前編
「ご苦労じゃったのぉ」
「いや……そうでもなかったよ」
朝も早い麻帆良学園学園長室。
騒動の後始末と、確保された侵入者の尋問等を終わらせたとはいえ仕事が終わる訳ではない。
廻ってくる始末書の整理やら施設の修繕。何処ぞの吸血鬼が起こした騒動の後始末も別件で行わなければならないのだから。
幸いにも仮免の警備員が式神使いを取り押さえてくれたので責任を押し付けることも出来るのだからマシとも言える。
案の定、その術者への依頼人の氏素性は不明であったが。
それは兎も角、
学園長に報告書を提示したのは褐色の肌に長い黒髪を後ろに流す長身の少女。
女子中学生という世間一般で言うところの若輩なれど、年齢度外視の落ち着いた色気と実力を持ち、“裏”でもその名は知られている。
無論、“通り名”の方であるが、この学園にいる以上は今使っている名で呼ぶ事にしよう。
即ち——
「それで、あの二人はどうじゃったかの? 龍宮君」
龍宮 真名という名前で。
「楓の方は今更言うまでも無いよ。
そのまま“本気の私”と闘える程の実力があるからね」
問われた真名は腕を組んだまま、学園長の問いを慇懃さが見えない口調で返す。
普段は目上に丁寧語を使用する彼女であるが、今はビジネス中。よって口調もこうなってしまう。
プロである以上はプライベートとビジネスは完全に別件としているのも当然か。
学園長——近衛はこの少女に夕べの仕事時の二人の見定めを依頼しておいたのだ。
突発的に湧いたハプニングによって図らずも実力を見る機会が与えられたのは幸いといえるかもしれない。
「で、横島君の方はどうじゃったかの?」
彼からしてみればこちらの方が重要である。
何せ楓の方は真名からある程度話を聞いていたのだから。
仙人のような長い顎鬚を撫でつつ真名の返答を待つ。
真名の方はというと、やや眉を顰めるという珍しい表情を見せていた。
言い難い…というか表現し辛い…といった塩梅か?
数秒の熟考の後、真名は口を開き、
「……甘過ぎるな」
と端的に言った。
「ほぉ?」
近衛は片眉を跳ね、その意味合いを判断しかねた。
無論、真名もそれだけで説明できたとは思っていないし、仕事ができたとも思っていない。
だから補足を行う事も忘れない。
「相手を倒す…という事に関しては楓以上…いや、下手をすると私以上かもしれない。
素のような気もするが、ちょっと考えられないくらい道化を演じ切り、相手の油断を誘い機を見るに敏で動く。
実際、式を倒した時は私の“魔眼”でも彼の動きを捉え切れなかったしね」
「何と…」
自分を卑下するでもなく、純然たる事実。
初対面で敵として戦っていたとしたら数秒と待たずに地に伏しているのではとも思う。
では何が甘いというのか?
「以前何があったかは知らないが彼は情けをかけ過ぎる。
特に彼は女に対して絶対に手を上げられないようだし」
強迫観念と言ってもいいだろうな…そう真名が後を続けると、興味深そうに近衛は聞き入っていた。
「霊体に対してもそうだ。理由は解からんが何やら想いを持っているようだったぞ?」
そう言えば同僚の女性が300年ほど幽霊をやってたとか言っておったのう…と近衛は青年の話を思い出して一人納得している。
更に近衛らには語ってはいないが、職場の近所の公園では陽気な浮遊霊達が宴会を開いていたりするのだ。
だから青年にとって霊的なものはかなり身近な存在なのである。
「女の為に傷付いて、霊の為に骨を折る……戦いの中で無意味な粉骨砕身を起こす。
そしてそれが癖ときたのだから恐れ入る。
その甘さが命取りになる可能性は高い…いや、高過ぎる」
「ふぅむ……」
その報告は既に高畑経由で耳にしており、始末書も書かせて既に眼を通していた。
証拠物件として残っていた身代わり符。
その依り代として遺骨で
横島の話によると、五歳の男の子と四歳の女の子、そして七歳の女の子だという。
<返りの風>の影響を僅かながら受け続けていたので自我が崩壊しかかっており、下手をすると“よくないもの”へと転じてしまうかもしれない。
だから彼はそうなる前に成仏させたというのである。
実のところ近衛は証拠物件を破棄する事になったの事を別に気にもしていない。
何しろ捕えられたのは魔法犯罪の容疑者だ。真実看破の部屋で尋問したって良いのである。
事が学園都市襲撃というテロ事件なのだから遠慮なんぞいらないのだ。
確かに証拠は多いにこした事はないのであるが、自分らの立場は所謂“一般”とは異なっているのでそういった裏技が“利く”のである。だから楓が気にする程ではなかったのだ。
まぁ、注意はしっかりと与えておいてもらったが…
『……にしても、浄霊を一瞬で出来るとはのぉ……』
青年の実力を聞いた時には流石の近衛も静かに瞠目していた。
彼らの常識からすれば、浄霊や鎮魂は結構大掛かりな儀式を講ぜねばならないものだ。
何せ相手は死んだ者。成仏する方法など本人(?)が知る由も無く、如何に説得しようとどうこうできる代物ではないのだから。
となると力尽くで“祓う”他手段は無い。
剣や術を行使して、その存在を祓うのである。
だが、彼は<成仏>させた。
霊達をあやし、慰め、天へと導いてやったのだ。
実力もさる事ながら、霊達に対しても優しさを見せる彼の行為は好感こそ持っても怒るには及ばない。
まぁ、霊にすらそういった想いを持てるからこそ『甘い』と称されるのだろうが。
「では、採点すると何点ぐらいかの?」
とは言っても、これからの事と人格は別問題だ。
その長所が短所になりかねないのなら、仕事を変えるまでである。
だからプロから見た点数を問うてみる。
そうだな…と真名は首を傾げ、
「……六十点……くらいか?」
と意外に高い点数を述べた。
「ほほぉ…? 赤点は免れたといったところかの?」
「私も甘いのかもな」
そう苦笑し、机の上に置かれた茶封筒を手にとって懐に入れ、近衛に背を向ける。
仕事は終わったのだからとっとと自室に帰り学生の身に戻るのだ。
「一緒に組むのは勘弁だが、彼の実力は貴方達の…いや私の想像を超えていた。
甘さは目立つが隙まで目立つ訳じゃないようだしな。
それに……」
「……それに?」
ドアを開けつつ近衛の問い掛けに対し、
「あの男……何だか面白い……」
珍しく微笑を見せつつそう言った。
返答が気に入ったのか、近衛はふぉふぉふぉと宇宙忍者宜しく笑い出し、真名はそんな依頼人に頭を下げ、
「では、失礼します」
と慇懃さを表わし、関東魔術協会理事長室という“裏”から、明るい陽が射す“外”へと戻って行った。
パタンと閉じられた学園長室で近衛は一人笑いながら引き出しを開け、判子を取り出してテーブルの上に置いてある書類にポンっと捺印する。
何が面白いのかククク…と笑いを残しつつ、
「優しいが故に甘く…そして面白い…か……
ワシもそう思っておるよ………」
近衛の顔は、本当に楽しげであり、嬉しげであった。
横島 忠夫
長瀬 楓
両名、学園警備班 −本採用−
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■四時間目:ハダカの銃を持つオトコ (前)
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風の中を駆ける——
風となって駆ける——
忍者さながら、人外そのものの動きで駆け回り、姿を消す。
茂みの枝葉を揺らす事無く木々の間を抜け、ヤモリより素早く木に登り気配を閉ざす。
するとその後から何人もの男達が詰めかけ、周囲を探り怒声を上げる。
「くそっ!! どっち行った?!」
「ゴキブリの様な奴め……」
「なら同じ様に始末してやる」
「逃がすな。八つ裂きにしろ!!」
「応!!」
ドカドカと地響きを立てるように男達は別々の方向に駆けて行く。
殺す気と書いて殺気。
その殺気を満々と溢れさせている男らがいなくなってもその場に動きは無い。
小鳥が鳴き、風に木々がさざめく音が聞えるのみ。
そして彼らがいた気配すら感じられなくなった頃になり、ようやく一人の少女が姿を現した。
長身であり、素晴らしいプロポーションを中等部の制服で包んだその少女は、この近くの和菓子屋の紙袋を抱えており、男達の去った方向を暫く見つめてからゆっくりと足を踏み出してゆく。
さわさわとやわらかな風を頬に受けつつ、少女はのんびりとした歩調で歩いてくる。
やがて男達が言い合いをしていた一本の木の下に歩み寄るとその上を見上げ、
「もう行ったでござるよ」
と声をかけた。
途端に枝葉の間に気配が湧いて出、何者かがずるりずるりと幹に沿って降りてきたではないか。
恰も百日紅の幹から猿が滑り落ちてくるように。いや、木自体は桜であるが。
「…にしても、凄まじい隠行でござるなぁ……
拙者ですらこの木に登って行ったところを見ておらねば気付かないでござるよ」
「……」
手放しの楓の賛辞も精神疲労で肩を落とした青年を立ち直らせるのには程遠い。
彼女が後からがばっと抱きつきでもすればかなり高確率で回復するだろうし、彼女もこの青年にそんな事をやってみたいという誘惑に耐えていたりする。
尤も、成功したらしたで彼は別の意味で精神が追い詰められてしまうだろう。
恐らくは心の奥から『リーチ!』とかいう声が聞こえたりして。
だから楓は武士の(忍びの?)情けで抱きつくという妙案を却下していた。
「何で…」
「ん?」
「何でオレがこんな目に遭わなあかんのや……?」
搾り出される悲痛なる声。
イロイロ追い詰められている鬱積はかなり危なく臨界点に達していた。
「ん——」
楓はそんな青年に持っていた袋からペットボトルのお茶を取り出して手渡し、口元に指をやって考えを廻らせて行く。
とは言っても、思いつく理由は一つしかないのだが。
「それは、横島殿が拙者らに手を付けたからでござろう?」
「 完 璧 且 つ 徹 底 的 に 濡 れ 衣 じ ゃ ね ー か っ ! ! 」
あの夜から既に数日。
横島と楓は正式に魔法関係者としての警備員として認められていた。
まだ学生の身分である楓は兎も角、横島はこの学園に就職している。
だから新たに組まれたローテーションでは、始業から放課後まで用務員として過ごし、放課後からは基本的に自由行動となった。
何だか高待遇のようであるが、有事の際に魔法教師や魔法生徒らよりフレキシブルに動けるようにされているだけで、用務員としての掃除やら雑務に追われつつ生徒らを見守るという非常に広範囲に働かねばならない大変なものだったりする。
尤も、冷遇されているわけでもなく、本採用となったお陰でちゃんとした部屋を与えてもらっているし、一通り以上の雑務は“向こう”でやらされて(涙)おり、工務店レベルの補修すら出来る彼はその実大変重宝されてたりする。
何せ手早くて正確で丁寧なのだ。用務員レベルはかなり高いと言えよう。そんな物があるかどうかは知らないが。
自室には非常回線用の端末すら与えられているのでネットサーフもできる。
生活必需品としてテレビとエアコンと冷蔵庫と電話もある為、文句など出よう筈も無いのだ。
まぁ……女子中等部の女子寮近くの部屋なので、端末にはちゃっかりペアレンタルロックがかけられているからエロサイトとかには行けないのはしょうがないが……
それでも高待遇である事に間違いは無い。
十代のころの赤貧状態からすれば夢の様な生活状況である。潤いは無いが。
そんな彼に二人の少女が弟子入りを果たしていた。
その少女の名を長瀬楓。
そして………古菲という。
弟子入り…というのは語弊があろう。
武術の技術であれば横島を凌駕しているのだし、ぶっちゃけ物理攻撃力でも勝てる点は皆無だ。
彼女が弟子入りを申し込んだのは、彼女が至らない点…氣の使い方と戦闘そのものである。
内氣功と外氣功、硬氣功まで使いこなす彼女であるが、流石に楓や横島ほどの強さには届かない。
特に楓は氣を練りこんで分身を作り、尚且つ其々に氣の攻撃を行わせる事が出来る達人だ。
武人として“そこ”に至ろうとするのは当然といえる。
だったら楓に頼み込めばいいだろう? という説もあるが、実は楓は楓で横島に氣を習いたいと思っていたのだ。
何せ横島の言う所の“栄光の手”そして“サイキックソーサー”は楓らの知る氣とは少し違う。
彼自身もPSYCHICと言っているのだから、ぶっちゃけ“意思”を形状化させたものと認識した方が良い。
その出し方…というか力の練り方を彼に教授して欲しいと思っていたのである。
だから二人して彼に願い出た…とまぁ、そういった経緯があった。
それだけが理由なのかどうかは彼女らしか知らない事であるし。
言うまでもなく彼は渋った。そりゃあもう、愚図愚図と。
美少女(←ココ重要)を戦いの場に引っ張り出すのも反対であるし、何より可により面倒くさいのだ。
しかし、既に彼の性格の一部はバレている。
特に楓には。
だから彼に絶対に拒めないよう強請…もとい、交渉にでたのだ。
曰く——
「もし聞き入れてもらえぬのならば、
拙者らは許可してもらえるまで毎日半裸でにじり寄って説得するでござるよ?」
———彼に退路は無かった……
「くそぉ……ジャスティス(ロリ否定)がオレを責め苛んだりさえしなければどうにかなったのに……」
「その代わり、拙者らは横島殿に“どうにか”されているでござろうな」
「………」
正論だ。
ジャスティスが責めないというのであれば肯定しているという事なのだから。
所詮は横島も男である。女に口では適う訳が無い。
「ささ。今日も修業の続きを ス ル でござるよ♪」
楓は喜色を浮かべつつ手を差し出し、彼を連れて行こうとする。
あれから毎日行っているが、それがなんともいえない体験なのだから。
「ちょ、まっ!! せめてその不穏当なセリフは勘弁して!!」
「だったら自発的に拙者らをイロイロ教えて欲しいものでござるよ」
「イロイロって……」
「ナニを想像してるでござる?」
「うっさいっ!! 泣くぞ?!」
「はっはっはっ 既に泣き顔でござるよ」
横島はすっかりペースを握られている。
“あの夜”からこっち、何だか楓は前以上に横島のすぐ側にいた。
物理的な距離では無く、こうやって彼をからかえる精神的な意味合いでの位置で。
「うう……もう勘弁して欲しいんやけどなぁ……」
「約束を…違えるでござるか…?」
一転してくしゅ〜んとした表情を見せ、眼差しで持って横島を責めた。
寒い冬の夜に目が合ってしまった子犬というか、雨の中でウッカリ見つけてしまった子猫というか、そんなオーラが横島を襲う。
無論、言うまでもなく彼が、
「わーった!!
わーったから、そんな目で見んといてーっ!!」
そんな眼差しに勝てる訳がなかった。
「そうでござるか♪ さて、行くでござるよ。いい場所があるでござるに」
コロリと機嫌を直し、横島を引き摺るように連れてゆく楓。
その足取りは楽しげで軽いが、連れられて行く横島の後には心の汗の跡が延々と続いていたという……
切っ掛けは、ゲートでの戦いの後に起こった———
前述の通り、古は横島の氣の使い方の弟子(っポイ何か)となったのであるが、“向こう”の弟子である人狼族の少女と違って、古は氣を練る事は出来ても“出す事”は出来ないのだ。
この歳で浸透勁すらできる古であるが、流石に氣を具現化は無茶過ぎる。当たり前といわれればそれまでであるが。
だから横島はある特殊な方法で持って氣の流れに慣れさせる事にしたのである。
———したのであるが……それが彼の危機を呼び込んでしまったのだ。
「アイヤ…アレはホントに凄かたアルよ。
あんなのがワタシの中に入るとは思わなかたアル。
最初は少し怖かたけど、慣れたらちょと気持ちいいネ。
何事も慣れが肝心いう訳アルな。
お陰でお腹の奥が温かいアルよ」
最初に断っておこう……
単に氣の鍛練の感想である。
モノが氣であるから普通に口で教えるのは無理があるし、かといって彼女は氣を練れても“出す”事が出来ない。
体内で練り上げた氣を全身を回らせて力を増す…そんな事は彼女だって出来る。
だが、どうやって経絡を辿らせて外氣功が如く発露させれば良いかという事となると話は別なのだ。
困った事に、その方法にしても横島には思いもつかなかったりするのだ。
というのも、彼の場合は“向こう”の人狼族同様に無造作に“出来てしまう”ので、修練によって編み出す方法が解からないのである。
だが、約束は約束。それも“美少女”との約束なのだ。
幾らストライクゾーンから外れているとはいえ、古は間違いなく美少女。
美少女との約束を違える様な罰当たりではない横島は、無い知恵絞って必死に考えた。
そして思いついたのが…
自分の霊気を古に伝え、体内を回らせる感覚を身体に直接教えるという方法であった。
言ってしまえば古の身体を使って周天法を行うのである。
こちらの世界では氣を操るのだろうが、“向こう”では霊力を操って体の中を回らせたり、中から外へ、外から中へと繰り返す。
尤も、その記憶も例の記憶消失によってかなりうろ覚えとなっており、何でそんな事を知っているかも不明だったりする。それでも表情に出す事はなく、任せておけいとばかりに古と手を繋いで自分の霊力を流し込んで彼女の氣を誘導する形で導いて身体に使い方を教えてゆく。
言うまでもなく他人の霊力が身体を廻るという感触なんぞ完璧な未体験であり、尚且つ横島自身も全く気付いていない事であったのだが、言ってしまえば内外から身体を弄っている様なものだったりする。
それが先の古の感想に繋がったのである。
無論、楓も同様の体験を——古の様子を見て、余計に語尾を強めて申し出ていた——したのであるが、やはり同じ感触を堪能…もとい、味わされていた。
問題は……この問題アリアリなぶっとびセリフを古が<超包子>でのバイト中にぶちかました事である。
麻帆良学園中等部3年A組 古菲。
中国武術研究会部長という肩書きを持っている彼女は、毎朝のように腕に憶えのある男共に勝負を挑まれている。
その強さは誰もが眼を見張り、攻撃の鋭さや豹の様なしなやかさには眼を奪われているほど。
実際のところ、殴られる為に勝負を挑んでゆく輩だっているのだ。
ぶっちゃけて言うと、病的なファンが多いのである。
そのファン層は厚く、中等部は言うに及ばず高等部や大学部にも及び、自分を是非にも弟子に…と詰め寄る者も後を絶たないのだ。
弟子を取らない理由は自分も修行中だから…との事であるが、そんなモテモテである彼女がイキナリ艶っぽいセリフをぶちかましたのだから大変である。
やれ殺すだの、魂とったらぁ!! だの、
相手は誰じゃ——っ!! 何処の馬の骨じゃ——っ!!
ボ、ボクの菲ちゃんが穢されたんだな。ゆ、許さないんだなっ!!
部長に甘い声で『らめぇ』と言われたい!! だの、
とんでもない大騒ぎとなってしまった(後半はなんか違う気がするが…)。
更に運の悪い事に古と親しげに話をしていた横島の姿を発見されてしまったりする。
不幸中の幸いに面
「オレ、何もしてへんのに……」
「まぁまぁ…」
一応、楓は噂が広がるのを逆利用し、横島像を曲げて伝え広げているので、単に歩いているだけでは横島だとばれたりしないから大丈夫だ。
今追いかけられていたのは古が今日(無理矢理)行われる鍛練の事をまた公道のド真ん中で横島にぶっちゃけ、それを聞かれたからである。
だが、服を着替えて楓と一緒にいるだけでばれたりしないのはこの学園の生徒に認識阻害がよく効いているから…かもしれない。
「お♪ 待てたアルよ♪」
学園の外れにある朽ち掛けた教会の跡地。その裏手。
崩れた壁の上に腰を掛け、<超包子>の袋に入った肉饅を食べながら古は横島らを待っていた。
青いツナギから普段着のTシャツとジーンズを身につけた彼の姿が見えると、横島の苦労も知らず嬉しそうに手を振っている。
「機嫌いいな。オイ……」
横島としてはゲンナリとしたものであるが、こんな笑顔を彼女に向けられてはそうそう文句も言えなくなる。
まぁ、実際に古が口火を切った事に間違いは無いが、彼女自身が悪い事をしている訳ではないのだし。
そう思いつくと肩を落とす事しか出来なくなる。甘すぎると真名に称されている点がそこなのだろう。
「当たり前ネ♪
届かなかたトコロに手が届きそうになてるアルよ? ココロも弾むの仕方ないアル」
「さいでっか……」
そんな風に機嫌のいい古は、授業を終えるとさっさと自室に戻ったのだろう。
バカイエローの呼び名を表わすかのような黄色いミニチャイナに着替えている。
ジャケットのような上着を脱ぐと肩は剥きだし。色気と躍動感が感じられるデザインのノースリーブである。
何となく胸がドキドキしないでもないが、それは<むくつけき野郎ども>に見つかった時の事を想像した所為だ……という事にして、横島は古の背後からそっとその肩に手を置いた。
「あ……」
ぴくんと反応してか細い声が漏れたりしたもんだから横島の萌えゲージは一気に飛び跳ねてカーンという鐘の音を響かせる。
何とか気を取り繕い、左手から霊気を送り込んで古の体内をめぐらせてゆく。
フツーなら異物として反発されるであろうそれであるが、横島は霊治療…ヒーリングができない代わりに霊気を送る事だけは一人前だったりする。
以前、人狼族の少女を保護した時、結構重い怪我を負っていた少女に対し、所長と一緒に霊気を送り続けて人狼族独特の超回復能力を促した事があるのだが、そのとき以来、霊気を送る事“だけ”は得意となっていた。
肩から胸、そして腹、
丹田を廻って氣に反応させ、今度は古自身に霊気を追わせる。
その繰り返しで古に氣を回らせる方法を身体と霊体に教え込んでいっているのだ。
ただ、霊気で持って全身をくまなく撫で回されているようなものである為、古は顔を赤くし、ぴくんぴくんと可愛い反応を見せていたりする。
その間、横島は必死で『平常心…平常心だお』と某AAキャラが如く自分に言い聞かせて般若心経を唱え続けていた。
もう経本何ぞ見ずとも観音経だって唱えられるぞ! 等と言っているくらいなのだから相当だろう。どこの修行者かと問いたい。
しかし言うまでもなく、古が終われば次は楓の番。
彼女は制服なので肩をはだける必要があるという事に……更なる苦行が始まるという事に、横島はまだ気付いていなかった——
「ふ〜…いい汗掻いたアル〜〜♪」
「いやはや…古の動き、見違えるようでござるな」
真っ白に燃え尽き突っ伏している横島を他所に、古と楓は異種格闘に興じていた。
攻撃をかわして一撃を入れるのが楓の戦闘スタイルであるが、古はカウンターで技に持ち込むのも得意とするファイターだ。
まぁ、楓は古より氣の使い方では二歩も三歩も前を行っているのだから手加減をする必要はあるのだが、分身の術を封じてガチでやり合うだけでかなり面白いバトルとなる。
楓としても体捌きの鍛練となるし、古にとっては達人との戦いだ。面白くない訳が無い。
今まで土日や休日しか修業を…それも自己鍛練しか行えていなかった楓であるが、古が(自分から)巻き込まれたお陰で実に充実した日々を送れていたりする。
「でも、まだまだネ。硬氣功は以前より格段に強くなたアルが、攻氣は全然アル」
「それでも僅かの間に一センチ程も攻の氣が出せるようになったのは凄まじいでござるよ。
拙者も気が抜けないでござるな」
「アイヤ〜 照れるアルね」
実のところ、横島のようなやたらと巧みに周天法を行える達人なんぞ世界に数えるほどしか居ない。
彼自身が全く自覚が無いのだから始末が悪いのだが、その巧みさ故に古の技術は格段の進歩を遂げていた。
大体、どこの誰が他人の中に霊気を送り込んで相手の意識と追いかけっこができるというのだ?
それも霊力中枢を順番通りに駆け抜けながら。
お陰で楓も古も一足飛びに氣の使い方を会得する事が出来ているのであるが…やはり彼はメチャクチャである。
この世界のヨガ導師とかが聞いたら自分の力の無さに泣いてしまいそうだ。
まぁそれは兎も角、
古はそのお陰で間合いが一センチ程のびていた。
まだまだ楓の様に氣を叩き出す事はできないのであるが、練り上げた氣を拳の直前で破裂させられるようになったのである。
その衝撃があるので実質的にはもっと距離があるが、インパクトの瞬間のダメージから鑑みれば最も効果的な距離はやはり一センチなのだ。
僅か一センチと言うなかれ。
達人同士のバトルにおいての一センチとは、永劫の距離にも匹敵する。
正拳と平拳との打ち合いで、その握り込みの僅かな長さだけで勝敗が決まってしまう場合だってあるのだから。
彼女くらいの達人ともなると、この一センチという距離は物凄く大きな意味をもつのである。
それに氣を練る速度も僅かに上がっており、総じて身体能力も上がっているのだから機嫌がよくなるのも当然だろう。
まぁ、それでも楓に掠りもしていないのであるが。
「横島老師もワタシと手合わせしてくれたらいいアルのに……」
楓の話によると、横島の回避力はその彼女すら凌駕すると言う。
となると一度は手合わせして欲しいという欲が出てくるのも当然だ。
「だ、誰が老師やねん……」
「おぉ、正気に返ったでござるか」
ツッコミを入れるべく復帰するとは相変わらず芸人魂を裏切らない男だ。
彼としては老師と言われる事はサルと呼ばれる事と同意なので余り嬉しくないのだ。
言うまでもなく古の言う老師は、師父とかを意味する言葉なので他意は無いのだが。
兎も角、横島はツッコミを入れた勢いで立ち直ったのか、ずるずるとゾンビが如く身を起こしてゆく。
その様は不気味そのものなのであるが、楓はさして気にもせず嬉しげに駆け寄って行った。
「ささ、手合わせするでござるよ。手合わせ」
「あ゛〜〜!! ずるいアルよ!! 何で楓は良いあるか?!」
腕を引いて横島に肩を貸しつつ、当然の様に手合わせを願い出る楓にやはり古から文句が出た。
そんな古に対して軽い笑顔を見せる楓は、
「いや、拙者は横島殿のパートナーである故、お互いの実力を見知っておく必要があるでござる」
「だたら、ワタシもパートナーになるアルよ!!」
「はっはっはっ 駄目でござる」
横島の意見を無視し、ギャーギャーと騒ぐ少女達。
何だか“向こう”の生活を思い出すなぁ…等とぼんやりと眺めながら、
『じゃあナニか? 向こうと同じよーに騒動に巻き込まれるっつー事なんか?』
という仮説にぶち当たり、頭を抱えて悶えてしまう。
それがキミの運命なのだよ。少年——
等と、どこかで聞いた様なムカツク声が聞こえた気がした。
<栄光の手>
切り落とした罪人の手を使って生み出す呪術道具……ではなく、とある事件の折に追い詰められた横島が土壇場で霊格を上げ、霊気を集束させる事によって誕生した万能の武器である。
普通に出せば手甲となり、闘おうとすれば霊波刀となる。
聖光すら効き難い強化ゾンビすら数体まとめて貫いて倒し、まるでダメージを与えない不殺の道具としても使用する事も出来るという理不尽さを持つ、横島忠夫のオリジナル霊能力だ。
だったら殺傷能力を無くした剣のモードを使えばいいだろう? という説もない訳では無いのだが、それでも横島は“使えない”。
女に対し……敵でもない女性に対して自分の武器を向けられないのである。
楓も古も何度となく問うてはいたのであるが、どうやっても口を割らないし、ヘタクソな嘘を吐かれてしまう。
ただ、時折苦い表情を見せる事があったので聞く事を止めていた。
そんな彼と手合わせをする……それは必要以上に難しい事なのでは無いだろうか?
だが、楓は
言うまでもなく普通の武器では彼は応じまい。何がイヤなのか甚だ不明であるが、やはりダメージになるような武器を自分らに向けられないのだから。
それでも楓はメゲずに彼のそのクセに抜け道を見つけ出し、彼と手合わせができるような場を生み出す事に成功していた。
その武器とは——
すぱ——ん!!
「あ痛っ」
古の見ている前で、驚くべき光景が展開されていた。
全部で五人になって同時攻撃を掛けている楓の全ての攻撃を見事得物で捌ききり、
背後から迫る氣が乗った拳を左手に出したソーサーで持って受け止めつつ、それを踏み台にして背後に飛び、
三身一体の攻撃を踏み込む事で避け切って、真ん中の分身の背後から真の攻撃を入れようとしていた楓の額に一撃を加えている。
回避の見栄えは最悪で、あの夜の無様さを彷彿とさせるものであるが、その技術そのものは達人クラスだ。
楓の仕掛けるフェイントからの関節技も、時折混ぜて放つ古のに似た打撃も全てギリギリで見切られ、
腕を取り、肘を決めて投げようとする楓より先にその身を飛ばせ、着地と同時に足払いを掛けて反対に楓の身を巻き込んで倒している。
どんな達人だこれは?
一体がひっくり返されると四体が同時に攻撃を仕掛けたのであるが手に持った得物の一閃で全員が額に一撃を入れられ、彼の背後から迫った“六人目”の手刀も手で掴み取られていた。
「うう〜……参ったでござる」
と、流石の楓も降参した。
武術の心得が無いくせに動きが存外に早く、尚且つ回避能力が人外である彼を捉える事は尋常では無い。
思わぬ方向にかわされるし、想像すら適わぬ動きで翻弄されるしで不必要なまでに疲れさせられるのである。
彼はそんな楓を見つめながら『ふむ…』と頷き、右手に持ったままの得物に眼を落とした。
「うん。楓ちゃんの考えは正しい。
確かにオレはバトルは嫌いだし、嫌いでも憎んでもない女の子に手を上げるのは論外だ。
だけど……」
ぐっと柄に力を入れ、空に掲げる。
なんと言うか…土産物の木刀より安っぽいそれは、傾きつつある陽光を受けてまるで聖剣の様に輝いて見えた。
「 オ レ はド ツ キ 漫 才 は 大 好 き だ ! ! 」
それは、厚紙にアルミホイルを貼り付けて折りたたんで作った、楓作のハリセンであった。
自分の武器…霊気で女性を攻撃できない。
つまり、女性を攻撃する“氣”を持っていない彼であるが、ツッコミは別物なのか、それを手にすると昔から握っている相棒のようにしっかりと手に馴染んだ。
こうして楓は横島と手合わせをする事が出来るようになったのである。
「な、何でやねん……」
等と古がヘタクソなイントネーションの関西弁でツッコミを入れてしまうのも当然の事であろう。
その後、ギャーギャー喚いて手合わせを強請る古に根負けして何度かやりあい、呼吸を整えた楓がまた参戦し、二体一でやりあうハメとなったのであるが……
「く……
ふ、二人がかりで掠らせるのが限界アル……」
「何ともかんとも…無茶苦茶な回避能力でござるな……」
結局、横島に一撃を入れられず幕を閉じた。
その横島はと言うと、二人以上に疲労していたのであるが回復力も人外なので既に立ち直って、未だへたり込んでいる古から分けてもらった肉饅をぱくついている。
些か冷めてはいるが、その程度で不味くなる味でも無いし、そのくらいで文句を言う横島ではない為、美味しくいただいていた。
何も喋らず黙って肉饅を食べているのは、傍目より疲労が大きいからだ。
肉体ではない。ココロの疲労が…である。
何せ古はミニチャイナであるし、楓は制服のままだ。
両方ともミニスカートなのでパンチラどころかモロパンを彼に曝しまくっていたのだから、そりゃあダメージも大きかろう。
今も心の中では、銀髪に赤いメッシュの入った前の世界での弟子が、何故か少女時代の姿となって彼の肩に手を置き、
『先生……もう、良いではござらぬか。もっと正直になると楽になるでござるよ?』
とか言って優しく諭す…いや堕落を促してきやがる。
『ヨコシマ。
人間は本能の命令に生きる生物なの。だから本能に身を任せるのが正しいのよ?』
ナインテールの金髪美女も、少女の時の姿でそうほざいてきやがるし。
そんな少女らと闘うのは只一人、彼のジャスティスのみ。何と分の悪い戦いであろうか。
「ど、どうでもええけど、何で今日はこんなに激しいんだ?
慣れるまでは慎重にするって言ってたじゃねーか」
精神の誘惑に耐えかね…もとい、肉饅を食べ終えた横島は、頭に湧き上がる誘惑の声を誤魔化すかのように二人にそう問い掛けた。
実際、昨日はここまで酷くなかったのだし、二人とも慣れを感じたからといって性急に次の段階を求めるような素人でもないのだから。
二人はまだ座り込んだ格好のまま、楓が持参したスポーツドリンクで喉を潤わせている。
やはり横島の奇妙奇天烈な動きに相当翻弄されたのだろう。
水着を脱がせる天才である某オコジョ妖精の動きにも軽く対応できる二人であったが、あのオコジョより動きがつかめない横島という存在は人として如何なものであろうか?
まぁ、横島から言えばあのようなオコジョの動きなど、
『フ…ッ ぬるいわ』
であろうが。
それは兎も角として、二人は横島の問い掛けに対して僅かに首を傾げ、そう言えば言ってなかったっけと思い立った。
「拙者らは来週から京都・奈良への修学旅行に行くでござるよ」
「期間は五日ネ。その間は老師と修業ができないアル」
「だからその間の分をまとめてやっておこうと思ったでござるよ」
「纏めてって……ナニ考えてんだ……それと老師はよせっつーに」
ぶっちゃければ慕われているという事であるのだが、こーゆーのは勘弁である。
しかし、話の中に修学旅行という単語が出て、何だか懐かしく感じてしまった。
「そっか……学生だから修学旅行なんつーイベントがあるんだったな。忘れてた」
実質、彼の年齢は二十七なのだから、修学旅行などは十年も前の話なのだ。
麻帆良学園というのは言うまでもなく超巨大な学園都市である。
当然ながら生徒数も膨大なものであり、エスカレーター式。
修学旅行も一つの区切りとなる三年の時に行われていた。
尤も、彼女らの学年だけで七百人を超すという大人数で、移動するだけで混乱する事は必死。
よって修学旅行の目的地はハワイ等の数ヶ所からの選択式となっていた。
楓らのクラスは留学生が多く、教師も含めて日本は初めて。
という事で日本文化を学ぶという意味も含めてクラスの総意……というこじつけの理由で委員長が独断と偏見によって担任教師が熱望している京都・奈良へと目的地を決めてしまったらしい。
「……ナニその委員長? その教師にホレとんのか?
チューガクセイと淫行とは何たるハレンチな教師だ。訴えてやる!」
自分の事は棚の上に隠し置いて、横島はまだ見ぬ担任教師に憤慨して見せていた。
言うまでもなく、彼の想像上での件の委員長は三つ編みのスタンダード委員長であるし、担任教師はハゲたオッサンである。
「あ、いや…そーゆーのとは違うアルよ」
「まぁ、そうでござるな……
それにセンセーは女心はまだ理解できんと思うでござるよ?」
流石に子供が先生をしているとは言い難いし、証拠となる本人もおらず、尚且つ子供ならば結局は生徒より歳下なので彼は騒ぐに決まっている。
だからそこらへんを暈して説明していた。
「ナヌ? 女心を理解せぬとは罰当たりな奴め。いずれこのオレが成敗してやらねば……」
“向こう”の女性達が聞けば『お前が言うな』と総ツッコミ入れた挙句 撲殺されかねないような“罰当たりな事を”ほざきながら、白とかブルーと白のストライプとかが見えているのもかまわず座り込んでいる二人から全力で眼を逸らして、暇になりそうな来週の事を考えていた。
『そーか……三年が出払うのか……じゃあ、午後くらいはちょっと暇になるかな?』
どうせ三年のいる上の階に人がいなくなると用務員達は床磨きや清掃作業に追われるだろう。
そーゆーパターンは嫌というほど味わっている横島は、自分がやらされるであろう仕事を思い、溜息を吐いていた。
だが夜間警備は兎も角、数日とはいえ放課後に修業修業と言われなくなるのはありがたい。
久々に羽を伸ばせそうだ。
『フッフッフッフッフッ……見た目は子供、頭脳は大人であるこのオレだ。
女達をヒィヒィいわして英気を養ってやろうではないか』
根本からして間違っている気がしないでもないが、それ以前にナンパが成功するか否かが計算に含まれていない。
強く想われる事に関しては横島は既に父親を越えているのだが、女で遊ぶという事に関しては父の足元にも及ばないのも何だか物悲しい話である。
その事は何度も味わっていると言うのに、何度も繰り返してしまうのは魂に根付いた病巣なのか呪いなのか。全く持って懲りない男である。
そんなフトドキな思いを回らせている事を何となく読んでしまった楓と古にジト目で見られている横島であったが、
何であろうか? 修学旅行の話をしている間にも言い様の無い不安感もじわじわと広がってきていた……
それは一種の予知。
優れた霊能力としての警鐘を鳴らしていたのだ。
それを知っているにもかかわらず彼は——
『そっか……ウッカリ
等と大きく的外れをかましていた。
丹田…まぁよく言う下腹にあるチャクラですね。
実は今でこそひっくるめて言ってますが、以前は女性の場合は丹田と言わなかったりします。
位置も微妙(お臍から指一本分下の奥)に違ってたりします。つまり丁度、子宮辺り。東洋的な理屈に言うとテレパシーは丹田辺りから発せられるので、正に『女は子宮で考える』ですね。
ただ、ウチのマシンでは字が出ませんでしたし、相当する字がちょっとヤバげなので(R18的な意味で)丹田で一括りにしてますからご注意を。