機動戦士ガンダムSEED Gladius   作:プワプー

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3日連続投稿です。
限界なんてない、といっても…さすがにきつかったです。(笑)


第6話 別れ、そして旅立ち Ⅵ

 

 ザフトの潜水艦では、発令所にてこの潜水艦の艦長と隊長がやり取りをしていた。

 艦長は壮年に達していた。一方、隊長はまだ若い女性であった。

 艦長がその隊長に意見した。

 「ここは仮にも、地球軍の支配地域だ。これ以上長居できませんぞ。アルテナ・ノヴァーク隊長。」

 いくらMSによってこちらの方が優位であっても、一国の軍事力が一艦船に向けられれば、大きな損害がでる。そういう懸念もあった。それに、ここで固執しなくても、また次の機会もあるのでは、という思いもあった

 「わかっています。しかし、ここで引き下がれば、チャンスは…ありません。」

 「まあ、いいでしょう。」

 「では、動きがありましたら、連絡を。」

 アルテナは発令所をでていった。

 「やれやれ…」

 艦長はあきれた様子で見送った。

 

 

 「ノヴァーク隊長。」

 隊長室に戻る途中、二人の隊員に呼び止められた。

 「どうですか。動きはありましたか?」

 片方の四十過ぎの隊員が尋ねた。

 「他の隊員の中には、出てくるのを待たないで町ごと攻撃しよう、っていう意見も出てますが…」

 もう一人若い男も言った。

 「町を攻撃するわけにはいかないわ。それに…向こうも動かないわけにはいかない。ブライス、マシュー、そのように伝えて。」

 マシューは何か言いたそうにしていた。

 「ノヴァーク隊長、…うーん…アルテナ、これでいいのか?」

 隣にいるブライスはマシューが何を言いたいのか、わかっているようであった。

 彼の話を止めようとはしなかった。

 「マシュー、相手はプラントを裏切ったコーディネイターよ。それにこのまま放置してナチュラルもMSを開発したら、プラントは攻められる。ここで何が何でも墜とさないと…たとえ相手が…誰でも。」

 アルテナは二人に念を押すように言い、隊長室に向かって行った。

 

 「これでいいのですか、ブライスさん。」

 ブライスもウェインの事を知っている。もちろん、二人の関係も…

 「マシュー、これが…戦争だ。」

 そう言い、他の隊員に先ほどのアルテナの指示を伝えに、その場を去った。

 一人残ったマシューは何とも言えない気持ちになった。

 「アルテナ…それでいいのか?お前たち二人は恋人だったんだろ…。」

 

 

 

 

 ヒロは作業用ジンをただ見ていた。

 結局、ウェインがいる間に、乗ることはなかった。

 

 先ほど、ウェインが来た。

 明日発つと聞いたとき、何も言えなかった。

 そのまま、二、三言しか言わず、ウェインは野営地に帰っていった。

 

 そこへ、

 「どうしたんだ?こんなところにいて。」

 声がした。

 ヒロは振り返った。確か、あの傭兵の…

「まだ名乗ってなかったな。シグルド・ダンファードだ。ヴァイスウルフのリーダーだ。」

 「僕は傭兵に入りませんよ。」

 「別に勧誘しに来たわけではない。」

 では、どうして来たんですか、という目を向けられ、シグルドはあまり歓迎されてない、と思った。

 「まあ…、ルドルフが何を言ったかわからないが…そんなに傭兵が嫌いか?実際に傭兵に会ったことあるのか?」

 ヒロに聞いてみた。

 「会ったことは…ないけど…、あまりいい話を聞きません。」

 「まあ、確かに、傭兵はあまりいいイメージを持ってはくれないな。君のようにあからさまに嫌う人たちもいる。」

 シグルドは続けた。

 「だが、俺たちは…戦う。」

 ヒロはえ?とした。

 「俺たちは依頼人の思いを守るために戦っている。自分の命をかけ、他人のために戦う。それが、俺たち…ヴァイスウルフの戦い方だ。」

 

 

 

 「どうだったか、ヒロは?」

 シグルドはヒロと会った後、ヴァルファウに戻る道の途中、ルドルフがやってきた。

 ミレーユも一緒だった。

 「そんなに心配なら、自分で直接行って見たらどうです?」

 「いやいや、俺が行ったら、またひと騒動起こすぞ~。」

 「で、一体何かあったのですか?」

 シグルドは尋ねた。ミレーユと共に来るということは何かあったということだ。

 「うん、まあな…。」

 ルドルフはシグルドに説明した。

 

 「…そうですか。こっちは戻ってフォルテとともにいつでもMS出せるようにしときます。」

 シグルドは二人から事情を聴き、準備に取り掛かろうとした。

 「ああ、頼む。こっちはこっちでやっとくよ。ミレーユ、万が一に備えてレーベンに連絡しといてくれ。」

 「わかりました。」

 

 彼らはその場を後にした。

 

 

 




簡単な登場人物紹介Ⅲ

主要ではないけど、紹介した方がいい登場人物を載せます。
今回はザフトの方です。


 アルテナ・ノヴァーク
 「地球軍に寝返ったコーディナイター、ウェイン・ギュンターおよびMSの撃墜」とい う特務を受けたノヴァーク隊隊長。
 マンデンブロー号事件で両親を失い、それがきっかけでザフトに入隊。ナチュラルを 憎んでいる。
 そして、ナチュラルに味方したウェインに対しても恨みを持つ。

 ブライス・シュマイザー
 四十過ぎと、MS操縦の適齢期を過ぎているが、他の若い世代に劣らず操縦ができる。
 唯一、彼の脱走および地球軍への寝返りの真意を知っている。

 マシュー・ベタンクール
 アルテナ、ウェインとは同時期にザフトに入隊した。任務とはわかっているが、納得 できない部分もある。



次回からいよいよ、このタイトルの話の終盤に入ります。




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