機動戦士ガンダムSEED Gladius   作:プワプー

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不思議な話…。
何度も何度も見直しても誤字脱字って出てくるんですよね…。
…気付いた部分は直そうと思います。
もし、見つけたらご遠慮なくご指摘ください。


PHASE‐4 崩れゆく大地

 

 

 フォルテとヒロはMSでアークエンジェル付近あたりの哨戒をしていた。

 先ほど、フェイズシフトダウンしたが、実弾兵器は使えるので、ヒロも加わっている。

 どうやら、今のところ、ザフトは来なさそうだった。

 「とりあえず、今のところは大丈夫だな。デッキの方へ移動しよう。そのMSもバッテリー充電した方がいいし…。」

 「うん。」

 フォルテに促され、彼らはカタパルトへ向かった。

 「しかし…、6機目があったとはなぁ…。」

 「マリューさんが言うには、この機体はいろいろあって、アークエンジェルには乗せる予定はなかったって。けど…、僕が乗っていていいのかな?一応、これも機密なんだよね?」

 「まあ、それも含めて、聞いてみるか。」

 彼らがカタパルトに着いた時、そこではなにかひと悶着あったようであった。

 地球軍の兵士が銃を構えてキラを狙っていた。

 それに対し、トール、サイ、カズィが庇うように軍に向いていた。

 「何かあったのですか?」

 ヒロはコクピットハッチを開き尋ねた。

 「いや、大丈夫だ。悪かったなぁ。とんだ騒ぎになっちゃって。」

 ムウがキラに謝った。

 どうやら、キラがコーディネイターか、と聞いたことから端を発したことであった。

 「俺はただ聞きたかっただけどね。君もコーディネイター、だろう?ここに来るまで、これのパイロットになるはずだった連中のシミュレーションを結構見てきたが…、やつらノロクサ動かすにも四苦八苦してたんだぜ。…やれやれだな。」

 ムウは2つの機体、そしてキラとヒロを交互にみて、肩をすくめた。

 「まあ…とにかく、外にいるのはクルーゼ隊、だぜ?さらに、オデル・エーアストもいる。そうだろ、傭兵の…。」

 「フォルテ・ブライトン。こっちがヒロ・グライナー。確かにオデル・エーアストだ。間違いない。」

 その名を聞いて地球軍は一同愕然とした。

 ザフトの内部でも特務を請け負うエリート部隊と知られているクルーゼ隊。そして、その隊長であるラウ・ル・クルーゼと同等以上の実力を持つといわれているエースパイロット、オデル・エーアスト。

 「かなりしつこいぞ~、こんなところでのんびりしている暇は、ないと思うがね。」

 そう言い、彼はデッキの方へ向かって去っていった。

 

 「あ…。マリューさん、この機体どうすればいいのですか?」

 そういえば、とヒロは思い出したようにマリューに尋ねた。

 「ええ、そのことで。ヒロ君、先ほど頼んだこと、お願いできるかしら。この状況だから、その機体もアークエンジェルに収容しておきたいので。」

 「わかりました。」

 「ラミアス大尉、いいのですか!?」

 近くにいたナタルはマリューに言った。彼女としては傭兵に機密を触らせたくないのであろう。

 「確かに…あれは機密事項よ。けど、今動かせるのは、彼しかいない。それに、4機が奪われた今、あの機体も守らなければいけないの。」

 「大尉が言うのであれば…。」

 ナタルはどこか納得いかない様子であった。

 

 

 

 

 「D装備を使うですって!?」

 ゼーベックのブリッジではヴェサリウスに一時いるオデルからの通信を聞いたエレンが驚愕した。

 (ああ、そうだ。捕獲できないのであれば、破壊するしかないだと。…戦艦も破壊できてなかった。)

 「だからって、こっちには話来ていないわよ!」

 対戦艦、要塞用のD装備を使用するということはコロニーに被害がでる。

 何より、そのことについてヴァサリウスより連絡も来ていなかった。

 (俺に言われても…。)

 オデルの後ろではヴェサリウスからD装備をしたジンが発進準備に追われているのが見えた。

 その時、ブリッジに警報が鳴った。

 カタパルトが開かれ、ジンが出て行った。

 そして、それを追うようにもう1機ジンが出て行った。

 「大変です、艦長。シャン…シャンルーのジンが許可なく発進してしまいました。そしてシャルロット機も彼を追って行きました。」

 リーネの報告にエレンは驚いた。

 「え!?何で?他は…アビーやバースたちは止めなかったの?」

 「それが…いきなりだったらしくて…。」

 (…俺が2人を追う。他のは、待機させといてくれ。どの道、もう止められないなら、2人を連れ戻しに行く。)

 オデルが通信を切った。

 「まったく…。」

 エレンは頭を抱えながらシートに座った。

 

 

 

 「これで、いいのかな…。」

 『…しかし、結構、武装あるのだな…。』

 ジーニアスが驚いていた。

 ヒロはモニターをチェックしながら、先ほどの工場区の地下でコンテナに積まれているクリーガーの装備を確認していた。

 「あれ…、このバックパックはどこにもないよな…。マリューさん。」

 ヒロは、モニターに表示されている装備がないことに気付き確認しようと通信を開いたが、繋がらない。

 ノイズが聞こえてくるばかりだった。

 「…もしかして、Nジャマー!?」

 ヒロはバーニアを吹かし、急いでアークエンジェルに戻った。

 

 

 「お断りします。それだったらフォルテさんに乗ってもらってください。」

 「キラ君…。」

 もし、また攻めてきた場合、やはりストライクも動かせた方がいい、そう思ったからである。

 確かにキラの言う通り、フォルテに乗ってもらう方がいいのだが、さきほどのカタパルトやブリッジでのナタルの反応を考えると、難しい。根っからの軍人気質のナタルには、ただでさえ、傭兵に機密を触れさせていて、さらに民間人の、しかもコーディネイターに乗らせたくはない、という思いである。確かに彼女の考えは理解できる。が、実際、OSをまた元に戻して、性能を下げるわけにもいかなった。

 マリューはキラにストライクに乗ってくれるか頼んでいたが、キラは拒否した。

 「あなたは正しいことは正しいかもしれない。周りでは戦争をしているって。でも、僕たちはそれが嫌で中立のここを選んだんだ。それを…。」

 その時、艦内通信が入った。

 「どうしたの?」

 (MSが来るぞ。早くあがって指揮をとれ。君が艦長だ。)

 通信からムウの声が聞こえた。

 「私が!?」

 マリューはいきなり艦長に指名され、戸惑った。

 (先任大尉は俺だろうが、この艦のことはわからん。)

 「わかりました、アークエンジェル発進準備、総員第一戦闘配備。大尉のMAは出られますか?あと、クリーガーは戻ってきていますか?」

 「いや、確認できない。俺のMAもまだ出られない。」

 「そうですか…。では、大尉はCICをお願いします。フォルテさんのジンはアークエンジェルの防衛をお願いします。」

 マリューは、フォルテの方にも通信を入れた。

 (大尉。艦長なんだし、こんな傭兵に呼び捨てでいいですよ。まあ、了解。とにかく、なんとか脱出までは付き合うよ。)

 

 「…卑怯だ。あなたたちは…。」

 一連のやりとりを聞いていたキラはこぶしを握り締め、口を開いた。

 「もしかしたら、奪われた機体もくるかもしれない…。今、それに対抗できるヒロが乗っている機体も戻ってこない…。唯一対抗できるMSに乗れるのは僕だけって言うんでしょ!」

 

 その様子を見ていたギースはこのやり取りに思い当たるところがあったのか、気になりルキナの方に顔を向けた。

 案の定、彼女は少し暗い顔をしていた。

 「…ホント、嫌よね。自分の意志に関係なく…そうせざるをえなくなっていく…。」

 「大丈夫ですか?」

 彼女の言葉に心配になり、気遣うように尋ねた。

 「…大丈夫。ごめんなさい、ギース。大丈夫よ…。」

 ルキナは自分にも言い聞かせるようにつぶやいた。

 

 

 「キラ…か?」

 ストライクがやってきてフォルテは驚いた。

 とは言っても、誰がのっているのかは、動きを見ればわかった。

 「しょうがなく乗っただけです。…もうこれ以上乗りません。」

 キラはしかめつらで返した。

 「どの道、助かるよ…。じゃあ、そうなるように、もうちょい頑張ってくれ。」

 向こうからジンの他に赤いストライクと似たMSもやってきていた。

 あれは…、

 「アスラン…。」

 モルゲンレーテで爆炎の中、偶然出会った幼馴染の名前を呟いた。

 そんなはずはない。戦争が嫌いと言っていた彼がザフト兵なんて。

 そんな思いを胸にキラはソードストライカーを装備したストライクのバーニアを吹かせた。

 

 

 

 「戦闘が始まっている…。」

 遅れてやって来たシャンのジンは、モニターから青、白、赤のトリコロールカラーの、最後の5機目のMSを確認した。

 「あれが…ラスティが乗るはずだった。…クソ!」

 シャンはスラスターを全開にし、ストライクの方に向かおうとした。

 (ちょっと、シャン。危険よ!)

 そこにシャルロットのジンがシャンのジンを止めた。

 「離せ!シャルロット!」

 (シャルロット、シャン!)

 遅れてオデルのシグーもやって来た。

 

 「シャン…、シャンルー。どうした!」

 (あいつを…、あいつを!)

 オデルがシャンに通信を入れたが、あきらかに様子がおかしかった。

 このまま、行かせてしまうと、シャンの身が危険である。

 オデルはシグーでしっかりとジンを押さえた。

 

 

 ようやくアークエンジェルの近くまでたどりつくと大きな爆発音が聞こえてきた。

 ミサイル等を持ったジンがコロニーの被害などお構いなく放っている。

 一方、アークエンジェルは損害を気にしつつ防戦しているため、押され気味だった。

 しかし、やはりかの攻撃もコロニーに被害を及ぼしていた。

 「めちゃくちゃなことを…このコロニーを破壊させない!」

 持ってきていたビームライフルでミサイルを撃ちぬいていった。

 ストライクが見えた、もう1機奪われたという赤い機体と対峙していた。

 (ヒロ、戻って来たか!とにかくあのミサイルをなるだけ防ぐんだ。コロニーの中は小回りの利くMSで迎撃しないと…、マズイ!)

 ジンが近くにやって来た。

 「あれ…フォルテ!?じゃあ、あれに乗っているのは…、キラなのか?」

 なぜ民間人の彼が乗っているのか、事情を知らないヒロは疑問に思った。

 だが、そんなこと考えている暇がなかった。

 次々にミサイルが襲って来る。

 

 飛び回る1機をアークエンジェルが撃墜したが、ミサイルが暴発してシャフトを傷つけていく。

 もう1機がムキになってやってくるのを迎撃するが、その攻撃がさらに被害を及ぼしていた。

 対して、ヒロのMSはビームライフルの威力がジンの突撃銃よりはるかに高いため、逆に傷つけてしまうのではないかと、撃てなかった。

 なんとか、バルカン砲で応戦しているが、効果はなかった。

 

 その時、

 センターシャフトがついに負荷に耐え切れなくなり崩壊を始めた。

 その様子はオデルたちからも見えた。

 「まずい、崩壊するぞ。シャルロット、シャン、ここから出るぞ。」

 (はい。)

 シャンからは返事がなかった。

 が、ここから脱出しなければならない。

 崩壊の際の乱気流やコロニーの構造物に巻き込まれてしまい、機体を大破する可能性だってある。

 オデルのシグーは、動こうとしないジンを無理やり引っ張っていき脱出を図った。

 

 

 

 ついにシャフトは分解し、残ったアキシャルシャフトも次々とはじけ飛んだ。

シャフトを失い支えが無くなった外壁は遠心力によってさら分解していった。

 そして、宇宙との境をなくし空気の急激な流出に乱気流が発生した。

 「ヤバイ。乱気流に巻き込めるぞ!」

 フォルテのジンは片方をアークエンジェルを、もう片方でクリーガーを掴もうとした。

 ヒロも何とかジンに寄せようとしたが、いきなり発生した乱気流に操作が間に合わずクリーガーは流されていった。

 「しまった!」

 その時、

 ドゴゥ。

 クリーガーに気流に流される振動とは違う激しい衝撃が起きた。

コロニーの一部にぶつかったようだ。

 その衝撃でヒロは気を失ってしまった。

 クリーガーは気流に流されるまま、宇宙へ放り出されていった。

 

 

 

 


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