憑依系男子のIS世界録   作:幼馴染み最強伝説

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クラス代表決定戦前編

翌週、月曜。クラス代表決定戦当日。

 

将輝、一夏、箒の三人は第三アリーナのAピットにて、未だ来ていない二人のISを待っていた。セシリアはというと既にISを装着し、アリーナ上空にて待機している。

 

「大丈夫かなぁ。勉強はしたけど、結局ISでの特訓は一度も出来なかったし」

 

「仕方ないだろう。私達が借りに行った時点で既に一週間先まで借りられていたんだからな」

 

一応、一夏はセシリアと将輝は箒とISの勉強に励んだ結果、知識としての問題は解決されている。だが、ISによる戦闘はこの一週間で全く行えていなかった。IS戦闘において、経験の差というのはかなり致命的だが、こればかりはどうしようもなかった。訓練機を借りようと千冬に聞くと「借りられるのは一週間後以降の話になる。諦めろ」と言われ、諦めるしかなかった。いくらクラス代表決定戦といっても、あくまで身内のゴタゴタの延長線上のようなもの。それに学園全体を巻き込む訳にもいかないので、将輝と一夏は只管勉強と一夏は感覚を取り戻す為の剣道をしていた。

 

将輝とセシリアだが、この数日間のやり取りは他人から見ても、かなりぎこちなかった。何とか必死になって記憶を思い出そうとする将輝と先日のやり取りで将輝が倒れた事で『約束』の事を聞きたくても聞き出せないセシリア。二人は普段通りに振舞っているつもりなのだろうが、何処からどう見ても違和感を隠しきれていなかった。

 

結局、何も思い出せないまま、将輝は胸の奥にモヤモヤを残し、こうしてクラス代表決定戦の日を迎える事になった。試合に雑念を持っていくつもりもないが、相手がセシリアであれば、少なからず引きずっていく事になる。将輝は頭の中を空っぽにして、思考を戦う事だけを考えるように切り替える努力を黙々としていた。

 

「お、織斑くん!藤本くん!」

 

第三アリーナのAピットに駆け足でやってきたのは、副担任の真耶。見ている方がハラハラする危険な足取りで、今日はいつもに輪をかけて慌てふためいていた。

 

「山田先生、落ち着いてください。はい、深呼吸」

 

「は、はい。す〜〜〜〜は〜〜〜〜す〜〜〜〜は〜〜〜〜」

 

「はい、そこで止めて」

 

「うっ」

 

一夏がノリでそう言うと、真耶は本気で息を止めた。こうしている間にも酸欠でみるみる内に顔は赤くなっている。一夏はというと完全に止めるタイミングを失っていて、そのまま傍観していた。

 

「………ぶはぁっ!ま、まだですかぁ?」

 

「いや、止めるタイミングが━━━」

 

「目上の人間には敬意を払え、馬鹿者」

 

パァンッ!この一週間で一組の誰もが聞きなれた、弾けるような打撃音。音はライト級だが、威力はヘビー級。流石はブリュンヒルデと言った所だろう。

 

「そ、そ、それでですねっ!来ましたよ!二人の専用IS!」

 

「織斑、藤本、すぐに準備をしろ。アリーナを使用できる時間は限られているからな。ぶっつけ本番でものにしろ」

 

「将輝、一夏。これくらいの障害。男なら軽く乗り越えてみせろ」

 

「…………ああ。行くぞ、一夏」

 

「え?え?なん……」

 

将輝は一夏の首根っこを掴んで、そのまま連れて行く。普段なら軽口でも叩きながら、一夏に現状を説明している所ではあるが、今そんな事をすれば集中が途切れてしまう為、必要最低限の会話しかしない。

 

ごごんっ、と鈍い音がして、ピット搬入口が開く。斜めに噛み合うタイプの防護壁は、重い駆動音を響かせながら、ゆっくりとその向こう側を晒していく。

 

━━━其処には『白』と、そして『無』がいた。

 

片方は白、真っ白の混ざりっ色の無い眩しい純白を纏ったIS。

 

もう片方は何の色もない。純白のISのような美しさがあるわけでもない、素材そのものの銀色のIS。

 

「これが……」

 

「はい!左が織斑くんの専用IS『白式』で右が藤本くんの専用IS『夢幻』です!」

 

将輝は『夢幻』と呼ばれたISの目の前に立ち、じっと見つめ、触れる。今日、初めて出会った筈の自身の専用ISに何故だか将輝は懐かしさにも似たナニカを感じていた。まるで幼い頃の友人と高校生になって再会したような、長年探していたものがようやく見つかったような、そんな奇妙な感覚が将輝の中に流れ込む。其処には初めてISを触った時のような身体に電気が走るような感覚はない。ただ馴染んだ。理解できた。

 

座るようにして機体に背中を預けると、受け止めるような感覚がした後、身体に合わせて装甲が閉じる。空気を抜く音と共に将輝と夢幻が今、繋がった。

 

すると将輝の視界は一気に解像度を上げたかのようなクリアーな感覚が広がり、全身に行き渡る。各種センサーが告げてくる値も、普段から見慣れているかのように理解出来る。

 

━━━戦闘待機状態のISを感知。操縦者セシリア・オルコット。ISネーム『ブルー・ティアーズ』。戦闘タイプ中距離射撃型。特殊兵装あり。

 

「藤本。ISのハイパーセンサーは問題なく機能しているな。気分は如何だ?」

 

「問題ありません。いけます」

 

問題ない、やれる。将輝は手のひらを開いたり閉じたりしながら、確認する。まだ初期設定のせいか、動きに少し違和感を感じるが、それも大した問題ではない。

 

「将輝……」

 

「どうした?箒」

 

「勝ってこい、私はここから応援している」

 

「…………ああ。勝ってくる」

 

将輝は箒にそう答えて、ピット・ゲートに進む。微かに身体を傾けるだけで、夢幻はふわりと浮かび上がって前へと動いた。

 

クリアーな意識の中、その裏側では夢幻が膨大な情報量を処理している。将輝の身体に合わせて最適化処理を行う、その前段階の初期化を行っているのだ。今こうしている一秒間の間にも、夢幻は表面装甲を変化、成形させている。中身と外見の両方を一斉に書き換えているのだから、扱っている数値は将輝が見たこともないような数値を示している。

 

ともあれ、今は其方に意識を向けている場合ではない。将輝はゲートの扉が開くと同時に飛翔した。

 

「将輝さん……一週間前にわたくしとした約束を覚えてらっしゃいますか?」

 

上空で対峙したセシリアからの『プライベート・チャネル』が送られてくる。何故、彼女がそんな質問をしてくるのかわからなかったが、将輝は取り敢えず肯定した。あのようなインパクトのある出来事はそうそう忘れられたものではない。

 

「ああ。セシリアのお願いを三つ聞くんだったっけ」

 

「このような場所でするような事ではありませんが、将輝さんには今日だけ、わたくしとの会話には全て本音で話してほしいのです」

 

「今日だけ、だな?わかった」

 

拒否する理由も、権利もない。セシリアがお願いを引き合いに出してきた時点で、将輝はそれが嫌なものであれ、肯定するしかない。もちろん本音か嘘かなどセシリアが聞き分けられる筈はない。嘘を話しても、そのまま鵜呑みにするだろう。だが、将輝は嘘を付く気など毛頭なかった。

 

「それが聞けただけでも今は満足です。では……………………踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットと『ブルー・ティアーズ』の奏でる円舞曲(ワルツ)で」

 

「ッ⁉︎」

 

ブゥン。という音と共にセシリアの手に二メートルを超す巨大な銃器━━━六十七口径特殊レーザーライフル『スターライトMkⅢ』が現れ、それと同時にセシリアの左目部分が射撃モードへと移行し、初弾エネルギーが装填されるとすぐさま将輝の頭部へと撃つ。その間、僅か二秒。

 

全ての動きに無駄がなく、素早く正確無比な射撃。つんざくような音と共に放たれた一筋の閃光は頭部に当たる━━━事はなく、目前でガードした両腕によって防がれる。

 

ISでの戦闘は相手のシールドエネルギーを0にすれば勝ちだ。バリアを貫通する一撃を受けると実体がダメージを受け、そちらは数値化されているシールドエネルギーと違い、破損箇所によっては戦闘行為に影響を与える。それにISには『絶対防御』という操縦者が死なないようにあらゆる攻撃を受け止めるシステムがあり、その一撃が生命に危険を与えるとISに判断された場所、発動し、代償として多くのシールドエネルギーを消費する。セシリアが頭部へと射撃を放ったのは、当たれば大ダメージ、防がれても小ダメージ。という確実性を求めた攻撃だ。案の定、将輝は避ける前に防御に移り、セシリアの思惑通りとなった。

 

将輝は態勢を崩さないように踏ん張り、その場から離れる。すると立て続けに弾雨の如き攻撃が降り注いだ。しかも、それら全てが回避するにしては代表候補生でも難易度の高い部分ばかり。何とか、ダメージの低い部分を犠牲にしつつ、凌いでいるが、シールドエネルギーはじわじわと削られている。

 

(このままじゃジリ貧だ。こっちからも反撃に出なきゃな)

 

将輝は焦らず、落ち着いて展開可能な装備の一覧を呼び出す。表示された武器は三つ。その中で将輝は『近接ブレード』を選んで、呼び出した。

 

(中距離射撃型のわたくしを相手に近接装備?普通であれば愚行ですが…………おそらく何か意味があるはず)

 

将輝が近接装備を選んだ理由は至ってシンプル。セシリアに射撃戦など挑もうものなら、確実に技術や経験の差で敗北はより確実なものとなる。しかし、近接戦であればISに於ける戦闘戦はセシリアの方が経験豊富でも将輝も剣道でそれを幾度となく経験している。そして何よりセシリアが近接戦闘を苦手としているのは既に知っている。

 

呼び出した近接ブレードを盾にしながら、将輝はセシリアとの距離を詰めようと試みるが、距離は一向に縮まらない。相手の思惑通りに事を運ばせる程、イギリスの代表候補生の名は軽いものではない。近接戦闘に持ち込もうとしていると分かれば、ダメージ優先の射撃から距離を取る為の射撃に切り替えてしまえば良い。

 

(案の定バレてるか………見返りを求めるならやっぱりハイリスクじゃないと駄目か)

 

ダメージを少なくしつつ、決定的なチャンスを狙っていた将輝だが、このままでは永遠に距離は近づくことはない。ならばと将輝が取った行動は防御を棄てた特攻紛いの加速だった。

 

今のセシリアの射撃はあくまで距離を取る為のもの。それであれば防御の必要は殆どない。ダメージは受けるが、距離は詰める事が可能なる。もし、これでシールドエネルギーを削る事に失敗すれば、将輝は敗北に向けて一気に加速する事になるが、虎穴に入らずんば虎子を得ず。リスクなしに見返りは手に入らないのだ。

 

「はああああ‼︎」

 

離れていた距離が一気に縮まり、将輝は手に持っていた近接ブレードを構える。もし彼女の機体が原作同様であれば、懐に入られた瞬間に使ってくるものがあるからだ。そして予想通り、彼女は使った。初見殺しの一撃を。

 

「甘いですわ!」

 

ヴンッとセシリアの腰部から広がるスカート状のアーマー。その突起が外れ、将輝に向かって飛んでいく。中距離射撃型の『ブルー・ティアーズ』が懐に入られた時に使う奥の手。知らないものであれば、ほぼ確実に当たるその一撃を将輝は━━━。

 

それ(ミサイル)は俺には効かない!」

 

横一閃。両断されたミサイルは、慣性のまま将輝の横を通り過ぎ、爆散した。

 

爆破の衝撃が背中に届くよりも早く、将輝はそのままセシリアへと突撃する。

 

上段の構えから振り下ろされる一撃。虚をついた筈の奥の手が破られた事で僅かに反応の遅れたセシリアは回避する事はかなわない。

 

「インターセプター!」

 

故にセシリアは手にしていた『スターライトMkⅢ』を投げ捨て、新たに近接戦闘用のショートブレードを展開し、受け止める。

 

「驚きました。初見でわたくしの奥の手を防いだのは将輝さんが初めてです」

 

「初めてか。それは光栄だな」

 

「ええ。ですから……ッ!」

 

セシリアはブレードを受け流し、回し蹴りを入れようとするが、その前に将輝が攻撃を回避する為に距離を取り、数十秒前と同じ状態に戻っていた。セシリアの手にスターライトがない事以外は。しかし、セシリアは焦らずに寧ろ、楽しさを感じていた。

 

「わたくしも本気で行こうと思います。でなければ、それは今の将輝さんに対する侮辱となりますし、何より全力を出さずに負けるともなれば代表候補生としてあるまじき失態ですわ」

 

(ついに来るのか……)

 

セシリアの機体『ブルー・ティアーズ』には特殊兵装がついている。その特殊兵装というのが『ブルー・ティアーズ』と呼ばれ、彼女の機体名はそれを積んだ実戦投入一号機だから同じ名前なのである。本来であれば彼女はどんな戦いであれ、試作段階にも等しいその兵装は極力使わなければならない。例えそれがISを動かして間もない男であったとしてもだ。しかし、彼女自身が提案したのはあくまで『一夏と将輝をISに慣れさせる事』。圧倒してしまっては何の意味もない。だから彼女はそれを使わなかったが、主な武器であるライフルは先程放棄し、初見殺しのミサイルも無力化された。将輝が代表候補生たる自身を其処まで追い詰める程の実力を有している。それが分かれば最早充分だ。後は先達者としてではなく、代表候補生として戦うだけだ。

 

「行きなさい!『ブルー・ティアーズ』‼︎」

 

セシリアが右手を横にかざす。するとフィン状のパーツが四つ外れ、多角的な直線起動で将輝へと接近する。

 

『ブルー・ティアーズ』。それは直接特殊レーザーの銃口がついた自立機動兵器。イギリスが開発した第三世代型ISの最新鋭機であり、新技術BT兵器。『操縦者のイメージを反映、具現化する事で、本来複雑な独立可動ユニットを操る』事を目的とした、通称『ビット』と呼ばれる兵器だ。

 

ビットは将輝の上下左右を縦横無尽に動き、レーザーを放ってくる。それを辛うじて回避するが、立て続けに行われる多次元攻撃は将輝に反撃を考える余裕すらも奪う。

 

本来であればビットで出来た隙をライフルで狙うのが定石なのだが、現在それは手元にない。故に将輝は隙を突かれる心配はないものの、逆に言えばライフルがない事でよりビットによる攻撃に集中する事が出来、そしてその所為で将輝はすぐにではないものの、徐々にそして確実に追い詰められていた。

 

(そういえば、原作の一夏は必ず反応が一番遠い角度を狙ってくるから、自分で其処に誘導してたみたいだが………………同じ人間だし、一か八か、賭けに出てみるかなッ‼︎)

 

将輝はレーザーの嵐を回避すると敢えて背後に真下に隙を作る。すると四基ある内の一基がその真下へと入り込んだ。

 

(来た!)

 

穿たれるレーザー。それを潜り抜けて、一閃。重い金属を切り裂く感触が手のひらに伝わり、真っ二つにされたビットは断面に青い稲妻を走らせ、一秒後に爆散した。

 

(一基撃つ……ッ⁉︎)

 

他の三基も同じように誘導して墜とすつもりだった将輝だったが、三基のビットを見て、驚愕した。既にビット達は既に先端を発光させていたのだ。

 

そう。誘導されていたのはセシリアではなく、将輝の方だった。確かに長期戦でいけば将輝を撃墜するのは可能になるが、それはシールドエネルギーが続けばの話。彼女の『ブルー・ティアーズ』も当然ながらエネルギーを消費する。そうなると将輝を撃墜する前にセシリアの方がエネルギー切れを起こしてしまい、負けてしまう。故にセシリアは一芝居打った。敢えて自分に癖があるように見せかけ、誘導されたフリをする。そして相手がビットを破壊した瞬間の隙を狙って、他の三基で一斉射撃を行うといったもので、見事に将輝は誘導されていた。

 

閉幕(フィナーレ)……ですわね」

 

ビットによる一斉射撃が将輝を穿った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「将輝っ……!」

 

モニターを見つめていた箒は思わず声を上げた。

 

将輝が何かを仕掛けようとする素振りを見せていたのはわかっていたし、それによって戦況が動くとも理解していた。だが、それは将輝の優勢にではなく、それどころかセシリアの勝利を決定付ける方へと戦況が動いていた。将輝が賭けに出るのを見計らったかのような作戦。将輝から聞いていた、セシリアとは古い知り合いであると。そうなると今の状況は彼の癖を見抜いた作戦なのかもしれない。箒はそう思うと自分も知らない彼を知っているセシリアの事がこんな状況であるにも関わらず、羨ましいと感じた。

 

三基のビットによる一斉射撃を受けた将輝を見て、白式の初期化と最適化処理を行う一夏、真耶も息を飲む。だが一人、千冬だけが、ふんと鼻を鳴らして呟いた。

 

「機体に救われたな」

 

やれやれ、と言った感じに言う千冬だが、その表情には笑みがこぼれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(試合終了のブザーが鳴らない?おかしいですわね……)

 

レーザーに穿たれ、『夢幻』のシールドエネルギーは尽きた筈。にも関わらず、未だ試合終了を告げるブザーが鳴っていない事にセシリアは疑問を抱いていた。試合終了のブザーが鳴りさえすれば、すぐにでもセシリアは将輝に労いの言葉をかけに行かなければ。そう考えていると、異変に気付いた。

 

『フォーマットとフィッティングが終了しました。確認ボタンを押して下さい』

 

意識に直接データが送り込まれると共に現れたウインドウ。その真ん中には「確認」と書かれたボタンがあり、将輝がそれを押すと、さらなる膨大なデータが流れ込んできた。

 

キィィィィン……。

 

高周波な金属音。本来なら不快に感じる筈のその音が何処か優しいものに感じられる。

 

刹那、夢幻の装甲が光の粒子に弾けて消え、そしてまた形を成す。

 

「まさか………一次移行(ファースト・シフト)⁉︎今の今まで初期設定だけの機体で戦っていましたの⁉︎」

 

新しく形成されたISの装甲は未だ薄くぼんやりと光を放っている。先程まであった実体ダメージの損傷が全て消え、それどころかより洗練された形へと変化していた。

 

幾度となく防御に使用し、かなり損傷の激しかった近接ブレードも形状を変化させ、刀身の刃には薄くエネルギーが纏われていた。

 

「終わりにしよう。セシリア」

 

「ええ。これで本当に閉幕です!」

 

残り三基による多次元攻撃。先程までは反撃の余裕がなかったが、今は違う。

 

(見える………軌道が……)

 

穿たれるレーザーの嵐をかいくぐり、将輝は二基目のビットを斬り落とし、すぐさま三基目のビットの元へと向かう。

 

表示されているシールドエネルギーの残量は残り九十四。良くて二回、悪くて一回喰らえば将輝は敗北する。だというのに頭の中は異様に落ち着いていて、今までの危機が嘘だったかのような冷静さがあった。

 

三基目のビットと四基目のビットは縦横無尽に動き、将輝へとレーザーを穿つが、当たらない。いや、正確には掠ったが、残り四十。削りきることは出来なかった。

 

ビットを全基破壊し、自身へと肉薄してくる将輝にたいしてセシリアはミサイルを放つ。だがそれもすぐに切り捨てられ、そのまま逆袈裟斬りが防御しようとしていた『インターセプター』ごとセシリアを斬ったと同時に試合終了のブザーがアリーナに響き渡った。

 

『試合終了。勝者━━━藤本将輝』

 

 




危なかった………日付が変わる前に何とか投稿出来ました!

今回初めてのISによる戦闘描写だったのですが、正直かなり下手だと思うので、なんかすみません。

次回はオリ主と一夏の戦い。きっとド派手な近接戦闘を繰り広げてくれる筈‼︎

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