東方双神録   作:ぎんがぁ!

43 / 219
ついに…あの技たちを使う時がっ…!

双也視点。

ではどうぞっ!!


第四十一話 VS四天王、"小さな百鬼夜行"

「次は私と喧嘩しないか?」

 

妖力が集まった中心にいた小さい鬼、俺が会いたかった四天王の一人、伊吹(いぶき)萃香(すいか)は俺にそう言った。周りの奴らを見れば、嵐も含めてみんな身体を震わせていた。

 

「す、萃香様……なぜ…」

 

鬼の一人が小声でそう言うと、それが聞こえた萃香は当たり前と言うような顔でその鬼に言った。

 

「なぜって…そりゃあ山の中でこんなデカイ霊力飛ばされてたらいくら何でも気づくでしょ。来てみたらこの通り、まさか人間が拳で鬼を圧倒してた訳だ」

 

萃香は俺に視線を移した。視線でなんとなく察したが、どうやら喧嘩したくてウズウズしているらしい。

俺は萃香に言った。

 

「しょうがない…連戦だけど、あんまり疲れてもないし喧嘩しようか。俺は神薙双也。現人神だ」

 

「お?現人神なんてのは聞いたことないけど、つまりは神か!私は伊吹(いぶき)萃香(すいか)。鬼の四天王の一人だよ」

 

そうやって自己紹介していると、横から嵐が俺に言った。

 

「おい双也!本気で四天王とやる気か!?いくらお前が強くても四天王はお前の更に上だぞ!?」

 

「嵐、俺はお前の全力を知らないよな」

 

「? ああ」

 

「同じように、お前だって俺の全力は知らないだろ?」

 

「なに? 今までのが全力じゃ----!?」

 

俺の全力を勘違いしているであろう嵐の前で、俺は霊力を解放した。最初に鬼と戦った時の約五倍ほどだ。これも全然全力じゃあ無いけど、大体把握は出来るだろ。

 

「これ、まだ三割だからな。それでも萃香は超えられる」

 

俺の霊力はすでに萃香の妖力を凌駕していた。俺が五に対して萃香が四くらいの割合だ。

俺がそう言って萃香を見ると、頰に汗を垂らして薄く笑っていた。

 

「ますますいいねぇ…ここまで強い奴は初めてだ。でも、単なる打撃じゃあ私には勝てない!行くよ双也!!」

 

萃香はそう言ってかけてきた。腕には妖力が集まっていき………拳が肥大化した。

 

「うぇえ!? そこだけデカくなんのかよ!!」

 

「双也強そうだし、全力で行くよ!!」

 

萃香の腕は本人の何倍もの大きさになって迫ってきた。

俺は対処法を必死に考える。

 

(どうする…能力を使っての拳でアレを止められるか!?繋がりをどう操ったらあんなの止められるんだよ!じゃあ遮断か?遮断遮断遮断遮断……)

 

そうやって考えていると、一つ思い出す事があった。

それを応用し、俺はボソッと呟いた。

 

縛道の八十一(・・・・・・)…『断空(・・)』」

 

俺が地面に向けて横に腕を振るうと、そこには風刃と同じような線ができ、そこから空間を隔てるかのような巨大な霊力が吹き出した。その霊力が萃香の拳にぶつかると、耳をつんざくような大きな音がして…止まった。

 

「!?この拳を…そんな霊力で!?」

 

「空きありだ!!」

 

「! くっ!」

 

俺は断空に驚いて隙が出来た萃香に向かって上空から拳を振り下ろした。萃香は腕を元に戻してそれを避けた。

さっき断空を思いつくきっかけになったのは、月人のレーザーを掻き消す為に風刃を放った時の事だ。あの時は普通の大きさの風刃でも十分に掻き消す事が出来たが、アレでは萃香の拳は止められないと思ったので、天御雷に貼ってある札と同じ"力の干渉を遮断する能力"を付与して大きな風刃を放ったのだ。

噴き出した霊力は上手いこと萃香の拳を止めてくれた。

因みに技名がアレなのは……前世でB○EA○Hが好きだったからである。閑話休題。

俺はまた萃香に向かって駆け出し、殴りかかった。

 

「おらぁ!!」

 

「くっ…」

 

両手を使ってガードしている萃香にラッシュを叩き込む。ダメージは少ないだろうが体力は消耗するはずだ。

 

「おらおらおらおらおらおらッ!!」

 

「ぐ、ぎっ、くぅ…今度はっ、私の番だ!」

 

「うわっ!?」

 

ラッシュの最中、そう言った萃香はパッと霧になって消えてしまった。当然パンチは空振りし、前のめりになった瞬間

 

「ぐあっ!?」

 

「まだまだいくよ!」

 

顎に衝撃を感じ、空中に飛ばされた。最初のように声が響くと、今度は腹に激痛。そのまま地面に叩きつけられた。

 

「ぐうっ! くそっ…」

 

「言ってる余裕なんか無いよ!!」

 

瞬間、俺は目の前で妖力が集まっていくのを感じた。小さく細かく感じるのでおそらくラッシュを仕掛けてくるだろう。…萃香の力でラッシュされたらひとたまりもない。恐らく力だけなら幽香と同等かそれ以上だろう。

俺は前方に霊力を広げた。

 

「うおらぁああ!!」

 

目の前に拳が迫ってくる。しかしその拳は、双也の目の前で鮮血を噴き出して止まった。

 

「痛っ!! なんで----!!」

 

「捕まえたぞ萃香……集まれ!!萃香共!!」

 

ラッシュの直前、魂守りの張り盾を発動し、痛みを与えることで一瞬萃香に隙を作ったのだ。その腕を掴み、霧になった萃香を能力で集め固定して萃香の"ずっと俺のターン"を阻止する。

俺は腕を掴んだまま萃香の腹を蹴り上げ、瞬歩で少し空中に浮いてから、落下を使って振り回しながら地面に叩きつけた。

 

「がはっ!!」

 

「もう一発ゥ!!」

 

萃香が血を吐き出して呻いた。しかし手を抜くつもりは無い。

萃香を上空に投げ、瞬歩で萃香の上を取る。そのままかかと落としでもう一度地面に叩きつけた。

 

「これでどうだっ!!」

 

「がぁあああ!!」

 

ズドォォンと大きな音がして土煙が舞い上がった。俺は少し近くに着地した。

気づけば鬼たちはやけに静まり返っている。

 

「お、おい…なんだよあの人間…今までこんな奴いたか?」

 

「ありえねぇ…萃香様と渡り合うなんて…ましてや人間が…」

 

鬼たちは小声でそんな事を話していた。そのことに気を使っていたのも束の間、土煙の中から大きな妖力を感じた。

 

「ふふふ…はっはっはっはっ!!!いいよ双也!!こんなに楽しい喧嘩は久しぶりだ!!特別に、私のとっておきを見せてやる!! 符の弐『坤軸の大鬼』!!」

 

萃香がそう宣言すると、萃香の身体がどんどん肥大化し、最終的には五階建てビルくらいの大きさになった。流石に圧巻で少しの間フリーズしていたが、天に轟く萃香の声で我に帰り、すぐに対策を考える。

 

「行くぞ双也ァァアアア!!」

 

「うおぁああ!?」

 

萃香が振り下ろした拳は、地面に当たるとものすごい衝撃を起こしてクレーターを作った。俺はなんとか受け身をとって走る。

 

(考えろ考えろ…どうやって萃香を倒す!?何か決め手になるのは……そうだ!それなら出来なくはないはず!その為には……)

 

俺は萃香の正面に周り、天御雷を抜刀して叫んだ。

 

「萃香!!悪いが今の全力で行かせてもらう!!

風刃『六華の宝印』!!」

 

俺は巨大化した萃香の足元で大きくそれを放った。萃香は霊力を探知したのか、避けるためにジャンプした。

 

「地面を這う斬撃…跳べば問題ない!!」

 

「どこ見てんだ?本命はコッチだ!!」

 

ジャンプで避けるのは予想済み。仮に避けなかったとしても打ち上げられる。俺は萃香よりも上空に瞬歩で移動し、霊力を手のひらに込め始める。

放とうとしているのは……決めの一撃。

 

(正直言って初めてだし、消費する霊力も今までの比じゃないだろうな…でも…限界は越えないと意味がない!!)

 

萃香に向けた手のひらからは、だんだんと稲妻が走りはじめる。手のひらで感じる、雷の力。

 

「破道の六十三『雷吼炮』!!!」

 

瞬間、手のひらから霊力を放つ。それは雷となって獣の遠吠えの如く広範囲に衝撃をもたらした。

それをもろに真正面から受けた萃香は…

 

「うああああああ!!!」

 

激しい雷の衝撃に飲み込まれて地に落ちた。

 

土煙が晴れた頃には、大きなクレーターの中心で大の字で力尽きている萃香の姿があった。

 

 

 

 

 




ここでやっとBLEACHタグ。

ではでは。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。