ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

34 / 144
ども!!

舞翼です!!

今回も早く書きあげる事が出来ました。

ぐだぐだになっていたらごめんなさい!

それでは、どうぞ。




第34話≪第74層 迷宮区攻略≫

第74層 迷宮区。

 

俺達は、第74層の迷宮区の最前線で戦闘の真っ最中だ。

俺達が相手をしているモンスターは、デモニッシュ・サーバントの名を持つ骸骨の剣士だ。

恐ろしい筋力パラメータを持った厄介な相手だ。

俺達の前には、二体出現している。

俺達四人は、二人一組みになりデモニッシュ・サーバントに対峙していた。

ユウキは、デモニッシュ・サーバントに片手剣ソードスキル《バーチカル・スクエア》の四連撃を放つ。

 

「キリト、 スイッチ」

 

ユウキの声が迷宮区に響き渡った。

俺は、隙だらけのデモニッシュ・サーバントの懐に潜り、片手剣ソードスキル《ホリゾンタル・スクエア》の水平四連撃を放つ。

俺達の攻撃を受けた、デモニッシュ・サーバントは、ポリゴンを四散させた。

俺とユウキは、デモ二ッシュ・サーバントの完全な消滅を確認してから、武器の刀身部分を鞘に戻した。

 

「やったね!」

 

「だな」

 

俺は、アスナとランを見た。

二人は初めてパーティーを組んだと思えない連携を見せていた。

アスナは、デモニッシュ・サーバントの隙を付き細剣ソードスキル《スター・スプラッシュ》計八連撃を放つ。

アスナが攻撃を放ち終わった後、ランがスイッチし、片手剣ソードスキル単発重攻撃《ヴォーパル・ストライク》を放つ。

この攻撃を受けたデモニッシュ・サーバントは、ポリゴンを四散させた。

こちらも同じく、デモニッシュ・サーバントの完全な消滅を確認してから武器の刀身部分を鞘に戻した。

 

「やった」

 

「やりましたね」

 

俺達四人は、未踏破の迷宮区を突き進んで行く。

途中五回ほどモンスターに遭遇したがダメージを負うことなく切り抜けた。

マップデータの空白部分もあとわずか、後は、一直線に進むだけだ。

一直線に進んだ俺達を待ち受けていたのは巨大な二枚の扉だった。

 

「なぁ、これって」

 

「ボスの部屋だね」

 

「どうします?」

 

「覗いてみる……?」

 

上から順に、キリト、ユウキ、ラン、アスナだ。

俺とユウキとランは、アスナの問いに頷いた。

 

「一応、転移結晶を用意しといてくれ」

 

「「「了解」」」

 

俺達は、アイテムストレージから転移結晶を取り出し、左手に握り締めた。

 

「いいな……。 開けるぞ……」

 

全員頷いたのを確認してから結晶を握っている左手を鉄扉(てっぴ)にかけゆっくりと力を込めた。

この動作によりゆっくりと扉が開いていく。

部屋の中は暗闇に包まれていた。

俺達は、一歩だけボス部屋に足を踏み入れた、

少し離れた場所の床の両側に二つの青い炎が灯った。

次の瞬間、ボボボボボ……と連続音と共に入り口から中央に向かって真っすぐに炎の道が出来上がる。

激しく揺れる火柱の後ろから徐々に巨大な姿が出現した。

見上げるようなその姿は、全身に縄のごとく盛り上がった筋肉に包まれている。

肌の色は周囲の青い炎に負けぬ深い青、分厚い胸板の上に乗った頭は、人間ではなく山羊(やぎ)そのものだ。

頭の両側からは、ねじれた太い角が後方にそそり立つ。

眼は、青白く燃えているかのような輝きを放っている。

下半身は、濃紺の長い毛に包まれている。

簡単に言えば悪魔の姿そのものだ。

恐る恐る視線を凝らし、出てきたカーソルの文字を読む。

《The Gleame Eyes》。

グリームアイズ、輝く目。

名前に定冠詞がつくのは、ボスモンスターの証である。

グリームアイズは、右手に持った巨大な剣をかざして、こちらにまっすぐ地響きを立てながら猛烈なスピードで走り寄ってきた。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

「「「きゃぁぁぁぁぁ!!」」」

 

俺達は、ほぼ同時に悲鳴を上げ、出口に向き直ると全速力で安全エリアまで走り出した。

安全エリアに指定されている広い部屋に飛び込み、並んで壁際にずるずるとへたり込む。

俺達は大きく一息を吐いた後、どちらともなく笑いがこみ上げてきた。

冷静にマップなりで確認すれば、あの巨大な悪魔が部屋から出てこないのはすぐに判ったはずだが、どうしても立ち止まる気にはならなかったのだ。

 

「あはは、やー、逃げた逃げた」

 

「あはは、確かに逃げたね」

 

「ふふ、ですね」

 

三人は床にペタリと座り込んで、愉快そうに笑いあった。

 

「こんなに一生懸命走ったのはすっごい久しぶりだよ。 まぁ、私達よりキリト君のほうが凄かったけどね」

 

「…………」

 

否定できない。 憮然(ぶぜん)とした俺の表情を眺めながら、三人はくすくすと笑い合っていた。

 

「……あれは苦労しそうだね……」

 

とアスナは表情を引き締めて言った。

 

「そうだね。 武装は大型剣ひとつだけど特殊攻撃アリかもね」

 

とユウキが言い、

 

「前衛に堅い人を集めてどんどんスイッチしてくかないですね」

 

とランが言った。

 

「盾装備の奴が十人は欲しいな……。 まぁ、少しずつちょっかい出して傾向と対策って奴を練るしかなさそうだ」

 

と俺。

 

「「盾装備、ねぇ」」

 

アスナとランが意味ありげな視線でこちらを見た。

 

「君達、なにか隠しているでしょ」

 

「……隠しているわよね」

 

「「なんで(かな)……」」

 

「だっておかしいもの。 普通、片手剣の最大のメリットって盾を持てることじゃない。 でも二人が盾持ってるとこ見たことない。 私の場合は細剣のスピードが落ちるからだし、スタイル優先で持たないって人もいるけど、君達の場合はどっちでもないよね。……あやしいなぁ」

 

「……あやしいわね」

 

「ねぇキリト。 二人には教えよっか」

 

「了解」

 

俺達は、二人に教える事にした。

 

「「実は「まぁ、いいわ。 スキルの詮索はマナー違反だもね」」」

 

「そうですね」

 

「後で二人には教えるよ」

 

「ボクも教えるね」

 

ユウキは、時計を確認した。

 

「わ、もう三時だ。 遅くなっちゃたけど、お昼にしよっか」

 

「「「賛成!!」」」

 

ユウキは手早くメニューを操作し、紫革の手袋の装備を解除して小ぶりなバスケットを出現させた。

バスケットから大きな紙包みを三つ取り出し俺達に配ってくれた。

丸パンをスライスして焼いた肉や野菜をふんだんに挟み込んだサンドイッチだ。

胡椒(こしょう)に似た香ばしい匂いが漂う。

俺達三人は、口を開けてかぶりついた。

 

「……うまい」

 

「「おいしいわ」」

 

俺達三人は、率直な感想を呟いた。

 

「本当ッ!! 嬉しいな~」

 

ユウキは、笑顔で応じた。

 

「あと、これも作ってみたんだ。 こっちがグログアの種とシュブルの葉とカリム水」

 

言いながらユウキは、バスケットから小瓶を二つ取り出し、片方の栓を抜いて俺達三人の人差し指に紫色の液体を付着させた。

俺達三人は、人差し指に付着した紫色の液体をゆっくりと口の中に運んだ。

 

「「「…マヨネーズ!!」」」

 

「凄いよユウキちゃん。 マヨネーズの再現に成功したんだ」

 

「凄いわ。 さすが私の妹ね」

 

「えへへ」

 

「で、こっちは何なんだ?」

 

俺は、もう一つの小瓶を見た。

 

「こっちは、アビルパ豆とサグの葉とウーラフィッシュの骨で作った調味料だよ」

 

こちらは、黄緑色の液体であった。

ユウキは、先程と同じ様に俺達三人の人差し指に液体を付着させた。

俺達三人は、ゆっくり人差し指を口に運んだ。

 

「「「醤油!!」」」

 

「醤油は、アスナと協力して再現したんだ」

 

「二人とも凄いわね……」

 

「確かに……」

 

俺とランは率直な感想を言った。

 

「キリト君は、何時も食べているんでしょ?」

 

「まぁな。 マヨネーズと醤油は、今日初めて食べたな」

 

この様な会話をしていたら不意に下層側の入り口からプレイヤーの一団が鎧を鳴らして入って来た。

現れた六人パーティーは、ギルド《風林火山》であった。

 

「おお、キリト! ユウキちゃん! しばらくだな」

 

俺とユウキに気付いて笑顔で近寄って来た《風林火山》のリーダー、クラインに俺とユウキは、腰を上げて挨拶を交わす。

 

「まだ生きていたか、クライン」

 

「久しぶりだね。クライン」

 

「相変わらず愛想のねぇな野郎だな、キリの字よ。 ユウキちゃんも久しぶり。 ……キリトの後ろにいる人……は…」

 

立ち上がったアスナとランを見て、刀使いは額に巻いた趣味の悪いバンダナの下を丸くした。

 

「あー、っと、ボス戦で顔を合わせているだろうけど、一応紹介するよ。こいつはギルド《風林火山》のクライン。 で、こっち二人は《血盟騎士団》のアスナ、《剣舞姫》のランだ」

 

俺の紹介に二人はちょこんと頭を下げたが、クラインの目のほかに口も丸く開けて完全停止した。

 

「おい、何とか言え。 ラグってんのか?」

 

肘でわき腹をつついてやるとようやく口を閉じ、凄い勢いで敬礼気味に頭を下げる。

 

「こっ、こんにちは!! くくクラインという者です二十四歳独身」

 

どさくさに紛れて妙なことを口走る刀使いわき腹をもう一度今度は強めにどやしつける。

だが、クラインの挨拶が終わると同時に後ろに下がっていた五人のパーティーメンバーが三人に駆け寄ってきた。

俺は三人に近寄ってくる手前でガードをした。

だが全員我先にと口を開いて自己紹介を始めのだ。

二年前、このデスゲームが始まった日、俺が怯み、拒んだその重みを、クラインは堂々と背負い続けている。

クラインは、独力で仲間を一人も欠くことなく守り抜き、攻略組の一角を占めるまでに育て上げたのだ。

 

「ま、まぁ、悪い連中じゃないから。 リーダーの顔はともかく」

 

クラインが俺の足を思い切り踏みつける。

結構痛い…。

突然我に返って俺の腕を掴むと、抑えつつも殺気の籠った声で聞いてきた。

 

「どっどどどうゆうことだよキリト!! その左手薬指に嵌めている指輪はどうした??」

 

「えっと……、ユウキと俺は、結婚したんだ。 後ろに立っている、アスナとランは、昨日の成り行きでパーティーを組んでいるな」

 

「く~、羨ましい」

 

この様な言葉を発しているが内心では激怒してるな。

クラインが、先程掴んだ俺の腕に有り得ないほどの力を込めてきた。

めちゃくちゃ痛いんですけど……。

これは、ただで解放されそうもない、と俺が肩を落とした。

その時、先程ギルド《風林火山》メンバーが通って来た通路から新たな一団の訪れを告げる足音と金属音が響いてきた。

 

「キリト。 《軍》だよ」

 

とユウキが俺に囁いた。

軍の連中は、俺達とは反対側の端に部隊を停止した。

先頭にいた男が『休め』と言った。

途端、軍のメンバーが腰を下ろした。

軍のメンバーは、疲弊の色が見て取れる。

先頭に立っていた男がこちらに向かって近づいてきた。

男の装備は他のメンバーの装備とやや異なるようだった。

金属鎧も高級品だし、胸部分に他の者にはない、

アインクラッド全景を意匠化したらしき紋章が描かれている。

男は先頭に立っていた俺に向かって口を開いた。

 

「私はアインクラッド解放軍所属、コーバッツ中佐だ」

 

《軍》というのは、その集団外部の者が揶揄(やゆ)的につけた呼称のはずだったが、いつから正式名称になったんだ。

その上《中佐》と来た。

俺は「絶剣とコンビを組んでいるキリトだ」と名乗った。

男は、軽く頷き、横柄(おうへい)な口調で訊いてきた。

 

「君らはもうこの先も攻略しているのか?」

 

「……ああ。 ボス部屋の手前まではマッピングしてある」

 

「うむ。 ではそのマップデータを提供して貰おう」

 

当然だ、と言わんばかりの男の口調に俺も少なからず驚いたが、後ろにいたクラインはそれどころではなかった。

 

「な……て……提供しろだと!? 手前ェ、マッピングする苦労が解って言ってんのか?!」

 

未踏破のマッピングデータは貴重な情報だ。

トレジャーボックス狙いの鍵開け屋の間では高値で取引されている。

クラインの声を聞いた途端男は片方の眉を動かし、顎を突き出すと、

 

「我々は君ら一般プレイヤー開放の為に戦っている!!」

 

大声を張り上げた。 続けて、

 

「諸君が協力するのは当然の義務である!!」

 

傲岸不遜(ごうがんふそん)とはこのことだ。

ここ一年、軍が積極的にフロア攻略に乗り出してきたことはほとんどないはずだが。

 

「ちょっと、あなたねぇ……」

 

「て、てめぇなぁ……」

 

「傲岸不遜のいい見本ね……」

 

「このおじさん嫌い……」

 

上から順に、アスナ、クライン、ラン、ユウキだ。

アスナとクラインは爆発寸前である。

 

「どうせ街に戻ったら公開しようと思っていたデータだ、構わないさ」

 

「おいおい、そりゃ人が好すぎるぜキリト」

 

「マップデータで商売する気はないよ」

 

言いながらトレードウインドウを出し、コーバッツ中佐と名乗る男に迷宮区のデータを送信する。

男は表情一つ動かさずマップデータを受信すると「協力感謝する」と感謝の気持ちなどかけらも無さそうな声で言い、くるりと後ろを向いた。

その背中に向かって声をかける。

 

「ボスにちょっかい出す気ならやめといたほうがいいぜ」

 

コーバッツはわずかにこちらを振り向いた。

 

「……それは私が判断する」

 

「さっきちょっとボスの部屋を覗いてきたけど、生半可な人数でどうこうなる相手じゃないぜ。 仲間も消耗しているみたいじゃないか」

 

「……私の部下はこの程度で音を上げるような軟弱者ではない!!」

 

部下、という所を強調してコーバッツは苛立ったように言ったが、床に座り込んだままの当の部下たちは同意している様には見えなかった。

 

「貴様等さっさと立て!!」

 

というコーバッツの声によろよろ立ち上がり、二列縦隊に整列する。

コーバッツは最早こちらには目もくれずその先頭に立つと、片手を上げて振り下ろした。

軍のメンバーは、一斉に武器を構え、重々しい装備を鳴らしながら進軍を再開した。

 

「……大丈夫なのかよあの連中……」

 

軍の部隊が上層部へと続く出口に消え、規則正しい足音が聞こえなくなった頃、クラインが気遣わしげな声で言った。

 

「いくらなんでもぶっつけ本番でボスに挑んだりはしないと思うけど…」

 

「でも、どこか無謀さを感じました」

 

「一応様子だけでも見に行く?」

 

「そうだな」

 

俺達が言うと《風林火山》クラインの仲間五人も相次いで首肯してくれた。

ここで脱出して、あとからさっきの連中が未帰還だ、

などという話を聞かさせたら寝覚めが悪すぎる。

 

俺達は、装備を確認したあと軍の連中の後を追った。

 




話が進むに連れ、書くのが難しくなってきてますね…。

僕だけかもしれませんが…。

ご意見、ご感想、よろしくお願いします!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。