虹の軌跡Ⅱ Prism of 《ARCUS》   作:テッチー

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裏・人物ノート/設定資料集(中編)

『サブキャラクター・トールズ士官学院(二年生)』

 

⑰《フリーデル》

テーマ『裏手の操作』

 

 学院最強戦力の保持者ではありますが、フリーデルには基本的に裏方で立ち回ってもらうようにしていました。

 彼女の目的は、トリスタが封鎖された状況下でパトリックを育て上げ、名実ともにリーダーにしてみせること。あくまでも彼に可能性を感じたがゆえの行動でした。

 ですのであらゆる依頼を受けたり作ったりしては、そのままパトリックに横流ししています。カレイジャスと合流してからはアランのことも心配していたりと、心根は後輩想いの先輩です。パトリックが《イスラ=ザミエル》にやられた時は、実は顔面蒼白になるくらい焦っていたりします。

 剣を扱う女子最強決定戦みたいな感じで、ラウラVSフリーデルをやりたかったのですが、最終的にはブリジットとアランのデートに付いて行き、不良ロギンスを締め上げる形での共闘となりましたね。

 ロギンスにはもっと強く男らしくなって欲しい、自分を追い抜くぐらいでないと困ると思っていますが、何が困るのかはわかりません。

 卒業後に彼を引き連れて、武者修行の旅に付き合わせるようにしたのは、「彼がまだまだなら、私が鍛えればいいわ」という逆光源氏計画のためなのでしょう。“足りないものは私が育てればいい”スピリットは、パトリックに対しても同じですので、彼女の行動理念は物語スタートから完結まで一貫していました。

 

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⑱《クララ》

テーマ『人と機械と』

 

 虹の軌跡はⅦ組と学院生たちの物語。だからシュミット博士は電気責めの病院送りにしてカレイジャスには乗りませんでした。

 そのシュミット博士のポジションについたのがクララですが、ただのメンテナンス技師ではなく、「人と機械の差」というテーマをヴァリマールと展開することになりました。

 心の中のモノローグをあえて描いていないキャラクターは何人かいまして、その内の一人がこのクララです。さらにヴァリマールもそうです。

 ですので二人だけが登場してサブストーリーを進めるときは、一人称視点は使えず全て三人称視点となり、しかも哲学的なテーマを扱うこともあって、とても描写に苦労しました。

 『凶弾にリィンが倒れた際、Ⅶ組の誰かを正起動者に繰り上げず、自らの霊力を削ってまで彼を救おうとしたヴァリマールは、騎神に定められたシステムから逸脱してしまっている』→『プログラムではなく、意志で何かを決めるのは人間にしかできない』→『お前は人間ではないが、ただの機械でもないのだろう』という結論に至ったわけです。これは初期にクララがヴァリマールに言った「お前に意志がある意味がない」という皮肉の回答でもありました。

 《エンド・オブ・ヴァーミリオン》を倒すのに、もっとも貢献した二人かもしれません。

 ちなみにクララは卒業後もちょいちょいヴァリマールと会話をしに戻ってきます。口には出しませんが、彼女も彼女で楽しいようですね。

 

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⑲《ロギンス》

テーマ『先輩』

 

 先輩という役割も様々ですが、やはり共通しているのは心身ともに後輩を育てることなのだと思います。

 彼の性格も踏まえた上で、イメージとしては一昔前の体育会オラオラ系先輩。上下関係は絶対だし、俺の言うことは聞け。今日びはやりのハラスメントなぞ気にするわきゃねえだろ。でも面倒見はいいし、飯食いに行ったら後輩に財布は開かせない系の先輩。時に横暴に見えるけど、なぜか後輩からは慕われる。それは発言と行動に裏表がないから、自然体で接してくれるから――なのでしょう。

 ロギンス先輩が自分自身に勝手に課した使命は“アランをブリジットに告白させ、かつ成就させる”こと。その為の恋愛指南を旅の方々で進めていました。ただし恋愛観が古いので、「高い空の上で告白とかロマンチックじゃね?」みたいなことを言い出したわけです。まあ、それは後に実現するのですが。

 基本的には

 ロギンス「こんな案いいだろ?」→アラン「先輩古いです……」→ロギンス「うるせえ!」でぶん殴る。という流れが彼らのストーリーです。

 そんなロギンス先輩の恋愛像は亭主関白が理想。三歩下がって夫の影を踏まない奥ゆかしいタイプの女性がタイプ。ですが将来的にはトラ皮の絨毯みたいになって、フリーデルの尻に敷かれる未来しか見えないですけどね。

 卒業後はフリーデルに付き合わされながら、武者修行兼世直しの旅に進み、気付けば彼女の実家にあいさつに出向くというミッションをこなすことになります。この辺はエリゼら新Ⅶ組も絡むサブストーリーとして予定がありました。

 

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⑳《エミリー》

テーマ『淡恋』

 

 文字通りの“淡い恋”がテーマ。最初は完全にスポーツ系女子のサブストーリーにしようかと考えていたのです。山中での料理サバイバル知識を入れながら、ワイルドに獲物を狩っていくモンスターハンター系な感じを。ですが恋愛から縁遠そうな彼女だからこそ、あえて色恋をメインにする方が面白くなりそう、という理由でこうなりました。

 エミリーの話に関しては、最初からプロットをあまり作らず、その時々のテンションとか成り行きで描くようにしていました。その方がエミリーっぽくなるかなと。その結果が、魔獣に襲われているところをニコラスが助けてくれて、徐々に意識しだして、その結果あばたもえくぼ状態に陥るという王道テンプレに。

 一応、ラクロス部の先輩としてアリサの恋のアドバイザーになったり援護したりするポジションも用意していたのですけど、自分の恋愛がメインになってそれどころではなくなっちゃったエミリー先輩でした。逆にテレジアにアドバイザーや援護を求める始末。

 テレジアも最初は「あのエミリーがねえ……」と親身に聞いていましたが、最後の方は「ちょっと面倒になって来たわ」感が隠せなくなってきています。

 自称『炎の女』ということなので、テーマの一文字である『淡』には、炎が入っています。『淡』は会意兼形声文字と呼ばれ、元は陽炎を意味するので、エミリーの揺らめく恋心を表すのに最適なものでした。

 卒業後はテレジアと空挺部隊に入り、非番の日にはニコラスと食事をしにいき、帰ってくる度にその話を夜勤明けで寝ているテレジアを叩き起こしてまで聞かせ、うんざりげんなりされるわけなのです。

 

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㉑《ニコラス》

テーマ『マイペース』

 

 ミスター“当たり障りのない男”として、当作では珍しい終始穏やかなキャラクターでした。

 彼の場合はあまり際立った活躍がなくとも、周囲(主にはエミリー)のサポートで役割が出てくるような形にしています。なのでニコラス自身は“変わらずそのまま”という意味で、テーマを『マイペース』としていました。

 とはいえ初期プロットでは、テレジアやエミリーが勝手に騒ぎ立てて誤解を生み、本人の知らない内に猟奇的かつ変態的な“夜のコックさん”にされるという流れもあったのです。でも色々と組み立てていったら、エリオットの猛将疑惑とそう変わらない展開だったことに気づきまして、やはり彼は彼のまま続行という結論に至りました。

 調理関係でラウラと絡みを持たせることで、エミリーの嫉妬を煽りつつ、ラウラの料理力向上を目指すみたいなサブストーリーも思っていたのですけど、差し挟む隙間がなかったり、話の進行のタイミングが悪かったりと、案は豊富にありながらもお蔵入りなったエピソードが多いキャラでもありますね。

 余談ですが、作中で出てくる不憫な騎士の装備は、子供のころに私が実際にやってみたことのあるやつです。小学生で流行っていたドラクエごっこですね。おたまを剣に、鍋ふたを盾にとかは良かったんですけど、おろし金を腕に装着した時だけは母親からすさまじく怒られた思い出があります。

 

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㉒《ハイベル》

テーマ『暴走』

 

 彼のテーマは物語の前半と後半で意味が異なります。前半はクレインの暴走を止めるための人で、後半はクレア絡みで自分が暴走する人です。

 最初はクレインの世直しに「余計なことに首ツッコまないでくれよ……」というスタンスでしたが、クレアと出会ってからはその立ち位置が真逆になるようにしていました。

 ゆえに避けられない戦いなのが、マキアスとの全面衝突。何かと「小僧が……!」と呪うように吐き捨てては憎しみを蓄積させていきます。

 当初は『吹奏楽部猛将化計画』というものを水面下で構成していて、とある事件をきっかけにミントやメアリー含め、吹奏楽部全員をビジュアル系メタルバンドに強制転向させるつもりでした。余裕でヘッドバンキングとかします。

 しかしどうやってもブリジットだけはメタルにシフトチェンジするルートが思い浮かばず、かつ仮にそうなったとしたら、彼女らのサブストーリーである恋物語に致命的な打撃を与えることが確定だったので、計画は計画倒れとなったのです。何気にブリジットが最終防衛ラインだったのですね。

 ハイベルは卒業後も足しげくトリスタに戻ってきては、メイドさんとなったクレア大尉とお近づきになろうとしますが、事前にマキアスが仕掛けていったトラップの数々(フィー監修)のせいで、その都度死にかける羽目になってしまいます。

 二十歳になった彼は、いつかの約束通りクレインとお酒を飲みに行きました。

 

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㉓《クレイン》

テーマ『任侠』

 

 Ⅶ組のメインキャラよりも早く、彼のテーマは決まりました。多分一番早かった気がします。

 各地を回りながら悪を成敗し、人情を残して去っていく――みたいなお話が個人的に好きなので、ぜひクレインにそれをやってもらおうと思っていたのです。初期のサブストーリーはその辺が色濃く出ていますね。中盤に進むにつれて、正義戦隊のマスクをかぶるなど、やや迷走しがちな感じはありましたが。

 ロギンスとは口調や兄貴キャラなところが似ているので、特に二人が同じ場面に出ている時はセリフ回しを使って、今どっちがしゃべっているのかわからなくならないように注意しました(クレインの方が語尾がやや柔らかめ)

 “自分が主体で物事を進めるときは熱くなりがちだが、逆に近くの誰かが熱くなった時はすぐに冷静になれる人”というのを彼の性格の根幹にしています。だからハイベルが暴走する中盤から終盤にかけてはストッパー役として機能することが多くなっています。

 結局描くタイミングを逃したのですが、クレインの好みの異性のタイプは意外におっとり系のエーデルとしていました。弟妹と仲良くしてくれそうだし、お袋とも上手くやれそうという理由から。

 そっちもサブストーリーで進めようかと考えたりもしたのですけど、いかんせん彼の相方の暴走が激しくて、そこまでは手が回りませんでした。

 卒業後は正規軍に入り、実家には多くの仕送りをしたり、ガイウスとは手紙のやり取りをしたり、同じ軍属のトールズ卒業生を集めて懇親会を企画したりと、忙しくも充実した社会人生活を送っています。

 

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㉔《フィデリオ》

テーマ『捨てられないもの』

 

 ゲーム内ではけっこう印象薄かったですよね? 大きなサブイベントや際立つ役割も少なかったように思います。

 そんなフィデリオですが彼のストーリーを作ろうとすると、最初に最後の締めくくりのシーンの方が浮かんでいました。

 “街道生活の月明りの下、相方であるドロテがぼろぼろの木箱を机にして、すすけた原稿用紙に小説を書き連ねていく姿”を収めた一枚の写真がフューリッツァ賞を受賞して、それをドロテには教えない――というけっこう細かいところまで自然に想像できました。

 彼は本編ゲーム内でもフューリッツァ賞を取っていますが、なんの写真だったかはそこまで言及されていませんでした。じゃあなんの写真だったのかなと考えた時に、思い浮かんだのがそれだったのです。

 サブストーリーとしては、ニコラスとエミリーの対比として描いていたりします。仲良くなりつつ互いのスキルを活用してサバイバルクッキングを続ける二人に対し、事あるごとにケンカしつつ木の根をしゃぶるような極貧生活を続ける二人。

 でも明確に夢だけは持っていて、しかし金がなきゃ夢を見る資格もないという特に芸術系の現実に直面し、ポリシーを捨てて売ってでもあらゆる手段で金銭を得ていく――だけど最後までカメラは捨てられなかった。しかもそこに気づかしたのがドロテだった。なんか釈然としないんだけど。――というのが彼の物語。

 卒業してからもドロテとは何かと小競り合う友達です。

 

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㉕《ドロテ》

テーマ『金か夢か』

 

 ただただ描いてて楽しい人。ああ言えばこう言う系の人は嫌いじゃありません。その切り返しが秀逸であればあるほど、やり取りが楽しいのです。

 とはいえゲーム内では別にそこまで困ったさんなキャラクターではないのですけど、フィデリオと組むことによって自然とそうなった感がありますね。

 彼女のテーマはフィデリオのそれよりも顕著になっています。

 隠れた名作はいくらでもあるけれど、広報によって取り上げられたり、世の時流に乗ったものの方が好評を博しやすい。

 それでも少ないながらファンはいて、確かに自分の作品を評価してくれるけど、それだけじゃあ食べていけない。

 では書きたいものを書かず、食うために他人のニーズに迎合するか。それとも自分を貫き、売れない自称作家を続けるか。

 その二択を彼女は迫られ、まずは金を選びます。充足感と小さな背徳感の中で、自分を無理やりに納得させようとするドロテの前に現れたのはガイラーさんでした。

 彼に“夢で腹は満たせないが、胸は満たせる。どちらがいいかの正解はない”と諭され、彼女が最終的に選んだのは――というのがドロテの物語です。

 意外にもけっこう真面目なストーリーラインだったりしますが、元々の構想では『なけなしの金を野党に奪われ、所詮この世は金だ、盗られる前に盗ってやれ』の思考に至り、フィデリオもろともキャッツアイみたいな全身タイツで怪盗になって世間を騒がせ、やがて正義戦隊であるクレインたちとはルパンと銭形みたいな関係になって対決するというものでした。

 

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㉖《ステファン》

テーマ『刃持たざる者たちの戦い』

 

 ステファンのテーマは第113話のタイトルそのままです。というよりもタイトルをステファンのテーマから持ってきました。

 戦闘においては前衛にばかり目が行きがちですが、その活躍はバックアップがあってこそ。ことパンタグリュエル制圧戦では、剣を持たないサポート組を作戦の成否の重要な部分に組み込もうと思ってました。その核となるのがクラッキングスキルを身につけてきたステファンだったのです。

 ルーレでアイデンティティを奪われ、シュミット博士に人体実験され、合流してからも空回りばかりでパッとせず、そのままネタ枠で終わると思われてたところで、逆転の一手を打てる一番重要なポジションに!

――とまあ、その展開にする為にステファンには申し訳ないですが、序盤から“絶対活躍しないだろ”的な不遇の扱いを受けてもらっていたわけです。

 ゲームではカレイジャス内で魔獣データの管理をやっていましたよね。当作ではマキアスと関係もあることから、その辺の繋がりももっと入れていくつもりだったのですけど、ルシアやらカールやらが魔獣と絡んでいることもあって、話がとっ散らかる可能性もあったので割愛しました。

 新Ⅶ組であるエリゼたちが初回特別実習でルーレに赴いた際、機甲兵《ドラッケン・ステファンエディション》が無人で動いて彼女らを追い詰めるのですが、それはステファンが作成したプログラムの暴走が原因でした。

 スカーレットの《ケストレル・レギンレイヴ》の初陣によって、大切な研究データ共々にズッタズタのスクラップにされるという顛末です。

 

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『サブキャラクター・その他』

 

 

㉗《レン》

テーマ『夢うつつ』

 

 基本的にマキアスの夢の中でしか出て来ない女の子。

 碧の軌跡で《パテル=マテル》が自爆した後、マインツの宿屋で泣きながら眠っているシーンを見た時に、彼女の気持ちを楽にできるような話を書こうと思いました。

 ただ時系列的には閃Ⅱでの出来事です。前作を執筆時点でプロットはあったものの、そこに入れることはできませんでした。ですので今作でマキアスと絡む形で進めています。

 可愛らしいけど、どこか影があり、何か大切なところがずれている。彼女はそのイメージで描いていました。フィーとミリアムをミックスして、マイナス部分だけを浮き立たせた感じですね。

 そんなレンがマキアスを気に入ったのは、無邪気な子供が興味本位で虫の羽根をちぎって遊ぶ時の感覚に似ているのかもしれません。

 メガネを割られて絶望するマキアスが見たい。石を詰めたジャケットを着せて湖で泳がせ、生死の狭間で苦悶にあえぐマキアスを見たい。

 ただそれだけ。レンちゃんは純粋で良い子です。

 

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㉘《カイエン公爵》

テーマ『傲慢と傲岸』

 

 一応最たる敵ということで、私の中でも人物像がブレないように、最初からテーマをあてがっていました。

 どうも私は小者を書くことが好きらしく、何一つ迷うことも止まることもなく、彼の出番はノンストップで書き進められました。

 エリゼがカイエンに言った『あなたは主催者ではなく首謀者です』という言葉が一番端的に彼を表している気がしますね。

 そのエリゼを緋の起動者にしてしまった張本人ですが、重要な場面だっただけに実はそこに至る為のルートはいくつも考えていたりしました。

 最後まで悩んだ一つが、“カイエンはリゼットとエリゼの仲を知っていて、かつリゼットがリィンを撃ったことも知っていた。その事実をエリゼに突き付けることにより、精神の均衡を崩して一気にエンド・オブ・ヴァーミリオンの核に取り込ませる”というものです。

 しかし憎しみを覚醒のトリガーにしてしまうと、その後の“リゼットとエリゼの関係があったから、リィンとクロウの関係を自身に重ね合わせることができ、結果としてクロウへの一撃を止めることができた”に繋がらなくなってしまうため、却下としました。

 なんにせよゲス野郎ですね。でもそういうの嫌いじゃない。

 

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㉙《セリーヌ》

テーマ『人の機微を知る』

 

 物語開始序盤はゲームと同じくリィンのサポーター。あとは世界観の説明だったり、騎神のスペックや制約なんかをセリーヌが言っても違和感がないので、リポーターとしても地味に活躍していました。

 人の機微というのは作中でもセリーヌ自身が度々口にしています。「人の気持ちなどわからない」と。

 その彼女が最終決戦でトワたちに「アンタ達はどうすんの!? 三人分ならいけるわよ!」と、精霊の道を通ってクロウに会いに行けということを遠回しに伝えます。そこにアンゼリカから「わかってきたじゃないか。人の機微ってものが」と返される――それがセリーヌの物語の終着点だったりしました。

 セリーヌがアイゼンガルド連峰でリィンが目覚めるまで見守ってくれたことにエリゼはすごく感謝していて、ことあるごとに彼女の世話を焼こうとします。

 逆にトヴァルは目覚めたばかりのリィンを崖下に落とした原因なので、エリゼはことあるごとに彼を物理的に焼こうとします(新学期以降、テスタ=ロッサで)

 セリーヌとトヴァル。出会った日もタイミングもほぼ同じなのに、何が二人の差になったのでしょうか。

 

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㉚《アルティナ》

テーマ『特になし』

 

 執筆開始時点では特にテーマは決めていませんでした。というのも閃Ⅱ終了時点で、アルティナの役割や素性は明らかになっておらず、閃Ⅲで重要ポジションを務めるとも思っておらず、深掘りのしようがないという感じだったのです。

 閃Ⅲをプレイし、そのエンディングで精神をえぐられ、ずずーんと落ち込む中で書いたのが、アルティナを主役にした『夢にて夢みて さーど』だったりします。

 元々当作ではミリアムの成長の対比として描くつもりだったので、何かと突っかかってはコンプレックスを抱くようなことが多いですね。彼女がミリアムをお姉ちゃんと呼ぶ日はまだまだ遠い……

 

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㉛《ナイトハルト&フィオナ》

テーマ『特になし』

 

 この二人の立ち位置は最初から明確に決めていました。

 フィオナはエリオットに猛将疑惑をかける人。ナイトハルトは物語上でしゃばらない人。

 フィオナお姉ちゃんは弟が猛将じゃないことを信じようとしつつも、「エリオットも年頃だし、やっぱり猛将なのかもしれない……」みたいな思考スパイラルに陥っていき、最終的には「早く猛将と認めてよお、お姉ちゃんは悲しい……」とねじれていくわけですね。

 ナイトハルトは意図して出番をカットしてます。虹の軌跡は学院生たちの物語。彼らが困ったり悩んだりしたときに、上に立つ大人が指針を示すようなことをすれば、簡単に進むべき道が見つかってしまう。だから作中での困難は、ほぼ全てトールズ学生同士の関わりの中で解決するようにしていました。

 というわけで双龍橋戦以降は「いかんぞ、エリオット」などのセリフくらいしかない男となり、エピローグの第三機甲師団と第四機甲師団の対決では、勝手に地雷踏んでセリフもなく黒焦げになってリタイアし、栄えある最終話のラストの言葉でさえも「おっぱい魔人はいかんぞ、エリオット」で締めくくられるというミスター剛撃。

 心残りといえば、この二人のイチャイチャをあんまり描けなかったことくらいでしょうか。まあいいか。

 

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㉜《オーラフ&ゼクス》

テーマ『二律背反』

 

 一応それっぽいテーマにしていますが、エクセル管理していた初期のメモを見直してみると“おっさん賛歌”と書いていました。

 ミントの行動と猛将というワードをトリガーとして、第三機甲師団と第四機甲師団の仲違いに発展するようにしました。面倒なおっさん共のどうしようもない諍いを描くのはこの上なく楽しかったですね。

 ナイトハルトの項目で書いた通り、年配組は学生たちにアドバイスをしないようにしていましたので(オットー元締め除く)終始ふざけ回っていたオヤジたち。

 なぜかこの二人を書く時、中将じゃなくて准将と書き間違えることが多かったです。リンデとヴィヴィを間違えるのと同じくらいやってまして、何度かご感想で指摘もされるほどでした。

 あれかな。私の深層心理では、二人を降格させたがっていたのかもしれません。

 

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㉝《オットー&ヴァルカン》

テーマ『去りゆくものが遺すもの』

 

 執筆を始めた段階で、作中に命を落とすキャラクターはこの二人のみとわかっていました。やはり死を描くのは重みがありましたが、物語上避けては通れないシーンでもあります。

 オットー元締めの死は、元々ケンカしていたユーシスとマキアスを繋ぎ合わせ、最終のクロウ戦で重要な役割を果たすオーバーライズの発現へと至りました。

 ヴァルカンの死は、エンド・オブ・ヴァーミリオン戦でクロウを引き戻し、己の立ち位置を認識させるための一つの言葉に繋がりました。

 去りゆくものが遺すもの。

 彼らが失ってしまった命は、クロウが生きている今に繋がっているのです。

 

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㉞《ルシア&カール》

テーマ『白と黒』

 

 再三になりますが、虹の軌跡はトールズ士官学院生たちの物語。その不動のコンセプトの中にあって、数多のメインキャラを置き去りにディープなサイドストーリーを勝手に展開していた大人たちの代表格です。

 当作では幼馴染同士としていますが、原作ではおそらく会ったこともないと思います。もうこの二人に関しては《夢にて夢みて ふぉーす》で描き切ったので、今さらここで追記するほどの裏話はないのです。

 強いて言うなら、私がこの話を書いていた時、実はケガをして三日ほど入院していました。別に大したことはなく、しかし時間だけはたっぷりあり、暇でしょうがなかったので、病院のベッドの上で寝転がりながらスマホで打ったのがアレです。

 丁寧に二人の心情を考えながら、文章もゆったり作っていたので、無駄にクオリティだけが上がっていきました。そろそろ《夢にて夢みて ふぃふす》も作りたいですね。

 

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㉟《クロ&ルーダ》

テーマ『魔獣の恩返し』

 

 魔獣の起源なるものは前作のレーグニッツ王国の時から考えていました。魔獣と動物の違いはなんだろうと。

 “セピスを体内に取り込み、肉体と精神に攻撃的な変調をきたした獣が、特異な生態系を確立させたモノ”を、いわゆる軌跡世界でのモンスターの定義に当てはめるのがてっとり早かったのですけど、何をとち狂ったのか、“1000年もの昔、《白の帝》に裏切られた《黒の王》の人間に対する憎悪の思念を伝播させられた獣”としています。

 そして《黒の王》はレーグニッツ家の祖先であり、その血を引くマキアスは魔獣に惹かれ、魔獣もまたマキアスに惹かれるという因果の鎖を形成しました。

 ちなみに《白の帝》はルシアさん側の血統なので、シュバルツァー家は関係ありません。ただしテオやリィンと違って、がっつりルシアさんの血を引いているエリゼは正当なる後継者扱いです。Ⅶ組に同行中のエリゼが各地に転移する度に魔獣に襲われていたのは、この血筋の影響だったというのが裏設定でした。

 クロとルーダの名の由来は、当時マキアスが好きだったヴィータ・クロチルダのファミリーネームから。まさかヴィータも自分の名前が魔獣に分け与えられているとは思いもしないでしょう。

 彼らのサイドストーリーである《魔獣珍道中》のテーマこそが“魔獣の恩返し”で、具体的にはクロたちが旅の中で舎弟にした魔獣の群れを引き連れて、オーロックス砦の戦いに加勢するところです。マキアスの意を汲み、腐りきった人間(アルバレア公爵)に怒れる鉄槌を!

 四月以降も変わらず舎弟共々旧校舎を根城にしていますが、新Ⅶ組のオリエンテーションで立ち入った際には圧倒的な頭数の群れとして登場し、エリゼたちををただ絶望させます。そして白の血族であるエリゼだけが追いかけられる羽目に。

 

 

㊱《セラム&ルシル&サターニャ》

テーマ『シンデレラの継母&義理姉みたいな』

 

 カレル離宮に連れて行かれたエリゼを、一昔前のテンプレのごとくいじめまくる三人娘。名前の由来はセラフィム、ルシフェル、サタンという天使や悪魔から。特に深い意味はなし。

 今までリィンたちⅦ組の中で温かく接されていたエリゼに、外の世界にやってきてしまったと実感させてくれる中々に重要なポジションを担う三人組だったりします。

 描写はしていませんが彼女らがやった悪行は数知れず、“部屋の時計をずらして、エリゼを仕事場に遅刻させる”“清掃用具の置き場所を内緒で変える”“みんなでやるトランプゲームに誘ってあげない”など、それはもう非道の限りを尽くしていました。

 ただエリゼがリゼットと同室になってからは、エリゼをいじめるとリゼットに倍にしていじめ返されることに。

 最終的には全員がエリゼと仲良くなっていて、トールズに入学したエリゼとは文通をしたりして良好な関係を保っています。

 

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㊲《ガイラーさん》

テーマ『導き手』

 

 虹の軌跡を虹の軌跡たらしめる一因でもある紫の用務員。もはや作者の私にも抑えられず、まったく意図しない行動を取ることも多かったです。

 たとえば絶対のコンセプトである『虹の軌跡は学生たちの物語』の中に当たり前のように介入し、『大人が道を示したり、物事を諭したりしない』のルールも平然と無視し、あまつさえ最終決戦にまで首を突っ込む暴挙までやらかします。

 本当に初期プロットではここまでではなく、最終戦前にはトリスタに残る予定だったのですけど、気付けばカレイジャスに搭乗したままという謎。

 テーマの導き手というのは、エマやケネスに対してだけではなく、エレボニアを導く者という意味です。ろくなもんじゃない。

 ただまあ行動基準は善意なので、基本的にはエマの役に立とうとはしています。立ってはいませんけど。

 彼が覚醒する大元の原因はドロテの書いた小説で、エマを導こうとはするものの、ドロテのことも同じくらい気にかけていたりします。

 四月以降も用務員として勤務しますが、技術部とかけもちで文芸部に入ったアルフィンの勧めで、文芸部の特別顧問に就任。学院に帰って来たエマを絶句させます。

 そしてトールズの第二分校が設立された段階で、彼はそちらに転属することになります。そういう未来なので、《夢にて夢みて さーど》の中で、“クルルンとラッシュの螺旋撃”なる書籍が出るに至ったわけです。

 

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㊳《ミュゼ&ユウナ》

テーマ『特になし』

 

 完全なるゲスト出演のお二人。特にミュゼに関しては閃Ⅲで立ち絵や第一弾PVが発表されてすぐ、途中まで書き上げていた飛行艇ハイジャックの話に速攻でねじ込みました。

 だからキャラクター情報がまったくなかったので超困った覚えがあります。見切り発車甚だしい……。

 公式HPのキャラ説明の内容と、判明している口調だけを頼りにリィンと絡ませたわけですが、あとで見返してみるとまあまあイメージ通りではあったのかなと思います。

 逆にユウナの場合は私が閃Ⅲクリア済みだったので、妹弟とアルモリカ村に逃げているところをヴァリマールが助けに行くというあのシーンを問題なく描けました。残念ながらセリフはなしでしたが。

 ミュゼを登場させた時、なんだったら新Ⅶ組全員をチョイ役でもどこかで出したいなと思ったのですが、さすがに無理がありましたね。その分、アルティナの夢の中でがっつりやりました。

 

 

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『★設定資料➁★』

 

●《夢幻回廊》

 いわゆる裏の試し。本来なら煌魔城攻略後、エピローグで発生するはずのラストダンジョンです。

 ゲームでならエンディング前の総決算な感じでいいんですが、それを小説でやると蛇足感が強すぎると思ったので、逆に煌魔城直前に持ってきました。

 仲間たちの想いに相互に触れ、ことリィンにおいてはラウラとアリサの告白イベントにも関わる形です。

 リィン以外の人物のシーンはカットしましたが、Ⅶ組の全員が同様の現象を体験しており、これは全員での重奏リンクとオーバーライズを行うための前準備の意味合いも含めています。

 その後、アリサがユーシスに対して文句をこぼすシーンがちょっとだけありますが、本人がいないときにユーシスが「アリサは無自覚にわがままだからな」的な発言をしていて、アリサはそれを裏の試しで知ってしまい「あなたにだけは言われたくないわよ!」とプチ怒っていたからでした。

 

 

●《ユミル六柱》

 《雪帝》に連なるものたち。強大な戦闘力を誇り、ユミルの郷を魔獣から守護せし者。ただしその千年に渡る因縁を知っているのは現《雪帝》であるルシアさんのみ。

 ユミルにおける雪合戦とは、戦う術を継承するための振るいの儀式である――とまあ、自分で作っておいてなんですが、どういう歴史設定なんでしょうね、これ。

 ゼムリア文明の大崩壊に絡めて、魔獣の起源や、黒の史書や、レーグニッツ家の祖先の話まで遡るという壮大な意味不明っぷり。でも時系列や展開に致命的な矛盾を生まないよう、めちゃくちゃ軌跡シリーズの年表とにらめっこしたんですよ。明かされてない部分は予想と想像で埋めて、なんなら本編よりも頭をひねりました。

 そういえばご感想で「ユミル六柱はそれだけ強いのに、どうして襲撃してきた猟兵を撃退できなかったのか」とツッコまれることが何度かありました。答えは「その時は郷にまだ雪が積もってなかったから」です。

 猟兵にやられてただ一人負傷したテオ・シュバルツァー男爵様ですが、エンディング時点での家族構成は妻(雪帝)、息子(鬼)、娘(暗黒竜)という異常事態に。

 彼だけはどこまでも変わらない一般人を貫いて欲しいものです。

 

 

●《レグラム三将》

 レグラムを守護する――っていうかラウラお嬢様を守護する三人の将。すなわち執事のクラウスさん、ダフネ婆さん、ワトー爺さんのお歴々。お嬢様に近づく不逞の輩は、有無を言わさずに微塵切りにして、エベル湖の魚のエサにします。

 次代の三将は、シンディ、クロエ、セリアのラウラ親衛隊が任命されることになるでしょう。

 ちなみに彼女らがリィンの名を口にするときは、リィン(クズ野郎)リィン(ゴミ虫)リィン(ダニ屑)などのルビが振られます。

 他の地域にも《ノルド一槍》《セントアーク二獄》《バリアハート四天王》《ルーレ五星》《ヘイムダル七刃》なる集団があったりなかったり。

 

 

●《イスラ=ザミエル》

 当作においては天上のラスボスが《エンド・オブ・ヴァーミリオン》で、地上のラスボスが《イスラ=ザミエル》となります。ゲーム内では氷霊窟で出現する隠しボスですが、カレイジャス勢の最後の障害としてヴァリマールのゼムリアブレードを狙って襲撃してきます。

 元々は《イスラ=ザミエル》を出すことを最初に決めて、それと対決するために《レイゼル》というカレイジャス保有の機甲兵が必要となり、そこに関連させてアリサのテーマを深掘りしていこうという逆からの発想でした。

 そしてその最強の魔煌兵はトヴァルさんの手によって倒されるわけです、トヴァルさんの手によって。

 

 

●《リィンの代償》

 騎神に搭乗して霊力やリンク機能を酷使し過ぎてしまい、作中でリィンは何度も消耗する事態になっていますが、プロット段階ではもっと大変な目に遭っていました。

 たとえば《ファルコ》を使い過ぎれば視力が、《ブレイブ》なら腕力が、《レイヴン》なら脚力がなど、力を使えば使うほどマスタークオーツが連動する部位の能力が失われていく仕様です。ちなみに最後に失くすのは心でした。あははっ。

 《エンド・オブ・ヴァーミリオン》との決戦は心身のほとんどの機能を失って挑むことになっていたのです。

 最終的には失くしたものを全て取り戻す仕掛けも用意していて、どんでん返しの物語の展開としては中々面白いものだったと思うのですが、いかんせん道中の旅路がシリアス&ダークになり過ぎるため、さすがにそれはやめておきました。

 だから本編中では、どれだけ力を使っても精神と体力が削れるくらいで済んでいたのです。リィンは感謝しなさいよねっ(アリサ風)

 

 

●《魔導剣》

 まず原作で使われておらず、かつこれから登場しそうで、さらにユーシスが手にして違和感のない武器というアプローチで考えました。

 その結果がジョルジュ作成の魔導剣《スレイプニル》です。

 ただし自由に剣とアーツを同時使用できるなら、それはデュバリィの戦法と変わりません。なのでチャージ時間による制限や、クオーツを付け替えることによる属性増加を付与しました。

 技の発生と速度はデュバリィが上、技の威力と汎用性はユーシスが上という感じです。

 ユーシスの魔導剣はマクバーン戦で損壊してしまいましたが、その系譜を受け継いだ第二世代型魔導剣《フレスヴェルグ》がセドリックの手に渡ることになります。《スレイプニル》に比べて実用的な強化やギミックが多数施されており、さらに作成者はジョルジュではなくシュミット博士です。

 

 

●《ミラーデバイス》

 自律飛行型鏡面装置と位置付けましたが、自律とはいえ事前入力のプログラムに沿って楕円滑空するので、一度放てば制御は効かない仕様です。

 敵の動きを予測しつつ、しかも複数の鏡面を同時に扱う必要があるため、思考力強化としてクレアとマキアスの変則ルールチェスの特訓がありました。

 鏡面自体に導力供給機能が備わっていて、反射を繰り返す度にレーザー弾が強化されていく――という設定にすることでゲーム内でのSクラフトの威力に近づけるようにしています。

 

 

●《転移術》

 ゲーム内ではエマが最初から覚えていたようですが、当作ではパワーアップ要素として追加習得してもらっています。

 最初から転移が使えてしまうと、たとえばアルバレア城館に潜入した際、「それで脱出すればいいじゃん」になってしまうため、覚えるタイミングをずらす必要があったのです。

 術の制約として“見たところ”か“見えているところ”にしか行けず、転移範囲もエマの場合は500アージュほどとしています。これをエマが使えるようになってからは、作戦や戦術の幅が広がり、物語の展開も動かしやすくなりました。

 

 

●《メガネ》

 視力矯正補助器。顔に装着することで精神とも接続され、心にダメージを負うとレンズに損傷が発生します。

 ちなみに作中のシリアスパートでは『眼鏡』、ギャグパートでは『メガネ』と表記分けしていました。人生で一番どうでもいい情報ですね。

 

 

●《レジェネンコフR式》

 エピローグで彗星のごとく現れた大型新人。リィンの人格をブラッシュアップしてダウンロードされた人形兵器――の頭部。

 その時だけの登場ではなく、普通に四月以降も活躍するキャラクター(?)だったりします。

 セドリックの悩みにアドバイスをしたり、エリゼの愚痴に付き合ったりと、着実にリィンのポジションを奪いに来ます。

 中でもアルフィンはレジェネンコフを気に入っており、新Ⅶ組の特別実習に内緒で連れていったりもしますが(セドリックのカバンにこっそり積み込んで)、リィンの声音で敵をかく乱したりとまあまあ役に立つという、リィン本人からしたら面白くない事も。

 やがてアルフィンは技術部の活動の一環として、パトリックと共同でレジェネンコフの胴体の製作を始めます。

 その名もパーフェクトレジェネンコフAL(アルフィン)式。スペックの限界に挑み、ロマンというロマンを結集させた最高傑作。

 それが完成した瞬間こそ、リィンという人間の全てが略奪される時。存在意義を懸けた両雄の激突は避けられないでしょう。

 

 

 ――つづく――

 




 次回がラスト!
 Ⅶ組と協力者たちです!

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