舞翼です!!
今回も早く書き上げたぜ!!
誤字脱字などがあったらごめんなさい。
それでは、どうぞ。
俺達は、立ち塞がるモンスターを蹴散らしながら、ボス部屋へ続く通路まで辿り着いた。
ボス部屋までは、真っ直ぐに進むだけだ。
「ひょっとしてもうアイテムで帰っちまったんじゃねぇ?」
「そうだといいんですけど…」
クラインが、腰の鞘に納刀しながら言った。
ランは、腰の鞘に片手剣の刀身部分を戻しながら呟いた。
「俺は、嫌な予感がする……」
「ボクも嫌な予感がする……」
俺達が半ばほどまで進んだ時、俺とユウキの嫌な予感が的中してしまったのだ。
「あぁぁぁぁ……」
その声は悲鳴だった。
俺達は、顔を見合わせると、一斉に駈け出した。
俺達は、風の如く疾駆する。
俺達の後ろを追いかけていた《風林火山》メンバーは、モンスターに道を塞がれていた。
「俺達だけで行くぞ!!」
「「「了解!!」」」
やがて、彼方にあの大扉が出現した。
すでに左右に大きく開いている。
「バカやろう!!」
「「「バカッ……!!」」」
俺達は、思わず叫んでしまった。
俺達は、扉の手前で急激な制動をかけ、入り口ギリギリで停止した。
「おい、大丈夫か?!」
俺は、扉の手前に到着したと同時に叫ぶ。
部屋の内部は、地獄絵図だった。
部屋の奥で必死に逃げ回っている人影を発見した。
軍の部隊だ。
陣形がバラバラになっており統制も何もあったものではない。
咄嗟に人数を確認するが、二人足りない。
こうしている間にも軍の部隊は、青い悪魔の攻撃を受けている。
なんで、転移結晶を使わない?!
俺は、転移結晶を使えと叫んだ。
「何をしている!! 早く転移結晶を使え!!」
一人の男がこちらに顔を向けると絶望の表情で叫び返してきた。
「だめだ……!! けっ……結晶が使えない!!」
このボス部屋は《結晶無効化空間》なのか?!
今までのボス部屋には無かったトラップだ。
これでは、迂闊に助けに入れない。
その時、一人のプレイヤーが剣を高く掲げ、怒号を上げた。
コーバッツであった。
「何を言うか……ッ!! 我々解放軍に撤退の二文字は有り得ない!! 戦え!! 戦うんだ!!」
「馬鹿野郎……!!」
俺は思わず叫んでいた。
結晶無効化空間で二人居なくなっているということは“死んだ”つまり消滅したということだ。
ようやくクライン達六人が追い付いてきた。
「おい、どうなっているんだ!?」
俺は手早く事態を伝える。 クラインの顔が歪む。
「な……、何とかできないのかよ……」
俺達が斬り込んで連中の退路を拓くことは出来るかもしれない。
だが、緊急脱出不可能なこの空間での戦闘は危険すぎる。
こちらに死者が出る可能性は捨てきれない。
あまりにも人数が少なすぎる。
俺が逡巡している内、部隊を立て直したらしいコーバッツの声が響いた。
「全員……突撃……!!」
十人の内、二人は瀕死状態だ。
残る八人を四人ずつの横列に並べ、その中央に立ったコーバッツが剣をかざして突進を始めた。
「やめろ……っ!!」
俺の叫びは届かない。
余りに無謀な攻撃だった。
八人一斉に飛び掛かっても、数ドットしか青い悪魔のHPバーを削ることしか出来ていなかったのだ。
青い悪魔は、口から眩い噴気を撒き散らした。
この攻撃を受けて軍の部隊は壊滅状況まで陥った。
どうやらあの息にもダメージ判定があるらしい。
その時、部隊の一人がすくい上げられる様に斬り飛ばされ、青い悪魔の頭上を越えて俺達の眼前の床に激しく落下した。
その人物は、コーバッツだった。
自分の身に起きたことが理解出来ないという表情で口がゆっくりと動いた『有り得ない』と。
直後、コーバッツの体はポリゴンを四散させた。
余りにあっけない消滅だった。
奥には、喚き声を上げるながら逃げ惑う、軍のパーティーメンバー。
すでに全員のHPが半分を割り込んでいる。
「だめよ……だめよ……もう」
絞り出すようなアスナの声。
ヤバい、と思いアスナの腕を掴もうとする。
だが一瞬遅かった。
「だめーーーーーッ!!」
絶叫と共に駈け出した。
空中で抜いた細剣と共に、一筋の閃光となり青い悪魔に突っ込んでいく。
「…… 行くぞッ!! ユウキ、ラン」
「「了解!!」」
俺達は、抜剣してアスナの後を追った。
「どうとでもなりやがれ!!」
クライン達も追随してくる。
アスナの攻撃によりこちらに誘導することに成功したが、グリームアイズは、アスナに向けて斬馬刀を振り下ろした。
アスナは咄嗟にステップでかわしたが、完全には避けきれず余波を受けて地面に倒れ込んだ。
「アスナ!!」
俺は、斬馬刀の間に潜り込み、ぎりぎりのタイミングで攻撃の軌道を逸らす。
「下がれ!!」
俺の言葉によってアスナは、後ろに飛び後退した。
グリームアイズが斬馬刀を大きく振りかぶり、俺の頭上目掛けて振り下ろした。
俺は、右手に装備している片手剣で受けた。
HPがじわじわと減少していく。
「「キリト(さん)スイッチ!!」」
この言葉と同時に俺は、無理やり斬馬刀を撥ね上げ二人と入れ替わる。
ユウキは、片手剣ソードスキル《ホリゾンタル・スクエア》水平四連撃を放つ。
ランは、片手剣ソードスキル《シャープネイル》計三連撃を放つ。
俺は、その間にハイポーションを口の中に流し込みHPを全快にさせる。
俺の隣までアスナがやって来た。
アスナもハイポーションでHPを全快にしたようだ。
「いける!?」
「ああ」
「「スイッチ!!」」
二人は、グリームアイズの斬馬刀を左に受け流し、俺とアスナが入れるスペースを作る。
俺は、片手剣ソードスキル単発重攻撃《ヴォーパル・ストライク》を放つ。
アスナは、細剣ソードスキル《スター・スプラッシュ》計八連撃を放つ。
俺は、グリームアイズのHPを見た。
グリームアイズHPバーは、減少こそしていたが微々たるものだった。
《風林火山》メンバーは、倒れた軍のプレイヤーを部屋の外に連れ出そうとするが、俺達が中央で戦闘をしているため、その動きは遅々として進まない。
次の瞬間、斬馬刀が俺を捉えた。
痺れるような衝撃が俺を襲った。
HPバーが今の攻撃で半分削られた。
俺の装備とスキル構成は
このことは、ユウキ、アスナ、ランにも当てはまる。
俺とユウキは、攻撃特化型。 アスナは、速度特化型。 ランは、速度特化型に近い。
その為、グリームアイズの一撃が当たれば致命傷に近いダメージになる。
このままでは、じり貧だ。
最早離脱する余裕は無い。
残された選択肢は一つだけだ。
だが、俺だけでは火力が足りない。
「ユウキ!! “あれ”を使うぞ!!」
「わかった!!」
「アスナ! ラン! クライン! 十秒持ちこたえてくれ」
「「「わかった(わ)」」」
俺は、アスナと一緒に斬馬刀を撥ね上げる。
後ろからランとクラインが飛び込んできて応戦する。
それと同時に、俺はユウキの隣まで後退する。
俺は、所有アイテムのリストをスクロールし、一つを選び出してオブジェクト化する。
装備フィギュアの、空白になっている部分にそのアイテムを設定。
スキルウインドウを開き選択している武器スキルを変更。
全ての操作を終了し、OKボタンにタッチしてウインドウを消すと、背に新たな重みが加わった。
俺は、隣でスキルを変更の操作をしていた、ユウキを見る。
ユウキは、頷いた。
スキルの変更が完了したということだろう。
俺とユウキは同時に叫んだ。
「「いい(ぞ)(よ)!!」」
俺とユウキの声を、背を向けたまま三人は頷いた。
三人は、グリームアイズの斬馬刀にソードスキルを当て、俺とユウキが入れる間合いを作りだした。
「「スイッチ!!」」
俺とユウキは、タイミングを逃さず叫ぶと、グリームアイズの正面に飛び込んだ。
グリームアイズは、斬馬刀を構え直し大きく振りかぶる。
振り下ろされた斬馬刀を右手に装備しているエリュシデータで弾き返すと、間髪入れず左手を背に回して
抜き様の一撃をグリームアイズの胴に見舞う。
「グォォォォ!!」
憤怒の叫びを洩らしながら、グリームアイズは上段斬り下ろし攻撃を放ってきた。
俺は、剣を交差して斬馬刀を受け止め押し返す。
これにより、グリームアイズは態勢を崩す。
俺は“二刀流”上位剣技《スターバースト・ストリーム》十六連撃を放つ。
「うぉぉぉぉあああ!!」
俺は絶叫しながら、システムアシストをも上回ろうかという速度で攻撃を放ち続ける。
「…………あぁぁぁぁぁぁ!!」
雄叫びと共に放った最後の十六撃目が、グリームアイズの胸の中央を貫いた。
だが、奴のHPバーは、後一本残っていた。
俺は、大技の硬直で動けない。
だが、ユウキが俺の後ろから飛び出してきて“黒燐剣”最上位剣技《マザーズ・ロザリオ》計十一連撃を放つ。
グリームアイズは、フィニッシュの一番強烈な十一撃目の突きを受け、青い欠片となって爆散した。
「終わった……の?」
「終わった……のか?」
俺は、自分のHPバーを確認する。
赤いラインが、数ドットの幅で残っているだけであった。
隣で、剣を杖にしながら片膝を付いているユウキも同じだろうな。
俺も、剣を杖にしながら片膝を付けた。
こうして青い悪魔との戦闘は終了した。
出しちゃいました。
“黒燐剣”最上位剣技『マザーズ・ロザリオ』
“二刀流”上位剣技『スターバースト・ストリーム』
あと、クラインもちゃんと攻撃してましたよ…。
戦闘描写は難しい…。
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