この男が貴族連合の長。
内戦を周到に画策し、根回しの手を張り巡らし、帝国を混乱の地へと変えた者。
パンタグリュエルのブリッジに通されたリィンとエリゼは、歓迎の体を前面に出すカイエン公爵と顔を合わせていた。
「――どうだろうか。ぜひ君の返答を聞きたい」
ひとしきりの話を終えたカイエンは、その視線をリィンに向けた。
話。これまでのこと、これからのこと。
貴族による統治を取り戻し、エレボニアをあるべき形へと正す。“支配”ではなく“統治”。“戻す”ではなく“正す”。あくまでもより良い方向に導く為だと、カイエンは主張した。
その最たる障害であったギリアス・オズボーンの暗殺。話し合いの場を持とうとせず、強硬策を執り続ける彼を止めるには、もうそれしかなかったという。
それを成した今、貴族連合の総意として望むことは、この内戦の早期終結。そこからの迅速な立ち直しと、新制度の敷き直し。近隣諸国への声明と対応も必要だ。
その為にリィンと、そして灰の騎神の力を自分たちに貸してほしい。
要は仲間になれと言うのが、カイエンからの誘いだった。
「悪いようにはしない。そもそも我々とて、いたずらに戦禍を拡大しようとは思っていないのだ。君の力があれば状況に苦しむ民たちを早々に救うこともできる」
近付き、差し出される手。
自分の言葉を相手に正しいと思わせる魔力が、この男の立ち振る舞いにはあった。良くも悪くもカリスマ性というものなのだろう。
己の決断一つで救える人たちもいる。誰とも争う必要がない。……クロウとも。
さりとて、眼前の手を握り返すことには躊躇した。本当にこれが俺の求める道なのか?
「俺は――」
「私には、あなたの言葉を信じることができません」
握手を求めるカイエンの指先がぴくりと動く。横合いから声を挟んだのはエリゼだった。
カイエンの傍らに立つルーファスは興味深げに彼女を注視した。
「苦しむ民はあなた達が生み出したのでしょう。苦しむと分かって事を起こしておいて、それを救おうだなんて」
「結果的にはそうなってしまったな。それは我々としても大いに反省すべき点ではある。しかし大事を成す為には、時に耐え忍んでもらわねばならないこともあるのだよ」
憂き目をして浅い息を吐く。聞き分けのない子供に、道理を言い聞かせるような態度だ。
「あなたの言い様だと、領民に負担を背負わせることが前提のように聞こえます」
「領地に暮らす民であれば、それが本来あるべき形だと思うがね」
「知らずの内に巻き込まれた上に、望むと望まざると協力するのが当たり前だと仰るのですか? 今までの生活が立ち行かなくなっている人たちもいるんですよ」
各地の現状を直接見てきたからこそ、正面きって口に出せる言葉だった。
「民は一時のことしか考えない。刹那的に生きている彼らは正しく先を見る術を持たない。いつの時代も舵取りをする人間は必要なのだ。私は常に行く末を見据えて行動を決めている。帝国のさらなる繁栄と安寧の為に」
「あなたは……!」
後部扉の前に控えていたクロウがリィンの横に歩み寄り「そろそろ止めた方がいい」と耳打ちする。
リィンも同意だった。ここまで感情に任せた詰問はまずい。少なくとも、今この場では。
「拉致を保護と言ったりして、耳ざわりのいい正統な言葉に変えていますけど、結局のところあなたは――」
「エリゼ、やめ――」
リィンが制止の言葉を発する前に、エリゼは言った。
「主催者ではなく首謀者です」
広スペースのブリッジが静まりかえっていた。オペレータ席に座るクルーたちの緊張が伝わってくる。
張りつめ、しんと冷える空気。
余裕の表情を崩さなかったカイエンの目に明確な怒りが揺らいだのは、わずか一秒にも満たない時間だった。
口元だけを取り繕った笑みの形にして、彼は言う。
「シュバルツァー家のご息女は、可憐な容貌の割に気丈なことだ。自分の考えをお持ちだからこそ、そのように熱意ある私見も述べられるのだろう。いたく感心する」
あくまで自分の立ち位置が上であることを言葉の端に滲ませつつ、カイエンは二人に背を向けた。
「リィン君。返答は後日でいい。ゆっくりと考えてくれたまえ」
「……失礼します」
踵を返し、ブリッジを後にするリィンとエリゼ。
来賓区画への案内はクロウが務めた。昇降エレベーターに乗り、扉が閉まったところで彼は嘆息する。
「やれやれだ。見ている側が落ち着かなかったぜ。お嬢さん?」
「つい抑えられなくなって……出過ぎたことを言ってしまいました。申し訳ありません、兄様」
「いや、気にするな」
あのカイエン公相手に臆さず言い切った妹の横顔を見やり、リィンは件の申し出の可否が即答できなかった自分を振り返る。
エリゼが言った言葉は、おそらく自分の心中の代弁でもあった。
しかし、まだ迷っている。完全に手を払いのけられない煮え切らなさが、胸の底に淀んでいる。
「今日はもう日も落ちてる。しっかり休んで、じっくり考えろよ。カイエン公が言うことも、まあ一理はあるんだ。――ってそうにらむなよ」
エリゼが細くした目をクロウに向けていた。
「兄様に変なことを吹き込まないで下さい」
「お目付け役か? おっかねえな」
クロウは苦笑する。
リィンが一抹の懐かしさを感じる中、エレベーターは来賓区画に到着した。
塵一つない絨毯が全域に敷かれたフロアの一角、二つの客室の前へと連れて来られる。
「こっちがリィンで、そっちがお嬢さんの部屋な。不備はないと思うが、必要な物があったら遠慮なく使用人に言ってくれ」
「俺とエリゼの部屋は別々なのか?」
「ダメか? 一応となり同士にはしてるぞ」
さらわれかけた経緯もある。自分の目の届く範囲にいないと、やはり安心できない。
「俺と同じ部屋にしてくれ。広さは十分だろう」
「そりゃ構わねえが」
「エリゼもいいな?」
「は、はい」
いきなりの提案にエリゼは戸惑っているようだった。
「お嬢さんがいいならいいか。ほらルームキー」
受け取ったキーを差し込み、扉を開ける。
温かみのある照明が点灯した。整然とした室内は、気品を感じさせる内装だ。
なかなか室内に足を踏み入れようとしないエリゼ。なぜか挙動が止まり、固まっている。その視線を追って、リィンも気付いた。
シングルタイプのベッドが一つしかないのだ。
クロウが意味ありげな咳払いをする。
「同じ部屋でいいって言ったのはお前だからな」
「必要な物ができた。ベッドをもう一つ運び入れてくれ」
「あー残念。もう余ってねえわ」
「エリゼが使うはずだった部屋にあるだろ」
「つべこべ言わずに、ごゆっくりしやがれ」
無理やりに二人を部屋に押し入れると、含み笑いを残してクロウはドアを閉めた。
《――隔心の鏡――》
「おはようございます、兄様」
「ああ……おはよう」
目を覚ますとエリゼの顔があった。緩慢な動作で体を起こし、リィンは差し出されたティーカップを受け取る。寝覚めの紅茶を淹れてくれたらしい。
「エリゼはよく眠れたか?」
「私は問題ありませんが……兄様は大丈夫でしたか?」
「ああ。俺はどこでも眠れるからな」
リィンが寝ていたのはソファーだった。
二人で横になっても余るような大きなベッドで、エリゼも半分ずつ使おうと提案してきたのだが、だとしてもそこは彼女に譲ることにした。
「私は本当に構いませんでしたのに……」
「わかってるさ。気を遣わせて悪かったな」
「……わかってません」
ぷいと顔をそむけたエリゼは鏡台に座り、朝の身だしなみにかかった。
なぜそこで不機嫌になるのか。リィンは紅茶を一口飲み、雲海に臨むガラスの大窓を見やった。
天気は快晴。そもそも雲が下にある。高度は3000アージュといったところだろうか。
「姫様はどこにいるんでしょう」
「そうだな。昨日は聞きそびれてしまったし」
去り際のカイエン公にはとても聞ける雰囲気ではなかった。
「私のせいですか?」
「い、いや。違うぞ。クロウに聞いておけばよかったんだ」
物言いたげな視線にはかぶりを振って返し、リィンも身支度を整える。
「そういえばヴァリマールが飛ぶ直前にフィーと話していたよな。何だったんだ?」
「え? ええ……」
ちょっと口ごもったあと、エリゼはうつむいた。
「……乙女の秘密です」
「言いたくないなら詮索するつもりはないさ」
ほどなく二人の準備は終わった。来賓区画なら自由に見て回っていいとクロウから聞いている。
アルフィン皇女との再会以外にも目的はあった。
ここには自分たちと相対し、刃を交えた者たちがいる。彼らの話は聞いておきたい。戦場の外、違う立場の話を聞くことで見えるものがあるかもしれない。
答えを出すのはそれからだ。
● ● ●
昨晩はゆっくり眺め回すゆとりもなかったが、改めて見てみるとラウンジ一つ取っても優美な設えである。
高い天井には豪奢なシャンデリアが吊り下がり、フロア一帯にきらびやかな光を注いでいる。壁の随所には額に収められた絵画が飾られてあって、いずれも有名な作品ばかりらしい。
“らしい”というのはエリゼが教えてくれたからだ。
さすがは聖アストライア女学院生。この辺りは子女の教養というものなのだろう。他にも年代やら様式やら画風やら色々と説明をしてくれる。とはいえ美術史にはあまり明るくないので、相槌を打ちつつもリィンは半分も理解できなかったが。
トールズ士官学院に美術史はないのだ。歴史学の一分野でさらりと触れるだけである。
「そ、そんな……もう一回ですわ!」
「ふふ、構わんよ。次はペナルティ付きで行こうか」
少し進んだ所で、その光景に出くわした。
ラウンジの片隅。そこに設置されたテーブルを挟んで、ブルブランとデュバリィが対面して座っている。
「ん? おお、君たちか」
「あら、そういえば滞在していたのですわね」
二人がこちらに気付き、声をかけてくる。
やはりいきなり普通には喋れない。警戒しながら慎重に応じる。
「ちょっと散策だ。……何をやっているんだ?」
「何って、これですけど」
卓上にはトランプが散らばっている。カードゲームをしていたようだ。こういうこともするのかと、少しばかり意外に思った。
「せっかくだ。君たちもやっていくかい? 話ついでの時間潰しさ」
顔を見合わせるリィンとエリゼ。
ブルブランの誘いは怪しさしかなかったが、あえて断わる理由も思いつかなかった。
程なく小さなテーブルを四人で囲む。ブルブランがエリゼに言った。
「お嬢さん、ポーカーのルールは知っているかな?」
「いいえ」
「ブラックジャックは?」
「知りません。嗜む機会がなかったもので」
「なるほど。ではオールドメイド……俗に言うババ抜きにしよう」
鮮やかな手付きでカードを切り、全員の前に分配する。淀みなく動く手付きは、つい見入ってしまうほどだ。
「では始めよう。親睦のゲームだから、客人との賭けはやめておこうか。君と私は続行だが」
「ふん、上等ですわ!」
デュバリィが頬をひくつかせる。
「私が勝ったら今までの負け分は全て帳消し! ついでに甲板掃除でもしてきてくださいな。宜しいですわね」
「では君が最下位だった場合、レストランで一日ウェイトレスを務めてもらう」
「上等です。絶対に負かしてやりますわ」
「楽しみなことだ。順番は時計回りでいいな」
そしてババ抜きは開始された。
リィンがブルブランのカードを引く。ブルブランがデュバリィのカードを引く。デュバリィがエリゼのカードを引く。エリゼがリィンのカードを引く。
何巡目かした頃、リィンがブルブランのカードを引こうとした時、その仮面の口元が不意に笑んだ。
「一度話をしたかった。君に興味があるのだよ」
扇状に開いたトランプにかけた手を止め、訝しむ顔を浮かべる。
「何に対しての興味だ」
「君と、君に巣食う鬼の力についてだ」
肌が粟立つ。「鬼?」と聞き返してみたが、何を指した言葉なのかは憶測がついていた。
自分の姿と心を塗り替え、驚異的な身体能力を生み出すあの力のことだ。
「便宜的にそう呼ばせてもらった。そう的外れな呼称ではないと思うがね」
「あれが何か知っているのか?」
「知らない。未知のものだからこそ惹かれるのだ。人は大きな力に畏怖を感じるが、同時に憧れも抱く」
「少なくとも憧れるような力じゃない。できることなら捨てたいとも思っている」
「君の一部なのに?」
自分のものであるというのなら、その手綱を握り自在に扱えるだろう。容易に暴走し、自分も他人も傷つけてしまうような力が俺の一部であるものか。あれはもっと異質な何かだ。
無言を返答にして、一枚のトランプを抜き取る。ジョーカーだった。
「相手に呑まれるとそうなる」
「忠告として受け取っておく」
せせら笑ったブルブランから視線を外し、リィンは次の引き手であるエリゼに体を向けた。ジョーカーを引かせるのもなんだか忍びなく、引いたばかりのジョーカーを目立たない位置に隠してやる。
しかし裏の裏を読んだつもりなのか、エリゼはわざわざそれを引いた。
「あ。……兄様」
「いや、俺のせいじゃないぞ」
勝負は続き、一番手に上がったのはブルブラン。二番手はリィンだった。
残るはエリゼとデュバリィだ。
「あなたも結社の方なのですか?」
互いの札を引き合いながらエリゼが訊いた。
「そんな質問にいちいち答える義理はありませんわね」
「え……すみません」
つれなく当たるデュバリィに、すかさずリィンが睨みを利かせる。
「エリゼに冷たい態度を取るな」
「な、なんですか、その目は。というか、どうして私が責められるんですの!」
ブルブランが横から口を挟んだ。
「彼女も《身喰らう蛇》の一員だ。使徒第七柱の直属で鉄機隊の筆頭を務め、《神速》のデュバリイと呼ばれている。執行者というわけではないが、相当の手練れであることは私が保証しよう」
「なっ、何を洗いざらい喋っていますか! しかもあなたなんかに実力を保証されるいわれもありませんから!」
第七柱。鉄機隊。重要な言葉だった。
残るカードはデュバリィが二枚。エリゼが一枚。つまりデュバリィがジョーカーを持っている。
「さあ、お引きなさい」
片方のカードを、ずいと前に押し出す。鬼気迫る表情だ。
「ええと、ではこちらで」
エリゼは裏に隠れたほうに手を伸ばす。つかまれたカードを、デュバリィはがっちりホールドして手放そうとしない。
「な、なんでそっちを選ぶんですの。前の方が引きやすいでしょうに」
「でも私はこっちがいいんです」
「おやめなさい! ダメですってば。だ、ダメー!」
悲壮な叫びの中で抜き取ったカードは数字札。エリゼの勝ちだ。
残されたジョーカーを手にうなだれるデュバリィ。その肩にブルブランの手が置かれた。
「では今日一日、神速のウェイトレスになりたまえ。さて、夕食は久しぶりにレストランを使うとしよう」
「くうぅ……屈辱ですわ~! 覚えていなさい、エリゼ・シュバルツァー!」
「わ、私?」
「エリゼを威嚇するな」
あらぬ八つ当たりを受ける前に、リィンはエリゼの手を引いてその場を離れることにした。
ラウンジのど真ん中。談話用のソファーに、その男は横たわっていた。
思いがけず足を止めたリィンとエリゼは、その無防備な寝顔を視界に入れた。
どうするか一瞬迷い、やはり離れるべきと決断したリィンが足を動かそうとした矢先、その寝息が途切れる。
「ん……ああ?」
気だるそうに体を起こしたその男は、《劫炎》のマクバーンだった。
「なんだ、お前ら。ここに座りてえのか?」
「いや、そういうわけじゃないが……」
さりげなくエリゼを自分の背に隠す。この船には油断ならない相手が多くいるが、その中でも彼だけは別格だ。あのシャロンが本気の声音で、絶対に戦うなと止めるほどの存在。執行者のナンバーⅠ。
「どうしてこんなところで寝ているんだ?」
「どこで寝ていようが俺の勝手だ。用事がねえなら行けよ」
首を巡らし、頭をかく。まだ眠そうなマクバーンにリィンは言った。
「用事はある。あんたと話がしたい」
「あ?」
偶然に顔を合わせたのはいい機会と考えるべきか。覚悟を決めて、リィンは対面するソファーに腰掛けた。そう、訊きたいことがあったのだ。
できればエリゼはこの場から離したかったが、そう促したところで今さら応じないだろう。ここに同行した時点で、彼女も腹は括っている。
「アルバレア城館で会った時、俺に言ったな。“混じってる”って。あれはどういう意味だ」
「そういやそんなこともあったか。どういう意味って言われてもな」
しばしの沈黙。手の平に汗がじわりと滲む。
「……ほらよ」
おもむろにマクバーンは指を一本立ててみせる。その指先に炎が生まれ、空気の焦げる臭いが鼻孔をつく。
これはなんだ。導力魔法じゃない。エマが使うような魔術とも違う気がする。リィンの横で、エリゼも目を丸くしていた。
「俺は念じれば火を出せる。そこに理屈はなく結果だけを引き出すもの。お前も持ってるんだろ?」
「鬼の力、か……さっきブルブランにそう言われた」
「感覚的なもんだし、呼び方に意味はない。鬼ね……お前は一部だけ混ざっているようだがな」
「ぐっ!?」
マクバーンと目があった瞬間、ずきりと胸のあざが疼いた。いや、あざではない。そのさらに奥の“何か”が反応している。
「兄様!?」
「ふうん、そこか」
痛みはすぐに治まった。
「お前がいつ、どこで、どうやって混ざったかは知らねえが、俺とは“中身”も“強度”も違う。ま、言葉で答えられるのはこの程度だ」
「……十分だ。ありがとう」
「お前の顕れ方も見たいところだがな」
リィンは立ち上がり、エリゼも気遣わしげに続く。
分からないことの方が多かった。しかし一つだけ理解したことがある。
いつ、どこで、どうやって混ざったか。もちろん自分にも不明だが、マクバーンが言ったその言葉で確信した。
この能力は後天性のものだ。失われた自身の記憶のどこかに、そのきっかけとなった出来事は必ず存在する。
「最後に一つ訊きたい。……俺が一部分なら、そっちはどのくらい混ざっているんだ」
「ああ、俺か――」
雰囲気が変わり、周りの空気が重くなる。
圧を帯びた声が一言告げた。
『全部だ』
●
「まだ胸は痛みますか?」
「もう大丈夫だ。心配をかけたな」
眠気が覚めたと言って、マクバーンは自室へと戻っていった。
彼の言い放った最後の一語。その言い知れない不気味さ。
やはりエリゼには部屋で待っていてもらうべきだったか。しかし自分の目の届く位置の方が安心には違いない。
「それにしても姫様はどこに……どこかの部屋にいらっしゃるんでしょうか」
エリゼはリィンの後ろできょろきょろと広いフロアを見回している。
客人扱いの待遇とはいえ、ここは貴族連合の旗艦。さっきのような不意の遭遇はあり得ることだ。
「やっぱり気は抜けないか。エリゼ、俺のそばから離れ――むぐっ!?」
すぐ横の客室の扉が音もなく開き、伸びてきた太い腕がリィンの口元をがっちり押さえ込んだ。
抵抗する間もなく部屋の中に引きずり込まれ、そして静かに扉が閉められる。二秒足らずの出来事だった。
「兄様?」
エリゼが正面に向き直った時、そこにリィンの姿はなかった。
目を離したのは、わずか数秒だ。一体どこにいったのだろう。今まですぐそこにいたはずなのに。
「この部屋に入ったとか……?」
当惑しながらも、とりあえず近くの客室をのぞこうとした。しかし鍵がかかっている。
本当に消えてしまった。
どうしよう。ここで待っていた方がいいかしら。いきなり一人になると、急に不安が湧いてくる。
「あの部屋……」
扉が開け放しになっている部屋を見つけた。もしかしたらあの中にいるかもしれない。
近付いて、そっと室内の様子を窺ってみる。
誰もいないようだ。それでも一応小声で「失礼します」と断りを入れてから、何とはなしに足を踏み入れる。
生活感のないモデルルームのような整然さの中に、小さな寝息が聞こえた。ベッドに誰か寝ている。
「っ!」
その少女を見るなり、エリゼは思わず声を上げそうになった。
アルティナ・オライオン。ユミルでアルフィンを攫った相手だ。危うく自分も連れ去られるところだった。ノルド高原においても監視塔の屋上で交戦している。
因縁と呼べるほどの深さはないにせよ、関係は浅からぬ相手である。
「ん……」
気配を感じ取ったのか、アルティナがむくりと起きる。無感情な瞳と視線が合った。いや、これは単なる寝ぼけ眼か。
見つめ合ったまま、無言は続く。やがて小さな口が開き、彼女はぼそぼそとひとりごちた。
「意識消失から13時間経過……パンタグリュエル内部……私に割り当てられた自室と断定……ふぁあ」
半覚醒状態にある彼女の脳内が、のろのろと再起動しているようだった。徐々に焦点が定まってくる。
「……エリゼ・シュバルツァー。なぜここに」
「お、遅い」
ひどく緩慢な反応に、こちらの緊張も幾分か解けた。
まずは勝手に部屋に入ったことを謝罪し、リィンを探している経緯をかいつまんで説明する。
「状況は理解しました。ですが、リィン・シュバルツァーはここに来ていません」
「眠っていたのになんで断言できるんですか」
「彼が入って来ていたなら、クラウ=ソラスが反応していたはずです」
アルティナのそばの空間が歪曲し、唐突に漆黒の傀儡が現れた。頭部が天井に到達しそうなくらいの巨躯。改めて目の当たりにする存在感に、エリゼは数歩後じさる。
「で、でも私には反応しませんでしたよ?」
「防衛行動に入らなかったのは、あなたに敵意がなかったからでしょう」
「兄様だって最初から敵意を持って来たりはしないと思いますけど……」
「不埒な目的で忍び込んでくる可能性は否定できません」
「それは……わざとじゃないと思いますし……」
ない、と断言できないのが辛いところだった。実際やましい目的では訪室しないだろうが、予定調和の不可抗力が起こらないとは言い切れない。しかもこんな少女相手にやらかしたら大問題だ。
アリサさんは兄様を矢の的にするだろうし、ラウラさんは大剣で脳天から真っ二つにするだろうし、私だってレイピアで刺しちゃうかもしれない。
「それで、あなたの用事はそれだけですか」
それだけだった。早々に退室してもよかったのだが――エリゼは対話を続けた。角度の異なる情報は見識を拡げ、自分の立つべき場所を明確にする。
ここでリィンがしようとしていることだ。その手伝いは自分もしたい。
「ユミルでアルフィン皇女を攫ったのはなぜですか?」
「命令だったからです」
「私も一緒に捕らえようとしたのは?」
「命令です」
他にもいくつか質問したが、そのほとんどは『命令だったから』。その一言で済まされてしまった。クラウ=ソラスや、アルティナ自身の事については『教えられない』である。
こちらの問いに機械的に応じるだけ。想いや主義主張がまったく見られない。
「あなたは無関心なのですか? この内戦に対して」
「任務の遂行が私の任務であり、ここにいる意義です。元より肯定も否定もありません」
浮世離れしているというわけでもなく、強いて言うなら“個”が薄い。
生きていく上で自然と身に付く“我”のようなものが感じられない。まるで人形に色のない魂が宿ったみたいだ。
様々な疑問が結実した果てに浮かんだのは、この問いだった。
「あなたは、どこから来たんですか?」
「………」
教えられないとは即答せず、アルティナは開きかけた口を閉ざす。瞳に迷いが映ったと思うのも一瞬、平静な口調でこう言った。
「《黒の工房》。これ以上の情報開示はできません」
「黒の……工房?」
「では、あなたにも私の質問に答えてもらいます」
にわかに不機嫌そうになったアルティナは、横の枕をばふっと叩いた。
「ミリアム・オライオンの弱点を教えてください。お化け以外で」
さっきまでの態度と一変、思いきり感情が出ている。我も個もないわけではないらしい。出てくるポイントと相手がある、ということだろうか。
「弱点と言われても……急には思いつかないのですけど」
「隠すとあなたの為になりませんよ。先にこちらの情報を教えたのですから、そちらも話して下さい」
まともな情報など数えるほどしかなかったが、そういう意図があったようだ。
隠すつもりはなく、味方の不利になるという考えもなく、エリゼは思いついたことを言った。
「ええと、ミリアムさんは朝が弱いですね。全然ベッドから出てこないです」
「朝……なるほど。良いことを聞きました。早朝に奇襲をかければ、制圧は容易ということですね」
「あっ」
これはまずいことを教えたかもしれない。焦るエリゼ。しかしアルティナは「一つ問題があります」と何やら悩んでいた。
「朝早くは私も起きられません。打開策の提案を要求します」
「……目覚まし時計とか」
当面の危機にはならなさそうだった。
エリゼと叫ぶこともできなかった。
自身の身に何が起きたのかを悟るより早く、眼前のドアが閉められ、妹の姿が見えなくなる。
口元は依然として押さえられたまま、声も出せない。さらに筋肉質な太い腕が、後ろから腹に巻き付いている。
抵抗はしてみるも、万力に等しいそれは微塵にも動く気配がない。
「直接顔を合わすんは久しぶりやな。元気しとったか?」
軽い声。視界の中に入ってきたのはゼノだった。ということは自分を拘束しているのはレオニダスか。
昨日のユミル襲撃に《西風の旅団》の二人がいたのは、ヴァリマールの中からも見えていた。当然このパンタグリュエルに乗っているとは思っていたが、いきなりこんな真似をしてくるとは。
完全に誤算だった。このままではエリゼも危ない。
「んー! んー!」
「ああ、それじゃ何も言えんか。口の方はもう放したってもええで」
「そうだな」
レオニダスの片手が離れる。ぷはっと息をつくリィンに、ゼノは顔を近付けた。
「いやー悪い悪い。別に危害を加えようと思っとるわけやない」
「だったら目的はなんだ」
これがすでに危害と言えなくもないが。レオニダスの腕は、まだ自分の腹部から離れようとしない。
「そう警戒すんな。ちょっと話したいだけや。飲み物も用意すんで。何がええ?」
「水でいい」
「はは、真面目なボンはつまらんな」
そのままリィンはソファーに誘導された。連行と言えるかもしれない。
ソファーの真ん中に座らされる。ようやく拘束の腕が外れた。
「ほい」
水の入ったグラスが前のテーブルに置かれる。圧迫されたせいなのか、喉は本当に乾いているのだ。「ありが――」と礼を言いかけたところで、リィンの左隣にレオニダスがどっかりと腰かけた。
なぜとなりに。グラスに伸ばしかけた手を引っ込めて横に少しずれようとしたら、今度は右隣にゼノが座った。
左右からそれぞれの腕が、リィンの肩に回される。
「な、なにを」
「いやいや、だから言うたやんか」
「うむ」
屈強な男たちは両隣から異口同音に言った。
『話をしようか』
一度自分たちの部屋に戻ったが、やはりリィンはいなかった。
エリゼは窓際に立って、外を眺めてみる。雲の海が眼下に広がり、青い空がどこまでも続いていた。
パンタグリュエルの周囲を小型飛行艇が飛んでいるのは少々無粋に思えたが、それでもこの眺めは絶景と呼んでいいものだろう。
「はあ……兄様も姫様もどこに……」
ついた一息がガラスにくもりを生む。
アルフィンの居場所をアルティナに訊いたが、興味のないことで把握していないとのことだ。
扉をノックする音がした。
「兄様?」
「よう、お邪魔するぜ」
クロウだった。
「お」
「あ」
互いに予想外だったらしく、顔を合わせると同時に制止する。
部屋を見渡し、クロウが言った。
「お嬢さん一人か……リィンはいないのか?」
「はい」
「どこに行ったんだ」
「知りません」
あえて素っ気なく返す。
リィンや彼の仲間がクロウに対してどう思っているか、その深い部分までエリゼは知らない。単なる敵と割り切れない心情があることは、これまでの会話の端々から察してはいるが。
しかし自分はそうではない。
兄様たちがどう思おうとも、私は彼を許せない。この国を滅茶苦茶にして、姫様とセドリック皇太子ら家族を引き離した彼を。
あの時、あの場所でトリガーを引き、内戦を引き起こしたのはこの人。仕組んで画策したのはカイエン公爵だが、クロウがその火蓋を切って落としたのだ。
「こいつはまた嫌われたもんだぜ。にしてもお嬢さん――」
「エリゼです」
虚を突かれたみたいに目を丸くし、それからクロウは笑った。
「それならエリゼさんでいいのかい?」
「呼び捨てで結構です」
「あいよ。そんじゃエリゼ。また後で出直すから、リィンが戻ってきたらそう伝えといてくれ」
「ここでは待たないのですか?」
「まあ、待っててもいいんだが、お嬢――エリゼににらまれ続けるのも居心地が悪いんでな」
「べ、別ににらんだりしません! 座って下さい」
椅子を差し出し、クロウを座らせる。座らせた以上は来客扱い。淑女としての条件反射なのか、客人に紅茶を淹れるべく体は勝手に戸棚へと向かっていた。
ティーカップと上質の茶葉を取り出す。お湯は備え付けの簡易ポットがあった。
それらの準備の最中、クロウは静かに待っている。
沈黙の中、手を止めないままエリゼは口を開いた。
「兄様はクロウさんに問いたいことがたくさんあるのでしょうが、私もあなたに訊きたいことがあります」
「へえ、なんだ?」
「二週間ほど前。トリスタの攻防戦以降、消息不明だった兄様がアイゼンガルド連峰にいると、私の《ARCUS》に通信をくれたのは――クロウさん、あなたですよね?」
「さあ、なんのことだか――」
「声で分かりました。何度もお会いしていますから」
押しかけた第三学生寮。温泉騒動のユミル。体育大会の士官学院。会話をする機会は多かった。
「いい耳してるな。正解だ」
とはいえあの時はノイズもひどかったし、クロウの声かは確信が持てなかった。だから今のは半分はったりも混ざっていたりする。
やっぱりそうだったのか。
紅茶を注ぎ入れたティーカップをクロウの前に置く。
「どうぞ」
「どーも」
一口すすると彼は深く吐息をついた。
「うまい。……アルティナとは大違いだぜ」
「そうなんですか?」
彼女が紅茶を人に淹れるというのが、まず意外だった。
「しかしリィンのやつ遅いな。大事な妹をほったらかしてどこ行ってんだか」
「クロウさん」
「ん?」
リィンの無事を自分に伝えたのは彼。だとするなら、もう一つ訊きたいことがある。
二口目を飲もうとしたクロウを、エリゼは真っ直ぐに見据えた。
「お話をしましょう」
――続く――
《another scene 神速のウェイトレス》
リィンの部屋を訪れる少し前、クロウはレストランに足を運んでいた。
扉を開けてエントランスに入ると、目の前に不機嫌そうなデュバリィが立っている。なぜか給仕用のウェイトレスエプロンを着用していた。
彼女はじろりと目を向け、
「いらっしゃいませ。空いてるお席に勝手に座りやがれですわ」
腕は胸前で組んだまま、くいっと適当なテーブルをあごで指し示す。
「いやいや、食事しに来たわけじゃねえし。というか仮に食事に来たとしたら、客を迎えるお前の態度は最初から最後まで間違ってる」
「どうでもいいです。さっさと席について下さい」
「ちょ、おい!」
有無を言わさず、デュバリィは袖をひっつかみ、クロウを手近な席に無理やり座らせた。
ぞんざいな手付きで、卓上にメニュー表が拡げられる。
「で、注文は? 早く選んで欲しいのですけど」
「お前、なんでそんな恰好でこんなことしてんだ?」
「注、文っ!」
相当虫の居所が悪いようだ。理由を説明するつもりもないらしい。
仕方ないので、クロウは何かを頼むことにした。
「ったく、腹は減ってねえのに。じゃあ、このコーンスープ。それだけでいい」
「ふん、承ってやりますわ」
「なんでちょいちょい偉そうなんだよ」
フリルのエプロンをひらひら揺らして、むっつり顔のデュバリィはキッチンへと入っていく。見事なまでのへの字口だった。
一体何があったのだろうか。訊こうものなら間違いなく地雷を踏むので、もうそこには触れないことにしたが。
ほどなくすると、彼女はスープ皿を手に戻ってきた。不愛想極まりない口調で言う。
「コーンスープ」
「おう」
「どうぞ、召しやがれですわ」
「もうそこは普通に召し上がれでいいだろ……」
味は文句なし。当然だ。これは出来物のコーンスープなのだろう。それを見越してこのオーダーにしたのだ。
クロウは以前、デュバリィの作ったパスタで手酷い目に合わされている。ややこしい物を注文して、また彼女の手作り料理を出されてはかなわない。
「ごちそうさん」
さっさとコーンスープを平らげて、クロウは席を立つことにした。
これでようやく目的を果たせる。
レストランからは出ずに、クロウはそのまま厨房へと入った。
「こっちもかよ……」
中では見知った顔がせかせかと動いていた。スカーレットとヴァルカンである。
クロウに気付いた二人が顔を向けてくる。
「あら、クロウ」
「こんなところでどうした?」
「こっちのセリフだ。何やってんだよ」
鍋の火加減を見ながらヴァルカンが言う。
「見ての通りだが」
「それを説明してくれ」
「あのお姫様の飯だよ、飯」
それを聞いて理解した。
ここ連日、彼らはアルフィン皇女の為に何かしらを作り、足しげく彼女の部屋まで運んでいるのだ。
しかしその料理に手を付けられたことはなく、最初は気遣いからの行為だった二人も、最近では意地になっている節がある。
「見てなさい。今日という今日は、その頑ななお口を開いてあげるわ……!」
ヴァルカンもさることながら、スカーレットの意気込みは半端ではない。どことなく嗜虐の感情も見え隠れしている気がする。
アルフィンの扱いはくれぐれも丁重にと言付かっているので、粗相をやらかさないか心配だ。
「それにしても彼女なんなのかしらね?」
スカーレットの視線は、厨房のガラス窓越しに見えるデュバリィに向いていた。変わらずに入り口前で立っている。
「いきなりレストランに飛び込んでくるなり『一日ウェイトレスをやらせろ』って料理長さんに詰め寄って。強引にあの立ち位置に控えちゃってるのよ」
「一般客なんざいねえから誰も来るわけがねえのに、ずっとあそこにいるんだよな。一応、テーブル拭きとか床掃除とかもやってるみたいだが」
スカーレットとヴァルカンにも事の次第は分からないそうだ。
ちなみに会話に出た料理長だが、普段はルームサービスの注文に対応しているので、レストランが暇だからとて彼が暇をしているというわけではない。
その料理長が色々と融通を利かしてくれるので、こうして自分たちが自由に厨房を使えるのだ。
「さて、俺も作るとするかね」
デュバリィのことはさておき。袖をまくり上げ、クロウは材料をそろえ始めた。
開始から30分足らずで料理は完成。出来たてのそれをバスケットに入れて、クロウは厨房を後にする。
スカーレットとヴァルカンはまだ調理中だ。えらく手が込んでいる。またヴァルカンが油ギトギトの一品にしないかは気になるところだが。
まあ、そっちはそっちで任せよう。そもそも自分はアルフィン皇女の部屋に行くわけではないのだ。
「って、まだいたのかよ」
「いたら悪いんですの?」
戸口前に立つデュバリィと再び遭遇した。レストランの出入り扉はここしかないから仕方がない。
「悪いなんて言ってねえよ。事情は知らんが、とりあえずがんばってくれ」
「……ふん」
顔をそむけるデュバリィ。
その時、『ぐうう』と腹の鳴る音がした。そっぽを向いた顔が赤くなっている。
「腹が減ってんのか」
「減ってません」
「でも今腹鳴ったし」
「鳴ってません」
そこは認めろよ。強情な横顔を見やり、クロウは嘆息した。
バスケットからそれを一つ取り出し、デュバリィに差し出す。
「ほれ、これやるよ」
「なんですの?」
「出来たてのフィッシュバーガー。味は皇女殿下のお墨付きだぜ」
わざとらしく首をすくめてみせる。しかしデュバリィは受け取らなかった。
「そういった施しは受けませんから!」
「そりゃ残念だ。じゃあな」
「あ……」
あっさりと引き下がるクロウを「ちょ、ちょっとお待ちなさい」と引き留める。
「その……施しは受けませんけど、そこに置いていくと言うのなら止めませんわ」
デュバリィは近くのカウンターを指し示す。
「それってお前の言う施しにはならないのか」
「置いてあるものを回収して、適正に処理するだけですので」
やっぱ食いたいんじゃねえか。
心中で苦笑しつつ、クロウはフィッシュバーガーの包みをカウンターにちょこんと置いてやった。隠そうとして隠しきれない嬉しさが、デュバリィの顔中に広がっている。
「冷めない内に食えよ」
「ふん、あなたの指図は受けません」
言いながら、すでに彼女は包みに手を伸ばしていた。
素直だか素直じゃないんだか。
一つ分軽くなったバスケットを手に、クロウはリィンたちの部屋へと歩き出す。
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お付き合い頂きありがとうございます。
幕間第二話をお送りしました。後半はリィンとエリゼに分かれての進行となっています。
カイエン公相手にエリゼはがんばりました。閃Ⅲでも彼女が登場するのか気になるところですね。そもそも主人公はリィンで続投なのか果たして……
あとお知らせです。活動報告にも上げていますが、『ヴァリマールの雪合戦データ』を『雪玉に願いを(後編)』の話末に移動しております。
それでは次回も引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。