マルドゥック・マジック~煉獄の少女~   作:我楽娯兵

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どうも、こんにちはこんばんは。運珍です。

今回、自分なりにがんばってみました。
疲れました。



プリモ・ピアット4

――2095年8月1日(月) 第三校バス車内

 

「うッ!っつ......」

 

 俺は体の痛みを感じながら富士演習場南東エリア行きのバスに乗っていた。

 

「大丈夫、将輝?」

 

 隣に座る中学時代からの友、吉祥寺真紅郎が心配そうに聞いてくる/大丈夫かと聞くが大丈夫ではない。

 

「イースターさんとの練習そんなにきつかったの?」

 

「ああ、きつ過ぎる。俺はてっきり一日限りかと思ってたよ」

 

「九校戦の前日まで練習してたもんね」

 

「ジョージ、あれは練習じゃない。練習と称した軍事教練だ」

 

 そう、俺は前日まで彼女と練習をしていた/魔法競技なのに魔法を一切使わない組み手――俺は一方的に投げられ、殴られ、蹴られ続けた。

 最後の日はさすがに体も慣れたのかそこそこ着いていけたが――やはり投げられていた。そのせいで全身打ち身だらけ、床もクッションとなるものはなくコンクリートだったため更にひどい。

 それを知っているのか知らないのか彼女は全力で投技/足技/ひどい時には固技をかけてくる。

 

「そ、そんなにひどいの......」少し引き気味に聞く。

 

「ああ、多少小柄な女子程度の認識だった。組み手をする前は......。でも、した後、俺はこてんぱんにやられてたよ、そのおかげで全身打ち身だ」

 

 少しシャツを上げ、脇腹の辺りを見せる/僅かに赤く腫れた肌の上に湿布が張ってある/湿布は最初の日にドラッグストアで買った物だ/それを知った時、俺は生き埋めにされる者が自分の埋められる穴を掘っている気分を味わったものだ。

 

ジョージの引き気味の表情。「これが全身か......、彼女何か格闘術の心得でもあるの?」

 

「わからない、でもあの動きは間違いなく何かしてたな」

 

 俺はシャツを戻しながら答える。

 練習の時の彼女を思い返す/機敏な動き/正確に相手を制圧する力/そして他の何よりも強烈だった目。

 初日にあれを見たときは足が竦みそうになった/ジョージは俺の見て半笑いで何かをわかったようだった。

 

「彼女との練習は有意義だったけど疑問の残るものだったようだね」

 

「わかるか、ジョージ」

 

「わかるよ。そうでないと将輝の参謀は務まらないよ」

 

 俺はその言葉に笑う/笑いと同時に筋肉が動き少し体が痛む。

 だが、ジョージの言葉に俺は安心できた。

 ジョージとは昔からの付き合いで信頼が出来る――それ加え「基本コード(カーディナルコード)」の「加重系統プラスコード」を発見する頭脳/これだけの逸材は相違ないだろう。

 

「そういえば、イースターさんはどうしたんだ。バスの中にはいないようだが」

 

「ああ、彼女は沖山先生の車で来るらしいよ」

 

 俺は横目で車内を確認しているとジョージが教えてくれる。

 

「別の車? 彼女は選手だろなんでこのバスじゃないんだ」

 

「何でも、彼女の出場枠を沖山先生が無理やり捻じ込んだみたいで、バスの席が取れなかったて噂だよ。たぶん今エンジニアの乗っているバスの後ろに沖山先生の車があったからそこじゃないかな」

 

「そうか」俺は素っ気なく答える。

 

「気があるのになるの」ジョージは楽しそうに聞く。

 

「なんでそこを突っ込むんだよ」

 

「将輝なら彼女に見合うと思ったからさ」

 

 

 **/*****

 

 

 沖山先生は第三次世界大戦以前に大ヒットした曲を大声で歌いながらお酒を飲んでいた/いくらこの時代、自動運転が備わっているといっても運転席に座ってしかも職務中にお酒を飲むのはどうかと思う。

 先生はもう何本目かの煙草に火を着ける/私は顔を顰め鼻を服で覆い、窓を開ける。

 

「あ、煙草嫌いだったか」

 

「嫌いです。直ちに消してください」

 

「そう言うなよ、今はうっさい教頭や校長が居ないんだ。多少は羽目を外させろ」

 

 先生はそう言いお酒を煽る/私はうんざりしながら音楽プレイヤーに変身(ターン)させたウフコックのイヤホンを耳にかける/聞こえてくるロックミュージック/曲名は『Children Of The Grave』

 ノアに借りたものだったためアーティストは知らない。

 

「おーい、一応俺は教師だぞ。教師の前でそんな不要物持って来ていいのか?」

 

「構いません、取ったらお酒や煙草を持ってきたこと教頭に言うだけですから」

 

「うっ…」言い返せないのか押し黙る。

 

 私は楽しくなりさらに言ってやった。

 

「しかも先生授業で言ってましたよね、『歴史は卑怯卑劣はよくあることだ、だからお前達も卑怯になれ』ってだから教えどうり卑怯になってみました」私はしてやったりという顔をする。

 

 先生は反撃は出来ずそのままうなだれる/数分後、思い出したように九校戦の話をしだす。

 

「そう言えばお前、二日後の競技。大丈夫か?」

 

「先生が無理やり捻じ込んだ、スピード・シューティングの本戦の練習なら、夢中になるくらい練習しましたよ」

 

「土壇場で空き枠が出たからな、早撃ちの本戦。棒倒しと早撃ちの新人戦決まってるお前を捻じ込めて安心したよ」

 

「あなたのような人が、どうして大会委員会とのコネがあるかが不思議でなりませんよ」

 

 ナナが出場を決めていたのはアイス・ピラーズ・ブレイクとスピード・シューティングの新人戦のみ――大会に二週間前、スピード・シューティング本戦に出場する生徒が交通事故に巻き込まれた。

 生徒――命に別状無し/空いてしまった本戦の枠。

 他の生徒に比べナナの練習量は格段に少なかった――沖山先生はそれを聡く見抜き、事故のコネクションをフルに使い、異例だが一人三枠の出場を決めさせた。

 

非難の色を混めて感謝。「こんな貴重な経験ないですよ」

 

「皮肉のつもりか、可愛げがねーな」

 

「彼方に媚を売る気はありません」

 

「そうかい、まあがんばれや、予選抜けたら一回戦目からあの七草のお嬢さんとの対戦

 だ。せいぜい気張ることだな。後、今夜の懇親会出ろよ、発足式にお前は出てねーからな」

 

 人事のような言い方に少し腹が立った/予選落ちしてやろうかと思ったがそれをしたら完全に晒し者になる/沖山先生は右手に持つお酒一気に飲み干す/さらに足元のクーラーボックスを開け新しいお酒を飲み、煙草を吹かし、大声で下手な歌を上機嫌で歌う。

 私はまたイヤホンを耳に掛け窓から入る風を浴びる/少しの間この煙草と酒の匂いの入り混じる中、私は目を閉じ眠りに落ちた。

 

 

 

 **/*****

 

 

 午後には富士演習場南東エリア着いていた。

 部屋に入り早々に体に染み付く煙草の臭いをシャワーで落す。

 懇親会――実質的な開会式/ドレスコートは各校の制服であるためウフコックにドレスに変身(ターン)を頼まずにすんだ。

 欠席も考える/沖山先生の言葉――「今夜の懇親会には出ろよ」

 それを思い出し仕方なく会場に向う。

 軍の施設である宿泊ホテル。

 “天国への階段(マルドゥック)”を表現したモニュメント、マルドゥック・グランドタワーの中を知っている私はここが見劣りしてしまう。

 ホールの端に居座る。

 参加したは良いもののする事もない/先ほど受け取った飲み物を傾け飲み、懇親会が終わるのを待つ。

 USNAの州法では20歳以下の飲酒も許されている州もある/こんな酒もどき(カクテル・モーク)より私は本物を飲みたかった。

 何より嫌なのは皆の視線――どれも髪への好奇心。

 他校の生徒も興味を示している/頬を撫でる髪を取る――白く、疎らに灰色の混じる白灰色の髪。

 燃えカスのような色/視線の方へ向くと皆、視線を逸らす=忌々しい。

 空のグラスをスタッフに渡し会場を出ようとする――視界を掠める見知った顔。

 小さな体/小動物を思わせる顔だち/トレイに空の皿をいくつも載せて両手で運ぶ居る後ろ姿。

 灯子だった。

 スタッフの人数が足りないのか/バイトを雇っているのだろう/他にも若者は居て厨房と会場を行き来していた。

 私は動き彼女の後ろに行く/手元が揺れていて皿と皿が音を立てている/空いた皿の上に静かにグラスを置く/灯子の姿勢がぐらつき、立ち止まる/そして歩く。

 後ろの私を気づかないくらい集中していた/小さなメイド服を着ているため、見習いの子のようにも見える。

 少し離れ見ていると他のバイトであろう青年が代わりに持っていった。

 残念に思いながら灯子に話しかける。

 

「調子はどう、メイドさん」

 

「ふぇ、あ、ナナちゃん!」

 

「こんばんは、灯子。可愛い格好してるわね」

 

「えへへ」

 

 灯子はスカートの裾を持ち嬉しげに笑う/それと、よく灯子に合うサイズの服があったと思う。

 小学生と思われてもおかしくない背格好をしている灯子――いつも間違われている。

 ただ一点だけ小学生とは違う点――胸のサイズ。

 体格に見合わない/日本人離れした胸囲。

 彼女の母方は外国の血だそうだ――ある程度は大きいことは予想していた。

 測った結果=驚きのF。

 その結果を知った時、この子に負けたと思い心折れそうになった。鈴玉も同じようだった。

 スタッフ用の服が彼女には小さく、ボタンが今にも弾けそうだ。

 

「吉祥寺くん達どこ?」

 

「彼なら......あそこ」

 

 一条、吉祥寺達は第三校の生徒達と話している/灯子はそれを見て、私に聞く。

 

「ナナちゃんも行かないの?」

 

「行かない、私は元々来る気はあまりなかったし」

 

「ふーん」

 

「鈴玉は?」

 

「厨房で美月ちゃんとお皿洗い」

 

 

「美月?」聞きなれない名前に首を傾げる。

 

「あ、ナナちゃん知らないだった、あのねここに来て出来た友達の一人なんだよ」

 

 灯子は嬉しそうに胸を張る/一人と言ったが他にも居るのだろうか。

 

「他にもね、エリカちゃんやレオくん、幹比古くんとも仲良くなったんだよ」

 

「そ、そう」

 

 新しい名前が次々出てきて混乱する。

 灯子は嬉しくなり「友達を紹介する」と言って小走りでどこかに消えて行った――数分もしない内に灯子は一人の青年の手を引いてつれて来た/先ほど灯子が運んでいた皿を代わりに持って行った青年。

 細身の中背/神経質そうな外見/右目の下の泣きぼくろが印象的。

 

「三島さん、どうしたのそんなに急いで」

 

「ナナちゃんに幹比古くんを紹介したいの」

 

 幹比古と呼ばれた彼は灯子に振り回せれている様/私を見つけて灯子は幹比古を引っ張てくる。

 

「ナナちゃん、幹比古くんだよ」

 

 見知らぬ相手に少々緊張している青年/ホテルの従業員用の制服が恥ずかしいのだろう。何を話していいのかわからない彼をやさしくリードする。

 

「灯子に振り回されているようね、えーと......幹比古君?」

 

「え、うん、彼女はちょっと、元気すぎかな」

 

 彼の緊張が和らぐ/私の髪に見る=好奇心の瞳/またかと思う。

 溜め息が出てしまう――他の奴にも聞こえるように言う。

 

「私そういった視線、嫌いだな。幹比古君」

 

 髪を隠すように非難の視線を投げる=幹比古は申し訳なさそう。

 

「ご、ごめん。あまり見たことない色だったから」

 

 幹比古の謝罪――ウフコックの鼻を借りなくても解る心からの謝罪。

 私は彼の周囲を回る/細身の中背=そんの割には筋肉が発達している。

 目=どこかおどおどしている/しっかりと私を見据えている。

 なんとなく解る=魔法師/代謝性金属繊維(はだ)が彼の霊子の捉え方が普通の魔法師と違う/他のものとはもっと特別な。

 

「幹比古君あなた、魔法師......BS魔法師......違う。これは古式魔法師?」

 

「ど、どうしてそれを!」

 

 驚愕の表情――その目は驚き微かに敵意の混じる目をしている/そうだろう、いきなり己が何者かを当てれれば誰でも驚く。

 

「私の特別な『肌』のおかげよ。君の霊子は普通魔法師とはどこか違ったから」

 

「知覚制御不完全症、みたいなものかい?」

 

「そんなとこ」

 

 USNAの所属の『科学』研究所の開発した人工皮膚とは言えるわけがない/言った時点で彼にはUSNAから守秘義務が科せられる/言えるはずもなく適当に返す。

 

「ちょっとー、ミキ。なにサボってんのよ」

 

「エ、エリカ」

 

 アルバイトの一人が幹比古のサボりを見つける/幹比古はばつが悪そうだ。

 明るい栗色の髪/スレンダーな体/陽性の少女/メイクで大人びた印象を受ける。

 

「あれ、灯子も何しれるの?」

 

「エリカちゃん。今、幹比古くんに友達を紹介してるの」

 

「へー、だれだれ。私にも紹介してよ」

 

「いいよー、ナナちゃん。エリカちゃんだよ」

 

 彼女の顔を見て入学前のドクターからの身辺調査資料を思い出す/彼女は確か百家の娘だったはず。

 

「私、千葉エリカ。よろしくね」

 

「よろしく、ナナ・イースターよ」軽い握手を交わす。

 

「イースター、もしかして外国人?」

 

「違うわ、生まれは日本、育ちが北アメリカなだけ」

 

 私を観察するような目つき/案の定髪に目が行く。

 

「へー。綺麗な髪してるわね」

 

 初めてだった。

 この髪が綺麗と言われたのは/髪を撫でる――私にとっての四葉事件の象徴/それが綺麗/あまり悪い気はしなかった。

 

「ねえねえ、制服着てるってことは競技に出るんでしょ。何に出るの」エリカの輝く瞳。

 

「私はスピード・シューティングとアイス・ピラーズ・ブレイクに出るわ」

 

「ほほう、深雪と当たるわね」

 

 エリカは楽しそうに言う/深雪とは彼女の高校の友達だろうか。

 

「千葉さんは、魔法科高校の生徒なの?」

 

「そうよ。そこの友達に当たるから、どうなるか楽しみなのよ。あとエリカって呼んで」

 

「私もナナでいいわ、エリカは九校の内何処の高校なの」

 

「私は第一校、ミキも第一よ」

 

 第一と言うことは敵同士ということになる/少し残念だった。

 彼女の笑顔は美しく/そしてどこか苦しげであった/ウフコックなら彼女の気持ちがわかるだろうか。

 首の音声変換機(チョーカー)に触れそんな事を考える。

 

 

 **/*****

 

 

 灯子たちはバイトの続きで散っていく/ウェイターの運ぶグラスを取り飲む。

 相変わらず味気のないソフトドリンク/刺激のあるものがほしい。

 来賓が始まる。今夜の主役、高校生達は食事の手を止める/壇上に次々と魔法界のでは有名な人たちが現れ何かを話している/まったく話を聞いていない私にウフコックが話す。

 

(興味がない話を聞かないのは君の悪い癖だ)

 

――だって楽しくないもん。

 

(またっく、ここに来ている人間は魔法界の名士とも言っていい人物達だ、09(オーナイン)担当官である君や俺は、この時代違法魔法実験などで彼らと顔を合わせる機会がいくらでもある。もう少しちゃんと聞いたらどうだ)

 

 ウフコックの説教が始まり、うんざりする/だが彼の言うことが正論で言い返せない。

 

 ――わかった、次からは気をつける。

 

(そうか、うん?)

 

 ウフコックは鼻を鳴らしホールのに満ちる臭いを嗅ぎだす。

 

 ――どうしたの。

 

(いや、何でもない)

 

 ――なによ。

 

 ウフコックの回答に不満がもれる。

 

「ここで魔法協会理事。九島烈様より激励の言葉を賜りたいと存じます」

 

 私が反応する/九島烈――四葉事件をUSNAに摘発した張本人。

 その名前を聞き自然に壇上に目線が行く/会場のライトが消る=演出だろうか。

 壇上の一つのスポットライトがマイクを照らす――現れた人物に眉をひぞめる。

 

(リアムとイライジャ、女性?)

 

 壇上の中央に立つパーティードレスを着た髪を金髪に染めた若い女性/その両脇に委任事件担当捜査官であり09(オーナイン)の申し子達。

 右に、黒のスーツ姿にロザリオを首から下げたリアム/左に、黒のワンピースタイプのドレスを着たイライジャ。

 09(オーナイン)担当官である二人はいいとして、マイクスタンドの前の女性が九島烈なのだろうか――90歳近い『男性』と聞いていたが。

 会場がざわめきだす/皆、意外な事態で混乱しているようだ/何かのトラブルでこうなったのか。

 不安になり会場全体を電子撹拌(スナーク)――会場にある/テーブルの数/その上の皿の数/人の人数/全てが代謝性金属繊維(はだ)を当してわかった/壇上のトリックも。

 

(解ったか、ナナ)

 

 ――ええ、面白いトリックね

 

 ウフコックは事前に嗅ぎ取っていたのだろう/女性後ろを睨み付けるように凝視していた。

 後ろに隠れている一人の『老人』/彼が九島烈なのだろう。

 老人が別の方を見てニヤリと笑う/こちらにも向き同じ表情。

 老人の指示で女性が脇に消える/前に進み出る/会場がどよめく。

 さまざまな方へ目を向ける老人/一つの場所を見て上機嫌そうに笑う/私と目が合う/無表情で会釈を返す。

 

「まずは、悪ふざけに付き合わせたことを謝罪する」

 

 非常に若々しい声に驚く/90歳近いとは思えない/声帯組織(パーツ)を移植しているのでは思うくらい若々しい。

 

「今のはちょっとした余興だ。魔法というより手品の類だ。だが、手品のタネに気づいた者は、私の見たところ六人だけだった。つまり」

 

 何が言いたいのかよくわからない言葉が続く/だがなんとなく言いたいことは予想がついた。

 

「もし私が君達の鏖殺を目論むテロリストで、来賓に紛れ毒ガスなり爆弾なり仕掛けたしても、それを阻むべきして行動を起こすことの出来たのは六人だけ、ということだ」

 

 会場より驚き/戸惑いのどよめき、ある種の不安の静寂。

 

「魔法を学ぶ若人諸君。魔法は手段であって、それ自体が目的ではない。私が今用いた魔法も規模こそ大きいものも、強度は極めて低い。だが君たちはその弱い魔法に惑わされ、私を認識できなかった。魔法力を向上させる為の努力は決して怠ってはいけない。しかし、それだけでは不十分だということを肝に銘じてほしい。使い方を間違った大魔法は、使い方を工夫した小魔法に劣るのだ。魔法を学ぶ若人諸君、私は諸君の工夫を楽しみにしている」

 

 静寂――一つ響く拍手/それが皮切りに波紋のように広がる。

 

(トリックスター......楽しい人ですね......)

 

 ナナは拍手をしながら思う/この演説で懇親会は幕を閉じた。




詰め込み過ぎた感が半端ない、こんなに書いたらこの先のネタがなくなっちゃう。

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