これからネタが思いついたら、少しづつ補完していきます。
魔理沙から渡された紫をピチューンして、私はあのバカみたいに強固になっていた結界を緩めていく。それだけでかなりの霊力を使っちゃったわ。それにしても、何であんなバカげた強度の結界にしたのかしら。
「アンタ、何でここまで結界を強くしたの?」
「言うつもりはないわ」
しめ縄に札を貼り付けて、紫を抑え込むことで力を封印したのだけど、その代わり、機嫌が悪くなってさっきからこういった答えしか返さない。まあ、当然かもしれないのだけれども。
「そう。なら私にも考えがあるわ」
「れ、霊夢……? その手にあるのは一体? まさか、そんな事はしないわよね!?」
「さあ、誰かさんが答えないのなら、仕方がないんじゃない」
手に持った物を紫にだんだん近づけていく。
「止めて! 止めて霊夢!」
「じゃあ、答えなさい」
とうとう手に持った物が紫にくっつく寸前まで近づく。
「分かったわ! だからそれを離して!」
「宜しい」
紫に近づけていた
「こんなおいしいのに、アンタもかわいそうね」
「私はその匂いだけはだめなのよ」
「ふうん。贅沢ねぇ。私なんて嫌いな物なんてないわよ。むしろ、そんな贅沢なんて言えなかったしね」
まあ、良いわ。くさやを食べきり、紫に話すように目で合図する。
「で、結界についてもそうだけど、何でそもそもあの子を幻想入りさせたの?」
「貴方も見たはずよ。幻想の存在であるゆっくりが、あの子にあれほど懐き、一緒に存在していたところを」
「それが何か問題でもあるって言うの? 私には何一つありそうにはないけれど?」
「大問題であるわよ。あの子の周りには、常にゆっくりがいる。つまりそれは、外の世界に幻想が混じるという事。しかもその幻想はだんだん知れ渡っていく。そうなってしまえば、常識と非常識の境界を変えてしまう。そうなれば、幻想郷が崩壊してしまう」
「……」
「それを恐れた私は最初、あの子に気が付かれないようにゆっくりを幻想郷へ回収しようとしたわ。でもそれは失敗した。あの子の能力はゆっくりを強くしてしまう。その所為で、私ですらゆっくりたちに手を出す事が出来なくなってしまった。だから、あの子ごと幻想郷へ回収したのよ、ゆっくりを」
「つまり、アンタは」
「そう。あの子は唯の生贄。人身御供。関係ない犠牲でしかない。ゆっくりを回収するのには、あの子を幻想郷に招き入れ、定住させるのが一番良い。そう判断して私はあの子を幻想郷に居れたわ」
……。可笑しい。確かに、話の筋はあっている。だから、今一瞬私は紫に対して激昂しそうになった。だけど、可笑しすぎる。ならば、何故紫の力が弱くなっている? こう言っちゃ魔理沙に悪いけど、魔理沙が紫に勝てるとは思えない。正確には、紫をひっとらえる事は。
弾幕ごっこで勝てたとしても、紫を捕まえるのは大変だ。何故なら、紫の能力の所為で、一か所にとらえ続けることは不可能だから。境界で逃げられてしまえば、捉えることはできない。
だけど、魔理沙にとらえられていた。その事実は変わらない。そこから考えるに、答えは二つ。
一つ目は、紫が逃げるつもりはなかった。だけど、今までの態度から考えるにそれは考えづらい。ならば、答えはもう一つ。
妖怪は精神に依存する。ならば、紫はあの子に対して罪悪感を抱き続けている。その所為で、紫の精神は弱り切っている。その影響で力が弱くなっている?
まさか此奴にそんなメンタリティーが有るなんて。
「一寸! それは如何いう意味!?」
「アンタも心を読むな!」
全く、仕方がないわ。こう弱ってちゃ、他の妖怪になめられて、動きが活発化するわ。そうしたら私が働くしかなくなるのだから、今のうちに手を打って仕事を無くすとしましょう。
「私が思うに、貴方が貧乏なのは、そういう思考回路が原因だと思うわ」
うるさいわね!
まあ、結局帰ってきたあの子とふんじばったままの紫を合わせて今、話をしている。
大事な話だからか、あの子も普段より真面目に話を聞いてくれている。
「つまり、僕は帰れるっていう事?」
「そうね」
まあ、帰るとしたらこの神社も少しさびしくなるわね。
「うん、分かった。お父さんとお母さんが心配しているだろうし、そろそろ帰らないと」
「そうね、それが良いわ」
まあ、だとしても私には関係ないわ。
「そうね。でも、それで良いのかしら?」
「え?」
あれ?
「そうしたら、せっかくできた友達とも別れることになるわよ?」
「?」
あれ? 何でこんな事を言っているのかしら?
「それに、妖夢の事は如何するの?」
「?」
何で? 何で口が止まらないの!?
「それに――」
「そこまでよ、霊夢」
だけど、それは紫の声で止まった。
「そこまでにしておきなさい、霊夢」
「紫」
「貴方がしていることは別れを辛くするだけよ。引き留めるのはまた会えるときだけにしておくもの。二度と会えない人を引き留めるのは唯の愚かな行為よ。相手も、自分も傷付けてしまう」
何でだろう。辺りの光景がぼやけていく。
「泣きなさない。貴方が初めて持った子供との別れ。泣かない方が可笑しいわ」
「う、うう!」
目から大粒のしずくが地面へと延びていき、落ちた瞬間、
「あの、別れって?」
「ゆっくり教えていってね?」
「「え?」」
今話したことを理解していなかった?
「えっとね、良い? 今から貴方は幻想郷を離れて、外の世界へと帰ることになったのよ? もう、霊夢とは会えないでしょう?」
「何で?」
「いや、何でって言われても」
紫があの子の質問に困っている。まあ、あんな小さな子にそんな話をするのは気が引けるわよね、いくら紫でも。
博麗大結界で外の世界と分かたれた世界は、行き来できない。紫のような特別な能……力……。
「あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!?」
びくりと肩をはねて、紫は私の方を振り向いて少し涙目の状態で話しかけてくる。
「いきなりどうしたのよ、霊夢? 驚いたじゃない」
「紫一寸黙ってて!」
「え、一寸、霊夢?」
「ゆっくり霊夢。私の質問に答えなさい」
「あら、何かしら?」
「アンタたちは確か、モデルとなった人物、妖怪、神の力をそっくりそのまま使えるのよね?」
「ええ」
「つまり、ゆっくり紫は紫の能力を使える」
「だから僕は外の世界と幻想郷を自由に行き来できるよ!」
へなへなと力が抜けて畳に座り込んでしまう。
「え、えええ!? いや、でも確かに私の力なら…………」
「あは、あはははは」
「れ、霊夢?」
「あはははははは! ははは!
ああ、可笑しい! 私と紫が馬鹿みたいに真剣に話していたのに、結局意味が無かったんだから!」
なんだか今までの事が馬鹿らしくなって、抱腹絶倒で転げまわってしまう。
だって、本当に馬鹿みたいで可笑しいんだもの!
何だ、如何やら問題は全部解決したようだな。
……そうだ、せっかく問題が解決したんだ! 幻想郷中の奴らを集めて、宴会といこう。
今回は前の時とは違って、紫たちも参加するだろう。なら、大規模な宴会としよう。何せ、新しい幻想郷の住民が生まれたんだから。
「さあて、まずはやっぱ、妖夢からか?」
箒に乗って、空を飛ぶ。やっぱり、空を飛ぶのは楽しい。だから、この笑顔はそのためだ。普段以上笑っているのはそれだけだぜ。
「そういや、そろそろ例大祭か。どうせなら一緒にするか」
なあ、そう思うだろう? 今私たちの事を見ている奴ら。せっかく
いや、この場合はこういうべきだな。
「ゆっくりしていってね!!!」
ご愛読ありがとうございました。いえ、この場合作者である私より、他の人物に明け渡すべきですね。
「僕とゆっくりの日常生活は楽しかった?」
「もしそうだとしたら、私は軽蔑するけどね」
「こら、駄目だよゆっくり霊夢。そんな言い方」
「……まあ、良いわ。またどこかで会えることを願っているわ」
「じゃあ、また最後に一緒にいおう」
「ええ、そうね」
「「いっせーのせ!」」
「「ゆっくりしていってね」」