東方双神録   作:ぎんがぁ!

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書くこと無くなってきた……

双也視点です。

どうぞー


第二十四話 仕組まれた依頼

「コレは……全てお主がやったのか…?」

 

 

 

 

文たち烏天狗との戦闘のあと、これで先に進めると思った矢先に新しい天狗が風と共にやって来た。しかも今までよりもかなり強い。文もブルブル震えている。

 

「て、天魔様……あの…」

 

「よくやった射命丸文。後は私に任せておけ」

 

天魔?そういえば天狗達の頂点は天魔って名前だったな。今の今まですっかり忘れていた。でも問題はその天狗の頂点が敵意剥き出しだって事なんだけど…

 

「天魔、聞きたい事が----」

 

「質問に答えろ。コレは…お主がやったのか?」

 

取り敢えず行方不明の娘について聞こうと思ったけど、言葉を遮られた。霊力が弱過ぎて正確な場所まで特定できないから天魔なら分かるかと思ったんだが…

天魔は質問を繰り返し、さっきよりも鋭い視線で俺を睨んでいる。

 

「……そうだ。俺がやった」

 

「そうか…」

 

瞬間、天魔の姿が消えた。俺が目で追えないなんて中々やるな。でも…気配が消されていない。

俺は素早く天御雷を半分くらいまで抜き、迫ってくる拳を刀身で受け止めた。その瞬間の衝撃波が土を巻き上げてひろがった。

天魔はギリギリと歯ぎしりをしていた。

 

「よくも……よくもっ!!」

 

「悪いな天魔。向かってくるなら反撃する」

 

俺は鞘で天魔の腹を殴り、距離を開けた。

念の為天御雷を確認するが、ひびは入っていない。

"力を遮断する。"コレは腕力でも能力でもこの刀を破壊出来ないという事。物理的にではなく、概念的に遮断しているのだ。

確認を終えると、俺は天魔に話しかけた。

 

「でも、流石に疲れてきたから戦いたくない。だから…」

 

「!!?」

 

「はい、これで終わり!」

 

俺は天魔の背後に瞬間移動し、肩に手を乗せて言った。

触れたついでに能力も使う(・・・・・)

天魔は慌てて手を振り払い、バックジャンプするが

 

「!? 何!?」

 

天魔は1m程しか跳べていなかった。そりゃそうだ、俺が能力で人間と同じ様にしたんだから(・・・・・・・・・・・・・)

 

「お主!何をした!!」

 

「能力でお前の体と妖力を切り離した。今のお前は、妖力を持たないただの人間同然だ。…話、聞いてくれるよな?」

 

天魔は悔しそうな顔をしていたが、ゆっくり頷いた。

さて、やっと本題だ!天魔に人間の女の子を見なかったか聞いてみる。

 

「早速だけど天魔、この山で人間の女の子を見つけなかったか?」

 

「……見つけていたとしてどうするつもりだ?」

 

「都に連れて帰る」

 

俺がそう言うと、天魔は何故か眉間に皺を寄せて睨んだ。え、なんで?なんかマズイこと言った?

天魔は強い視線のまま俺に言った。

 

「人間というのは自分勝手だな。自らの子を捨てて置いて、今度はまた連れ帰るだなどと----」

 

「待て。自らの子?その子は一人でここに来たんじゃないのか?」

 

女の子の親は都で必死に探していた。俺はその親に依頼を受けてここに来たのだ。

自分の子をわざわざ捨てて探させる?違和感しかない。

そう考えていると、天魔は少し怒った口調で言った。

 

「何を言っている!見つけた部下の天狗から報告があった!その子を置いてどこかへ消えた者が居たと!」

 

「どこかへ…消えた…? 天魔、俺はその子の親から依頼を受けて探しに来た。その言葉だと、女の子は保護してるんだな?話をさせてくれ」

 

天魔は疑いの目を向けていたが、暫くして信じてくれたようで、その子を保護している部屋まで連れてきてくれた。

 

「ココだ」

 

「ありがと天魔」

 

俺は天魔に礼を言い、部屋の扉を開けた。中には木で出来たオモチャで遊んでいる五歳くらいの女の子が、コッチを不思議そうに見ていた。

よく見ると、女の子の周りに散らかっている木のオモチャ、全部手作りっぽい。

 

「……ずいぶん可愛がってんだな、天魔」

 

「う、うるさい。早く行けっ」

 

天魔は少し恥ずかしそうにして俺を急かした。あんまり天魔を弄っても仕方ないので、女の子の前でしゃがんで話しかける。

 

「こんにちは。お兄ちゃんの名前は双也。君はなんていうの?」

 

「えと、華は(はな)って言うの!お兄ちゃん、なんでココに来たの?」

 

「華ちゃんを迎えに来たんだよ。華ちゃんは誰とここに来たの?」

 

俺は軽く自己紹介すると、早速本題に移った。華ちゃんが親とここに来るのはおかしい。なら誰が…

 

「えっとね、キレイな青いお姉ちゃん!」

 

「青い…お姉ちゃん…?」

 

「そうだよ!広場で遊んでたらね、青いお姉ちゃんが来てここに連れてきてくれたの!気付いたら居なくなっちゃったんだけど、ここに居る天狗さん達はいろんなオモチャくれて楽しいんだよ〜!!」

 

華ちゃんの言葉はもう半分聞こえていない。お姉ちゃん?誰の事だ?叩き潰してやらないと気が済まない。あんな娘想いの親から、この子を……。

その者に怒りを覚えながらそう考えていると、天魔の声が耳に入った。

 

「双也、気持ちを抑えろ。華が怖がっている」

 

俺はハッとなった。ちっ、やっぱ顔に出ちゃうな。俺は華ちゃんに笑いかけた。

 

「ごめんな華ちゃん。気にしなくていいから、そろそろ行こうか」

 

「……お家…帰らなきゃダメ?」

 

華ちゃんは少し悲しそうな声でそう言い、俺を見上げてきた。うっ、可愛い…世のロリコンと言われる人種はコレにやられたのか。何となく気持ちが分かった。

俺は湧き上がったイケナイ気持ちを押し殺し、華ちゃんに言った。

 

「華ちゃん、お母さん心配してたよ?華ちゃんが突然いなくなっちゃうから必死に探してたんだよ」

 

「うぅ、ごめんなさい…」

 

「よし、これからは知らない人に着いてっちゃダメだよ」

 

「うん!」

 

そう華ちゃんに約束させ、俺たちは天魔の屋敷の表に出た。今更だが、文は俺が斬った天狗たちの治療をしている。言っても、それを専門にしてる天狗の補佐だけど。

俺は行く前に振り返って天魔に言った。

 

「今日は悪かったな天魔。妖力は戻しといたから、今度来た時にはお茶くらい出してくれよ!じゃ!」

 

俺は華ちゃんを抱えて都の前まで瞬間移動した。

 

 

「ふっ…全く、自分勝手な奴だ。 さて、あの部屋片付けるか…」

 

 

 

 

俺たちが都の門前に着くと、依頼主である華ちゃんの親が待っていた。俺たちを見つけ華ちゃんの存在を確認すると、目に涙を浮かべて駆け寄ってきた。

 

「華ああぁぁああ!!」

 

「わっぷ!お母さん、苦しいよ…」

 

お母さんは叫びながら華ちゃんを抱きしめた。少し苦しそうにしていたが、お母さんが離れると小声で呟いた。

 

「あの…お母さん、勝手に行っちゃってごめんなさい…」

 

その言葉を聞くと、お母さんは再び涙を浮かべて華ちゃんを抱き締めた。俺は、良い親子だな…とその様子を眺めていた。

お母さんは俺に気づくと、何回も頭を下げてお礼を言ってきた。

 

「本当に…本当に有難うございました!!あなたの事は決して忘れません!!」

 

「お兄ちゃんバイバーイ!!」

 

二人は家に帰っていった。俺も二人に手を振って見送った。

さて、華ちゃんの言っていた"お姉ちゃん"の事も気になるが、取り敢えずは神子に報告しないと。

俺は屋敷に向けて歩き出した。

 

 

 

 

俺が屋敷に着いて中に入ると、普段よりも静まり返っている感じを覚えた。

 

「…? みんなもう帰ったのか?」

 

神子の部屋を訪ねても中に居なかったので、屋敷の中を歩いていると、中庭に沿った形で設けられている縁側に座って、顔を出し始めた月を一人ボンヤリと眺めている神子を見つけた。

 

「神子、華ちゃ…娘探しの件、無事に終わったぞ」

 

今までそう呼んでいたせいか、とっさに華ちゃんと言いそうになった。

神子は俺に気付いた様で、ゆっくりこちらに振り向いた。

 

「そうですか。双也なら無事に達成すると思っていました」

 

「ああ。………どうしたんだ神子?」

 

「え?」

 

「何か……悩んでるのか?」

 

俺は振り返った神子の顔が悩んでいる様に見えた。それに…何となく、何かを怖がっている感じもする。

神子は再び月を眺め始め、答えた。

 

「まぁ…そうですね。悩んでいるのかも…しれません。……双也、少しお話があります」

 

「ん?なんだ?相談なら乗ってやるぞ」

 

俺は神子の隣に座った。月明かりに照らされる神子の横顔は、何故か物悲しく見える。

 

「双也…私……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仙人に……なろうと思うんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回書くのが少し難しかったです…。未熟な証拠ですね

ではでは。

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