたしは大っぴらに公表してんだろうなって認識だったんだけど。分かりやすいし開き直ってるのかと」

 

「そ、そそそそんなわけないでしょ!? だーれがあんなトーヘンボクが、す、す、うがぁーーっ!?」

 

「そのトーヘンボクに、今みたいにヤキモキしてるわけだ。なるほどなるほど」

 

 クク、と実にイイ笑顔の綾子と、ぐぬぬ、と恥ずかしいのやら怒っているのやらはたまた泣きそうなのか、百面相を披露し始める凛。なお百面相中は足の先から脳天まで林檎のように真っ赤である。最早察してくれと言わんばかりだ。

 

「まぁまぁ。最初は刺々しくて、喧嘩売りっぱなしのあんたも、少しはマシになったんじゃない? 牙抜かれた、というか、チーターが猫になったみたいな格下げだけど」

 

「……そりゃ心配してくれてどうも。というかわたし、そんなにモメ事起こすような態度取ってた?」

 

 今思えば、大師父の判断のせいでイラついていたのもある。でも何より、魔術の探求が、こんな島国に居ることで遅れることが一番苛立っていたのだ。今は時間が経ち、そんなことする前に様々な事件があったせいでろくに考える暇も無かったわけだが。

 

「それも自覚無し? 遠坂、あんたも大概疎いというか、衛宮と似た者同士というか……あー、だから惹かれあったのか。納得」

 

「もーその話は良いから!! さっさと部活行け、こんにゃろーめ!!」

 

 うがーっ、と捲し立てるものの、どうにも負け犬の遠吠え感は消えない。流石にこれ以上は遅れることは許されないのだろう、綾子は好好爺みたいな笑い方で弓道場へ足を運んでいく。

 と。弓道場に入る前で、綾子は言った。

 

「ね、遠坂」

 

「なに? 言っとくけどからかうなら」

 

「わたしはさ、アンタがここに来て良かったって思ってる」

 

「は?」

 

 なんだ、いきなり。唐突な告白に凛が眉根を寄せるものの、さして綾子は気にせず、

 

「だってアンタ達が居るだけで、毎日学校が大騒ぎなんだもん。もうちょっと静かにしてって思うときも無くは無いけど、まぁそれも悪くはないじゃん? 楽しいしさ」

 

「……つまり?」

 

「アンタはどう? 楽しい、学校は?」

 

 普通の問いだった。そのハズだった。

 でも何故か、心臓が跳ねた。そんなことは考えもしなかったから。

 

「なんで……」

 

「そんなこと聞くのって? だって遠坂、最初は学校早退してたりしたじゃん。家の都合とかで」

 

 それは……魔術で使う宝石とそれを調達する金が不足していて、ルヴィアの屋敷でバイトしていたから、なんて口が裂けても言えない。情けないし。

 でも。こうしてここでの生活が数ヵ月過ぎた今だから、振り返ってみれば。最初の頃、自分は楽しめていただろうか。

 一年なんてあっという間、なんて無駄が多い一般人の理屈で、魔術師は違う。一日一日が血肉の糧となり、形成される魔術にそれが色濃く現れる。

 だからこそ自分の魔術が使えなくなりそうになったとき、プライドを捨ててまでアルバイトを始めた。それが着実に未来の自分に結び付くと信じていたから。

 でも、本当にそれだけだっただろうか。

 何処かで思っていなかったと、そう心から言えるだろうか。

 こんな砂糖菓子みたいに、甘さで溺れそうな場所から、一刻も早く離れたく無かったかと。

 

「……わたしは」

 

 二の次はない。答えられない。だから続けたのは、日向の側に居る少女だった。

 

「そんなアンタがさ、学校に一日一日来るようになったのって、衛宮のおかげでしょ?」

 

「……ん、まぁ」

 

 綾子の言う通りだ。

 ある日、いつものようにアルバイトに励んでいたとき。あの少年は、こう言ってきたのだ。

 

ーー俺はあんまり遠坂のことを知らないから、ここでの生活をどう思ってるかは分からない。でも。

 

ーーもしも遠坂が、この無駄を許容出来るなら。少しくらいは寄り道したって、良いんじゃないか? だって損じゃないか、せっかくこんなところまで来たのに魔術のことばっかりじゃさ。

 

 無駄と損という言葉にとかく弱い凛だが、それだけじゃあ学校には行かなくなっていっただろう。何せ天秤にかけるならば、魔術の比率が勝つ。

 だからこそ続いた言葉に、心を揺らされたのだ。

 

ーーまぁ、言葉を並べたけどさ……俺は、お前に来て欲しいんだ。無駄かどうか、損だったかどうかじゃなくて。一緒に学校に行きたいんだ、遠坂と。

 

 あの日から数年。世界が変わっても、背丈は伸び、魔術師になっていても、その瞳は、心は欠片も変わっていなかった。

 流れいく時と変わりいく季節。そんな中で、どんなときでも、手を差し伸べてくれたそれは、なんてーーーー。

 

「おーおー浸ってる。そんなに王子様が好きかい?」

 

 あーもう、ぶち壊してくれるんだろう。

 

「……いつか天罰が落ちるわ、あんた」

 

「そう言うなって。衛宮の奴のおかげで、アンタもここに馴染めたんだしさ。わたしも毎日がもっと楽しくなったし!」

 

 良いことづくめっしょ、と気楽に言ってくれるクラスメイト。凛としては頭が痛いことこの上ないが、

 

「で、今は? 学校は楽しい、転校生?」

 

「……まぁ」

 

 すぅ、と息を吐く。背後の黄金色に染まった校舎を一瞥し、

 

 

「ーーうん、楽しいわ」

 

 

 こんな無駄だって、時にはあってもいい。

 魔術の糧になんかならなくても。

 人生を彩る、思い出にはなるのだから。

 だから、今はそれで良い。

 

「ライバル多いから頑張りなよ遠坂ー。胸だとアンタ同学年だと最下位なんだしさ」

 

「そんなことないわ! あるわ! 人並み程度にはあるわ!?」

 

「そうかぁ? 金髪の転校生さんと並ぶと一目瞭然じゃん」

 

「アイツと比べんな!! ちくしょーめ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーinterlude end.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新都は、帰宅中の人々でごった返していた。バス停や駅、建物から、何度も出入りする様は生き急いでいるようにも見える。一日を終え、これからあるべきところへ帰るのがほとんどだろう。

 そんな人の波に逆らいながら、淡々と歩く。そう、一般人としての時間は一旦終わり。ここからは魔術師として、目的を果たさねばならない。

 一定時間歩いて、目的地が見えてきた。街灯も少ないが、忘れようもない。管理が行き届いた墓地を横切り、着いたのは教会だった。

 そう。元の世界で聖杯戦争の監督役である、あの男が居た、不可侵の教会。周囲が木々に囲まれているからだろう、空と教会の先端は赤く染まっているが、そこから下は全て影が支配している。ここでも同じではあったが、その役目は当に終わり、十年の月日が流れているハズだ。

 なのに、この空気は変わらない。

 寒々とした、物寂しさというよりは色褪せた写真のような外観、空気。足が前に進むことを拒絶する、魔術師の屋敷と似た気配を感じる。

 

ーーもしものときは、全身凶器女か、ドSシスター頼れ。

 

 呪いの男は言った。怨念と狂気の声で。

 信用したわけじゃない。所詮は狂言だ、信ずるに値しない。

 それでも、進まなければならない。

 ここに鍵がある。それだけは確かだから。

 扉の前まで行くと、深呼吸する。扉の取っ手に触れると、たまらず身震いした。鉄独特のざらざらとした感覚だけではなくーーまるで逃さないと、取っ手に掴まれたような気さえした。

 

「……今更何を怯えてるんだか」

 

 ここは衛宮士郎にとって、間違いなく鬼門だ。地下に何があったかは知らなくても、自分は無意識にここへと足を踏み入れることを心から避けていた。

 だから、進まなくては。

 ここにこそ、色んな謎を解く手がかりがあるハズだ。ここだけにしかない、何かが。眠っているハズだ。

 

「……よし」

 

 行こう。自分を奮い立たせ、力強く、取っ手を中へと押した。

 ギィ……と、蝶番が軋む。中は明かりもなく、夕暮れの赤だけが窓から差し込んでいた。しかしそんなこと、すぐに気にならなくなった。

 柔らかなピアノーーいや、オルガンの音色。貞淑で、ただでさえ厳かな教会に、迷い子を包み込む母性すら感じ取れる。そんな旋律がぐるぐると回っている。

 しかしーー神聖な領域である教会の中で反響し続けるそれは、最早音色ではなく叫びだ。訴えにも近いのかもしれない。押し付けの究極形。それはこの世全てを救いたい、そんなマニュアルじみた教えが生み出したのだろう。いっそ乱暴で、耳どころか脳そのものが揺さぶられる。

 

「……、」

 

 気持ち悪い。車酔いになりかけているみたいな、中途半端な吐き気は、平衡感覚すらズタズタに引き裂くようだ。

 教会は俺の知る間取りと似ていた。何列もある長椅子と、正面には縦に長い大きな窓。違うとすればその下にあるオルガンで、ただ一心に弾き続ける影。

 いつもなら待つのだが、そんな悠長にも待っていられない。

 

「なぁ、今良いか?」

 

 その言葉で、一定の旋律を保っていたパイプオルガンが一気に崩れ、不協和音を奏でる。お節介な叫びが不快な音となり、演奏者は少し不機嫌そうに、

 

「……数少ない趣味を邪魔するなんて、小間使いのくせに良いご身分ね。主の教育がなってないわ」

 

「誰が小間使いだ、誰が。どうせ最後まで聴いてたら変なことに付き合わされるんだろ、報酬とか言って」

 

「失礼な。我が父に誓ってそれはないと言えます。もしや信用出来ないというの、この修道女の言葉が?」

 

 可愛らしく首まで傾げやがるが、これほど腹立たしく信頼出来ない相手も居ない。あの神父を除いて。

 彼女ーーカレン・オルテンシアに、吐き捨てるように告げた。

 

「ホント父親そっくりだな、アンタ」

 

「それはお互い様だと思いますが、この駄犬が」

 

 

 

 


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