『カルトカール!!』
何か書いてんだ 俺
「今回は保護証人の護衛だ」
ドクターが今回の件の概要の説明を始める/疑問の浮上。
「おかしな話。今まで護衛が必要なかったのになんで急に必要になるの」
「ああ、その件なんだけど......」
ドクターの別の資料を取り出す。
日本の警察資料/護衛配備の理由を説明。
「数日前、国立魔法大学付属第一高校がブランシュに奇襲を受けた」
「ブランシュ? あの
ナナはおかしげに笑う/ドクターは半笑いで説明を続ける。
「ああ、おそらく調べずに襲ったんだろう。現にブランシュは生徒達によって崩壊した」
当たり前だ第一校には七草の長女、十文字の次期当主もいる/倒されるのは目に見えている。
「でも、この件は少し嫌なことが含まれていたんだ」
「嫌なこと?」
「ブランシュのメンバーの何人かが『アンティナイト』持っていたって」
微量の驚き――『アンティナイト』
キャスト・ジャミングの条件を満たすとサイオンノイズを作り出す真鍮色の金属 /
「このことは僕達にとっては非常にいけない事だ、四葉事件の保護証人が魔法師だこのこともあって生命保全プログラムを最高レベルまで上げることになった。今日からは
「全員! 他の人もこっち来てるの」
更に驚き――まさか
全員、体の三分の二は機械化している/よく空港をパスできたものだ。
その前にUSNAがよくそのような無茶苦茶なことを許したものだ。
「スターズがそんなことよく許しましたね」
「それもそうだろう。何せあの『
スターズさえも許可するとは、それだけこの事件は重大なのだろうか?
ナナにとっては四葉に報復できる事件としか思っていない。
だが他者の目からは違う一つの国家を崩壊させた家系の国際的弱みを握れ、尚且つその技術を簒奪できる可能性がある事件なのだ。
「みんな、今日の護衛する場にもう行って待ってる。後は君だけだ」
「わかった、ちょっと準備する」
私は席を立ち地下へ下りる。
ドクターの声「早くしてくれよー」
果たしてこの事件は護衛がつく事によって進展するのだろうか/考えても仕方ない。今は護衛対象を守ること。
対象を護る最適な武器が今日出来た/私の専用CAD。
調整機の前には組みあがったばかりの大型特化型CAD/黒の大型拳銃/たった三つの魔術式しかインストールしていない。
だがいい、眼前の敵を、ウフコックを『使わない』で倒せる。
私だけの魔法の杖/手に持つ――良く馴染むグリップのこの握り心地/頬が緩み笑いが出る。
「
2095年5月13日(金) -奈良 師族会議会場
「まさか奈良まで引っ張り出されるとは......」
ドクターの苦笑い/周囲を森で囲まれた山中/師族会議会場はホテルの一角で行われる/会議終わりそのままパーティーなんてことだろう。
『着いたぞ。ナナ』
ウフコックの声で現実に戻る。
ホテルに着き車を降りる/ホテル入り口には身なりの整った
「待って下りましたぞ。ドクター、ナナ」
ベンジャミン・バトラー
黒と白のいる混じる髪を後ろに纏めた
元USNA機械化歩兵/第三次世界大戦を魔法の一切を使わず生き残った猛者/網膜剥離により失明/軍を除隊/その後『失楽園』へ。
「まだ、九島閣下は来てないのかな」
「はい、まだ来ておられません」
ドクターは時計を確認する/ベンジャミンは肩をすくめる。
祖父と息子といった感じ/実際は同い年。
「学校は楽しいですか」
「はい、とても」
ベンジャミンの柔らかい笑顔/彼は『失楽園』に来てから私を可愛がってくれる/過去に娘を亡くしたせいだと思う。
「他の方々は上の待合室で待機されてます。長旅でしょうお休みになられては?」
「僕はいい、ナナを連れってくれ、ベンジャミン」
「了解です」
私とベンジャミンはホテルのロビーへ/綺麗に掃除が行き届いた空間/大理石の床/高そうなシャンデリア――まさに
待合室までエレベータで上がる/エレベータのボタン一つ一つ綺麗に輝く/建物ごときによくもここまで金を掛けるものだ。
目的の階に着く/待合室――少し手間のお手洗いから二人の男性。
優しげな男と筋肉隆々の大男。
リアム・ファークス&ノア・アラル・ラグレー――佐渡侵攻事件で負傷し特殊検診志願した兵士と従軍神父。
首からロザリオを下げた男がナナの存在に気づく――リアム=綺麗な顔立ち/聖職者ならではの落ち着いた笑顔/肩ぐらいまである赤毛の髪/きちんと着こなしたスーツ。
「ナナじゃないですか。珍しいですね、今日は壁を歩かないですか」
「ここは公共の場です。『失楽園』では歩きますが」
私は軽くリアムの話にのる。
馬鹿のように笑って話す会話/神父と称したピエロの挨拶。
リアム・ファークス
元USNA所属従軍カトリック系神父/『エセ神父』と称したほうがいい/銃剣術・逮捕術の達人/佐渡島侵攻事件時にUSNA派遣部隊に所属/誘拐され拷問を受ける/三日の後瀕死の状態にも拘らず逃亡に成功/その後、軍を除隊/彼曰く「従軍神父は自分には向かなかった」と――その割に信仰には篤い。
「ナナのお嬢ちゃんじゃねえか迷子か」
ギラギラした獣のような目つき/ブロンドのソフトモヒカン/180cmは超える巨体/異常に隆起した筋肉。
ノア・アラル・ラグレー
海兵隊出身――元ヘビー級ボクサー/佐渡侵攻事件で45発もの弾丸を受ても戦い続けた兵士/その功績が讃えられ『失楽園』へ。
「もう迷子にはならないわよ。ノア」
「本当かよ! ウフコックに頼らずここまでこれたのか! 今日は雨が降るな」
「もー! 小さい頃とは違うんだから!」
「うるさいわよ、あなた達」
待合室のドアが開き中から人――私より小柄な女性。
私と同じ白髪――だが私に白灰色ではなく真っ白。
イライジャ・バラッカ
元魔法師――スターズ入隊寸前で飛行機撃墜テロで植物状態に/『失楽園』の脳治療で意識を取り戻す/スターズ入隊は取り下げられ、その後『失楽園』お抱えの魔法師に。
「お久しぶりです、バラッカさん」
「何度も言うようだけれどイライジャでいいわ。......おひさしぶり、ナナ」
イライジャ/いつもの冷たい瞳――私は彼女はこの目しか見た事がない/イライジャはベンジャミンに紅茶を入れるように頼む。
「こんなところで馬鹿騒ぎするのはやめなさい。騒ぐなら待合室の中にしなさい」
イライジャは私達四人を待合室に入れる。
待合室――物は豪華だが机と椅子、ウォーターサーバーしか置かれていない。その机の上で男二人、女一人でポーカーをしている。
「おお、ナナじゃん。久しぶり~」
短く切った黒髪/片目に眼帯/元砲兵/詐欺師の才能があり、今も私の名前を呼び注意を逸らせ右隣からカードを自分のと擦り変える。
アメリア・アランチーニ
USNA陸軍女性兵士/佐渡侵攻事件時にUSNA派遣部隊/負傷するも仲間を助け続け功績を認められる/出世の道もあったが「自分は前線に立つ!」と言い『失楽園』へ。
「あれ? カードが違う、なんで?」
「お前の記憶違いだろ」
黒髪の何処にでも居そうな顔した青年がガードが違う事に気づく/隣の頭に赤いバンダナで目を隠すぐらいまで下げた男があからさまに誤魔化す/その隙に自分の裾に隠したカードを相手のカードと入れ替える。
ジャック・ウェルソン&ルーカス・ローズ
二人とも元一般人――ニュースで流れた沖縄海戦の記事で危機感を感じ何故か
「みんな揃ったじゃん!ポーカーしようぜ!」
アメリアは元気良く他のメンバーを誘う/リアム、ノア=やる気満々/イライジャ=すこぶる嫌そう/ベンジャミンは話を切る。
「すみませんが九島閣下が会場入られましたよ。この建物のガードは万全で?」
ベンジャミンの言葉で皆表情が変わる/皆服を整え、武器を持ち席を立つ/ドクターからの無線通信。
《さー、みんな僕達の日本での初仕事だ。今回の任務は世界最強の魔法師「トリックスター」の九島烈閣下の護衛任務だ。この仕事は禁じられた技術の産物たる我々マルドゥック機関の有用性をマルドゥック市だけでなく国際的に証明できる任務。我ら『楽園』より生まれし信者達よ。皆で示そうではないかこの魔法優遇の社会に、今は亡きクリストファー・ロビンプラント・オクトーバーに有用性を!》
仰々しい割には私は言っていることがよくわからなかった/ウフコックはそれを噛み締
めるように頷いている。
「どういうこと?」
「有用性を証明しろと言うことだ」
私はよくわからないまま持ち場に着く/皆も自分の持ち場へ。
リアム・ノアチーム=ホテルの外/ベンジャミン・イライジャチーム=屋上/ジャック・ルーカスチーム=ホテルロビー/私とアメリアは会場入り口。
《ナナ、学校てのは面白いものなのかい?》――アメリアの突然の無線通信。
《どうしたの? アメリア》
《いやーさ。私たち大半の連中、学校って言っても軍学校だし普通の学校ての気になるわけよ》
《あ、それ俺等も気になる》《便所で股開くしか能のねえ女には興味あるだろうな》――リアムとノアも無線に乱入。
《ちょっとあなた達、今は任務中よ》――イライジャの注意。
《いいじゃないですか》――リアムがイライジャの回線を無理やり繋ぐ。
ジャックとルーカスは一般的な学校に通った事があるので入ってこない/ベンジャミンは周囲の警戒で恐らく気づいていない/私は仕方なく学校の話をする。
《楽しいわよ一応》
《そんな事聞いてねえよ、もっと他があんだろ。あのーなんだ、あれだ座学とかどんな感じだよ》――ノアのアホ丸出しの通信に多少腹立つ。
《魔法理論、一から十まで教えようかノア?》――私の報復。
《あら、それはいいわね私も手伝うわ。ナナ》――イライジャの加勢。
《また、今度聞く》――ノアは諦め話を切り上げる。
その後もイライジャとノアの論争は続く――案の定ノアはイライジャ負ける/馬鹿で騒がし無線通信が続き私に話しの的が戻る。
《それとナナ。好きな男とかできたのかい》
「へっ!」
素っ頓狂な声が出てしまう/隣を見ればアメリアが半笑いでこっちを見ている。
ノアとリアムもそれに反応――《待ってました!》《さすがアメリアです》
イライジャも静かに聴いている。
好きな男/この場合
居るだろうか/該当しそうな男を挙げる/と言っても三人しか居ない。
吉祥寺真紅郎=可愛がるならいいが付き合うのはない/大隅大樹=論外/一条将輝=最適なのは彼だろう/付き合うかはわからない。彼にはさまざまな事で感謝はしているが付き合うまでに発展するだろうか。
《おっ、これは居そうだね》アメリア=心底楽しそう。
《ナナお嬢ちゃんもませたな》ノア=呆れ声。
《まだ考えてるわ、まだなんじゃない》イライジャ=助けの言葉。
《考えてる時点で居る可能性》リアム=茶化し。
この会話はいつまで続く/そろそろ私の羞恥心の限界だ/ドクターの通信。
よかったこれで話の的が私から外れる。
《みんな、師族会議が終わったよ。これからちょっとしたパーティーだ周囲の警戒を厳として守るように》
ドクターの生真面目な通信に私はほっとする/あと少しでこの任務も終わる。
*/******
《みんな安心してるとこ悪いんだけど、6階のトイレからよくない会話が聞こえるわ》イライジャの通信。
6階――私たちの守っている階/よくない会話――敵。
《私が行く》皆に通信。
《わかったわ、気よつけてね》
イライジャの特殊検診の成果――脳に埋め込んだハード/頭蓋を覆う金属繊維/直感でコンピュウーター・小型通信端末の操作――意味論的データベースを構成するデータ解析能力。チームの通信管理担当の彼女はいつも高所の立ち居地/故に多くの電波を取れえ皆に即時伝達=頼れる通信兵/敵からは最悪の通信兵。
廊下を歩きトイレの前へ/イライジャの通信――男子トイレ入ってすぐにいる。
腰に入れたCADを抜く/手に感じる私の虚無/ある意味の興奮――限るなく原初的興奮。
それを嗅ぎ取ったのかウフコックからの警告/私はそれを聞き現実に戻る――トイレに突入。男性が一人――片手には通信機/片手には――銃。
男の驚きの顔――銃を私に向け指が引き金を引くのがわかる。
でも私のほうが早い/サイオンをCADに送る――極小の魔法式が起動/銃の周りを半回転――発射。
男の恐怖の顔――もう遅い。着弾。
男は泡を吹き倒れる/『共振』はうまく使えた。あとは『膨張』『破壊』だけ。
《敵、確保》
《おつかれさま、残念な報告よ》
《増援ですか》
《そう、敵は銃で武装、魔法師と思われる者はいないわ。幸いにもここは山中、あなた達の『体』は存分使えるわ。会場は私が外部との音は遮断するから心逝くまで敵を殲滅しなさい》
《
私はトイレを出て廊下へ/アメリアと合流。
アメリアは幾つものベアリングを持ち、瑞々しい闘気を纏っていた。私は窓へ。
窓を開けそのまま――外へ。
山中で銃声――ノア、リアムの戦闘/急ぎ壁から飛び降り地面へ。
「あいも変わらず、
リアムは両手に高周波マチェテを持ち笑いながら敵を切る/肉の焼ける音/敵は絶命。
「ノアは?」
「単身突撃、敵を粉砕中」
大方、敵を切り終わり後ろを向く/神父らしからぬ立ち姿。
凶器を両手に携え、焦げた逸物を咥えた姿/聖典を謳う殺人者――『エセ神父』とは、まさにこの事。
「では、私は別を倒しに行きます」
「釣れませんねぇ。もう少しここにいても――」
次の瞬間リアムの首が――弾丸で貫かれる。
夥しい血の量/ふらふらとしそして倒れる。木の陰に隠れ
数人の敵――お構い無しに撃ってくる/木が削れ、穴だらけなるのがわかる。
敵――リアムの死体を乗り越え私に近づく/行動を起こす為に立ち上がる。
藪の中より響く足音/木が軋む異音――巨体の何かが敵に突撃。ノアの強烈なタックル。
敵が一人宙を舞う/ノアはそれを片手で頭蓋を掴む/力を入れ頭蓋を――潰す。
鋼鉄のように硬化した拳は黒く色を変えている。
他の残りがノアへ向け発砲――ノアの前面部が黒く硬化――火花が飛び散る。金属同士がぶつかる甲高い音。
ノアが特殊検診で獲得した成果=度重なる強化手術がもたらした万力以上の筋力/だがこの手術の成果でも弱点はあった=超速度での刃物。それの打開策――一瞬で硬化するナノマシンを生成する改造心臓の移植/これによって斬撃の克服――爆弾も防ぐ生きる要塞が出来上がった。
「さー! どうしたよ! もっと撃って来いよ」
ノアが体勢を低く構え――突撃/全身の筋肉をフルに使ったタックル/それに加え強化手術の筋力増加。超スピードの砲弾と化したノアのタックル/敵を吹き飛ばし方向転換/敵の恐怖に歪んだ顔――その後ろに人影。
「
赤く白熱した二刀の――高周波マチェテ/敵の首を焼き切る/敵の首は宙を舞い、喉元は焼き塞がれた肉の断面。
「なんだ? リアム死んでたのか」
死んだはずのリアムが平然と立ち笑う/喉の傷が塞がりピンク色の肉がみるみる肌と同じ色に。
異常再生=特殊検診の結果――人工的に癌化した胎児の胚を全身に移植/無限に増殖するキャンサード・エンブリオ細胞/欠損した臓器の補充/それに加え人体の毒素除去能力の強化――骨髄、リンパ節、脾臓、免疫系臓器の複数移植。
結果=サリンの中50mマラソンをしようと/エボラウイルス入りの血液を2L服用しようと死ぬことのない究極の
悩みの種――再生のたびに進む老化/死す度に生じる飢餓感。
「まさか、いきなり喉を撃つとは思いませんでしたよ」
「エセ神父にはお似合いの死に様だぜ」
二人とも撃たれながらの会話/敵はどうしたいいのかも分らず、とにかく撃ち続けている。
私は銃声で声が掻き消されないように叫ぶ。「リアム!ノア!話す前に戦って!」
それが聞こえたのか話すのを止め敵に向いだす/二人そろって突撃。
リアムは血を撒き散らしながらマチェテを振るい/ノアは黒銀の体で弾丸を弾きながら敵を殴り殺す/異様過ぎる味方/敵は完全に恐れている。
「お待たせ、援護するよ!」
アメリアが到着/袖をまくり宙に投げるベアリングの球/アメリアの腕が二つに割れ現れる/青白い伝導体――アメリアの周囲を8の字を描くようにして舞う光/それに反応しベアリングの球も周囲を回りだす。
アメリアが特殊検診した武器=超伝導体を内蔵/生体電流を増幅し発露する機械の腕。
電撃あくまで初歩戦術/彼女の腕に乗せられた物体は、螺子の1個でさえ銃弾の弾となる。
発射されるベアリング――リアムとノアごと敵を粉砕する――二十人近くいた敵はみるみる減っていく――その間ノアは身を丸め硬化し/リアムは文字通りミンチに成る。
掃射も終わり残ったのは敵の残骸。細かな肉片が撒き餌のように山中に散っていた。
ノアは恐る恐る身を起こす/横のリアムは再生しきれておらず残骸が蠢いて気持ち悪い。
「よし、森の敵は制圧終了」
「ああ...ひでぇ。リアムがマジのミンチじゃねえか」
アメリアが腕を戻し/制圧の宣言/別の敵に向う。
ノアも再生中のリアムを抱え追いかける。
私も追いかける――背後から悪寒/驚き振り返りる。
あるのは敵の残骸――だが居る/何かが。
「どうした、ナナ行かないのか?」
動かない私にウフコックが話しかける/私はそれを聞かずただ一点だけを見続ける。
――そしてそれは現れる。
尋常ない速さで突撃――炸裂音/振るわれる赤い刀身。
手元での衝撃――-信じがたい金属音。
驚愕――奴はあの速度の中あの長さの刃物を振るったのか。
驚愕――奴の刀身が
私は奴から距離を置く。
見れば少女――私とほぼ同じ背丈/黒い軍服を着て顔にはマスク/腰には近代化された刀の鞘。手に持つ日本刀――赤く揺らめく火のように光を放つ刀身。
私はCADを構え彼女に撃つ――今後は『共振』ではなく『膨張』を/サイオンをCADに流す――CADは形を変え銃身が開く。
銃身内で輝く無数の光=魔術式/狙いを絞り――撃つ/放たれるサイオンの弾丸――それを避け前進/再度撃つ――体を捻り避ける/三度撃つ=鞘から鮮やかに抜かれる刀――『膨張』ごと斬りナナの胸元へ。
後ろに飛び
敵に向け全弾発射――それを奴は避けるかあるいは斬っていた。
何たる反射神経――何たる動体視力。
弾切れと同時に弾丸が如く突進。
「うッ!」
少女の突進をお腹に喰らう/途轍もない衝撃――飛ばされ転ぶ/体勢を立て直す――奴の刀身が迫る。
にわかに耳を裂くような甲高い音/耳を押さえ奴に銃を向ける。少女は飛翔/木々を足し場に距離を取る――少女の、彼女の口が歪み笑う/そして初めて聞く声。
「また遊んでね。
その言葉を最後に姿を消す/急速な疲れが襲い掛かってくる/地べたに座り、生を実感する『生きている』と
加熱――今日という日がまた私を焦がす気がする。
揺らめき――彼女の笑いが頭から離れない。
私は震えるウフコックを握り締めていた。
どうも、こんにちはこんばんは。運珍です。
はい、入学編ラストです。
いろんなこと詰め込んで駄文になった感と無理やり切った感が半端ない。
次回の九校戦編は劣等生の方がストーリーを用意しているのでたぶん書きやすい。
誤字脱字報告。感想、意見、要求などはどんどん受け付けます。