簡単な登場人物紹介Ⅲのところですが、
(誤)ラガルト→(正)ブライス
です。
もし、今後、誤字とかあれ?おかしいな、と思うところがあればご指摘お願いします。
では、第7話です。
出発の当日の早朝。
空は曇天で、今にも雨が降りそうだった。
クレイグは空を見ながら、感嘆していた。
「すげぇ、大佐の予報が当たったよ。」
ヒュー、と口を鳴らした。
「第八艦隊を中継するの同時に、宇宙からの映像と天気図送ってもらったから、それでわかるのよ。」
ユリアがクレイグに種明かしをした。
「まったく…。ホントにすげぇぜ。大佐は。」
クレイグは改めて感嘆した。
「僕は後ろですか…」
ジンは座った状態で格納庫奥、リニアガン・タンクの後方に配された。
本来リクライニングした状態で格納しているMSだが、ホルダーをうまく改修したためこのようにしていられる。
リニアガン・タンクにはフェリナとユリアがいた。
本当なら前方のコクピットでとフェリナは言われたが、後ろにいた方がMSの動きが見え、輸送機やスピアヘッドに指示出せるのが、フェリナの言い分だった。
これで、後部ハッチを開いたまま、後ろからくるMSに応戦するつもりであった。
「こんな狭い格納庫で暴れられても、困るし、走って追いつくのは無理だろ?だったらここで、がんばってもらわなきゃ。」
ロブが少し戸惑っていたウェインに笑いながら言った。普通のジンと比べて足にスラスター増設していて機動力は上である。(これもロブがしてくれたことだ。)
とはいえ、グゥルなしに輸送機に合わせ移動するのは困難であった。
「まあ、仕方ないですね。」
一旦、コクピットからでて、ケーブルで格納庫に降り立った。
「いいのか。これで?」
そこへガウェインがやって来た。
「大佐。大丈夫です。」
「いや、そっちじゃなくて…あの子の事だ。」
ガウェインはヒロの事を聞いたのであった。昨日、ここを発つ旨を言いに町長の所に行ったとき、ウェインはヒロに会いにいったが二、三言しか話さなかった。
「ちゃんと…話せばいいだろうが。」
「自分もなかなか言い出せなくて。一応、メッセージを録音したんですが。それも渡せませんでした。…ずっとヒロに聞きたいことがあったんですけど、結局聞けませんでした。」
「何を?」
「それは…」
言いかけた時、ウェインは外にいたクレイグに呼ばれた。諸々の確認らしい。
話をそこで打ち切り、ウェインはクレイグの方へ向かった。
ガウェインはウェインが他の隊員とのやり取りを見ていた。
「ウェインもここに馴染めましたね。」
そこへロブがガウェインの下にやって来た。
「あいつも…軍に来て、いろいろあったからな。」
ガウェインは初めてウェインに会った時のことを思い出した。
「他の連中も…です。」
「ああ。まったく…不思議なものだ。」
いよいよ出発の時間が来た。
一旦、広い道路にでて滑走路代わりとして飛び立とうとしていた。
その様子をスピアヘッドから様子をみていたクレイグは笑った。
「今頃、フィリップのヤツ、こんなやり方あるかってぶつぶつ言ってるんじゃね?」
それが通信を通して聞こえたのか、ジェロームはクレイグに怒った。
「もうそろそろ、発進だぞ!気を引き締めろ!」
「わかってますって。」
改めて輸送機を見ると、離陸に入っていた。二機のスピアヘッドはそれを確認し発進させた。
「う~、やべ…、なんか緊張してきた…。」
フィリップはクレイグの予想と少し違っていた。
離陸し始めたところで、ガチガチになりかけてた。
「普段のあの軽い口調はどうしたんですか?」
副操縦士を務めているダレンは励ましの意味を込めながら言った。
「フィリップ、大丈夫だ。お前たちは、ただサンディアゴ基地の防空圏まで輸送機を飛ばせばいい。どう飛ぶかはフェリナたちがサポートしてくれてる。」
「しかし、大佐…。ん?降り始めてきた。」
窓にはポツポツと雨がついてきた。
「ホントに…大丈夫でしょうか?」
「向こうも条件は同じだ。こっちとしては、もう少し降ってもらいたいものだが…」
ガウェインは操縦士の二人に笑いながら言った。
ボスゴロフ級潜水母艦の発令所は慌ただしくなった。
「間違いないんだな?」
艦長は探索担当に念を押して聞いた。
「はい!向こうの方に動きがありました。ただ、こちらを警戒し、陸地を移動しています。」
それを聞き、艦長はすぐ様コクピットで待機していたアルテナに連絡した。
「聞いての通りだノヴァーク隊長。相手は陸路を飛行する。我々は援護することは出来ない。貴隊の武運を祈る。」
「いえ、ありがとうございます。」
報告を受け、アルテナは一度、息を吸い呼吸を整えた。
「ノヴァーク隊、出撃!」
ジンが次々と潜水艦より飛び立ち、そして同時に発射されたグゥルに乗った。全部で六機。
最後、アルテナのMSが出る。
ジンとは違う。
ZGMF-515シグーであった。グゥルに乗り、皆が準備できたのを確認し、指示を出した。
「隊を3つに分け、移動する。先にマシューたち2機、ジンが先行して。ブライス、あなたは他の2機とともに後方をお願い。」
「了解。」
各々、輸送機へ向かって行った。
ヒロはふと何かを感じた。
「何?」
それを確かめたくて、外に出てみた。
『どうした、どうした?』
手に持っていたジーニアスがヒロに尋ねた。
「…ダメだ。…止めなきゃ。」
地球軍に向かって来る部隊…そして、このあと起こること。
それを直感で感じた。
何を言ってるのかわからず、ジーニアスは困惑するばかりだった。
でも、どうすれば…
ふと、作業用ジンに目がとまった。
これなら…
ヒロはコクピットに乗った。
初めて乗るMS。
『大丈夫か?』
ジーニアスが心配して尋ねた。
操縦桿を動かしてみたり、フットペダルを踏み、動くか確かめた。
ジンは彼の操縦に合わせ、動いた。
よし…これなら…
ヒロは直感のする方向へジンを発進させた。