「で、アンタたちは何で幻想郷に来ているの?」
「ババアの所為よ。起きたら突然あいつが現れてご主人様をさらったから私たちも全員ここに来たの」
ふ~ん。こいつらがここに来たのはあのスキマの仕業ね。後で夢想封印ね(ぼそっ)
「? 何か言ったかしら?」
「別に。ところでアンタたちはこれからどうするの?」
「そうね。一旦は人里に行って慧音にでも助けを求めるか、それとも私たちが家でも作るか」
「結界を開いて外へ帰ればいいじゃない?」
「無駄よ。紫の所為で結界が今までにないほど強固になっているから私たちの力では開くことができないわ」
えっ!? 初耳なんだけど……。っていうかそれだったら
「ここに住めばいいじゃない? 経済的にはきついけど何とかなるでしょう」
「いやよ。なんで貴方みたいな守銭奴と」
プチッ
「誰が守銭奴よ!! この饅頭が!!」
「言ったわね!! 言ってはならないことを!!」
こいつ、私が優しくしてあげたらこんな暴言吐いて。許すか!!
「弾幕ごっこよ!!」
「ええ、いいわ! 力の差を見せてあげる」
「それはこっちのセリフよ!」
そして私たちは空に飛び立ったのだ。
「いや、意味判らねえよ」
こいつは何言っているんだ? ゆっくりと会話できるっていうのでかなり怪しいんだが。
「今言った通りよ」
「それでこんな風になっているっていうわけか」
今霊夢とゆっくり霊夢はぷすぷすと黒煙をあげている。まあ、私のマスタースパークが直撃したからなんだが。何を言ってもあの二人は戦いに夢中で私の方を見なかったからな。一発ぶちかましたというわけだ。
「ゆっくり」
ゆっくりが何か言った瞬間、霊夢がいきなり吹き出しやがった。
「ちょ、それは卑怯よ!!」
「いや、何を言っているかさっぱりわからんのだが」
私の前でいきなり二人で話し始めたんだがやっぱり私にはまったくわからない。ていうかさっきから私のことを見てないか?
「なあ、霊夢。何でさっきから私の顔を見て笑っているんだ?」
「内緒よ内緒」
すっげー気になるんだが。けど、今はそんなことを気にしている場合じゃないか。
「で、結局その子はどうするんだ」
私たちの近くでぐっすりと眠っている子供を指さしてわたしは二人に聞く。
「そうね、私としてはこれくらいの子供なら別に神社に住まわせてもいいわ」
「珍しいな。あの守銭奴の霊夢が」
「誰が守銭奴よ」
「ゆっゆっゆwww」
「アンタも笑うな!!」
また、弾幕ごっこになりそうな空気になったから急いで止めたがそれが功をなしたようだ、なんせ、霊夢の手に掴まれていたのは大量の札だものな。止めることができて良かったぜ。下手するとまたあの弾幕ごっこが再開されるところだったしな。
「う~ん?」
お、ちょうどいい。あの子が目を覚ましたから話を聞いてみるか。
「よお。目が覚めたか」
「あれ? お姉さん」
「おう」
どうやら私のことは覚えていたようだ。これで私のことを忘れていたら思いっきり魔法をぶつけている所だぜ。
「まあ、お前さんがまた泣くかもしれないがそれでも聞いときゃなきゃいけないことがある」
私が真剣に話すとその子も少し混乱しながらも話を聞こうとする。これがほかの奴らだったらこんなに素直に聞いてくれないんだろうなぁ。あれ、なんでだろう? 目から何かが流れそうだ。
「どうしました?」
ああ。すごいいい子だ。これが霊夢なら「あんた何やってんの? さっさと要件を言いなさいよ」くらい言うしな。
「いや、なんでもない。それでな、お前は今幻想郷から帰れない。最悪、もう二度と。……泣くなよ? で、だ。私たちもそれを考えてお前に選択してほしいんだ。当座の間過ごす場所。つまりは家だな」
途中泣きそうになっていたが何とか涙を流さなかった。良かった。これでまた泣き出したら私にはどうしようもないぞ。
「家ですか?」
「そうだ。今のところそこにいる腋丸出しの巫女がお前を神社に泊めてもいいとさ」
「誰が腋丸出しよ!!」
「お前だよ」
「えっと、神社に住まわせてもらえるんですか?」
「まあね。子供のアンタならそんな負担にならないでしょうしね」
まあ、金銭面では致命的ではないにしてもかなりの負担になるだろうが。
「じゃあ、宿代として」
「別にいらな……い!?」
「あん? どうし……た」
ウソだろう? なんだよそりゃ。
私が見ている先ではあの子が懐からいくつもの宝石を取り出していたんだから。……顎が外れたかと思ったぜ。
「な、な、ない、なん、何それ!?」
ヤバイ。霊夢に至っては宝石の輝きで言葉がうまく出てこない状態になっているし。霊夢の驚き方が凄まじいため私はそこまで驚かなかったがそれでも十分驚いたぜ。
「これですか? 時折ゆっくりたちが拾ってきてくれるんです。特にヒラヒラした布を持っているゆっくりと長い棒を持っているゆっくりたちが」
「十分よ! 幾らでも泊まっていきなさい!!」
「でもそこまで面倒に―」
「何言っているの。子供一人くらいまったく負担にはならないわよ。だからここに住みなさい。いいえ、住まないとダメ」
霊夢が、霊夢の目が輝いている。……欲望で。
「さあ、それじゃ神社の案内ね」
「え? あの」
「魔理沙、強制連行」
え? 私がするのか? 仕方がない。
「あー、悪い。霊夢がああなったら誰も止められないんだ。てわけでなちょっくら来てもらうぜ」
あれ? この言い方って何か三下っぽい。
「まあ、あれだ。住む場所がさっそく見つかって良かったじゃないか。下手すると家を探しているうちに妖怪に殺される事もあるからな」
「う、うん」
あ、少し怯えちまったか?
「ゆ!」
「痛て!!」
いててて。行き成り脛に衝撃が来たんだが。まあ、犯人の目星はついているが。
「お前の仕業か。ゆっくり」
「ゆ!」
自信満々に胸を張っているんだが。まあ、おそらくは脅かすなっていう事なんだろうが。
「ありがとう、ゆっくり」
「ゆ、ゆっくり」
そしてあの子はゆっくりを抱えて何か言っているし。う~ん、やっぱりゆ、っく、りしか聞こえない。どうやって会話しているんだ。あいつら?
「大丈夫です、魔理沙さん。ゆっくりたちが守ってくれるって言ってくれてますので」
「そうか? ならいいんだが。ところでほかのゆっくりたちはどうなっているんだ? 置いてきぼりか?」
「いえ、こっちに来ているそうです。すぐに着くってゆっくり魔理沙が教えてくれました」
へえ、お互いの位置が分かるのか。便利だなそれ。
「まあ、今日は眠れないと思え」
「へ?」
なんせ今日からいつかは帰るかもしれないとはいえ、幻想郷に新しい仲間が増えたんだ。宴会を開くしかないだろう?
なぁ、そうお前たちも思うだろう?
魔理沙が言ったのは読者の方々ではありません。ある一家です。厳密に言うと一名は苗字ないですが