魔法少女が許されるのは15歳までだと思うのだが   作:神凪響姫

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はい、というわけでA’s編でございます。

全然続きを書い溜めてないので更新スピードが遅くなること請け合いですが、ご了承ください。


A’s
第一話 魔法なんて飾りなんです


 

 

 ―――聞こえていますか? 私の声が。

 

 ―――届いていますか? 貴女の元へ。

 

 ―――考えていますか? 自分の事を。

 

 ―――想っていますか? 己の存在を。

 

 ―――願っていますか? 正しき道を。

 

 

 

 ―――いずれ相見えるその時、貴女に問いましょう。

 

 ―――果たして長き旅の果てで、何を見出し、何を得てきたのか。

 

 

 ―――問いは一つ。答えは一つ。

 

 

 ―――真理に辿りつけたならば、貴女はきっと赦されることでしょう。

 

 

 ―――しかし、辿り着くことなく道を違えていたならば、

 

 

 ―――その時は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     ○   ○   ○

 

 

 

 

 

 海鳴市のとある家に、一人の少女がいました。

 

 名前は八神はやてと言い、一人暮らしの女の子です。

 身体が不自由で、家の中でも車椅子です。家族は既に他界していて、親戚もほとんどおらず、唯一語らえる相手は自分の担当である医師くらいなもので、それはそれは可哀そうな境遇でした。

 

 が、そんなこと知ったこっちゃねぇとばかりに、はやてはすこぶる逞しく育ちました。

 

 例えば、バスに乗っていて親切な若者が席を譲ってくれた時には、

 

「愚か者! 余に譲る暇があるならばご老人をいたわれ!」

 

 くわっと目を見開いて威嚇し老人に席を譲ります。

 

 例えば、スロープのない階段を上れず困っているのかと通行人が心配しながら見ていると、

 

「なんの! 車椅子がダメなら逆立ちするのみよ……!」

 

 凄まじい勢いで逆立ちしてかけ上ります。

 

 例えば、ガラの悪い男どもに絡まれる女性を見かけたときには、

 

「貴様ら……生きて帰れると思うなよ! 幼少の頃より培った我が数多の御技、見せてくれるわ……!」

 

 腕だけで男どもを投げ飛ばします。

 

 恐らくこんな子供は世界に二人といな……いと思いたいですが、どこかに非常識っぷりなら比肩する存在がいました。世も末ですね。

 

「余はフツーに生きていられればそれで良い。他者の手助けくらい造作もないこと、手を煩うのも悪くはなかろう」

 

 と偉そうに言う9歳児でした。

 

 

 

 

 

 さて、そんな若干脳天筋……能天気なはやても、明日を誕生日に控え、無人の家で一人孤独に過ごしていると、ちょっとだけ寂しさが湧いてきました。

 精神がアレとはいえ、まだ幼い彼女は親に甘えたい年頃です。

 

「フッ、余は既に完成した者だ。有象無象と比較してもらっても困る」

 

 などとのたまっていますが、ベッドの周囲がぬいぐるみで埋め尽くされていては説得力など空の彼方へ吹き飛んでいます。

 

 とても可愛い趣味をしているのは、寂しさを紛らわせるためです。たまにグレアムという、遠い親戚の人が手紙と一緒に送ってくれるのです。顔も見たことがありませんが、血の繋がりなどほとんどない自分にお金を出してくれるのだから、きっと金の扱いに困った心の広いロリコンジジイなのだろう、とはやては深く考えませんでした。割と最低な結論でしたがはやては気に留めません。

 

 深夜零時近く。

 

 ベッドの上で図書館から借りて来た本を読んでいると、そろそろ寝る時間だと思い至ります。

 

 良い子は寝る時間です。

 良い子は寝なきゃいけない時間です。

 起きているのは悪い子です。

 

 とても大事なことなので連発しました。

 

 さてこのまま寝るか、それとももうちょっと本の続きを見るのか、とはやては迷います。

 その時でした。

 

 急に震動が起き、部屋全体が大きく揺れ始めました。

 

「む、地震か。暫し待てば治まるであろう」

 

 と、余裕綽々とした様子で読書を再開します。多分災害時には真っ先に死ぬと見せかけて最後までしぶとく生き延びるタイプでしょう。

 

 が、いつまで経っても震動が治まらず、更には本棚から一冊の本が飛び出し、不気味な光を放ち始めると、はやても動揺を露わに飛び起きます。

 

「なんだこの特撮は……!」

 

 結構余裕のはやてですが、突如、眩い光が放たれると、悲鳴を上げかけました。

 そのあまりの光量に、つい言葉が漏れてしまいました。

 

「うおっ、まぶしっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   A’s編

 

   第一話 魔法なんて飾りなんです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝方。

 まだ早い時間に、一人の少女は―――もう面倒くさいんで名指しでいきましょうか。

 

 外道も呆れて物を言えなくなると巷で評判の魔法少女・高町なのはは、公園から少し外れた林の中で、一人練習に明け暮れていました。

 

 練習ってなんぞや? と思う方、そんなの一つしかないじゃないですか。魔法の練――

 

「こぉおおおおお! 超級破王・電影弾んんんんんッ!」

 

 練習に励んでいました。

 何かの練習をしてました。

 

 さわやかな汗を流し、ふぅ、と息をつきました。

 

「ふむ。今の私では素手で空き缶を消し炭に変える程度だろうか」

 

 魔法を使わずともこの人外っぷりでした。

 これが私の全力全開……ではなく、平・常・運・転! とか言いだしそうでした。もう言ってましたね。

 

「レイジングハート、今日の鍛錬はここまでとしよう。締めにいつものやつを頼むよ」

『OK.Just a moment.』

 

 少しして、レイジングハートの周囲に小さな魔力球――スフィアが形成されました。と言っても、外見だけのもので、よくレイジングハートがトレーニング用として構築するものです。どんだけ高性能なんでしょうかと思わなくも無いですが、よく考えればインテリジェントデバイスはみな高性能なんですよね(まるで全て知ったような口調

 

 空中に散在するスフィアに向かって、

 

「破ッ!!!」

 

 全部撃ち落としました。気合いで。

 魔法って、なんなんでしょうね……(哲学的問いかけ)

 

「よし、まずまずといったところか。ご苦労だったねレイジングハート」

『No problem.』

 

 さて、性質の悪い冗談のような出来事は終わり、なのはは身支度を整えると、家へと戻りました。

 

 

 

 

 

 朝食の準備を手伝っていると、美由希が声をかけてきました。

 

「なのはー、お友達から例のアレ、届いてるわよ」

「……、分かったの!」

 

 一瞬何故か躊躇いがありました。

 

 フェイトからのビデオメールです。定期的に送られてきていました。

 

 ひとまず再生しよう、そう思い、DVDプレイヤーにディスクを挿入しました。

 すぐに映像が浮かびました。

 

 

 

 

 

 

 

 

『なのはー! 書類の書き方が分かんないよー!』

『なのはー! 最近どうもアルフが冷たいよー!』

『なのはー! 大人が変な目でボクを見るよー!』

『なのはー! ピーマンだけは食べれないよー!』

『なのはー! ここ退屈すぎて死んじゃうよー!』

『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』『なのはー!』………………

 

 

 

 

 

 電源を切りました。

 頭の中でフェイトの声が延々と繰り返し再生されます。エコーしていました。

 

 なのはの部屋にはフェイトから送られてきたビデオメールが幾つもありますが、内容はほとんど一緒でフェイトの泣き事が延々と語られるだけです。微妙に近況報告してるので見ないわけにもいかず、かと言って一度見てしまうと夢にまでフェイトが出てくる始末です。これにはさすがのなのはも辟易としていました。懐かれてると言えば聞こえはいいですが、いい加減名前を連呼するのはやめてほしいと願うなのはでした。

 

 これは新手の嫌がらせではなかろうか……そう思い始めたなのはですが、一方で、一緒に見ていた家族の反応はどうかと言うと、

 

「良いお友達じゃないか。大事にするといい」

 

 目が腐ってるんじゃないでしょうか。

 

「面白そうなお友達よね」

 

 その評価もおかしいと思います。

 

 ともあれ、もうすぐフェイトが戻ってこれる時期ですので、そうすればこの迷惑メール、もとい、ビデオメールも終わりを告げるでしょう。それはそれでちょっと寂し……いやそれはないでしょう。間違いなく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 深夜。

 

 なのはが熟睡……と見せかけて部屋の中で精神集中して色々アレなことをしている頃。

 

 赤い服を来た少女が、路地裏に立っていました。

 眼前には倒れ伏した男たちがいました。誰もが管理局の服を来ています。

 

「蒐集完了。予定よりも遅い、早くしないと……」

 

 嘆息した少女は、虚空に浮かんでいた黒い本を手に、そのまま立ち去ろうとします。

 

「―――よ……」

 

 倒れた男の呻く声。振り絞るようなものでした。

 

 これ以上鞭打つ必要はないとばかりに、少女は目線を逸らします。

 

 男は叫びました。

 魂をこめて。

 

 

 

「もっと俺をぶってよぉおおおおっ!」

 

 

 

 気持ち悪いのでキックを入れました。

 

 あー、と甘い声が聞こえるのを無視して、少女は踵を返しました。

 が、そこいらで立ち上がろうとする気配を感じ取りました。

 

「くっ……動け俺の身体……! 美少女がいっちまう……」

「まだ……だ、……俺のターンは終了して、ないぜ……」

「もうちょっとで……見える、この位置からなら……もう少しで……」

 

 やっぱりトドメ刺しておくべきか――少女は大きくため息をつきました。

 

「ぐ……見えた―――白ッ!」

 

 爆発が生じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピキュイーン!

 

「むっ。今、私の庭を汚した者がいる……!」

 

 鋭く察知しましたが、後でどうとでもなると思ってそのまま寝ました。

 順調に人間離れしていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日のこと。

 

 すずかは帰り途中、図書館へ足を運んでいました。

 借りていた本を返却し、新しく何を借りようかと考えながら歩いていると、本棚の向こうで、誰かが必死に手を伸ばしているのが見えました。車椅子に座っている少女が、懸命に手を伸ばしますが、あと少しというところで届きません。

 

 頑張って、あとちょっと。見守るすずかの視線の先、少女はふぅっと一息ついて、

 

「ふんっ!」

 

 棚に拳をぶつけました。

 ぶっ叩いて落とすつもりのようです。猿ですか貴女。

 

 するとどうでしょう! 紫電の瞬く音がして! 木製の棚が! 金属製のものに変わっていくではいくではありませんか! なんという錬金! 等価交換無視! ひどいやニーサン!

 ……なんてことは起きず、衝撃で上から本がドサドサ降ってきて脳天に直撃しました。しかも角が。

 

 涙目で蹲る少女を見ていられなくなったすずかは、声をかけることにしました。

 

「だ、だいじょうぶ? どれをとりたいの?」

 

 少女は肩を震わせながらも、すぐに顔を挙げて気丈に振舞いました。

 

「ふん! 貴様の手を煩わせずとも、余一人でやってみせるわ!」

 

 涙目で反論したところで説得力がありません。

 本をとろうと一生懸命背伸びをしていては説得力が以下省略。

 ふぬっ、とか、ちょわっ、とかいちいち掛け声をあげていては説得力が略。

 

「……。はい、これでいいの?」

 

 見かねたすずかがとってあげました。

 

「ぐ……すまぬ」

 

 素直に礼を述べました。根は良い子なのでしょう。

 どういたしまして、と笑みを返すすずかは、少女が同年代なのだろうと思い、話をしてみることにしました。

 友達になれるかなと、そんな期待を抱きながら。

 

「何の本を読んでたの?」

 

 少女は胸を張って、尊大な口調で言いました。

 

「うむ。―――世界拷問大全だ」

 

 いきなり最初の難関がきました。

 

「拷問……好き、なの?」

 

 えらいことにすずかはそれを拾ってしまいました。

 

「ああ、敢えて殺さず生かした上でこの世に生を受けたことを後悔させながらいたぶるのが好きなのだ」

 

 しかも平然と返しました。

 

「で、でも、人を傷つけるのはダメだよ?」

「何を言う。人を愚かだ、言語一つで分かり合うことは容易ではなかろう。もっとシンプルで良いのだ」

「じゃあ、分かり合えなかったら、喧嘩するの……?」

「余はすぐ暴力を振るう人間は嫌いでな」

 

 どっちなんだよ、と誰かが突っ込みました。誰かは分かりませんが。

 

 

 

 

 

 少女は名を八神はやてと言い、足が不自由で学校へ満足に通えないため、よく図書館へ足を運んでいるとのことでした。両親は既に他界しており、いるのは親戚の者だけで、しかし現在は家族と一緒に生活しているそうな。

 すずかはその不遇な出生や環境に悲しみを抱きましたが、それでも明るく振舞い楽しげに笑うはやてに好感を抱きました。

 趣味には理解が及びませんでしたが。

 

 やがて閉館時間が迫り、二人は帰ることに。

 

「え? お迎えの人とか、いないの?」

「余は常に一人よ。案ずるな、従者などおらずとも、余は一人で帰れる」

 

 はやては心底そう思ってるのでしょう、表情一つ変えず言いましたが、すずかは内心怒りを少し抱きます。こんな良い子をほったらかしにして、家族は何をしているのかと。どちらかと言えば良い子はすずかでしょう。

 

 と、そこではやてはあるモノを見つけました。

 

「おお、ザフィーラか。出迎え御苦労」

 

 ウォフ、と小さく吠える大型犬。ペットなのでしょうか、柔らかそうな毛並みと物静かな雰囲気のある落ち着いた犬です。しつけをきちんと行っているみたいで、初見のすずかを見てもまったく吠えません。

 

 猫という差はあれども、基本的に動物全般が好きなすずかは興味を持ちました。

 

「ね、ねぇはやてちゃん。触ってもいいかな?」

 

 が、はやては首を振りました。

 

「止めておけ。ザフィーラは少々性格が歪んでいてな、お前のような子供はとって喰われてしまうぞ」

 

 今時子供でも信用しない言葉ですが、すずかは残念そうに、そっかー、と言って離れました。

 

「チッ」

 

 どこからか舌打ちが聞こえてきました。

 

「ではな、すずか。また会おう」

「あ、うん。またねはやてちゃん」

 

 手を振り、はやてはザフィーラを従えて立ち去りました。

 ちょっと変わった子だけれど、また会えるといいな……淡い期待を込めて、すずかは名残惜しげにその場を後にします。

 

 その時、

 

「まったく、シグナムやシャマルは何をしておるのだ……」

「シャマルは周囲の視察に、シグナムは昨日のことを引き摺ってまだ寝込んでるな」

「貴様らいい加減仕事せい仕事を!」

 

 そんな会話が聞こえてきましたが、すずかは聞こえずそのまま帰りました。 

 

 彼女の背を向けた方角で、何が起きているか気づきもせずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方。

 帰宅途中、なのはは異常を感知しました。

 

 結界が張られています。どこか張りつめた空気が漂っていました。

 

「ほう。私の庭で結界を張るとはいい度胸ではないか」

 

 ニヤリと凄惨な笑みを浮かべました。

 

 人目がなくなったのをいいことに、なのははすぐバリアジャケットを装着し、見晴らしの良いビルの上へやってきました。

 

 そこで鞄を開き、中から包みと水筒を取り出しました。サンドイッチと紅茶でした。放課後ティータイムでした。

 

 緊張感なんて言葉なかったようです。

 

「私はご飯を愛する女だが、同時にパンをこよなく愛する女でもあるのだよ。このたまらない空腹を満たすためならば、残パンすらも愛してみせよう」

 

 上手くない台詞でごまかしながら、もしゃもしゃとサンドイッチを咀嚼しつつ、ビルの屋上でやって来る気配を待っていました。

 

 と、ここでなのははふと思い至りました。

 

(しまった。近頃私の周囲に頭のおかしい外道連中しかおらんので失念していたが、あまり素の状態を維持していると、いずれ学園や私生活でボロが出てしまうのではなかろうか)

 

 外道筆頭が何を言ってるんでしょうか。

 

 なのはは少しの間考え、やがて一つの結論に至りました。

 

「顔を隠せば問題ないね」

 

 かばんからガサゴソと取り出したのは、学校の図工で作った馬の被り物でした。あまりにリアルすぎて被って『ブルァアアアアアアッ!!(アナゴ風)』と絶叫しつついじめっ子どもを追いかけ回したら翌日には馬頭鬼(めずき)伝説が誕生していました。多分特撮モノだと一話限りで退場するやられ役っぽい感じですが、このモンスターはその気になれば大陸どころか世界を掌握しそうです。

 

 カポッ、と頭からかぶります。視界が悪くなりますが概ね良好でしょう。何が良いのかは分かりませんが。

 

 とりあえず敵はまだ来ないみたいなので、サンドイッチを食べながら待つことにしました。え? どうやってって? 馬の口からに決まってるじゃないですか。それだと脳天に落ちてこないかって? 変人の奇行に疑問を抱いたら負けです。

 

 やがて空のむこうから、人がやってきました。久しぶりに見る魔導師(えもの)の姿に、なのはは緊張(悦び)を隠せません。台無しでした。

 

 やがて人影は大きくなり、その全貌が窺える位置まで来たかと思うと、急加速しました。驚いた(様子ですけど被り物のせいでいまいち分かりませんが)のも束の間、赤い服を来た少女は、銀色の槌のような物を振りかぶりました。

 

 それがどうしたと言わんばかりに、なのはは攻撃を防ぎました。

 素手で。

 

「何……!?」

 

 と驚く襲撃者。

 

 そりゃ馬の被り物した変質者が思ったより強ければ驚くでしょう。

 

 一度引き下がり、態勢を整えます。なのはも砲撃を検討しつつ、様子を見ます。

 

 カッ、と目を見開き、変質者、もといなのはは叫びました。

 同時、襲撃者も開口しました。

 

 

 

「「怪しい奴め! 一体何者だ……!?」」

 

 

 

 どっちもどっちでしょう。

 

「……答える必要はない。オマエを倒す」

 

 律儀にも襲撃者の少女は簡潔に答えました。内容はないようなものですが。あ、洒落じゃないですよ? 間違えないで下さいね(どうでもいい

 

 対し、なのはは勿体ぶった様子で答えます。

 

「やれやれ。不躾な人だねまったく、親の顔が見てみたいものだ」

 

 と割とまともなことを言っていますが、被り物をしているので声がくぐもって『ムファファモファ』と唸っているようにしか聞こえません。

 

 とりあえず口の辺りのスペースを確保してから、

 

「人様の庭に土足で踏み込んでおいて、挨拶も無しに攻撃するとは見上げた根性だね? 君も人として最低限の礼節を持ち合せているならば名前くらい名乗りたまえ」

 

 馬の怪人に常識を説かれました。

 

 少女は訝しげに観察していましたが、正論ではあったので、ふぅ、と息をつきました。

 

「アタシは、」

 

 そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシは―――鉄槌の騎士・ヴィータだ。それ以上でも以下でもない」

 

 身長170cmくらいありそうなスタイル抜群の美少女は、敢然と構えながら名乗りを上げました。

 

 

 




さぁ、残り三人はどうなってるでしょうねぇ……?(ゲス顔

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