ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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どもっ!!

舞翼です!!

頑張って書きました。

今回はご都合主義発動です(笑)

誤字脱字があったらごめんよ。

それではどうぞ。


第77話≪BoB本戦前≫

二、三回戦も順調に勝ち進んでいった。

俺の決勝の相手はシノン。

ユウキの決勝の相手はボロマントに決定した。

俺は心配になり、ユウキに声を掛けた。

 

「なぁユウキ」

 

「んー、どうしたの?」

 

「本戦の出場権を手に入れたんだから、無理に戦わなくてもいいぞ」

 

「大丈夫だよ。 ボロマントさんを探るいい機会だしね」

 

俺は暫し沈黙してから答えた。

 

「……わかった。 無茶だけはするなよ」

 

「うん、無茶はしないよ」

 

この会話を終えた数秒後に、俺たちの体を青い光が包み込んだ。

 

 

Side ユウキ

 

ボクは今、暗闇の中に浮かぶ一枚の六角形の上に立ち、上部に映る薄赤いホロウインドウを見詰めている。

其処にはボクの名前と、ボロマントさんの名前が浮かび上がっている。

上部には【yuuki vs Sterben】、下部には【準備時間:残り30秒 フィールド:失われた古代寺院】と表示されてる。

ボクは主武装《ムラサメ・斬》、副武装に《FN・ファイブセブン》を装備した。

 

「う~ん、スティーブンって読むのかなー??」

 

カウントがゼロになって、ボクは黄昏の空の下に転移した。

上空では黄色い雲が千切れんばかりに流れ、傍らには巨大な柱が崩れ落ちている。

昔に滅びた神殿といった所だね。

周りを見渡しながら慎重に進んで行くと、ボロマントさんが居た。

ボクとの距離は、約三五メートル位かな。

ボクは《ムラサメ・斬》を腰のベルトから外し、青色に輝くプラズマの刃を伸ばした。

光剣を下げながら、残り五メートルという所まで近づいた。

ボクは話し掛けた。

 

「何で武器を構えないの?」

 

「本戦出場は、決定した。 これ以上戦っても、無意味だ」

 

本戦には出れるから、ボクとの勝負は如何でもいいってことかな??

何か、ちょっとむかつく。

 

「じゃあ、斬っていいかな??」

 

「……似てる。 黒の剣士の相棒、絶剣に」

 

――ボロマントさんは、圏内事件で遭遇した《笑う棺桶》の誰かだよ。

あそこに居たのは、PoH、ジョニーブラック、赤目のザザだよね。

じゃあ、三人の中の誰かなの??

でも、情報が少なすぎるよ……。

これは和人と相談しないとね。

 

「じゃあ、バイバイ」

 

ボクは体に染みついたスキル。

片手剣ソードスキル、《バーチカル・スクエア》放った。

 

「……やはりお前は、黒の剣士の……ククク……」

 

この攻撃を受けて、【Dead】の文字が浮かび上がった。

ボクは《ムラサメ・斬》を左右に振ってから、光剣のスイッチを切る。

光剣を右手に持ちながら、地面に座り込んでしまった。

 

「……大変な事になってきちゃったよ」

 

視界の上には、勝者のホロウインドウが表示された。

ボクは青い光に包まれ、控え室に戻った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

俺が転移された場所は、どこまでも一直線に伸びる高架道、その先で真っ赤な夕日。

《大陸間高速》ステージだ。

俺は大声で叫んだ。

 

「なぁシノン。 決闘スタイルで勝負を決めないか?」

 

すると、俺の真横を弾丸が通り過ぎた。

次いで、弾丸が道路に着弾し大きな爆発音。

OKという合図だな。

シノンはバス中から姿を現し、歩き出した。

俺も柱から姿を現し、歩き出す。

シノンとの距離が、残り約三メートルといった所で停止した。

 

「私も決闘スタイルがいいわ。 どうせチャンスは一度きりだったもの」

 

「そうか。 なら最高の勝負をしよう」

 

俺は左腰のホルスターから《FN・ファイブセブン》抜き、スライドを引く。

排出された弾丸を空中でキャッチしてから、シノンに言った。

 

「俺が十メートル離れて、シノンはライフルを、俺は剣を構える。 で、この弾丸が地面に落ちたら決闘スタート。 どうかな??」

 

シノンは驚きを通り越して、呆れていた。

 

「あんたバカなの。 たった十メートルからなら、このヘカートの弾は絶対に当たるわ。 私のスキル熟練度とスターテス補正、それにこのヘカートのスペックが重なるから、システム的に必中距離なのよ。 光剣を動かす暇もないわよ。 あなた自殺願望者なの??」

 

「まぁまぁ。 勝負はやってみきゃ判らないだろ」

 

俺は笑みを浮かべた。

 

「はぁー、解ったわ。 それでいいわよ」

 

「俺は十メートル離れるから、その間撃たないでくれよ」

 

今頃観客たちは、首を捻っているだろうな。

『あの二人は何やってるの』ってな。

俺は十メートル離れた所に立ち、シノンに向き直った。

シノンも銃撃の構えを取っている。

俺も光剣を左腰のベルトから取り外し、親指でスイッチをスライドさせ、紫色のエネルギーの刃を伸長させた。

俺のシノンの間で、緊張感が張り詰めていく。

 

「……じゃあ、行くぜ」

 

左の指で握った弾丸を弾く。

空に舞い上がり、ゆっくりと落ちてくる。

俺はその間に腰を落とし、右手で握っている光剣をやや下向きに垂らした。

弾丸がゆっくりゆっくりと、回転しながら落ちてくる。

落ちた瞬間、ヘカートからオレンジ色の炎が迸った。

俺は雷閃のように光剣を振った。

輝く小さな弾丸が二つに、左右に分かれて後ろに飛んでいった。

 

俺が今行ったことは、光剣を斜めに斬り上げ、己に向かってくる弾丸を斬った(・・・)

左右に分かれた弾丸が道路に着弾し、凄まじい爆発音が起こった。

俺は突進し、シノンの背後に回り光剣を喉元で停止させた。

沈黙が支配し、プラズマの振動と風の音だけが聞こえた。

シノンが囁いた。

 

「……ねぇ、どうして私の照準が予測できたの?」

 

「スコープのレンズ越しでも、君の眼が見えたから」

 

つまり――視線。

視線を読み、弾道を予測した。

シノンは唇を震わせ、

 

「貴方は、その強さを何処で身に付けたの……」

 

俺は暫く沈黙してから、

 

「これは強さじゃない。 ただの技術さ」

 

「嘘よ。 嘘よそんなの。 テクニックだけでヘカートの弾を斬れるはずがない。 あなたは知っているはずよ。 私にもその強さを教えて。 私は……それを知るために……」

 

一拍置いてから、言葉を発した。

 

「俺は強くなんてない、むしろ弱いさ。 ただ俺は、強くあろうと頑張っているだけさ」

 

「……何で、そんなこと」

 

「……俺には、守りたい人たちが居るからかな」

 

俺は小さく首を振った。

 

「――さて、この勝負は俺の勝ちでいいかな?」

 

「え……あ、その、ええと……」

 

どうやらシノンは、気持ちの切り替えが出来ていないようだ。

俺は顔を近づけて、

 

「降参してくれないかな。 女の子を斬るのは好きじゃないんだ」

 

シノンは俺の言葉を聞き、現状を再確認したようだった。

この光景が待機ドーム、総督府ホール、グロッケン中に生中継されていることに。

シノンは顔を赤く染めて、

 

「…………あんたともう一度戦うからね。 明日の本戦、私と遭遇するまで絶対に生き残るのよ」

 

それからぷいっと顔を背け、『リザイン!』と叫んだ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

試合が終了し、俺は控室に転送された。

俺の眼の前で、ユウキが微笑んで立っていた。

 

「おう、お疲れ」

 

「うん、お疲れ」

 

ユウキは真剣な表情になり、

 

「――帰ったら重要な話があるんだ」

 

「……まさか、ボロマントのことか?」

 

ユウキは頷いた。

ユウキは気持ちを切り替えて、

 

「さっきの試合見たよ。 凄かったね。 あそこから銃弾を斬るなんて」

 

「お前も、やろうと思えば出来るぞ」

 

「最後、シノンと何を話していたの」

 

「ああ、俺の強さのことだ。 でも、俺は強くなんかない。 皆が支えてくれるから強く居られるんだ」

 

ユウキは、俺に体重を預けてきた。

 

「ボクも同じだよ」

 

「…そっか」

 

「明日の本戦に備えて、今日はログアウトしようか??」

 

「ああ、そうしよう」

 

俺たちは右手を振って、ウインドウを出現させた。

それから下部に表示している、《Log Out》ボタンに触れた。

俺たちは現実世界に帰還した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

《第三回バレット・オブ・バレッツ》の予選を通過し、本戦まで駒を進めた俺たちは、ログインしていた御茶ノ水の病院から自宅に戻った。

今の時刻は、夜の11時を回っている。

 

「「……た、ただいまー……」」

 

家の中は静まっていた。

家族全員が就寝しているのだろう。

俺たちは、抜足差し足で二階に上がった。

部屋に入り、ベッドに腰を掛けた。

 

「……決勝で、何かあったのか」

 

「……うん。 あのボロマントさんとボクたちは、SAOの世界で会っているよ」

 

「ッ!?……そうか。――でも、誰だか判らないよな」

 

「ううん、大体の予想は出来ているんだ。 ボロマントさんは、ボクと和人のことを知ってた。 ボクが会った《笑う棺桶》のメンバーは、圏内事件で遭遇したメンバーだけなんだ」

 

圏内事件で遭遇したメンバーは、幹部メンバーだったはずだ。

PoH、ジョニーブラック、赤目のザザ……。

本戦で、実際に言葉を交わして戦えば判るはずだ。

本戦は予選と違い、危険がある。

俺は無意識に口を開いていた。

 

「木綿季。 明日の本戦k「大丈夫だよ」」

 

『棄権してくれ』と言う言葉は、木綿季が優しく遮った。

 

「ボクは和人と一緒に戦うよ」

 

暫しの沈黙が流れた。

木綿季の瞳には、強い意志が込められていた。

 

「……わかった。――俺の傍を離れないって約束してくれ」

 

「約束するよ。 ボクは絶対に和人から離れないよ」

 

それから俺たちは、就寝の支度をしてから眠りに就いた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

次の日の朝。

昼食のテーブルで、向かいに座る直葉に、最大級の笑顔と共に呼びかけられていた。

 

「お兄ちゃんっ、木綿季ちゃんっ」

 

俺と木綿季は同時に思った。

『嫌な予感がする』と。

 

俺と木綿季は箸を止め、

 

「と……突然何だよ、スグ?」

 

「ど、どうしたのスグちゃん?」

 

直葉が隣の椅子から取り上げた物を見て、俺たちの嫌な予感が的中した。

取り出した物は最大級のVRMMOゲームの情報サイト、《MMOトゥモロー》のニュースをコピーしたA4版のプリント用紙だ。

直葉はプリント用紙を突き出し、

 

「あのね、あたし今朝、ネットでこんな記事見つけたんだけどね?」

 

プリント用紙の上部には、【ガンゲイル・オンラインの最強者決定バトルロイヤル。 第三回《バレッド・オブ・バレッツ》、本大会出場プレイヤー、三十人決まる】と書いてある。

 

下部に書かれていた大会出場者名の【Fブロック一位:kirito(初)】、【Cブロック一位:yuuki(初)】の文字が、黄色のラインマーカーで印が付けられていた。

 

「へ、へえー、似たような名前が居るもんだなぁ」

 

「う、うん、似たような名前だねー」

 

直葉は顔をニコニコ微笑ませて、

 

「二人とも似たようじゃなくて、全く同じ人だよね」

 

俺たちは視線を逸らした。

 

「まぁ、うん」

 

「同じ人……なのかな」

 

直葉はニコニコ笑っているが、内心では怒っているだろう。

俺たちが勝手にALOのアバターを、GGOの世界にコンバートしたことを。

いや、コンバートして正解だったかもしれない。

銃の世界には、因縁がある《笑う棺桶》のメンバーが存在しているのだ。

 

「……二人とも、また難しい顔をしてる」

 

直葉はプリント用紙をテーブルに置き、

 

「……あのね、本当はキリト君とユウキちゃんが、ALOからGGOにコンバートしたことを知っていたの」

 

「「えっ」」

 

「だって、フレンドリストから二人の名前が消えているのに、あたしが気付かないわけがないでしょ」

 

俺と木綿季は首を縮めた。

 

「あたし、昨日の夜に二人が消えていることに気付いて、すぐにログアウトしてお兄ちゃんたちの部屋に突撃しようとしたんだ。 でも、お兄ちゃんたちが私に何の連絡も無く、ALO居なくなるなんて有り得ないもん。 事情があるんだと思ったから、ALO内で、アスナさんとランさん、ユイちゃんに聞いたんだ」

 

俺たちはALOからGGOにコンバートすることを、事前に二人と愛娘であるユイには伝えてあったのだ。

直葉は、三人からALO内で話を聞いたんだろう。

直葉は囁いた。

 

「ねぇ、二人とも何処にも行かないよね……。 嫌だよ、二人が何処かに行っちゃうなんて……」

 

「ああ、大丈夫だ。 GGOの大会イベントが終わったら、必ず帰るよ。 ALOと……この家に」

 

「約束するよ。 ボクと和人は、必ず帰るよ」

 

「……うん」

 

直葉の声は弱かった。

再び椅子に座り直した直葉の顔は、何時もの笑みが戻っていた。

 

「さぁ、冷めちゃうよ。 食べよう」

 

「「おう(うん)」」

 

必ず帰る、この家に。

 




ユウキちゃんと死銃さんが戦いましたね。
てか、名前を絞り込んだね。

和人君はやっぱり危険だと思ったから、棄権という言葉を発したということで。
ご飯の時は、木綿季ちゃんも同じことを考えていたんでしょうね(笑)
何処かでシノンの過去の話書くね。

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