ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

ランちゃんを正式にヒロインに決定しました!!

どうやって大きなフラグ建てようかな(笑)

戦闘描写は、原作を忠実に書き上げました(笑)

誤字脱字があったらごめんなさい…。

それでは、どうぞ。


第37話≪二刀流 vs 神聖剣≫

第75層「コリニア」転移門前

 

先日新たに開通した第75層の主街区はローマ風の造りだ。

街は、四角く切り出した白亜の巨石を積んで造られいる。

何よりも特徴的だったのが、転移門前にそびえ立つ巨大なコロシアムだ。

俺とヒースクリフの決闘(デュエル)そこ(コロシアム)で行われることになっている。

 

「火噴きコーン十コル! 十コル!」

 

「黒エール冷えているよ~」

 

コロシアム入り口には、口々にわめき立てる商人プレイヤーの露店がずらりと並び見物人に怪しげな食い物を売り付けている。

コロシアムの入り口の上には、この様な看板が大きく掲げられていた。

《二刀流剣士キリト VS 紅の聖騎士ヒースクリフ。 アインクラッド最強剣士はどちらのプレイヤーか!!》

 

「……どうゆうことだ、これは」

 

俺は、隣にいるユウキに聞いた。

 

「……ボクにも解らない」

 

転移門が青く発光し、俺達と待ち合わせをしている人物が現れた。

ユウキの姉のランだ。

昨日の出来事をランには伝えているから、俺の応援?に来たんだろう。

ランは、俺の隣までやって来てから、周りを見渡してから言葉を発した。

 

「これは、どうゆうことですか……?」

 

「わからん……」

 

「あれ見て」

 

俺は、ユウキが指を指した方角を見た。

あそこで入場チケットを売っているのはKoBの人間じゃないか?!

てか、何処から漏れたんだ。

俺とヒースクリフがここで決闘(デュエル)をやると。

俺は、大観衆の中で決闘をやらないといけないのか……?

ここから逃げたい……。

 

「……俺と逃げないか二人とも。 第20層辺りの広い田舎に隠れて畑を耕そう」

 

「ボクは揺り椅子に揺られながら編み物をやろうかな」

 

「私は一緒に畑を耕そうかしら」

 

二人は、俺の質問に笑顔で応じた。

俺達がこの様な会話をしていたらアスナが俺達の前まで歩いて来た。

 

「キリト君、こんにちは」

 

「おい。 何なんだよこれは……?」

 

俺は、アスナに聞いた。

 

「えーとね。 昨日団長が幹部会議の時に、キリト君と第75層「コリニア」の闘技場で決闘(デュエル)をすることを洩らしてしまったの」

 

あの、真っ赤っか野郎……!

余計な事言いやがって……!

俺は、肩を落とした。

 

「あ、ダイゼンさん」

 

顔を上げると、KoBの白赤制服がこれほど似合わない奴は他にいるまいというほど横幅のある男が、たゆんたゆんと腹を揺らしながら近づいてきた。

彼は、血盟騎士団の経理を任されている人物らしい。

こいつが宣伝したんだろうな……。

 

「いやー、おおきにおおきに!!」

 

丸い顔に満面の笑みを浮かべながら声を掛けて来る。

 

「キリトはんのお陰でえろう儲けさせてもろうてます! あれですなぁ、毎月一回位やってくれると助かりますなぁ!」

 

「誰がやるか!!」

 

「ささ、控え室はこっちですわ。 どうぞどうぞ」

 

「ユウキ、ラン、アスナ。 一緒に付いて来てくれ……」

 

「「「わかった(わ)」」」

 

のしのし歩き始めた男の後ろを俺、ユウキ、ラン、アスナは付いて行った。

控え室は闘技場に面した小さな部屋だった。

ダイゼンは入口まで案内すると、オッズの調整がありますんで、などと言って消えた。

すでに観客は満席になっているらしく、控え室にも歓声がうねりながら届いてくる。

 

「じゃあ、私は観客席に行っているね」

 

アスナは、控え室から出て観客席に行った。

 

三人だけになると、ユウキとランは真剣な表情になり、俺に言ってきた。

 

「危険だと思ったらすぐにリザインしてね?」

 

「いいですね?」

 

「大丈夫だ。 いつも通り一暴れしてから、お前達の元に戻るさ」

 

俺は、笑顔で応じた。

歓声に混じって、闘技場の方から試合開始を告げるアナウンスが響いてくる。

俺は、背中に交差して吊った二本の剣の刀身を同時に少し抜き、“チン”と音を立てて鞘に納めると二人に言葉を発した。

 

「じゃあ、行ってくるな」

 

「「いってらっしゃい!!」」

 

俺は四角く切り取ったような光の中へ歩き出した。

円形の闘技場を囲む階段状の観客席はぎっしりと埋まっていた。

軽く千人はいるのではないだろうか。

最前列にはエギル、クライン、アスナの知った顔もある。

俺は、闘技場の中央に達した所で止まった。

直後、反対側の控え室から真紅の聖騎士が姿を現した。

ヒースクリフは、通常の血盟騎士団制服が白地に赤の模様なのに対して、それが逆になった赤地のサーコートを羽織っていた。

鎧の類は俺と同じく最低限だが、左手に持った巨大な純白の十字盾が目を引く。

どうやら剣は盾の裏側に装備されているらしく、頂点部分から同じく十字を象った柄が突出している。

俺の目の前まで無造作な歩調で進み出てきたヒースクリフは、周囲の大観衆に目をやると、さすがに苦笑した。

 

「すまなかったなキリト君。 こんなことになっているとは知らなかった」

 

「……俺が勝ったら、三人(・・)が住める大きさの家を買えよ」

 

「……いや、君は試合後からは一日だけ我がギルドの団員だ」

 

言うと、ヒースクリフは笑いを収め、瞳から圧倒的な気合を(ほとばし)しらせてきた。

俺は意識を戦闘モードに切り替え、ヒースクリフの視線を正面から受け止めた。

大歓声が徐々に遠ざかっていく。

ヒースクリフは視線を外すと、俺から距離を取り右手を掲げた。

この動作により、俺の眼前にデュエルメッセージが出現した。

もちろん受諾。

オプションは初撃決着モード。

カウントダウンが始まった。

周囲の歓声は、もはや俺の耳には届かない。

俺は、背中から二振りの愛剣を同時に抜き放った。

ヒースクリフも盾の裏から細身の長剣を抜きピタリと構えた。

俺とヒースクリフは、ウインドウには一瞬たりとも視線を向けなかった。

【DUEL!!】の文字が閃くのと同時に俺と奴は地を蹴った。

俺は沈み込んだ体勢から一気に飛び出し、地面ギリギリを滑空するように突き進み、ヒースクリフの直前で体を捻り右手の剣を左斜め下から叩きつける。

十字盾に迎撃され、激しい火花が散る。が、攻撃は二段構えだ。

右にコンマ一秒遅れて、左の剣が盾の内側へと滑り込む。

二刀流突撃技、《ダブルサーキュラー》。

左の一撃は脇腹に達する直前で長剣に阻まれてしまった。

だが、この一撃は挨拶代わりだ。

技の余勢で距離を取り、向き直る。

今度は、ヒースクリフが盾を構えて突撃して来た。

巨大な十字盾の陰に隠れて、奴の右腕がよく見えない、なので俺は右への回避を試みた。

盾の方向に回り込めば、初期起動が見えなくても攻撃に対処する余裕が出来ると踏んだからだ。

ヒースクリフは盾自体を水平に構えると、尖った先端で突き攻撃を放ってきた。

純白のエフェクト光を引きながら巨大な十字盾が迫る。

俺は咄嗟に両手の剣を交差してガードした。

激しい衝撃が全身を叩き、数メートルも吹き飛ばされる。

右の剣で床を突いて転倒を防ぎ、空中で一回転して着地する。

あの盾にも攻撃判定があるらしい。

まるで盾と剣で二刀流だな。

手数で上回れば一撃勝負では有利、と思っていたがこれは予想外だ。

ヒースクリフはダッシュで距離を詰めてきた。

十字を象った右手の長剣が、《閃光》アスナもかくやという速度で突き込まれてくる。

連続技が開始され、俺は両手の剣を使ってガードに徹した。

連撃最後の上段斬りを左の剣で弾くと、俺は間髪入れず右手で単発重攻撃《ヴォーパル・ストライク》を放った。

ジェットエンジンめいた金属質のサウンドと共に、赤い光芒(こうぼう)を伴った突き技が十字盾の中心に突き刺さる。

岩壁の様な重い手応えにも講わず、そのまま撃ち抜く。

凄まじい衝撃音が轟き、今度はヒースクリフが撥ね飛ばされた。

盾を貫通するには至らなかったが、多少のダメージは《抜けた》感触があった。

奴のHPバーがわずかに減っている。が勝敗を決するほどの量ではない。

ヒースクリフ軽やかな動作で着地すると、距離を取った。

 

「……素晴らしい反応速度だな」

 

「そっちこそ堅すぎるぜ」

 

言いながら俺は地面を蹴った。

ヒースクリフも剣を構え直して間合いを詰めて来る。

超高速で連続技の応酬が開始された。

俺の剣は奴の盾に阻まれ、奴の剣を俺の剣が弾く。

二人の周囲では様々な色彩の光の連続的に飛び散り、衝撃音が闘技場の石畳に突き抜けていく。

時折互いの小攻撃が弱ヒットし、双方のHPバーがじりじりと削られ始める。

たとえ強攻撃が命中しなくても、どちらかのHPバーが半分を下回れば、その時点で勝者が決定する。

俺は、攻撃のギアを上げていく。

まだだ。 まだ上がる。

全能力を解放して剣を振るう法悦(ほうえつ)が俺の全身を包んでいた。

剣戟(けんげき)の応酬が白熱した。

ついに五割が見える所まで来た。

 

「らぁぁぁぁぁ!!」

 

俺は全ての防御を捨て去り、両手の剣で攻撃を開始した。

二刀流上位剣技《スターバースト・ストリーム》、恒星から噴き出すプロミネンスの奔流(ほんりゅう)の如き剣閃(けんせん)がヒースクリフに殺到する。

ヒースクリフが十字盾を掲げてガードする。

構わず上下左右から攻撃を浴びせ続ける。

 

―抜けるー

 

俺は最後の一撃がガードを超える事を確信した。

盾が右に振られすぎたそのタイミングを逃さず、左からの攻撃がヒースクリフの体に吸い込まれていく。

その時、世界がブレた。

俺を含む全てが一時停止した様な気がした。

ヒースクリフ一人を除いて。

右に振られたはずの奴の盾が瞬間的に左に移動し、俺の必殺の一撃を弾き返した。

 

「なッ……」

 

大技をガードされた俺は、致命的な硬直時間を課せられる。

ヒースクリフがその隙を逃さず、戦闘を終わらせるダメージを右手の剣の単発突きによって与えられ、俺はその場に無様に倒れた。

視界の端で、デュエルの終了を告げるシステムメッセージが紫色に輝くのが見えた。

 

「「キリト(さん)!!」」

 

駆け寄って来た、ユウキとランの手で助け起こされる。

 

「あ、ああ……。 大丈夫だ」

 

ヒースクリフは俺達を一瞥すると身を翻し、ゆっくりと控え室に消えて行った。

ランは、俺の隣に座り小さな小瓶を渡してきた。

 

「キリトさん、これを飲んでください」

 

「……悪い」

 

ランが俺に渡してきた物は、小さな小瓶に入った液体、ハイポーションだった。

俺は、両手に一本ずつ持っていた剣を放し石畳に置いてから、ランから小瓶を受け取り栓を開け、口の中にレモン味に似た液体を流し込んだ。

これで俺のHPは、五分もしない内に全快するだろう。

 

「キリトの馬鹿……」

 

ユウキは、泣きそうになりながら俺に抱き付いてきた。

 

「……ごめんな」

 

俺は、ユウキの頭を優しく撫でた。

ランは、頬笑みながら俺達を見ていた。

てか、周りからの視線が痛い。

そう言えば、ここ闘技場のど真ん中だよな……。

闘技場にいる奴らの目が、えぐい事になっているよ。

早く離れてもらわないと。

 

「あの~、ユウキさん。 そろそろいいですか……?」

 

「離れないよ。 絶対にね……」

 

それから10分間、俺はユウキに抱きしめられ続けた。

俺とヒースクリフの決闘(デュエル)は、俺の敗北という形で終わりを告げた。

 




上手く書けたか不安です。

早くユイちゃん回を書きたいですね(笑)

ご意見、ご感想、よろしくお願いします!!

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