虹の軌跡Ⅱ Prism of 《ARCUS》   作:テッチー

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第80話 邂逅の時

 純度の高い雪解け水が氷結し、フロア全体が静謐な青に輝いている。

 凍てついた世界の温度は、持参した温度計を見るにマイナス15度。息をする度に肺が凍ってしまいそうだった。

「コートを手配してもらって良かった……。こんな場所、とてもじゃないが長くは探索できないな」

 かじかんだ手をさすりつつ、リィンは言った。指先の感覚が鈍ると、切っ先の動きも鈍る。

 ユミル渓谷に突如として出現した精霊窟――氷霊窟の探索を一同は進めている。

 上位三属性も働いているが、魔物の気配がない。他の四つの精霊窟と何かが違う。

「足元もすべる。気をつけて行こう」

 得体の知れない胸騒ぎは、しかし明確に何がとも言えず、結局そんな注意促しの言葉として口に出た。

 了解を返す仲間たちはⅦ組全員だ。通常とは違う現れ方をした精霊窟を調べるのに、二班に割っていた探索メンバーを合わせた形である。

 皆がトワの用意してくれたコートを着込んでいる。気回しには感謝しかないが、それで寒さをしのぎ切れるわけもなく、アリサは血色の悪くなった白い細面を上げた。

「火霊窟は熱くて死にかけたし、ここは寒くて死にかけてるし、地精が嫌いになりそう……ううん、もう嫌いよ」

「そう言わずに。これも試練の一つですので」

「こんなガマン大会が?」

 なだめようとするエマに、アリサはにべのない一言で応じる。

「というかエマは寒くないの?」

「寒いですよ。でもまだがんばれます」

 その後ろから小さな手が伸びて、彼女の胸をわしっとつかんだ。

「きゃあ!?」

「これのおかげで寒くないのかな」

「かな~、ニシシ」

 フィーとミリアムが豊満な二つを片方ずつ揉みしだく。ゆさっ、わさっと。

 ラウラが焦って言った。

「や、やめろ二人とも。リィン、そなたは見るな! 目をふさげ。耳もだ!」

「なんで俺だけ。いや見ないけど……」

「おい君たち、もっと緊張感を持ってだな――うおあ!」

 苦言を呈そうとしたマキアスが、凍った床で派手にスリップした。近くのガイウスとエリオットも巻き込んで転倒する。

「まったく……お前が一番緊張感に欠けて――なっ!?」

 間髪入れずにマキアスの後を追ったユーシスが、先発の転倒組に突っ込んでいった。

 総勢で動くと何かと騒々しいが、今はそれが逆に心強くも感じる。仲間の声を背に、リィンは注意深く先頭を進んだ。

 氷の回廊を抜け、さらに地下へと続く階段を降りていく。

 刺すような冷気が身を嬲る。ぞくりと背すじが震えたのは、果たして氷点下の気温だけが原因なのか。

 冷気だけではなく、闇さえ濃くなったと思える最下層には、例の紋様が刻まれた石扉があった。

 これまでと同様に、エマが古の呪文を唱える。重く床を擦りながら、封印の解かれた扉が開いていく。

「……この先にあるのか、ゼムリアストーン」

 現状ではこの精霊窟が最後の可能性だ。ここにもなければ完全に当てを失う。せめてわずかでもあれば。

 胸の不安を振り払うように、リィンは力強く足を踏み出した。

 

 扉の先の構造も、地水火風の霊窟と同じだった。

 地下をくり抜いたような巨大な空洞、その中央に祭壇らしき建造物がある。

「あ……!」

 離れたこの位置からでも、祭壇から立ち昇る虹色の光が見えた。無数の輝きを発しながら、柱のように真上へと伸びる鉱石。

 厳かで、美しい。

 燐光をまとうプリズムのような水晶体は、騎神の全高にも匹敵するほどの大きさがある。

「あれが……ゼムリアストーン」

「待て!」

 吸い寄せられるように前に出たリィンを、ガイウスが鋭く止めた。その表情は固く、これほど冷えた空気の中でも、頬にひとすじの汗が伝っている。

 周囲の空気が禍々しく変容していく。

 収束する深い闇が人型を形作り、空間を歪ませるほどの圧を伴って、一体の魔煌兵を出現させる。

 それでもこの展開は、これまでの精霊窟と同じ。しかし――

 胴体から生えた四本腕のそれぞれに大鉈のような剣を携え、その背に浮き立つ光輪の魔法陣からは無尽蔵のエネルギーが生み出されている。

 普通じゃない。

 こいつは、最強の魔煌兵だ。

「ヴァリマール……っ!!」

 頭に突き立つ直感と同時、ほとんど反射で叫ぶ。空間転移で現れたヴァリマールの(ケルン)に、リィンは素早く乗り込んだ。

「みんなは後方援護だ! 騎神リンクもフルで使っていく!」

 剣を抜き、脇に構える。Ⅶ組全員がヴァリマールの背後に移動した。

 戦えるのか。ビリビリと全身で感じる強大な波動は、今までの敵とは明らかに格が違う。

 核の中が鈍い光を発し、正面の画面に一瞬だけ砂嵐のようなノイズを走らせた。

 

《イスラ=ザミエル》

 

 唐突に頭蓋の内に反響する言葉。これはヴァリマールから送られてきたものか。この記憶を書き換えられるような感じには覚えがある。

 本来なら起動者になった時点で、騎神から自動で流し込まれる情報のはずだ。なぜこのタイミングで。

 ヴァリマールはあいつのことを知っている? 欠損していたメモリーの一部が回復したのか?

 空気中に滞留する氷粒が煌めく中で、灰の騎神と魔煌兵が相対する。

 敵に動きがあった。四つの刃を下ろし、大剣の構えをも解くと、そのまま足元に生じた闇の沼へと沈んでいく。

 他の魔煌兵と同じだ。

「戦わない、のか……?」

 かすかに湧いた安堵。その時、相手の目がこちらを見た。

 

 ――今、コノ時デハナイ

 

 騎神を通じて、確かに聞こえた“声”。

 そうだ。消えていった魔煌兵たちも同じことを言っていた。『今、この時ではない』と。

 ならばいつだ。

 すでにイスラ=ザミエルの気配はない。が、剣を下ろせども、攻撃的な意思は湛えたままだった。こちらを敵として認識している。それも強く。

 近い内に再び姿を現してくる。

 確信めいた不穏な予感が否応なく胸に湧き、リィンは依然輝きを放ち続けるゼムリアストーンを見上げた。

 

 

 

《――邂逅の時――》

 

 

 

 魔煌兵の行動は謎だったが、ひとまずゼムリアストーンをヴァリマールの空間転移で外に持ち出すことには成功した。今は柱状のままカレイジャスのドックに横たえている。

 そして一同はまだ休めない。

「クレイン部長!」

「ハイベル部長!」

 ラウラとエリオットが、久々に再会した先輩へと駆け寄っていく。

「ラウラも無事だったか。安心したぜ。モニカとカスパルは?」

「大事ありません。二人ともカレイジャスに乗艦しています」

「そいつは何よりだ。お前もな、ガイウス」

 クレインはラウラ越しにガイウスに目をやる。「クレイン先輩こそ」と、ガイウスも表情を和らげた。ちょっとした出来事をきっかけに、かねてより彼らは交流を持っていた。

 一方のエリオットもハイベルに近況を報告していた。

「――正確な人数はわかりませんが、吹奏楽部のほとんどのメンバーは学院に留まっていると思います。あ、ミントはトリスタの外に出ていましたが」

「ミント君のバイタリティは謎だからね……。それとブリジット君が学院を出たところは、僕が見ている。彼女も外に逃れたんだろう。無事でいてくれたらいいんだけど」

 再会の喜びも程々にして、全員が気を引き締める。ここからが本番だ。

「協力要請に応じて頂き、感謝します。早速ですが改めて現在の状況と、作戦概要をお伝えさせてもらいますね」

 集合した一同の前に歩み出たクレア・リーヴェルトが、ブリーフィングの進行を務める。

 現在地はアイゼンガルド連峰の山頂付近。ゴツゴツした岩場が目立つ一帯に、Ⅶ組メンバーと、サラ、シャロンまでが顔をそろえている。

 元々氷霊窟探索のためにユミル渓谷に来ていたので、距離的に迅速な対応ができたのは幸いだった。

 遡ること一時間半前、カレイジャスは鉄道憲兵隊からの緊急連絡を受信した。ルーレ発、バリアハート着の旅客飛行艇が予定航路を外れ、ほどなく消息を絶ったと。

「ハイジャックの線が濃厚でしたが、どうやら当たりのようです」

 今一度双眼鏡をのぞき込み、クレアは言った。

 尾根伝いに300アージュは離れた場所。岩場の陰を死角としつつも、わずかに船体の影が見える。かろうじて識別できる外装に刻印された船体番号は、間違いなく件の旅客飛行艇のものだった。

「入口に見張りの猟兵がいます。依頼を受けたのか、彼ら自身の犯行なのかはわかりませんが」

 クレアは目から双眼鏡を離すと、現状の要点をまとめた。

「乗客員名簿から推定される人質数は、乗客と乗務員を含めて二十五名。その安否は不明。そして敵数、及び装備は不明です」

 眉根を寄せたサラが指摘する。

「不明、不明って。何もわかってないじゃないの」

「わかっていないということがわかっています」

「だったらもっと雁首そろえて来なさいよ。あんた直属の部下は?」

「それは申し訳ないと思いますが……拠点を無人にするわけにも行かなかったので」

「やめて下さい!」

 クレアに詰め寄るサラを止めたのは、鼻息を荒くしたハイベルだった。

「僕たちが提案したんです。正規軍が動けない状況でも――いえ、動けない状況だからこそ《紅き翼》なら力になってくれると! クレア大尉は悪くない。悪くないんだ!」

「そ、そう? なんかごめん……」

 すさまじい剣幕で逆に詰め寄られ、サラは身を引いた。そのやり取りを見て、何やら察したらしいマキアスのメガネが妖しく光る。

 そうこうしつつも、役割別の班分けと詳細な潜入ルートが決まっていく。

 作戦開始は三十分後だ。

 

 ●

 

「何回か交代していますが、見張りは基本的に一人のようです」

 物陰から様子をうかがい、エマは後ろの班員たちに伝えた。

 慎重に距離を詰め、飛行艇はすぐそこである。

 今回の重要点は、フロアごとの猟兵制圧と人質救出だ。並行して作戦遂行にあたる為、チームは四つに分けられている。

 

 第一制圧班(二階、及びブリッジ制圧)……リィン、エマ、ラウラ、フィー。

 第一救出班(二階、ブリッジの人質救出、及び各フロアで保護した人質をカレイジャスへ誘導)……ミリアム、ユーシス、エリオット。

 第二制圧班(一階、及び船倉制圧)……ハイベル、クレイン、クレア、マキアス。

 第二救出班(一階、船倉の人質救出、及び機外への誘導。並びに第一救出班への人質引継ぎ)……サラ、シャロン、ガイウス。

 

 まず制圧班と救出班は合同で動き、敵との交戦状態に入った時点で役割に応じた散開行動を取る。

 エマは通信状態にした《ARCUS》に声を吹き込んだ。

「アリサさん、配置はどうですか?」

『完了したわ。船尾側後方に待機中。大きな岩の後ろだから、飛行艇側からは見えないはずよ』

 アリサはレイゼルに乗っている。渓谷方面からのルートを登ってきたのだ。

 機外に逃げ出すような敵がいた場合、これを捕捉し、一人も逃さず捕縛する為である。

 準備は整った。エマは飛行艇の全体を視界に収める。

 切り立つわずかなスペースに垂直着陸したのだろう。少しでも傾くと、船首側の谷へ落下してしまうくらいの危ういバランスだ。

 しかしそれ以上に危険を感じるのは、この飛行艇をうっすらと覆う紫色のオーラ。どこか覚えのある異様に、ごくりと喉が鳴った。

 クレアが言う。

「時間です。エマさん、おねがいします」

「……わかりました」

 ここは人質が捕らわれた危険な現場だ。作戦に意識を戻して、エマは転移術を使った。

 入り口に立つ見張りの猟兵をこちらに移動させる。「え、は? な、なんだ?」と、いきなり変わった光景に、その猟兵は戸惑っていた。

「ぐぇっ」

 間髪入れず、マキアスとハイベルが頚に打撃を入れた。マキアスはショットガンのグリップを、ハイベルは魔導杖の柄を、左右から勢いよく首にめり込ませる。

 猟兵はあっさり気を失った。

「ふう、こんなものですよ」と、クレアに流し目を送るマキアスに重ねるように、ハイベルもまた「大したことないな」と、クレアに涼しげな視線を飛ばす。

 男二人の火花に気付く素振りもなく、クレアは冷静に号令を発した。

「では作戦を開始します。各班突入!」

 一斉に駆け出し、飛行艇の入口ゲートをくぐる。

 さっそく一階を巡回していた複数の猟兵に見つかった。

 拳を構えつつ、クレインが叫ぶ。

「ここは第二制圧、救出班が受け持つぜ! 第一班は二階に上がれ!」

 クレアとマキアスが同時にミラーデバイスを飛ばし、密度の増した多角射撃で敵の攻撃を封じる。その隙をついて、ハイベルがアーツを駆動した。

「人の気配が固まっている部屋が奥にある。おそらく人質はそこだ。第二救出班、先行する!」

 ガイウスの一声に同班のシャロンとサラが続く。

 剣戟と銃撃の音を背に、第一制圧班と救出班は二階への階段を駆け上った。

 二階は一般席と客室のあるフロアだ。

「委員長と俺で先にブリッジへ行く。救出班からはミリアムが同行してくれ!」

「はい!」

「りょーかい!」

 騒ぎにはすぐに気付かれるだろう。一つのフロアだけに留まってはいられない。

 抜刀しながら走り抜けるリィンの後ろに、エマとミリアムが付いた。

「なんだ、貴様ら!」

「もう軍が嗅ぎつけたってのか!?」

 悪態を吐きながら、猟兵たちが応戦してきた。リィンたちを追い抜いたフィーとラウラが、豪快に敵勢を蹴散らしてゆく。

 その間にユーシスとエリオットは、客室内で縛られていた人質の発見に至る。迅速そのものの手際で人数確認を済ますと、早くも避難誘導を始めていた。

 二階は彼らに任せていい。

 走りながらエマは言った。

「各フロアに人質を振り分けていますね。管理は非効率に思えますが、こういった襲撃には効果的です」

 全体の人数把握を困難にすると同時に、盾にもできるからだ。

 リィンも同意する。

「リーダーの指示なら先見の明があるな。感心するわけにはいかないが」

「関係ないもんね。まとめてやっちゃうよ!」

「一応ミリアムちゃんは救出班ですからね?」

 三階に到着。このフロアに客室はない。

 施錠された“STAFF ONLY”の扉をアガートラムの剛腕で粉砕し、三人はブリッジに進入した。

 エマは素早く視線を走らせる。いた。ブリッジの左奥に二人。聖アストライア女学院の生徒だ。あんな女の子まで人質に取っているなんて。

 慌てる見張りの猟兵が、彼女たちに駆け寄っていく。盾代わりにするつもりだ。

「ミリアムちゃん!」

「うん! ガーちゃんウォールだー!」

 形状を変えたアガートラムが、女生徒たちを守るように銀色の壁となった。

「うおっ!?」と動きを鈍らせた猟兵に、すかさず間合いを詰めたリィンが切り掛かる。

 袈裟への一太刀はライフルの銃身に防がれたが、返す刀の二連撃で相手の得物を弾き飛ばした。ライフルが床に落ちるよりも早く、隙だらけの水月に電光石火の柄打ちを叩き込む。小さくうめいて、男は前のめりにくずおれた。

「ボクはこの子たちを機外に連れてくね。ガーちゃんウイングで!」

 壁から翼となったアガートラムは、ミリアムの背にランドセルのように融合した。

「えへへ、可愛いでしょ? 天使っぽい? ここからちょっとだけガーちゃんスネーク!」

 左右の翼から一本ずつ銀蛇が伸びるや、少女たちの腰にぐるりと巻きついていく。天使というか合成獣(キメラ)だ。こっちの方が怖いらしく、宙ぶらりんになった二人は青ざめた表情をしていた。

 その折、リィンの《ARCUS》に通信が入っていた。各班からの報告だ。

 内容を聞き終えたリィンは、エマに言った。

「敵勢のほとんどを制圧。船倉で九人、一階で七人、二階で七人の人質を保護したらしい」

「計二十三人ですね。ということは……」

 ここで女生徒を二人救出したので、これで二十五人。乗客員名簿から判明している全員だ。

「作戦成功だね! じゃボクは先に行くから」

 ミリアムはガーちゃんウイングの羽先から細いレーザーを撃ち、射角を変えながらブリッジの壁面を円形に穿つ。

 その破孔から飛び立とうした時、女生徒の一人が言った。

「待って下さい。もう一人女学生の人が乗ってるんです。私たちと同じ聖アストライアの!」

「なら他のフロアで保護していると思う。ちょっと待ってくれ」

 リィンは通信で他班に確認をする。しかしすぐに首を横に振った。

「別の階では学生らしい子を保護していないそうだ。いたのか?」

「で、でも間違いありません。面識はないですけど同じ制服を着ていましたから」

 彼女の話では、最初その少女は二階の一般客席に座っていたそうだ。ハイジャックが起こる数分前にふらりと席を立ったという。

 各フロアに分けられる前に人質は一度全員集められたが、その中に少女はおらず、以降も姿を見ていないらしい。

 エマとリィンは顔を見合わせた。

「委員長はどう思う?」

「いたのいうのなら、いたのでしょうね。乗員名簿には載っていない二十六人目が」

 放っておくわけにはいかない。必ず見つけ出すと約束し、女学生たちはミリアムにカレイジャスまで送ってもらった。

「ブリッジは猟兵が一人だけか。ひとまず制圧完了だ。その女の子を探しに行こう」

「ええ」

 リィンに続いて踵を返したエマは、唐突な寒気を背後に感じた。

 ぞっとして歩みを止め、強張った動きで振り返る。

 数秒前まで誰もいなかった位置に、フードを目深に被った男が立っていた。その口元がニタリと緩む。禍々しく、そして知っている笑み。

「……っ!」

 予感はあったのだ。紫色の悶気を見た時に。

 リィンが太刀を構えた。

「風格が違うな。敵のリーダーのお出ましか。委員長、俺と連携して――」

「いけません。リィンさんは先に残りの一人を探し出して下さい」

「一人で戦う気か? 危険だ。俺も――」

「いけません」

 遮り、重ねて押し含め、エマは冷静を装った目をリィンに向けた。

「私なら大丈夫です。無理だと判断したら転移術で撤退しますから。それよりも女の子の捜索を。怖い思いをしているかもしれません」

「だけど……いや、わかった。なるべく早く戻る」

 あくまでも最優先事項はそれだ。逡巡は見せつつも、リィンはブリッジを出て行った。

 肩を上下に揺らして、男は笑う。

「ふふふ……私と一人で戦う、か」

「ええ、リィンさんにあなたの相手をさせるわけにはいきませんので」

「残念だ。久々に彼とも戯れたかったのだが」

 右手の五指が妖艶に蠢く。ただでさえ不安定になっているリィンに、この男があれこれ接触すれば、戻りかけているかもしれない記憶が確実に吹き飛んでしまう。それだけはダメだ。

「ではお手並みを拝見しようか、エマくん。いや――」

 ついに男はフードを脱いだ。シワの刻まれた目じりに、灰色の髪、鼻下でそろえられた口ひげ。そして紫の欲望を映した瞳。

「あえてこう呼ぼうか。《紅のグラマラス》と」

 歪んだ愛の伝道師。帝国に狂い咲いた一輪の用務員。

 破孔から吹き荒んだ突風が、ガイラーの外套をはためかせた。

 

 

 二階に降りてみると、仲間たちの姿はなかった。保護した人質を連れて、カレイジャスまで誘導している最中なのだろう。捕縛して連行したのか、猟兵たちも見当たらない。

「……急がないとな」

 ブリッジが気がかりだ。エマは一人でいいと言い張ったが、突然に現れたあのフード男はただ者ではない。

 そこに立つまで、気配を感じなかったのだ。

「気配……そうだ」

 飛行艇内の人数が減少しているなら、気配でその子の居場所を絞り込めるかもしれない。

 リィンは神経を尖らせ、意識を拡張していく。

 船倉と一階には何人か残っているようだ。しかし激しい動きはない。戦闘でないのなら、おそらくはフロアチェックだろう。

 二階は誰もいない。いや、待て。

 この手の旅客飛行艇は、機内前部に位置するいわゆる自由席と、中間部に位置する客室との二層で構成されている。

 その中間部から、小さな気配を感じた。

 絨毯敷きの通路を慎重に進み、一つの客室の前でリィンは足を止める。間違いない。気配はこの部屋の中からだ。

 ドアには内側から鍵がかかっていた。やはり例の少女か? そうかもしれないが、猟兵が潜んでいる可能性もある。

 悩んだが、リィンは声を発した。

「中に誰かいないか? 俺はハイジャック犯じゃない。いたら返事をして欲しい」

 十秒待ってみる。返答はなかった。

 確認しないまま、ここを離れることも出来ない。やむを得ない。

 リィンは太刀を上段に構え、腹に力を込めた。

「ふっ」

 息を吐き、刃を振り下ろす。ギンッと金属を打つ感覚が手の内に響き、ドアノブ横のロックを両断した。ぎぃと音を立てて、木製の扉が開いていく。

 整然とした室内は無人だが――そこか。

 壁際に配置されたクローゼットに近付き、両開きの扉を一息に開いた。

「きゃっ」

 一人の少女がごろんと床に転げ落ちる。確かに聖アストライア女学院の制服――思う間に受け止め損ねたリィンは、すぐに片膝をついて手を差し伸べた。

「驚かせてすまない。大丈夫か?」

「はい、どうにか……ええと……」

「リィン・シュバルツァーだ。《紅き翼》からの派遣員で――って今はいいか。とにかく君を助けに来た」

「シュバルツァー……?」

 かすかな反応を見せ、目を細める。少しくせっ毛のある若草色の髪をした少女は、ようやく差し出していた手を握り返してきた。

 そして、思いのほか落ち着いた声音で言う。

「ミル――いえ……ミュゼ・イーグレットと申します。それではエスコートをお願いしますね」

 

 ●

 

「乗客席右サイド、異常なし」

「左サイド異常なーし!」

 マキアスの報告に被せて、ハイベルが声を張る。敵意に満ち満ちた二人の一瞥同士がぶつかり、今日何度目になるかわからない火花が散った。

「いやもう、仲良くしろよお前ら。よく作戦成功したよな、これで……」

 クレインのぼやきは耳に入っていないらしく、クレアは三人をねぎらった。

「危険を伴う作戦だったのに、すばらしい動きでした。急造チームとは思えません。さすが士官学院で厳しい訓練を詰んでいるだけありますね。控えめに言っても理想的な戦果です」

 一階の避難は済んでいた。第二制圧班の四人――クレア、マキアス、クレイン、ハイベルは、潜んでいる敵や見過ごしている人質がいないかの最終確認を行っている。

「まもなく作戦終了の号令を発しますが……あの、これ、もう外してもいいですか?」

 おずおずと言うクレアは、頭にマスクをかぶり、首にスカーフを巻いていた。カラーは水色である。マスクの左側頭部には穴が開けられ、そこから彼女のサイドテールは外に通っている。

 割と切実なクレアの嘆願を、しかし赤いマスクのクレインは了承しなかった。

「なに言ってるんですか! ダメですよ!」

「突入早々着用させられたわけですが……この扮装にはいったい何の意味が? 今回は別に顔を隠す必要はありませんし」

「悪に正義を示すため。そう言えばわかりますか?」

「えぇ……ごめんなさい、ちょっとわからないですね」

 ただただマスクを脱ぎたそうなクレアを、今度はハイベルが止める。彼は黄色マスクだ。

「お似合いです、大尉!」

「それは複雑な気持ちになりますけど……」

「僕たち三人そろってジャスティススリーじゃないですか、三人そろって!」

 正義戦隊に乗り気でなかったはずのハイベルだが、声を弾ませ「ふふん」と勝ち誇った鼻息をつく。

 一人マスクをかぶっていないマキアスは、わなわなと拳を震わせた。

「おやおや、マキアス君の分のマスクがなかったね。君も僕たちの仲間になりたいかい? まだマスクは残ってるよ。んん?」

「だれがそんなもの……!」

「もちろん無理にとは言わない」

 近付いてきたハイベルが耳元で囁いた。

「大尉と僕はおそろいさ。うらやましいかな?」

「ぐっ!」

 屈服を強いる相手に抗うように、マキアスは右手に持ったミラーデバイスを掲げた。

「クレア大尉! 僕のミラーデバイスの扱いはどうでしたか!? 大尉から頂き、付きっきりで直々にご指導頂いたミラーデバイスの!」

「な、なんだとっ!?」

 ハイベルのメガネがピシッとひび割れる。

 クレアはうなずいた。

「正直驚きました。この短期間でそれほどコントロールできるようになっていたなんて。ふふ、私の背中をお任せできそうです」

 マキアスの鼻からプシューッと蒸気が噴出された。よろめき、近くの座席に寄りかかりながら、ハイベルに視線を移す。

「ふっ、僕もおそろいなんですよ。そして大尉と僕は、ハイベル先輩の知らない時間を共有している」

「小僧が……!」

 どす黒いオーラが渦を巻く。新たな修羅の芽生えだ。

「おーい、仲良くしろー」

 一応言いつつも、もうクレインはどうでも良さそうだった。

 

 

 雷光が走り、最後の猟兵がくずおれる。

 機材や建材が積み込まれた船倉で、サラはぶんと剣を振った。パリパリと刀身に燻っていた電気が霧散し、薄闇の中に溶け消える。

「はい終わりっと。そっちはどう?」

 振り返った先にはガイウスとシャロン。二人の足元にも倒したばかりの猟兵が倒れていた。

「この通りですわ」

「まだどこかに潜んでいる気配は……ないな」

 第二救出班である彼らは、人質を機外に誘導した後、フロアチェックのため再び船倉に戻っていた。機外からカレイジャスまでの護送は、第一救出班のユーシスたちに任せている。

 薄暗く雑多な船倉には、身を隠す場所が山ほどあったらしい。反撃の機を窺っていたようで、三人が戻るなり、物陰から数名の猟兵が襲いかかってきた。

 虚を突くタイミングも中々で、それなりに連携の取れた奇襲ではあったが、いかんせん相手が悪かった。

 いち早くガイウスが敵の位置を察知し、シャロンが鋼糸の網を張り、運良く逃れた敵はサラが仕留めた。

 五秒を待たずに殲滅である。

「にしても、あんたまで協力するのは意外だったわ。どういう風の吹き回し?」

 お決まりのようにサラに突っかかられたシャロンは、「あら……」と、わかりやすく困った顔と仕草をしてみせた。

「人命救助ですので、人出は多い方が良いかと思いまして。なにか変だったでしょうか?」

「なんていうか、ほら。あんたって薄情そうだし」

「ひどい。ああガイウス様、心ないことを言われてシャロンは泣いてしまいそうです」

「サラ教官、人の厚意を無下にするのは良くない。シャロンさんに謝った方がいい」

 教え子の純粋な視線を受けて、サラはたじろいだ。

「なっ、ガイウスはこっちの味方しなさいよ。別にあたしは悪くないし。な、なにその目? 非難する気? だいたいシャロンのメンタルはゼムリアストーン並の強度なんだから、何したって傷一つ付かないわ! うそ泣きよ、それ!?」

 ピュアなノルドアイに見つめられた者は、否応なく良心を問われ、その結果やたらと雄弁になるという。

 シャロンとサラの諍いをガイウスがどうにか収めようとしていた、その最中。

 サラの足元で倒れていた猟兵が突然跳ね起き、船倉の奥側へと走り出した。

「っと。まだ動けるなんて、なかなか気合いが入ってるじゃない。でも逃がさないわよ」

「ぐあっ!?」

 その背を追った雷撃が、男を打ち据える。感電した猟兵は今度こそ床に突っ伏した。「も、申し訳ありません。同志《G》……!」と、力なく言い残し、完全に意識を失う。

「同志《G》って、まさか今更ギデオンが関係してるわけ? ……まあ取り調べはあとね。とりあえずさっさと拘束しましょ。また意識を取り戻されても面倒だし」

「あら?」

 捕縛用のロープを準備するサラのかたわら、シャロンは倒れた猟兵の頭側に歩み寄る。男の右腕は、布をかぶせられた何かの中へと伸びていた。

 身を屈めて、布を取る。

「サラ様、サラ様」

「なに、いそがしいんだけど」

「わたくし、すごいものを見つけてしまいましたわ」

「そんなの後にして、こっちを手伝いなさいよ。縛り上げんの得意でしょうが」

「時限爆弾です」

「だから後にって……はあああっ!?」

 猟兵の最後の抵抗だ。指先がしっかり爆弾の起動スイッチを押し込んでいた。

 タイマー式のカウンターが秒刻みで減っていく。

「リ、リミットは?」

「五分ですわ」

「猟兵を含めて全員が退避できる時間じゃない。解除するしかないわ!あんたも手を貸しなさい!」

「あ」

「どうしたの!?」

「このやり取りの間に、残り四分四十秒です」

「もーっ!!」

 

 

 ――続く――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――another scene――

 

 作戦は順調らしい。

 突入からまもなく、救出に成功した人質が順に飛行艇から出てくる。彼らはユーシスたち第二救出班の誘導で、カレイジャスまで護送する手はずになっていた。

「いい感じね。見える限りじゃ誰もケガとかしてなさそう」

 アリサはその様子をレイゼルのコックピットから見ていた。

 通信報告では船倉、一階、二階は避難誘導完了とのこと。

 今、ブリッジから二人の女の子を連れたミリアムが、銀色の翼を背に飛び出した。

 普通に空を飛んでいる。サービスのつもりなのか、アクロバティックに宙を旋回しながら。女子学生の悲鳴がここまで届いていた。

 本人はエンジェルスタイルと気に入っていたが、男子たちは何のひねりもなく羽ミリアムと呼んでいたりする。

 これで二十五人目。あとは敵勢力の無力化か。機外に脱出した猟兵たちを逃がさないためのレイゼルだが、今のところそのような輩は見受けられない。

 アリサはシートに背をうずめた。

「せっかくここまで来たけど出番はなしかしら。無いなら無いに越したことはないけど」

 作戦開始前、アリサはレイゼルでのパラシュート降下をしていた。足場が悪過ぎて、さすがの機甲兵でもユミル渓谷の麓から登山というわけにはいかなかったのだ。

 カレイジャスの着陸ポイントよりも手前、渓谷頂上付近へ高度800アージュ地点からの降下。デビュー戦時に続いて二度目ともなれば、多少は手慣れたものだった。

 現在地は飛行艇から60アージュ離れた岩場。もうわざわざ機体を隠してもいない。

 気は抜いていないが、待機だけというのも手持ち無沙汰だ。アリサはレイゼルのシステムチェックを行った。

 グエンが取り付けてくれたエアーコントロール機能のおかげで、コックピットは快適だ。機体内部で熱した、あるいは冷やした空気を、適温に調整して操縦席の送風口に回してくれている。本来ならコートを着込み、ガタガタ震えているところである。

 近年世に出回り始めた最新技術だが、工事費、設置費うんぬんで、一般家庭にはまず手が出せない代物だ。

 機甲兵でこれが実装されているのは、レイゼルぐらいだろう。

「……ユミルに普及できたら便利でしょうね」

 ほとんどの家が暖炉を使用しているのだ。薪割り作業もなくなるし、煤掃除の手間もなくなる。

 取り付け費用なら問題ない。仕組みは理解しているから、材料をそろえて自分が居宅改装に赴けばいいだけだ。

 ユミルの人たちは――ルシアおばさまは喜んで下さるかしら。

「……っと、作戦中作戦中。集中しなきゃ」

 意識を正面モニターに戻し、機体のコンディションの確認をする。寒冷地での運用は初めてだ。駆動系や武装が正常作動するかは入念に見ておかないと。

 若干心配なのはヴァルキリーユニットだ。圧縮空気を使用するので、気温や気圧が影響を及ぼさないか調べておく必要がある。

 関節部が凍結していないかも気になる。ドックに戻ったら、金属疲労が許容値か整備スタッフに診てもらったほうがいいだろう。

「各種センサーも問題なし。マニュピレーター左右五指、反応良好――うん」

 どの部位も異常は起きていない。何かあってもいつものように動ける。いつも通り、なのだが……。

 アリサはイリーナの言葉を思い出していた。

 

 “この機体は全体のバランスが微妙に悪い”

 “おそらくあなたが聞かされている開発コンセプトと違う”

 

 あの時は聞き流していたが、実は何度か操縦している内に、バランスに関してはなんとなくそう感じるところもあった。

 はっきり言えば、戦闘にはまったく支障がない程度。普通なら乗っていてもわからないレベルだ。

 が、確かにある。わずかな重心のずれとでも言おうか。これを祖父が気付かないわけがない。

 なら意図的にそうしたか。イリーナの言葉をそのまま借りるなら、“そうとしかできなかった”ということだが。

 ――そんなはずはない。

 いくらでも調整はできたはずだ。

 そして開発コンセプトについても。

 “機甲兵を狩るための機甲兵”。そこに間違いはない。事実、レイゼルはそのコンセプトに基づいた機体設計と武装を有している。

 違うっていうの? だとしたら、なんの意図があって?

 考えてもわからないことだった。

 アリサはコンソールパネルを操作し、武装選択画面を呼び出す。

「……この機体に何かがあるの……?」

 もちろんスペックも機能も全て把握している。

 今まで使って来た五つの武装に、まだ使っていない六つ目の力、《フルストームモード》。

 他にいったい何が――。

 カーソルをさらに下に動かしてみる。七つ目だ。枠は灰色に塗り潰されている。

 これはさすがに関係ないと思うけど……。

「ま、いいわ」

 詮無い思考を打ち切って、アリサは操縦桿に手を添えた。

 強い風が吹き、舞い上がった粉雪が視界を悪くする。不安定な位置に停まっている飛行艇が、ぎしりと軋んだ気がした。

 

 

 ★ ★ ★

 




《邂逅の時》をお付き合い頂き、ありがとうございます。

危機的なシーンを執筆する時、自分がその場にいたらどうするかという想定をよくするのですが、時限爆弾の解除なんかは、そうでなくても想像したりしたものです。あの色付きコードのどれを切るかというやつですね。

突然ですが、心理テストをしてみましょう。

『帰宅した時、テーブルの上に見知らぬ箱がおいてありました。それを開けてみると、カウントダウンを刻む時限爆弾でした。残り一分。
手元にはニッパー。そして爆弾にはこれ見よがしに五色のコードが』

あなたには選択肢があります。

1:赤のコードを切る
2:青のコードを切る
3:黄のコードを切る
4:緑のコードを切る
5:黒のコードを切る
6:爆弾を抱えたまま、カラミティホークで空へ。犠牲者は俺一人で十分だ。

選んでいただけましたか?







では――


1:赤を選んだあなたは直感を大切にします。感情と共に生きることを是とし、愛に重きを置く人です。伴侶思いで、幸せな家庭が築けることでしょう。コードを切っても爆発はしないかもしれませんが、異性とキャッキャウフフするあなたを見た人から「爆発しろ!」とかは言われるかもしれません。爆発しろ。


2:青を選んだあなたは理性的な人です。ぎりぎりの局面でも自分の持ち得る知識の中から、最適解を導き出そうとします。筋道だった論理があなたの決断を後押しするので、クレア大尉タイプと言えるでしょう。現場における指揮命令者に向いていますが、クールなあなたにアプローチしてくる輩には要注意。そいつは眼鏡をかけた修羅かもしれません。


3:黄を選んだあなたは独創的な人です。赤か青かの二択で迷った結果、関係ない黄色をチョイスしてしまうような予測不能の行動をする時があります。制御できない天才肌と言いましょうか、ふとしたきっかけで世界を救う大発明をすることも、世界を滅ぼす破壊兵器を作ることもあり得ます。シュミット博士タイプですが、マイウェイも程々にしとかないと皇女が電気を流しに来ます。


4:緑を選んだあなたは平和的な人です。あまり争い事を好まず、穏やかな人の輪に居心地の良さを感じます。抜きん出た決断を避ける傾向もあるので、コードを切る時は誰かの意見を聞きたい派です。でも今は誰もいません。極限の状況があなたの心にもう一つの人格を作り出し、ぶつぶつひとり言を言っちゃうサイコ的な一面が露呈しちゃうかも。


5:黒を選んだあなたは抑圧された心の持ち主です。世間の閉塞感を許容し、その中で生活していますが、本当は胸の内に燻る激情があります。自身を縛る枷が外れた時こそ、凄まじい力を発揮できることでしょう。いわゆるピンチになって腹を括ると強いタイプ。アドレナリンがどばどば出て、「おらあ!」と勢いよくコードを全部切って、もれなく爆発するのです。


6:カラミティホークなあなたは高潔な自己犠牲タイプ。誰かを傷つけるなら、自分が傷つく方がいい。そんな優しいあなたに救われる人は多いはず。爆弾を抱えて空に舞い上がり、汚え花火となったあなたは、翌日の新聞の一面を飾るのです。
『爆発物を持ったまま、空へ逃避行。原因はストレス性による突発的な行動と見られる』
ある意味、現代に生きる英雄伝説。


そんなわけで(?)爆弾解除から始まる次回をお楽しみ頂ければ幸いです。

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