ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

ALO始まったぜ!!

今回は、オリジナル? かな。

ALOの話題は出てこないからな。

誤字脱字があったらごめんよ。

それでは、どうぞ。


現実世界での再会
第49話≪木綿季との再会≫


埼玉県川越市 総合病院

 

私、桐ケ谷直葉は総合病院に赴き、眠りについたお兄ちゃん・桐ケ谷和人《眠り姫》の病室にやって来ていた。

お兄ちゃんの頭を覆っているのは、フルダイブ型VRマシン悪魔の機械《ナーブギア》。

お兄ちゃんは、この悪魔の機械《ナーブギア》によって、日本中を震撼させた悪魔のタイトル、《ソードアート・オンライン》に囚われてしまった。

 

お兄ちゃんは、ゲーム内で数少ないトッププレイヤーの集団に属している。

――常に危険な最前線で、自身の命を賭けて戦っている。

数千人の囚われたプレイヤーの解放の為に。

このことは、《SAO事件対策チーム》のメンバーに教えてもらった。

きっと今も、お兄ちゃんは死と隣合わせの状況で戦っているんだ。

だから私がここで泣くわけにはいかない。

お兄ちゃんの手を握り、応援しようと思う。

 

「お兄ちゃん……がんばって……」

 

私はそっと眠る兄・和人に呼びかけた。

 

「もう二年も経つんだね……。 あたし、今度高校生になるんだよ……。 早く帰ってこないと、どんどん追い越しちゃうよ……」

 

お兄ちゃんとは、ずっと一緒に暮らしてきた。

でも、お兄ちゃんは正確には《従兄》になる。

 

お兄ちゃんは、住基(じゅうき)ネット抹消の記録に気付いて本当の事を知ったんだよね。

お母さんのコンピュータマニアの血が遺伝したのかな。 精神的に。

お兄ちゃんが本当のことを知ってから、私と深い溝が出来てしまった。

会話の数も激減し、お兄ちゃんは部屋に閉じこもるようになり、ネットの世界に身を投じるようになったんだよね。

お兄ちゃんが《ソードアート・オンライン》に囚われ、現実世界から意識が切り離されたと分かった時、声を上げてお兄ちゃんの体にすがって、わんわん泣いた。

私は後悔した。

もっと早く、お兄ちゃんとの距離を埋めようと努力しなかったのか。

それは決して難しいことじゃなかったはず、私にはそれが出来たはず。

私は何時もように、お兄ちゃんの骨ばった右手を両手で包み込み、『早く帰ってきてよ』と懸命に言った。

 

「早く帰って来てよ……。 お兄ちゃん」

 

お兄ちゃんは今どこにいるんだろう。

暗い迷宮区を、地図を片手に彷徨っているのか。

道具屋で品定め中なのか。

それとも――恐ろしげなモンスター相手に、果敢に剣を切り結んでいるのか。

 

「今日は、お兄ちゃんの誕生日だね。 誕生日おめでとう、お兄ちゃん」

 

私は、ベットの横に設置されている丸椅子から腰を上げた。

 

「また来るね。 ばいばいお兄ちゃん」

 

私は、お兄ちゃんが眠る病室から出て行った。

 

お兄ちゃんが目覚めたという急報が届いたのは、それから一ヶ月後、2024年10月7日のことだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦

 

2ヵ月後。 桐ケ谷家

 

額の汗を拭いながら竹刀を振り下ろし、日課となっている朝の稽古を終わらせた。

竹刀を下ろし、くるりと振り向いた――。

 

「あ……」

 

家に目をやった途端、私はぴたりと立ち止まった。

いつの間にか、スウェット姿のお兄ちゃんが縁側に腰を掛け、こちらを見ていた。

目が合うとニッと笑い、口を開く。

 

「おはよう」

 

言うと同時に、右手に持っていたミネラルウォーターのミニボトルをひょいと放ってきた。

左手で受け止め、言った。

 

「お、おはよ。 ……やだなぁ、見てたなら声をかけてよ」

 

「いやぁ、あんまり一生懸命やっているからさ」

 

「そんなことないよ。 もう習慣になっちゃっているから……」

 

この2ヵ月で、これ位の会話なら自然に出来るようになった。

お兄ちゃんの右隣に微妙な距離を開けて座る。

竹刀を立てかけボトルのキャップを捻り、口を付ける。

よく冷えた水で喉を潤す。

 

「そっか、ずっと続けているんだもんな……」

 

お兄ちゃんは立てかけてあった竹刀を握ると、座ったまま竹刀を軽く振った。

 

「軽いな……」

 

「ええ?」

 

私はボトルから口を放し、お兄ちゃんを見た。

 

「それ真竹だから、けっこう重いよ」

 

「あ、うん。 その……イメージというか……比較の問題というか……」

 

「何と比べたの?」

 

「SAOで俺が握っていた剣と、かな」

 

「重い剣を振っていたんだね」

 

「なぁ、ちょとやってみないか」

 

私は、お兄ちゃんの言葉に唖然とした。

 

「やるって……。 試合を?」

 

「おう」

 

お兄ちゃんは当然とばかり頷く。

私は表情を改め、

 

「体のほう、だいじょうぶなの……? 無茶しないほうが……」

 

「だいじょうぶだ。 毎日ジムでリハビリしまくっている成果みせてやるさ」

 

 

♦♦♦♦♦♦♦

 

桐ケ谷家 剣道場

 

「そ、それなぁに、お兄ちゃん」

 

お兄ちゃんの構えを見た途端、私は思わず吹き出してしまった。

珍妙、としか言いようがない。

左足を前に半身に構え、腰を落とし、右手に握った竹刀の殆んどは、床板に接するほどに下げられている。

左手は、柄に添えられているだけだ。

 

「審判がいたらむちゃくちゃ怒られるよそんなの~」

 

「いいんだよ、俺流剣術だ」

 

試合結果は、私が勝った。

私の必殺の引き面一発で。

お兄ちゃんは数歩ふらついたが、如何にか踏みとどまった。

 

「だ、大丈夫、お兄ちゃん」

 

「だ、大丈夫だ。 ……いやぁ、参った。 スグは強いな、ヒースクリフなんか目じゃないぜ」

 

「……ほんとうにだいじょうぶ……」

 

「おう、終わりにしよう」

 

そう言ったお兄ちゃんは数歩下がると、また珍妙な行動をした。

右手の竹刀を左右に払い、背に持っていったのだ。

私はいよいよ心配になった。

 

「あ、頭打ったんじゃ……」

 

「ち、ちがう!! 長年の習慣が……」

 

それからお兄ちゃんがポツリと呟いた。

 

「“あいつ”も同じことをするだろうな」

 

お兄ちゃんは、満面の笑みをしていた。

 

「楽しいな。 またやってみようかな、剣道……」

 

「ホント!? ほんとうに!?」

 

私は思わず勢いづいてしまった。

顔が綻ぶのが自分でも解る。

 

「スグ、教えてくれる?」

 

「も、もちろんだよ! また一緒にやろうよ!」

 

「もうちょとキンニクが戻ってからな」

 

お兄ちゃんに頭をぐりぐりされて、私はにへーっと笑った。

また一緒に練習ができると思うだけで、涙が出そうなほど嬉しくなる。

 

「で、今日はどうするの?」

 

「ん、ああ、病院に行ってくるわ。 あと、お見舞いもしてくる」

 

今日は、SAOの最後の終焉まで一緒に居た少女と面会をする日らしい。

面会が可能な時間に病院に行くので、少女と沢山話すことが可能だそうだ。

 

「えっと、木綿季さん、だっけ?」

 

「まぁ、そうだ」

 

「ねぇ、一緒に行っていいかな?」

 

「いいぞ」

 

俺が覚醒したとき、SAOの中で何があったのか問い詰める為に、俺の病室を強襲して現れた人物。

彼は《総務省SAO事件対策本部》の人間だと名乗った。

俺は、現れた黒縁眼鏡の役人に条件を出した。

SAO内部で起きたこと可能な限り話す。

その代わりに俺の知りたい事を教えろと条件を出した。

それは、俺の最愛の人が居る場所を聞き出すことだ。

 

彼女は、埼玉県所沢市――その郊外に建つ最新鋭の総合病院に居た。

俺は彼女に早く会う為、リハビリを人一倍こなした。

早く彼女に会いたい一心で。

結果、二週間で歩けるようになった。

 

彼女は目を覚ましたが、全国で約三百人のプレイヤーが目を覚ましていないらしい。

当初はタイムラグとも思われていた。

しかし、何時間、何日待とうとも、約三百人のSAOプレイヤーは、意識を覚醒されることは無かった。

その中には、木綿季の親友である結城明日奈。

彼女の姉である紺野藍子が囚われてしまっていた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦

 

今、俺とスグは、病院のエレベータに乗っている。

彼女が居る場所は、此処の病院の15階にある個室だ。

最上階には、結城明日菜。 紺野藍子が眠っている。

数秒で15階に到着し、エレベータの扉が滑らかに開く。

 

「じゃあ、行くか」

 

「うん」

 

長い廊下を真っ直ぐ歩き、突き当たりに扉が見えてきた。

扉の横には、ネームプレート。

紺野木綿季 様、という表示の下に、一本の細いスリットが走っている。

俺は、受付窓口で受け取ったパスをスリットに滑らせる。

微かな電子音と共にドアがスライドする。

中に一歩踏み込む、中央に設置させているベットを見やると、彼女は俺に微笑みかけた。

木綿季は、今日俺が面会に来ることを知っていたらしい。

 

「よっ!!」

 

「こんにちは」

 

俺は木綿季に向かって手を上げ、そのままベットの横に設置してある丸椅子に腰を下ろす。

スグも、もう一つの丸椅子に腰を下ろす。

 

「久しぶり! 和人、元気だった?」

 

「おう! 元気だったよ」

 

「……和人の隣に居る人は誰かな」

 

俺とスグの関係を、木綿季が黒いオーラを出して聞いてきた。

 

「待て待て待て待てッ、妹の直葉だ」

 

俺がそう言うと、木綿季は黒いオーラを収めてくれた。

 

「初めまして、和人の妹の桐ケ谷直葉です」

 

「初めまして、紺野木綿季です」

 

二人は、ほぼ同時にぺこりと頭を下げた。

 

「可愛い人だね―、木綿季さんって」

 

「えへへ~、ボクのこと可愛いだってよ」

 

木綿季は俺が座っている方向に顔を向け、俺の顔を覗き込んできた。

 

「何で俺を見るんだ!?」

 

「えっ、ボクのこと可愛いと思っていないの??」

 

「……世界で一番可愛いと思っているよ」

 

「ねぇねぇ、お兄ちゃんと木綿季さんは、どんな関係なの?」

 

俺と木綿季は顔を見合わせ、スグの顔を見て言った。

 

「「えっと……婚約者かな」」

 

「あらそうなの」

 

新たな声の発生源は、桐ケ谷(みどり)だ。

扉が開き、紺野家の両親と桐ケ谷家の母親が現れたのだ。

なんで母さんが居るんだ?

 

「初めまして、私の名前は紺野春香」

 

「俺は、紺野雄介だ」

 

紺野家のご両親が、俺とスグに自己紹介をしてきた。

俺とスグは、丸椅子から立ち上がり自己紹介をした。

 

「こっ…こん…にちは、き…桐ケ谷…か…和人…です」

 

「こんにちは、桐ケ谷直葉です」

 

スグは自己紹介した後、母さんの隣まで移動した。

木綿季が俺の背中を叩いてきた。

 

「も~、和人は。 コミ障を発動させちゃって」

 

「う…だって…お前、俺の性格とか色々知っているだろう」

 

「まぁー、そうだけど」

 

「……何で母さんが此処に居るんだ?」

 

俺はすごく気になっている疑問をぶつけた。

 

「和人は知らなかったのね、紺野さんとはお家が隣なのよ。 越して来たのは、約二年前ね。 紺野さんが妹さんのお見舞いに行くって言っていたから、私も一緒したの、で此処に和人が居たってわけよ」

 

はぁぁぁあああ―――!!

家が隣かよ!

何で今まで気付かなかったんだよ!

木綿季に会いたいっていう思いが強くて、周りが見えていなかったからだと思うけどさ!

 

「えっ、そうだったの、知らなかった」

 

どうやらスグも知らなかったようだ。

 

「和人君。 SAOの内部では、木綿季と結婚していたらしいじゃないか」

 

「結婚生活は、楽しかったでしょ」

 

木綿季の父親、紺野雄介さんと、母親の紺野春香さんが俺に言ってきた。

 

 

Side 木綿季 和人

 

「おい、何でお前の両親は、俺たちがSAOで結婚していたことを知っているんだ!?」

 

「えっと、ボクが話した。 最初から最後までね。 秘密にしておきたいことは話してないけど」

 

ちょと待てよ、最初から最後まで…。 てことは俺が木綿季をどう思っているかを知っているってことだよな。

俺がどうやってプロポーズをしたのかも…。

俺の二股生活も…。

俺は、震えた声で木綿季に聞いた。

 

「お前の両親の反応は?」

 

「えっと、お父さんは『木綿季はそんな風に和人君からプロポーズをして貰ったのか。そして最後には、木綿季を選んだのか。 藍子は残念だったな、藍子にも前にも現れるさ、王子様がな』って言っていたよ。 あと『木綿季は、和人君と結婚をしたいかい?』とも言っていた。 お母さんは『木綿季にも運命の人が見つかったのね。私はあなたの結婚に賛成するわ』って言っていたよ」

 

「で、お前はどのように答えたんだ??」

 

「和人とは生涯一緒に居たい、結婚したいって」

 

「そっそうか」

 

俺の知らない間に話が進んでいないか……?

木綿季の両親は、俺がラン(藍子)を振ったことも知っているのかよ…。

 

「和人は、どう思っているの?」

 

「木綿季と結婚したいさ」

 

「じゃあ、ボク達の両親と和人の妹さんが揃っているから、この場を借りて言おうか、結婚したいですって」

 

「……わかった」

 

もう覚悟を決めるしかない。

俺は、木綿季の両親と母さんとスグに声を掛けた

 

Side out

 

 

「春香さん、雄介さん、母さん、スグ、ちょっと聞いてくれないかな」

 

「「「「どうした(の)(のかしら)」」」」

 

「えっと」

 

ヤバい。

緊張する。

 

「俺は、木綿季さんを愛しています。 一生幸せにします。 俺と木綿季さんの結婚を認めてください。 おねがいします!!」

 

俺は、紺野家の両親と母さんを見ながら深々と頭を下げた。

 

「ボクも和人を愛しています。 ボクと和人の結婚を認めてください。 おねがいします!!」

 

木綿季も座りながら、頭を下げた。

紺野家の両親は、俺と木綿李を見据え言った。

 

「私は結婚に賛成するわ。 木綿季、 退院したら、桐ケ谷さんのお宅にお世話になりなさい」

 

「俺も結婚に賛成だ」

 

母さんの桐ケ谷翠と妹の桐ケ谷直葉は、俺と木綿季の顔を見てから言った。

 

「私も結婚に賛成よ。 家においで木綿季ちゃん。 峰高さんは私が言い包めるわ」

 

「私も結婚に賛成するよ。 お父さんの説得にも協力する」

 

春香さんが口を開いた。

 

「あら、もうこんな時間。 木綿季、私たちは帰るわ。 木綿季は明日退院でしょう。 あなたは、そのまま桐ケ谷さんのお宅に行きなさい。 着替えとかは、後で取りに来なさい」

 

「それじゃあ、帰ろうか」

 

「私も帰るわ、後はよろしくね。 和人」

 

「じゃあ、私も帰るね。 またお家でね、お兄ちゃん」

 

紺野家の両親と、母親の翠と妹のスグが言い、嵐のように木綿季の病室から去って行った。

残されたのは、俺と木綿季だけだ。

 

「……えっと、明日迎えに行くな」

 

「……うん。 待ってる」

 

俺と木綿季の顔は、真っ赤だろうな。

俺たちの結婚は、親が公認したも同然だしな。

俺と木綿季は短いキスをした。

 

「また明日。 じゃあな、木綿季」

 

「ばいばい、和人」

 

俺は1階の受付窓口にパスを返却してから、駐輪場に止めていた自転車に乗り、家へ戻った。

 

 




剣道の勝負内容の過程は、みなさん知っていると思ったので書きませんでしたー。

両親が公認しましたね(笑)

あと、紺野家の両親の名前がわからなかったから、自分で考えた名前にしちゃった(笑)

病院も合わせちゃった。

和人君は、もっと早く会いに行けばよかったかな…。 なんかすまん。

話が吹っ飛びすぎかもしれん…。

でも、このネタはやりたかったんだよね。

やばい、ネタが尽きてきたよ…。

紺野姉妹は、越してきて数日たってからSAOに囚われたということで。

和人君は、インドアだったから気付かなかったんでしょうね。

あと、アスナさん、ランちゃん。 マジすまん!!

ご意見、ご感想よろしくお願いします!!


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