魔法少女が許されるのは15歳までだと思うのだが   作:神凪響姫

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ひとまずここまでは以前と同様の内容です。

問題はリニスなのですが……本編は見たのですがまだ劇場版を見ていないのでなんとも言えません。

あ、もう本編まだ見てないよ~なんて戯言は吐きません。ちゃんと拝聴しましたので。

しかし出るとしたら間違いなく頭の弱い人になりそうですが。


ともあれ、第4話を始めさせて頂きたいと思います。




第4話 休暇を満喫しましょう

 

 

 

 

 

   第4話 休暇を満喫しましょう

 

 

 

 

 

 それから少し経って。

 

 

「明日は休もう」

 

 

 土曜日、特訓を開始しようとしたなのはに、ユーノは言いました。

 

 ここ数日、連続して魔法の特訓を行っているのですから、目に見えない疲労もたまっているだろうというユーノの心配りでした。

 

 

 また暴発されたらかなわないし、という言葉が聞こえてきそうでしたが心の中で呟くに留めておくユーノでした。

 

 

「ふむ。しかし宜しいのかね? ジュエルシードとやらがどこにあるか分からない以上、のんびり構えているわけにもいくまい」

 

 

 なのはにしては順当な意見ですが、ユーノは首を振りました。

 

 

「幸い、この世界には魔法という概念が存在していない。ここの人じゃ悪用するにも扱いが分からないだろうから、暴走したりして自体が悪化しない限りは、大丈夫だよ」

 

 

 ともすれば楽観的な発言ではありますが、なのははユーノほど魔法について知りません。専門家であるユーノがそう言うからには、そうであるとしか判断できませんでした。

 

 

「そうか。ならばお言葉に甘えさせていただくとしよう」

 

 

 その厚意に甘んじることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 その晩。

 

 

「ダ、ダメだよなのは! 魔法を使って人を陥れるなんていけないよ……!」

 

 

「君は私をなんだと思っているのかね……」

 

 

 寝言がうるさいのでエルボーで黙らせました。

 

 

 

 

 

 

 

 日曜日になりました。

 

 

 しかし暇すぎてやることもないので、とりあえず情報収集とばかりに街へ繰り出そうとしましたが、その直前、美由希に呼び止められました。

 

 

「なのは、お友達から連絡から連絡があったわよ。アリサちゃんとすずかちゃんから」

 

「ふぇ? なんて?」

 

「なんでもお茶会を開くから、なのはも是非誘って欲しいって」

 

 

 なのはは刹那の間に思考を張り巡らします。彼女らに付き合うと貴重な休日を消費してしまうばかりか、先日ユーノにバレたばかりの本性が二人に発覚してしまう可能性がある。が、しかし難点ばかりでもない。家に招かれるということは、お互いの距離を縮める絶好の機会でもあり、運が良ければ向こうの家族とコンタクトをとり、自分の過去の所業について少々窺えるかもしれない。向こうもこちらを数える程度しか会ってないがために抱かれる違和感はすずからに比べれば少なくて済む。もう一つ利点はある。子供の身体ゆえに体力的な問題もあり遠出ができないなのはだが、すずかの家に向かうならば町内と言えどそれ相応な距離を移動する。その際、今まで発見できなかったジュエルシードも見つかるかもしれない。いざとなればユーノと別行動をとり、発見次第封印に向かえば良いのでは?

 

 

 ……と、考えること僅か二秒。

 

 

「うん! 行ってくる!」

 

 

 ぱぺー、とでも効果音がつきそうなスマイルでした。

 

 

 その笑みを見たユーノが残像ができそうな勢いで後ずさりしていました。なのはは容赦なく蹴りを入れました。

 

 

 余談ですが、ユーノは既に家族に知られ、ペットとして高町家に迎え入れられました中身が人間ですので、賢い反応がプラス要素となったようです。

 

 

 が、美由希に全身を優しく撫でられてくすぐったそうにするユーノでしたが、中身は人間なので、

 

 

『ああっ、ダメ……そこ! そこはダメなんだよ、ひっ、あふぅ、ふぬぁっ! あらやだこの人ったらテクニシャン……!』

 

 

 という身悶えする声をいちいち念話で伝えてくるので首を軽くひねって黙らせました。

 

 

 驚く美由希と恭也でしたが、なのははだから何? とでも言いたげな顔をして言いました。

 

 

「これは一種のスキンシップなの~♪」

 

 

 動物愛護団体が総攻撃してきそうな発言でした。ちなみにユーノはピンピンしていましたので納得しました。納得せざるを得ませんでした。本人たちが良いならそれで構わないんじゃないかな? と思ったようです。それでいいんでしょうか。

 

 

 閑話休題。

 

 

 兄の恭也はすずかの姉・忍と恋仲にあるらしく、なのはと共に月村邸へ向かうことになりました。わざわざ黒塗りの外車が来るあたり、相手方の金持ち具合が窺い知れます。

 

 

 ユーノを連れ、恭也と一緒に車に乗り込みます。

 

 

 月村邸へ到着すると、メイドさんが出迎えてくれました。

 

 

(このような存在が実在するとはね)

 

 

 魔法少女に比べればリアリティのバーゲンセールでしょう。

 

 

 なのはは猫たちがくつろぐテラスへ向かい、待っていたすずかやアリサと一緒にお茶会を始めます。

 

 一方、恭也は一度忍の部屋へと向かいます。二人だけの時間を満喫するのでしょう。

 

 

 その時、進化した人類ばりの超感覚で何かを察知し、振り向きました。

 

 

 どうしたの? と言いたげなユーノに対し、ガチな顔をしたなのはは、

 

 

「あの二人……今夜は赤飯かね?」

 

 

 マジ顔でオバサンみたいな台詞を言うのでした。

 

 

 もっと清く正しい心を持ちましょう。無理ですかそうですか。

 

 

 

 

 

 

 

 月村家の人々と一緒にお茶会を楽しむこと数時間。

 

 

「ねぇ、なのは。アンタ最近、元気ないみたいだけど、何かあったの?」

 

 

 ツンデレちゃん、もとい、アリサが心配そうに話しかけてきました。

 

 

 なのはは知り由もありませんでしたが、今回の誘い、実は近頃元気がない(ように見えた)なのはを元気づけるためにアリサとすずかが提案したものでした。親しき仲であろうと話せないことはたくさんあります。なので、『できれば話して欲しいけれど、言えないならせめて楽しいひと時を満喫してほしい』というのが今の彼女らの意志でした。涙誘うお話です。健気です。健気立てしているなのはとは大違いです。

 

 

 ちなみにこの天上天下唯我独尊を地でゆくなのはが何故アンニュイになってたかというと、別に魔法やらそれに伴う疲労やらのせいではなく、

 

 

「最近お兄ちゃんがうっとうしくて困ってるの……」

 

 

 結構切実な発言でした。

 

 

 忍さんが下種を見る目を恋人に向けますが恭也は胸を張っています。

 

 

「俺はやましいことなどしていない……!」

 

 

 最早定型句でした。

 

 そして恰好つけたはいいですが恋人の視線に足が生まれたての小鹿のようです。

 

 

 と、そんな時でした。

 

 

『なのは、大変だ! ジュエルシードが……!』

 

 

 緊迫感溢れるセリフですが、本人はメイドのファリンさんに撫でられあお向け開脚状態でした。イラッときたのでチョップを叩きこみました。それも股間に。

 

 

『ああっ、玉は! 玉だけは! 女王様っ!!』

 

 

 やかましい。

 

 

 とりあえず内股で走り出すユーノを先行させ、なのはもついて行く形となりましたが、アリサがそれを目ざとく呼び止めます。

 

 

「なのは、どこに行くのよ?」

 

 

 ユーノが逃げたから、という言い訳は少々心苦しいでしょう。それだとアリサらもついてきてしまう可能性があります。

 

 

 なので、

 

 

「女の子には我慢できない時があるの……」

 

 

 大人組が一斉に茶を吹き出しました。

 

 

 よく分からないアリサは首を傾げていますが、すずかは多分お手洗いかな? と思ったのか、行ってらっしゃいとにこやかに見送りました。良い子ちゃんすぎてなのはの精神に8のダメージが来ました。すぐ回復しました。

 

 

 

 

 

 

 

 ユーノを追いかけること一分ほど。

 

 

 林の中でなのはとユーノは合流し、現場に到着しました。

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 片や唖然と、片や無表情で佇んでおります。

 

 

 眼前には、ジュエルシードの影響で巨大化してしまった子猫がいました。もう子猫なんてレベルを遥かに通り越してただのクリーチャーですが、その仕草は子猫のそれなのでとても愛らしいです。

 

 

 害意をまったく感じません。なのはは拍子抜けしたように肩の力を抜きました。今までの特訓は何だったのでしょうか。大したことしてない気がするのは気のせいでしょうそうでしょう。

 

 

 このまま一方的に攻撃を仕掛けるのは心が痛みます。そんな心あったのかと思わなくもないですね。

 

 

「しかし、それはそれこれはこれ。私の日々安寧のために……消えておくれ」

 

 

 正義とは百八十度違う方向にダッシュした少女の自己中心的発言でした。

 

 

「さぁ参ろうか。……凛々駆流・真剣狩留!」

 

 

 発音がおかしい気がするのは気のせいではないでしょう。

 

 

「ええと……何番だったかね?」

 

 

 しかもグダグダでした。

 

 

 と、その時でした。

 

 

 

 

 

 

 

「ハァーッハッハッハッハッハ、ハーッハッハッハァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 いらんほどデカい声が、どこからともなく聞こえてきました。

 

 

 思わずなのはは動きを止めてしまい、ユーノも辺りを見渡しています。

 

 けれども、人の姿はまったく窺えず、ただただ、どうでもいいくらいの音量で笑い声が響いております。

 

 

「ハァーハッハッハッハッハ! ハァーハッハッハッハッハァッ!」

 

 

 喉が枯れてしまうんじゃないかと思わんばかりの大声で、声の主は叫んでいます。

 

 

 なのははしばらく警戒心を露わに空を睨んでいましたが、いつまで経っても姿を現さないので、興味を失ったように巨大猫に向き直りました。ユーノは「それでいいのか?」とでも言いたげですが歯向かうと下剋上と見なされ地面に埋められるので黙っています。

 

 

「ハッハッハ……げふっ、ゲホゲホッ、けはっ!」

 

 

 しかもむせてました。

 

 

 こういう目立ちたがりな輩は無視するに限りますが、この騒音公害じみた笑い声とうっとうしいこと山の如しな咳の音は放置すればするほどひどくなりそうなので、なのはは嫌々渋々、構えていた杖を下します。

 

 

「……よく分からないけど、姿を現したらどうなの?」

 

 

 なのはに正論を解かれる声の主の正体や如何に!?

 

 

「よくぞ聞いた! 我、ジュエルシードを求めし者……金色の閃光、黒き雷。そう、それは、それこそは……」

 

 

 やがて上空にその姿を晒した声の主……否、少女は、声高々にして言いました。

 

 

 

 

 

 

 

「フェイト=テスタロッサとは、ボクのことだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 大層なお馬鹿さんでした。

 

 

 

 

 

 






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