虹の軌跡Ⅱ Prism of 《ARCUS》   作:テッチー

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第10話 ユミル休息日 〜騎神の手のひら

「こっちはあらかた終わったか。あとは――」

 猟兵の襲撃を受けた爪痕は、郷のあちこちに残っていた。幸いにも火は放たれなかったが、補修が必要な個所は多い。

「リィン。渓谷道のゲートは俺たちで直してくる」

 材木を抱えたトヴァルが言った。

「こういった修繕はあまり得意じゃないが、一度引き受けたからにはやってみせよう」

「僕も頑張るよ」

 マキアスとエリオットは郷中からかき集めてきた工具を持っている。エリオットがのこぎりを持つ様は、何とも不似合いだった。

 皆には体を休めて欲しいと言ったのだが、彼らはリィンを手伝うと譲らなかった。そんなわけで今日は早朝から郷中を走り回っている。

「じゃあ俺は山道側のゲートを確認してきます。あっちは直す部分が少ないでしょうし」

「おう、終わったらこっちに手を貸してくれ」

 渓谷道側のゲートは郷に魔煌兵が侵入してきた際、壊れてしまっていた。

 三人とは一度その場で別れ、リィンは山道に向かう。その途中、

「あら、リィンさん」

 声をかけられる。振り返るとクレアが立っていた。

「おはようございます、クレア大尉。ずいぶん早いんですね」

「ええ、色々とやることがありましたので」

 クレアは駅の通信設備を鉄道憲兵隊との連絡用に改修していたそうだ。各地に展開している隊員からも情報を得る事で、事前の危機回避に役立てると言う。

「あとは郷の外周を見て回ろうと思っています。地図を見た限りでは気になるポイントもありますから」

「だったら俺が案内しましょうか?」

「構わないんですか? トヴァルさんたちと忙しそうにしていたみたいですが……」

「俺も山道側に行くところだったんです。それに雪山の斜面を下るんでしたら、慣れた人間の同行はあった方がいいと思います」

 少し考える素振りを見せたクレアだったが「ではお言葉に甘えさせて頂きます」と、歩先を山道ゲートに向けた。ふと甘い香りが鼻先をくすぐり、リィンはどこか落ち着かなくなった視線を横に逃がす。

「す、すみません。では先導します」 

「私、なんで謝られたんでしょうか?」

「その……何でもありません」

 不思議そうなその目を流しつつ、リィンは我知らず足を速めていた。

 

 

 ☆☆☆《ユミル休息日(中編)~騎神の手のひら》☆☆☆

 

 

「この辺りですね」

 黒丸でマーキングされた地図を見ながらリィンは言う。クレアも周囲の地形を眺めながらうなずいた。

「整備はされていない裏道ですが、確かにこのルートなら安全に郷と行き来できますね。つまり外部からの進入も容易いということです」

「ここは普段通らないので、確かに警戒の意識が薄い場所です」

「こちらの対策も講じる必要がありますね。あとで守備マップに追記して――きゃ!?」

 言いながら一歩を踏み出した時、クレアは足をすべらせた。斜面の雪道。こけたら簡単には止まらない。反射的にその腕をつかみ、彼女の体を引き戻す。間一髪でクレアは体勢を戻した。

「……私の不注意でした。ありがとうございます」

「いえ、雨が降った後なんかは雪の下の地面が凍ってることがあるんです。先に言うべきでした」

 申し訳なさそうに頭を下げるリィンに「優しいんですね」と、笑った彼女の表情こそ優しげなものだった。

「……私ももう少し足元を見て、しっかりしないといけませんね」

「いえ、大尉は――」

「このままでは閣下の恩義に報いることもできませんから」

 足元、というのは別の何かを指す言葉だったらしい。柔和な微笑の中に、一瞬だけ悲哀の色がよぎる。

 ああ、そうか。

 オズボーン宰相が撃たれたあの日。クレアは帝都にいた。それまでに得た全ての情報を駆使して、《C》――クロウの狙撃ポイントにまで駆けつけた。しかし引き金は引かれた後だった。ほんのわずかに間に合わなかった。

 あと十数秒早ければ、阻止できたのかもしれなかった。

 この人は悔いている。あの日の事を。

「どんな人だったんですか。オズボーン宰相って」

「え?」

「顔を合わせたことはありますが、あくまで宰相としてⅦ組全員に話をして下さったので……俺は個人としてのあの人のことを知らないんです」

 気落ちしているクレアを励まそうとしたはずなのに、どうしてこんなことを訊ねるのか、自分でもよく分からなかった。

 その強行的な施策のせいで、政界において確かに敵も多かったギリアス・オズボーン。

 彼女にとっては直属の上司。だが、それ以上の信頼と敬愛があるように感じる。

 クレア同様、ミリアムやレクターなど、鉄血の子供たち(アイアンブリード)が慕う人物。

 一人間としての彼は、一体どういう人柄だったのだろう。

「………」

 クレアは黙ってリィンを見ていた。

 もしかしたら無神経な質問だったかもしれない。謝るべきかと迷ったが、

「閣下は――」

 先に口を開いたクレアは、リィンの瞳をまっすぐに見つめたまま言った。

「優しい方でしたよ」

 

 ● ● ●

 

「えーと、まずは三人分あればいいか」

 屋敷裏の倉庫から釣竿を引っ張り出す。ずいぶん長い間使っておらず、埃ですすけたリールは交換が必要だった。幸い交換用の器具は箱に入ったまま保管されていたので、買い替えるような手間はいらなかった。

「あったか、リィン?」

 後ろからマキアスがのぞき込んでくる。

「ああ、釣竿なら一応三本は見つかった」

「よかった。というか領主邸とはいえ、一軒の屋敷に釣竿が三本もあるとは珍しいな」

「父さんは釣りより狩りだからな。釣竿を買ったはいいが使わない内に存在を忘れて、また購入してしまったんだろう」

 そういえば、その都度母さんに怒られていたような。子供の頃の話だからあまりよく覚えていないが。

「トヴァルさんとエリオットにも渡してくれ。俺もあとで行くよ」

「おっと」

 釣竿をまとめて渡す。天井に竿の先端が引っ掛からないように、マキアスは注意しながら倉庫の外に出た。

 郷の修繕が一段落した午後からは、男性陣で釣りに行こうという話になっている。

「君がそう言うなら先に行くが、しかし僕たちも手伝った方が早く終わるんじゃないのか?」

「いや、気にしないでくれ」

 午前に補修できなかった箇所が、実は一つ残っている。

 思ったよりクレアの同行が長引いてしまい、結局、渓谷道側ゲートの修繕手伝いはできなかった。だからというわけではなかったが、リィンはその残った一か所の修繕を一人で引き受けることにしたのだ。正確には“一人”ではないが。

「まあ、確かにあそこは僕たちが束になるより、君たちがやった方が手っ取り早いかもしれないが」

「ああ、すぐに終わらせてくる」

 

 

 トヴァルたちが渓谷道に向かった少し後、足湯場の近くに控えるヴァリマールの姿があった。

『――理解不能』

 事情を説明するなり、ヴァリマールは一言そう返してきた。

「この程度じゃほとんど霊力(マナ)は消費しないんだろう。力を貸してくれ」

「なにやってんのよ」

 足湯の湯気に当たっていたらしいセリーヌが首を持ち上げる。

「彼をこんなところに呼び出して、何させるつもりなの?」

「あれだ」

 リィンは上を指差す。足湯場の屋根、そしてそれを支える柱が歪んで傾いていた。

「この間の戦闘でさ」

「……ああ」

 郷の中でオルトヘイムと戦った時だ。劣勢に追い込まれて横転した際、ヴァリマールの腕が足湯場をかすめた。その衝撃で屋根と柱がずれてしまったのだ。

「それでヴァリマールの力を借りて直そうってわけね」

「ああ、だけど――」

「別にそれを拒んでるわけじゃないのよ、彼」

 気だるげにあくびをしてから、セリーヌは続ける。

「起動者に従うのが騎神だもの。ただ、戦闘でもなく緊急事態でもないこの状況で、どうして自分を呼び出すのかが分からないの。だから理解不能って言ってるんでしょ」

 セリーヌが代弁すると、ヴァリマールは『肯定』と返した。

 人間の機微に疎くとも、騎神の思考は分かるらしい。

「だから、直すんだったらさっさと直しなさい」

「助かるよ。それに(ケルン)の中でやることもあるしな」

 そう言うと、リィンは大きめのなめし革の生地を取り出してみせる。セリーヌは小首を傾げた。

 

 

 屋敷から持ち出してきたそのなめし革を、長い帯状になるようナイフで慎重に切っていく。

 この工程はできれば外で済ましておきたかったが、実際に寸法を測りながらやる方が正確である。狭い核内で作業に勤しむこと二十分余り。ようやく形になるものができた。

 それを操縦席の後ろから前に回し、自分の体に合わせつつ、付属させた止め金の位置も調節していく。

 革帯は両肩からへそ前のバックルに繋がり、そこから左右に伸びて腰と上半身を固定する。

 有り合わせの材料で作ったにしては、中々いい具合だ。

「よし、完成。こんな感じでいいだろう」

「なるほど。ずっとそれ付けたいって言ってたしね」

 お手製のレザーシートベルトである。

 騎神の戦いは苛烈だ。体を拘束してくれるベルトの一つでもないと、とてもあの戦闘機動には耐えられない。

「ああ、そういえば。アンタに伝えておくことがあったわ」

 おもむろにセリーヌは話を切り出した。

「何をだ?」

「ヴァリマールが使ったアーツ……らしき力についてよ」

 騎神を通じてエリオットとリンクした、あのガレリア要塞での戦闘の時だ。

「今の時点で判明していることをまとめるとこんな感じ。憶測も含めてだけどね」

 そう前置きしてから彼女は言う。 

「まず大前提となる騎神を通じた《ARCUS》での戦術リンクは、準契約者に限られる。これは間違いないと思うわ」

「ああ、それは同意だ」

 ユミルに戻ってすぐ、ヴァリマールが休眠に入る前に、トヴァルとのリンクは可能なのか試してみた。結果は出来なかった。クレアとも試してみたが同じことだった。

「そして、その準契約者とリンク状態にある場合にのみ、霊力を媒介としたアーツを放てる」

「アーツ、か」

 威力も桁違いだったが、しかし普段使う導力魔法(オーバルアーツ)の感覚ではなかった。単純に霊力を上乗せしたというわけでもない気がする。

 あれは力の一端。その真価は別にある。そうだ、あれは――

「ここからが憶測だけど」

 重要な何かに思い至る寸前、セリーヌが続けた。引き出しかけた答えが、記憶の底に沈んでいく。

「多分、あらゆる種類のアーツを制限なく使えるわけじゃない」

「どういう意味だ?」

「ガレリア要塞で機甲兵相手に水属性のアーツを使ったでしょ。あれってアンタがそうしたの?」

「そう言われてもな……」

 あの時は咄嗟だった。自分の意志で水属性にしようとは思わなかったし、そんな余裕もなかった。……なら、どうして意図せずに水のアーツが発動したのだ?

「これも多分なんだけど、マスタークオーツが駆動の主軸になってるのかもしれない」

「マスタークオーツ? エリオットが装着していたのは確か……《カノン》だったか」

 回復に特化した性能を持つマスタークオーツ。その属性は水だ。

 仮にその推測通りならば、例えばマキアスとリンクしたら《アイアン》の特性である地のアーツが使用できるということだろうか。

「………」

 間違ってはいないと思う。ただ、それだけではない気がしていた。身体に残る感覚が、その先の“何か”を告げている。

「戦術オーブメントにセットされている通常のクオーツは影響しないのか。マスタークオーツを準契約者同士で入れ替えた際はどうなるのか。そういう細かなことはこれから少しずつ明らかにしていくしかないわ。といっても霊力を消費するから、それらを試すタイミングは考える必要があるけど」

 自分に扱える力を正しく把握しておくことは重要だと、彼女は言った。

 そっけない態度ながらも、色々と世話を焼いてくれる黒猫を横目に見ながら、リィンは肩をすくめる。

「分からないことだらけだ」

「操縦に関しては本来アンタが一番知ってるはずなのよ。最初に言ったでしょ。起動者になった時点で必要な情報はアンタの中にあるって。それなのに分からないのは、予めプログラムされていた機能じゃないってこと」

 一番説得力のある言葉だったかもしれない。

「……ところで」

 咳払いするセリーヌ。

「アタシ専用の席は?」

「え?」

 そういえば彼女も体を固定するようなシートを欲しがっていた。ヴァリマールで高速機動した際、彼女は自分の太ももにしがみ付いているか、つかみ切れずピンボールの玉みたいになって核の中を跳ね回っているかのどっちかだ。

「ねえ、私の席は?」

 再び問い質してくる。声が低くなった。

 いや、作ってやりたいのは山々なのだが、猫用のシートベルトなどイメージが湧かないし、そもそも材料も使い切ってしまった。

 黙ったまま目を逸らすリィン。その視線の先に回り込み、セリーヌは彼をにらみ上げる。

「答えなさい。私の席は……!?」

「すまない」

 次もピンボール確定である。

「前から言おうと思ってたけどね。アタシの扱いが雑なのよ。ブースト使う時も声掛け遅いし!」

「戦闘中なんだ。言葉より先に行動が必要なことだってあるだろ」

「配慮が足りてないわ。だから朴念仁って呼ばれるの!」

「それは関係ないぞ」

「あるわよ、この朴念仁!」

 あれこれ言い合う最中、リィンの目がふとモニターに移る。

「ん?」

 足湯場の陰に隠れた二つの人影が、灰の騎神を見上げていた。

 

 

「アルフ、キキ。どうしたんだ」

 一度騎神から降りて、二人に声をかける。郷の子供たちだ。

「あ、あの実はこれ採ってきたんです」

 彼らの手には大きなフキの葉があった。この辺りでは渓谷道に稀に生えている。

 心持ち厳しい口調で、リィンは二人に言った。

「ダメじゃないか。子供だけで渓谷に出たら」

「ちゃんとお願いした、の」

 首をふるふると振るキキ。なんでも渓谷道には二人ほど同行してくれたという。その二人が誰なのか、名前までは分からなかったが。

「それならいいが……それで、そのフキの葉をどうするんだ」

「えっと、折鶴を作りたいんです」

 

 足湯に膝まで浸かりながら、フキの葉を丁寧に折っていく。キキのは赤色の葉で、紅フキという珍しい種類のものだ。

「次はこう。破れちゃいけないから慎重にな」

「こうですか?」

「むずかしい、の」

 リィンの両脇に座るアルフたちも続く。彼らも湯に足を沈めているが、いかんせん短いので、膝の真ん中までくらいしか入らない。大きくなってやりたいことは、足湯の底にかかとを付けることだそうだ。

 足湯場の傍らにたたずむヴァリマールが、その様子を黙って眺めている。どこか興味深げに見ていると感じたが、表情などないので、やっぱり気のせいかもしれなかった。

 セリーヌが腰の横から顔をのぞかせる。

「ふうん。折鶴ってそういうのなんだ」

「ああ、東方の風習の一つだ」

 昔、ユン老師が折っているのを子供たちは覚えていたのだ。傷病回復の願いを叶えてくれるという、そのおまじないを。

 テオが猟兵に撃たれたのは、自分たちを庇ったからだと彼らは思っていた。それで何かできることをと二人で考えたところ、この折鶴に思い至ったらしい。

「呪術ってやつね」

「祈祷だろ、そこは」

 四苦八苦の末、ようやく二羽の折鶴が完成した。ところどころ破れていたりしたが、形はちゃんとした鶴である。

「さてと。あとはこれを父さんの枕元に飾るだけだが――その前に」

 湯から足を引き上げ、タオルで水滴を拭うアルフたちにリィンは言う。

「俺も二人に手伝って欲しいことがあるんだ」

 

 

「リィンさん、もう少し右です」

「行き過ぎなの」

 アルフとキキの指示に合わせながら、足湯場の柱に手をかけたヴァリマールが、少しずつ歪みを強制していく。

 ちゃんと水平に戻せているか目測では分かりにくい所もあったが、ヴァリマールがスキャンした建物の画像をモニターに映してくれたおかげで、精細な修復をすることができた。

 シートに背をうずめて、リィンは息を吐く。

「ありがとう、ヴァリマール」

『礼ハ無用。コノ程度デハ霊力モ消費シナイ』

「だったら、ついでにもう一つ頼まれてくれないか」

『ナンダ?』

 ヴァリマールをかがませると、両の手のひらをすくうような形にして地につける。

「アルフ、キキ。お礼だ。そこに乗ってくれ」

 二人は戸惑いながら、おそるおそる騎神の手に足を乗せる。子供二人、なんとか両手に収まった。

「しっかりつかまっているんだぞ」

 重々しく立ち上がり、アルフたちを乗せた手の平をゆっくりと頭上高くに掲げる。

「う、わ。わわっ!?」

 最初は驚いていた二人も、次第に高さに慣れてきたようだ。静かにその景色を眺めている。

 見渡す限り、山間に続く白銀。舞う小雪に陽光が反射して、無数の輝きを一帯に散りばめていた。

「父さんのこと気にしてたんだろうな。普段より笑顔もなかったから、これで喜んでくれればいいんだが」

「子供は単純だからね。アンタも大概だけど」

 膝の上でセリーヌが言った。

「あれは……?」

 視線を転じると、見慣れない少女が駅側に向かって歩く姿があった。いや、どこか見覚えもある気はするが。

 その少し離れた後ろを、エリゼとクレアが物陰に隠れながら付いていく。

「どうしたのよ?」

「あ、いや。なんでもない」

 クレア大尉に尾行の方法でも教わっているんだろうか。帰ったらエリゼに聞いてみよう。

『リィン、コレハ何ヲシテイルノダ』

「彼らへのお礼だ」

『礼?』

「ああ、それに子供は笑っている方がいいし。ヴァリマールもそう思わないか?」

 少し間があった。ややあって答えが返ってくる。

『……理解不能』

 それきり押し黙ったヴァリマール。

 騎神の心は自分にも分からない。彼を理解するには、まだ幾何かの時間が必要のようだった。

「さあ、二人とも。そこは郷の中で一番高い場所だ。お願い事があるんだろう?」

 リィンの声が届くと、アルフたちは顔を見合わせた。

 作ったばかりの緑と赤の折鶴を手にして、今ヴァリマールが彼らにしているのと同じように、まだ短い腕を精一杯に高く高く空へと掲げる。

「女神様、お願いです」

「お願いなの」

 純粋な祈りと共に、子供たちはたった一つの願いを空に響かせた。

『男爵様を元気にして下さい』

 

 

 ――END――

 

 

 

 

 

 

 ――Side Stories――

 

 

《パトリックにおまかせ②》

 

「大変よ、パトリック」

 そんなことを言いながらやってきたのはフリーデルだった。大変と前置きしておきながらも、その足取りの軽やかさは普段と変わらない。

「どうかしましたか」

 一年Ⅰ組の教室。自席に腰掛けるパトリックは目だけを彼女に向けて問う。

 今は授業中――ではない。ヴァンダイク学院長を始めとした、学院に残る数少ない教官たちは軟禁状態にある。とても通常のカリキュラムなど実施できる状態ではなく、学生たちは日々自習をすることになっていた。

「それが大変なのよ」

 フリーデルは繰り返す。

 大変なことが起こったのか、この人が大変なことをしでかしたのかどっちかだ。

 この一か月、学院に駐在する横柄な貴族兵を、フリーデルが一体何人張り倒したことか。そしてその都度、隠蔽工作やら彼らの上官との折衝で、どれほど自分が走り回ったことか。思い出すだけでも頭が痛くなる。

 情けないことだが、ハイアームズの名をここまでありがたいと感じたことはなかった。四大名門に名を連ねる自分が矢面に立ったからこそ、ある程度の無理を押し通せた節も確かにあるのだ。

「まあ、百聞は一見にしかずってね。付いて来てくれるかしら?」

「……わかりました」

 どうせ断ったところで連れて行かれる。すでに廊下を歩いているその背中を、パトリックはやむなく追うことにした。

 

 着いた先は中庭だった。

 いかにも困った表情のフリーデルは「あれなのよ」と、並ぶベンチの一つを指さした。

 何の変哲もないベンチを注視する。別にいつも通り――いや、脚の一本が折れていた。

「野ざらしのベンチですから、劣化もするでしょう。あれがどうしたんですか?」

「あのままじゃ座れないでしょ?」

「ええ」

「直しといてもらえる?」

 一瞬の間。

「な、なぜ僕が!?」

「だってガイラーさん、どこかに行っちゃったみたいだし。こういう補修を頼める人がいないのよ」

 学院が占拠されたあの日、用務員ガイラーは忽然と姿を消した。用務員室に残されていたのは、目から生気を失った二人の貴族兵だけだった。

「いや、ですが――」

「私のお願い、聞いてくれないのかしら?」

「うっ……!?」

 微笑みを湛えた瞳に、抗えない圧力が宿る。

「わかりました……やります」

 そう答えるしかなかった。

「頼もしい後輩を持って私は幸せよ。あ、これ用務員室から持って来ておいたから好きに使ってね」

 ベンチの下から工具箱を引っ張り出す。なぜここまで用意してあるのに、僕にやらせるのだ。

 フリーデルは後事を託すだけ託すと、颯爽と去っていった。

「まあいい。こんなものさっさと終わらしてやる」

 鼻を鳴らしながら、パトリックは工具箱を開いた。

 

「ぐあああっ!」

 少しして、誰もいない中庭に彼の悲鳴が響き渡る。

 ゴロゴロと地面を転げ、金づちで叩いてしまった親指の付け根を押さえていた。

「おのれ、金づち……!」

 自分の近くに落ちているそれを、忌々しげににらみつける。

 ベンチの脚は根元の固定が外れていただけだった。釘で打ち付けて、ネジで止めれば補修としては十分である。

 それはすぐに理解したのだが、唯一の誤算はこのような修繕をやるのが生まれて初めてだったことか。

「こんなの他に得意なやつがいるだろう。わざわざ僕がやらなくたって……」

 得意なやつ。ふと脳裏によぎった顔は一人、リィン・シュバルツァーだった。得意かどうかは知らないが、花壇の日除けを作っているのを見た事がある。あの時はあの時で酔狂な奴くらいにしか思っていなかったが。

「そうさ。こういうことはあいつに――」

 あいつにできて、僕にできないのか。

「くそっ!」

 悪態を突いて、パトリックは金づちを拾い上げた。

 

 

 赤くはれ上がった指をさすりながら、パトリックはようやく修繕が終わったベンチに目を落とす。

「我ながら完璧じゃないか。壊れる前より頑丈にした自信があるぞ」

 満足気に直したばかりのベンチに座る。一番に腰掛ける権利は自分にあるはずだ。ちょっと爽快な心地である。

 が、次の瞬間。

「うわっ!?」

 補修箇所と反対側の脚がベキッと折れた。座面がガクンと傾き、パトリックはずるずると滑っていく。

 向こう側も調子が悪かったのか。……やり直しだ。

 体中の疲れを凝り固めたような深いため息を吐き出し、彼は力なく立ち上がる。

「あ、こんなところにいましたの? 探しましたわ」

 グラウンド側からやってきたのはフェリスだった。なぜかラクロスのユニフォームを着ている。相手もいないはずなのに、まさか一人で練習していたのだろうか。

 壊れたベンチと砂まみれのパトリックを交互に見て、彼女は不思議そうに訊いた。

「……何をやっているんですの?」

「君には関係ない。ところで僕に用事か?」

「あ、そうでしたわ。大変なんです!」

 またしても“大変”が舞い込んできた。嫌な予感がする。

「いきなりグラウンドの水道から水がものすごい勢いで噴き出して、まったく止まりませんの。助けて下さいまし!」

「な、なぜ僕なんだ!?」

「さっきフリーデル先輩とすれ違ったんですけど、ちょうどパトリックが工具箱持ってるから何とかしてくれると聞きまして」

「か、勝手な事を! 水道管の仕組みなんて分からないぞ。そんなもの――」

 できるやつに声をかけろ。言いかけた言葉は、喉の奥にしまい込んだ。

 またあの顔がよぎる。

 あいつならやるだろう。たとえ自分一人で解決できなくても、とりあえず力になろうとするはずだ。お節介なくらいに。

「……そんなもの――」

 リィンの代わりになる気などない。だが彼にできて自分にできないというのは、腹立たしいことじゃないか。

 もういい。分かった。

 学院トラブル、上等だ。まとめて片付けてやる。

「任せるがいい。ああ、全部僕に任せてもらおう!」

 半ばやけくそ気味にパトリックは宣言した。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

《続・A/B恋物語 Aパート②》

 

「ダメだな。橋の上に陣なんざ敷きやがって。あそこを抜けるのはまず無理だ」

「そう……ですか」

 学院の様子を見られるか、東トリスタ街道まで足を運んでいたロギンスとアラン。想像していたものの、やはり警備は固かった。

「しゃーねえ、戻るか」

 無理なものは無理だと踵を返すロギンスに「ま、待って下さい」とアランは食い下がった。

「迂回したら何とか入れる場所はあるんじゃないですか。今までの検門だって何とかなりましたし」

「トリスタを越えればヘイムダルにも行ける。そんな重要拠点に穴はねえだろ。探るのは構わないが、ミスって捕縛されたら元も子もない」

「それでも!」

「バカ野郎!」

 振り下ろされる拳骨。脳天を揺さぶる衝撃に、アランはその場にうずくまった。

「ブリジットの安否を確かめたいのは分かるけどよ。ちったあ冷静になりやがれ」

 分かっているつもりだった。だけど居ても立ってもいられない。焦る気持ちだけが前に押し出てくる。

 一度深呼吸して、痛みの残る頭をさすり、アランは立ち上がった。

「……すみませんでした」

「おう。それよかメシの調達だ。木の実でもありゃいいが、今冬だしなあ」

 

 

 七耀石から抽出されるエネルギーを導力と呼ぶ。

 今から50年ほど前に、C・エスプタインが古代遺物(アーティファクト)の研究から基礎理論を確立させた。世にいう導力革命である。

 現在ではあらゆるものに導力が利用され、これなくしては生活さえ成り立たない程だ。

「エスプタイン博士に感謝だぜ」

「同感です」

 夕暮れの街道。地べたに座る二人の間には小さな導力コンロがあった。

 導力がこれほど世界に普及したのには、一つ大きな理由がある。それはエネルギー回復の特性だ。

 導力器を連続使用すると、その力は消費され弱まっていく。だが、時間をおけば自然と再充填されるのだ。外部からのエネルギー供給がなくとも、“器”が健在なら半永久的に機能するのである。

 この一か月、この導力コンロはその性能をいかんなく発揮し、寒さをしのぐ手助けとなってくれた。

「今日は何も手に入らなかったな」

「昨日もですよ、先輩」

 これで丸二日何も食べていない。水を沸かして飲むことができるのが、せめてもの救いだった。

「だー! 非常食の缶詰め、もっと持ってくるんだったぜ。腹減りすぎて眠れもしねえしよ!」

「明日道沿いにケルディックまで行ってみますか? 農家の人に事情を話したら、食料を分けてもらえるかも……」

「あっちも領邦軍多そうだしなあ。町の通り抜けは避けてえが」

 そもそも内戦のせいで、慢性的な物資不足である。食料を分けてもらえる見込みも薄かった。

 アランは頭を抱える。

 ブリジットもそうだが、他の学院は無事なのか。そういえばマキアスは今何をしているんだろう。彼も無事ならいいのだが。

「昼に殴ったとこ、まだ痛いのか?」

「え?」

 その仕草を勘違いしたらしく、ロギンスが気遣わしげな声をかけてきた。

「悪かったな。だけど頭冷えたろ」

「ええ、やっぱり俺、浮足立ってたみたいで……」

 クレインは快活に笑った。

「お前がなんか間違えそうになった時はまた殴ってやるよ。これでも俺は理不尽に拳を振るうことはしないんだぜ」

「はは、お手柔らかにお願いします」

 殴るには相応の理由を以て、ということらしい。

 これでロギンスもかなり丸くなった方だそうだ。一年の時は狂犬そのものだったと聞いたことがある。その狂犬を力でねじ伏せたフリーデルは、一体何者かという話だが。

「ところで」

 ロギンスは話題を変えた。

「どうやってブリジットに告白するか決めたか?」

 口に含んだ水を、ぶーっと吐き出す。アランは激しくむせこんだ。

「な、な、げほっ」

 何を言いだすのか、この先輩は。

「なんだ。まだ決めてないのか? よし、今の内に色々シミュレーションして、腹くくっとこうぜ」

「いや、いいですって」

 首をぶんぶん左右に振るアランに構わず、ロギンスは自論を展開し始めた。

「そうだな。ブリジットが不良に絡まれてるのを、ズバッとお前が助けるってのはどうだ」

「いや、それ一回失敗してるんで」

 お節介を焼いたマキアスが仕組んだ演出だった。思い返せば、あの出来事をきっかけに彼とは友人になったのだったか。

「まどろっこしいのはよくないよな。だったらスタンダードに講堂裏におびき寄せて」

 クレインは自信たっぷりに言う。

「抱きしめてやれ!」

「いきなり!?」

 どこがスタンダード。「おびき寄せて」とか言ってる時点ですでに間違っている。正しくは「呼び出して」だ。

「ダメか? だったら、しんどいとか言って保健室について来てもらって」

 また自信たっぷりに言う。

「押し倒してやれ!」

「だあああ!?」

 さっきから大切なステップがことごとく抜け落ちている。

「安心しろ。ベアトリクス教官は俺が引きつけておく」

「そういう問題じゃないです! 先輩はっ」

「あ?」

「そういう先輩こそどうなんですか、フリーデル部長とは!?」

 話をそらすための苦し紛れだったが、意外にもロギンスを動揺させたらしい。「はあ!? な、何がだよ!」と珍しくたじろいでいる。

 好機。形勢逆転だ。

「だってロギンス先輩、稽古中いつもフリーデル部長のこと見てますし」

「そんなもん、あれだ。あいつに勝つ為に戦いの癖とか探してんだよ!」

「よく一緒に帰ってるじゃないですか」

「部活終わる時間一緒だし、寮で別れるまでは道も同じだし、稽古方針の打ち合わせとかも《キルシェ》でやったりするからよ!」

「先輩は亭主関白より奥さんの尻に敷かれた方が上手くいく――」

「るっせえ!」

 飛んできた拳が鼻っ柱にクリーンヒット。仰向けに倒れるアラン。これ以上ない理不尽な拳だった。

「やめだやめだ、この話は!」

 先輩から言い出したんじゃないですか。思いはしたが、じんじん痛む鼻を押さえているせいで、口を開くこともできなかった。

「ったくやってらんねえぜ!」

 照れ隠しなのだろうか、必要以上に大きな声である。

 大声に混じって、何かが羽ばたく音をアランは聞いた。ロギンスの後方、少し離れた木の上から大きな影が飛び出す。

 鳥? ちがう鳥型の魔獣だ。迂闊だった。近くに魔獣よけの導力灯は設置されていない。

「先輩!後ろ!」

 甲高い鳴き声が闇を切る。鋭いくちばしと爪がロギンスに向かって一直線に――

「るっせえってんだろ!」

 怒声と共に繰り出された裏拳が、その魔獣の横面をとらえた。

 乾いた一鳴きを漏らし、地面に転がる鳥みたいなやつ。

「あん?」

 ほとんど無意識だったらしい。倒した自覚もないようだ。

 ロギンスはそいつの首根っこをつかみ上げると、しばし考え込んだあと、

「なんか知らんが晩飯が手に入ったぞ」

 ワイルドすぎるロギンス先輩である。

「焼き鳥でいいよな?」

「なんでもいいです……」

 ブリジットが作ってくれたご飯が懐かしい。痛む頬をさすりながら、アランは心底そう思うのだった。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

《続・A/B恋物語 Bパート②》

 

 翡翠の公都と名高いバリアハート。その貴族街の一角にある邸宅の一つ。

 落ち着いた色合いの絨毯が敷かれた広いリビング。大きなテーブル机に向かって、三人の姉弟が横並びに座っていた。

 姉はシュザンヌ、弟はカテル、妹はハイネという名前だ。

「それじゃあ、ハイネ。この問題はどうかしら?」

 彼らの向かいに立つブリジットは、年少用の参考書を開いてハイネの前に置いた。ハイネは「わからなーい」と明るい声で首を振る。

「え、せめて問題くらい見てから――」

「ブリジットおねーちゃん、お腹へったよ」

 ブリジットの言葉などまるで聞いておらず、ハイネはソファーから立ち上がると、すたすたとキッチンに歩いていく。

「あ、おやつはお勉強が終わってからだってば」

 彼女を呼び戻すべく、その後を追う。

 一か月前、林道でポーラたちと別れてから、ブリジットはバリアハートを訪れていた。ここはハンコック男爵の屋敷で、彼は自分の父の友人にあたる。事情を説明すると、内戦が落ち着くまでここにいればいいと、ハンコックは快く彼女を迎え入れたのだった。

 数日前のことである。ハンコックは妻のローナと自分の領地へと向かった。近くで正規軍との戦闘があったらしい。直接の被害は出ていないそうだが、領民の安否を確認しに行くという。

 尊敬できる人柄。あるべき領主の形だと思った。

 そして、その留守をブリジットが預かることになったのだ。三姉弟の家庭教師兼ハウスキーパーとして。

 ハウスキーパーと言えば聞こえはいいが、やることは細かな家事雑用である。

 掃除、洗濯、料理、そして彼らの先生役。入用なものは全て購入していいとの許しをもらっているから、物品関係で困ることはなかったが、いかんせん子供たちの相手が想像以上に大変だった。

 三日も過ぎれば、もうヘトヘトである。

(全然言うこと聞いてくれないんだもの……)

 子供の世話がこれほど大変なものだったとは。Ⅳ組のロジーヌさんにその辺りのノウハウでも聞いておけばよかった。手も目も追いつかない。

 ハイネに追いついて、リビングへと連れ戻す。

「だから、ここはこうですの!」

「違うよ、こうだよ」

 今度はシュザンヌとカテルが何かを言い合っていた。先ほど出した問題についてだ。二人の答えをのぞいてみる。正解していたのはシュザンヌだった。

 それを教えてみたところ、「だから言ったんです」とシュザンヌは得意気な顔をカテルに向ける。カテルはあからさまに不機嫌になり、「勉強なんかきらい!」とふてくされてしまった。

「ダメよ、シュザンヌもそんなこと言ったら」

「だってブリジットお姉さま、カテルが分からず屋なんですもの」

 カテルはそっぽを向いて口を閉ざしている。ああ、こちらの機嫌も直さないと。

 あくせくするブリジットをよそに、席に戻ったばかりのハイネはノートに落書きを始めていた。

(どうしたらいいの……)

 自分の子供の頃と重ね合わせてみる。参考になりそうな記憶はない。私はおとなしい性格だったと思う。もっとも幼い頃の話をする度、アランにはおてんばだったと言われるのだが――

「……アラン」

 幼馴染の名をつぶやく。胸の内に留めていたものが溢れそうになった。

 今何をしているの? トリスタに残ったの? それとも町の外に? どっちでもいい。無事でさえいてくれれば。私がそう思うように、あなたも私を心配してくれている? 少しくらいは気にかけて欲しいのだけど。

 ……気にかけて欲しい? どうして? 

 不意に湧いた疑問に、答えは出せなかった。ただ、

「……会いたいな」 

 ないまぜになった感情が結実した言葉。その一言が全てだった。

 そうだ。自分にはやることがある。アランだけじゃない。ラウラにも、ポーラにも、モニカにも。みんなに会うんだ。

 その為には、こんなことでへこたれてはいられない。

 ちょっと涙がにじんでいた目元を拭い、テーブルから少し離れたところに設置してあるグランドピアノに向かった。

 鍵盤を軽く叩く。淀みのない音。インテリア的な扱いらしく、このピアノが使われることはほとんどないそうだが、手入れはしっかりされているみたいだ。

 難しい曲はいらない。子供たちがリズムを取りやすい明るめの曲を。

 楽譜をめくって良さそうな曲を見つけた。

(久しぶりだけど弾けるかしら)

 一つ息を吸ってから演奏を始める。柔らかな音色がリビングに流れた。気がつくとシュザンヌたちがすぐそばにやってきていた。興味深々にその手元をのぞき込んでいる。

「ブリジットお姉さま、すごい!」

「おねーちゃん上手だねー」

「今の曲、ぼく知ってるよ」

 演奏を終えると、三人から歓声があがった。

「あなた達もやってみる?」

 そう言うと、彼らは目を輝かせる。順番にピアノの前に座らせて、簡単な曲を一緒に弾いてやった。さっきまでがうそのように、みんな言うことをきいた。ケンカもしなかった。 

 子供たちの楽しげな声とピアノの音色は、日が暮れるまで続いた。

 

 ☆ ☆ ☆

 




中編もお付き合い頂きありがとうございます。

まず、前編のワンシーンで出たヴァリマールの万歳ポーズ。
ノルドのお祈りの仕方を間違えたんだろうとか、あれで温泉すくって誰かが入浴中なんだろうとか、そんな予想も頂きましたが、そういうことだったのです。
というか、なぜそっち系の予想が一番にくるんだ……。ええ、普段の行いのせいですね。納得だぜ。

捕捉となりますが、作中で騎神リンクに触れていますが、「準契約者しかできない」というルールに則って、ゲーム本編では可能だったサラは、本作では騎神とのリンクはできません。

そういえば騎神戦ではエリオットかアリサとばかりリンクしていました。攻より守のスタンスで、CPがたまれば斬月でカウンター。不動のジンならぬ不動のヴァリマールに徹していました。貴族連合のギャラリーからは「灰の騎神ビビってる。ヘイヘイヘイ!」とか煽られていたことでしょう。

それでは次回はトヴァルさんたちのターン。後編もお楽しみ頂ければ幸いです。

〉追記

今回の第十話を投稿する際、間違って前作の方で更新してしまいました。すぐに気付き再投稿したのですが、困惑された方がおられましたら申し訳ありません。




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