魔法少女が許されるのは15歳までだと思うのだが 作:神凪響姫
テスト終わってひと段落と思ったらインフルエンザに罹ってしまいました。
しかも感想来ていたのに気付かないというこの体たらくっぷり。
申し訳ありません。
というわけで、またちょこちょこ更新していきたいと思っておりますので、どうかお楽しみ下さいまし。
……今回短めですけど。
もしもレイジングハート・バルバトスとバルディッシュ・レクイエムになってたら ~絶対に受けたくない魔法~
「アイテムなぞ使ってんじゃねぇ! 縮こまってんじゃねぇ! 私の背後に立つんじゃねぇ! 漢に後退の二文字はねぇ! 軟弱者は消え失せろ! 回復だと? 貧弱すぎるわ! 術に頼るザコどもが! いつまでも術に頼るか! 微塵に砕けろぉ! 死ぬかぁ! 消えるかぁ! 土下座してでも生き延びるのかぁ! 貴様らの死に場所は……ここだぁ! ここだ、ここだ! ここだああぁぁぁぁっ!!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁッ!」
魔法使ってすらいません。
A’s編 第9話
戦闘なんて一瞬なんです
変身を終えたなのはとフェイトは、ビルの上へと静かに降り立ちました。
「オメェら、一体何者、な、ん……」
「なのはちゃん、フェイトちゃん、……?」
明らかに警戒心を強めるヴィータと援軍の到着に驚くリンディでしたが、現れた少女二人を見て驚愕しております。
「おやリンディ提督、せっかく我々が急行したのだ、感謝の言葉ひとつくらい贈っても構わんのだよ?」
「そーだよ、せっかく急いで支度してきたのにー」
「まぁ、確かに感謝はしているけれども……」
リンディはひどく言い辛そうに視線を彷徨わせてから、躊躇いがちに言いました。
「その格好は、何?」
指差す方向には、珍妙な格好をしたなのはとフェイトがいました。
黄色い耳としっぽを生やしたフェイト。
「ぴかちゅう!」
カービィ!!!
色々間違ってました。
馬鹿デカい砲塔を掲げたなのは。
「海鳴よ、私は帰って来たぁああああーっ!」
叫びすぎですし二度ネタです。
ヴィータ達も相手の顔を見て、以前戦った相手だと気づいたのでしょう、急に顔を引き締めました。若干二名ほどだらしないニヤケ顔をしながらフェイトをガン見している輩がいますが後ろからシグナムに張り倒されていました。
「チッ、まさかこの短期間でカートリッジシステムを搭載してくるとは……」
「ああ。―――先日バザーで買ってきた」
「魔法のアイテムなのに!?」
ヴィータは目を剥いて叫びました。
「ともかく、助けてくれてありがとうなのはちゃん」
「礼には及ばんよ。……あとで超過料金を請求するが」
最後のところはあえて無視しました。
なのはは臨戦態勢をとる守護騎士らと向き合いました。どれもこれもやる気に満ちた顔をしています。色々な意味で。
なお、ザフィーラは(外見上は可愛らしい)なのはを見て息を荒げていますがシグナムに何事か耳打ちされると頭を抱えて唸り始めました。なんだというのでしょう。
基本的に初対面の人間には一応・仮にも・表面上とは言えども、平和的な話し合いを図る程度には優しさを持っているなのはは、彼らのやる気ヴィンヴィンな雰囲気を目の当たりにし、悲しげに首を振りました。
「まったく嘆かわしい。何故人は争うのだろうか。もっと話し合えば良いのに。―――私はしないが」
最後の台詞に、どっちなんだよ、とヴィータがが突っ込みかけましたが、一度受け手に回れば絶対胃が痛くなるまで突っ込み地獄が待っているのは身内の外道連中を相手にしていて嫌過ぎるほど理解していましたので、身体をぶるぶる震わせながら耐えました。そんな無理に堪えなくてもいいでしょうに。
当たり前のようにガン無視され、なのははため息をつきました。
「やれやれ、近頃の若者は礼儀というものがなっていない。手本を見せてやりたいものだ。なぁ、……ユーノ君?」
「Me!?」
何故僕が!? と目をひん剥いて驚愕するユーノですが、そこで気が付きました。
近頃影が薄くなりがちのユーノに、目立つチャンスを与えてくれているのです。
「なんだそいつ、やっぱりテメェの使い魔か」
「いいえ」
「即答!?」
「恋人未満友達未満の関係です」
「赤の他人!?」
「おもちゃです」
「使い捨て!?」
こいつ苦労してるなぁ……というヴィータの同情的な目線を有り難くも悲しく思うユーノでした。
自然と視線がユーノに集中しました。これだけ皆から注目されるのは人生初であろうユーノは結構テンパりました。
ここで何か皆の関心を一気に引き寄せるようなことを言えば……! と意気込んだユーノでしたが、なかなかうまく言葉が浮かびません。
数秒間迷い考えて、ややあってから、ユーノは苦し紛れといった具合に言いました。
「ど、どんだけぇ~~~……?」
言ってしまいました。
……ビュォオォォオオオオオオオオ…………
一際冷たい風が戦場を席巻しました。
絶対零度の目線がユーノに向けられました。
何故そのチョイスなのかは分かりませんが、少なくとも白けた空気だけは確かなものでした。
守護騎士らは四人揃って何かを話しています。
「……なぁ、ここは笑ってやるべきなのでござるか?」
「しっ! ダメよ、ああいう変態っぽいケダモノは一度褒めるとつけ上がるから」
「しつけのなってない獣は頭が悪くて困るな。育ちが知れる……」
「オメェら二人は今すぐ鏡見ろよ」
うわぁ嫌な心遣い、と思いつつユーノは振り返ると、こっちもこっちで何事かを囁きあっております。
「なぁーアルフ、さっきユーノ変なこと言ったのかー?」
「あはは、なんでもないよフェイト。いい子だからちょっとあっち向いてようねぇー?」
「そういえば部屋の電気消して来たからしら? 不安ね……」
『あー茶がうめぇなぁ、なんか今寒いから余計美味く感じるぜ』
『いやー、面白いこと言わない人もいるんですねぇ』
味方がいませんでした。
さんざんな反応にユーノはブラックホールがあったらスキップしながら突撃する勢いでしたが、背後から迫る恐ろしいオーラに死の気配を察知しました。
「ふふふユーノ君、なかなか面白いことを言うね? 私も思わず笑顔になってしまうよハハハハハ」
迫力満点の笑顔にユーノは口から魂が出そうになりました。
「こ、殺されゆ……!」
思わず語尾がおかしくなるくらいの殺気でした。
「さて、ユーノ君。今すぐ選びたまえ。今ここで『必死』という言葉を体現するか、それともこの場でお星様となってみるのかを……!」
「そ、そりゃもちろん前者―――あれちょっと待って? 必死ってもしかして努力するって方? それとも必ず死ぬってこと? どっち?」
「ははは、ユーノ君はたまに常識を忘れるね? ―――真実はいつも一つだよ?」
ユーノはつむじ風を生みながら逃げ出しましたが神風を作るなのはからは逃げられませんでした。
「ユーノ君、今の失態は見なかったことにしてあげよう。その代わり、君があの赤毛の女を担当したまえ。アルフ君はあのデカい男を頼む。肉弾戦ならば余裕だろう?」
「まぁなんとかなるさ」
頼もしげなアルフの姐さんですが、誰もいない方向を見ながら言っても頼もしさの欠片も感じません。
「じゃあなのはは誰と戦うの?」
「私か? 私はだね……」
至極順当な疑問に、なのはは腕組みをして、
「全員だね」
それは果たして『敵を全員やっつけてやる!』という意味なのでしょうか、それとも『この場の全員問答無用でぶちのめすの!』という意味なんでしょうか。
ユーノがヴィータの前に立ち、ザフィーラと相対する構えをとるアルフ。なのはやフェイトがあれだけ嫌がったのにアルフがそこまで嫌がるそぶりを見せないのは、以前ババア呼ばわりされたことをまだ根に持っているためでしょう。
そこで鋭い反応を見せたのはシャマル先生でした。
「少年の相手はヴィータちゃん……ヴィータちゃんは私の仲間……ならば少年は私の嫁……!」
その三段論法はおかしいです。
「ザフィーラ。いらん心配だとは思うが、気をつけろよ」
「案ずるな。俺は盾の守護獣だ。我が鉄壁に死角無し」
ザフィーラは自信満々に言いますが、フェイトを見ながらの前傾姿勢でなければもっと格好ついたでしょう。
「っしゃあ! いくぜ!」
気合を入れたヴィータは、我先にとばかりにユーノへ突撃を敢行します。
ぐんと勢いをつけて接近するヴィータを、ユーノは冷静に見ていました。確かに最近影が薄くなってきているような気がする。しかし実力如何に関してはまったく関係ない話です。以前と異なり、十分な魔力を所持する今ならば、万事に余裕を持って対処することも可能でしょう。
ゆえに、ユーノはシールドを展開しようと右手をスッと上げましたが、
「危ないユーノ君!」
後ろからディバインバスターがぶっ放されました。
「ギャーッ!!」
「うぉっ!?」
間一髪のところで避けるヴィータ。当たり前のように巻き込まれるユーノ。
煙の尾を引いて落ちていくユーノを唖然とした表情で見送るヴィータの元へ、ゆっくりとした動きでなのはが近づいていきます。
「さぁ、邪魔物は消えた。―――お話し合いしようか?」
なのはは爽やかそうにスマイル一発。
あまりの暴君ぶりに本格的にユーノが哀れに思えてならないヴィータでした。
「……不意打ち喰らわせようとしてよく言うな、オイ」
ヴィータの発言をなのはは右から左へ流しました。
「私は何度でも問おう。何故君らは戦う? 無駄な戦いは止めるべきではないだろうか」
それはアンタが余計なことするからです。
「うっせぇ! こちとら時間がねぇんだよ! お前みたいのに付き合ってらんねぇ!」
「闇の書とやらの完成を急いでるから、だろう?」
「! 知っていたのか……!」
「ああ。――ウチの有能な秘密兵器が必死になって調べてくれたのでね」
その肝心の秘密兵器は遥か下の方で気絶していることを思い出してあげるべきではないでしょうか。
「君らの事情は私なりに把握しているし、理解しているつもりだ。どうだろう? ここはお互い腹を割って話し合っては如何だろうか。君らの努力を無駄にはしないと誓おう」
それに、
「君の帽子に対する謝罪を、私は用意しよう」
「……!」
どうだろうか、となのはは問いかけます。
割とシリアスな空気にヴィータは言葉を呑みこみ、けれども頭を振って目線を強めました。
「……こういう言葉を知ってるか? 『平和の使者は武器を持たない』ってな」
「ああ、知ってるとも。だがこうも言うだろう? 『力無き正義は愚者の夢想でしかない』とも」
「だったら話し合いなんざ無意味だって分かってるはずじゃねぇのか」
それになぁ、とヴィータはアイゼンを突きつけました。
「S極とS極は引かれ合わないだろ? あたしとテメェは、つまりそういうことさ」
「成程。つまり話を総括すると……君も私もサドということかね?」
「どこをまとめてきたんだよテメェは!」
キレ気味にヴィータは叫びました。
「もういい! テメェと話し込んでたら日が暮れるまで頭悪いコントする羽目になる! いい加減ここでブッ潰してやらぁ!」
「やはり止めないか? 今なら可愛い少女達が君らに誠心誠意謝罪する用意があるが」
「「なんだと!?」」
「反応してんじゃねぇよボケ! つーか自分で可愛いとか言うんじゃねぇーッ!」
「ヴィータちゃん大丈夫!? 今そっち行くわ!」
「どいてろシャマル! ヴィータよ助太刀する!」
「何聞き耳立ててんだテメェら! オラさっさと散れ! 散れ!」
キャンキャンと散って行くハイエナ二匹を追い払い、ようやくヴィータは一息つけました。
少々慌ただしい空気ですが、仕切り直しということで、アイゼンを大きく回転させ、両手で構えました。
「一回だけで足りねぇなら、二度も三度も喰らわせてやるよ」
自信たっぷりなヴィータに対し、なのはは相変わらず無表情でしたが、そこにはいつもの余裕と不敵な雰囲気が漂っていました。
「新たな力を得た私に勝てるとでも?」
「お前みたいなチビが勝てるとでも?」
ニヤリ、とヴィータは「言ってやった」とばかりに笑いましたが、すかさずなのはは答えました。
「おっと会話が成り立たないアホが一人登場~。質問文に対し質問文で答えるとテストで0点なのはご存知かね? はははこのマヌケめ」
青筋を浮かべたヴィータはアイゼンを振りかぶりました。
最初から全力でした。
前編です。
長くなってしまって自分で挫けました。すいません……
後編はもう少々お待ちを。