見慣れた景色の筈が、どこか異世界にでも迷い混んだ気分だった。巨大なパチンコ店、歩きなれたアーケード、行き着けだったラーメン屋、全てが反転したように、街そのものが、静寂の中に屹立しているみたいだった。靉靆とした街中を歩き回る暴徒の数は、ここにきて一気に増えてきた。トラックが脇を抜ける際に、飛び掛かろうとしてくる。浩太が、ややスピードをあげてやり過ごしていく中、黒崎の大型図書館前の交差点で、真一は緊張した声で言った。
「浩太、気づいてるか?」
「ああ、分かってる。奴等が集まっているってことだろ?」
真一は首を横に振った。
「違うぜ。奴等が向かってる方向には何がある?」
方向、とオウム返した浩太は、暴徒の歩みを注意深く眺めた。こちらに気付いていない先頭集団は、ただただ真っ直ぐに足を進めている。国道二百号線の大きな交差点が見えてきた。
まばらに散らばっていた暴徒達は、ここでその人数を急激に増加させた。車内で、浩太が唇を噛んだ。
「ああ、理解できた。そういう意味か......」
ぐっ、とハンドルを強く握り締める。この交差点の先にあるのは、八幡西警察署だ。暴徒達は、揃ってそこに向かっている。つまりは、間違いなく、警察署になにかがあるのだろう。そして、暴徒の目的はただひとつ。喉を鳴らす浩太に、真一が小銃の安全装置を外しながら頷いた。
「外れだったか?」
「いいや、大当たりだ」
すっ、と持ち上がった浩太の指先は、八幡西警察署の二階を指していた。
窓から身をのりだし、危険を省みずに大声で叫ぶ人影がある。浩太達よりも少し年下だろうか。張りのある声が響いている。
「達也、少し荒れそうだが大丈夫か?」
真一が小窓を開けると、達也は既に荷台の最奥、運転席側で準備を終えていた。暴徒に乗り込まれる可能性を考慮してか、かき集めたように達也の周辺には銃が転がっている。
「いつでもいける」
達也の声に、浩太が頷いて、自身を奮い立たせるように威勢よく叫んだ。
「絶対に助け出す!いくぞ!」
三人の重なった声に呼応するかのように、トラックはそのスピードをあげた。八幡西警察署まで、残り数メートルだ。
トラックの音に反応した暴徒の集団が、八幡西警察署の破壊された門から飛び出してくる。その光景は、さながら蟻の巣穴のようだった。割れたフロントガラスから、鼻をつんざく腐臭が漂ってくる。一体、どれだけの人数が、警察署内にいるのだろうか。真一の89式小銃が唸りをあげた。
先日ここにあげさせてもらった短編……誤字、脱字多すぎる……いや、多すぎるというより、え?なに?一年前の俺はなにを考えてるの?自分で読み直してないの?てくらいに多いwいや、一応チェックはしてるんですけど……まあ、人間だから仕方ない!w
お気に入り数120突破、UA数13000突破!
これからも頑張ります!!ありがとうございます!!
気付けば80ページ……もうここまできたのか……早かったw