遊戯王GXへ、現実より   作:葦束良日

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第76話 覇王

 

 空に浮かぶ青い彗星。仄明るく世界を照らしているその光もほとんど届かないような深い森の中。

 騒がしく雑草を踏みつけながら、一人の少年が走っていた。

 

「はぁ、はぁ……っ!」

 

 荒い呼吸。乱れる吐息に余裕は感じられず、切迫した状況であることはその恐怖にひきつった表情が物語っていた。

 

 そう、少年は今まさに危機に晒されていた。それこそ命にかかわる大事であり、その恐ろしさ故に少年はいま必死に足を動かしているのであった。

 しかし、所詮は子供の足。更に言えば、森の中という足場の悪い場所であったことも一因だっただろう。少年に死の恐怖をもたらす者たちの足音は、既に背後にまで迫っていたのだ。

 少年は恐る恐る振り返り、そしてすぐに後悔した。そこにはニヤついた目をメットの下から覗かせたモンスター――《バトルフットボーラー》の二人がいたのだから。

 

「あっ!」

 

 しかも後ろに気を取られたためか、足元に転がっていた石に気付かずにつまずいてしまう。バランスを崩し、地面に倒れ込む。すぐに起き上がるが、既に二人のモンスターは目と鼻の先に立っていた。

 

「あ、ぁあ……」

 

 逃げられない。

 それを悟った少年の口から震えた声が漏れ、目尻に涙が浮かび始める。

 その様子を見て、バトルフットボーラーは笑い声を上げた。

 

「へへへへ、運がなかったなガキ。向かってくるデュエリストは倒せと言われているが、他には何も言われてねぇのよ!」

「ヒャハハ! つまり、そうじゃない奴らは皆殺しにしようと問題ないわけだぁ!」

 

 弱者を嬲る快感に酔いしれる二人は、デュエルディスクを着けた左腕を掲げる。それはデュエルを行うという合図であり、デュエリストではない少年に抗う術はない。

 ただ訪れる死を受け入れるしかない現実を否でも理解し、少年は恐怖のあまりに強く目を閉じて震えるしかない。

 

「じゃあな、ガキ!」

「覇王軍の一員たる我らに見つかってしまった馬鹿な自分を恨め! ヒャハハ!」

 

 いよいよその力が自分に向かって振るわれる。

 二人の声を聴いてそれを察した少年は、死にたくないとただ強く願った。

 そして次の瞬間。

 少年にもたらされたのは痛みと恐怖ではなく、柔らかい温もりと浮遊感であった。

 

「――ふぅ、なんとか間に合ってよかったぁ」

「え?」

 

 まるで少女のように高い声。けれど、近くには誰もいなかったはずだった。

 だから耳元で聞こえたその声を疑問に思って、少年は閉じていた目を開いた。

 

 まず視界に飛び込んできたのは先程よりも近い空、そして風に揺れる金色の髪だった。次いで青やピンクといった明るい色合いの服が目に入る。服といっても肌色も多く見られる格好は年端もいかぬ少年であっても、少々目のやり場に困った。

 ついと視線を逸らせば、そこにはエメラルドを思わせる緑の瞳。加えてその宝石を乗せるに全く見劣りしない卵形の小さな顔がすぐ近くで自分を見つめていた。これまでに見たことがないほどに整った顔立ち。それに思わず見とれていると、少女――ブラック・マジシャン・ガールの精霊であるマナは固まっている少年を恐怖が残っていると取ったようだった。安心させようと、にこりと微笑む。

 瞬時に少年の頬に赤みが差した。異性がどうこうという年齢にはまだない少年だったが、家族でもない年上の女の人、その綺麗な微笑みには気恥ずかしさを感じたらしかった。

 

 だが、そんな一種和やかな空気も空を飛ぶマナの下から響く怒声によって掻き消された。

 

「なんだ、貴様は!」

「我ら覇王軍に楯突くのか!」

 

 バトルフットボーラーたちが空を見上げて怒鳴り散らす。そんなドスのきいた声に少年はびくりと体を震わせるが、対してマナのほうはというと涼しげな顔で全く怖がってなどいなかった。

 マナはバトルフットボーラーたちから離れたところに少年と共に着地する。そして、彼らの背後から近づいてくる旅用の外套を羽織った二人を確認すると、小さく微笑む。

 

「うん、楯突くよ。……私だけじゃないけどね」

 

 なに、と訝しげな声を漏らすバトルフットボーラーたちは、そこでようやく背後から近づいてきた二人に気付く。

 距離を幾らかおいて立ち止まった外套の二人組は、頭から体までを覆うそれを一気に脱ぎ捨ててその姿を晒す。

 ジム・クロコダイル・クックとオースチン・オブライエン。既にデュエルディスクを腕に着けた仲間の姿を見て、マナは「もう安心だよ」と少年に笑いかけた。

 

「Hey、お前たちの相手は――」

「俺たちだ」

 

 ジムとオブライエンの声が繋がり、デュエルディスクを起動させる。

 バトルフットボーラーたちも二人に対して慌てたようにデュエルディスクを構えた。

 

「「デュエル!」」

 

 

 

 

 デュエルの結果はジムとオブライエンの勝利で終わった。そしてマナが助けた少年をつれ、三人は彼の保護者である祖父のもとへと少年を連れて戻っていった。

 

 今回の件は、三人が恐慌状態に陥っていたお爺さんを発見したことに端を発する。そのお爺さんに話を聞いた彼らは、孫である少年が覇王軍に対する恐怖のあまりに一人この場を離れてしまったと聞いたのだ。

 また、その後を覇王軍が追っていったとも聞き、マナが先攻して少年を保護。更にジムとオブライエンがその後追いつき、覇王軍の者であったバトルフットボーラーを倒して少年を助けたのである。

 お爺さんは涙を流して孫の無事な姿に、少年は祖父との再会に喜んで抱擁を交わす。その姿を、マナたちは小さな達成感と共に見守っていた。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 ――覇王軍。

 

 それはこの世界で唐突に勢力を拡大し始めた新興の組織である。

 覇王と呼ばれる一人のデュエリストを頂点に、幾多もの強力なモンスターによって構成された軍は精強の一言である。それら強力なモンスターたちを一手に従えていることからも、覇王の実力は疑いようのないものとして恐れられている。

 

 十代とはぐれてから時が過ぎ、その姿を探して放浪する中で三人はこの覇王軍の噂を幾度となく聞いてきた。

 彼らはデュエリストの存在に執着を見せている。そのため、デュエリストでないなら容赦なく殺される。覇王はこの世界の四方全てに軍を向けており、その魔の手から逃れることは出来ない。などなど。

 しかし不思議なのは、その中の一つの噂だった。なんでも覇王は「向かってくるデュエリストは倒せ。ただし、そのデュエルで勝った戦士は献上せよ」という指示を出しているらしいのだ。

 要するに、自分の部下を倒すほどのデュエリストを欲しているらしいのである。それは戦力増強のためなのか、そうではないのか。定かではないが、既に何人か覇王軍の者を倒したデュエリストが連れ去られているという。

 そして守る戦士がいなくなった集落を、彼らは再び襲う。勝たねば奪われ、勝った後も対抗手段がなくなった後で奪う。その非道さゆえ、覇王軍は今や恐怖の代名詞となっていた。

 この世界は弱肉強食の世界だ。それがこの世界のルールなのだと言われれば、そうなのだろう。しかし、現在住む多くの住人は突然この異世界に放り出されたのだ。非力な民衆はあまりに弱く、デュエリストたる戦士が守らねば明日も知れない生活を送っているのである。

 ならば、彼らを守るためにデュエリストが戦うのは必然だった。結果、覇王軍に立ち向かった彼らは倒され、彼らの住処もまた覇王軍によって蹂躙され、破壊されていく。

 そうして覇王軍は勢力を拡大させているのである。

 

 十代がいなくなった後、マナたちはまずフリードのところに戻った。そしてそこで準備を整えて、十代を探す旅に出たのだ。しかし一向に見つからず、そうこうしている内に覇王が台頭してきた。

 覇王の力は凄まじい。その力の強大さは破竹の勢いで進む侵略行為から明らかだった。

 そしてだからこそ、マナたちは十代の身を案じていた。常の十代ならばデュエルで後れを取ることはないだろうが、仲間を失い心に大きな傷を負った今の十代なら話は別だ。

 だからこそ、マナたちが立ち止まることはない。

 何としても十代を見つけ出す。その決意の下、彼ら三人は助けた二人と共にジムが召喚した《古生代化石マシン》を足にして旅をしているのだった。空を飛べるマナはともかく、ただの人間であるジムとオブライエンにとって、車の形をしておりまさしくそのように運転もできる古生代化石マシンは有り難い移動手段になっていた。

 

「ィイヤッホオオォォオゥ!」

「ジム! 飛ばし過ぎだ! 老人と子供が乗っているんだぞ!」

 

 そしてそんな化石マシンを操るジムは、ノリノリでマシンを走らせていた。

 助けた二人を集落に送り届けるために乗せていることもあり、オブライエンは苦言を呈する。ちなみに、マナはあえてマシンに同乗せずに隣を飛んで並走していた。

 

「Hey、オブライエン! Time is moneyだ! 覇王軍がいる今、危険はどこにでもある! なら、多少無理をしてでも時間を短縮した方がいいのさ!」

「それはわかるが……」

「それに、こうして風を感じていれば嫌なことだって忘れられる! 彼らも……俺たちもな」

「ジム……」

 

 オブライエンは神妙な顔になる。

 十代の無事を信じている彼らだったが、しかし全く不安を感じないわけではない。もしかしたらという恐怖は常に心を蝕んでいる。

 だからこそ、ジムはこうして気分転換を図っているのだろう。覇王軍に襲われた彼らの不安と、十代の無事を疑いそうになる自分たちの不安。それらをまとめて紛らわせるために。

 

 しかし。

 

「だからといって……叫ぶ必要がどこにある!」

「愚問だな! そんなの、風が気持ちいいからに決まってるぜ! なぁ、カレン!」

 

 ジムの声にその背で「グァウ」と珍妙な鳴き声で応えるワニ。そんな一人と一頭に、オブライエンは頭が痛いとばかりにかぶりを振った。

 そんな二人の後ろでおっかなびっくり車体にしがみつくお爺さんと少年。そしてそんな彼らの様子を、マナは苦笑して眺めていた。

 

 

 

 

 そうしてやがて二人が暮らす集落に着いた一行は、二人をその集落に下ろして少し休んだ後すぐに出発した。

 集落に住む者たちから感謝を受け、特に集落を守る《絶対防御将軍》のバーガンディと名乗った男には殊更の感謝を受けた。更に出来ればこの集落に残って覇王軍から共に皆を守って欲しいとも言われたが……三人はその提案に首を横に振った。

 彼らには十代を見つけ出すという目的があったからだ。それは一か所に留まっていては絶対に叶うことのない目的である。その理由を告げれば、バーガンディも惜しいと言いつつもそれ以上言ってくることはなかった。

 

 だが代わりにこう聞いて来た。その少年を探すのはいいが、アテはあるのかと。

 

 それにマナたちは頷いて答えた。アテはあると。

 

 それは覇王に関する噂の一つ。覇王は部下を倒したデュエリストがいればそのデュエリストを抱え込もうとしているらしいというもの。既に幾人かは連れ去られていると聞く。十代ほどの強さならば覇王の部下に負けるとは考えにくい。ならば覇王の部下を倒し、既に覇王の手に落ちている可能性も否定できない。さすがの十代も一対一ならともかく軍と呼ばれるほどの多を相手にすれば、捕えられてしまうことも有り得るだろう。

 もちろん絶対の保証はない。しかし、十代がいなくなってから多くの集落や土地を回ったが、一向に手掛かりすら見つからないのだ。ならば、たとえ無理な理屈でも十代がいるかもしれないと思える可能性を頼るしかない。

 ゆえに、三人が目指す目的地はただ一つ。覇王の居城である覇王城。そここそが十代を探す彼らが今目指すべき場所だった。

 

 

 

 覇王城の場所はバーガンディ曰く、この集落からそれほど離れていないらしい。北に存在する岩場の続く渓谷を抜けた先に建つ異形の城。それこそが覇王城であると三人は教わる。

 その時に少し休んでから行けばいいと気遣われもしたが、それはジムとオブライエンが断った。もし十代が囚われているのなら、すぐにでも助けに行きたいと言ったからだ。

 遠也とヨハンのこともある。時間をかけても状況は良くならない。そう主張した二人の強い意志に否を言うものは誰もいなかった。

 そうして三人は集落を出て、バーガンディの情報を頼りに切り立った崖に覆われた渓谷に入る。マナも今は飛ぶことを止め、ジムの操るマシンの上で座っていた。

 悪路をタイヤが踏む音が雑音となって耳に届く。その中、ふいにマナは思い立って口を開いた。

 

「……ねぇ、二人とも。二人はどうしてこんなに一生懸命になってくれるの?」

「What?」

「何の話だ?」

 

 マナの発言に戸惑ったような声を返す二人。

 それに、マナは言葉を付け足していった。

 

「うん、二人は遠也や十代くんと会ってまだ日が浅いでしょ? それなのに、二人やヨハンくんのために命を懸けてまで異世界に来てくれてる」

 

 明日香や翔といった皆が動いてくれたのはすぐに得心がいった。一年生の頃から今まで、彼らを遠也の傍で見てきたのはマナ自身だったのだから。

 しかしジムやオブライエンはまだ会って数か月も経っていないのだ。彼らはまだ他の皆ほどの仲間意識は当初なかったように思えた。

 

「遠也、十代くん、ヨハンくん。それに……皆。……二人はどうして、皆のために命を懸けてくれるの?」

 

 マナからの問い。普通であればいささかならずとも答え辛かろうそれに対する二人の反応は、何を言っているんだと言わんばかりの心外そうな顔だった。

 今更そんなことを訊かれるとは思わなかったと顔に書いてあるが、しかしそういえば改めて口に出したことはなかったなと二人は思い直した。

 オブライエンはマナに向けていた顔を僅かに空へと逸らし、己の心を言葉にする。

 

「……俺が信じる真の戦士は俺の親父だ。傭兵として幾多の戦場を渡り歩き、しかし決して戦士としての誇りは失わない……ダディは俺の誇りだ」

 

 マナやジムには知る由もないオブライエンの父。

 その強く逞しい姿を脳裏に描いて、オブライエンは語る。オブライエンにとって父は今の己を形作る全てをくれた相手といっても過言ではなかった。

 

「そのダディが言っていた。“戦士は武勇を誇るのではない、己が武を振るうべき信念を誇るのだ”と」

 

 事あるごとに戦士としての在り方と戦いの基礎を叩きこんでくれた。ただ強いだけでなく、優しさや思いやりといった人間らしい心もまた強かった偉大な父の言葉。

 それはオブライエンにとっても正しいと思えるものであり、そしてだからこそ今でもその言葉はオブライエンの根幹をなすものとなっている。

 だが、最初から父のようになれたわけではない。オブライエンは父と同じく己にとっての信念を見つけようと、戦いの日々の中で模索していたのだという。

 

「俺にとっての信念……それを探してダディと同じ傭兵として戦ってきた俺は、経験を積み、やがてコブラの下についた。……そして皆と出会った」

 

 コブラの指示の下、十代や遠也の事を探ったこともあった。また、コブラに協力していたことで結果的にデス・デュエルの犠牲に加担してしまったことも事実だった。

 しかしそれでも、それを彼らは責めなかった。アカデミアごと飛ばされた異世界の地。そこで彼らはオブライエンを既に仲間として認め、同じアカデミアの生徒として協力を求めてきたのだ。

 コブラの本性を知らなかったとはいえ、その指揮下にいたのは確かだというのに何故受け入れてくれるのか。そのことを心苦しく感じ、いつだったかオブライエンは遠也に何故かと問うたことがあった。

 それに対する返答を、彼は今でも覚えている。

 

 ――お前がそうやって苦しんでるからだよ。自分で自分を罰してる奴に鞭打つとか、出来ない奴ばっかりでさ。

 

 苦笑しながらの言葉は、遠也の仲間たちを見ながら言われていた。

 そして同じ問いをした十代は「それはそれ、これはこれだぜ。それより、元の世界に戻ったら俺とデュエルしてくれよな!」とオブライエンの肩を叩いた。

 二人とも決して許すと言ったわけではない。しかし、オブライエン自身がそのことに罪悪感を覚えていると知っているからこそ何も言わなかったのだ。

 それをオブライエンは優しさと感じたし、気遣いであると思った。そしてそんな彼らをオブライエンは好ましいと思い、そんな彼らと共に過ごす一員になりたいと思った。

 それが友情というものであるのなら、きっとそうだったのだろう。そしてその思いがついに探していた答えをオブライエンにもたらした。

 

「俺にとっての信念――それは友を、仲間を決して裏切らないことだ。俺が皆と過ごした時間は確かに短いが、しかし共に戦った戦友たちの姿を俺は忘れない」

 

 そしてその信念ゆえに、オブライエンは今こうしている。

 遠也と十代だけではない。当初敵対していた自分に、屈託のない友情を向けてくる皆を。異世界で一緒に苦難を乗り越えた仲間たちを、オブライエンは既に他人と思うことなど出来なくなっていたのだ。

 

「時間など関係ない。遠也もヨハンも十代も、俺の友だ。だから助ける。それだけだ」

 

 そう断言するオブライエン。その言葉に、ジムの声が続いた。

 

「その通りだ、オブライエン。皆、俺にとっても既にFriendだ、過ごした時間の長さは関係ない」

 

 マシンを操りながらも、ジムは迷いのない口調でそう口にする。

 

「遠也とはデュエルを通じて分かり合った。そして十代もまた、俺にとっては友だ」

 

 ジムの脳裏によぎるのは、アカデミアに来てデス・デュエルの騒動が起きる前の事だ。

 散歩に出たカレンの事を探して島の中を歩いていた時、ジムはカレンと共にいる十代を見た。翔や剣山と共にカレンに餌を渡そうとしている姿を見て、ジムは慌てたものだった。

 何故ならカレンは人見知りする傾向にあり、知らない人間にはいささか攻撃的になるからだ。それを知っているジムは焦って十代たちに近づいていったが、しかしその心配は杞憂となる。

 カレンはいつの間にか十代に気を許し、その手の餌を美味しそうに食べていたからだ。

 背中でカレンが鳴く。口元を緩ませつつ、ジムは続けた。

 

「このカレンは、俺以外には滅多に懐くことはない。しかし十代はほんのわずかな時間でカレンと仲良くなってしまった」

 

 そう、カレンはあまり人に懐かない。そのことをあの時、十代にも伝えた。そしてそれに対する十代の反応は、実に小気味のいいものだったとジムは思い返す。

 

 ――そうなのか? けどまぁ、俺とジムが友達だからな。カレンもお前の友達ならって思ってくれたのかもな!

 

 そう言ってカレンの頭を撫でる十代に、ジムは驚きつつも心地よさを感じたものだった。

 

「十代はまださほど交流のない俺に対しても友として接してくれた。そして、カレンともすぐに打ち解けてしまう優しさの持ち主だ」

 

 十代だけではなく、彼らは皆誰かを思いやる心を持った人間だった。だからこそジムは彼らが好きだった。そして彼らに友と言ってもらえることを嬉しく思ったのである。

 

「俺にとって、十代も遠也もかけがえのない友だ。ヨハンも、そして皆もそれは変わらない。Friendのために行動する理由なんて、俺達がFriendだからだ。それ以外の理由はいらないだろう?」

 

 問い返しつつも、しかしジムの言葉には断定の響きがあった。そしてオブライエンはそれにただ頷いて応え、また最初に問いを発したマナもまた笑みと共に首を縦に振ったのだった。

 

「うん。なんていうか……ごめん。ありがとうね、二人とも」

 

 謝罪と、感謝と。

 それが彼らの友情を疑うような問いを投げかけたことに対するものであると二人は察し、しかし同時にそれが本心からの疑いではないと知っていたから二人は笑って「気にするな」と許した。

 しかし感謝。これには覚えのなかった二人は、マナにどういう意味なのかと尋ねる。それに対して、マナは口元に指を添えながら僅かに考え込み、

 

「んー……つまり、私も皆の事が大好きだから、かな」

 

 そう笑顔で答えた。

 遠也と共にアカデミアで過ごしたこの二年余りは長い。その時間は彼らに対する十分な愛情をマナの中で育てていた。

 だからこそ、マナは自分の好きな皆の事を心から友達と思ってくれている二人のことを嬉しく思ったのだ。

 だからこその、ありがとう。

 もちろん二人はそれにも「当然のことだ」と返すのだった。

 

 

 

 

 数十分ほども続いた長い渓谷。岩の壁に囲まれたその細い道を抜けた三人の目に飛び込んできたのは、バーガンディの表現に思わず頷くような光景だった。

 

「なるほど、異形の城か……」

 

 オブライエンが目の前に視線を固定したまま呟く。

 それは緻密な建築技術によって建てられたような城ではなかった。少なくとも外見はそんな文明など感じさせないほどには原始的であり、岩山をそのままくりぬいて幾つかの窓穴を開けただけ、といえばぴたりと当てはまるだろう。

 しかしその岩山が百メートルを超すほどの高さを誇り、かつ槍の穂先のようにその天辺が鋭くなっているとなれば、受ける印象は相当に禍々しさを増す。

 この世界独特の暗い色合いの岩もその印象を後押ししていた。闇色に染まった岩の居城……異形の城という表現は言い得て妙だとオブライエンは思った。

 

「あそこに十代がいるかもしれないんだな」

「ジムくん?」

 

 マナが呟きに対して名を呼ぶが、しかしジムは何も答えずにマシンを発進させた。再び揺れを取り戻す車体の上で、ジムは前を向いたままオブライエンとマナに声をかけた。

 

「Sorry、二人とも。だが、十代があそこにいるならば、時間が惜しい……!」

 

 そう言って一目散に城に向けた進路をとるジムに、二人は問題ないとばかりに頷いた。

 

「気にするな、ジム」

「そうだよ、十代くんを助けたい気持ちは一緒なんだから」

「……Thanks!」

 

 二人の言葉に短く礼を述べて、ジムはハンドルを力強く握って城への道をひた走る。途中の道に障害はなく、覇王軍とおぼしきモンスターの影も見当たらない。今ならば大した危険もなく城へ到達できるはず。ジムはそう考えていた。

 そしてその推測は彼らが一度も妨害に遭うことなく城の前に辿り着いたことで証明される。しかし、普通ならば本拠であるはずの城にこれほど簡単に接近を許すはずがない。

 三人はその順調な行程とは裏腹に表情を緊張させ、大地に降り立った。

 

「……どういうことだ、門番すらいないとは……」

 

 オブライエンが周囲を見回しながら言えば、同じく辺りを警戒していたマナとジムもオブライエンの言葉に同調した。

 

「近くには誰もいないみたいだね」

「だがいくらなんでも、こいつは無防備すぎる――Wait!」

 

 突然ジムが上げた切迫した声。それに対してマナとオブライエンが何故かと問うことはなかった。

 なぜならば、二人もまたジムが声を上げた原因に気付いたからだ。

 それは、覇王城への入り口を潜り抜けた先……すなわち城内から聞こえてくる歓声のようなざわめきだった。ような、と曖昧なのは、それが歓声というにはあまりにも粗暴な叫び声の集まりとしか思えなかったからだ。胸の内に溜まった澱みがそのまま声になったかのような、重みを持った粘つく声。それが束ねられて聞こえてくるのだから性質が悪い。

 恐らくあまりお近づきになりたくはない類の状況が城内で起こっているのだろうことは想像に難くはなかったが……しかし。

 彼らの足が、その程度の躊躇で止まるはずもなかった。

 

「ジムくん、オブライエンくん」

「ああ」

「異論はない」

 

 最早言葉は要らず、二人はマナが言いたいことを正確に読み取っていた。それは二人も同じことを考えていたからである。

 

 ――すなわち、城への突入。

 

 この状況を正確に把握するためにはそうするしかないと、三人とも気がついていたのである。

 互いに頷きあい、やがてマナたちは慎重に城の中へと歩を進めていく。洞穴としか呼べぬような中を進む彼らの足音が狭い空洞に反響する……かと思われたが、実際には足音などまったく彼らの耳に届かなかった。

 なぜなら、奥から聞こえてくる興奮気味な声が一層の密度を増して流れてきているからだ。三人分の足音など、その騒音に紛れて聞こえない。

 それほどまでに覇王軍が高ぶるもの……それは一体何なのか。敵地のど真ん中に飛び込んでいく緊張感から喉に渇きを覚えたまま、彼らはその疑問を晴らすべく進んでいく。

 

 そしてついに狭い洞窟は終わりを告げて、新たな光景が彼らの目に飛び込んできた。

 

 

「――すごい熱気……!」

 

 頬を撫でる風のあまりの熱さに、マナは自然と苦悶の声を漏らしていた。

 視界の先に広がっているのは、これまで通ってきた道とは比べ物にならないほどの広さを誇る大空洞だった。その空洞の高さは十数メートル以上はあろうかというほどだ。屋内であると考えれば、相当な高さである。

 また、その内部を見るに人工的に作り上げたというよりは自然に出来たものであるように思えた。それは、その表面が凹凸の激しい岩壁のままであり地面には溶岩が覗いているからだろう。この異様な暑さはそのためか、とマナは察する。

 そして高い天井を見上げれば、その高さを支える円状に広がった岩壁に多くのモンスターたちが張り付き、思い思いに声を上げながら地面を見下ろしていた。

 よくよく見れば壁には人が立てるような平面がいくつか設けられている。つまりは観客席のようなものといえるが、ならばそこに立つ彼らは一体何を見ているというのだろうか。

 見上げていた視線を三人は下ろしていく。壁だけではなく、下にも蔓延るモンスターの群れの中、僅かな隙間から見えた光景はデュエルディスクを構えた一人の男の後ろ姿だった。

 十代ではない。その背格好から探し人ではないと判断した三人は思わず落胆するが、そんな気持ちを抱けたのは一瞬だけの事だった。

 

「い、いやだッ……ぐァああああああッ!」

 

 その男が発した尋常ではない叫び声。思わず耳を塞ぎたくなるような絶叫に驚く三人だったが、次にその男に起こった変化で更に目を見開いた。

 男はやがてその身を光の粒子とかして跡形もなく消えてしまったのだ。

 

「そ、そんな……」

「く、まさかトゥモローガールたちと同じ……!」

「今の男も、死んだというのか……!」

 

 仲間たちが消えていった時と似た現象。それを見てしまっては、先程の絶叫が断末魔のものであったと彼らも悟らざるを得なかった。

 嫌な記憶が蘇り、声が僅かに震える。しかしそんな彼らに対してこの場に満ちるのは興奮気味の歓声だけであった。

 

「さすがは覇王様だ!」

「いかな戦士も覇王様の前では赤子同然!」

「覇王様!」

「覇王様!」

 

 その声につられて続く、空気の振動を感じられるほどの覇王を讃える声。まるで狂信者のように覇王への賛美を続ける周囲の声に三人は圧倒され、同時に空恐ろしさを感じていた。

 これほどまでのモンスターたちが従うほどのカリスマ性。そしてそれらを従わせられ続ける強さ。この場を埋め尽くすほどの大軍を維持するその絶対的な力は、確かなものであると認めざるを得ないだろう。

 ゆえに、恐ろしい。これほどの力を惜しげもなく振るえることが。そしてそれが他者への攻撃という形で現されていることが。それをおかしいと微塵も思わず、躊躇もない。その事実が、恐ろしい。

 居並ぶモンスターたちの隙間から見えることが出来る覇王の姿――全身を黒い甲冑で覆い、同じく黒い仮面を兜と共に身に着けたその姿は、見るだに禍々しい。

 

「この程度か……」

 

 覇王がそう呟く。マナたちが思っていたよりも若い声。だが、同時に感じられる威圧感がたとえその正体が若くともそんな事は瑣末事だと物語っていた。事実声を発しただけで、歓声が止んでいた。

 そして今度は覇王の側へと幾人かのモンスターが近づいていく。多くのモンスターが取り巻いて見ている中平然と覇王に近づいていくということは、恐らくは覇王軍の中でも高い地位にいる者……幹部たちなのだろう。

 ガーディアン・バオウ、カオス・ソーサラー、熟練の白魔導師、熟練の黒魔術師、スカルビショップ……。彼らは恭しく礼をすると、覇王へと話しかけた。

 

「お疲れ様です、覇王様」

「相も変わらず圧倒的なお力、感服いたしました」

 

 ガーディアン・バオウとカオス・ソーサラーが不敵な笑みを浮かべたまま頭を垂れる。他の三人も同じく頭を下げるが、しかし魔術師の二人は顔を上げて覇王を見た。

 

「しかし覇王様、なぜ捕らえてきた戦士とデュエルを行うのです?」

「奴らは確かに我ら覇王軍の者を下しておりますが、所詮は雑魚を倒しただけ。わざわざ捕らえてくるほどでは……」

「おい、口が過ぎるぞ。覇王様の決定に異を唱えるのか」

 

 身の丈に合わぬ言葉と判断したスカルビショップが、二人の言葉を遮る。それに対して覇王への叛意と取られてはたまらないとばかりに、二人の魔術師は「決してそういうわけでは」と弁明を行う。

 

「……貴様らが知る必要はない」

 

 しかしそんな弁明に耳を傾けることはなく、覇王はただ一言そう断じた。咎めも何もなかったことに魔術師は安心をしながら、他の四人と共に頭を垂れる。

 それを受ける覇王は、不意に幹部たちから視線を逸らした。その眼が向くのは外の門へと続く洞穴である。

 だが、その視線はすぐに戻され、立ち上がった幹部たちを静かに見つめている。それを感じたのか、覇王に一礼しつつ立ち上がった彼らは周囲で見ているモンスターたちに声を上げ始めた。

 

「お前たち、今日の覇王様のデュエルは終わりだ! さっさと仕事に戻れ! まだ我らには制圧していない地区があるのだからな!」

 

 佇む覇王の横でそう覇王軍の構成員たちに働きかけると、彼らは口々に覇王万歳と叫びながらそれぞれ散っていく。外に出るためだろう、マナたちが今来た道へと入っていくモンスターたちもいたが、間一髪で三人は岩の陰に身をひそめたため発見されることはなかった。

 そして暫しの時間が過ぎると、この空洞に残ったのは覇王とその側近五人だけとなっていた。

 

「……城に戻る、後はいつも通りにやっておけ」

「はっ。新たな戦士を探してまいります」

「ああ。――行け」

 

 覇王がそう指示を出すと、五人はこの場から消え去る。瞬間移動、あるいはテレポートでもいいが、随分と能力の高い連中のようだとマナたちは冷や汗をかく。

 それは、もし見つかっていれば一方的にやられていたに違いないと確信したからだ。彼ら三人はそれぞれ実力もあるが、しかし数の暴力には敵わない。覇王軍に加えて幹部、更に覇王本人までいては、恐らくひとたまりもなかったであろう。

 緊張によって高鳴っていた心臓を胸の上から押さえつけながら、歩いていく覇王の背中を見送る一同。

 そうしてやがて覇王の背中が見えなくなると、ジム、オブライエン、マナの三人は緊張ごと肺の中の空気を思いっきり吐き出した。

 

「はぁっ、なんて威圧感だ……! あれが覇王……!」

「さすがに、あれだけの大軍を率いるだけのことはあるな……」

「道理で、恐れられてるはずだよ……」

 

 直に感じた覇王の放つ空気。デュエルしてもいないというのに、感じることが出来るほどのものを、実際に戦って受けてはいかな戦士でも平静とはいられないだろう。そう思わせるには十分な圧力があった。

 まして戦士でもない一般人ならば耐えることなど出来まい。あれほどの力の持ち主ならば、覇王軍を束ねる存在といわれても納得できるというものだった。

 本来ならば、関わりたくない相手なことは間違いないが……しかしそんなことを言っているわけにはいかない。先程の側近との会話で、いま覇王に敗れた男は彼らの部下を倒した戦士だと言っていた。その男が戦っていた以上、十代も覇王軍の者を倒していれば此処にいる可能性が高い。

 ならば、それを尋ねるには覇王軍のトップである覇王に聞くのが最も手っ取り早いだろう。

 それに、だ。

 

「これはチャンスだ」

 

 オブライエンが断言する。それに、ジムとマナも頷いた。

 

「今なら覇王は一人」

「余計な邪魔は入らないってことだね」

 

 そう、今ならば覇王の側近たちもおらず、覇王一人に接触できる。

 たとえ覇王が強大な力を持っていようと、三人ならばまだどうにかなる。今が十代の事を訊く最大のチャンスなのだ。

 そのことを三人で確認し合い、彼らは善は急げとばかりに隠れていた岩陰を飛び出した。周囲にモンスターの姿はなく、側近たちの姿もない。

 これならば覇王に接近できる。彼らが考えていた想像が現実味を増してきて、三人は地を蹴る足に力を込めた。

 

 溶岩が顔を覗かせる大空洞。そこを一直線に走り抜け、覇王が去って行った後を追う。緩い傾斜となっている坂を上り、やがて見えてくる外の光。その光に誘われるようにして三人は外へと飛び出して周囲を確認する。

 そこはあの異形の城の足元だった。彼らが通ってきた大空洞はどうやら正確には城の中ではなかったらしい。見れば、視線の先には鋭く空にまで伸びた異形の岩城。振り返れば、壁のように横長くそびえる崖があった。

 そして、両者の間に横たわる谷。それを越えて互いを結び付けている一本道の上に、覇王の姿はあった。

 地面を抉り取ってできたような、幅の広い道。その下の谷は赤く輝いており、大空洞の中でも見た溶岩が流れていることが見て取れた。

 風が運ぶその熱を感じながら、彼ら三人は顔を見合わせて頷き合った。そして、こちらに背を向けて歩いている覇王に向かって、一斉に駆け出す。

 

「覇王っ!」

 

 ジムが声を上げてその名を呼べば、三人に気付いた覇王が立ち止まって振り返った。

 貫録に溢れた余裕の動作で反転した覇王は、漆黒の鎧に着けられたマントを揺らして三人に向き合う。

 一本道の上で覇王と向き合うことになったジム、オブライエン、マナはある程度の距離を保った状態で足を止めた。何があっても対応できるようにである。相手は覇王、警戒をしてし足りないということはないはずだった。

 なにせ相手は、人を消すことに躊躇がない。さっき見た光景や、これまでの道程で見聞きした覇王軍の噂などがその信憑性を高めている。

 決して弱みを見せてはいけない。そう心に言い聞かせて、覇王から放たれるプレッシャーと彼らは対峙する。

 頭全体を覆う漆黒の兜と、顔を隠す仮面。その異様を正面から見つめながら、ジムが一歩前に出た。

 

「覇王! 一つ聞きたいことがある!」

「………………」

 

 無言。

 ジムの言葉に返ってくる言葉はない。しかし構わずジムは続けた。

 

「お前は強いデュエリストを集めていると聞いた! その中に俺たちの友達がいるかもしれないんだ! 教えてくれ、俺たちの友は――」

「――戦士ならば」

 

 懇願するような響きを持ったジムの言葉。それを遮って覇王が口を開く。

 やはり覇王などという呼び名の割には若い声。それもどこか聞き覚えのあるような声だと感じ、マナは気のせいだろうと頭を振った。

 彼らの前で、覇王はその顔に着けられた仮面に手をかける。

 

 そして、

 

 

「――戦いで語れ」

 

 

 仮面を上にあげ、その下の顔を彼らに晒した。

 

 

「――なッ!?」

「馬鹿な!?」

「そんな……!?」

 

 

 ジム、オブライエン、マナ。三人が三人とも言葉を失う。その表情は驚愕に染め上げられており、彼らの視線は覇王の仮面の下に隠されていた顔から外れることがない。

 呼吸すら忘れたかのように固まる三人。しかし、それも仕方がないことだったろう。何故ならばその仮面の下にあった顔は彼らにとって見慣れたもの。

 共に笑い、共に時間を過ごしてきた彼らの友。そして、彼らがこの覇王城に乗り込んできた目的そのものだったのだから。

 

「――なぜ……なぜだ……! なぜ、お前が覇王なんだ!」

 

 目的、つまりは探し人。彼らにとってかけがえのない友。

 すなわち。

 

 

「――十代ッ!!」

 

 

 ジムの口から信じたくないとばかりに紡がれた名前。

 呼びかけられた覇王は、しかし表情を全く動かすことなく三人を見据えていた。

 金色の瞳から放たれる視線が三人の身を貫く。間違えるはずもない十代の顔。ついに探していた友を見つけたというのに、彼らの心に喜びはなかった。

 

 ただあるのは、どうしてという気持ち。躊躇いなく人を殺し、多くの人々を苦しめている元凶――覇王。

 その正体、遊城十代。彼らはその事実を受け入れることが出来ず、ただ呆然と覇王を見ることしか出来なかった。

 

 

 

 




まさか覇王の正体が十代だなんて(棒)

次話はすぐに更新いたします。

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