ブラック・ブレット 星の後継者(完結)   作:ファルメール

41 / 42
第38話 未来の為に(後編)

 

「回帰の炎が突っ込んできたせいで、ガストレアの陣形は滅茶苦茶だ!! チャンスは今しかない!! 走れ!!」

 

 延珠に肩車された蓮太郎が、すぐ隣を併走する綾耶へと叫ぶ。彼の言葉通り、アルデバランに肉迫できるチャンスは今この時をおいてない。もしこの機会を逃せば、アルデバランは再び陣形を整え直して、もう誰も近付けなくしてしまうだろう。

 

 全力疾走する延珠と綾耶。と、不意に彼女達の視界が暗くなった。

 

 見上げると翼長20メートルはあろうかという怪鳥のようなガストレアが飛来してきた。

 

「くっ!!」

 

 迎撃すべく両手に空気の刃を作り出す綾耶であったが、それが振るわれるより早く飛来した弾丸がガストレアの頭部と心臓を撃ち抜いて絶命させた。

 

「今のは……!!」

 

「ティナちゃんです!! 援護してくれてます!!」

 

 回帰の炎に据え付けられた天使像の肩の部分に陣取ったティナは、戦場全体を見渡せる絶好のスナイピングポジションから正確無比な射撃で飛行型ガストレアを次々撃ち落としている。

 

 彼女だけではない。

 

 左右から挟み込むように迫ってくるガストレアは、蓮太郎達に併走するように追い付いてきた影胤・小比奈、木更・夏世、玉樹・弓月、彰磨・翠、枢・エックス、ルイン・小町。他にもアーニャやティコといった強力なイニシエーター達によって排除されていく。

 

 今の蓮太郎達は、後ろに気を配る必要も無ければ左右に気を取られる必要も無かった。ただ、前のみを見据えて進む。それだけを考えて実行すれば良かった。

 

 ただし、それとて決して容易な道程ではない。

 

 ソニアが回帰の炎を敵陣真っ直中へと投げ込んだ事で、前陣の殆どと中陣の一部を構成していた数百体のガストレアがすり潰されたとは言え、未だ2000体近くが残っている。アルデバランは既にそれらに集結命令を下しているだろう。民警軍団の戦力はおよそ100名強。この混乱を収束されたら、確実に全滅させられる。

 

 そして、乱れた中陣と後陣を構成しているガストレアだけでも300体近くは居る。アルデバランに辿り着くにはそれらを突破せねばならない。

 

 視界を、異形の群れが覆い尽くす。

 

「邪魔を、するなあああっ!!!!」

 

 突進した綾耶が、今度こそ見えない刃を振り回してガストレアを切り裂き、道を切り開いていく。

 

「ハアアアアッ!!」

 

 延珠が義経八艘飛びのように、ガストレア達を次々踏み台にしつつその強靱な脚力で砕いていく。蓮太郎は、XD拳銃を乱射してまだ息のあるガストレアを仕留めていった。

 

 そして遂に後陣の守りを、抜けた。

 

 一気に、視界が開ける。

 

 そこには、小さな山と見紛うばかりの巨体があった。

 

 二度までコイツと戦ったエックスはこのステージⅣガストレアを「亀かアルマジロの化け物」と評していたが、成る程と蓮太郎は思った。ただし足は8本もあり、頭には目も鼻も無く、ただ口のような巨大な孔が一つ空いているだけだ。ステージⅣはおしなべて異形の姿を持っているものだが、このガストレアは飛び抜けている。悪夢に現れる怪物をそのまま現実に持ち込んだかのようだ。

 

 と、3名がアルデバランの姿に圧倒され目を奪われていたのはほんの短い時間でしかなかった。

 

「時間が無いぞ、蓮太郎」

 

「ああ、短期決戦で行く。綾耶!!」

 

「はい」

 

 延珠の背中から降りた蓮太郎が、生身の手を綾耶の肩へと置く。

 

「俺と延珠でアルデバランの体勢を崩す。そしたら後はお前がやるんだ。奴の外殻を破壊して、EP爆弾を体内に投入。そしたら一気に距離を取る。できるな?」

 

「任せて下さい」

 

 腰へ巻いたガンベルトに固定していたEP爆弾を取り出す綾耶。3名はアイコンタクトを交わし合うと、頷き合う。それが、合図だった。

 

 延珠が跳躍、アルデバランの顔面を幾度も蹴り付ける。だがこれはあくまで助攻、本命は上と見せ掛けて下。

 

 上へと注意が向いたそこへ、足下へと潜り込んだ蓮太郎が義手と義足の力を全開で解き放つ。まず、義足内部のカートリッジを全弾撃発。円状のクレーターが生み出される程の踏み込みを以て地面を蹴り、その反作用を得て全身を加速。更に義手内部のカートリッジを全弾撃発。

 

「天童式戦闘術一の型十五番・雲嶺毘湖鯉鮒・全弾撃発(アンリミテッドバースト)!!!!」

 

 最高の速度を得た超バラニウムの拳が、アルデバランの腹へと突き刺さる。これが里見蓮太郎、神医・室戸菫の最高傑作にして新人類創造計画によって生み出された機械化兵士の、最大の力。

 

 アルデバランの巨体が一瞬、風船のように宙へと浮かび上がって、そのまま逆さまになって背中から地面へと落ちた。何とか起き上がろうとして足や首をしきりに動かしているが、亀に似た体の構造上、すぐには持ち直せない。最大のチャンスは、今この時。

 

「綾耶!!」

 

「了解!!」

 

 流星のように飛来した象のイニシエーターは、専用武器たる噴射手甲『バタリング・ラム』の機能を解放。蓮太郎の義手と同じ爆速を得た拳が、たった今アルデバランをひっくり返した一撃で付いた傷口を更に抉り、体を開く。

 

 綾耶はすかさずEP爆弾の起爆缶を捻って時限信管を作動。体内へと投げ込むと、両腕のジェットを噴かして空中へと逃れる。同時に、全周波に設定した無線機へと怒鳴った。

 

<アルデバラン体内にEP爆弾の設置、完了しました!! 3分後に爆発します。皆さん、速やかに離脱して下さい!!」

 

 空を飛びながら見下ろすと、蓮太郎を抱えた延珠が何度もジャンプしつつアルデバランから離れていくのが見えた。二人は巨岩の背後へと身を潜めた。綾耶も同じように、大きめの瓦礫を見付けるとその陰へと滑り込むようにして体を隠す。

 

 時刻を確認すれば、爆発時間まで後10秒。襲ってくる衝撃を覚悟して、ぐっと身構える。

 

 後5秒……3秒……1秒……ゼロ……

 

「……?」

 

 いつまで経っても、爆音も衝撃波も来ない。

 

 恐る恐る、瓦礫から体を出す綾耶。アルデバランは未だ、健在。しかも残存していたガストレア達が集まってきていて陣形が組み直されている。ガストレア達は釣り鐘形に集結して、鐘の空洞部分に当たる箇所へ大将たるアルデバランが隠されている。

 

 爆弾が、不発。ここへ来て。

 

 作戦は失敗。戦線は突破される。東京エリアが蹂躙される。

 

 最悪の未来が浮かんで、しかし綾耶は首を振る。まだ、最後の手段が残っている。

 

 起爆状態になったEP爆弾は衝撃に弱く、強い衝撃を与えられれば暴発する。アルデバランにゼロ距離まで近付いて体内にまで衝撃を伝導させる事が出来れば。しかし、その性質上ノータイムで起爆する為、作業を行う者は爆発から逃れる術は無い。

 

 この戦いに勝利する為には少なくとも後一人、誰かが犠牲にならねばならない。

 

「……蓮太郎さん」

 

「ボーイ」

 

「里見くん」

 

「里見蓮太郎くん」

 

 綾耶の他にもアジュバントの面々やルイン達が、蓮太郎の元へと集結してきた。

 

「兄ちゃん、状況は把握してる。爆弾が不発……と、なりゃ誰かがアルデバランをぶん殴って無理矢理信管を作動させにゃだが……」

 

 と、枢。問題は誰がそれを行うかだが・・・・・・

 

「やはりここは団長の務めとして、俺が」

 

「俺が行こう」

 

 どんと胸を叩いた枢を差し置いて前に出たのは、薙沢彰磨だった。

 

「彰磨兄、なんで……!!」

 

「お前も俺の技を見ただろう? 俺は天童の技をねじ曲げた。俺の技は外道の技だ。金輪際封印しなきゃならん」

 

「ま……待ってください、彰磨さん!!」

 

 彼のパートナーである翠が悲痛な声を上げ、袖を引く。

 

「契約を……破るんですか!? 私が彰磨さんの孤独を、彰磨さんが私の孤独を埋め合うって、約束したじゃないですか!!」

 

 涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにして訴える猫のイニシエーターの頬を、彼女のプロモーターはそっと撫でた。

 

「すまないな、翠……昔、師範に言われた事がある。このままで行くと俺は、自分の力を悪事に使うとな。だからその前に、封じなくちゃならん」

 

「待って下さい、じゃあ……僕が行きます。空気のバリアを張れる僕なら、僅かながら生き残れる可能性が」

 

 綾耶が進み出て、制止しようとした。実際には彼女の言葉は全て嘘だ。EP爆弾の衝撃は、空気の障壁程度で防げるものではない。それは、綾耶自身も良く分かっていた。これは後先など考えず、彰磨を死なせない為に出た言葉だった。

 

「将城綾耶……嘘は上手に吐くものだぞ?」

 

 当然、彰磨には見抜かれていた。

 

「それに……聖天子様にはお前が必要な筈だ。お前は、聖天子様の剣であり、盾であり……導きの光である筈だ。あの方から……それを、喪わせるな」

 

「彰磨兄っ……!!」「彰磨さん……!!」

 

 最早誰の制止も受け付けず、彰磨は駆け出そうとして……

 

<団長でも綾耶ちゃんでも彰磨さんでもない……行くのは、私よ>

 

 脳裏に巨大な意思が響き渡って、足を止めた。同時に、蓮太郎や綾耶達も動きをぴたりと止める。鼓膜を介さずに声が頭脳に直接送られてくるこの感覚は、ここ数日で何度か経験している。見ると空から、ソニアがふわりと舞い降りてきていた。

 

「ソニア……お前……!!」

 

「ちょ……待って!! ソニアさん……ダメです!! 他の誰よりもソニアさんは、行っちゃダメです!!」

 

 いきなりの登場には驚いていたものの、綾耶はすぐ我に返って掴み掛からんばかりの勢いでソニアへ詰め寄った。彼女の言葉は、ソニアの侵食率が限界でありいつガストレア化してもおかしくないというのもあるが、それ以上に。

 

「ソニアさんが死んじゃったら……!! ティナちゃんが……ティナちゃんが、また一人になっちゃう!! お父さんとお母さんが居なくなって……ソニアさんが居なくなって……!! それでも生きてくれていて、また会えたのに……!! あなたが今また居なくなったら……!! 大切な人が居なくなる悲しみを、三回もティナちゃんに味わわせるつもりですか!?」

 

 ティナが、友達が悲しむのを見たくないから。それが、綾耶の心を占めていた想いだった。

 

 ぴくりと、ソニアの体が震えた。振り返った彼女はふっと、綾耶へ笑いかける。何もかも受け入れたような、透き通った笑みだった。

 

「ありがとう綾耶ちゃん……でも、ダメなのよ。あなたも教会が襲われた事、覚えてるでしょ? あれは明らかに、私を狙っての襲撃だった……私の力は強くなりすぎたの。私の力を手に入れる事が、世界を手に入れる事と同義であるぐらいにね。私が生きている限り、私は狙われ続けて……私の周りの人達が傷付いていく。そんなのはもう……イヤなのよ、私は」

 

「そんなの、誰が何回襲ってきたって僕が……!!」

 

 みんなを衛ると、綾耶はそう言い掛けて……ぬっと突き出されたソニアの右手を見て、言葉を失った。

 

 それは綾耶だけではない。蓮太郎も、延珠も、木更も、夏世も同じだった。この場の全員が。

 

「もう、私は助からないから……だから、私が行くのよ」

 

 ソニアの右手は、今は指と指の間に魚のヒレのような膜が張っていた。下半身に目をやると地に着いている筈の両足はそこには無く、イオノクラフトの要領でふわふわ浮いているそこには、人魚のように魚類の尾が伸びていた。そして露出している顔の部分はてかてかしていて、最初は汗かと思ったが違う。これは粘液だ。ウナギの体表面のようなぬめり。

 

 この現象は、この場の誰もが最低一度は見た事があった。

 

「形象……崩壊……!! 体内侵食率が、50%を超えて……!!」

 

 口元を押さえた夏世は、絞り出すようにそう言うのがやっとだった。

 

「そんな……まだ、大丈夫なんじゃなかったのかよ!! 先生が・・・・・・3回は、大丈夫だって……!!」

 

 自棄になったように、蓮太郎は頭を掻き毟って叫んだ。菫が誤診するなど有り得ない。3回までなら、ソニアはギリギリで侵食率の上昇に耐えられる筈だったのに。

 

「蓮太郎さん、先生を責めないで……私が、ムチャし過ぎただけの事よ」

 

「待って!! ソニアさん!!」

 

 綾耶が、ソニアの腕を掴む。パワー特化型イニシエーターに掴まれても、ソニアは少しの痛みも感じていないようだった。あるいは形象崩壊に伴って痛覚が、既に消失しているのかも知れない。

 

「分かってるでしょ? 誰かが、行かなきゃならないって……」

 

「だから僕が行くって……!! それにティナちゃんは……ティナちゃんは、どうするんですか……」

 

 その問いを受け、ソニアは優しく笑って綾耶へ手を伸ばした。

 

「ティナは大丈夫よ。綾耶、あなたが居れば」

 

「どうして、そんな事……」

 

 言い切れるのかと、そう言い掛けた綾耶への、ソニアの答えは。

 

「言い切れるわよ? それはね」

 

 指がすっと綾耶の頬を動いて、流れていた液体を拭った。

 

「あなたが、人の為に泣ける子だからよ」

 

 いつの間にか綾耶の両目から、涙が滂沱として流れていた。

 

「ティナを……頼むわ」

 

 そっと動いた手が、綾耶の腕を退ける。そこにもう少しの力も入ってはおらず、抵抗感無く動かせた。

 

「薙沢彰磨さん。もしその力の使い方に迷っているなら……どうか……ティナや私のような子の出ない世界を創って……お願いね」

 

「ソニア・ライアン……お前……!!」

 

 そう言いながらソニアは一同を見渡す。形象崩壊を起こしている事実とその覚悟を見せ付けられて、もう誰も、彼女を制止しようとする者は居なかった。それを確かめると、アルデバランの居る方向を睨む。

 

「ソニア……さん」

 

「まだ何か?」

 

 綾耶の声を受けて振り向いたソニアの声はどこか気怠げで、言外に止めても無駄だぞと語っていた。綾耶もそれは分かっている。だから彼女はもう、ソニアを止めようとはしなかった。その代わりに。

 

「僕は……僕に出来る事をします」

 

 そう言って、懐から小瓶を取り出す。

 

「イニシエーターとして、友達の為に出来る事を」

 

 瓶を割ると、中に入っていた液体を自分の服へと振り掛けた。それを見た蓮太郎が、顔を引き攣らせる。

 

 瓶の中身は集合フェロモンだ。ガストレア達を引き寄せる作用がある。視線をアルデバランの方へ向けると、早くもこの作用によって陣形外周部を構成するガストレアがこちらに向かってきているのが見えた。

 

「綾耶、お前……何をしているのか、分かってるのか?」

 

 勿論、と綾耶は頷いて返す。

 

「ソニアさんが確実にアルデバランへと到達できるように、僕の方へガストレアを引き付けるんです」

 

 自分自身を囮に使うと、彼女はそう言っているのだ。

 

「延珠ちゃんは……」

 

 何か言い掛けた親友へと、延珠はばっと手を差し出して言葉を止めた。

 

「共に来いと……よもやそれ以外の言葉は言わぬよな? まさかここに残れとか自分から離れろとか言うつもりであるのなら……親友とて許さぬ」

 

 じっと、真剣な目で延珠は綾耶を睨む。聖天子のイニシエーターは、少しだけその迫力に圧されたようだった。背筋が仰け反ったようになる。それでも暫くは睨み合っていたが、やがて根負けしたのは綾耶の方だった。

 

「そうだね、延珠ちゃん……一緒に来て。一緒に戦って」

 

 会心の笑みを浮かべ、延珠が頷く。

 

「承った!! 蓮太郎!!」

 

 彼女のプロモーターは、期待の籠もった視線を向けられて少し戸惑ったようだったがすぐに腹を括った顔つきになった。

 

「ああ、延珠。今の綾耶への言葉、俺からもお前に言わせてもらうぜ。一緒に来るなとか俺だけ逃げろ、なんて言うなよ? お前等みたいなガキが戦っているのに、俺だけ高みの見物している訳に行くか!!」

 

 義肢に予備カートリッジを装填して、XD拳銃の動作を確認する蓮太郎。

 

 死地へと飛び込む覚悟を決めたのは、これで3名。否、彼等だけではない。

 

「里見くん、私も行くわ!! 社員を衛るのも、社長の務めだからね」

 

「私もご一緒します!! 未踏査領域では、綾耶さんに助けてもらいましたから……今度は私が、綾耶さんを衛ります!!」

 

 木更と夏世が。

 

「ボーイ、俺を忘れんなよ。姐さん、俺がお守りしますぜ」

 

「兄貴だけじゃ心配だしね。あたしも行くよ」

 

 玉樹と弓月が。

 

「俺も行こう。俺が自分の技をどうするかは兎も角として……少なくともソニア・ライアン……お前を無駄死にさせてはならない事は、確かだ」

 

「私も行きます。彰磨さんが行くのなら」

 

 彰磨と翠が。

 

「俺も行くぜ。団長の役目を全うする為にもな」

 

「……」

 

 枢とエックスが。枢はこれよりは全体の指揮権を副団長である長正へ委譲する旨を無線機で連絡する。エックスは何も言わない。ただ、両手から超バラニウムの鉤爪を伸ばす事で応える。

 

「無論、私もご一緒するわ」

 

 小町やティコ、アナスタシア、ステラ、100人の群星達という麾下のイニシエーターを見渡したルイン・フェクダは、全員の意思が統一されている事を確認すると綾耶へと向き直った。

 

「綾耶ちゃん……あなたは……賢いとは言えないけど、優しくて、勇敢ね。その勇気と優しさが……これからの世界に必要なの。それを喪わせない為に、戦うわ」

 

「王よ、私もお供致します」

 

「私も行くよ、パパ!! 延珠も綾耶も、斬るのは私なんだから!!」

 

 影胤と小比奈も。

 

 他にも幾名かのペアが、覚悟を決めて進み出る。

 

「ったく……どいつもこいつも、命知らずめ……!!」

 

 呆れたように頭を掻く枢。既に、アルデバランの統率を離れたガストレアの一団がこちらへ向かってきている。正確には集合フェロモンまみれになった綾耶を目指してきている。その数は……数えるのも面倒なくらいだ。

 

「ああ……みんな見ろよこの数。ったく、何匹居ンだよコレ……!! 今更だがよ」

 

 もう笑うしかないという様子で、呆れた笑みと共に蓮太郎が言った。

 

「く……くくっ」

 

「は……ははっ」

 

「ハハハ……」

 

 誰ともなく始まった笑い声が伝播していく。

 

「「「ハハハハハハハハ!!!!」」」」

 

 全員、大爆笑。然る後、

 

「走れえっ!!」

 

 団長として、枢が号令を下す。同時に、夜が明ける。

 

「総員、走れ!! あの朝日に向かって!!」

 

 目的はソニアを確実にアルデバランへと接触させる為、可能な限り多くの敵を引き付ける事。故に民警軍団はガストレア群の真っ直中へと正面から突入する。同時に、ソニアは地面スレスレを滑るように動き始める。

 

 これが、この第三次関東会戦、最後の戦い。

 

 口火を切ったのは、綾耶であった。

 

 地上を疾走するガストレアの頭上から、小さな影が舞い降りる。

 

 視線を上げたガストレア達が迎撃態勢を整えるより早くその影・綾耶は彼等の只中へと飛来した。そのまま着地を待たず両手に宿る見えない刃物を振り回し、無数の異形をなますの如く斬っていく。蜘蛛のような個体が口から異臭を放つ毒液を吐き出すが、それらは見えない壁に阻まれて一滴すら綾耶の身に触れる事は叶わなかった。

 

 眼前の一際巨大な個体へ向けて、綾耶は左手をかざす。

 

 持ち前の吸引能力が発動し、発生した気流に引っ張られてガストレアの巨体が彼女へと吸い寄せられる。そうして間合いに入った所を、カウンターで迎撃。専用装備『バタリング・ラム』の噴出口から圧縮空気が吐き出され、超高速の鉄槌と化した右手はガストレアを木っ端微塵に粉砕する。

 

 

 

 将城綾耶 東京エリア国家元首・聖天子直轄

 

 モデル・エレファント -ゾウ- × 空手(4級) × 超バラニウム製対ガストレア噴射籠手『バタリング・ラム』

 

 IP序列・番外位 翼のない天使(リップタイド)

 

 

 

「天童式抜刀術・一の型八番『無影無踪』!!」

 

 抜刀と共に発生したカマイタチの如き真空の刃によって、数十体のガストレアが間合いを超えて両断される。

 

 巨大な体を支えるガストレアの外殻を、紙の如く両断する。どれほどの業物を以て、どれほどの技量があればこの様な離れ業が成立すると言うのか。だが、それを可能にするのが天童木更という女性だった。

 

 自分達の体の十分の一ほどの大きさしかないこの女性を、しかしガストレア達はまともにぶつかり合っては危険な難敵と判断したらしい。左右に分かれ、彼女を避けて進んでいく。だがそれは好判断とは言えなかった。何故なら、

 

 続け様に、爆音が鳴る。地面が爆ぜて、殺到したバラニウムの小球に全身を蜂の巣にされたガストレアが小石のように舞い上げられる。

 

 そこは、地雷原だった。

 

「木更さんの圧倒的強さを見せ付けられては必ず正面から激突する愚は避け、左右に分かれると思っていました」

 

 ガストレアの動きを読み切っていた夏世が、通るであろうコースに仕掛けていたのだ。

 

 

 

 天童木更 × 千寿夏世 東京エリア・天童民間警備会社所属

 

 天童式抜刀術(免許皆伝) × 殺人刀・雪影 × モデル・ドルフィン -イルカ-

 

 IP序列・19820位

 

 

 

 夏世の地雷に吹っ飛ばされた中で、幸運にも脳や心臓への損傷を免れた個体は空中で早くも再生の兆しを見せていた。

 

 しかし再生が完了するよりも、その手足が地に触れるよりも早く。風を超える速さで白い影が走り、爪を振ってその数体を切り刻む。白いロングコートが翻り、突き出された拳は衝撃を内部へ伝導させて地面に落とされた水風船の様に、比較的大きなガストレアの全身を爆裂させた。

 

 

 

 薙沢彰磨 × 布施翠 東京エリア・無所属

 

 天童式戦闘術(8段・独自改良) × モデル・キャット -ネコ-

 

 IP序列・980位

 

 

 

「オオオラアアアアアッ!!!!」

 

 両拳に装着されたバラニウムチェーンソーが唸りを上げ、ガストレアを惨殺死体へと変える。勢いのまま数体を屠り去っていた玉樹は、その時ゴツンと爪先に何かが当たるのを感じた。

 

「ン?」

 

 視線を落とすと、そこにはパンツァーファウスト(110mm個人携帯対戦車弾)が落ちていた。恐らくは最初の戦いで、自衛隊が落としていった物だろう。持ち主は使う前に逃げ出したか殺されてしまったらしく、弾頭は装填されたままだ。

 

「良いモン見っけ」

 

 彼はニヤリと笑いながら思いがけず手に入った重火器を担ぐと、照準もそこそこに引き金を引く。元々、前方は見渡す限りのガストレア、ガストレア、ガストレア。敵、敵、敵。いちいち狙いを付ける必要など無い。適当に撃てばそれで当たる。後方の安全確認はしなかったが、幸い今回は彼の後ろに誰も居なかった。

 

 しかし、扱い慣れていない事もあってガク引き(引き金を引く際に力が入って、銃全体を揺すってしまうこと)してしまった。発射された弾頭は地上を進むガストレアにも空を飛ぶガストレアにも命中せず、ちょうどその中間辺りの空間をあらぬ方向へと飛んでいく。

 

「シィッット!! 外したか!!」

 

「いいや」

 

 かに、見えた。

 

「ナイスだ、兄貴」

 

 弓月が指先から飛ばした蜘蛛の糸を弾頭へと付着させ、絶妙な動きで糸を手繰るとさながら有線誘導ミサイルのようにその軌道をコントロールし、見事ガストレア群の密集ポイントへと着弾させた。大爆発と共にガストレアの手足や肉片が飛び散り、文字通りに血の雨が降った。

 

 

 

 片桐玉樹 × 片桐弓月 東京エリア・片桐民間警備会社所属

 

 ケンカ殺法 × バラニウムチェーンソー × モデル・スパイダー -クモ-

 

 IP序列・1850位

 

 

 

「うおおおおおおおっ!!!!」

 

 第一戦と同じく、重戦車の如く突貫する枢は当たるを幸いガストレアを薙ぎ倒し、弾き飛ばし、踏み潰して進む。ただ走るだけで、戦列を蹂躙していく。追従するエックスも、鉤爪を出した両手をグルグルパンチの様に旋回、異様な風切り音を響かせて爆走する芝刈り機の如く巻き込まれた不幸なガストレアを刈り取っていく。

 

 その時、前方の地面が隆起して、アルデバランにも匹敵するであろう巨体を誇るガストレアが出現した。地中に潜んでいたのだ。これほどの巨体が相手では、枢のパワーもエックスの爪も、足下を傷付けるだけの効果しかない。どうにかして、脳か心臓を破壊しなくては。

 

「マスター、ファストボールスペシャルを」

 

「応っ!!」

 

 エックスの言葉に枢は威勢良く返すと、彼女の襟首と腰のベルトを引っ掴み、ジャイアントスウィングの要領で投げ飛ばす。砲丸のように飛んだエックスは、勢いそのまますれ違い様に爪を一閃、ガストレアの首を切断した。枢は落ちてきた頭を片手でキャッチすると、そのままミカンのように握力で握り潰した。

 

 

 

 一色枢(ルイン・ドゥベ) × エックス 東京エリア・一色民間警備会社所属

 

 モデル・ブランク -無し- × モデル・ウルヴァリン -クズリ- × 対人・対ガストレア超バラニウムコーティング骨格『ウェポンX』

 

 IP序列・30位 鉤爪(クロウ)

 

 

 

 ルイン・フェクダはこの大混戦の中に在っても王者の如く、悠然と歩んでいた。ガストレア達の攻撃など取るに足りない。進化の能力を持つ彼女の肉体はあらゆる外敵・あらゆる環境に適応して耐性を獲得し、どんな攻撃をも無力化する。

 

「全員、10名ずつ固まって一斉射撃。ガストレア共を牽制しなさい」

 

 100名の数多群星は忠実に命令に従い、10個の固まりとなって10の銃口を10セット、一斉射撃をガストレア群に浴びせる。

 

 だがいくら100名が一丸となった銃撃も、それはライフルやショットガンといった携行可能な小火器によるもの。雲霞の如きガストレアの勢いを押し留める事は出来ない。しかし、それでも十分だった。群星達は急流の中に置かれた巨岩のように流れを枝分かれさせて指向性を持たせ、大きな一つの流れを三つの支流へと分断させる事に成功していた。

 

 そして、その3つに別れた流れの先には。

 

「シュッ!!」

 

 小町の手刀が向かってきた全てを解体し。

 

「さあ……次はどいつ? 玩具が増えるのは、私も嬉しいけど?」

 

 ティコが、モズの早贄かさもなくば吸血鬼ドラキュラ伝説の原典の如く、無数のモリで串刺しにして並べていき。

 

「今……何かした、デスか? ハラショー」

 

 ウロコフネタマガイの特性によって、全身を超バラニウムすら遥かに凌駕する強度を持った生体金属の鎧へと変えたアナスタシアが全ての攻撃を弾き返していく。

 

 そして、この3名によって動きを止めたガストレア群へ待つ運命は、同士討ち。

 

 それまでは本能によって集合フェロモンを全身に付着させた綾耶へと一直線に向かっていたガストレア達は、今はどうした事か綾耶にも民警軍団にも目もくれず、すぐ隣のガストレアに襲い掛かって、共食いを演じていた。

 

 気が付けば、この一帯には何かが降っていた。小さな、雪のようなものが。だが雪ではない。いくら昨日までモノリス倒壊に伴い舞い上がった粉塵で太陽光が遮られ気温が下がっていたとは言え、雪が降るほどではない。これは、胞子だ。

 

 “七星の番外”ルイン・アルコルのイニシエーターであるステラの固有能力。彼女が散布する胞子は吸い込んだ者の頭脳へと侵入し、数十数百もの数を一度に、事前にプログラミングした命令に従わせる事が出来る。

 

 ルイン・フェクダはスマートフォンを取り出すと、登録した番号へと掛ける。相手は、ほぼ1コールで通話に出た。

 

<はい、マスター・フェクダ>

 

「ステラ、張り切るのは良いけどほどほどにね。私達まで操らないでよ」

 

 苦笑気味にそう指示を出して、ルインは通話を切った。

 

「みんな、出来るだけこの胞子には近寄らないように!! 特に蟻とかバッタとか蜂とか、昆虫系の因子を持った子は一吸いでもしたら最後、一発で自我を破壊されるわよ!! 絶対に近付かないで!!」

 

 

 

 ルイン・フェクダ × 魚沼小町 × ティコ・シンプソン × アナスタシア・ラスプーチン × 数多群星100名 × ステラ・グリームシャイン 国籍無し・無所属

 

 モデル・ブランク -無し- × モデル・ライス -イネ- × モデル・オルカ -シャチ- × モデル・スネイル -マキガイ- × モデル・コーラル -サンゴ- × モデル・マッシュルーム -キノコ-

 

 IP序列・無し(ティコは序列444位ペア、群星の一人は666位ペアに所属)

 

 

 

 空中を進みながら東京エリアへ侵入しようとするガストレア達は見えない壁がそびえ立っているかのように、あるラインから先へは決して進めなかった。そこを越えようとした個体は、一切の例外無く全身をバラバラに解体されて、地へと墜とされていく。

 

 それを行っているのは、唯一人のイニシエーター。アンナマリーだった。彼女の両腕は今は鳥の羽のように変化して、背中からはトンボのような羽が生えている。

 

 両腕の羽はモデル・スワロー、ハリオアマツバメのものだ。この生物は水平飛行時の最高速度に於いては地球生物の中で最速を誇り、時速170kmから350kmに達するとも言われている。全長たった20センチほどの鳥がこの速度を叩き出すのである。大きい物ほど速く動く事になる為、もしハリオアマツバメが人間大であったのならばその速度は、軽くマッハの域にまで達するだろう。

 

 そして背中の羽はモデル・ドラゴンフライ、トンボのそれ。トンボの飛行性能は急発進・急停止・バック・ホバリング・旋回が自由自在であり、飛行機やヘリコプターのような人間が作る機械では決して再現出来ないとされている。

 

 この二つの特性を併せ持つアンナマリーは、機械は勿論イニシエーターやガストレアを含む彼女以外のどんな生物にも絶対に真似できない異常な軌道と異常な速度で飛び回り、飛行ガストレアをハエのように落としていった。

 

 更に、周辺のビル屋上に設置されたバルカンや榴弾砲など無数の対空火器が一斉に火を噴き、空中に火の海を顕現させてガストレアを撃墜していく。しかも驚くべき事にこの射撃は、猛スピードで飛び回るアンナマリーには掠りもしていない。

 

 要塞砲の迎撃にも似たこの攻撃を統括しているのは、たった一人の少女だった。ティナ・スプラウト。彼女の脳内に埋め込まれたニューロンチップが全ての火器を遠隔制御し、イージス艦のCIWSもかくやという精度で群れに致命打を叩き込んでいく。

 

 空から迫る数百のガストレアは、二人のイニシエーターによって足止めどころか壊滅の危機に陥ってしまっていた。

 

 圧倒的な優位を維持しつつ、ティナははっと顔を上げる。脳裏に、声が響いたのだ。聞き慣れた、義姉の声が。

 

<ティナ……どうか、良き世を生きて……幸せな未来を創って……私に、もう会えない世界でも……生きてね>

 

「……お姉さん?」

 

 

 

 アンナマリー・ローグ 東京エリア在住・無所属

 

 モデル・シースラグ -ウミウシ- × これまでに獲得した千以上の生物の特性

 

 IP序列・無し 地上で最も神に近い生物

 

 

 

 ティナ・スプラウト 東京エリア国家元首・聖天子直轄

 

 モデル・オウル -フクロウ- × BMI制御バラニウム製偵察機『シェンフィールド』

 

 IP序列・元98位 黒い風(サイレントキラー)

 

 

 

「ハアアアッ!!」

 

「斬っ!!」

 

 延珠と小比奈は肩を並べ、当たるを幸い競うようにガストレアを仕留めていく。

 

「啼けソドミー、歌えゴスペル!! これだ、これこそ戦争!! 私は生きている!! 素晴らしき哉人生!! ハレルウゥゥヤァッ!!!!」

 

「ああ、五月蠅ェ!! 少しは黙れねぇのかよ!! 手ェ前ェは!!」

 

 蓮太郎と影胤は背中合わせになってカスタムベレッタとXD拳銃を乱射し、ガストレアを一匹も近付けなかった。

 

 その間にも延珠と小比奈は次の標的を見付けて突進。靴底にバラニウムを仕込んだブーツと、二刀小太刀の合体攻撃が次の犠牲者を……増やしはしなかった。

 

「なっ!?」

 

「へえ?」

 

 鈍い音が鳴る。西洋のキメラかはたまた東洋の鵺を思わせるそのガストレアの毛皮は下手な金属よりも硬くしかも柔軟性に富み、延珠の蹴りは衝撃を逃がされてしまい、小比奈の刃でも太刀筋が狂わされて斬る事が出来なかった。

 

 そのガストレアは体を大きく回すと、勢いに任せて二人を弾き飛ばす。飛んだ先には、

 

「蓮太郎!!」

 

「パパ!!」

 

「応っ!!」

 

「分かったよ」

 

 蓮太郎は義手を振り、影胤は斥力フィールドを展開する。

 

 空中で何度も回転して体勢を立て直した二人のイニシエーターは、小比奈は蓮太郎の拳に、延珠は影胤の斥力フィールドにそれぞれ“着地”する。更に、そこから。

 

「天童式戦闘術・一の型五番『虎搏天成』撃発(バースト)!!」

 

「マキシマム・ペイン!!」

 

 カートリッジの炸裂によって生じた爆速と、斥力フィールドが膨張する勢い。それを味方に付けた小比奈と延珠は音を置き去りにして、紅い両眼の光が空間に軌跡として残るほどの速度でガストレアに突貫。先程に数倍するその勢いは硬さと柔軟さを併せ持つ毛皮でも殺す事は叶わず、全身を四散させた。

 

 

 

 蛭子影胤 × 蛭子小比奈 国籍無し・無所属

 

 バラニウム製斥力フィールド発生装置『イマジナリー・ギミック』 × モデル・マンティス -カマキリ-

 

 IP序列・元134位

 

 

 

 里見蓮太郎 × 藍原延珠 東京エリア・天童民間警備会社所属

 

 天童式戦闘術(初段) × 超バラニウム製撃発義肢 × グラフェントランジスタ仕様CPU『二一式黒膂石義眼』 × モデル・ラビット -ウサギ-

 

 IP序列・300位

 

 

 

「僕達に出来るのはここまで……後は……ソニアさん……!!」

 

 またしても一体のガストレアを仕留めた綾耶が呟いた、その時だった。

 

 目も眩むような閃光が走り、一拍遅れて熱波と衝撃波が襲ってくる。綾耶は咄嗟に空気のバリアを張って身を守った。

 

 視線の彼方ではEP爆弾の圧倒的な破壊力によって生じた火の玉が上空へと伸びて、巨大なキノコ雲を形成していた。

 

 まだ煙と炎が酷くて見えないが、爆心地に動く物は見当たらない。アルデバランは、殲滅された。ソニアは、やり遂げた。課せられた役目を全うしたのだ。

 

 綾耶は、無意識の内に手を胸に当てていた。祈るように。

 

 彼女は、主の言葉を思い出していた。聖天子は、自分の事を光だと言ってくれた。闇を照らす光だと。綾耶にとっては、聖天子こそが光だった。自分を導いてくれる、命と引き替えにしてでも護るべき光。きっと……ソニアにとってはティナこそがその光だったのだろう。自分は、その光を託されたのだ。

 

 だから自分は受け継いだその光を守り続け、未来へ繋げなければならない。

 

 それが、生きる者に出来る事だから。

 

「……ティナちゃんは、僕が必ず衛ります。あなたの分まで……平和な世界を、一緒に生きれるように」

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。