ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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どもっ!!

舞翼です!!

ふー、書きあげたぜ。
疲れたー。

後半は少しアレンジしたよ(笑)

誤字脱字があったらごめんよ。

それではどうぞ。






第60話≪蝶の谷へ≫

サラマンダーとの戦闘が終わり、俺たちは並んで《鉱山都市ルグル―》の城門を潜った。

街の中は武器や防具、各種の素材、酒や料理など多種多様の店が密集していた。

普段出会うことが少ない、音楽妖精族(プーカ)鍛冶妖精族(レプラコーン)といった種族のパーティーが談笑しながら行き交っている。

補給と、色々気になることが出来たので、情報整理も兼ねてこの街で一泊することにした。

リアル時刻は既に深夜0時に近い。

 

「へぇぇー、此処がルグル―かぁ!」

 

リーファは、初めての眼にする《鉱山都市ルグル―》の賑わいに歓声を上げると、手近な武器商店へ足を向けた。

 

リーファの背後で俺とユウキが、のんびりした口調で話し掛けた。

 

「そう言えばさぁー、サラマンダーズに襲われる前、何かメッセージ届いてなかった? あれはなんだったの?」

 

「うん、あのメッセージはどういう意味だったのかな?」

 

俺とユウキの質問に、リーファは思い出したように呟いた。

 

「あ、忘れてた」

 

リーファはウインドウを開いて、メッセージを改めて読み返したが、さっぱり意味が解らない。

それに、続きも届いていなかった。

こちらからメッセージを打って確認しようとしたが、フレンドリストのレコンの名前はオフラインになっていた。

 

「何よ、寝ちゃったのかな」

 

「一応《向こう》で確認を取ってみたら?」

 

ユウキの言葉に数秒考え込んでから、頷いた。

 

「じゃあ、ちょっとだけ落ちて確認してくるから待ってて」

 

「わかった。 じゃあ俺は、手近にある屋台で何か買って食べているわ」

 

と俺が言うと、ユウキが俺に声を掛けてきた。

 

「無駄遣いしたら駄目だからね。―――うーん、お小遣い制にしようかな」

 

後半はよく聞き取れなかったが、……今後に関わる事を言われたような。

どうやらリーファは聞き取れたらしい、リーファは口に手を当てて笑いを堪えていた。

何でだ?

 

リーファは手近なベンチに座ると左手を振ってウインドウを出し、ログアウトボタンを押し、現実世界に還った。

長田慎一(レコン)に確認を取る為に。

これから確認することが、今後の事を左右する重要な事だとは知る由もなかった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

俺の眼の前でリーファが眼を見開き、同時に勢い良く立ち上がった。

 

「うわッ」

 

俺は吃驚(びっくり)して、屋台で買った串焼きを取り落としそうになったが、危うく握り直した。

 

「お、お帰り、リーファ」

 

「おかえりなさい、リーファちゃん」

 

「おかえりなさいです」

 

口々に言う俺とユウキとユイに向かって、リーファは『ただいま』を言う間も惜しんで口を開いた。

 

「キリト君、ユウキちゃん―――ごめんなさい」

 

「「どうした(の)?」」

 

「あたし、急いで行かなきゃいけない用事が出来ちゃった。 説明している時間もなさそうなの。 多分、此処にも帰ってこられないかもしれない」

俺とユウキは一瞬リーファの眼を見詰め、すぐに頷いた。

 

「そうか。 じゃあ、移動しながら話を聞こう」

 

「え……?」

 

「うん、そうだね。 どっちにしても此処から足を使って出なくちゃいけないんでしょう?」

 

「……わかった。 じゃあ、走りながら話すね」

 

ルグル―の目貫通(めぬきとお)りを、アルン側の門目指して俺たちは駆け出した。

幸いこの世界では、どれだけ走ろうと息切れをすることは無い。

 

リーファの話を簡単に纏めるとこうだ。

《風の塔》のエレベータ前で、俺たちが出会ったシグルドというシルフ男は、敵対関係にあるサラマンダーと内通していた。

シグルドは、リーファとレコンを売った。

いや、シルフ族を売ったのだ―――領主サクヤ諸共(もろとも)

そして今日、領主サクヤがケットシーと正式に同盟を調印する為、極秘で中立域に出ているらしい。

シグルドはサラマンダーの大部隊に、その調印式を襲わせる気だと。

まぁ、レコンは尾行に見つかってしまって、サラマンダーとシグルドの会話を聞いている途中で、毒矢を撃ち込まれたらしい。

だから、リーファに送ったメッセージが途切れていた、と言うことだ。

 

「じゃあ、いくつか聞いていいかな」

 

俺は幾つか気になる事があったので、リーファに質問をすることにした。

 

「どうぞ」

 

「シルフとケットシーの領主を襲うことで、サラマンダーにはどんなメリットがあるんだ?」

 

「えーと、まず、同盟を邪魔出来るよね。 シルフ側から漏れた情報で領主が討たれたらケットシー側は黙っていないでしょう。 それに最悪、シルフとケットシーの間で戦争になるかもしれないわ……。 サラマンダーは今最大勢力だけど、シルフとケットシーが連合すれば、多分パワーバランスが逆転するだろうから、それを何としても阻止したいんだと思うよ」

 

「……なるほど」

 

ユウキは納得の声を上げていた。

 

「あと、領主を討つことによって、討たれた側の領主館に蓄積されている資金の三割を無条件で入手出来るし、十間日、領内の街を占領条件にして税金を自由に掛けられる。 それにサラマンダーが最大勢力になったのは、昔、シルフ最初の領主を罠にはめて殺したからなんだ。 普段領主は中立域には出ないからね。 ALO史上、後にも先にもあるのはその一回だけ―――だからね……お兄ちゃん、木綿季ちゃん」

 

リーファは言葉を続ける。

 

「これは、シルフ族の問題だから……これ以上キミたちが付き合ってくれる理由はないよ……。この洞窟を出ればアルンまでもうすぐだし、多分会談場に行ったら生きて帰ってこれないから、またスイルベーンから出直しで、何時間も無駄になるだろうね……。 それに、世界樹に行きたい、っていうお兄ちゃんと木綿季ちゃんの目的の為には、サラマンダーに協力するのが最善かもしれない。 サラマンダーがこの作戦に成功すれば、十分な資金を得て万全の体制で世界樹攻略に挑むと思う。 スプリガンとインプなら、傭兵として雇ってくれるかもしれないし。――今此処で、あたしを斬っても文句は言わないわ」

 

俺が口を開いた。

 

「所詮ゲームなんだから何でもありだ。 殺したければ殺すし、奪いたければ奪う。――そんなふうに言う奴には、嫌っていうほど出くわしたよ。 一面ではそれも事実だ。 俺も昔はそう思っていた。 でも、そうじゃないんだ。 仮想世界だからこそ、どんなに愚かしく見えても、守らなきゃならないものがある。 俺はそれを大切な人から学んだよ。 そしてその人は、俺の傍にずっと居てくれて、支えてくれたんだ。 なっ、木綿季」

 

『もう一人、支えてくれた人が居るけどな』と最後に付け加えたが。

木綿季の声は優しく、暖かみを帯びていた。

 

「ボクも和人には、支えて貰っていたんだよ。―――スグちゃん、VRMMOっていうゲームのアバターは、もう一人の自分なんだよ。 だから、この世界で経験した出来事はリアルの人格に還っていくんだよ。 ボク達はたとえどんな理由があっても、自分たちの利益の為に相手を斬るようなことは絶対にしないよ。 それにスグちゃんを斬る事なんて、ボク達には出来ないよ」

 

木綿季も『和人の言う通り、もう一人支えてくれた人が居るけどね。 ボクの場合は二人かな』と付け加えた。

 

「お兄ちゃん、木綿季ちゃん。……ありがとう―――じゃあ、洞窟を出たところでお別れだね」

 

「「へっ」」

 

俺とユウキは、素っ頓狂(すっとんきょう)な声を上げた。

 

「いや、今の流れだと俺たちも行くぞ」

 

「うんうん、まぁなんとかなるよー。 サラマンダーの大部隊が襲ってきても、ボクとキリトの愛の力で返り討ちだよ」

 

「何か、お前が言うと冗談に聞こえないんだよな……」

 

リーファも首を縦に振ってるよ。

シリアス展開が台無しだな。

 

「そうと決まったら急ごうか。ユイ、走るからナビよろしく」

 

「りょーかいです!」

 

俺の肩に乗ったユイが頷くのを確認してから、リーファとユウキに向かって、

 

「ちょっと手を拝借」

 

「「え?」」

 

次の瞬間、俺は猛烈なスピードで駆け出した。

手を握っているリーファとユウキの体は殆んど水平に浮き上がり、洞窟の湾曲に沿ってコーナリングするたび左右にぶんぶん振り回される。

 

「「きゃぁぁぁぁぁあああああ!!??」」

 

何度かオークその他のモンスターにエンカウントしたが、俺は足を止める事なくすり抜けを繰り返した。

結果、背後にはモンスター集団が形成され、地響きを立てて追いかけて来る。

まぁ、《トレイン》と呼ばれる非マナー行為なんだが。

前方に白い光が見え始めた。

 

「お、出口かな」

 

直後足元から地面が消えた。

二人は慌てて翅を広げ、詰めていた息をいっぺんに吐き出した。

 

「「ぷは!!」」

 

二人はぜいぜいと荒い呼吸を繰り返しながら、俺を見てきた。

 

「―――寿命が縮んだわよ!」

 

「ははは、時間短縮になったじゃないか。―――痛い、痛いよユウキさん」

 

隣を見てみれば、ユウキが俺の肩をポコポコと叩いていた。

まぁ、優しく叩いてくれているんだが。

 

「……キリトのバカ」

 

う、涙眼+上目使いは反則だよ。

やばい、どうしよう。

 

「ごめん。 何でも一つ言うこと聞いてあげるから許してくれ」

 

「……何でも?」

 

あ、つい何でもって言っちゃったよ。

色々と腹を括るしかないかもな……。

 

「おう」

 

「キリト君とユウキちゃんって、どんな状況でもラブラブなんだね……」

 

そう言ってリーファは、俺とユウキを見ていた。

 

「まぁ、うん、そうだな」

 

「まぁねー」

 

「「「あっ……」」」

 

俺たちは思わず息を呑んだ。

雲海の彼方に巨大な影が見える。

空を支える柱かと思うほどに太い幹が垂直に天地を貫き、上部には巨大な枝葉が伸びている。

 

「あれが……世界樹か……」

 

俺に続いてユウキが呟いた。

 

「あの木の一番上に、姉ちゃんとアスナが……」

 

それから暫く無言で世界樹を眺めていたが、俺とユウキは我に返り、リーファに聞いた。

 

「あ、こうしちゃいられない。 リーファ、領主会談の場所ってのはどの辺りなんだ」

 

「早く行かないと、領主さんたちが危ないよ」

 

「あっ、そうね。 ええと、確か、北西の方角に見える《蝶の谷》。 会談場所はその蝶の谷の、内陸の出口で行われるわ」

 

リーファはぐるりと視線を巡らせると、その方角を指した。

 

「了解。 リーファ、残り時間は?」

 

「あと、二十分かな……」

 

「じゃあ、早く行かないと。 先を急ごう。 ユイちゃん、サーチ圏に大人数の反応があったら知らせてね」

 

「了解です、ママ!」

 

「頼むから間に合ってくれよ……」

 

ユイが俺の胸ポケットに入るのを確認してから、俺たちは翅を鳴らして加速に入った。

 




うん。 ユウキちゃんが言うと本当の事になりそうだよね(笑)
最強夫婦降臨、的な(笑)

あと、ユウキちゃんは、突然手を取られたから、ということで。

次回は、ユージーン戦やね。
誰が戦うか未定なんだよね、どうしようか。

ご意見、ご感想よろしくお願いします!!
あと、評価もお願いします!!

つか、もう60話もいってたのね。
うん、びっくりしたよ。


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