魔法少女が許されるのは15歳までだと思うのだが   作:神凪響姫

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というわけで、無印最終話です。

最終回ってことでいつものノリが控えめですが、まぁ最後くらい許して下さいまし。

では、始めます。



第15話 友達になりましょう

 

 

 

 

 

 ―――誰かを救うのは、悪い事じゃない。

 

 ―――例え歴史を歪めても、あなたはそれを必ず選ぶ。

 

 ―――短い旅路の中、あなたは何を得たか。

 

 ―――変わるものもあれば、変わらぬものもある。

 

 ―――もしあなたが得た答えが、胸の孔にはまり込んだなら、

 

 ―――きっと、それこそが…………

 

 

 

 ―――どうか、旅路の果てを。その目で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   第15話 友達になりましょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事庭園から脱出した一同は、とりあえず休むことにしました。

 

 ……と思いきや、武装隊員らがプレシアとフェイト、アルフの三人を取り囲みました。そういやこんな人たちいましたね。

 

「申し訳ないが、護送室へ移動してもらう」

 

 偉そうに言ってますがアリシアに瞬殺されたの忘れてませんかねこの人たち。

 

「……いいわ」

「お母さん!」

 

 プレシアは抵抗せず、フェイトが荒げました。

 

「いいの。人に迷惑をかけたのは、事実だからね」

 

 その理屈で逮捕されたらどっかの誰かさんには即座に逮捕令状が出されることでしょう。

 

「隔離ってことになるが、理解しといてくれや」

「ええ」

 

 クロノに誘導され、プレシアとフェイト、そしてアルフは連れて行かれました。

 

 その間、大多数の者がある人物を視界に映すして注意を払っておりました。

 

「おやおや。皆して私を見てどうしたのかね? 美しい私を許可なく視界におさめるとは……見物料を徴収してもよろしいかな?」

 

 変な台詞を口走ってるなのはです。

 てっきり抵抗して皆殺しディバインバスターでもぶちかますのかと恐れていた武装隊員らとクロノですが、まったく関与してこないなのはを怪訝に思いつつも、恐る恐る移動して行きます。9歳児を怖れる情けない大人の図でした。

 

 いいのかい? と傍らでユーノが目線で問いますが、なのはは平然と返します。

 

「いいも悪いもない。彼女らは罪を犯した。ならば裁かれるのは当然だ」

 

 しかし、と続けて言います。

 

「もっとも、言いなりになるのはつまらんな」

 

 ニヤリ。

 いつもの不敵な笑みを見て、不安になると同時に、どこか安心してしまうユーノでした。

 

 

 

 

 

 次元震の影響で、暫く帰れないと伝えられ、さして落胆した様子もなく、なのははアースラでゆっくりと過ごしていました。

 

「彼女らの処遇はどうなる?」

 

 事件に携わった者として、そこだけは聞いておきたいなのはは、食堂に集まったクロノやリンディに問いました。

 

「フェイトちゃんとアルフさんは、無罪申告を出しておくわ」

「母親の我がままに付き合ってた可哀そうなガキってことでなら、処罰も大したことねぇかんな。へっ、ガキには甘い辺り、上層部ってロリコンなんじゃねーかな」

 

 言いたい放題のクロノですが、フェイトの無罪申告に一枚噛んでるクロノも同類だと思われても仕方ないんじゃないでしょうか。

 

「ただ、プレシアは次元震を引き起こした張本人だから、軽くて無期懲役になってしまうかもしれないわ……」

 

 案の定、主犯のプレシアは罪から逃れられませんでした。

 

 やはりプレシアはモテ期を求めたあまりここで愚者として散り果ててしまうのか……誰もがそう思ったとき、なのはが提案しました。

 

「艦長。ジュエルシードは残り幾つかね?」

「? えっと、詳しい数は覚えてないけれど、ほとんど残ってないはずよ」

「それは全部あったほうが良いのだろうか」

「それは、あんな危険なものを野放しにはできなかったけど、もう虚数空間へ落ちちゃったし」

 

 と、そこまで言ったところで、なのはがレイジングハートを取り出しました。

 キャーなのは様がご乱心よー! と96億円くらいで落札されそうな絵画みたいな表情でフリーズしかけた二人ですが、なのはは杖の先にある宝石を輝かせました。

 

 すると、虚空から飴玉みらいにボロボロと何かが落ちてきました。

 

 ジュエルシードでした。

 

「え……ちょっ、なんで!?」

 

 ユーノが驚きの声を上げました。一応さっきからいました。存在感がなさすぎでした。

 ユーノは何故かしょげました。

 

「何のために私が終盤別行動をとったと思っている? もっとも、連中に気づかれず回収するのは骨が折れたよ」

 

 ハハハと軽く笑うなのはの行動に一同呆然。

 この程度で驚くようではまだまだだね――なのはの評価でした。

 

「危険なロストロギア・ジュエルシードを確保すべく、対応の遅い管理局に代わり、娘らと共に回収作業に勤しんでいたが、民間人との諍いもあって、不完全な状態で暴走を起こした……こんなあらすじではご不満かな」

「そんな暴挙が叶うとでも―――」

「……ダメ、なの……?」

 

 瞳を潤ませ、上目遣いに見つめるなのは。

 

 それを見て、クロノとリンディはこう思いました。

 

((こやつ……嫌だと言ったらこの場で全員に不幸な事故を見舞うつもりだ……!))

 

 背後に黒々としたオーラが漂い始めたなのはを見て、二人は生唾を呑みました。ついでに周囲の空間が歪み始めました。どんだけなんでしょうか。

 

 つまり、彼女はこう言ってるようなものです。

 

 

 

『あまり私を怒らせないほうがいい……』

 

 

 

 変なアートが後ろに控えてそうでした。

 

 この時の彼我の戦力を何かに例えるとマンモスマンに果敢に挑もうとするレオパルドンとペンチマンの構図といったところでしょうか。分かづらいですかそうですか。

 

「ちょ、ちょっと私たちじゃ判断しかねるけど、一応それで申請してみるわ」

 

 逃げました。いつだって精神的に苦労するのは上の役目です。

 

 一通り話を終え、懸念すべき事柄もなくなりました。あとは次元震の影響がおさまるのを待ち、帰るだけです。

 それまではアースラで待機、ということになりました。

 なのはは少し不機嫌気味に言いました。

 

「面倒だね。私がその辺に乱れ撃ちすれば相殺されて落ち着くのではないかね?」

「そんなキャンプファイアーにダイナマイトをブチ込むような真似すんな。しないで下さいお願いします」

 

 アースラ一同揃って土下座しました。

 

 

 

 

 

 数日後。

 

 ようやく海鳴市に戻って来たなのはとユーノは、ひとまず公園に到着し、深呼吸しました。

 

「海鳴よ、私は戻って来た……!」

「テンション高いね、なのは……」

「うむ。狭っ苦しいアースラでの暮らしは些か疲れたよ。ユーノ君もどうだね? 毎朝海に向かって『なのは様は世界一ィイイイ!』と叫ぶだけで心身共に健康になれるが、どうだろうか」

「じゃあ僕、不健康でいいです……」

 

 終始ローテンションのユーノです。

 理由は色々ありますが、あえて一言だけ言うと、『なのはのストレス』が関与してる、とだけ言っておきましょうか。

 

 

 

 帰宅後。

 家の扉を開けると、待っていたように美由希が走って来ました。

 次々と居間から顔を出す、家族たちの顔。全て笑顔で、娘の帰りを喜んでいました。

 

「おかえり、なのは」

「……、ただいまなの!」

 

 なのはは少し迷ってから、同じように笑って言いました。

 

 家族はいます。けれど、それは実際血の繋がりはあっても、『高町なのは』のものであり、今ここにいるなのはのものではありません。彼らは知りません、このなのはが別人であることに。

 騙していることに心を痛め、再会を心から祝福する彼らを欺くのに良心がなのはを攻め立てますが、

 

(まぁそれはそれ、これはこれ。それが私の生き様)

 

 こやつだけは全く成長してませんでした。

 

 

 

 

 

 翌日。

 学校へ顔を出すと、アリサとすずかがパッと顔を明るくし、笑みをもって迎えてくれました。

 

「なのはちゃん、もう大丈夫なの?」

「アンタ、病気はもう治ったの?」

 

 どうやら療養のための長期欠席となっていたらしく、二人は心配そうに尋ねます。

 なのはは当たり前のように爽やかなスマイルで返しました。

 

「ちょっと朝帰りしてきただけなのー」

 

 廊下を通りかかった教師が派手に転倒しました。

 

 アリサは首を傾げ、すずかは「さっき退院したばかりなんだー」と勝手に納得しました。良い子ちゃん成分でなのはの外道成分を相殺しているような気がしてきました。

 

 始業ベルが鳴り響き、授業が始まりました。

 またいつもの日常が始まろうとしていました。

 

 

 

「む。いかんな、体育の授業に間に合わん。止むを得ん……レイジングハート!」

『それはダメェエエエエエッ!!』

 

 気苦労の絶えないユーノでした。

 

 

 

 

 

 それから少し経って。

 突然クロノから連絡が入りました。

 

「なんだねクロノ君。私は今呼吸をするのに忙しいので君のドM根性を満たすほどの余裕はないのだが」

『ちげぇよバカヤロー! ……あのフェイトってガキがオメェに会いたいって言うんだよ』

 

 なのははさして驚いた風でもない顔のまま、先を促します。

 

『裁判になるだろうから、本局に移動すんだけどよ。最後にいっぺん話したいんだと。どうだ?』

「私は構わんが」

『んじゃ明日の朝、公園に来てくれや。待ってるぜ』

 

 通信を終え、なのはは小さく息を吐きました。

 何を話すのか。それを今から考えておこうと思いつつ、なのはは明日に備えて早めに寝ることにしました。

 

 

 

「ああっ、なのは! ダメだよ! 射撃魔法で股間を集中狙いするなんて……その突き抜けるような快感が! 快感がァアアアアアアアアッ!!」

「やかましい」

 

 踵落としがいい具合にキマりました。

 

 

 

 

 

 翌日の早朝。

 

「遂にこの日が来たか……」

 

 まるで決戦に挑む勇者のような台詞ですがどちらかというとあなたは魔王です。

 

 眠るユーノを鷲掴みにし、なのはは三秒で支度を終えると飛び出しました。

 朝の町に悲鳴が上がりますが、どこぞの兄妹が毎日のように道場でガチンコバトルを繰り広げていたので誰も驚きませんでした。汚染は広がる一方です。

 

 

 

 公園に着きました。

 

 待っていたのは、私服姿のフェイトとアルフ、そしていつもの仕事着のクロノでした。

 なのはを見て、顔を少し明るくしたフェイトを、とりあえず後回しにして、なのははクロノの元へ直行します。

 

「先に聞いておきたいのだが、プレシア女史はどうなった?」

「あー、それな。オメェの無茶な注文だけどよ……」

 

 言ってから、間をおいて、クロノは言いました。

 

「一応、アレで通ったぜ。半信半疑だったが、どうやらジュエルシードの後押しが予想以上に効いたらしいぜ」

「ほう。賢明な判断だ」

「ただ一つ問題が起きてな。あの後、プレシアに一つ罪状が加えられたんだ」

「……一体何の罪かね?」

「ああ、それは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「年齢詐称罪だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、空気が死にました。

 

「……それだけかね?」

「いや、まぁあとは、器物破損とか傷害とかで諸々合わせると数年の懲役くらいなんだけどよ、それ聞いたウチの母ちゃんが……」

 

 

 

『プレシア・テスタロッサを拘束したいがための詭弁だわ! 彼女に罪は無いはずよ!』

『まぁそれはさておき――時にリンディ・ハラオウン提督殿。大変失礼ではありますが、ご年齢の確認をさせて頂けますか? 少々書類上のデータに誤差が生じておりまして、念のためご確認をお願いしたいのですが』

『何言ってるの、私は永遠の十八歳よ』

『年齢詐称罪の現行犯で連行します』

『なん……だと……?』

 

 

 

「―――ということがあって、ウチの母ちゃんとプレシアが結託して上層部相手に喧嘩ふっかけたらしくてな。と言っても、抗議したってだけで減給くらいで済んだらしいけどよ」

「随分無謀なことをする……」

「けどまぁ、そういう経緯もあってか、プレシアとは懇意にしてるってわけだ。色々便宜図ったらしいぜ? それでも、ちっとの間は離れ離れになっちまうけどよ」

「だが少しの間の辛抱だ。あれだけのことを仕出かしてそれで済んだのだから感謝してもらいたいくらいだよ」

「オメェ人がどんだけ苦労したと思ってんだ」

 

 言いつつ、クロノは笑いました。なのはの不器用な優しさをどこかで理解したのでしょうか。理解しちゃったんでしょうか。

 スッと手を差し出しました。なのはが怪訝そうに見ています。

 

「一応、これでオメェともお別れだろうしな。オメェにゃ迷惑かけられっぱなしだったぜまったくよォ」

「楽しんでいなかったかね?」

「んなわけあるかァ! どこの世界に気苦労して悦ぶヤツがいるんだよ!!」

 

 なのはが背後を振り向きました。ユーノはキューとわざとらしく鳴いてごまかしました。

 

「ま、そんなこんなでこれで一区切りってこったな。シメっぽい別れなんざ俺とオメェの趣味じゃねーから、軽く握手でもすっか」

「握手どころか肩車しても構わんよ?」

 

 その発想はおかしいです。……おかしいですよ? おかしいと思うのが普通ですからね?

 

 握手を済ませると、クロノはその場を離れて行きます。

 

「じゃあな、オメェも適当に達者に暮らせや」

「今度緊縛プレイをエイミィ君へ伝授しに行くから楽しみにしていたまえ」

「そんなアフターサービスはいらねェエエエエエエエエエエエエエッ!!」

 

 怒ったようにクロノはさっさと歩いて行きました。多分、どっかで時間を潰すのでしょう。あの格好のまま外を出歩いていたらイベントバトルか何かと勘違いされないでしょうかね。

 

 さておき。

 

 待機していたフェイトが、躊躇いがちに前へ出ました。

 それを見たなのはは、今まで地面に転がったままだったユーノを蹴って起こしました。

 

「ユーノ君、後で大事な話があるから、そこのアルフ君と一緒に下がっていたまえ」

「その前に……病院と、裁判所に、行きたいです……」

 

 訴える前に力尽きそうなユーノはアルフに掴まれ離れました。

 代わるように、フェイトがなのはの前に立ちます。

 

 暫く無言が続きました。

 フェイトは視線をあちこちに向けて、なのはを見ては口元で何かを呟き、またどこかを見るという工程を繰り返しています。

 なのははそれをじっと無言で見つめています。別に怒っているわけではありません。フェイトが何かしゃべりだすのを、じっと待っているのです。

 

「あ、あのさ……」

 

 やがて決心がついたのか、フェイトはもじもじしながらも話し始めました。

 

「ボク、今まで、同い年の人は、アリシアくらいしかいなかったから……どういうのが普通なのか、全然、わかんなくて、それで……」

 

 一度区切ってから、

 

「どうやったら、誰かと『ともだち』になれるんだ?」

 

 迷いと躊躇いを振り切って、問いました。

 

 そんなのこっちが聞きたいわ――ある意味なのはの本音ですが、心の半分ほどは真面目に、彼女の問いに対する正しい答えを探していました。

 

 その答えは、もう既に、

 

「名前を、聞けばいい」

 

 思う間もなく、言っていました。

 

 

 

 何かズレていたものが、戻ったような感覚――

 違和感を抱き、しかしなのははさしたる問題もなし、と振り払います。

 

 

 

「もし、君が目の前の人と『ともだち』になることを望むなら――」

 

 考えたものではなく、自然と浮かんでくるものを、そのまま口にしました。

 

 大事なことを伝えるように。

 大事な想いを託すように。

 

 なのはは、思い懐かしむような口調で、静かに、ゆっくりと、言葉を紡ぎます。

 

「約束しよう。君が痛みを感じていたとき、君を護りたくなったら君を護ろう。君が独りを嫌だと感じたとき、君と話をしたかったら君と話をしよう。君が悩みを抱くと思ったとき、君を大事に思ったら君を一人にしよう。君がここにいたくないと思ったとき、君を想うならば君を嫌おう」

 

 そして、

 

「君が誰かと親しくありたいと思ったとき、君を見たならば、私は君の隣に立とう」

 

 どうだろうか、となのはは問いました。

 

「私は君に何も要求しない。私は私に要求する。基礎に礼節を敷き応用には信頼を広げよと。ゆえに刃向わぬならばただ与えよと。されば奪われぬ」

 

 差し伸べる、手。

 対等であると示すもの。

 

 初めての行いを、初めての人へ。

 

「私は、高町なのはだ」

 

 言葉はもう、いりませんでした。

 何も語らずとも、フェイトはきちんと分かっていました。

 

 差し出される手を、しっかりと握り返して、

 

「ボ、ボク……フェイト! フェイト・テスタロッサ!」

 

 光る雫がこぼれ落ちました。悲しみではない、他の感情が生んだものでした。

 初めて感じる、誰かの温かみを、繋がりを直に感じて、フェイトはただただ、涙をこぼして喜びを一身に受けました。

 

 なのはは少し嬉しそうに口を歪め、自分の髪をまとめるリボンを外しました。

 

「持っていくといい。別れの餞別、というほどのものでもないがね。いずれ私たちを引き合せてくれるきっかけになるだろう。高価なものではないが、君に託したい」

「いいの……?」

「ああ」

 

 短い返答。フェイトはそっと、リボンを受け取りました。

 

「いずれまた会うだろう。その時、それをつけて、いつかまた出会えた時、どうか―――」

 

 微笑みながら、言いました。

 

「―――笑ってほしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 お別れの時間がやって参りました。

 

「じゃあ、ボクはこれで……」

「うむ。名残惜しいが、早く帰ってこれるといいね」

 

 うん、と頷き、そのまま顔を上げませんでした。

 踵を返し、背中を向けて歩き出すフェイト。傍らにアルフを立たせ、転送の準備に入りました。

 

 と。

 フェイトが顔を上げて、叫びました。

 

「また……またなっ――なのは!」

 

 目の端を輝かせ、明るい笑顔を浮かべて、フェイトとアルフは、去って行きました。

 手を振り、別れを惜しみながら。

 再会の時を期待して、また会えると願いながら。

 ともだちとなった二人の、お別れをするのでした。

 

 なのはも小さく、けれど確かに、手を上げて、

 

「ああ。また―――」

 

 笑みが浮かび、彼女たちが消えるその瞬間まで、ずっと振り返していました。

 

 

 

 

 

「また会おう、フェイト(・・・・)……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでなのは。大事な話があるって、何?」

 

 ユーノの問いに、なのはは躊躇いがちに言います。

 

「ん? あ、ああ。それなんだがね。非常に言いにくいことで、流石の私も言葉にするのが憚られるのだが」

「なんだいなのは。大丈夫だよ、話してみてよ」

 

 今更水臭い、と言外に含めたユーノの声に、なのはは逡巡して、ややあってから、答えました。

 

「うむ。では言わせてもらうが―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実はここの作者は『リリカルなのは』の原作をまったく見たことがなくてね? 一区切りついて胸を撫で下ろしているそうだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………。

 ……………………。

 ……………………………………………………え、

 

「えぇええぇえぇぇぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええっっっ!!!!!!??????」

 

 絶叫が青空に吸い込まれていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけの後日談。

 

「おい艦長ー、なのはがこんな紙残してったぜ~」

「え? 何かしら……」

 

 

 

『拝啓 崇高なる現人神たる高町なのはからリンディ艦長へ

 

 此の度、ジュエルシード事件に関して、私、高町なのはの労働料金や迷惑料、周囲の市民及び民家への被害、対処の遅延問題を加味しまして、また市民の総括として、以下の金額を請求致します。

 

                 ¥153,714,900         』

 

 

「―――……、キィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!!!」

「げ、暴れ出しやがった! おいおい落ち着いてくれよカンチョー!」

「カンチョーじゃないわ艦長よォオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

 

 

 おしまい。

 




というわけで、終了とさせていただきます。お疲れ様でした。

今までは大分早い投稿ペースでしたが、今後はゆっくりめになっていくと思われますが、今後もお付き合い頂ければ幸いです。


ともあれ、ちょっと短編などを挟んでからA’s編を始めますので、もう暫しの間お待ちください。

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