舞翼です!!
いや~、今回は早く投稿できました(^◇^)
今回は短めですね。
誤字脱字があったらごめんよ。
それではどうぞ。
ALOで聖剣エクスキャリバーを入手した後、世界樹に続く螺旋階段に送ってくれたトンキーに手を振って別れ、央都アルンまでの長い螺旋階段を駆け上がり、それから新生アイングラッドの第22層の《森の家》で全員ログアウトした。
俺はリアルに戻ったあとエギルに連絡を取り、午後三時に≪
俺は必要な道具類をハードケースに詰め、外に出た。
「「「遅い~」」」
「ごめんごめん」
俺に尖らせて抗議してきた人物は、木綿季と藍子、直葉だ。
今日は人数が多いという事で、電車で都内を目指す事にした。
「じゃあ、行くか」
それから四人は横一列になり、目的地に歩き出した。
歩いている途中で、直葉が藍子に問いかけた。
「そういえば、藍子さんとお兄ちゃんって、どういう出会い方をしたんですか」
藍子は記憶を遡るように、顎に右手を当てた。
「そうですね、木綿季の紹介で出会いましたね。 あの時の和人さん、言葉が物凄い詰まってましたよ」
「ね~、あの時の和人は、コミュ障を発動させていたからね」
木綿季と藍子は、微笑みながら答えていた。
俺は顔を少し赤く染めた。
「あの時は緊張しててな……。――それに、二人には感謝してるよ。 あの時から、俺を支えてくれて」
「どういたしまして、和人」
「どういたしまして、和人さん」
それから四人は駅へ向かった。
埼玉県川越市からエギルの店がある御徒町まで、急行を使えば一時間も掛からない。
午後二時過ぎに《Dicey Cafe》のドアを開けた時、先に到着していたのは家が近場の詩乃だけだった。
忙しく料理の仕込みをしている店主に挨拶をしてから、運んできたハードケースから、四つのレンズ可動式カメラと制御用ノート型PCを取り出す。
木綿季と藍子、直葉にも手伝って貰ってカメラを店内四ヵ所に設置する。
市販のマイク内臓ウェブカメラを、大容量バッテリーを駆動及び無線接続できるように改造したものだ。
カメラをノートPCで認識し、動作確認を取ってから、川越の自宅にあるハイスペック据え置き機にインターネット経由で接続し、小型ヘッドセットを装着する。
「……なに、それ?」
眉を寄せる詩乃に、俺は笑みを浮かべた。
俺は此処に居ない、ユイに話し掛けた。
「見てからのお楽しみだ。 どうだ、ユイ?」
『……見えます。 ちゃんと見えるし、聞こえます、パパ』
俺のイヤホンと、PCのスピーカーからユイの可憐な声が響く。
「OK、ゆっくり移動してみてくれ」
『ハイ♪』
返事に続いて、一番近くのカメラの小口径レンズが動き始める。
現在ユイは、この《Dicey Cafe》のリアルタイム映像を疑似3D化した空間で、小妖精のように飛翔していると感じているはずだ。
だが、画質や応答性が低い。 その辺が今後の課題になるだろう。
「……なるほど、つまりあのカメラとマイクは、ユイちゃんの端末……感覚器ってことね」
詩乃の言葉に、俺ではなく直葉が頷く。
「ええ。 お兄ちゃん、学校でメカ……メカトニ……」
「メカトロ二クスですよ。 直葉さん」
と、藍子が答えた。
「そのコースを選択してて、授業の課題で作ってるんですけど、完全にユイちゃんのためですよねー」
『がんがん注文してます!』
あはは、と笑い合う四人に、俺はジンジャエールを啜りながら反論する。
「そ、それだけじゃないぞ! カメラをもっと小型化して、肩とか頭に装着できるようになれば、どこでも連れて行けるし……。 でもまぁ、俺の目標はもっと先にあるけど」
「和人は、ユイちゃんを現実世界に展開しようと考えているんでしょ?」
木綿季の問いに、俺は頷いた。
「だな。 ユイを現実世界に展開して、三人で暮らすのが今の目標だからな。 絶対に展開をして見せるさ」
「……あんたって、筋金入りの親バカね」
「木綿季も親バカですよ」
「お兄ちゃんと木綿季ちゃんは、ユイちゃんのこと物凄く可愛がってますからね」
詩乃、藍子、直葉と続いた。
そうこうしていると、明日奈、
それから全員が席に着き、飲み物が注がれたグラスを片手で掲げ――。
「祝、《聖剣エクスキャリバー》と《雷槌ミョルニル》ゲット! お疲れ、二〇二五年!――乾杯!」
「「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」」
という俺の省力気味の音頭に、全員が大きく唱和した。
♦♦♦♦♦♦♦♦
談笑しながら、左隣に座る木綿季がしみじみ言葉にした。
「この一年は、色んな事があったね……」
「確かにな。 約一年前にSAOをクリアして、ALOから藍子と明日奈の救出、それから数か月後に死銃事件、今回の聖剣エクスキャリバーの入手。 うん、濃い一年だったな。 不躾だが、SAO事件や死銃事件があったから、木綿季や皆と出会えたんだよな」
皆もうんうん、と頷いていた。
「まぁ、辛いこともあったが、凄く充実した一年だったよ」
「ボクに取っては、これからの人生を決める一年だったよ」
「……そういえば、思っていたことがあるんだけど」
右隣に座る詩乃がそう呟いたのは、一時間半かけてテーブルのご馳走があらかた片付いた頃だった。
「どうして《エクスキャリバー》なの? 大抵は《カリバー》でしょ。 《エクスカリバー》」
「詩乃さん。 その手の小説とか読むんですか?」
詩乃の向かいに座っていた珪子が訊ねると、詩乃は照れ臭そうに笑った。
「中学の頃は、図書館のヌシだったから。 アーサー王伝説の本も何冊か読んだけど、訳は全部《カリバー》だった気がするなぁ」
「うぅーん、それはもう、ALOにあのアイテムを設定したデザイナーの趣味というか気まぐれというか……」
情諸のない俺の反応に、藍子の左隣に座る明日奈が苦笑いをした。
「たしか、大本の伝説ではもっと色々名前があるのよね。 さっきクエストじゃ偽物扱いされてたけど、《カリバーン》もその一つじゃなかったかしら」
明日奈の説明に、俺の向かいに座る藍子が答えた。
「あの剣には色々な呼び方がありますよ。 基本的には“エクスカリバー”。 ALOで使われていたのが“エクスキャリバー”。 スィアチが偽のクエストで与えようとした“カリバーン”、または“キャリバーン”。 主な所では、“カレドヴルフ”、“カリブルヌス”、“カリボール”、“コルブランド”、“エスカリボール”等がありますね」
「藍子さんって、神話に詳しんですね」
珪子は、藍子が次々上げた例に驚いていた。
まぁ、他の皆も似たようなものだが。
すると、再び詩乃が口を開いた。
「まぁ、別に大したことじゃないんだけど……《キャリバー》って言うと、私には別の意味に聞こえるから、ちょっと気になっただけ」
俺が詩乃に聞いた。
「へぇ、意味ってどんなのがあるんだ?」
「銃の口径のこと、英語で《キャリバー》って言うのよ。 例えば、私のヘカートⅡは50口径で《フィフティ・キャリバー》。 エクスキャリバーとは綴りは違うと思うけどね」
一瞬口を閉じた詩乃は、ちらりと俺を見てから続けた。
「……あとは、そこから転じて、《人の器》って意味もある。 《a man of highcaliber》で《器の大きい人》とか《能力が高い人》」
と、話を聞いていた皆の視線が、俺に集中した。
「え、なんだ」
「ってことは、エクスキャリバーの持ち主はデッカイ器がないとダメってことよね。 なんか噂で、最近どこかの誰かさんが、短期のアルバイトでどーんと稼いだって聞いたんだけど」
里香にそう言われ、俺は肩を落とした。
「はぁ、ここは俺が持つよ」
総務省の菊岡から、《死銃事件》の調査協力費が振り込まれたのは、まさに昨日のことだ。
しかし、すでにそれを当てにして、ユイの据え置き機パワーアップ用のパーツを色々――あと直葉のナノカーボン竹刀も発注済みで、残高は早速かなり寂しいことになっている。
「お、キリの字太っ腹じゃねか!」
本日の支払いを請け負うと、クラインが乗り気で言い、他の皆からは盛大な拍手と口笛が響いた。
手を挙げてそれに応えながら、俺は内心で考えていた。
SAO、ALO、GGO三世界での経験を通して、人の器なるものについて何かを学んだとすれば、それは《一人では何も背負えないはしない》ということだけだ。
どの世界でも、俺は何度も挫けそうになりながら、多くの人に助けられて如何にか歩き続けられたに過ぎない。
愛する人がいて、家族がいて、心を支えてくれる仲間がいる。
今日の突発的冒険の展開こそ、まさにその象徴的だったのではないか。
だからきっと、俺の――いや皆の《キャリバー》とは、仲間全員で手を繋いでいっぱいに輪を作った、その内径を指すのだ。
聖剣エクスキャリバーは、仲間たちの為に使おう、俺は心にそう決めた。
「よし! じゃあ、もう一回乾杯をするか!」
俺の二度目の乾杯の声に、皆も片手にグラスを掲げ、軽くぶつけ合った。
キャリバー編 ~完結~
今回の話でこの小説の本編が完結しました!!
これまで、この小説を読んでくれた読書の皆さまのおかげです!!
ありがとうございます!!
後、この小説の明日奈さん親子は仲違いはしてませんよ(^O^)
さて、本編は終わりましたが、これから後日談に入ります(^O^)/
まだ続きますが、これからもこの小説、『ソードアート・オンライン~黒の剣士と絶剣~』をよろしくお願いします!!
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ご意見、ご感想、評価、よろしくお願いします!!