やはり俺の青春ラブコメはまちがっている 雪乃アナザー 〈休止中〉   作:UMAの風

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そして彼らは…

「ふぁぁ…て、何でソファー何だ…」

 

目をさましたのはいつもの自室ではなくリビングのソファーの上だった

 

 

「確か昨日は…?」

 

 

夕食後ソファーでくつろいだところまでは記憶が有るのだがそこから先の記憶が無い そのまま寝てしまったのだろう。ということはこの毛布は雪ノ下がかけてくれたのだろう。

 

キッチンではすでに起きていた雪ノ下が朝食&弁当の準備をしていた。

 

 

「…おはよう」

 

普通に挨拶したはずが、

 

ビクッ と過剰に反応された。

 

「…お、おはよう比企谷君…っ」

 

? 何やら雪ノ下の様子がおかしい。 まあ、それはともかく毛布の礼は言っておこう。

 

「そういえば昨日の―

 

ビクッと再び過剰な反応…

 

「飯食ってそのまま寝ちまっただろ。毛布サンキューな…」

 

「別に気にしなくて良いわ………良かった。覚えていないようね…」

 

後半はボソッと言っていたので聞き取れなかったが 大方俺をdisっていたのだろう。 長年の嫌われ&ボッチ経験がそう言っている。

 

まあ 気にするのも馬鹿らしいので学校の準備を始めた。

 

 

 

―HR―

 

「え―っと、そろそろ各自で修学旅行の準備を始めとけよ じゃあ 出席番号順に前に来てくじを引け。 向こうでの班決めをする!」

 

「自由じゃないんですか!?」

 

クラスの中からは案の定非難の声がでる。

 

「自由ならボッチがでる可能性が有るからな…」

 

 

平塚先生何気にこっち見るの止めて下さい。心が折れる。心が

 

 

 

 

 

 

そして全員が引き終わった

 

「葉山君何班だべ?」

 

お調子者の戸部が早速聞いている

 

「俺はA班だ」

 

「俺もAだべ!葉山君一緒だべ」

 

俺も自分の紙を見ると

 

「A…だと…」

 

葉山と一緒何てただの地獄だ。リア充と同じ何てただの拷問だ。せめて最後の一人は戸塚が来てくれ!

 

「私もAだよ」

 

無情かな。 最後の一人は海老名さんだった と言うことは、

 

「僕はCか」

 

戸塚はCだった。…ここで俺は大事な事に気付いた。

 

「…………」

 

紙を見て怒りとも悲しみとも取れる表情をしている人が一人。 もちろん三浦だ。

 

 

いや、待てよ。これはチャンスだ。

 

俺は自前の光化学ボッチ迷彩(非売品)を使い人の間を縫って彼女に近づく。

 

彼女の机に近づくと、誰にも見えないように折りたたんだ紙を渡す。

 

それに気が付いた三浦は最初はこちらを睨んだものの紙を開くと 一気に表情を変える。

 

これで俺は葉山の班に入らなくて済むし彼女にも利が有る。まさにwin―winの取引だ。

 

Cと書かれた新しい紙を受け取るとそっと場を離れる。

 

後ろに微かに聞こえた

 

「ありがとう ヒキオ」

 

と言うのは気のせいではなかった。………名前は間違えられたままだったが…

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後奉仕部の部室に平塚先生が来た。

 

「明日修学旅行の説明会が有るんだが、会場のセッティングの準備を手伝って欲しい。」

 

「面倒くs―

 

「分かりました。手伝いは私達だけですか?」

 

「材木座と戸塚も手伝ってくれるそうだ」

 

何だと…

 

 

「分かりました 今すぐ行きましょう!」

 

「ヒッキー態度変わりすぎ…」

 

由比ヶ浜が何か言っているがそんなのは知らん!

 

 

体育館に集まったのは

 

奉仕部、材木座、戸塚 そして何故か川…川何チャラさんもいた。

 

 

「とりあえず役割分担だ。戸塚 材木座はパイプ椅子を出してくれ。 川崎 由比ヶ浜はそこの資料を整理、 比企谷と雪ノ下は買い出しだ。メモを渡すから買ってきて欲しい」

 

「先生 俺は資料整理の方がいいんですが」

 

そういう一人でやる作業は得意だ。

 

「比企谷 女子に荷物を持たせる気か…」

平塚先生が拳を握りしめながら聞いてくる。

 

 

しかしそんなことは知らん!

 

「面倒くs―

 

「30連釘P―

 

「謹んで買い出しに行かせていただきます」

 

こうして理不尽な暴力に善良な市民は屈するのか…

 

 

 

平塚先生に渡されたメモかかれていたものは全て近くのホームセンターで買えるものだった。

 

 

が…流石に量が多く割と重たい。 平塚先生に釘パンチを食らうのはごめんだったので頑張って持っている。 社畜魂はこうして鍛えられるのか…などと思っていると横断歩道を挟んだ公園に 野良だろうか猫がいた。

 

雪ノ下も見つけたらしく目が釘付けだ。

 

「比企谷君 荷物が重いだろうしそこの公園で休んでいきましょう。」

 

猫に目を向けたまま言う。 猫を触って行きたいと正直に言わない当たりこいつらしい。

 

早足の雪ノ下に2、3歩遅れて歩いていると横断歩道に車が突っ込んで来るのが見えた。

 

車の運転手は携帯をいじっているのか前を見ていないし 雪ノ下も猫に気を取られて車に気づいていない。

 

「くそったれが!」

 

荷物をその場に投げ捨てると雪ノ下のもとに走って 手を取ると全力で後ろに引く。

 

「!?」

 

間一髪助かったが問題が一つ。 雪ノ下を全力で後ろに引っ張った結果、

 

 

「痛てえ…」

 

雪ノ下の持つ運動エネルギーはベクトルを全てこちらに向ける。 つまり 俺の上に彼女が覆いかぶさっている状態だ。

 

「「………」」

 

お互いに言葉に詰まるも流石にこの状態はまずい。

 

「早く降りてくれ」

 

「ご、ごめんなさい」

 

顔を真っ赤にして俺から離れる。

 

「私の不注意で…」

 

気にするなと言いたいが流石にこれはまずいだろう。今回はなんとか無傷だったが大きな事故にも成りかねない。

 

「猫ならうちのカマクラで我慢しろ。何時でも触りにきて良いから今みたいな事はもうするな。」

 

「ごめんなさい……ありがとう」

 

雪ノ下の声を聞きながら落とした荷物を拾う。

 

 

 

 

 

 

 

無事準備も終わり先生の奢りで皆でサイゼに行き家に帰ってからの事だった。 ついに事件が起きた。

 

 

 

慣れか疲れか判断力が鈍っていたのだろう。

 

インターホンがなり、郵便だと思った雪ノ下が出てしまった。 しかし

 

「ゆき…のん…何でヒッキーの家に……」

よく知った声が聞こえたので俺も外に出ると、インターホンを鳴らしたのは郵便配達ではなく由比ヶ浜だった。

 

「何で……あっ そうか。そうだよね。何で気が付かなかったんだろう… これヒッキーの携帯。 サイゼに忘れてたから……」

 

俺に携帯を渡すとそのまま由比ヶ浜は走り去ってしまった。

 

雨が降り始めたのはまさにその時だった。


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