ブラック・ブレット 星の後継者(完結)   作:ファルメール

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第02話 綾耶の家

 

「……はい、通報のあった地区を中心に探してみましたが発見出来たのは感染者のみ。感染源のガストレアは未だ発見出来ていません。聖天子様の方で、何か情報は入っていませんか?」

 

<いえ、残念ですが現時点で見るべき情報は皆無です。民警各社から撃破したという報告も……それどころか目撃情報すら、上がっていません>

 

 電話越しに聞こえるプロモーターの声からは、隠し切れない焦りが感じ取れる。それを受けて、綾耶は少しだけ頭に浮かんだ疑問を口にする事を躊躇った。ただでさえ多忙かつ心労も多いであろう自分の主に、これ以上の負担を掛けて良いのだろうか、と。しかしこれは必要な情報であるとすぐに思い直して、その先を口にする。

 

「それは……おかしくはないですか? 僕達が倒した感染者はモデル・スパイダーのステージⅠ。感染源も同じタイプでしょう。鳥とかハエのような空飛ぶ動物因子ではないんですから、とっくにどこかの民警が発見して倒しているか、そうでなくとも目撃情報の一つぐらいは……」

 

<……モデルが飛べない動物であるからと言って、空を飛べないと考えるのは早計ではありませんか? 綾耶、あなたは自分のモデルが何なのか忘れた訳ではないでしょう?>

 

「……確かに。進化の跳躍……でしたっけ」

 

 ガストレア化する際の形象崩壊の過程でオリジナルのモデルには無い能力を獲得するケース……陸の大型動物の因子を持つ綾耶が空を飛べる理由もそれに近いものがある。

 

「分かりました。では、僕は引き続き空から探してみます」

 

 地上からの捜索ならば他の民警でも可能だが、ヘリコプターをチャーター出来るような民警は限られているし、それにしたってローター音でガストレアに気付かれてしまう。ヘリよりも遥かに静粛かつ空中を自在に移動して捜索出来るのは、恐らくは東京エリア全て探しても綾耶一人であろう。

 

<お願いしますね。くれぐれも、無理はしないように。危険だと判断したなら、私が許します。一度退いて応援を求めて下さい>

 

 その言葉から二秒置いて、通話が切れる。それを確認すると、綾耶はスマートフォンをポケットに入れた。

 

 今、綾耶の眼下には東京エリアの街並みが広がっている。ここは上空600メートル。どんな高いビルもその屋上が見えている。彼女は空からのこの眺めに飽きた事が無かった。ここに居る間は、地上で起こる一切合切が取るに足りない事のように思える。空間も時間すらも、芥子粒のように感じられる。そして春も夏も秋も冬も、朝も昼も夜も、ここからの景色はそれぞれ違った美しさを提供してくれる。

 

 だが今は、優雅な気分に浸っているゆとりは無い。感染源たるガストレアが今もエリアの中を動き回っているのだ。そいつを仕留めない事には、おちおち夜も眠れない。

 

 綾耶はそれはイヤだったし、自分の主にそんな思いをさせるのはもっとイヤだった。

 

「……とは言え、何も手掛かりが無いのに闇雲に探すのもなぁ……」

 

 空中を物凄い速度で移動しつつ、腕組みしてうんうんと唸るイニシエーター。ここは……

 

「まずは、目撃情報を集めるとしますか!!」

 

 いかなる手段で監視網から逃れているかは分からないが、東京エリア中心部あるいはそれに準じる区域内をガストレアがうろついているのなら、例え感染源本体は見付からないにしてもその感染源に襲われた被害者ぐらいは出ても良い筈だ。だが今は、それすらもが報告されていないらしい。

 

 ……と、いう事は感染源ガストレアは今はエリア中心部には居ない。少なくともその可能性が高い。ならば捜索すべきは寧ろ外周区であろうという判断の下、彼女は進行方向を変えた。

 

 

 

 

 

 

 

 東京エリア外周区・第39区。10年前のガストレア大戦から未だ復興が進んでいないその地区の片隅には小さな教会がある。だが神の家の屋根はあちこち”前衛的な明かり取り”が作られていて、雨漏りしないように板で即席の修理が施されている。看板はオシャレな事に角度を付けて掛かっている。そこにはかすれて消えかけた文字で「東京エリア第39区第三小学校」と書かれていた。

 

 その入り口手前へ空中から降り立った綾耶は、足が地面に接する瞬間に全てのスピードを殺すと音も無く着地し、何事も無かったかのように数歩を進むと無造作に扉を開けた。「ただいま」とは言うが呼び鈴は鳴らさなかった。元々壊れてしまっているし、自宅に帰るのに呼び鈴を鳴らす者は居ない。

 

「ネアンデルタール人はある時期までは私達の直接の祖先だと考えられていたけど、実際は少し違っていたのよ。彼等は三万年も前に絶滅したの。彼等に代わる存在として、クロマニヨン人が現れたからなの。昔はネアンデルタール人は残らずクロマニヨン人に滅ぼされたと考えられていたけれど、その後DNAの研究が進むと……あら?」

 

 扉を開けたそこは礼拝堂になっていて、説教を聞く為の長椅子に腰掛けていた幾人かの少女達の赤い目が一斉に綾耶を向き……一拍ばかりの間を置いて、子供たちはわっと彼女に殺到してきた。

 

「あややお姉ちゃん!!」

 

「お姉ちゃん、お帰り!!」

 

「今日は泊まっていけるの?」

 

「今度はどんなガストレアをやっつけたの!?」

 

「ちょ、ちょっと……みんな落ち着いて……話は一人ずつ……」

 

 これがガストレアだったら食パンのように文字通り千切っては投げ千切っては投げしてやる所であるが、お姉ちゃんお姉ちゃんと懐いてくる子供たち相手ではそうも行かない。全く、愛らしさに勝る武器はこの世に有り得ないかも知れない。

 

 溜息と共にそんな思考を頭の片隅に浮かべつつもみくちゃにされていた綾耶であったが、救いの手は意外とすぐに差し伸べられた。

 

「こらこら、マリア。恭子も。そんな一斉に話し掛けたら綾耶が困ってしまうよ?」

 

「みんなも席に戻りなさい。まだ授業は終わってないわよ」

 

 掛けられた二色の声。綾耶が視線を上げると、子供達に混じって二人の大人が歩み寄ってきていた。一人は杖を突いて丸眼鏡を掛けた初老の男性。もう一人はたった今子供達に講義していた皺だらけのスーツに身を包んだ中年女性だった。

 

「長老、それに琉生(るい)先生も」

 

 顔を輝かせ、弾んだ声を挙げる綾耶。大人二人の登場に彼女のぐるりを囲んでいた子供達が一歩引く。それによって生じた隙間を縫うようにして、綾耶は二人の側まで歩み寄った。

 

「すいません、授業中にお邪魔してしまって……」

 

「ここは君の家だ、綾耶。いつでも帰ってきてくれて良いんだよ」

 

 長老と呼ばれた男性が、優しい笑みと共にくしゃりと綾耶の頭を撫でた。

 

 彼のここが綾耶の家だという言葉には、二重の意味がある。綾耶に限らず他の呪われた子供達にとってこの教会は学校であると同時に家であり、そしてここは綾耶の実家でもあった。

 

 聖職者であった彼女の両親は反ガストレア団体の過激派が起こしたテロによって帰らぬ人となった。この建物のあちこちに刻まれた疵も、半分ぐらいはその時のものである。それ以降は綾耶が一人でこの教会を守っていたのだが、ある時期から彼女は寂しさを埋めようとしてか他の呪われた子供たちに教会を落ち着ける場所として提供するようになっていた。彼女等の面倒を見ている長老・松崎と知り合ったのも同じ時期だ。

 

 その綾耶も半年程前に聖天子の護衛隊に選ばれてここを離れる事となり、それ以降は教会の管理を松崎老人に任せるようになっていた。勿論、時間を見付けては足を運ぶようにはしているが。

 

「あなたの活躍はいつも聞いているわ。みんな、テレビにほんの一秒でもあなたが映ると大騒ぎになるのよ。あなたはここに居る子だけじゃない……この東京エリア全ての呪われた子供たちの希望と言っても過言ではないわ。だから……自分を大事にして欲しいわね。体にはくれぐれも気を付けて……」

 

 気遣わしげな声を掛けたのは、松崎のすぐ隣に立つ琉生先生と呼ばれた女性だった。彼女も松崎と同じ、子供たちの世話を買って出てきた……言い方は悪いが“奇特な人間”の一人だった。綾耶と知り合ったのは松崎よりも一月ほど遅い。だが綾耶は今では松崎と変わらない信頼を、彼女に寄せていた。それは他の少女達も同様である。

 

 琉生はこの学校兼教会で松崎と分担して子供達の為に教鞭を取っていて、彼女が担当する科目はどれも評判が良く、特に歴史は大好評だった。日本史・世界史を問わず教科書に載っているメジャーな出来事は勿論の事、各国の偉人についての豆知識やその国の風俗習慣に至るまで、まるでその国の土の臭いが伝わってくるようだった。外周区から出た事の無い子供たちにとって、それがどれほどの刺激となり楽しみとなるかは、想像に難くない。

 

「それで、今日はただ里帰りしにきた訳じゃないんでしょう? あなたがこんな時間に帰ってくるなんて」

 

 雑談を適当に切り上げて、琉生が本題に入る。この話題の切り替えに松崎は少し戸惑ったようであったが、ややあってああそうかと得心が行った表情になった。

 

 子供たちが集まってから聖室護衛隊に身を置くようになるまでの短い期間だが、綾耶もこの学校の生徒だった(正確には休学という形を取っているだけで、今でも生徒という事になっている)。当然、授業時間についても把握している。

 

 もしただの私的な里帰りであったのなら、綾耶は授業を邪魔しないような時間を選んで帰ってくるだろう。彼女は幼いながらもそういう気遣いが出来る子である事を、松崎も琉生も知っている。そんな綾耶が授業時間中にやってくるという事は……つまり何か、授業が終わるまで待てない緊急の事態が起こっているのだ。

 

「みんな、私達は少し席を外すわ。戻るまでに各自45ページから50ページまでの内容を復習しておきなさい。ここは今度のテストに出すわよ」

 

「「「はーい!!」」」

 

 元気の良い声を背中に受け、松崎、琉生、綾耶の三人は応接室へと移動した。そうして二人の教師と向き合う形で席に着いた聖天子のイニシエーターは、事情を説明していく。

 

「……外周区にクモのガストレアが潜んでいる可能性がある、か……成る程、確かにこれは一大事だね」

 

 難しい顔で腕組みしつつ、松崎は「うむむ」と唸った。綾耶の話では既に一名、犠牲者が出ているのだ。次の犠牲者がこの学校の子供達である未来などは、想像したくもない。

 

「子供達は一旦この教会から、下水道へと移した方が良いですね。状況から言って、そのガストレアが地面を掘ったり潜ったりする可能性は低いんでしょう?」

 

「そうですね」

 

 琉生の意見に賛成だと、首肯する綾耶。最近では(流石に外周区は範囲外だが)下水道設備にも暗視機能付きの監視カメラが付けられている。もし、感染源ガストレアが地下に逃げていたのならそれらの機器に捕捉されるだろう。と、すれば探すべきはやはり空と地上だ。

 

「何か、どんな些細な事でも良いんです。手掛かりとか無いですか?」

 

「いや……」

 

「そう言えば……ササナが言っていたわね。お昼頃……飛行機でも鳥でもない大きな影が、空を飛んでたって」

 

「空を、飛んで……?」

 

 無論、見間違いの可能性もあるが……奇しくも先程聖天子と話していた内容と、この情報はシンクロする。この際、クモが空を飛ばない、などという先入観は捨ててかかるべきであろう。寧ろ”ターゲットは空を飛べる”と見て事に当たるのが正解かも知れない。

 

 うん、と綾耶は満足げに頷くと応接室の窓を開けて窓枠に足を掛けた。

 

「もう行くのかい? 泊まっていくのは無理かも知れないが、せめて夕食を一緒にするぐらいは……」

 

「僕としても久し振りにみんなと食事を楽しみたいですけど、いつガストレアが現れるかって神経をピリピリさせたままじゃ、味も団欒もあったものじゃないですからね。日暮れまで二時間はありますから、ギリギリまで探してみますよ」

 

 松崎の申し出を、綾耶は丁重に辞退する。老人もこの少女が重いものを背負う身である事は理解しているが故に、強くは止めなかった。

 

「気を付けてね。いくら強力なイニシエーターでも、あなたはまだ子供なんだから……食事と睡眠はきちんと摂るようにね」

 

「ん♪」

 

 にっこり笑った綾耶は二人の教師に手を振って、窓から飛び立つ。ものの数秒で彼女の小さな体は蒼穹に吸い込まれるようにして見えなくなった。松崎と琉生はそれぞれ少女の消えていった空へ視線を送っていたが、ややあって琉生の方が動いた。

 

「では松崎さん、私は子供たちの避難誘導を行いますから……戸締まりの確認と電気や火の始末をお願い出来ますか?」

 

「分かりました、頼みますよ琉生先生」

 

 琉生は笑顔で頷いて返すと先に応接室から出て……

 

 そしてほんの一瞬、彼女の瞳が呪われた子供たちと同じ紅い光を宿した。女教師はくたびれたスーツのポケットから携帯電話を取り出すと、登録してある番号へと掛ける。相手は1コールもしない内に通話に出た。

 

<お呼びですか? 我が王よ>

 

「影胤。例の感染源ガストレアは空中を移動する能力を持っている可能性があるわ。それを考慮に入れて、捜索範囲を広げてみて」

 

 それだけ言うと通話を切り、琉生は瞬きを一つする。その時にはもう彼女の瞳は黒一色に戻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 その後も綾耶は捜索を続けたが、残念ながら収穫はゼロ。モデル・スパイダーはおろかガストレア1体とさえ遭遇しなかった。そうこうしている間に日が暮れてきて、これ以上は目視による捜索は困難な時間になった。索敵を続けるにしても一時中断して、明日の夜明けを待つべきだろう。

 

 蛍籠のような東京エリアの光を見下ろしながら、空中を闊歩する綾耶はそう結論し、ひとまずは聖天子から宿舎としてあてがわれたアパートへ戻ろうとしたが、その時懐のスマートフォンが着信音である天誅ガールズの主題歌を鳴らした。画面を見ると「延珠ちゃん」と表示されている。

 

<綾耶、一日振りだな。息災か?>

 

 通話に出ると、電話の向こうの親友が元気な声を掛けてきた。

 

「ええ、お陰様で。ところで、何か用? いや、延珠ちゃんなら用が無くても大歓迎だけど」

 

<実は昨日のガストレア退治で、綾耶が警察に話を通しておいてくれたお陰で金一封が入ってな。蓮太郎がそのお祝いですき焼きを作ってくれるのだ。そこで、綾耶も招待しようと思ってな>

 

「……お誘いは嬉しいけど、良いの? 二人きりの食事を邪魔しちゃ……」

 

<良いのだ!! 妾の親友だと言ったら、蓮太郎も大歓迎だと言ってくれたぞ!! 今日は自分の家だと思って寛いでくれ!!>

 

 少しばかり遠慮がちなコメントを返す綾耶だが、延珠は全く気にしていないようだった。そんな友達の声を聞いていると、今日一日、東京エリア中を文字通り飛び回っていて肩に入っていた力がふっと抜けていくようだった。

 

 くすっと、口元をほころばせる。

 

「じゃ、ご馳走になるわ。住所は……? ああ、それなら10分もあれば着くね。うん、それじゃあ……」

 

 電話を切ると、綾耶は空中で水泳のターンの様に体を捻ると、教えられた住所へ向けて一直線に進んでいった。

 

 目的地には、7分強で到着した。空には地上のような渋滞は無いので時間通りに着く。その点でも綾耶は空が好きだった。

 

 さて、辿り着いたのは綾耶の実家の教会と良い勝負になりそうなぐらい年季の入ったボロアパート。延珠に聞いた番号の部屋の前に立ち、呼び鈴を鳴らす。しかし、反応は無い。

 

「……?」

 

 首を傾げる綾耶。まさか向こうから招待しておいて、留守という事もあるまい。ならば……? 疑問符を頭に浮かべつつも二度三度とチャイムのスイッチを押すが、やはり反応は無い。

 

「……??」

 

 そっと、扉に耳を当ててみる。安アパートの粗末な素材で出来た扉に防音性など期待する方が間違っている。中の声はほぼ筒抜けで聞こえてきた。

 

「……ご飯にする? お風呂にする? それとも、わ・た・し?」

 

「!!」

 

 あっという間に顔を真っ赤にすると、綾耶は扉から飛び退く。しかし、すぐに論理的な思考を取り戻した。

 

「駄目!! 延珠ちゃん!! そういうのは僕達はまだ……!!」

 

 ぶち破る勢いでドアを開ける。幸い鍵は掛かっていなかったので、蓮太郎はこの後で修理費の心配をしなくて済みそうだった。

 

 果たして、突入したその先にあった光景は。

 

「……お、綾耶」

 

「い、いらっしゃい」

 

 テーブルを挟んで、蓮太郎と延珠が向き合っている。それは良い。

 

 問題は、延珠が一糸纏わぬ産まれたままの姿である事だった。そして、たった今ドア越しに聞こえてきた延珠のあの台詞。

 

 これらの点を繋げた線の先にある結論は……!!

 

 思考をそこまで回転させて、綾耶の目が燃えた。

 

「昨日は延珠ちゃんが心を開いているから、この人なら大丈夫だと思っていたのに……!! 見損ないましたよ……!!」

 

 少女の声は、怒りに震えている。

 

「お、おい、待て!! 綾耶、お前何か勘違いをして……!!」

 

「問答無用!! こんな趣味があったなんて……!! 不潔です!! 消毒してやる、成敗してやる、天誅!!」

 

 さっと振り上げられた手刀が異様な唸りを上げて振り下ろされ、蓮太郎と延珠は咄嗟に飛び退いて回避行動を取る。

 

 綾耶の小さな手はほんの10センチほどの長さしかないが、その斬撃は数メートルもの長さの傷をアパートの畳に刻んだ。恐るべきチョップの威力はちょうど部屋の真ん中に置かれていたテーブルをも日本刀を叩き付けたかのように真っ二つに断ち割り、グツグツと煮えていたすき焼き鍋が、その勢いに弾かれて宙を舞った。

 

「あ」

 

「ぬ」

 

「げっ……」

 

 この部屋の二人の住人にとって何ヶ月振りかのご馳走は空中を二回転ほどして、そして、お約束と言うべきか投げ出された中身が蓮太郎の頭の上に降り注いだ。

 

 一瞬の間を置いて、

 

「あぢゃああああぁぁぁぁぁぁあああっっ!!!!」

 

 絶叫、悲鳴。たまらず蓮太郎は部屋中を転げ回り、延珠は「水だ、氷だ!!」と台所に駆け込んで、綾耶は「薬、それに救急車を……!!」とスマホ片手に部屋の棚をかき回して、大騒ぎの内に、この夜は更けていった。

 


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