-Ruin-   作:Croissant

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後編

 

 「うう……太陽が目に痛い……」

 

 「肩と腰が……」

 

 聞くものが聞けば、『昨晩はお楽しみでしたね。ウヒヒ』等と言われそうなセリフを零しつつ、ヨロリラと歩く二人。

 行く方向違えど、出る場所は同じなのでこういう風に鉢合わせるのも珍しくはない。

 二人して仲良く疲労困憊で、ふらりとよろけて眠そうな頭をコツンと軽くぶつけても取り立てて責めたりしないし、

 

 「あ、悪りぃ」

 

 「ううん。いいよ」

 

 等とけっこう仲も良い。

 それに二人がまた見目愛らしい少年である為、中々に目にヨロシイ。ウンウン

 

 尤も、朝っぱらからそんなフォーカス懸って見えるヘブンな光景を目にし、イインチョが鼻から浪漫汁垂らしてキモかったり、メガネ魔人が「キタコレ――ッッ!!!!」等とハァハァうるさいという弊害もあるのだが……何時もの事なのか皆もスルーしていたりする。

 

 「な、何かエラい疲れてるみたいね」

 

 「夕べ戻った時もすぐ寝てもーとったしなー」

 

 「まぁ、解る気もしますが……」

 

 無論、一緒に修業してたりする少女らは、彼らの疲労の理由はよく解っているからベーコンでレタスな方向で見たりはしない。その()もないし。

 

 ついこの間、彼女らに色々教えてくれている青年が、ナニを思ったか急に一人の少年を連れてきて一緒に鍛えさせると言い出した。

 

 その少年は見た事も聞いた事もない全くの初対面…という訳ではなく、それなりの出会いを経て和解した相手であるからそんなに気にもしていなかったのであるが、件の少年が加わった所為かお陰か、鍛練が異様に苛烈さを増してしまったのである。

 

 いや、何故かアッサリとあの場の使用の許可が下りてる事や、何で夏美ちゃんや千鶴さんまでいるのーっ!? とかツッコミどころは山積みだったのだが、それより何より今までのも結構キツかったのにあれ以上とは如何なものか?

 つーかそれを強いた上で、庭で遊ぶ子猫を眺めるような眼差しで楽しげにワインを傾ける大首領様にも一言言いたい。無駄だろーけど!

 

 兎も角、何故か混ざっていた一般人である二人に対しては、危険な目に遭いそうになった場合の対処法、回避方法を自動人形姉妹ズが丁寧に教えてくれているようなのでこれは良いとして、問題は実戦鍛練組の方だ。

 

 「……強かったですね。あの人……」

 

 「美人さんやったなー」

 

 「強いっつーか、凄いっつーか……」

 

 少女連中が思い浮かべるのは昨日――実時間的には夕べだが――出会ったその女性。

 

 スーパーモデルもびっくりな凄いメイハリの利いたプロポーション。

 亜麻色の長い髪。

 美人としか形容できないその容貌。

 相変わらずアーティファクトのデメリットか赤いバンダナは残ってしまうものの、そんな野暮ったいものですら曇らせる事が出来ないほどの美貌と極上のオーラを放っていた。

 そんな二十歳くらいのものすごい美女が、昨日の師であったのである。

 ガクラン少年の方は兎も角、もう片方の少年からしてみれば相手は人間(、、)

 ぶっちゃけ人間との実戦形式の鍛錬は初めてであり、龍神やら邪龍やらに比べたらどれほどマシか。

 嗚呼、今日はイーヒッヒッヒッと愉悦の笑いを耳にしながら弄り倒されたりしないんだー ヨカッタヨカッタ……等と甘く考えられたのは最初だけ。

 

『あ、楓ちゃん達と明日菜ちゃん、刹那ちゃんは下がっててな。

 木乃香ちゃんももっと下がって。精神汚染されたら癒し系が減って泣きそうになるから』

 

等と不穏極まりないセリフを聞いてなんだか嫌な予感がし、

 

 ここんトコ見慣れた召喚(?)儀の直後現れた件の美女を見て、杞憂だったのかな? と緊張を解きかけたその瞬間、

 

 『ったく……こんなガキいたぶれっての?

  あのバカも何考えてんだか……』

 

 のセリフで警鐘が激々しく鳴りまくり、

 

 

 「なんや オバハン。

  アンタとやり合え言うんか?」

 

 

 と、ガクラン少年がぶっちゃけると――

 

 

 『ほほぅ~………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               -地獄を、見た-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何とゆーか……件の女性、魔族として紹介された邪龍の女性よかかなりエゲツなかったのだ。

 

 彼曰く、

 

 『確かに力の器の大きさ云々でいえば木乃香ちゃんやネギの足元にも及ばん。

  しかし下手こいて正面から喧嘩売ったら冗談抜きに死にかねない。

  つーか、気ぃ抜かんでも死ねる。

  手加減だけはしてあげるわとかほざいて生きたまま地獄へ送ってくれるヒト。

  後にも先にもあれ以上の人は見る事ぁないだろーつー掛け値なしの天才。

  魔術書とか無くとも魔法とか覚えそうだし、自身は否定するけど金欲で霊格上げられる反則人間。

  所謂一つの<人類最強>。つーか人としてイロイロ間違ってる』

 

 ――との事。

 

 言いながら『思い出すだけでカクカク震えが出るわっ』と、マジモンで怯えていた。

 どんだけ? と問いたい。

 それほど怯えるのなら陰口なんぞ叩かにゃいいのに。

 

 地獄耳を通り越して魔界耳な本人が聞いていたらエラい事になっていただろうし――

 

 

 

 「あ、あれ? 美神さん、そんな物騒なモノ持ってどこに行くんですか?!」

 「……何だか知らないけど、ちょっと横島クンを爆殺したくなったのよ」

 「そーでござるか…って!? そ、その飯盒みたいなのは全て爆弾でござるか!?」

 「そんなに使ったら流石の横島さんでも跡形もなくなっちゃいます!!

  ちょ、に、逃 げ て ぇ ー 横 島 さ ぁ ー ん っ っ ! ! 」

 

 「おキヌちゃんそこどいて!! アイツ惨殺できない!!」

 

 

 

 ………等といったやり取りが別の世界で行われたりしてるよーな気がしないでもないが……恐らく気の所為だろう。ウン。

 

 と、兎に角、

 そんなこんなで、予め身体強化のみ使用許可という枷をつけさせ、件のその女性と二人連携で戦わされた訳であるが……その結果は言うまでもなく惨憺たるモノ。

 つーか、一言多い。これでもマシってくらいであるとしても。正に口は災いのもとって見本である。

 

 何せその女性、単純に“強い”のだ。

 

 この少年は二人して鍛錬以前に処刑されに行ったようなもの。

 パワーがあるなしとか霊力が云々ではなく、妖怪サトリの化身なんじゃね? と思ってしまうほどの勘でもって先の先を読み切って戦況をかき回され続けたのだから。

 

 相手の得物は一つ。

 何だかよく解らない警棒みたいなのを持っているから近距離戦闘だと思えば、イキナリ光る鞭になってとんでもない間合いで襲い掛かってくるし、悪魔戦の時のように一人が囮になって戦おうとしてもそれを読まれ、その一人の陰から襲い掛かったもう一方の少年を無造作にひっ掴んで盾に使われ失敗。防御と戦力を削る事を同時に行われてしまう。

 

 ならばと二方向から同時に攻めるも、彼女は軽く肩を竦めて鞭を先ほど影から攻撃してきた少年に飛ばし、彼を引き寄せると共に彼の方向に飛んで位置を入れ替え、間合いを違えられてたたらを踏む二人の後頭部をしばき上げてダウンさせていた。

 

 因みに彼女は身体強化などといったものはやっておらず、素の能力だけで戦っていたりする。

 それでも彼女に対してただの一度も優位に傾けられなかった。

 戦いに対しての才能もあるだろうが何より可により実戦経験が違い過ぎるのだ。

 

 「十分やり続けてズタボロのボッコボコで全敗。

  おまけに一文にもならへん言うて面倒くさそーにしてったから手加減バリバリや。

  それはネギ君達も凹むなー」

 

 「しかし、確かに彼女の戦いは見事でした。

  相手に実力を出し切らせず、間隙を作らせて討つ。

  緩急をつけてペースを狂わせ連携を取らせず、同調しかかれば逆に利用して崩す。

  合気道のそれに近い戦いでした」

 

 「その上、あの人も何か能力持ってんでしょ? どんな人よ全く……」

 

 「でも横島さん言うとったえ? ネギ君が全力出して戦った方が分が悪うなる可能性あるて。

  よう解らへんけど、あの美人さん雷さんの力吸収して自分の力の格上げる事できるんやて」

 

 「はぁっ!? 何ですかそれは!?」

 

 

 その力――雷吸収は、雷撃攻撃も含めてだったりする。

 

 事実、とある時代にやらかす破目になった戦いでも、無意識とはいえタコ悪魔が放った雷撃を使用して時間を巻き戻ったのである。

 その力が使用できないようにされている(、、、、、)以上、自分の格上げにしか使えない事は必至。いや、そっちの方が性質悪いのであるが。

 よって、どーせ彼女の事であるから少年を挑発するなりして雷撃系魔法を使わせ(、、、)、わざわざ当たってやって自分の霊力を一時的にブーストさせる気だったに違いない。

 

 

 

 

 「ふふ…ふふふふ……」

 

 「……どないしたんや?」

 

 そんな会話が聞こえているのかどうかは知らないが、唐突に優等生少年がまるで幻想を見失ったかのように力無く煤けた笑いを零した。

 一方のガクラン少年の方もまだ目に力を取り戻してはいないが、その笑いに引き摺られるように問い掛けてしまう。

 問い掛けられた少年は、どこか別の世界を見ているようなハイライトが消えた目のままでそれに返した。

 

 「僕さぁ……

  イギリスじゃ女の人には礼節で当たれとか、守るものだって教わってたんだよね……」

 

 「俺も今まで女には手ぇ上げたらあかん思てきたで……」

 

 「だけどさぁ……」

 

 空の青さが目に沁みるのか、少年の目からホロリと雫が零れ出る。

 

 「麻帆良に来たらさぁ、守るも何も女の人の方が皆してすごく強いんだ。

  まともに勝った例なんて無いんだよねー……」

 

 「奇遇やなー 俺もやー……HAHAHAHA」

 

 そっかー AHAHAHAHAHAHAー と笑い返す少年であるが、その纏う空気はやはり敗走中に山河に対面してしまった落ち武者のよう。

 二人で肩組んで空に向かって笑ってはいるのだが、それは胸筋と腹筋を動かしているだけで楽しさや可笑しさ等からは程遠い。力ないにも程がある。

 

 「魔力を封じられてるのにマスターには手も足も出ないしー」

 

 「古姉ちゃんにはどないやっても拳が完璧に捌かれてまうしー」

 

 「どう魔法込めてもアスナさんのハリセンで一撃で沈められちゃうしー」

 

 「楓姉ちゃんにはおもくそ手加減されてもボコられてまうしー」

 

 「セツナさんのスピードには付いて行けないしー」

 

 「円姉ちゃんには戦り合う前に負かされるしー」

 

 「「夕べのミカミ(姉ちゃん)さんにはムチャクチャされるしー」」

 

 A-HAHAHAHAHAHAHAHA-っと、肩組んで乾き切ったカラカラ笑いを上げる二人を見、明日菜としては涙を禁じえない。

 一緒に鍛練を受けさせてもらっている剣の少女も何だか同情の目で見ているし。

まぁ、彼女は人の限界を天元突破している存在に戦いを教えてもらうという幸運に出会えているので実は余り文句は無かったりするのだが。

 

 それに彼女達はまだマシだとも思っている。

 

 何せ訓練だと言われて『皆の妹』こと“銀スライム幼女”と戦わせられるという破目に陥っていないのだから……

 

 それは確かに訓練だ。命が懸かった猛特訓と言ってよいだろう。

 『相手にばれないように徹底的に手加減し、罷り間違っても泣かせない』というハードモード真っ青の難易度の。

 下手こいて尻餅を付かせる、泣かせるといったポカをかませば特定の女性陣プラス少女人形軍団がで冗談抜きの重装型で出動してくれるだろうし、妹魂兄貴が“兄鬼”に変貌して襲い掛かってくる。

 

 そうならないように「あうー 負けちゃったレス~」と言わせれば成功であるが、まかり間違ってクスンとでも涙を滲ませてしまえば死ぬ。かなりマジに。

 

 それとは別口に小鹿と森の中でバトるというものもある。

 無論、勝てない。

 これは相手は小鹿一匹に見えるがその実森そのものが相手。

 おまけに魔法少年の放つ魔法は電撃系がメインなので属性上効き辛いし、ガクラン少年に至っては精霊集合体を相手にする事となるので存在そのものが格上の相手となる。

 二人にとってものごっつ相性が悪いのだ。

 おまけにこれまた皆に可愛がられている存在なので、傷つけたらドエラい目に遇わされてしまう。

 え? 鍛錬なのに? そんなの理由に入るものか。

 

 酷い理不尽もあったもんだが、これが現実。

 どっちを選ばされてもルナティックレベルの地獄。ノーミスクリアが必須でミスったら即墓場直行ってナニ? ってなモンだ。

 

 だから少女達は思う。

 そんな鍛錬されられてる訳じゃないのだからまだ感謝した方がいいのでは? と……

 何気にこの少女達も認識が歪まされてるような気がしないでもない。

 

 だが、

 

 「せやけど横島さん言よったしなー」

 

 それに彼女が、

 幼馴染の少女が、少年二人にあんな鍛練を課している青年の想いを押している。

 

 それが止めとなって彼女も制止の言葉が浮かばないのだ。

 

 “彼”曰く――

 

 

 『今のアイツは鍛えた力で押す事しかできん。

  手元にある力を汲み変えたり直したりして優位に持っていく事が浮かばなくなっとる。

  前に悪魔ジジイと戦り合ってからこっち、その頭でっかちさに磨きがかかっとるしな。

 

  だから――』

 

 人には越せない壁がある。到達できない位置という存在がある。

 

 だけど例え相手より力が劣る人間でも、戦術や戦略の差でその壁に打ち克つ(、、、、)事もできるのだと。

 それを叩き込まんと、絶対に退けない場で強敵と出会った時に『今の自分じゃ勝てない』といきなり後ろ向きの答を出しかねん。

 

 

 オレがそうだったみたいに――

 

 

 そう呟いた時の感情を擦り減らしたような表情を彼女も見ている。

 

 だからこそ言葉が心に残り、彼女を頷かせるのだ。

 

 「……ですね」

 

 実際、彼女もまたそんな彼の考えには同意している。

 

 何せ彼女には退けない線があるのだから。

 

 自分の隣を“歩いてくれている”少女こそが正にそれで、彼女を守る為には命すら辞さない覚悟がある。

 その程度で助かれば良いが、世界は広い。その程度では届かない世界がある事は京都での一戦で思い知っているのだ。

 だから実のところ、今の鍛練……経験を積みつつ剣を学び、尚且つ地力も上げさせてくれる状況には感謝の念しか湧いていないのである。

 

 「せっちゃんも気兼ね無しに翼出せるようなったしなー」

 

 「そ、それはっ」

 

 「ウンウン。横島さん、羽が生えとる女の子程度にしか思てないしな。

  まぁ、ナナちゃんとLoveLove家族しとるくらいやから当然かもなー」

 

 気兼ね無く“人じゃない”ものを人前で出せる。

 

 そうさせられるだけでも尋常ではない。それがどれ程の進歩を促しているのか本人は全く理解していない。

 

 『人として扱う』等といったレベルではない。

 『丸ごと受け入れて女の子として接する事が普通』という突拍子も無い位置に彼はいるのだ。

 

 そう彼女らを受け入れつつも、それでいて彼女らの為にあえて厳しく鍛えるという面も見せる。

 無造作に全部を受け入れる器と、優しいが故に傷つきそれでも少女らを鍛えられる儚い強さを持つ彼。

 日が経つにつれそれを感じていた彼女は、クラスメイトであり自分を入れて四天王等と称されていた恋愛とは程遠い筈の二人がどうしてあんなにも彼の事を想っているのか、今になって解るような気がしていた。

 

 「そう、ですね……」

 

 だから彼女は、何となく微笑んでそう同意して見せ、抜けるような青い空を見上げながらもう一度『そうですね』と噛み締めるに頷いていた。

 

 

 

 

 ――計画通り。

 

 何故かデッサンを変え、幼馴染の少女に見えないアングルでニヤソと笑みを浮かべている少女が一人。

 

 怪しすぎる彼女に気付かないのだろう、その幼馴染の少女は何だか穏やかな笑みを浮かべている。

 そんな奇行を行っている彼女であるが、実のところは自分の為というよりはその幼馴染の為という意味合いが大きい。

 

 少女は烏族ハーフという秘密があり、自分は長く……つい最近までその苦しみを解ってやれなかった。

 

 麻帆良に来て再会を果たせたものの距離を置かれ、歩み寄っても避けられると言う日々が二年以上も続いていた。

 知らない内に何かしてしまっていたのか? 彼女に酷い事をして嫌われているのではと思い悩み、それでも何とか話をしようと頑張りはしたが無視され逃げられ一歩も歩み寄れもしなかった。

 

 けれど三年になって修学旅行での事件を経て和解。

 数年を経てようや仲直りをして昔のように一緒にいられるようになった。

 

 今だからこであるが、あの京都での一件は確かに怖かったものの、お互いを再認識する事が出来た良い経験だと言える。

 

 そして途中で折れそうになっていた彼女を叱咤して背を押してくれたのが他ならぬ件の“彼”なのだ。

 

 泣いていた自分のそばにやって来て、慰めつつも叱ってくれた彼。

 

 何気ないやり取りをしながら道化に徹して笑わせてくれた彼。

 

 自分達がピンチの時に常識を踏み躙ってでも駆けつけてくれた彼。

 

 そして自分達の為に、他人の為に本気で怒ったり泣いたりする事が出来る彼――

 

 本当に優しい人は傷を受ける痛みを知っている人間だという。

 自分達の悲しさや寂しさ辛さを理解してくれて、反対のベクトルに押し上げてくれた彼はどれだけの過去を持っているのだろう?

 

 そんな彼だから。

 そんな彼だからこそ大切な友達で大切な幼馴染の少女を一生涯支えて包み込んでくれるだろう。

 

 何だか散々苦労はしそうだけど、そこに苦労はあっても不幸だけは無いだろう。

 

 しかしそんな彼を癒し支えられるのも、彼女達のように彼の人柄に触れて理解している人間なのだ。

 

 だから――と彼女は思う。

 あの二人……正確には妹分含む六人だけど……にもう一人入っても良いのではなかろうか?

 言い寄られて彼は泣くかもしれないが、それは決して不幸への道ではないのだから。

 

 武道四天王と言われている二人が太鼓判を押す、彼の力の本質。

 

 ヘタレで臆病で弱虫で痛がりだけど、女の子の為なら無敵となる。

 

 それだけの想いを持ってくれる彼なのだから。

 

 「まぁ、そんなマンガの主人公っぽいトコは女の子の夢やしなー

  ……ちょっと美形とは程遠いんは残念やー」

 

 「? お嬢様?」

 

 何気に(かなり)失礼なコトを漏らしつつ小さく笑みを零す彼女に、その大切な友達が声を掛けてくる。

 そんな幼馴染の不思議そうな顔に『何でもないえー』と笑って返し、遅刻するから急ごと手を差し出す。

 少女はやや恥ずかしそうにしながらも躊躇はせず『ハイっ』と笑顔でその手を取り、肩を並べて走り始めた。

 

 その位置が、

 

 その速度が何より嬉しく、この場にいない彼に心からの感謝の念を送る。

 

 諦めさせないでいてくれて、ホンマにありがとうなぁ……と。

 

 

 

 「……まぁ、見慣れたら親しみ易い顔やしなー 愛嬌あるし」 

 

 

 

 気付けないレベルでスイッチを入れながら――

 

 

 

 

 

 

 

 「「A-HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」」

 

 「えっ!? ちょっ、こっちはほったらかし!?

  ちょっと このかぁ―――っっっ!!!!」

 

 

 自分の担任ともう一人の友人を置き去りに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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            ■二十四時間目:うおっちめん (後)

 

 

 

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 学園祭の日が近寄って来るにつれ、麻帆良の活気はどんどん上がってきた。

 

 

 活気が上がる――という言い回しは日本語としてどうよ? であるのだが、テンションが上がってくるというのとはベクトルが違っていて、普段の学園ならもっと目立たない連中も何気なく超人パワーを見せ付けたりしているのだから、やはり活気が『満ちる』というより『上がる』が近いだろう。

 

 登校風景一つにしても、異次元の光景。

 

 宇宙服姿の者やら恐竜ロボやら、怪獣キグルミ軍団やら仮装集団やら。その多くは大学部の連中であるのだが、見ている側の高等部以下の学生らも感化されていずれは真似てそれ以上を目指すのだろう。

 

 そんなスパイラルでここの学園祭はエスカレートしていったと思われる。

 

 ただ、活気はあるのだがどこか落ち着いており、着々としつつも淡々と整えられてゆく様はちょっと異様。

 規模はそこらのテーマパーク以上であり、開催時の来園者(学“園”だから)数も半端ではない。

 にも拘らず、高等部以上ともなると慣れてると言わんばかりにスムーズに進められてゆくのだからやはりここはおかしいのだろう。

 

 そんな駆け回っている学生たちの人ごみの中、彼らの身体に当たる事も無く、するすると滑るように歩いてゆく者がいた。

 

 その者は女性であり、体格からすると高等部か大学部であるが中等部の制服を着ているのだから女子中学生なのだろう。時期が時期なので仮装が多い為に当てにはならないのであるが。

 

 尤も、実際に彼女は正真正銘の女子中学生であり、少女である。

 

 半眼と言ってよいほど目が細められてはいるものの、周囲の気配を完全に読みきっていて自分以外の氣に触れる事も無く流れるように進む。

 

 人の集団の中ともなると発する気配も半端ではないのだが、余りに自然その気の嵐の中を流れ進んでいるので気付ける者はいないようだ。

 

 言うまでも無いが、少女は楓である。

 

 寮では鳴滝姉妹と同室なので、よほどの事が無い限り三人で登校するのだが、今日はちょっと違う。

 この時期になるとクラスメイトである超一味が朝メニューを整えてくれるので、多くの学生達や教師ら等も<超包子>で朝食をとるのだが、ご多分に漏れず楓らもそこで朝食をとって登校に入ったのであるが……彼女は一人で通学路を歩いていた。

 

 足運びは歩行なのに、どういう訳か走る者達と間隔が変わらない。

 踏み出す一歩が普通ではないのだが、纏っている空気が余りに自然過ぎて気付けないのだ。

 

 そんな年齢度外視の突拍子も無い技を無造作に行いつつ、楓は首を捻っている。

 

 戸惑い……という程ではないものの、伝えられた言葉が胸に深く沈んでおり、それが疑問として燻り続けているのだ。

 

 

 

 

 

 

 「楓……」

 

 「う゛……真名」

 

 寮を出た瞬間、イキナリ声を掛けられれば如何な楓とて緊張もする。相手が真名なら尚更だ。

 何せここの所ずっと珍妙な脅迫を受けていたのだから。

 

 『よけーなお世話でござるっ!!』と何度も何度も(中略)何度も言い続けているのだが、どういう訳かぶっ壊れたCDが如く同じセリフを言いまくり、その余りに破廉恥な内容に周りもはやし立てるものだから酷くなるばかり。

 

 即ち――

 

 「とっとと横島さんと交尾するなり性交するなりして、妊娠するか孕むかしろっ!!

  でないと胃がもたんっっ!!」

 

 というバカ言動ほざきまくられているのだ。

 お前はナニを言ってるんだ? と思わずどこかの格闘家になってしまいそうになった。

 更に一度、某鬼の広域指導員に会話を聞かれて正座&お説教を喰らっているというのに、このトンチキガンナーときたら、

 

 「いや、こいつが男作ったというのに、

  子作りに励まん等とフザケタ事を言っているので説得をしていたんです」

 

 と真顔で言いやがったのである。

 

 このセリフの後に「先生からも何か言ってやってください」とこれまた真顔で言いやがり、流石の鬼の指導員ですらその雰囲気に呑まれて思わず楓を説得しそうになってしまった。無論、直に我に返ったくださったのであるが(当然、直後に大説教大会となった)。

 真名はストレスで胃が破裂するわっっ等とほざきやがるが、楓としてはそんな彼女にムチャクチャ言われ続けているのでストレスでマッハだった。

 

 のだが……

 

 そんな彼女が何時に無く、

 

 

 ――いや?

 

 

 以前の(、、、)静かで鋭い眼差しを向けながら話しかけてきている。

 流石に楓もその空気に直に気付き、何時ものおちゃらけた頭から切り替えた。

 

 「……何用でござる?」

 

 一瞬の間に意識を切り替え、何事~? と首をかしげている鳴滝姉妹を先に行かせて真名に相対する楓。

 

 身体をやや脱力させながらもしなやかさを失わせておらず、不自然なほどまで自然に気配を薄れさせて隙を無くした彼女に、真名は苦笑を禁じえない。

 

 以前より更に鋭くしなやかになっている――

 この事に気付けていなかったのか? 私は……と。

 

 「いや、別に。

  考えてみればここ最近は普通に会話を交わしていない思ってな」

 

 「それは自業自得でござろう?」

 

 「かもな」

 

 確かに。

 

 一番自分の近い実力を持ち、甘さは残してはいるものの表の世界で最強クラスだった。

 

 そんな彼女が男に関わって腑抜けたのが悔しかったのだろうか、とっとと仲を進展させようと、仲を進展させて吹っ切らせ、以前の鋭さを取り戻してもらおうと思っていたのかもしれない。

 

 ところがどうしてどうして。

 このくノ一は以前より力を伸ばしているではないか。

 

 「まったく……

  腑抜けていたのは私の方かもな」

 

 「?」

 

 「独り言さ。気にするな」

 

 今になって考えてみれば、こいつの想い人の人間像は全く掴めていない。

 女に甘く、騙され易く、気が弱くて弱腰で腰が引けてて甘っちょろい。観察しててもそればかりが目立つ。それが全てであり、それこそが本質といっても実のところ間違いではない。

 

 ない、だろうが……

 今述べたものは確かに全てと言っても過言ではないかろうが、極一部という狭い範囲でもあるらしいのだ。

 

 例えば彼は、超能力と言って憚らない<霊能力>とやらの達人で、西の長でもその実力を認めているらしい。

 いや、その話ならとっくに聞いている。聞いていたはずだ。

 尚且つ自分も、彼の突拍子もない部分を目にしていた。

 

 自分らの眼前で、回転ノコギリ宜しく集束させた氣を超高速で回転させ、群がる式どもを切断し、抉り、解体し続けていたのだではないか。

 

 魔力や氣を集束させて剣の様に振るう者はいる。

 

 砲弾のように発射する者もいる。

 

 呪文を唱えてベクトルをコントロールして盾として使う者、同種の力を無詠唱で撃ち出す者もいる。

 

 だが、その全てを同時に無造作に行える者など聞いた事も無い。

 

 そしてそれを目の前で行われたというのに、本人のキャラクターがあまりに奇怪過ぎてそちらに目と意識を奪われ、尚且つこの目の前のくノ一やバカンフーの奇行に苛立たせられてそっちばかりに頭が行ってしまっていた。

 

 不覚、である。

 不覚としか言い様が無い。

 

 「どうかしたでござるか?」

 

 思わず自傷的な溜息を吐いた真名を訝しげに見ていた楓がそう問い掛けるが、彼女は手を振って何でもないと伝えた。

 

 何となく納得しかねている楓の様にまた苦笑が浮かぶ。 

 

 「……なぁ、楓」

 

 「……何でござる?」

 

 だから真名は、

 

 下らないお節介だと思いつつも、

 

 

 「横島さんの事、大事だと思っているか?」

 

 

 ――軽く。

 

 助言にもならぬほどであるが、軽く口出しをしておく事にした。

 

 

 

 下手をすると“最後の助言”となってしまうやもしれぬのだから。

 

 大事なものは無くしてから、切れてから、そうだと思い知るのだから――

 

 

 

 

 「……何だったのでござろう?」

 

 意識は思考に集中しているというのに、小川を流れる木の葉のように障害に触れる事もなく歩く様は、流石は麻帆良の武道四天王と言えよう。

 尤も、思考の内容は色恋沙汰に関する事なので微妙だが。

 

 『本当に大切な男だったら、無理やりにでも手元に留めて事だな。

  お前なら身体を使うのもいいだろうさ。

  どうせあの性格だ。そうなったらお前から離れる事など考えられん』

 

 ぼーっと聞くだけなら何時もの戯言。

 言うに事欠いてナニほざくでござるかーっっ!! 等と普段ならぶち切れ金剛タイムに入るところであるが、よくよく考えてみると内容が少し……いや、何時もとかなり違う。

 今までの真名の言い草……セリフならば『とっとと関係を持ってしまえ』というニュアンスだけで綴じられているのだが、今回の戯ご――助言は意味合いが違っていたのだ。

 

 ――離れたくないのなら、肉体関係を持ってでも繋ぎとめておけ――

 

 やや暈し気味ではあるが、真名はそう言っていたのだ。

 

 だから心に引っかかっている。

 かなり気にしてしまっている。

 

 意味は解らないし、何であんなタイミングで言い出したかも不明であるのだが、あれで彼女は真面目に言っている。自分に対して助言(?)らしきものを行っているのだ。

 

 だが、だからこそ頭に引っかかるものが抜けない。

 

 『……離れてしまう可能性を前提にしている?

  それを拙者に忠告する意図が読めんでござる』

 

 普段の真名であればもっと直接的に言うはずだ。何だかんだでまだるっこしい事を好まないのだから。

 となると、口にし難い理由があって、尚且つその決意が必要な事柄が起こる可能性が高いという事なのか?

 

 「ウーム?」

 

 幾ら首を捻ったところで答えなんぞ出て来る訳がない。何せ情報が無いに等しいのだから。

 

 僅かでも“ありえる”と思える事は、真名が当事者である可能性だ。

 だがそうなるとやっぱり助言をくれる意図が解らない。

 もし煮え切らない態度に呆れ果てたのならそんな事を言う筈もないし、ここんトコはずっと直接的なアクションに及んでいたのだから。

 搦め手に変えた? という気がしないでもないが、それも違う気がするし。

 

 何せ落ち着いて考えてみれば自分も中学三年という身。

 

 尚且つ、もう学園祭すら始まろうという時期であるのだ。だから否が応でも後十ヶ月もしない内に彼のストッパーは外れるだろうから、そうそう切羽詰る話ではな…………

 

 「………」

 

 ぷるぷると頭を振って茹でかかった頭を冷やす。

 

 ほぼ確実に来てしまうその日なんか想像するモンじゃない。

 

 「う゛……」

 

 だが、そう改めて考えてみると、このままなら間違いなく“その日”が来る。

 

 何せちょっとあぶなかった修学旅行中のアレでも、自分らが中学生というカテゴリーだったが為にセーフティーが働いていたのだ。ちょっと危なかったようであるが……

 

 となると必ず訪れる“じょしちゅーがくせー”というカテゴリーが外れた日、自分は――……

 

 

   ボフン……ッッ!!

 

 

 一瞬で赤熱化してしまう楓の顔。

 自分の気持ちをおもっきり自覚させられ(あの時には明日菜に感謝しつつもよけーな事されたとしばらく悶えていた)、中々距離を縮められなかった数日間。

 しかしそれも色々合って乗り越え、彼との間合いに慣れ、距離に慣れ、語り合い(ナナを介したお陰)、じゃれ合い(←同理由)にやっと慣れ、どうにかこうにか最初の頃のように気安く話を出来るようになりはしたものの、考えてみれば“そういう仲”になってゆくと“そういうコト”もしてしまう訳で、

 

 色んなコトで追い詰められ、自分で付けた枷によって据え膳食わされ続けてずっとずっと我慢したりしてた訳だから、横島も手加減してくれるとは思えないわけで、

 

 しかしてそんなコトも嫌ではない訳で………

 

 「う゛う゛……

  は、はしたなくも待っている自分がいるでござるヨ……」

 

 如何に気持ち的にはYesYesYesとエコーがかった声が幽波紋宜しく頭に響き渡っていても、そんな自分にNo――っ!! と頭を抱えてしまう楓。

 大柄の少女が頭を抱えて悶え悩む様はドン引きの一言。

 

 さっきまでの真面目さはドコへやら。周囲も気の毒そうな目で距離を置いてたりするし。

 

 

 結局、このバカタレ忍者のお間抜けな脳ミソに残ったのは、『身体を使って繋ぎ留める』という責任とらせるネタだけだったらしい……

 

 

 

 

        ******      ******      ******

 

 

 

 

 昼休み――

 

 3-Aの少女達は今日もわいのわいのと用意を続けている。

 

 何せ時間が無い。弁当を使いパンとか齧りつつ用意をするくらいじゃないと間に合わないのだ。

 いっそ学園祭まで授業は無いよーんと言ってくれれば良いものを、等と思ってしまうのも仕方が無い。仮にも受験生なのだから、もっと慎めと言いたい。エスカレーター式で余裕ありまくりだからこそ言える事なのだけど。

 

 「昼休み返上で学際準備なんて私達も殊勝だねぇ~♪」

 

 「せやから そーでもせんと間に合わんだけやて……」

 

 切羽詰っているのに妙に呑気に裕奈が布を縫い合わせる。

 実際に時間が無いのだから亜子のツッコミも当然だろう。

 

 それでも余裕が消えないのは、それまでに仕上げる自信がある――のではなく、単に呑気だからというだけであったりする。

 

 「それにしても……コレ、よく出来てるアルな」

 

 「ホンマに猫の耳とって来たみたいや」

 

 「こんなに大きな猫がいたら大変だと思いますが……

  豹くらいはありますよ?」

 

 彼女らが頭に乗せているのは委託して作ってもらった小道具の猫耳である。

 何と言うか……サンプルとして二,三作ってーと言ったら、『ゴメン、調子に乗って三十組作ってもた』と全員分作ってしまったのである。

 ただ、渡された時は白地のものであったのだか、着ける女の子の名簿見つつ(結局、エヴァを除く皆が付けたいーと言ったので全員分)その場で着色し、其々の女の子の頭に合った色に目の前で仕上げてしまったのだ。

 手触りというか毛触りというか、その感触は猫の耳そのもの。カチューシャの部分にも短めに毛が整えられており、それによって頭髪との境目を消している。

 

 そんなモノをリアル三日で仕上げて持ってきた“彼”のド器用さには呆れる他無い。

 

 「これにテグスつけてストラップ(ブラの)にくっ付けたら、

  腕動かす度に耳がぴこぴこ動くそうです」

 

 「その場合の位置やテグスの長さ調整も説明書に書いてるアルな……細かいアル」

 

 「ブラって言い難そうにしとったのはちょっと笑えたわー」

 

 内側が薄桃色で子猫の耳を思わせる何とも可愛らしい猫耳……いや、“ネコミミ”だ。

 茶々丸の頭にすら合うというのだから、その技術の高さもお解りになられるだろう。

 しかしその高い技術も仕事にじぇんじぇん生かせないのが物悲しい。

 

 「この鬼の角がまたリアルやわぁ……」

 

 「材料はラップやトレパの芯て言ってたわね」

 

 鳴滝姉妹とかが面白がって頭につけるのだが、その角はどう見ても本物。

 ラップやトレパの芯を斜めに切断して角度をつけてくっ付けて色塗っただけなのだが、根元の方に装着者の髪と同じ色のしてある毛をつけてあるのだから本当に作り物に見えない。何せ刹那が一瞬、二人は式だったのかと野太刀に手を伸ばしかけたほどなのだから。流石は本物を知るだけはある。

 

 何故かサンプルの中に剣もあるのだが、材料は何とバルサ材。

 表面に砥粉等を塗って凸凹を埋めて磨き、その上にアルミホイルをぴったり貼り付けたらしい。

 

 刃にあたる部分を残し、紙やすりで引っ掻いてツヤを消しているのが金属的なリアルさを増しているのがちょっと心憎い。

 

 「柄も柄頭も100円ショップのバルサなのよね……塗料も100円のって言ってたし」

 

 「デザインに派手さがない分、余計に本物みたいに見えるアル」

 

 「私なんか実際に触れるまで本物かと思ってましたよ」

 

 因みに猫耳の材料なんかボール紙である。

 そこらの安っぽい材料でこんなモン作れるのだから、才能の無駄遣いとしか言えない。

 

 『万能……は、言い過ぎアルが、普段のアホさが目立て実力が読めないアルな』

 

 彼の手書きマニュアルに従ってネコミミにテグスを繋ぎ、首の後ろで糸をクロスさせて左右逆にストラップに繋いでみる。

 クロスさせるのはテグスを見えなくする為。ただ、首の後ろを糸で擦って肌を傷めかねないから薄いシップか何かを貼っておく事とも書かれているからそれに従う。ホントに細かいところに気が付く男である。

 

 繋いでみると、少し動くだけでピコピコ動いて何とも可愛い。

 

 古のように身体にぴったりとしたスポーツブラを着用している者ならもっとダイレクトに動かせる。鳴滝姉妹やら夕映とかはキャミで事足りるので残念な事になってしまうのだが。

 

 「どうしたの? ゆえ」

 

 「……何やら言いようのない侮辱をされた気がするです」

 

 ――まぁ、それは良いとして。

 

 古がちょいと首を廻らせてみると、クラスメイト+1が騒いでいる何時もの光景。

 

 昼休み返上で学園祭の出し物の準備に勤しむ賑やかだけど穏やかな当たり前の光景だ。

 

 その+1はお手伝いに来ている件の彼の妹、ナナ。

 円に子犬のようにくっ付いてくるくる回っているので、甘えるのだか手伝っているのだか判断が難しいが。

 皆の真似だろうかネコミミつけてて何とも可愛らしいので少女達的には超OKなのだけど。

 

 彼女の兄が目にすれば鼻血は必至であろう。尤も、ナナのネコミミはコッソリ出してる自前のモノだったりするのだが気にしてはいけない。

 

 そして別のトコに目を向けると、珍しく取材に出ずに作業に加わっている和美と、そんな彼女にくっ付いてお手伝いをしている さよの姿。

 甲斐甲斐しい、というよりは楽しそうだ。“一緒に作業”というのがポイントなのだろう。

 とすると、和美は さよを『お手伝い』に加えさせる為に作業に加わっているのかもしれない。苦笑しているのが見えるのだからあながち間違っていないのかも。

 

 彼曰く――

 

 『ここに仕掛けられてる認識阻害とかの術には問題がある。

  実のトコ、危険が側に迫ってても気付けなくする事もあるみてぇだからな。

  どんな目に遭っても、怖かったり痛い目見たりしても、

  その時だけで時間が経ったら警戒心が薄らいじまうっポイし。

  まー 下手こいてPTSDとか残すよりはマシって気もするけど、

  「こんな事もあるかもしれない」で終わらせるのは危なすぎる。

 

  だけどオレは気がついた。逆に考えるんだと』

 

 つまり、魔法世界に近寄らせないように張られているある意味邪魔っけなこの結界をそのまま何かに利用できないかという事だ。

 そこで思いついたのが さよへの利用転換。結界の力を使ったさよの確立化だった。

 

 まず、触れられず気付いてもらえずとも さよを行事等に積極的に関わらせて空気に馴染ませる。

 

 そしてゆっくりと『いるような気がする』という認識を絡めさせつつ霊気を強めさせていって周囲に見えるようにさせるのだ。

 後は学園に仕掛けられている呪式が勝手に『幽霊のクラスメイトがいる』と受け入れさせてくれるだろう。

 流石に急激な変化なら異物として認識外にされかねないだろうが、ゆっくりと馴染ませた場合は『こんな事もあるかもしれない』が働いて皆に柔らかく浸透させる筈である。

 

 実のところ、ナナと共にやらせているダンス&ボーカルもその一環だったりするのだ。

 

 祝詞というものがあるように、歌と踊りは霊的な効果を持たせる事が出来る。

 リズムや動きに霊的な力を混ぜればそれなり以上の効果を及ぼすのだ。

 歌って踊る事により霊波を周囲に放てる事を覚えて認識干渉できるようになってゆけるだろうし、皆の注目を集められれば今度はその感情波によって存在力を高められる。

 更に更に、見ている側の彼は眼福であるからマイナス部分が無いとキてるのだから。

 

 理に適ってるというか、反則技と言うべきなのか、はたまた良いのかソレ? それとも素直にツッコムべきかと悩みどころてんこ盛りである。

 一体、一石何鳥を目指そうというのか? 欲張りすぎるにも程があるだろう。

 

 「……その代わり、注目集めたら集めたで、カメコやヲタが寄て来ると思うアルが……

  そしたら兄貴ならぬ兄“鬼”降臨アルな。業が深いというか何と言うか……」

 

 結局は騒動行きか。

 大っぴらに術使うのも問題なのだが、彼に言わせれば『術違うもーん。イッパソ人が勝手に認識に引っかかるだけだもーん。それに霊能力だからカテゴリーは超能力。人前でスプーン曲げたりするのと変わらないもーん』という事らしい。屁理屈にも程がある。

 

 だが古としても、そんなガキっぽい誤魔化し方をする彼に呆れはするものの、反対はしない。

 賛同こそしないものの、得心はできるのだから。

 

 「『女の子一人笑わせる事も出来ん決まりなんぞクソくらえ』か……」

 

 そんな彼のセリフを思い出した古は、我知らず口元に笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 「 ど お … ? 」

 

 「ひぃいっ!?」

 

 SFX……というほどではないが、顔にできものを貼り付けた美砂は中々に古典的な幽霊さを醸し出している。

 イキナリ見せられた風香もかなり怯えているし。まぁ、彼女はこういうものに弱いので当てにはならないのであるが。

 全部が全部彼のお手製、という訳でもなく、自分らで作った物も多々ある。この“おでき”にしてもそうだ。無論、作る上でのポイントとかは教えてもらってたりするけれど。

 

 これもまた例年の学園祭風景であるのだが、どこか違って見えるのは……ちょっとだけ成長した所為なのかしらん? 等と取り留めもない事を考えては微笑が零れる。

 

 「どーしたんレスか?」

 

 そんな円を不思議に思ったのか、お手伝いに来ているナナが下から見上げていた。

 

 「え? あ、ううん。賑やかだなーって思っただけ」

 

 「ああ、そーレスねぇ。楽しみレスー」

 

 ナニがどーそーなのかは知らないが、アッサリと納得したナナは手元の作業に戻る。

 

 所謂衣装の縫い合わせなのであるが、お地蔵さんの涎掛けやら西洋風の衣装やら種類が雑多で統一性がナッシング。それでも班別れをしてキチンと縫ったり張ったり出来ているのだから、何だかんだでまとまりが良いのだろう。

 

 因みにナナがやっているのは型紙を当てて切り取った布地を縫い合わせる作業である。

 

 モノがホラーだからか、布地の使い方がパッチワーク気味であり、きちんと縫い合わせつつもあえて荒い縫い目を作って目立たせるのだ。

 そして出来た衣装のあちこちの色を滲ませたり色抜きしたり、鑢をかけたりして穴を空けたり、ほつれさせたりしてボロさを強調させてゆくのであるが……この娘、何だか異様に縫うのが上手かった。

 

 「ナナちゃんて、お裁縫やった事あるのー?」

 

 その余りの上手さ……少なくとも自分より……に思わず史伽が問い掛けてしまうほどに。

 

 「えへへ お兄ちゃんが教えてくれてるんレス」

 

 「へぇ~」

 

 何と、誰あろう彼女にお兄ちゃん、横島忠夫直伝だというのだ。

 

 どこにどう指をを当てて針を刺すのかとか、布地の繊維に沿った切り方や縫い合わせ方、ボタンの付け方は勿論、ぬいぐるみの腕のような柔らかい布地の塊の縫い付け方までキッチリと教えているらしい。

 

 ドコまでド器用なんだあの男は!? 等と戦慄する少女ら。

 時々、ナナは少女らと一緒にお昼のお弁当を食べるのであるが、彼女が持ってくるその小さな楕円形のお弁箱にキッチリと積み込まれたおかずやらサンドイッチやらを目にしている。

 そのやや甘くした味付けやら彩やらは五月の眼を持ってしても微笑ましく映るほどで、数人の少女らに少なからず敗北感を味あわせていたりするのだ。

 その上裁縫だと? ザけんなバーローっ 似合わんぞボケーっ 等と思うのも仕方のない話である。

 

 が、お裁縫の話を聞いた円は、うっと目頭を押さえていた。

 それだけではない、パーティーカクテル効果だろうか偶然聞こえていた楓や古も涙を堪えるように顔を隠している。そしてエヴァの横に腰掛けてマンガを読みふけっていた零ですら、かなり微妙な表情をしているのだ。

 

 彼女らは同時に思い出したのだ。

 以前、何だか知らないがお菓子作りにまで腕前を見せる横島に問いかけ、返された答えを。

 

 曰く――

 

 『オレ、普通に仕事してた方が餓死しかねんかったんだ……

 

  美神さんに隠れて内職したり、

  魔鈴さんのトコでお手伝いして残り物をもらう以外生命の維持が……』

 

 要するに、生きていく以上は食わなきゃならんのだが、職場の給料がコンビニのバイト以下という信じ難い職場環境であったので、コソーリと内職したり、雇い主が心底嫌っている女性のレストランでバイトしたりして食いつないでいたというのだ。

 

 因みに、何でそんな命知らずにも雇用主が嫌悪している女の店で働くのかというと、おもっきり嫌っているので万が一にもやってくる事がないからだそうだ。

 そこまでしないと仕事を続けられないし、職場を辞めるという選択肢は頭にない以上、そうでもしないと生きていけない。

 

 その結果、生と死のギリギリのラインで続けられた命がけのアルバイト(除霊の仕事以外の方が危ないという謎)のお陰で、バカみたくスキルレベルが上がってしまったらしい。

 

 正に命がけで手に入れたスキルだといえよう。

 彼女らは、そんなアホタレな彼の生き方のバカタレさ加減に涙を禁じえないのである。

 

 しかし、だからと言って――

 

 「……呆れはできても嫌いさせないのは……やっぱ卑怯よね……」

 

 というのもまた事実だったりするし。

 

 

 

 

 

 「ほほぅ……くぎみーがオトコの話ですか」

 

 「 …… っ っ っ ! ? 」

 

 そんな円の直後ろ。

 何だか知らないが邪霊を思わせる異様な感触の霊波が出現した。

 

 横島に鍛えられてはいても円は一般人。ドビクゥッッ!! と怖気が走って反射的にナナを庇いつつ振り返る。

 

 「そこまで慌てる事ないじゃない」

 

 「ゲゲーっ ハ、ハルナ!?」

 

 何という事でしょう。

 鍛えてきた霊力に邪霊として引っかかったのは、彼女のクラスメイトである早乙女ハルナだったのです。

 

 「何時も何時も人間離れしてたと思ってたけど……

  まさか邪霊だったとは……」

 

 「あれあれ? 何だかヒドイ言い掛かり掛けられてる気がするよ?」

 

 「気の所為よ」

 

 唐突に庇われて訳が解らず、ふぇ? と驚いているナナを背に隠しつつ、円は来るなら来いと威嚇しながら身構える。

 

 その雄々しさ、正に雌虎の如し。

 

 可愛い妹分を守る為に全力を尽くそうという心根を背中から噴き上がるオーラが語っていた。

 その母性本能というか姉性本能には流石のエヴァ一味も『ほぅ?』と感心してしまう程だ。

 

 「………あの……何か私の扱い、酷くない?」

 

 無論、当のハルナは置いてけ堀に。

 

 「何言ってんのよ。正当な評価よ?

  大体、気配消して後ろからにじり寄って鼻息荒くされたら警戒もするわよ!

  何? ナナちゃんにイタズラしようっての!? 退治するわよ!?」

 

 「誰がするかっ!!

  つーか、何時私が鼻息荒くしてたって言うのよ!?」

 

 「何? 無自覚? サイテー」

 

 ちょっ、まっ、ね、ねぇっ こんなコト言われてるんですけどーっ!? とハルナが同じクラブのメンバーに眼差しで救いを求めるも、夕映は『豚カツドリンク ぬるぽ味』と表記されている謎ジュースを啜っていてガン無視しているし、のどかはあわあわと慌てていてフォローのフの字も感じられない。木乃香に至っては笑うだけだ。

 

 如実に同じ印象を持っている事を語っていた。

 

 「ホラ 皆もそー思ってるじゃない」

 

 「うおーいっ!? ちょっと酷くない!?

  私、人格を誤解されまくってる!?」

 

 「“理解”でしょ?」

 

 「うっさいっっ!!」

 

 そのKYさと傍若無人さで定評のあるハルナが、円の冷静なツッコミでタジタジである。

 

 文科系のクラブのくせに登山部並みの体力を必要とする図書館探検部。

 この学園都市の中でもかなり非常識な部類であるクラブであり、当然ながら活動を続けられるのはクセのある生徒のみだ。

 

 のどかや夕映ですら、そこらのロッククライマーより垂直壁の昇降が上手いのだからその非常識さも理解できるだろう。

 そんな一癖も二癖もある部員らの中でもノリの一発勝負を体現したかのような少女がハルナであり、機転というか悪知恵の速さでは定評があるというのに、チアリーディング部員の口撃でボロボロにされている。

 

 コレも成長なのかと楓らは妙な感心もしてみたり。

 

 しかしそこは早乙女ハルナ。言われっぱなし終わるほど軟な生き方をしていない。

 

 「大体、くぎみんが悪いんでしょーに!!」

 

 「責任転換はよしてよ」

 

 「なによーっ

  作業中にオトコのこと考えてニヘニヘしてたら誰だって気にするわよ!!」

 

 喰らったカウンターは痛かった。

 円の頬をズパンッと音を立てて見事に左ストレートを喰らってしまったのだ。

 

 「 だ ……っ ! ?

  スーハー スーハー

  誰が……横島さんのこと考えてたって……?」

 

 しかしそこは今の円。

 伊達にエヴァや零と会話し続けきた訳ではない。

 軽く小さく深呼吸をしただけで即行で冷静さを取り戻したのだから。

 

 だが、相手はメガネ魔神と謳われている(?)ハルナである。

 

 糸を見つけたら勢いは止まらない。

 

 「ほぅ横島さん(、、、、)

  横島さんでスかー

  お相手はナナちゃんのお兄さんですかー 成ーる程ー」

 

 「 …… ぐ ぅ っ ! ? 」

 

 あちゃー…と顔を覆う楓と古(と、零)。

 そこで詰まってしまうところがまだ青いと言えよう。当たり前であるが。

 

 「なーるほどー 楓ちんとくーちゃんと想い人が同じですかー

  だったら悩むよねー」

 

 詰まった瞬間、形勢は逆転。一気に攻勢に入るハルナ。

 ついでに余波を喰らってしまった二人は同時にナニかを吹き出してしまっていたが。

 

 「ちょ、まっ、ハ、ハルナ殿!?」

 

 「な、何で私たちの名前が出るアル!?」

 

 「ふふん 私が知らないと思ってんの?

  大体、横島さんの話が出た途端には乙女な顔してはにかむじゃないの。

  それで気付かなきゃ節穴よ。チョコの銀紙丸めて突っ込んでた方がマシなくらい」

 

 「お、乙女って……せ、拙者が?」

 「えと、は、はにかんでるアル……か?」

 

 怯む武道四天王の二人と円を前に、すっかり調子を取り戻したハルナはチッチッチッと指を振って見せる。

 

 もう追い詰められた状況の影すら残っていない。

 

 おまけに意外過ぎる伏兵すらいた。

 

 

 「? あれ?

  でも楓お姉ちゃんとくーお姉ちゃん、お兄ちゃんとちゅーしたんレスよね?

  円お姉ちゃんもお兄ちゃんにホレされろって言ってたレスし……

  円お姉ちゃんはまだ好きじゃないんレスか?」

 

 

 ピキーンと凍りつく空気。

 

 いっそ清々しいほどの暴発である。

 

 円なんぞのっぺらぼう宜しく表情をなくして真っ白だ。

 

 当のナナはサッパリサッパリの様で首を捻るばかり。その無垢々々さが恨めしい。

 

 

 「「 楓 姉 ー ? 」」

 

 「「「 く ー ふ ぇ ー ? 」」」

 

 

 当然、その件は聞いてなかっただろう少女らの、平べったい声が引き金だった――

 

 

 「「「「「「「 ち ょ っ と そ の 件 を 詳 し く ー っ っ ! ! 」」」」」」」

 

 「御免でござるーっ!!」

 「黙秘ーっっ!!」

 「勘弁してーっっ!!」

 

 

 

 

 

 結局、どたどた走り回るだけで終わってしまった昼休み。

 

 騒ぎを振りまいたナナは何でそうなったか解らず『?』マークを頭に浮かべたまま兄の元に駆けて行き、零は逃げ回る三人を見ながら爆笑していた。

 楓や古も修学旅行前の様に問い詰められて心労でぐったりしているし、円も当然力尽きている。

 

 恋バナがメインであったものの、何時ものクラスの騒動であり、何時ものノリだ。

 午後の授業にやって来たネギも力尽きた三人に驚いているけど。まぁ、些細な事だし。

 

 

 そんな光景を見ながら、超は静かに微笑んでいた。

 

 ここに来て二年。

 

 たった二年。僅か二年だ。

 

 その間にこんなに見慣れ、この空気がこんなにも楽しいと感じてしまうとは思わなかった。

 

 これに関しては、嬉しい誤算と言えよう。

 

 

 しかし、超は思う。

 

 だが、と仮想する事がある。

 

 ――もし(、、)、世界樹に異常がなければ。

 

 もしも、それに気付かなければ。

 

 或いは“あの晩”に彼の力を見ず、正気に返らなかったら……

 

 

 

 いや……と頭を振って、不毛なIFを否定した。

 

 何の為にここにいるのか、何を背負って何を覚悟してここにいるのか忘れてはいけないのだ。

 

 だからこそ――と、超は眼前の子供教師に眼を向ける。

 

 「この試練。越えられるカ? ご先祖様……」

 

 

 

 

 そして、

 

 

 

 

 「アナタはどう動くかネ? 横島サン……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃――

 

 

 「やっぱ、あの樹を中心にして力溜まりがあんなぁ……」

 

 『霊脈の出口に近いものがあるな。

  しかし、往来のド真ん中ではないか。それは学園側も対処に困るだろうな』

 

 「ぴぃ?」

 

 「うん。

  運悪く直撃したらその魔力に酔い潰されておかしくなんだろうなぁ」

 

 『確率的には無いに等しいが、魔力を受けて魔法使いになりかねんしな』

 

 「そんな場所が何ヶ所も……そりゃ堪ったもんじゃねぇだろーなぁ」

 

 「ぴぃ~?」

 

 「先生らには世話ンなってるしな。ま、どーにかするさ。

  美神さんに肖ってやってみっか」

 

 

 

 

 

 等と柄にもない親切心を空回りさせようとしていた。

 

 

 

 ――人、それをありがた迷惑と言う。

 

 

 

 




 毎度言ってますが、ヒロインは楓≧古≧円=零という順で、その後ろから数人が付いてきます。
 結局ハーレムかよ?! とツッコまないでください。たのんます。
 ナナやさよ“等”は妹ポジションなので別ベクトルで楓とどっこいどっこいです。未来的にどーなるかは兎も角ww

 今時間目は何のネタも無いようでいて、実はある前フリの為に必要でした。実に色々と。
 ラストのアレは一番解りやすいネタでしょうがww

 私の方の超は正気に戻った事をちょっとだけ……あくまでもほんのちょっとだけ、後悔してます。だけど計画を起こす事に躊躇はしませんし、止めるつもりもありません。本心から命がけです。
 真名は真名で、計画の成功確率云々を横に置いて、プロなのにやってみたいという自分の意志に負けて、ゼロじゃないというだけの低すぎる可能性に賭けてますし。
 そうまでしてやりたい、やろうとしているのを表現できるかどうかが難しいところですね。いやホントに……

 がんばって表現しようとしてたんですけどねー 原作のラストの方の超ちんが……いや言うまい。

 次から本格的に学園祭イベント。
 デート編とかも必要だなぁ(意味あります)。
 結局は超と関わる事になるでしょうし。

 ともあれ続き見てのお帰りです。
 ではでは~

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