膨張する光が《ARCUS》へと収束されていく。エネルギーの塊となった戦術オーブメントに手を添えながら、ユーシスはマキアスの横に立った。
「動けるか?」
「ああ、不思議な光だ。体力も少し回復した気がする」
「……なにかを視たか?」
「正直言って、よくわからない。ということは君もか」
「あれは……」
《ARCUS》には言葉はもちろん、記憶を繋いだりするような機能はない。あくまでも機械仕掛けの装置だ。
実際さっきの瞬時になされた意思疎通も、言葉のようで違い、記憶のようでそれも違った。
強いて表現するなら、〝記憶に近いなにか”。
不意に浮かんだ言葉に、ユーシスは息を呑んだ。
「この現象については、今考えなくてもいい。そもそも考えてもわからん」
「そうだな。戻ってからジョルジュ先輩にでも相談するか。先にやることがある」
二人は同時にヘルムートを見た。
「い、今の光はなんだ。貴様ら、何をした!?」
わめくヘルムートには応じず、ユーシスはゆっくりと深呼吸をした。
強大な力の鼓動を感じる。神経が尖り、意識の拡張される感覚が体を満たす。冷えていた心が熱を放って、燃えているかのようだった。
「ええい! 答えんか!」
前進してきたスレイプニルAが、大槌のような腕を振り上げる。
その開いた脇に、ユーシスはすかさず魔導剣を突き入れた。
紅蓮の煌めきが剣先に凝縮され、指向性を得た爆炎が一気に解放される。肩口からえぐられたスレイプニルAの右腕が、紙くず同然に吹き飛んだ。原型を失った鋼の腕は、ぶつかった先の壁に半分以上めり込んでいる。
「ひっ! なっ!?」
ヘルムートはたじろぎ、背中を壁に押し当てた。
発動させたのは《イグナプロジオン》。中級アーツに位置づけられるこれは、高速駆動ができるユーシスの《ARCUS》でも、本来なら五秒のチャージが必要となる。
しかし今、チャージに要した時間はゼロ秒。
「……なるほどな」
これがオーバーライズの効果の一つ。異常とも言える驚異的な導力の伝達速度が、アーツの駆動準備時間を不要にしていた。
ぶすぶすと黒煙を噴くスレイプニルAが残った左腕を持ち上げる。その周囲を無数のミラーデバイスが包囲した。
「対処できるならしてもらおうか。クレア大尉仕込みの演算技能と、玩具のそれ。どちらが上か、教えてやる」
マキアスがショットガンを正面に構えた。ガチャリと銃身が回転し、通常弾からレーザー弾に切り替わる。
互い、鏡映しのように身をかがめた。
相手がどう動こうとしているか、手に取るようにわかる。普通のリンクとは、その感覚の精度も明瞭さも桁違いだ。
ここからの行動に声かけなどいらないが、あえてユーシスは言った。
「片付けるか」
「だな」
短い一言を合図に、同時に床を蹴る。虹色の光が帯となり、二人を強いリンクラインが結んだ。
《――この炎に誓いを――》
最初から考えていたわけではなかった。叫んだあとで、自分がなにを言ったのかを理解した。
生涯にただ一度の騎士の宣言。今ここでそれを言い放った。自分でもまったく予想していない事態だったが、後悔などなかった。
改めて我に返っても、やはりそうしたいと思っていたからだ。
『な、なにが? 騎士? え……?』
ケストレルから外部マイクを通して聞こえるスカーレットの声は、ひどく困惑しているようだ。
アルフィンの後方に控えるレイゼルは不動を保っていたものの、緊張の気配が伝わってくる。アリサは口出しをせずに、顛末を見守ってくれていた。
周囲は炎に包まれている。熱に炙られた乾木が割れて、ばちばちと火の粉が舞い上がった。
「言葉通りの意味です。スカーレットさんをわたくしの騎士に迎えたいんです」
『全然わからない……。この私が皇族付きの護衛だなんて、おふざけもいいところよ。新しい飼い主がお姫様とか笑えないわ』
まったく取り合ってもらえない。当然だ。彼女にしてみれば予想もしていない言葉だろう。けれど、それはこちらも同じこと。
言ったアルフィンも言われたスカーレットも、互いが想定外の場面で対峙している。
用意していた台詞なんてない。気持ちの整理もできていない。思うことを思うままに告げるしかないのだ。
「わたくしは騎士を探していました。候補の殿方も色々と思案してみたのですけど、ずっと決めかねていました」
『というか私、女だけど』
「女性が騎士になれないなんてことはありません」
知る限り前例はなかったが、決まり事があるとも聞いたことはなかった。それにあったところで関係ない。格式や伝統は規定ではない。誰が反対しようと押し通してみせる。
その強い意気が、今のアルフィンにはあった。
『だいたいなんで私なのかしら。たとえばリィン・シュバルツァーは? 彼の方が適任だと思わない?』
「もちろんリィンさんも候補です。それも最有力候補。でもなんでしょうね。それでもスカーレットさんがいいって思ったのは、多分直感。女の勘というものです」
『子供がなにを言うの……』
「こ、子供じゃないです! 大人でもないかもですけど……」
普段からお姫様扱いはされていても、ストレートに子供扱いをされたのは、両親と兄以外では初めてだった。
それが少しだけ嬉しかった。スカーレットを選んだ理由が、なんとなくわかった気がする。
《パンタグリュエル》の時からそうだった。慇懃丁寧な態度だったけど、無用に畏まることをしない人。皇女という肩書ではなく、アルフィン個人として見てくれる人。
彼女はご飯を食べなかったら怒ってくるし、煽ってもくる。その時は皇女としての立ち振る舞いも忘れて、こちらも感情を出して顔をそむけたりもした。
騎士として一緒にいる時間が増えたら、わたくしとスカーレットさんは取るに足らない口喧嘩や些細な諍いとか、きっとたくさんする。マキアスさんとユーシスさんみたいに。それはつまり自然体でいられるということ。
自分が望む騎士は、主にかしずく忠誠ばかりを求めていない。
『勘とか理由になってないわ。理解もできないし。私がかわいそうに思えたから、救いの手を差し伸べようってわけ?』
「違います!」
強く否定した。どこまでも斜に構える姿勢に、ちょっとだけ腹も立った。
「これはわたくしにとって人生の一大事。慈善の意思で救いの道を提示しているつもりなんか毛頭ありません」
『……本気?』
「最初からそう言ってます」
丸い瞳が赤い機体を見上げる。木々に燃え移る炎の勢いが増し、安全圏でいられる範囲も段々と狭まってきていた。やすりのような熱風が白い肌をひりひりとこする。
炎の照り返しを受けて緋色に染まる固い硬い装甲の奥で、己に区切りをつけようとしていた彼女は何を思っているのか。
つかの間の静寂のあと、スカーレットが言った。
『無理よ』
「なぜ?」
『当たり前の話をしましょう。私は帝国解放戦線の幹部。各地で多くの騒動を起こした。そんな私が――テロリストの過去を持つ人間が、騎士になんてなっていいと思う?』
「そんなもの、どうとでもなります! わたくしがどうとでもしてみせます!」
嘆息が空気を揺らした。
『……それ以前に皇族も嫌いだって、さっき言ったでしょ』
「皇族は嫌いでも、わたくしのことは嫌いじゃないはずです」
『ま、まだ言うのね? 嫌いだってば』
「うそつき!」
『はあ!?』
人を括りとしてではなく、個人として見れる人ならば、血すじ一つで一族全てを否定したりはしない。
エレボニア皇帝に対して鬱屈した憤りがあるのは本当だろう。八つ当たりだと本人も言っていた。
でも自分に対しては? 嫌いだというけれど、さっきから具体的なことを言われない。
「わたくしのどこが気に入らないのですか?」
『世間知らずなところよ!』
「ならスカーレットさんが教えて下さい。他には?」
『私の作ったご飯食べないし!』
「作って下さるなら、これから食べます。本当は食べたかったんですから。他には?」
『ほ、他……?』
ほら、やっぱり。
『わからない、わからないわ……。あなたが私に何をさせたいのか』
「だから騎士です」
『仕えて欲しいの?』
「支えて欲しいんです」
想いを込めて訴える。
「わたくしもあなたを支えます。望む騎士の形はそれだけです」
『………』
スカーレットは押し黙る。アルフィンは沈黙の向こう側を読み取ろうと、まぶたを閉じた。
彼女が囚われているものはなんだろう。檻に等しい操縦席に彼女を縛り付けているものはなんだろう。その檻に鍵はかかっていないはずなのに、どうして自分から外に出ないのだろう。
彼女は元来誠実な人。あまねく不条理に振り回されて、許せないものは許せないと断じ、怒りと憎しみに衝き動かされた人。
同時にそのやり方がまっとうなものではないとも理解している。
だからだ。
それ以外に方法はなかったという諦念と、他の道もあったかもしれないという後悔が、おそらくは無意識下でスカーレットの思考を苛んでいる。
心の片隅で感じている引け目と負い目のせいで、その先の道を進めない――進むべきではないと考えてしまっているのだ。
「スカーレットさん」
アルフィンは静かに目を開ける。
火の手が近くまで回ってきていた。もう時間は残されていない。
「過ちを持った人は、胸を張って生きることが許されないのですか」
『……そうよ。図々しいと思わない? 虫がいいと思わない?』
「思いません。過った人であればこそ気付けるものもあるはずです。でもそれを認めたら前を向かないといけなくなるから、自分を納得させる理由をつけて逃げているだけ。あなたは過去に追われるあまり、現在から目をそらして、未来にさえ怯えている」
『なんですって……』
御しきれなくなった怒りがあふれ出ていた。
『なにも知らないくせに……! 私の……私の気持ちが誰に分かるっていうのよっ!』
魂から削り出したような叫びだった。生の感情を受け止めた骨身が軋む。
威圧的なケストレルの睥睨に、しかしアルフィンは一歩も退かなかった。
「スカーレットさんの気持ち……。恨んでいるんですよね、オズボーン宰相の強行策と、それを許した国の体制を」
『ええ。宰相がいなくなっただけで、あとは同じ。膿を孕んで肥大化していくエレボニアの行きつく先は、想像に難くないわ。別に憂いてるわけじゃないけど」
「まだ政治事には関わっていませんが、これでも皇族の末席に座る身。少しでも良い方へ進んでいくように、わたくしが働きかけます」
『いい加減に身の程を知りなさいよ。しょせんは象徴としての立場一つ。担がれるだけのお姫様一人にどうにかできるわけがないってこと!』
「だから!」
もう冷静には話せなかった。感情と感情がぶつかり合う。
「一人じゃできないから、支えてくれる人が必要なんです!」
『あなた皇女でしょ! 国を――世界さえ恨みかねない人間をそばに置けるの!?』
「恨んでいたっていい! 理不尽だけが横行する救えない世界だって言うのなら――」
何を言うべきだ。
わたくしが変えてみせます。だからわたくしの背中を押して下さい。だからわたくしの前を守って下さい。
そうじゃない。皇女と騎士の誓いとはそんなものじゃない。
あなたに願うことは、ただ一つ。
「わたくしの横に立ち、共に世界を変えなさい!」
吹き荒ぶ炎の中で、アルフィンは大きく両腕を開いた。ケストレルの装甲を貫き、女王の声音が突き立つ。
沈黙は何秒あったのか。ややあって小さな笑い声が聞こえてきた。
『好き放題言うだけのお姫様かと思えば……参ったわ、ほんと』
「じゃ、じゃあ」
『ええ、早くそこから離れてちょうだい』
「え?」
ひらりと舞った木の葉の一枚がケストレルに近付き、その前方でジッと弾けて粉微塵になった。干渉した一瞬に青白い障壁が網膜に焼きつく。
『さっき使ったリアクティブアーマーがずっと解除できないの。オーバルエンジンの熱量も上がり続けてる。もうすぐケストレルは爆発する』
「すぐに脱出して下さい!」
『操作を受け付けてくれないのよ。コックピットハッチもロックされたまま開かないわ』
ゴライアスと同じだ。機体がオーバーロードを起こしている。
『爆発の衝撃はリアクティブアーマーが内側から防ぐから、被害は最小限に抑えられると思う。念の為、そっちの機甲兵の操縦席に入れてもらって』
「なんとかして出てきて! いやです、そんなの!」
『無茶言わないで、お姫様』
初めて聞く優しい声だった。
『私があなたの騎士になって、いつか世界を変える。そんな未来もいいわね。ほんのちょっとの間だったけど、生きる夢を見られた気がする。嬉しかったわ。ありがとう。さあ、もう行きなさい』
あきらめていいわけがない。あきらめられるわけがない。
どれだけ考えても現状を打開する方法は見つからなかった。
せっかくわかり合えたかもしれないのに。
騎士になり得たかもしれない人が、冷たく孤独な操縦席に閉じ込められたまま、たった一人で消えてしまう。
いやだ、いやだ。お願い、誰でもいい。お願いだから――!
「スカーレットさんを助けて!!」
『了解!』
『応!』
悲痛な叫びに応じる声が二つ。
炎の壁を破って現れた灰の騎神が、猛然とケストレルに突進していく。
スレイプニルAを相手にしている隙を突いて、マキアスをターゲットから外したスレイプニルBがユーシスの背後に回り込む。
ユーシスは振り返らないまま、後ろから突き出された打撃を避けた。
敵に死角に入られても、どこから攻撃が来るのかわかる。マキアスの見ている視界が、感覚が、そのまま自分のものとして映されているかのようだ。
回避の流れで魔導剣を腰の《ARCUS》に接続。チャージを瞬時に済ませ、すかさず反撃の一刀を振り抜く。
《サイクロン》が烈風の鉤爪と化し、スレイプニルBの正面装甲を激しく削った。ズタズタにはげた塗装の下に鈍色の金属板がのぞく。傷はつけたが、はぎ取るには至らない。
「風では相性が悪いか」
なぜ電撃系をセットして来なかったんだ。なんとなくそんなマキアスの思惟が伝わり、ユーシスは舌打ちした。
わからんやつめ。雷は特に扱いが難しいのだ。うまく指向性を与えられなければ、最悪はアーツが自分に向いてしまうこともある。まだサラ教官のように完璧には制御できない――と、苛立ったことも伝わっているだろう。
肩をすくめてマキアスが言った。
「合わせるから、好きに行くといい」
「面倒だ。まとめてやる」
会話は最小限で事足りる。背中合わせになったのは一秒、すぐに動こうとした二人にスレイプニル両機の機銃が向けられた。
俺の後ろへ――と言う前にマキアスはすでに後ろに移動していた。
けたたましく吼える銃口。
魔導剣を縦に構える。空属性《ダークマター》を前面に発動。
空間がねじ曲がるほどに強力な重力球が生まれ、そこに飛び込んだ無数の銃弾はアーツを突破することなく引力に捕らわれた。力場の中心に押し固められた弾は、一個の金属の塊となって床にゴトンと落ちる。
重力球の発生に合わせて、ミラーデバイスの群れが渦を巻いて飛んでいた。それぞれが大小の円を描きながらスレイプニルBを包囲する。
マキアスが引き金を引く。ショットガンから発射されたレーザー弾が、緻密に計算されて動く一つ目の鏡面に反射した。
ダークマターが効力を失うのと同時、魔導剣を床に突き立てたユーシスの背後が濃い闇に揺らぐ。
ゆらと立ち昇る影が形を成していき、幽鬼のごとく顕現されたのは凶々しい死神の姿。実体化したと思える不吉の装束が、《デモンサイズ》の名に違わぬ巨大な大鎌を肩に担いだ。
尻もちをついたヘルムートには目もくれず、死神の暗い一閃が振り抜かれる。ほとんど物理的な威力と化した斬撃が走り、スレイプニルAは袈裟掛けに切り裂かれた。
ユーシスは少しだけ左に移動した。自分をロックしているスレイプニルBが腕部の銃口を向けてくる。
この位置なのだろう?
「そう、その角度が欲しかった」
マキアスの口元が緩んだのがわかった。
反射を重ねる度にエネルギーを増すリフレクトショットが、スレイプニルBの肩周りに生じたわずかな装甲の隙間に、寸分の狂いもなく吸い込まれていく。
レーザー弾が内部機構に破壊を与え、堅牢な鎧の奥に守られたオーバルエンジンを貫いた。
スレイプニルA、Bがバチバチとスパークを瞬かせる。ぐらりとその体勢を傾けると、両機そろって爆発した。飛散したくず鉄の一塊がヘルムートの足元に転がっていく。
「さあ、お
「き、貴様ら……!」
ヘルムートは壁を支えによろよろと立ち上がった。想定していなかった事態に、焦燥を隠せていない。
彼は急に笑って、パンと手を打ち鳴らした。
「そうか、わかったぞ、こうしようではないか。お前たちの狼藉を不問に伏す。しかもケルディックの連中の陳情も一考してやろう。どうだ?」
身を乗り出すマキアスを手で制して、ユーシスはゆっくりと足を踏み出した。
「税率が下がる。貴様たちの望み通りになる。悪い条件ではあるまい」
一歩一歩、無言で近づく。マキアスは後ろで待ってくれていた。
「ま、待て、来るな。まだ不服があるのか? 望みのままであろう!」
「俺が――ケルディックの人々が望むものは、もう二度と戻りません」
「今までの恩を忘れたのか!? 母親を亡くしたお前を引き取ってやった恩を!」
「……忘れてはいません。感謝しています。これまでも、これからも」
アルバレアの屋敷に置いてくれた事実は事実。それがたとえ世間体だったとしても。そのおかげで得たものもあり、窮屈ながら不自由はしない生活だった。
自分が疎まれるだけならいい。厄介扱いされても構わない。
だが俺にも大切なものがある。守りたいものが、壊されたくないものが、そこに育んできたものが。
それが父に伝わるだろうか。
きっと伝わらない。俺にとってかけがえのないものは、父にとっては路傍の石ほどの価値さえない。
「終わりにしましょう、父上」
「ユーシス……っ!」
後ろ手でなにかを操作した。
ヘルムートが背にする壁が急にスライドし、奥へ繋がる通路が現れた。そこに転がり込むや、あっという間に壁はまた閉じる。
「くそ、隠し扉か!保険の端末を持っていたみたいだな」
「通路の先に昇り階段が見えた。おそらく屋上だろう。追うぞ」
いったん司令室を出て別ルートから上を目指す。
「魔導剣で壁を壊した方が早くないか?」
「気軽に言うな。さすがに腕がもたん。オーバーライズの効果も切れているようだしな」
「本当だ。時間制限があるのか」
いつの間にか《ARCUS》の光は消えて、熱も失せている。
凄まじい力を発揮したものの、それ以上に気になるのはやはりあの現象だが……。
「見えてきたぞ」
マキアスに言われ、思考を中断する。駆け上がる階段の突き当たりにドアがあった。
ショットガンの散弾が何発も撃ち込まれる。破砕したロックを蹴破って、二人は屋上へと飛び出した。
冷たい風が吹き抜けていた。屋上に周囲を覆うような柵はなく、だだっ広いスペースには資材らしきものも置かれていない。
そこにヘルムートの姿はなかった。
あの隠し通路は屋上に繋がっていなかったのだろうか。しかし確かに上に……
「ユーシス、あれを!」
屋上の際で、マキアスが指をさす。
まだ薄暗い空に、一点の染みが見えた。軍用飛行艇だ。すごい速さで遠ざかっていく。
操縦士を待機させていたらしい。脱出されてしまった。もう追うことができない。バリアハートに撤退するつもりだろう。
「やむを得んか。先に皆と合流しよう。殿下が遅れている理由も気になる」
「ちょっと待て。あの方角はバリアハートじゃない。あっちは……ケルディックだ!」
マキアスの声が強張っていた。
バリアハートに戻ったとしても捕縛に至るのは明らかだ。それはヘルムートも理解している。退路を無くし、やけを起こした父がケルディックに向かう理由――。
ユーシスは言葉を失った。
「もう一度だ! 何度でもだ!」
振り下ろしたブレードが障壁に跳ね返され、ヴァリマールはたたらを踏む。すぐに体勢を戻して、もう一撃。また弾かれる。さらに一撃。
舞い上がる火の粉と燐粉のような青い輝きが、攻撃の度に激しく散っていた。
ケストレルは依然立ち尽くしたままで、動く気配がない。
林の中で強制回復をしていたリィンにも、アルフィンとスカーレットの会話は聞こえていた。
拒絶に怯まず、自身の芯と信を通す揺るぎない言葉。さすがだ。奉られるだけの象徴ではなく、俺たちを率いる人なのだと肌でわかる。
その彼女がスカーレットに騎士を求めた。前でも後ろでもなく、横に立って欲しい存在として。
「破れないか……!」
『霊力ハ全回復シテイナイ。力ヲ使イ過ギレバ、マタ動ケナクナルゾ』
「そうなる前にだ!」
一度ケストレルから距離を取り、リィンはブレードを突きに構えた。
フルブーストで特攻。加速の勢いをつけて、八葉一刀流《疾風》を繰り出す。
「ラウラ、リンクを繋いでくれ!」
《ARCUS》に呼びかける。《ブレイブ》の特性を宿した剣で、一気に障壁を切り裂くつもりだった。ただし剣は負荷に耐えきれずに損壊してしまうが――それで構わない。
衝突の刹那に柄を握りしめる。しかしリンクは発生しなかった。
「ラウラ……!?」
アルフィンたちの会話の内容から察するに、ラウラたちはこの樹林帯の中にいるはずだ。
まだ交戦中なのか。しかし応答さえない。状況がつかめなかった。
リアクティブアーマーに《疾風》が阻まれる。せめぎ合いは一瞬、力負けした剣先が弾かれた。ヴァリマールの手から離れたブレードが、くるくると不規則に回転しながら林の奥へと消えていく。
すさまじい高エネルギーの障壁だ。通常のそれとは出力の桁が違う。
『無駄よ』
落ち着いたスカーレットの声。
「導力源は落とせないのか!?」
『どの操作にも反応がないわ。もういいのよ』
その一言でわかった。ヴァルカンと同じだ。彼女もコックピットから出る気がない。
オーバルエンジンの熱量が異常に高まっている。爆発が近い。
とっさの行動だった。リィンはリアクティブアーマーの正面から、ヴァリマールの両手を突き出した。絶対防壁を素手でこじ開けようとする。
「うっぐあああっ!!」
『な、なにをやってるの!? ちょっと待って!』
ダメージがフィードバックされてくる。焼けた鉄を直に掴んでいるようだ。全身から汗が噴き出し、食いしばることもできない歯の根が鳴る。苦痛で呼吸がままならない。
飛びそうになる意識をどうにか繋ぎ止め、リィンは痛みを精神力でねじ伏せた。
「俺がっ、なんとかする……!」
『余計なことをしないで! 放っておいてよ! もうここで終わりにさせて!』
やはりそうだ。スカーレットは先を生きていくつもりがない。アルフィン皇女に別の道を示されても可能性の一つ止まりで、その道を歩こうとしていない。
答えを出す時がきた。あの日、ヴァルカンの手をつかみきれなかった己の迷いに答えを出す時が。
先を望まぬ相手に一方的に手を差し伸べることは、傲慢かそれとも。
「悪いが付き合ってくれ、ヴァリマール」
『ソノツモリダ』
ヴァリマールの指が、手が、腕が、肩が激震する。
赤い警告色に染まる
「絶対に助ける!」
「ふざけないで!」
スカーレットが怒声ではね返した。
『私はいいって言ってるの! あなたに何の権利があるっていうのよ!?』
「権利なんかない。ただ俺がそうしたいだけだ」
『あなたが今やってることは、偽善の押し付けだってわかってる? 私が感謝するとでも思ってるの!?』
「助けたことで、恨まれるのかもしれないって思ってる」
『だったら――』
「でもそれは助けない理由にならない」
堂々巡りの思考の中で、ずっと考えていた。
心の底からその人が死を願うなら、意思を尊重して手を離すべきなのか。
答えは〝離してもいい”。それが救いの一つであることは間違いないから。
でもそのあと、俺の気持ちはどこに行くんだ。望んだからと目の前の命をあきらめて、俺は自分の心を納得させられるのか。
きっとできない。
最初から俺の取るべき行動は一つしかなかったんだ。
「だから助けたあとは!? 軍に突き出し? そんなのごめんよ。どうせ同じ結末ならどこで終わっても一緒でしょう!」
「ああ、その通りだ。そこまで面倒は見られない。助けたあとのことは知らない。たとえば改めて自刃するつもりでも、俺は止めない。ただしそれは俺の手と目が届かないところならだ」
「は……!?」
自分にとっての正しさが、相手にとっても正しいとは限らない。
ならば双方が折り合える道を探すのがいいのか。そうやっていつも自分の意思を引いて、誰しもがうなずける方法ばかりを模索していくのか。
リィンさんはもっとわがままになっていいと、パンタグリュエルでもケルディックでもアルフィンから言われた。
本当に自分のしたいことを、他人に合わせて押し込めている。あれはそういう意味だ。
「俺の手が届く範囲にいる人間は、もう誰も死なせない」
傲慢なのは、相手の心まで救おうとしていたことだった。自分にできることなんて数えるほどしかないのに。
望まれようと望まれなかろうと関係ない。その後のことなんて、なおさら関係ない。
目の前で膝をつく人の手を引く。うだうだと悩まずに、それだけをすれば良かったのだ。
手の平の感覚はとうに失せている。リィンは気力だけでリアクティブアーマーに対抗し続けた。ヴァリマールの装甲に亀裂が走り、焼け焦げた腕が黒く変色していく。
『やめなさい! 防護壁が解けてもエンジンの暴走は止まらない。爆発の威力を防ぐものもなくなるわよ!』
後ろを見る。アルフィンはその場に立ったままだった。アリサがレイゼルのコックピットに入るよう促しても拒否しているのだ。彼女も戦っている。
スカーレットは正しい。たとえリアクティブアーマーを破ったとしても、ケストレルの操縦席にいるスカーレットまでを引っ張り出す手段はない。最後の時は必ず訪れる。
それでも。だとしても。
「助けると言った……!」
『大きなお世話! 自分で選んだのよ! 私はここでいい!』
「選んでなんかない! その選択しか残されていなかっただけだろう! 本当に……本当に自分で選んだのなら!」
ヴァルカンも最後にそう言った。俺はここでいい、と。
あれが全てを受け入れた人間の声か? 人生に満足した人間の表情か? 何一つ嘘偽りのない台詞か?
そんなはずはない。本当に自分で選んだのなら――
「ここがいいって、そう言えたはずだ!!」
震える魂に呼応するがごとく、周囲に生まれた光の粒子がヴァリマールの手に集まっていく。
スパークがさらに爆ぜた。互いに干渉する力が激しくぶつかり合っている。
両手に集中させた霊力が増大する。障壁の中心がばりばりと悲鳴をあげてゆがんだ。まだ力が足りない。
開け、開け。どんな結果が来てもいい。今はただ、後悔しない選択を。
「合わせろ、ヴァリマール!」
無意識に放った言葉だった。どくんと胸の奥が脈打ち、赤い警告色が消えた。強い鼓動と共に、力があふれ出してくる。
膨張する光がリアクティブアーマーを引き裂いた。力場を失った障壁が闇の中へとかき消える。
破った障壁の先へ腕を伸ばす。ケストレルに指先が触れた。そこまでだった。それ以上できることなんて、何もなかった。
だからリィンは――ヴァリマールは、ケストレルを抱きしめた。自分の操作だったのか、ヴァリマール自らが動いたのかはわからない。どうしてそうしようと思ったのかさえ。
命が消えていく。
本当にできることはないのか。あるはずだ。俺はもう無力じゃない。俺の力は一つじゃない。
「繋いでくれ!!」
懇願に近い声で《ARCUS》に絶叫する。
今度は反応があった。林の奥から走った光の線が、騎神の核に到達した。
静謐な青色の輝きがヴァリマールを中心に生まれ、またたく間に霧雨と化したそれが円状に押し広がっていく。機体に宿ったのはエリオットの《カノン》だ。
冷気がケストレルを包んだ。染み込むように装甲の内側を冷やし、オーバルエンジンの熱を奪っていく。いたるところから蒸気を拭き上げて、力を失ったケストレルがヴァリマールに全身を預けた。
「ケルディックの火を消した力だ」
『皮肉ね、とっても皮肉。ひどいじゃない』
小さな嗚咽が涙声に混じる。
やはり恨まれるのだろうか。そうだとしても後悔はない。
誰に否定されても、きっと俺は何度だって同じことをする。
ゆっくりとケストレルを地面にひざまずかせた時、《ARCUS》からアラームが鳴った。思い通りに動かない手でどうにか通信をとる。
『リィンか!? 今どこにいる! 状況は!?』
いきなりユーシスの声が跳ね上がってきた。名乗るのも忘れて、まくし立てるように質問してくる。
その様子は気にかかったが、ひとまずリィンは簡潔に答えた。
「進行ルート途中の林の中だ。レイゼルとケストレルとの戦闘は終了している。護衛班は敵襲を受けてオーロックス砦までたどり着けなかったが、アルフィン殿下は無事だ」
周囲の炎は《カノン》の余波で鎮火していた。白煙がくすぶる中を仲間たちがこっちに向かってくる。彼らの戦闘も終わっていたようだ。
ただ一人、ラウラだけガイウスの背に担がれていた。意識がないらしい。《ARCUS》に呼びかけても反応がなかったのはそのせいか。
そちらを先に確認したかったが、その前にユーシスが言った。
『飛行艇がケルディックに向けて発進した。乗っているのは父上だ。おそらく……おそらく目的は……っ!』
どうしてもその先は口に出せないようだった。苦しげに喉を詰まらせるユーシスに、「そうか」とだけ返し、リィンは北の空を見た。
豆粒ほどの大きさの飛行艇がモニターに映っている。火器の反応があった。
『俺には何もできない。リィン、頼む。助けてくれ、町の皆を……!』
ヴァリマールが速度と距離から時間を算出する。飛行艇がケルディック上空に到達するまで、およそ三分。
朝の五時。ほとんどの人が屋内だろう。逃げることもままならない。
飛行艇の足は早い上、距離が離れ過ぎている。《レイヴン》の全速力でも三分では追いつけない。カレイジャスも同じだ。重奏リンクでも効果的な組み合わせは思いつかない。なにより霊力が尽きかけている。
「わかった。助ける」
しかしリィンはそう答えた。
ヴァリマールが言う。
『ドウスルツモリダ? 手立テガナイ』
「まだやれることがある。そう感じる」
疲労困憊。満身創痍。状況は絶望的。
その中で新たに紡がれる力が見えた。
「全員聞こえるか。今から名前を呼ぶ三人、俺に力を貸してくれ」
三人という言葉に戸惑う仲間たちに、リィンは強く告げる。
「必ず守ってみせる。もう二度と、ケルディックは焼かせない!」
導力と呼ばれる属性エネルギーを、結晶回路という型に通して指向性を与えたもの。それがアーツだ。
本来は導力に定型などなく、オーブメント機器を利用することで、その特性を目に見える形として発揮することができる。
だから可能なはずだ。
「お願いだから無茶しないでよ」
「無茶は……すまない。する」
「もう……!」
リィンは最初にアリサとリンクを繋いだ。レイゼルの装甲を透過して光軸が届き、《エンゼル》の特性が騎神に宿る。
研ぎ澄ませ。ヴァリマールが俺のイメージに合わせて、擬似的な結晶回路を霊力で形成してくれる。
体を半身に、左腕を突き出し、右腕を引く。機体の前面に大きな陣が描かれていく。
陣から溢れ出る輝きが、弓と矢の形状に凝集された。
「よし!」
アルテアカノンに代表される空属性の破壊力を、この一点に押し固めた。これなら飛距離を伸ばせる。
しかしリィンは矢を射たことがない。リンクで伝わるアリサの感覚だけが頼りだった。
「次はガイウスだ」
「俺とのリンクは負担が大きいのだろう。長時間にならないよう注意してくれ」
狙いをつけるための目が必要だった。重奏リンクで《ファルコ》も繋ぐ。鈍痛が瞳の奥を圧迫し、視界に映る景色の色が濃くなる。世界の動きがスローモーションで流れ始めた。
まだだ。
これほどの距離になると、いかに凝縮した力でも減衰してしまう。それに拡張した視覚野でも、飛行艇を捉えきれていない。
だから三人目は。
「ユーシス!」
《ARCUS》に呼びかけると、困惑した声が返ってきた。
『お、俺が? だが俺のマスタークオーツは……』
「大丈夫だ」
以前全員のマスタークオーツの特性を試した際、ユーシスの《ミストラル》だけは何の効果も発揮しなかった。
そうではなかった。ただ視えなかっただけで、能力は確かに存在していたのだ。
「何もできなくなんかない。ケルディックの人たちを守るのはユーシスの役目だ。違うのか」
『……ああ、そうだ。その通りだ』
オーロックス砦の屋上から最後のリンクラインが飛ぶ。
三つの力が重奏リンクに合わさった。
瞬時にして全体の力が膨れ上がる。弓矢が一回り巨大化し、輝きを増した。望遠レンズのように飛行艇が間近に見えた。
《ミストラル》の特性は〝増幅”。それ単体では意味を成さず、他種の力と重なって初めて効果が現れるのだ。
「ぐぅっ……!」
やはり負担が大きい。気を少しでも抜くとリンクが切れてしまいそうだ。
中心ではなく重心。かつてサラに言われたこの言葉が、重奏リンクを成立せしめる核だ。リィンは三方向に意識を広げて、合成させた力を途切れさせないよう集中した。
ヴァリマールが言った。
『限界ヲ越エテイル。コレヲ撃テバ、命ヲ削ルコトニナルゾ』
「ユーシスが助けてくれと言った。初めてだ。俺にとってそれは、命を賭すだけの価値がある」
『……承知シタ。私モ負担ヲ半分引キ受ケヨウ』
「ありがとう、ヴァリマール」
イメージの中で弓を引き絞る。アリサが構えと狙いを誘導してくれた。絶対に外さない。
放つ。
一条の軌跡を薄闇に刻んで、光の矢が虚空を駆ける。数十セルジュを走った光は、遥か遠く、爆撃準備に入っていた飛行艇の左翼を撃ち貫いた。
●
「現地に着いたカレイジャスからの報告だ。飛行艇はケルディックの500アージュ手前に墜落。一応不時着の形は取れたみたいで、搭乗していた人間は打ち身程度のケガで済んでいる。クレア大尉率いるTMPが公爵の身柄確保に向かっているそうだ」
オーロックス砦を出る体力は戻っておらず、二人はまだ屋上に座り込んでいた。朝日が上っていく。長い一日が明けようとしていた。
マキアスの説明にうなずいたユーシスは、安堵している自身の胸の内に気が付いた。
父は無事だった。犯した罪も受けるべき罰もその瞬間は忘れ、良かったと思っていた。何に対してか申し訳なさを覚えて顔を伏せるユーシスに、「そう思うのは悪いことじゃない。当たり前だ。変に恥じ入る必要はないぞ」と、マキアスは空を見たまま言った。
またこいつは見透かしたことを言う。オーバーライズの効果はとうに切れているというのに。
「なんのことだ」
とりあえずはぐらかしておく。
「……まあいいさ。色んなことが一度に起きた。情報の整理をしておかないとだな」
「ああ」
まず俺は皆に謝ることから始めなければ。意識の戻らないロジーヌも心配だ。
それから……オットー殿の顔を見に行こう。行くべきだ。
「ん……? 待てよ」
急に何かに思い至った様子で、マキアスが立ち上がった。
「おい、まだ動ける体ではないだろう。安静にしておけ」
「あくまでも仮説だが、もしもそういうことなら……つまり――」
ユーシスの言葉など聞こえていない様子で、マキアスはぶつぶつ独りごちながら屋上の際まで歩いて行く。目線の先は林の一角、木々の隙間からわずかに頭部をのぞかせるヴァリマールだ。
「あのオーバーライズ……そして二人以上を繋いだ重奏リンク。……そうだ。不可能じゃない。聞いてくれ、ユーシス!」
「な、なにをだ」
「僕たちの――Ⅶ組として出すべき答えが見えた。これがきっと最後の着地点だ。希望は――ある……っ!」
希望とはなんだ。そう聞き返そうとした時、マキアスの足元がふらついた。
「あ、あれ。景色が回っ……」
がっと屋上の端に足がかかり、体勢が外側に傾く。
「手を伸ばせ!」
スレイプニル戦のダメージが残っていたのだ。
走ったが間に合わなかった。マキアスは屋上から転落してしまった。この高さ。下はコンクリート。まず助からない。
ぞっとしたが、その直後にマキアスは姿を見せた。
バタバタと羽ばたく大量の飛び猫たちが、ぐったりとした彼の体をつかんで浮上してくる。
そのままマキアスをユーシスの前まで運ぶと、どさっと落とした。
「うーん……痛い……」
うわごとのように言う。
腰から脱力したユーシスは、その場にしりもちをついた。一匹を残して飛び猫の群れは去っていく。いつの間にかやってきたドローメも合流し、二匹はマキアスのそばに寄り添った。
「……お前は大したやつだ」
まともに聞こえていないのをいいことに、ユーシスは本音でそう言った。
――続く――
お付き合い頂きありがとうございます。
これにてケルディック編は一区切りとなりまして、次回からはケルディック寄航日が始まります。街道組はこれで大方合流となりますが、アラン辺りはひと悶着ありそうです。
そろそろラウラ、アリサ、リィンの関係も動き始めます。だってもうすぐトリスタのあの夜ですもの。
前作は閃Ⅱの発売数日前に完結できたので、当初は今作も閃Ⅲ発売までの完結を目指していましたが、ボリューム的に無理でした。ひとまず区切りの良いところまで描き切れましたので、良しとして下さい!
それと今後の更新につきましては、活動報告の方に上げてさせて頂いております。
いよいよ今週が待ちに待った閃Ⅲ発売日!
みんなでアリアンロードさんに立ち向かいましょう。防御クラフトは必須の予感。グランドクロスに眼鏡が耐えられるかも必見ポイント!
閃Ⅲ同様、引き続き当作もお楽しみ頂ければ幸いです。