ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

今回の話から大人編ですな。
いやー、時間がかかって申し訳ない。新作を書いたり、最近忙しかったりでm(__)m

それでは、後日談第25弾いってみよ(^O^)/
誤字脱字があったらごめんよ。
それではどうぞ。


後日談 大人 or 子供編
第120話≪新たな生活と子供たち≫


二〇三七年。 八月。

 

俺と七色が立ち上げた会社は、現在は15人程度の従業員で会社を経営している。

本当は、50人採用して研究をしようとしたのだが、七色と相談した結果、少人数で研究した方が捗るという意見になったからだ。

そして今現在俺は、研究資料を纏めていた。

 

「カズ。 ニューロリンカーの設計、一応数値内に収めたけど、これでいいか?」

 

俺は渡された資料に目を通す。 今俺に話しかけたのは、如月悠。

俺が東京大学で同じチームだった奴だ。 こいつは俺が採用した。

悠とは大学時代から馬が合ったので、壁を作ることなく、接することが出来ると思ったからだ。

 

「おう、これでいいぞ。 明後日研究してみよう。 上手くいけば七色会長に報告しよう」

 

悠は苦笑した。

 

「カズ。 七色さん怒るぞ」

 

「いや、あれは怒ったとは言わないぞ」

 

七色は会長と言うと唇を尖らせるのだ。

どうやら七色は、自身も平社員と同じ立ち位置で仕事をしたいらしい。 七色にとって、会長の肩書きは邪魔なものらしい。

ちなみに、俺は社長だ。

その時、隣のドアがノックされて、今話題にしていた人物が研究室に入ってきた。

 

「……はあ、今月で面接者何人目よ。 もう数えてないわ」

 

「約50人だな。 まあ、俺で殆んど落とすんだけど。 それでも数が尋常じゃないからな」

 

この会社の面接者は、世界中から集まるのだ。

なので、書類選考から辛口に設定されている。 最終面接までこぎつけるのはほんの一部の人間だけだ。 そして、論理的で先の読める奴が多い。 簡単に言えば、エリート中のエリートだ。

ちなみに、所持してる資格も凄い。

 

「日本だけの求人にするか? 今の社員も日本人しかいないし」

 

この会社では、一番に人間関係を重視する。

コミュニケーションが取れないと、会社全体に影響が出るからだ。

 

「そうね。 そうしましょうか。 面接の時間を割くことが出来れば、研究をする時間が増えるわ」

 

悠は安堵の息を吐いた。

 

「……よかった、オレは早く採ってもらって」

 

「そうか。 悠なら、今受けても最終まで行ってたと思うぞ」

 

「そうね。 あとは、私と和人君の審議にかけられてたわね」

 

会社を設立した時、悠が面接に訪れた時は本当に驚いた。

まあ、俺と七色が大物になっていた為、面接でメチャクチャ緊張していたが。

 

「じゃあ、私は求人の設定を変えてから上がるわ。 和人君と悠君は上がりでしょ?」

 

七色はそう言い、椅子に座ってからノートパソコンを開いた。

 

「おう、俺は上がりだな。 家でチビたちが待ってる」

 

「オレも上がりです。 研究資料が出来たので、明日取りかかってみます」

 

「そう。 お疲れ様」

 

俺に続いて、悠、七色だ。

俺は鞄を持ち、会社を出てから帰路についた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

マンションの階段を上がり、我が家である二〇一号室の扉を開ける。

玄関から見ても、リビングは活気があふれていた。

 

「今帰ったぞ」

 

俺がそう言うと、チビたちがリビングの扉を開け、ひょっこりと顔を出す。

男の子の名前は、桐ケ谷和真(きりがや かずま)。 女の子の名前は、桐ケ谷紗季(きりがや さき)だ。 二人は、二卵性の双子だ。

 

「パパ、お帰り」

 

「パパ、お帰りなさい」

 

「今帰ったぞ。 和真、紗季」

 

二人のおチビは、俺の手を握ってリビングに連行する。

その間、俺は苦笑するだけだ。 誰に似てこんなに元気な子が生まれたんだか。

リビングに入ると、料理を作ってる桐ケ谷木綿季の姿が映る。

木綿季は、俺を見てニッコリと笑った。

 

「和人、お帰り。 お仕事お疲れ様」

 

「おう、ただいま。 今日も疲れた」

 

「今日も面接者たくさん来たの?」

 

「結構来たぞ。 若い歳で面接官をやるなんてな。 ところで、今日の料理はなんだ?」

 

「今日は、ビーフシチューに白いご飯、サラダだよ」

 

これを聞いた、おチビたちがテーブルの周りをぐるぐる回った。

ビーフシチューは、和真と紗季の好物でもあるのだ。

双子というのもあり、和真と紗季の好き嫌いがとても似ている。

 

「わあーい、ママのシチューだ!」

 

「ママのシチューは世界一!」

 

「和くんも、紗季ちゃんも走らない」

 

優衣が注意して、二人は走るのをやめた。

流石、おチビの姉である。

 

「パパも甘やかしすぎです。 ご飯の躾けはしっかりしないと」

 

「……あい。 了解しました」

 

今では、優衣に頭が上がらない俺である。

優衣も大学生になり、新たな生活をすごしている。 優衣は、木綿季に似てとても美少女だ。

身長も伸び、女性としての貫禄も出ていた。

流石、自慢の愛娘である。

 

「パパ。 おかわりしていいかな」

 

「あー、紗季はずるい。 オレもおかわりしたい」

 

「してもいいけど、まずは椅子に座ろうな」

 

「「はーい」」

 

椅子は指定席が設けられている。

俺の隣に木綿季、向かいに、和真、優衣、紗季だ。

 

「できたよー。 さあ、いただきますしようか」

 

全員の目の前に、出来たての白いご飯とビーフシチューが置かれた。

ちなみに、運んだのは優衣と木綿季だ。

俺たち家族は手を合わせた。

 

「いただきます」

 

「「「「いただきます!」」」」

 

木綿季が音頭をとり、それに俺、優衣、和真、紗季が声を合わせた。

とまあ、このようにして夕食の時間が始まった。

 

「おかわり」

 

「私もおかわり」

 

「おいおい、早く食べ過ぎると消化に悪いぞ」

 

俺がそう言うが、おチビたちは聞く耳持たずだ。

 

「パパ、私は成長期なの。 たくさん食べないと」

 

「そんなこと言って、紗季はオレよりチビなんだから」

 

「ムキー、カズ兄のバカ!」

 

「はいはい、ケンカしないで食べましょうね」

 

「「はあーい」」

 

優衣とおチビたちのやり取りを見ながら、木綿季は微笑んでいた。

つられて、俺も笑みを零した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

食後、おチビたちは優衣の部屋で遊んでおり、リビングには俺と木綿季だけだ。

木綿季は、俺の膝の上にちょこんと座り、俺は抱きしめる形でお腹に手を回している。

 

「和人は、おチビちゃんたちに甘すぎだよ」

 

木綿季の指摘に、俺は、うっ、と言葉を詰まらせた。

 

「た、たしかに、自身でもそう思ってる」

 

「もうっ」

 

木綿季はぷんぷんと怒った。

だが、とても可愛らしいので、愛おしく思うだけだ。

俺は、木綿季が逃げられないように腕に力を込めた。 それを、木綿季は拒まず受け入れてくれる。

 

「そういえば、明日はみんなでALOだっけ?」

 

「そうだよ。 お休みもらえた?」

 

「おう、七色に話したら、速攻で休みの許可が下りたぞ。 楽しんでこいだって。 まあ、会社もうなぎ昇りしたからなー」

 

そう。 俺と七色が会社を立ち上げて半年で、求人の殺到がもの凄かったのだ。

マスコミからも、『必見! 天才二人組の会社!』という記事も出たほどだ。

うん、少しの間は大人しくして欲しかった。

 

「さて、風呂に入るか。 今日はどうする?」

 

木綿季は唇に人差し指を当て、うーん、と考え込んだ。

 

「優衣ちゃんがおチビちゃんと入るらしいから、和人は久しぶりにボクと入ろうか」

 

「確かに久しぶりだな。 数ヵ月ぶりか?」

 

「そうかも。 最近は、おチビちゃんたちと入ってたから」

 

「なるほどな。 てか俺、優衣に『パパは部屋に入って来ないでください』とか言われたら、口から魂が抜けただろうな」

 

木綿季は俺の言葉を聞き、クスクスと笑った。

まあ、実際あったら、ありえない話じゃなかった気がするが。

 

「それはありえないから大丈夫だよ」

 

「そだな」

 

俺と木綿季は立ち上がり、風呂に入る支度をしてから、一緒に湯船に浸かった。

それから各寝室で眠りに就いた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

アインクラッド第二十二層《森の家》ログハウス。

 

「さて、今日は皆でアルンに行こうか」

 

「「「「おー」」」」

 

四人は声を合わせて手を上げた。

カズマは俺と同じ影妖精族(スプリガン)であり、サキはユウキと同じ闇妖精族(インプ)である。

髪や顔立ちなどは現実世界のものと遜色ない感じであり、二人の瞳からはやんちゃさを覗かせている。

 

「オレ、コントローラなしで飛べるようになったんだよ」

 

「私も私も!」

 

「でもカズ君、サキちゃん。 ロケットのように飛び出さないでね」

 

「ロケットのように?」

 

カズマは首を傾げた。

その意味が解る俺は、背から冷汗を流した。

 

「……は、はは、ユウキは何言ってるんだろうな」

 

だが、俺のごまかしは意味がないものになる。

 

「サキ、その話知ってるよ。 パパが翅を制御できなくて飛び回った話でしょ、直葉叔母さんから聞いたよ」

 

「(スグ――! おチビちゃんに何教えてんの。 笑いのネタにされたら……俺、泣いちゃうよ)」

 

俺は心の中で叫んだ。

確かにあれは、自身でもみっともない姿だったと思う。 今ではいい思い出だけど。

俺は気持ちを切り替えた。

 

「さて、アルンまで飛ぶか。 ユウキは後方から、ユイは隣から見てやってくれ。 先頭は俺が飛ぶよ」

 

「OK」

 

「お手伝いします」

 

「「よろしくお願いします」」

 

こうして俺たち家族は、アルンの世界樹根元へ向けて、ゆっくり飛翔を開始した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「じゃあ、俺とユウキ飲み物買ってくるから、大人しくしてるんだぞ」

 

「いい子で待っててね」

 

ユイが胸をポンと叩いた。

 

「はい、大丈夫です。ユイがついてますんで」

 

「ちゃんと大人しくしてまーす」

 

「してまーす」

 

俺とユウキは飲み物を買うため、近場の屋台や向かった。

飲み物を五つ買い、おチビとユイのいる場所へ戻るが、そこでは小競り合いが勃発していた。

その円の中心にいるのは、我が愛しの双子。和真と紗季であった。

俺とユウキの到着に気づいたユイが、この小競り合いが起きた経緯を教えてくれた。

何でも、其処らにいるチンピラが、《黒の剣士》と《絶剣》。《閃光》と《剣舞姫》を名乗っていたらしい。 和真と紗季は本人たちを知っているので、父と母、母の姉に父の親友を侮辱され、腹が立ってしまったらしいのだ。

《黒の剣士》、《絶剣》、《閃光》、《剣舞姫》はALOに伝説を残したプレイヤーだ。

だが、ログインすることが少なくなったので、もう引退したのでは、という憶測が広まっていたのだ。 そんな訳で、本人がいないことを利用し、伝説となったプレイヤーの二つ名を騙っているということらしい。 俺や木綿季、明日奈や藍子は二つ名には興味がないので、勝手に騙ればいいという考えなんだが、和真と紗季は、俺たち四人の正義感を強く持ってしまったらしい。

 

「おじさんたち、勝手にその名を語らないでよ!」

 

「そうだよ。 黒の剣士たちは、おじさんには遠く及ばないよ!」

 

カズマとサキの体は、少し震えが混じっていた。

立っているだけでも精一杯なんだろう。

 

「何だ、何言ってるんだお前ら」

 

「なあ、お嬢ちゃんたち、大人の話に首を突っ込むなよ。 痛い目見るぞ」

 

「そうだぞ、ガキ」

 

「オレが黒の剣士だぞ」

 

この言葉に、カズマとサキは力を振り絞って反論する。

 

「オレは知ってる。 黒の剣士がこんな奴じゃないって、もっとカッコイイ人だって」

 

「私も、絶剣がどんな人か知ってる。 とても優しい人だもん。 《閃光》や《剣舞姫》があなたたちなんてありえない!」

 

「生意気なガキだな。――お前ら」

 

「「「ウス!」」」

 

火妖精族(サラマンダー)たちが、得物を抜剣する。

それに呼応して、影妖精族(スプリガン)闇妖精族(インプ)も剣を抜いた。

 

「ごめんね、カズ兄。 私の短気に巻き込んじゃって」

 

「ぷっ。 それ、ママの言葉みたい」

 

「そ、そうかな」

 

「まあ、オレも頑張るよ。 平凡な小学生だけどね」

 

「ふふ、それ、パパの言葉みたい」

 

カズマとサキは、片手剣を中段に構えた。

 

「へー、お前ら兄弟なのか。 珍しいな、兄弟でALOなんて。 大人の怖さ骨の髄まで教えてやるよ」

 

「(パパとの練習では、フットワークが8割できたんだ。 デュエルでもそれをやればいいだけだ)」

 

「(ママの教え、しっかりと出すよ)」

 

ギャラリーからは、『子供相手にみっともねーぞ』、『子供二人に大人四人とか恥ずかしくねぇのか』、『あの子たち可愛そう……』と野次が飛んでいた。

火妖精族(サラマンダー)たちと、カズマとサキの間合いが徐々に詰まっていく。

二人が相手の懐に飛び込もうとしたその時――。 ポンと二人の肩に手が置かれた。

 

「子供相手に見苦しいな。 ALO内の奴は、こんなにマナーが悪くなったのかよ」

 

「うーん、たしかに。 GM大丈夫かな?」

 

その人物は、漆黒のロングコートに、背には漆黒の片手剣。黒い瞳を持つ影妖精族(スプリガン)だ。

もう一人は、紫色を基調にしたロングコートに、胸にアーマーを身に付け、腰には黒を基調とした片手剣を下げている闇妖精族(インプ)だ。

カズマとサキは、振り返ってその人物の名を呼んだ。

 

「「パパ、ママ!」」

 

カズマとサキの背後が、優しく抱き寄せられた。

黒い長い髪を靡かせた若い女性。 カズマとサキの姉であるユイだ。

 

「もう大丈夫だよ。 パパとママが来たからね」

 

「「ユイ姉!」」

 

「何だ、テメェらは!?」

 

「やるのか!」

 

男たちは、俺とユウキを見て喚き散らした。

 

「カズマとサキには、良い技を見せてやる」

 

「これができるようになるには、かなりの時間がかかると思うけどね」

 

「「はい(うん)!!」」

 

剣を抜き中段に構えた俺とユウキは、一歩踏み込み、

 

――消えた。

 

男たちの後方で止まった時、男たちの武器がへし折れ、ポリゴン片の青い残滓が空を舞っていた。

剣を失ってへたり込む男たちを見て、ギャラリーから声が上がった。

『おい、今の見えたか!?』、『オレは見えなかったぞ。 てか、武器破壊なんか狙えんのかよ!?』、『あれって人間技かよ』、『オレ、あの人見たことあるぞ!?』

 

「てめぇ、何もんだ?」

 

「俺の名はキリト、《黒の剣士》や《ブラッキー先生》とも呼ばれているが」

 

「ボクはユウキだよ。 《絶剣》とも呼ばれてるね」

 

「ほ、本物!?」

 

俺とユウキは、半眼で、殺気を四人の男に放ち、俺はドスの聞いた声で言う。

 

「……てめぇら、次は高くつくぞ。 いいな……」

 

「……君たち、次は嫌でもデュエルを申し込むよ。……嫌なら、その名はもう語らないことだね」

 

「ひ、ヒィ――! ごめんなさい――!」

 

「待ってください、兄貴――!」

 

男たちは脱兎の如くこの場から立ち去った。

これを見ていたギャラリーたちは呆然とするだけだ。 あの一部始終は、本人たちしか分らないようになっていたらしい。

 

「カズマとサキも良く頑張ったぞ。 悪いことを悪いと言える勇気。 大切な物を守るという意思、お前たちは強くなる」

 

「でも、考えなしに突っ込むのはどうなのかな」

 

「はい、感心しませんね」

 

俺の言葉で、ぱあー、と笑顔が輝いたが、ユウキとユイの言葉を聞いて、どよーん、と肩を落とした。

 

「まあまあ、二人の勇気は褒めるべきだろ」

 

「もう、キリトはおチビちゃんたちに甘いんだから」

 

「そうですよ、パパ」

 

俺は言葉に詰まりそうになったが、んん、と咳払いをした。

 

「さて、帰るか。 我が家に」

 

「「「「はい(うん)!」」」」

 

五人は、我が家に向かって飛翔を開始した。

その後、カズマとサキが武器破壊(アームブラスト)を猛練習したのは別のお話――。

 




和人君と木綿季ちゃんの子供が登場しましたね。
名前も皆様の意見を参考にさせていただきました。協力感謝です<m(__)m>
さて、大人編はいつまで続くのだろうか?未定何すよね(^_^;)

話が数年飛んですんません。出産もろもろは、書くことを断念してしまいました。てか、書けなかったです。すんません(-_-;)
途中で、現実世界の名前になってるのはわざとっス。

ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!

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