ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

いや~、 ユイちゃん回は書くの楽しいですな。

設定の改変したよたぶん…。 自分では出来ているかわからんが…。

ALOどうしよう…。 最初しか考えてないのよね…。

まぁ、それは置いといて。

頑張って書きました。 誤字脱字があったらごめんよ。

それでは、どうぞ。


第46話≪ユイの心≫

黒鉄宮地下迷宮最深部の安全エリアは、完全な正方形だ。

入り口は一つだけで、中央には磨かれた黒い立方体の石机が設置されている。

ユイは、石机に腰を掛けている。

ユリエールとシンカーには一先ず先に脱出してもらったので、今は四人だけだ。

記憶が戻った、ひとこと言ってから、ユイは数分間沈黙を続けていた。

その表情は何故か悲しそうだ。

俺は意を決して訊ねた

 

「ユイ……。記憶が戻ったのか……?」

 

ユイはしばらく俯き沈黙していたが、こくりと頷いた。

泣き笑いのような表情のまま、小さく口を開く。

 

「はい……。全部、説明します―――キリトさん、ユウキさん、ランさん」

 

ユイの丁寧な言葉を聞いた途端、何かが終わってしまったのだという、切ない確信があった。

四角い部屋の中に、ユイの言葉がゆっくりと流れ始めた。

 

「《ソードアート・オンライン》と言う名のこの世界は、一つの巨大なシステムによって制御されているのです。 システムの名前は《カーディナル》、それがこの世界のバランスを自らの判断に基づいて制御しているのです。 カーディナルは元々、人間のメンテナンスを必要としない存在として設計されました。 二つのコアプログラムが相互にエラー訂正を行い、更に無数の下位プログラム群によって世界の全てを調整する……。 モンスターやNPC、AI、アイテムや通貨の出現バランス、何もかもがカーディナル指揮下のプラグラム群に操作されています。――しかし、一つだけ人間の手に委ねばければならない物がありました。 プレイヤーの精神性に由来するトラブル、それだけは同じ人間でないと解決できない……。 その為に、数十人規模のスタッフが用意されるはずでした」

 

「GM……」

 

俺がポツリと呟いた。

 

「ユイ、つまり君はゲームマスターなのか……? アーガスのスタッフ……?」

 

ユイは暫し沈黙した後、ゆっくりと首を振った。

 

「……カーディナルの開発者たちは、プレイヤーのケアすらもシステムに委ねようと、あるプログラムを試作したのです。 ナーブギアの特性を利用してプレイヤーの感情を詳細にモニタリングし、問題を抱えたプレイヤーの元を訪れて話を聞く……。《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》、MHCP試作一号、コードネーム《Yui》。それがわたしです」

 

俺たち三人は、驚愕のあまり息を呑んだ。言われたことを即座に理解できない。

 

「じゃあ、ユイちゃんはAIなの……」

 

ユウキは、ユイに問いかけた。

ユイは、悲しそうな笑顔のままこくりと頷いた。

 

「プレイヤーに違和感を与えないように、わたしには感情模倣機能が与えられています。――偽物なんです。全部……この涙も……。ごめんなさい、キリトさん、ユウキさん、ランさん」

 

ユイは両目からぽろぽろと涙が零れ、涙は光の粒子となり蒸発した。

ユイは言葉を続ける。

 

「……二年前。 正式サービスが始まった日、カーディナルが予定に無い命令をわたしに下したのです。 プレイヤーに対する一切の干渉禁止……。 それでも、わたしはプレイヤーのメンタル状態のモニタリングだけを続けました。――状態は、最悪と言っていいものでした……。 殆んど全てのプレイヤーは恐怖、絶望、怒りといった負の感情に常時支配され、時として狂気に陥る人すらいました。 わたしは徐々にエラーを蓄積させ、崩壊していきました……。 ある日、いつものようにモニターをしていると、他のプレイヤーとは大きく異なるメンタルパラメターを持つ三人のプレイヤーに気付きました。 喜び、安らぎ……。 でもそれだけじゃない……。 そう思ってわたしはその三人のモニターを続けました。 会話や行動に触れるたび、わたしの中に不思議な欲求が生まれました。 あの三人の傍に行きたい……。 わたしと話をして欲しい…。 わたしは毎日、三人の暮らすプレイヤーホームから一番近いシステムコンソールで実体化し、彷徨いました。 その頃にはもうわたしはかなり壊れてしまっていたのだと思います……」

 

「それが、あの22層の森なの…?」

 

ユウキの言葉に、ユイはゆっくり頷いた。

 

「はい。 キリトさん、ユウキさん、ランさん……。 わたし、とっても会いたかった……。 おかしいですよね、わたし、ただの、プログラムなのに……」

 

涙をいっぱいに溢れさせ、ユイは口をつぐんだ。

ユウキがゆっくり口を開いた。

それは、とても優しい声音であった。

 

「ユイちゃん。 ユイちゃんは、プログラムなんかじゃないよ。 ボク達の大切な娘だよ」

 

ランも口を開いた。

 

「そうよ、私はユイちゃんのお姉さんよ」

 

俺はユイの前まで行き、頭を撫でてあげた。

 

「ユイは俺たちの娘だよ。 ユイもうシステムに操られるだけのプログラムじゃない。 だから、自分の望みを言葉にできるはずだよ。 ユイの望みはなんだい?」

 

「わたしは……、わたしは……」

 

ユイは、細い腕をいっぱいに広げて伸ばしてきた。

 

「ずっと、一緒にいたいです。……パパ……ママ……ねぇねぇ……」

 

ユウキは溢れる涙を拭いもせず、ユイに駆け寄るとその小さな体をぎゅっと抱きしめた。

 

「ずっと、ずっと、一緒だよ。 ユイちゃん」

 

「そうよ、ユイちゃん。 一緒に帰りましょう」

 

ランはユイの前まで行き、ユイの頭に手を置いた。

 

「ああ……。 ユイは俺たちの子供だ」

 

だが――ユイは、ユウキの胸の中で、そっと首を振った。

 

「もう……遅いんです……」

 

「なんでだよ……。 もう遅いって……」

 

俺は、途惑った声でユイに問いかける。

 

「わたしが記憶を取り戻したのは……あの石に接触したせいなんです」

 

ユイは部屋の中心に視線を向け、黒い立方体の石机を小さな手で指差した。

 

「あれは、ただのオブジェクトじゃないんです……。 GMがシステムに緊急アクセスするために設置されたコンソールなんです。 さっきのボスモンスターは、ここにプレイヤーを近づけないようにカーディナルの手によって配置されたものだと思います。 わたしはこのコンソールにアクセスし、《オブジェクトトレイサー》を呼び出してボスモンスターを消去しました。 その時にカーディナルのエラー訂正能力によって、破損した言語機能を復元できたのですが……。 それは同時に、今まで放置されていたわたしにカーディナルが注目してしまったということでもあります。 今、コアシステムがわたしのプログラムを走査しています。 すぐに異物という結論が出され、わたしは消去されてしまうでしょう。 もう……あまり時間がありません……」

 

「……嫌だよ……お別れなんて……」

 

「……このまま……お別れなの……」

 

「なんとかならないのかよ! この場所から離れれば……」

 

三人の言葉にも、ユイは黙って微笑するだけだった。

ユイの白い頬を涙が伝った。

 

「パパ、ママ、ねぇねぇ、ありがとう。これでお別れです」

 

「やだよッ! お別れなんて! ボクはユイちゃんとたくさん遊んで、たくさんの思い出を作りたいよ!」

 

「そうよッ! お別れしたくないわよ!」

 

ユウキとランは必死に叫んだ。

 

「暗闇の中……。 いつ果てるとも知れない長い苦しみの中で、パパとママとねぇねぇの存在だけがわたしを繋ぎとめてくれた……。 パパとママとねぇねぇの温かい心で、みんなが笑顔になれた……。 わたし、それがとっても嬉しかった。 お願いです、これからも……わたしのかわりに……みんなを助けて……喜びを分けてあげてください……」

 

「やだよ!! やだよ!! ユイちゃん、いかないで、いかないでよ、お願いだから!!」

 

ユイは、俺たちに微笑みかけた。

 

「ママ、笑って。 泣かないで」

 

溢れる光に包まれながら、ユイはにこりと笑った。

ひときわ眩く光が飛び散り、それが消えた時にはもう、ユウキの腕の中にはからっぽだった。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

抑えようもなく声を上げながら、ユウキは膝を突いた。

ユウキの隣に立っていたランも、膝を突いた。

 

「カーディナル!! そう簡単に……、思い通りになると思うなよ!!」

 

俺は部屋の天井を見据え絶叫した。

俺は中央の黒いコンソールに飛びついた、表示されたままのホロキーボードを素早く叩く。

 

「「キリト(さん)……何を……?!」」

 

「今なら……、今ならまだ、GMアカウントでシステムに割り込めるかも……」

 

ここから先は《黒の剣士》キリトの出番は無い。

ここからは現実世界でコンピューターに長けていた桐ケ谷和人の出番だ。

俺は高速で必要なコマンドを立て続けに入力した。

不意に黒い岩でできたコンソール全体が青白くフラッシュし、破裂音と共に後方に弾き飛ばされた。

 

「ぐわぁ!」

 

「「大丈夫(ですか)?!」」

 

二人が歩み寄って来た。

俺は笑みを浮かべると、右手に握っている大きな涙の形をしたクリスタルを見せた。

 

「それは……?」

 

ユウキが俺に聞いてきた。

 

「……ユイが起動した管理者権限が切れる前に、ユイのプログラム本体をどうにかシステムから切り離して、オブジェクト化したんだ……。 このクリスタルはユイの心だよ」

 

「ユウキ。 ユイちゃんの心は私よりあなたが持っていた方がいいわ」

 

「……うん」

 

俺は涙の形をしたクリスタルを、ユウキの手の中にゆっくりと落とした。

ユウキは、クリスタルを抱きしめて言った。

 

「ユイちゃん……。 そこにいるんだね……」

 

再び、ユウキの両目からは、とめどなく涙が溢れ出した。

 

――パパ、ママ、ねぇねぇ、がんばって……。 俺たち耳の奥に、微かにそんな声が聞こえてた気がした。

 

♦♦♦♦♦♦♦

 

第1層 転移門前

 

「じゃあ、俺たちはこれで帰ります」

 

俺たち三人を見送りに来てくれたのは、シンカー、ユリエール、サーシャと子供たちだ。

 

「本当にありがとうございました!!」

 

ユリエールが俺たち三人に、深々と頭を下げた。

ユリエールにユイちゃんはどうしたの? と聞かれたがユウキがお家に帰りましたと答えた。

ユウキの首には、細いネックレスがかけてある。

光っている華奢な銀鎖の先端には、同じく銀のペンダントが下がり、その中央に大きな透明の石が輝いている。

 

「助けてくれて、本当にありがとう」

 

シンカーもユリエールと同じく、深々と頭を下げた。

シンカーは、キバオウと彼の配下は除名したそうだ。

軍も解散させるらしい。

 

「キリトさん、ユウキさん、ランさん。 時々は、遊びに来てくださいね」

 

サーシャも深々と頭を下げた。

 

「そう言えば、キリト」

 

ユウキが問いかけてきた。

 

「ん? どうしたんだ」

 

「この世界がなくなったら、ユイちゃんはどうなるの?」

 

「ああ……。 容量的にはぎりぎりだけどな。 俺のナーブギアのローカルメモリに保存されるようになっているよ。 向こうで、ユイとして展開させるのはちょっと大変だろうけど……、きっとなんとかなるさ」

 

「そっか」

 

「キリトさん、後で話したいことがあります」

 

ランが俺に問いかけてきた。

何で、ランとユウキは顔を見合わせて頷いているんだ?

 

「わかった」

 

何の話だ?

まぁ、今日のメシの話だろう。

 

「じゃあ、またな」

 

俺たち三人は、第22層にあるログハウスに戻った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦

 

第22層 湖畔のログハウス

 

俺は、ユウキとランに向かえ合わせになるように椅子に腰を掛けている。

長い沈黙が続く。

俺はゆっくり口を開いた。

 

「……話ってなんだ?」

 

俺は二人に問いかけた。

二人は頷き合い言葉を発した。

 

「ねぇ、キリト。やっぱり決めてもらうことにしたよ」

 

とユウキが言い、

 

「私かユウキ、これから一緒に歩むパートナを決めてください」

 

とランが言った。

 

「えッ?」

 

「ボクと姉ちゃんで話あったんだ。このままじゃいけないって」

 

「だから、決めてもらえませんか?」

 

二人は真剣な目で俺を見た。

 

「……わかった」

 

そうだよな、このままじゃダメだよな。

俺の気持ちを正直に言おう。

俺は言葉を続ける。

 

「……俺はランのことは嫌いじゃない……。 だけど、共に一生を歩んでいきたいのは…ユウキだ……」

 

俺はランを見る。

 

「……やっぱりユウキには敵いませんね、頑張ったんですけどね。 でも、何かあったら何時でも相談してくださいね。 キリトさん、ユウキを一生守ってくださいね」

 

ランは言葉を続ける。

 

「これからもユウキを、妹をお願いします」

 

「ああ、一生守り、一生幸せにするよ。 絶対に不幸にさせない」

 

「ボクもキリトと幸せになるよ。 だから安心してね、姉ちゃん」

 

「ええ、わかったわ」

 

そんな時だった。ヒースクリフから簡素なメッセージが届いたのは、内容は『前線に復帰してもらえないだろうか? もうすでに被害が出ている』と。

 




ランちゃん、ごめんなさい(>_<)!!

キリト君はユウキちゃん一筋にしたかったんです(>_<)!!

でも、美少女を振ったキリト君…。

ランちゃんは強い子。

今回はユウキちゃんメインでしたね、ユウキちゃんは、ママだしね。

キリト君はヒースクリフとフレンドだった。

SAOもあと少しやね。

ご意見、ご感想よろしくお願いします!!

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