虹の軌跡Ⅱ Prism of 《ARCUS》   作:テッチー

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※最終話以降が反映されております。


夢にて夢みて しっくす(前編)

「協力しなさい」

 要請でも依頼でもなく、イリーナ・ラインフォルトはそう命令を下した。

 例によってラインフォルト本社ビルに呼び出されたのは、一年Ⅶ組と二年Ⅶ組のフルメンバーである。

 ひとまずは代表として、リィンが詳細を確認する。

「あの……もう少し説明を頂けませんか。協力はしますので、というか拒否権もないでしょうし」

「あなたはテレビというものを知っているかしら」

「テレビ? いいえ」

「テレビジョンセットの略語よ。導力波の送受信によって、専用モニターに映像と音声を投影するもの。もちろんリアルタイムも可能だし、録画データを再生することも可能。この技術自体は見たことあるわよね?」

 言われて思い至った。

 軍の基地にもあったし、カレイジャスのブリッジにも搭載されていた。

 記憶に新しいのはクロスベルを占領した際の声明で、ルーファス・アルバレアを中継していた巨大ディスプレイだろうか。

「現在は軍事の一部にしか使われていないけど、うちの開発部がテレビの小型化と量産に成功してね。これから一般家庭の販売に向けて動こうと思ってるの」

「なるほど。それはまた大規模なビジネス展開ですね」

「ニーズに上手くはまればという話ではあるけれど。ただ一般家庭への普及の前に、まずは様々な企業にその有用性と可能性を知ってもらいたい。その方が民衆への波及効果と浸透効果が高い」

「では自分たちが行う協力というのは、その企業への働きかけですか?」

「良い理解力ね。そう、あなた達には大口の顧客にアピールできるようなPVを撮ってもらう」

「PV?」

「プロモーションビデオ。商品やサービスの販売促進を目的とした動画という認識でいいわ。今は紙媒体のカタログが商品選びの主流だけど、これからの時代は映像を基軸にして視覚的、聴覚的に購買意欲をかき立てていく必要がある。そしてその効果は、今までの古いスタイルとは比較にならないでしょうね」

「えっと……まあ、意図はわかりましたが……結局俺たちは具体的に何をどうしたらいいんですか?」

「PVシナリオの考案。演者としての出演」

「待ってください。こちらは素人なのでクオリティーが心配です。そういうことであればプロの劇団に依頼した方が」

「数フロアをまるまる撮影用のスタジオに改修したから、大体のことはできるはずよ。衣装もそこで借りなさい」

「いえ、ですので素人仕事でラインフォルト社の命運を左右するわけには」

「他に質問がなければ移動してちょうだい。良い出来栄えを期待しているわ」

「やっぱり会話のドッジボール!」

 リィンの顛末を見ていた仲間たちから異論が出るはずもなく、やるだけやることになった。

 

 

 ――夢にて夢みて しっくす――

《☆☆あくたー&あくとれす☆☆》

 

 ●

 

《PV➀ ブティック部門 ル・サージュ》

 

「ふう、また季節が変わるのね。服選びが大変だわ」

 そんなことを独り言ちつつ、アリサが店内にやってきた。「いらっしゃいませ」と丁寧な接客で、店員姿に扮したリィンが歩み寄る。

「春の装いをコーディネートして下さるかしら」

「かしこまりました」

 ここでマキアスのナレーション。

 

『《ル・サージュ》ではお客様のオーダーに沿って、洗練されたスタッフがお洋服を選ばせて頂くこともできます。プロフェッショナルのセンスが、あなたのご要望に全てお応え致します』

 

 アリサがくるりと軽やかにターンするとキラキラのエフェクトがかかり、背景が春盛りの公園へと移る。その画面下に『※PV用の演出です』とテロップが流れた。

 キラキラが収まっていき、鮮やかな新ファッションに身を包んだアリサが満面の笑顔を浮かべる。

「素敵! 今すぐにお散歩に行きたい気分……気分……?」

「お喜び頂けて何よりです。春の太陽をイメージしてミディブラウスの袖はギザギザにカット。そこに合わせたフレアスカートは新緑を思わせる若草色をチョイスしました」

「ちょっとリィン。台本の衣装と違うんだけど。ギザギザに若草色って」

「そっちの方が映えると思ってさ。中々いいだろう?」

「あとで話があるから舞台裏にきて。今は続けるわよ」

 アリサは無理やりに引きつった笑みで言う。

「そうだわ。この服に合うアクセサリーとバッグも見繕って下さいません?」

「お安い御用ですよ」

 

『ル・サージュでは服だけではなく、あらゆるアクセサリーを多数ご用意しております。お手軽にお買い求め頂けるものから、ブランド志向の一点ものまで。必ずお気に召すものが見つかることでしょう』

 

 マキアスのナレーションのあと、執事のような立ち振る舞いで、リィンが商品を見繕ってくる。

「お待たせしました。さあ、こちらをどうぞ」

「まあ! ゴールドとプラチナで華美なメタリックコーティングをされたショルダーバッグに、余裕で首が折れるくらいボリュームのある宝石盛り盛りのシルバーネックレスじゃない! ……チョイスの理由を聞いても?」

「テーマは『銀ギラ銀にさりげなく』です」

「それがあなたのやり方かしら。さりげなさは微塵も感じないんだけど。ファッションじゃなくて装備でしょ、これ」

 プロ根性でそれでもアリサは笑顔をキープした。

「すごーい! 明るい気分を一気に沈ませる――じゃない! 沈んだ気分を一気に明るくさせてくれるなんて! 服って不思議な力を持っているのね」

「仰る通りです。お客様の笑顔こそが私たちの喜びなのです」

 

『服一つで笑顔になるなんて無理! そんなことを思っていませんか? できるんです。そう、《ル・サージュ》ならね』

 

 最後のナレーションで締めくくり画面暗転。

 そしてスタジオの裏手。

「どういう了見よ、リィン! 恥ずかしすぎるわ、この服! なんで勝手に選び直しちゃったのよ!」

「いや、でも……よく似合ってるぞ」

「それって嫌がらせ!? あとマキアスの『そう、《ル・サージュ》ならね』が異様に鼻につくんだけど!」

 

 

 ●

 

 

《PV➁ レストラン部門 ソルシエラ》

 

『今日皆様にご紹介するのは、翡翠の公都に店を構えるレストラン《ソルシエラ》。まずはこちらをご覧ください』

 

 ユーシスのナレーションに続き、広大な敷地の農園が高い位置から映される。画面中央にズームアップ。燦燦と照る太陽の下、麦わら帽子と農具を肩に担いだガイウスが、爽やかに白い歯を見せていた。

「オラさ精魂込めて作った野菜だ。しっかり味わって食べてけろ」

 彼の後ろのリアカーにはトマト、ナス、きゅうり、かぼちゃなどの瑞々しい野菜が山積みになっている。

 

『なんだその無理やりな田舎口調は? 誰に頼まれた? ――失礼。《ソルシエラ》では農家と専属契約を結び、毎朝採れ立ての新鮮な野菜を入荷しております。そして鮮度を保ったまま素早く運搬を行うために、あえて鉄路を使わずに――』

 

 ドルルンッと街道の向こうから派手なエンジン音が轟く。砂煙を巻き上げて爆走してくるのは、マキアスが駆る導力バイクだった。

「ヒィアーッハアーッ!!」

 

『おい叫ぶな、野菜がまずくなるだろうが。レンコンの輪切りをメガネにはめ込んでやろうか。……失礼。そうして最短ルートで運ばれた野菜が朝一番に《ソルシエラ》に届くのです。次は厨房の中を見てみましょう』

 

 清潔感のある厨房では、調理台の前にラウラが立っている。純白のコックコートに身を包み、瞑目して腕を組んでいる。レストランのシェフと言うよりは、老舗料亭の板前という雰囲気だった。

 その目が薄く開かれ、眼光が鋭く走った。

 横一閃の斬撃が、トマトを両断。まな板にビチャアッと赤い果肉が散る。それをボウルに入れて、ぐっちゃぐっちゃとダイナミックにかき混ぜ、謎の香辛料や液体をドバドバと注ぎ入れている。

「ふむ、まあ80点と言ったところか。まだまだ未熟だな」

 

『0点だろうが。配役を考えたヤツは後で名乗り出ろ。……失礼。完成した料理はホールスタッフによってお客様のテーブルに届けられます。ウェイターは《ソルシエラ》の顔。徹底した教育を受けた最高峰の接客技術は、お客様に一切を不快を感じさせません』

 

 厨房から切り替わったカメラが、客席ホールに向けられる。

 白のブラウスと黒のソムリエエプロンを付けた給仕役のフィーとミリアムが、壁際でへたり込み談笑していた。

 

『お前たち最悪か。床に座るな。揚げポテトをつまみ食いするな。ジュースも勝手に開けるな。とっとと料理をサーブしろ。最高峰の接客などと言ってしまったぞ』

 

 のそのそと立ち上がったフィーとミリアムは、キッチンから出てきた皿を面倒そうに客席まで運ぶ。

 テーブルで待っていた客はアルフィンだった。

「お待たせー。トマトソースパスタだってさー」

「フォークはそっちのかごの中。水はセルフでよろしく」

 最高峰の接客をかまし、二人はさっさと元の壁際へと帰っていった。アルフィンはフォークを手に取り、じいっと料理を眺めている。

「トマトソースが青色なのですが……シェフの方ー?」

「お呼びでしょうか、お客様」

「このパスタ? の説明をして頂けますか」

「承知しました」

 

『時にはこうしてシェフ自らがホールまで赴き、食材のこだわりや料理のポイントなどを教えてくれるのも《ソルシエラ》の魅力の一つと言えるでしょう。……殿下、無理はしなくて大丈夫です』

 

 ラウラは慇懃な礼をして、

「料理とは味覚だけではなく、視覚、嗅覚、聴覚、触覚を総動員して頂くもの。第一に見た目の鮮やかさで、食欲増進を図っております。革新的な一皿を追及するために、まずはトマトが赤いという固定観念を捨ててみました」

「そこ捨てちゃったんですか……というか青色で食欲増進します?」

「ふふ、百聞は一見にしかず。まずはご試食を」

「えっ……っ」

 皿に当たったフォークの先端が、かちかちと震えている。恐怖が隠せていなかった。

 

『最初の一口が何よりの至高。最高の幸せをあなたに――殿下! フリです! PVなので食べるフリで問題ありません!』

 

「おや、殿下。パスタにソースが付いておりませんよ。しっかりと絡めて下さい」

「あううっ!」

 フォークに巻かれた青ソースたっぷりパスタを、アルフィンはぱくりと食べた。直後、身震いした彼女の全身が総毛立つ。

「いかがでしょうか?」

「お、おいひぃ! おいひぃれすぅ……! おいひしゅぎてひんじゃうぅぅ、らめえぇぇ……」

「何よりです」

 

『……最高の食材を、一流の技術で調理し、お手頃の価格で提供致します。バリアハートにお越しの際は、ぜひ《ソルシエラ》まで足をお運び下さいませ。……医療班急げ』

 

 最後のナレーションで締めくくり画面暗転。

 そしてスタジオの裏手。

「ナレーションで入り過ぎだぞ、ユーシス! メガネにレンコンとかふざけるんじゃない!」

「なぜ私が0点なのだ。冗談も大概にするがいい」

「俺が悪いのか? お前たちだろう!」

「ポテト持ってきたけど食べる?」

「食べるー!」

「語尾は“だべさ”のほうが良かっただろうか」

「み、道を空けて下さい。ちょっとお手洗いに……」

 

 

 ●

 

 

《PV➂ 教育機関部門 聖アストライア女学院》

 

『ヘイムダルはサンクト地区。緋の帝都の中でもとりわけ粛然とした雰囲気の漂うこの地区に、《聖アストライア女学院》はあります。由緒正しい歴史を持つ乙女の学び舎は、清廉潔白、品行方正を校訓とし、清く正しく美しい淑女の育成に日々尽力しております』

 

 落ち着いたエマのナレーションと共に白い鳥の群れが羽ばたいて、青い空にリーンゴーンと深い鐘の音が響き渡った。

 カメラは女学院の外観を回り、正門の奥へと移行する。

 学舎の前の敷地にアルフィンとエリゼが立っている。二人は微笑み、『ようこそ、聖アストライア女学院へ』と澄んだ声音を重ねた。もちろん黒を基調にした清楚な制服を着ている。

「本校では一般教養に加え、社交界での礼節、ダンス、身だしなみ、言葉使い、お料理などの立派な大人のレディになるためのカリキュラムが充実しております。ありとあらゆる淑女としての嗜みを学んでいるのです」

「初めにわたくしたちの授業風景をご覧くださいませ」

 教室に場面転換し、姿勢よく黒板に向かうエリゼとアルフィン。

 さらに音楽室での合唱、調理室でのお菓子作り、緩やかなステップを踏む社交ダンスと、次々に女学院の日常が紹介されていく。本の束を頭に水平に置いて、それを落とさないようにお茶を運ぶという謎訓練もあった。

 ここでエマのナレーションが入る。

 

『ではこの女学院を卒業し、立派な淑女となった卒業生の姿をお見せしたいと思います。まず入学当初がこちら』

 

 ベンチで寝そべるフィーが映される。彼女は寝転がりながら、双銃剣の手入れをしていた。頭もとには飲みかけのジュースとお菓子の袋がある。ダメージジーンズにタンクトップで、いかにもラフな格好だった。

 どこからか『Oh……』と残念な効果音が流れた。

 

『そして卒業時がこちら』

 

 『シャバダバ~』という効果音と煌びやかなエフェクトがかかり、ドレスアップされたフィーが登場した。

先とは対照的な『Wao!』と効果音が流れる。

 

『このように入学時はフィーちゃんでしたが、卒業時には立派なフィーネさんとなったのです』 

 

「名前変わってるんだけど」

 納得いかなさそうなフィーだが、一応は清楚でおしとやかな演技を続けている。「うふふふ」と花に水をあげ、「あははは」と花壇の蝶を追いかけ、「まあ、おいしそうでございます」と木に生るリンゴに双銃剣の銃口をチャキッと向けたところで、瞬時にして画面が切り替わった。

 

『勉学だけではありません。当学院では学生同士の関わりを重要視し、推奨しております。高いコミュニケーション能力は将来、社交界においても有用なスキルとなるからです。学生たちの憩いの場の一つであるバラ園をのぞいてみましょう』

 

 ドレスデン家から直入荷しているというグランローズに彩られた乙女の庭園。その一角のテーブルを四人の女生徒が囲んで談笑していた。

「いや、なんで俺たちなんだよ……」

 リィンが沈んだ声で言う。

「エキストラがいないんだって。ラウラとアリサは他のPV撮ってるし、エマはナレーションだし、フィーはフィーネさんだし……だから僕たちに代役が回って来たらしいけどさ」

 小さくエリオットがため息をついた。

「ナレーションなら変更できただろ。あの……セドリック殿下、大丈夫ですか?」

「……はい……いいえ」

「どっちでしょうか」

 四人の乙女はリィン、エリオット、セドリック、そしてガイウスだった。もちろん全員がアストライア女学院の制服である。

「まあ、なんだ。エリオットや殿下はまだ良しとして、ガイウスの制服はパンパンだな」

「エリゼが貸してくれた制服でな。しかし返すときに伸びてしまわないか心配だ」

「伸びるどころか弾け散る寸前みたいなんだが」

 みちっみちっ、と肩と背中の生地が悲鳴を上げていた。

 セドリックが言う。

「というか絶対男だってばれますよね……」

「カメラアングルでごまかすらしいですよ。ん、撮影係が来たか。みんな、演技を」

 リィンの指示で、全員が乙女モードに切り替わった。

「まあ、この紅茶おいしいわね。そう思いません、セドリーヌさん」

 リィンがティーカップを手にすると、セドリックならぬセドリーヌが、

「あら本当。パルム産かしら。ところでエリオレットお姉様は週末に演奏会があるとか」

「そうなんです。幼少からバイオリンを嗜んでおりまして。そういえばガイウスフィアさんは絵画展でしたわよね」

「うむ。雄大な故郷の絵を書こうと思ってな」

「いや演技どうしたの!」

 あまりにも泰然とした女学生だった。一人だけ風格が校長レベルだ。焦るエリオレットがリィンに話を振る。

「そ、そうだわ。リィンカーネーションさんは乗馬をなさるのでしたわね」

「俺だけネーミングの方向性おかしくないか……」

「それは今いいから!」

 

『このように優雅なひと時も、うら若き乙女には必要な時間ですね。しかし大切なご息女をお預けになるご両親にとっては、女学院の安全面も気になるのではないでしょうか。たとえばこんな時――』

 

 場面が校舎前のエリゼとアルフィンに戻る。

「姫様、あれを見て下さい!」

「きゃああ!」

 ドルルンドルルンと、刺々しく痛々しいカスタマイズを施された導力バイクにまたがるマキアスが正門の外にいた。

「ヒィアッハー! 聖アストライア女学院ってのはここかあ!? 《ソルシエラ》に野菜を納品したついでにやってきちゃったぜえ!」

「あら、世界観が繋がってるみたいだわ」

「そこ繋げる必要あります?」

 マキアスがバイクから降りた。右手にきゅうりを、左手にナスを持ち、横柄な歩き方で近づいてくる。

 

『ああ、なんということでしょう。荒廃した世界からやってきた世紀末メガネが、卑猥棒を手に聖なる領域に――って卑猥棒ってなんですか!? 台本担当の人いますか!? 私、卑猥棒って言っちゃいましたけど!』

 

 焦りまくるナレーションをよそにマキアスはさらに近づき、正門にさしかかったところで、アルフィンが手元の端末をピッと操作した。

「くくく、新鮮で瑞々しい野菜は時として凶器になるんだぜぇ。たとえばこのナスなんか――ぶべぁ!?」

 両側から猛スピードで門が閉じられ、そのど真ん中でマキアスの顔が挟まった。

「ちょ、痛い痛い! リハーサルより強い! アルフィン殿下、いったん止めて下さい! カットカァット!」

「で、でも止まらなくて……これかしら。えいっ」

「ぎゅぴいいい!」

 さらに圧力が増す。

「ひ、姫様。マキアスさんの頭部がおナスみたいな形にゆがんでいきます」

「メガネがなければ即死だったでしょうね」

「そんな逆に九死に一生を得たみたいな」

 不意にマキアスの悲鳴が止まった。手がだらりと落ちる。

「ところで聖アストライア女学院の校章って、一角獣のユニコーンでしょう?」

「そうですね。純潔の象徴ですから」

「どうしてユニコーンは純潔の象徴なの? エリゼは知ってる?」

「……知りません」

「あ、知ってる感じね。ねえ教えて、エリゼ? エリゼー?」

「知りません! というか姫様も知ってる感じですよね!」

 その折、人知れず正門から解放されたマキアスが、ドサっと地面に倒れた。

 

 画面暗転。そしてスタジオの裏手。

「ねーエリゼ―?」

「言いませんってば!」

「アルフィン、制服返すよ」

「エリゼ、制服が破れてしまった」

「普通に着れちゃう僕ってどうなんだろ」

「フィーネさんまたやらされるとか」

「リィンカーネーション……」

「卑猥棒……」

 

 

 ●

 

 

《PV④ 釣り具部門 レイクロード社》

 

「うーん、釣れませんね」

「ああ、釣れないなあ」

 どこぞの湖の穏やかな時間。ゆらゆらと揺れるボートの上で、リィンとエリゼが釣り糸を垂らしていた。

 その兄妹の間に置かれた生け簀用のバケツは空である。

「朝から始めてもう昼過ぎです。なのに一匹も釣れないというのは……つまらないものですね」

「いやいや、この何もない時間を楽しむのも釣りの醍醐味なんだ」

「兄様の仰ることもわかりますが、やはり釣りは魚が釣れてこそだと思いませんか?」

「それはまあ……確かにな。だが相手は自然の生き物だ。思うようにいかない事だってあるさ」

「そんな時はこれ!」

 パンパカパーンとファンファーレが鳴り響き、エリゼが一本の釣り竿を取り出した。

「ワオ! 一体全体そのロッドはなんなんだい、マイシスター!」

「イエス! この退屈な時間を終わらせる素晴らしいアイテムよ、マイブラザー!」

 急に口調を変えて、小芝居たっぷり身振り手振りとなった二人。

「これはレイクロード社が開発した新世代のロッドなんです。釣りに役立つ色んな機能が搭載されているんですよ」

「口調が元に戻ってるぞ、マイシスター」

「恥ずかしすぎてやっぱり無理です。兄様お一人でどうぞ」

「それは無しだろ、マイシスター」

「もしかしてそのフレーズ、気に入ってます?」

 こほんと小さく咳払いし、エリゼは続けた。

「たとえば魚のいるポイントがわからない。そんな時はこの機能」

 ロッドの手元に小型モニターが展開され、そこにいくつかの魚影が映し出される。

「水中の特製ルアーから超音波を発して、魚の群れを感知します。これで釣りポイントに悩む必要はありません」

「まだまだわかってないな。ポイントが見つかったから良しって思うなら大間違いだぞ。大物がかかったらかかったで、互いに命を削り合うような真剣勝負が待っているんだ」

「それもご心配なく」

 エリゼはグリップのボタンを押した。ウィンウィンと機械音がして、自動でリールが巻き取られていく。

「どのような大魚であろうとも、機械の力には敵いません。汗一つかかずして、船上に釣り上げられることでしょう」

「な、なんだかなあ。機械が全てっていうのはこう……ほら、糸が切れる場合もあるし」

「糸が切れてしまうと思ったあなた、必見です」

 ロッドの先端が変形して、五指を備えたロボットアームが出現した。

 高速で伸びたアームは水中で魚を追い回し、ついにはむんずとホールド。がっちりつかみ上げて、魚を船上へと放り込む。

「なんなら寝てても大丈夫です」

「……楽しいか?」

「さらに効率を求める方にはこちらの機能を」

 湖面にバリッとスパークが走る。

「な、何した?」

「ルアーから電撃を発しました。近くの魚群をまとめて一網打尽です」

 ぷかぷかと魚が浮いてきた。それらをロボットアームが根こそぎさらい上げていく。

「釣りがただ待つだけのものと考えるのなら、それは古い価値観です。さあ、レイクロード社のエクストラロッドを手に、皆さんもお近くの水場でレッツフィッシング! ……兄様、セリフ!」

「電撃は近くに人がいないことを確かめてから使うようにな! 泳いでる人も浮いてきちゃうぞ!」

 最後だけハイテンションになって、『いえーい!』と兄妹でハイタッチ。

 

 画面暗転。そしてスタジオの裏手。

「あれは釣りじゃなくて漁だろ、マイシスター」

「ああいうのでレイクロード社のイメージアップに繋がるんですかね……って口調残ってますよ、マイブラザー」

 

 

 ●

 

 

 あらかたのPVを撮り終えて、Ⅶ組一同は再び会長室に戻っていた。

 イリーナの前で、全員が憔悴状態だ。それほどまでにしんどいミッションだった。

 彼女はデスクのモニターで仕上がったPVを見ている。一通り目を通したところで動画を止め、視線を上げた。

「なるほど」

 細い瞳がすっと開かれ、リィンの喉がごくりとなる。

 とても成功とは言えないPVの数々である。撮影も初めてなのだ。そもそも最初に自分たちは素人だと言っている。期待に応えられなかったからといって咎めを受けるいわれは――

「中々の出来栄えね。良い仕事をしてくれたわ」

「申し訳ありませ――え? 良い仕事? 嫌味とかではなくてですか?」

「私をなんだと思っているの、あなたは」

 イリーナは鼻を鳴らした。

「まあ、いいわ。では続けて次の撮影準備をよろしく」

「えっ」

「次よ、次。PVだけで終わるなんて言ってないでしょう」

「そ、そんな……」

 やっと解放されると思っていたのに。仲間たちに振り向くと、やはり一様に肩を落として落胆していた。

「さっきのPVは企業向けに撮ったものだけど、それなりの手ごたえを感じたわ」

「……あれで手ごたえ感じました?」

「そこでこのまま家庭用の番組も撮ることにする。企画のバリエーションを増やして、子供から大人まで幅広く楽しめるようなものをね」

「その企画を考えるのも俺たちなんでしょうね……」

「そうそう、CMも撮るから」

「CM?」

「コマーシャルメッセージの略称。放送番組の合間に流す15秒から30秒程度の広告映像よ。放送局やらスポンサーの利権が関わるところだけど、説明がややこしいからそういうものがあるとだけ理解しなさい」

 バラエティに富んだ大量の番組に加えて、そこに挟むCMの数々。それをこのⅦ組メンバーだけで撮れというのか。絶対無理だ。人手も足りない。

「人員不足を訴えたい顔をしているわね」

「仰る通りですが……」

「もちろん手配はしてる」

 イリーナが指を鳴らすと、会長室の三か所に光のゲートが現れた。

 一つ目のゲートからは、

「なんなんだろう、ここは。……気を付けてエステル。レンも離れちゃダメだよ」

 黒髪の少年を筆頭に、快活そうな栗毛の少女、紫髪の少女、東方衣装の大柄な男、もみあげ等の大所帯がわらわらと歩み出てきた。

 二つ目のゲートからは、

「急に光が……みんな、そろっているか?」

 リーダー格の青年が、自分に続く仲間を気にしている。彼の左腕には《C.S.P.D》と記された腕章が巻かれていた。POLICEともある。警察官なのだろうか。

 彼の点呼を聞くに、ランディ、エリィ、ティオというのが仲間の名前のようだ。彼自身はロイドというらしい。

 三つ目のゲートからは、

「あーもう! なんなの! 今からパンケーキの一口目だったのに――ってリィン教官? でもなんだか若いような……」

 リィンを教官と呼ぶ桃色の髪をした少女はユウナと名乗った。彼女を含め、その仲間たちは全員が同じ制服をしているから、おそらくはどこかの学校の生徒だ。

 自分を訝しげに見やる彼らの名は、クルト、ミュゼ、アッシュ、アルティナだという。

 アルティナ? なぜアルティナがいるんだ。また何かの任務中なのだろうか。

「えーと……イリーナ会長。この方たちは?」

「クロスベルやリベールから、見込みのありそうな人を適当に見繕って呼び出したの。未来とか過去とか、時間や時空を捻じ曲げてね」

「そ、そんなことどうやって!?」

「ラインフォルトの技術よ」

「便利設定が過ぎる!」

 自己紹介もそこそこに、強制召喚された者たちでの番組撮影が開始された。

 

 

 ――つづく――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――おまけ――

 

《extraPV 教育機関部門 トールズ士官学院》

 

「はいどーも、ミスティお姉さんでーす」

 カメラの前にヴィータ・クロチルダ――もといミスティが登場した。

「今日はですねー。皆さんもご存じ、トールズ士官学院を紹介したいと思います。十月戦役での活躍も耳に新しいかの学院。これからどこの士官学院を受験しようかと悩んでいる中等部の学生さんには、とっても役立つ情報を満載でお届けしちゃいますね」

 マイクを手にミスティが正門をくぐった。グラウンドに向かう背中を、カメラが追う。

「――というわけでドライケルス大帝が設立したトールズは非常に歴史が深く――あ、グラウンドが見えてきましたね。イベントだったり部活だったり演習だったりと広い用途で使われて、やはり青春の汗を流す場所の代表と言えるのではないでしょうか。あら、誰かが走り込みをやってますね。ちょっとお邪魔してみましょう」

 ミスティがそこに近づこうとすると、

「止まるな! 走りなさい! 吐きそうですって? 飲み込めー!」

 絶え間ない怒声が聞こえてきた。

 一人の女性教官がムチならぬ法剣をビシバシ振るっている。それに追い立てられるようにグラウンドを延々走り続けるのは、三人の少年少女だ。遠目だったので、それぞれの顔までは判別できなかったが。

「はあっ! ひいぃっ! し、死ぬぅ!」

「セドリック殿下、大丈夫ですか!?」

「だらしないわね、セドリックは……まあ、わたくしもそろそろ限界なのだけど……」

 女性教官がさらに法剣を振り上げた。

「くっちゃべってタラタラ走るなんて、まだまだ余裕のようね。あと10週追加!」

 三人の表情が絶望に染まる。

「悪魔だ、悪魔がいる……煉獄は地上にあったんだ……」

「うぅ、スカーレット教官、今日はいつもよりご機嫌悪そうですね」

「どうせハインリッヒ教頭の長話に朝から付き合わされたとか、そんなのよ。さらっと流せばいいのに、ほら体面上は真面目なフリで押し通してるから」

 ズン、ズンと重い足音。

『聞こえなかったのかしら。余計なおしゃべりはするなって言ってるのよ』

 踏み潰さんばかりの勢いで、彼らの後ろから機甲兵が追う。

「あああ!? 《ケストレル》出てきたんだけど!?」

「姫様が余計なこと言うからですよ!」

「わ、わたくしだけのせいではないでしょう!?」

 女性教官の高笑いと三人の悲鳴だけがいつまでも続いていた。

 

 

「……んーまあ、青春? って感じですよね! いいですね青春。はい次行きましょう」

 校舎の裏手に回ると、小さなため池があった。そこで初老の男性が落ち葉を掃いている。

「どうも、こんにちは」

「おや、これは綺麗なお嬢さんだ。ご来館でしたら受付まで案内致しますが」

「お嬢さんだなんてそんな……ちょっと士官学院の紹介で学内を回っておりまして。おほほほ」

「ほう、そうでしたか。それは失礼を。どうぞゆるりと見学なさると良いでしょう」

「ところであなたはどのような方で?」

「しがない用務員ですよ」

 男は口調も仕草も紳士的だった。

「せっかくなので、用務員さんのお仕事を聞いてもいいかしら」

「ふうむ、生徒を導くご立派な教官方とは比べるべくもないのですが」

「ついさっきそのご立派な教官の一人は、機甲兵で生徒たちを追い回していたけれど」

「私の職務を一言で表すと、学院内の環境整備。これにつきますな」

「環境整備。なるほど」

「敷地内清掃はもちろん、掲示物の張り替え、導力灯の交換などなど。あとは安全確保でしょうか」

「安全確保は用務員さんのお仕事の範疇から外れていると思うのですけど」

「いやいや。品行方正な学生ばかりではありますが、根は活気溢れる若人ですから。先週もちょうどこの池で釣りに興じていた男子生徒が足を滑らせて水中に落ちてしまいましてね。それを私が助けたりと」

「すばらしい。縁の下の力持ちというものでしょうか。見えないサポートをしておられるのですね」

「それこそおこがましい。私は学院の隅から見守っているだけのことですよ。では私はこの辺で」

 粛然と礼をして、用務員は落ち葉掃きに戻った。

 その後ろ姿を眺めつつ、ミスティは吐息をつく。

「ふうん、良い人もいるものねえ」

 

 

 校舎の中に入ると、ちょび髭のいかにも神経質そうな教官が廊下で説教をしていた。

 彼から説教を受けているのは知っている顔――サラ・バレスタインだった。

「荷物を取りに寄っただけなのに、どうしてこんな目に……」

「――であるからして。むっ、聞いておるのかね? まったく久々に戻ってきたと思ったら、その太々しい態度は変わらんな。せっかく君の今後のために、役に立つ話をしてやってるというのに」

「はあ、どうも。もう十分役に立ったんで、行っていいですかね」

「まだ話の触りだろう」

「映画で例えるとどの辺ですか?」

「三部作のプロローグと行ったところだ」

「もう一時間も話してるのに!? とんだ駄作映画じゃないですか!」

「貴様、私の若かりし頃の経験を駄作と言ったか!」

「えーえ、言いましたとも。正直、田舎町から帝都に出てきて、路地裏の不良を弁舌で諭すあたりから死ぬほどつまらなかったんで」

「そこが一番いいシーンだというのに! 読解力も感性もゼロ! それでよくぞ教官が務まっていたものだな!」

「はあーあ? 何様ですか?」

「教頭だ!」

「役職の頭に万年をつけたらいかがあ?」

「ぐぬぬぬ、言わせておけばあ!」

 二人は取っ組み合いのケンカを始めた。

「静かで綺麗な校舎ですねー」

 ミスティはその横を目も合わせず通り過ぎていく。

 

 

「あら、新しい教官さんを発見しましたよ。ちょっとお話を聞いてみましょうか」

 導力端末室の扉前に白衣の男が立っている。

「こんにちは、今日は学院紹介でやってきました。お話うかがってもいいですか?」

「ああ……俺じゃなきゃダメですか?」

「まあ、そう言わずに。お名前は?」

「……マカロフ。導力学専攻。じゃ、そういうことで」

「ちょ、ちょっと待って。せめて学院のお勧めを一言もらえると」

「そういわれても……まああれだ。好きなことやっていいのはありがたいと思うね。この前も七耀石の配合ミスって研究室爆発したんだけど、反省文の一枚ですませてもらったしな。……ん? 反省文も誰か代わりで書いてくれたんだっけか」

「はいそこまで。ありがとうございましたー」

「どうも」

 マカロフは無精ひげをしゃくりながら、端末室へと入っていった。

 

 

「ろくな教官がいないんじゃないの、この学院。っと失礼。お口チャック。今日はPV撮影って依頼だから」

 校舎内を進むと、行列に出くわした。長い行列だ。50アージュは続いている。

「きっと購買に違いないわ。お昼の争奪戦の人気メニューなんかを見つけてみましょう――あらら?」

 列の先頭までたどり着くと、そこは保健室だった。部屋の中から「はい、次の人ぉ」と、そこはかとなく妖艶な声がした。

「はい、失礼します! メアリー教官!」

 軍人の行進のようにきびきびとした動作で、男子生徒が保健室に入っていく。そういえば列に並ぶ生徒はみな男子だ。

「士官学院だし、ケガが絶えないのかしら。それにしても多過ぎる気がするけど……」

 扉に耳をつけ、中の様子を聞いてみる。

『教官! ひざをすりむいてしまいました!』

『あら、ふふ。皮がむけて真っ赤になっちゃって。消ぅ毒ぅ……しちゃう?』

『イエス! ユアハイネス!』

 ぴちゃぴちゃと何かが滴る音がした。

『ほら、見える? ガーゼに消毒液が染み込んでいくところ。いっぱーいグチュグチュよ。きっとすごーく染みると思うのぉ』

『ああ……じらさないで頂きたい……』

『じゃあ、えい』

『あひいぃっ!』

『ふふ、可愛い声。痛む?』

『痛い、痛いです! しかしそれがいいのであります!』

 いや、ヤバすぎるでしょ。なにこの保険医。

 そうは思ったが、ミスティは耳をつけ続けた。

『先生、前は音楽教官だったの。でもそれじゃ青少年はまっとうに導けないって知った。だから保険医になったの。青春真っ盛りのみんなを正しい方向に導きたくて。どう? 先生ちゃんと導けてる?』

『はい! 導かれてます! 明日は骨折ってきますので!』

『骨折り損のぉ……くたびれもうけ』

『もうけぇっ!!』

 謎の気合が爆ぜ、保健室から出てきた学生は、意気揚々とどこかへと去っていった。多分、折りに行くのだろう。

 ミスティは彼にアドバイスをした。

「折るなら三週間ほどで癒合できる中手骨がお勧めよ。逆に大腿部頚部は二十四週かかるから、そこはやめた方がいいと思うわ」

 

 

「なんだか疲れた。すごい疲れた。最後は学院長室ね。もうヴァンダイク学院長に挨拶だけして帰りましょう」

 学院長室の扉をノック。返答はなかったが、人の気配はするのでそっとドアを開けてみる。扉の隙間から中をのぞくと、

「はあ! ふん! はあ! ふうん!」

 赤ふんどし一丁のヴァンダイクが、ダンベルをぎっしぎっし持ち上げて筋トレをしていた。

 ムッキムキの浅黒いボディに汗がしたたり、両肩付近からしゅううと蒸気が立ち昇る。そして姿鏡の前で、様々なポージングを決めていく。

「ふははは。東方の下巻きのフンドシとやら、なかなかに悪くない。気が引き締まるわい!」

 気だけではなく、筋肉質な尻がキュッと音を立てて引き締まる瞬間を、ミスティはがっつり直視してしまった。静かに顔を離し、扉を閉める。

「……映像編集とアフレコでどうとでもすればいいわ。さ、行くわよ。……ちょっと待って、カメラの録画ランプついてないわよ! うそ、最初から撮れてないってこと!?」

 カメラが左右に揺れる。

「ちょっとクロウ! 悪い悪いじゃないわ! 完全に無駄骨よ!」

 ミスティはへたり込んでぼやいた。

「はああ……結局会った中でまともな人って、用務員さんぐらいじゃない」

 

 

 ★ ★ ★




《夢にて夢みて しっくす》をお付き合い頂きありがとうございます。

夢シリーズで初めての分割編となりました。
空も零も閃もいっぱい出てくるお祭りストーリー。シリーズ通して皆さんの一番好きな軌跡キャラクターは誰なのかが気になりますね。
引き続きお付き合い頂ければ幸いです!

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